【実施例】
【0036】
実施例1
脂質ナノ粒子用膜材料組成物であって、前記膜材料組成物は、モル比で25:45:20:5:5のDOTAP、Egg PC、コレステロール、トウェイン80、及びTPGSからなる。
【0037】
前記脂質ナノ粒子用膜材料組成物で脂質ナノ粒子を調製する方法であって、具体的には、
上記の物質を80%のエタノールに溶解して、混合したエタノール溶液を得、オリゴヌクレオチドG3139をPBS緩衝液(1X pH=7)に溶解して、オリゴヌクレオチドのPBS緩衝液を得る(G3139は、18個のヌクレオチドからなり、配列が5’−TCT CCC AGC GTG CGC CAT−3’のアンチセンスオリゴヌクレオチドセグメントである)工程(1)と、
工程(1)で得られた混合したエタノール溶液とアンチセンスオリゴヌクレオチドG3139のPBS緩衝液とを等体積で混合して、エタノールの最終濃度が40%の混合溶液を得る工程(2)と、
更にPBS緩衝液を用いて、工程(2)で得られたエタノールの最終濃度が40%の混合溶液を等体積で希釈し、エタノールの最終濃度が5%未満の製剤混合液を得るまでPBS緩衝液(1X pH=7.4)を用いて最終濃度のエタノールの混合溶液を等体積で繰り返し希釈する工程(3)と、
工程(3)で得られた製剤混合液に高塩濃度溶液を加え、最終濃度が0.1Mの混合液を得る工程(4)と、
分画分子量が10,000ダルトンの限外濾過装置を用いて、工程(4)で得られた混合液からエタノール及び遊離アンチセンスオリゴヌクレオチドを除去する工程(5)と、
工程(5)で得られた製品を、孔径が0.22μmの濾過膜により濾過して除菌し、脂質ナノ粒子を得る工程(6)と、を含む。
【0038】
実施例2
脂質ナノ粒子用膜材料組成物であって、前記膜材料組成物は、モル比で35:40:15:1:1のDOTMA、DOPC、コレステロール、トウェイン40、mPEG550−DPPEからなる。
【0039】
前記脂質ナノ粒子用膜材料組成物で脂質ナノ粒子を調製する方法であって、具体的には、
上記の物質を80%のエタノールに溶解して、混合したエタノール溶液を得、アンチセンスオリゴヌクレオチドG3139をPBS緩衝液(1X pH=7)に溶解して、アンチセンスオリゴヌクレオチドG3139のPBS緩衝液を得る工程(1)と、
工程(1)で得られた混合したエタノール溶液とアンチセンスオリゴヌクレオチドG3139のPBS緩衝液とを等体積で混合して、エタノールの最終濃度が40%の混合溶液を得る工程(2)と、
更にPBS緩衝液を用いて、工程(2)で得られたエタノールの最終濃度が40%の混合溶液を等体積で希釈し、エタノールの最終濃度が5%未満の製剤混合液を得るまでPBS緩衝液(1X pH=7.4)を用いて最終濃度のエタノールの混合溶液を等体積で繰り返し希釈する工程(3)と、
工程(3)で得られた製剤混合液に高塩濃度NaCl溶液を加え、最終濃度が0.3Mの混合液を得る工程(4)と、
分画分子量が50,000ダルトンの限外濾過装置を用いて、工程(4)で得られた混合液からエタノール及び遊離アンチセンスオリゴヌクレオチドを除去する工程(5)と、
工程(5)で得られた製品を、孔径が0.20μmの濾過膜により濾過して除菌し、脂質ナノ粒子を得る工程(6)と、を含む。
【0040】
実施例3
脂質ナノ粒子用膜材料組成物であって、前記膜材料組成物は、モル比で30:50:25:3:3のDDAB、DSPC、コレステロール、トウェイン60、mPEG2000−DMPEからなる。
【0041】
前記脂質ナノ粒子用膜材料組成物で脂質ナノ粒子を調製する方法であって、具体的には、
上記の物質を80%のエタノールに溶解して、混合したエタノール溶液を得、アンチセンスヌクレオチドをPBS緩衝液(1X pH=7)に溶解して、アンチセンスヌクレオチドG3139のPBS緩衝液を得る工程(1)と、
工程(1)で得られた混合したエタノール溶液とアンチセンスヌクレオチドのPBS緩衝液とを等体積で混合して、エタノールの最終濃度が40%の混合溶液を得る工程(2)と、
更にPBS緩衝液を用いて、工程(2)で得られたエタノールの最終濃度が40%の混合溶液を等体積で希釈し、エタノールの最終濃度が5%未満の製剤混合液を得るまでPBS緩衝液(1X pH=7.4)を用いて最終濃度のエタノールの混合溶液を等体積で繰り返し希釈する工程(3)と、
工程(3)で得られた製剤混合液に高塩濃度溶液を加え、最終濃度が1Mの混合液を得る工程(4)と、
分画分子量が100,000ダルトンの限外濾過装置を用いて、工程(4)で得られた混合液からエタノール及び被覆されていないアンチセンスヌクレオチドG3139を除去する工程(5)と、
工程(5)で得られた製品を、孔径が0.22μmの濾過膜により濾過して除菌し、脂質ナノ粒子を得る工程(6)と、を含む。
【0042】
実施例4
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:50:20:5:5
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:50:20:5:5
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=35:50:20:5:5
【0043】
【表1】
【0044】
カチオン性脂質DOTAPのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤1は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤1を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0045】
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:40:20:5:5
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:5:5
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:50:20:5:5
【0046】
【表2】
【0047】
リン脂質Egg PCのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤2は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤2を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0048】
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:15:5:5
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:5:5
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:25:5:5
【0049】
【表3】
【0050】
コレステロールのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤2は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤2を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0051】
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:15:1:5
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:3:5
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:25:5:5
【0052】
【表4】
【0053】
トウェイン80のモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤3は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤3を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0054】
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:15:5:1
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:5:3
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:25:5:5
【0055】
【表5】
【0056】
TPGSのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤3は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤3を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0057】
(1)DOTMA/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:5:5
(2)DOTMA/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:45:20:5:5
(3)DOTMA/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=35:45:20:5:5
【0058】
【表6】
【0059】
このほかに、他の関係し得るリン脂質についてもスクリーニングを行った。カチオン性脂質DOTMAのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤2は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤2を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0060】
(1)DOTAP/DSPC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:40:20:5:5
(2)DOTAP/DSPC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:45:20:5:5
(3)DOTAP/DSPC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:50:20:5:5
【0061】
【表7】
【0062】
リン脂質DSPCのモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤3は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。このため、製剤3を最良な配合として選択し、次のとおりスクリーニングを行った。
【0063】
(1)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/DPPE−mPEG2000=30:45:20:5:1
(2)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/DPPE−mPEG2000=30:45:20:5:3
(3)DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/DPPE−mPEG2000=30:45:20:5:5
【0064】
【表8】
【0065】
DPPE−mPEG2000のモル比を調整して1因子試験を行ったところ、他の成分が変わらない条件において、電位がほぼ同一でありながら、製剤3は粒径及び被覆率がいずれも他の2製剤より明らかに優れている。
【0066】
上記のとおり各配合及びその割合についてスクリーニングすることにより、下記の結論を得ている。
「DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=25:45:20:5:5」という配合と割合が、粒径が比較的小さく、被覆率が安定しており、正電位が好適である。また、他の配合については、「DOTMA/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:45:20:5:5」、「DOTAP/DSPC/コレステロール/トウェイン80/TPGS=30:50:20:5:5」及び「DOTAP/Egg PC/コレステロール/トウェイン80/DPPE−mPEG2000=30:45:20:5:5」という配合と割合が、粒径、電位、被覆率、及び安定性において比較的好適である。
【0067】
本発明に係るトウェインシリーズとTPGSの組成物について安定性試験(周期27日間、温度4℃)を行い、その結果を
図1に示す。1か月の期間にナノ製剤の粒径変化が比較的小さいことから、トウェインが製剤の全体的安定性を維持できることが明らかになる。
【0068】
具体的な試験データは、以下のとおりである。
【0069】
トウェイン80を使用して安定性試験(周期27日間、温度4℃)を行うと、G3139−GAPナノ製剤の粒径が126nmから181nmに変化し、安定性が最も高く、
トウェイン20を使用して安定性試験(周期27日間、温度4℃)を行うと、G3139−GAPナノ製剤の粒径が99.8nmから274.2nmに変化し、安定的であり、
トウェイン40を使用して安定性試験(周期27日間、温度4℃)を行うと、G3139−GAPナノ製剤の粒径が138.5nmから305.9nmに変化し、安定的であり、
トウェイン60を使用して安定性試験(周期27日間、温度4℃)を行うと、G3139−GAPナノ製剤の粒径が76.7nmから218.6nmに変化し、安定的である。