【課題を解決するための手段】
【0005】
冒頭に述べた本発明のマイクロ波コネクタアセンブリは、誘電体導波管を受け取るための受取り端および受取り端に対して遠位に位置する接続端を有する導波管フェルールと、フェルールレセプタクル内に導波管フェルールを少なくとも部分的に受け取るフェルールソケットとを備え、導波管フェルールは、フェルールソケットとのロック接続のための少なくとも1つのロック部材を備え、フェルールソケットは、少なくとも1つのコード化部材を備え、この少なくとも1つのコード化部材は、単一の所定の角度位置で、または互いに対して180°回転する2つの所定の角度位置のうちの1つで、導波管フェルールがフェルールソケット内に位置するときのみ、導波管フェルールの相補形のコード化部材に係合することから、上記の問題を解決する。
【0006】
コード化部材を相補形のコード化部材に係合させると、2つの誘電マイクロ波導波管またはマイクロ波導波管およびフェルールソケットを最小限の結合損失で互いに結合させることができる所定の角度位置へ、導波管フェルールを確実、再現可能、かつ容易に回転させることができるという利点がある。導波管フェルールは、コード化部材が相補形のコード化部材に係合している場合のみ、フェルールレセプタクルに挿入しまたは差し込むことができる。後者2つが係合していない場合、導波管フェルールをフェルールレセプタクルに差し込むことはできない。
【0007】
冒頭に述べたマイクロ波伝送アセンブリは、本発明のマイクロ波コネクタアセンブリと、誘電体導波管と、回路基板の平坦面に位置するマイクロ波エミッタとを備えることによって、上記の問題を解決する。マイクロ波エミッタは、放射パターンが導波管端の方へ少なくとも部分的に誘導されたマイクロ波アンテナを有し、誘電体導波管は、回路基板の平坦面に位置する自由導波管端を有する。
【0008】
以下、本発明のさらなる実施形態を提示する。図示の実施形態は単独で有利であり、異なる実施形態の技術的な特徴を任意に組み合わせることも省略することもできる。
【0009】
導波管フェルールは、長手方向に沿って延びる導波管の外形に対する中空の形状の取付け具として実施することができる。導波管フェルールは特に、中空の円筒として実施することができる。導波管フェルールの自由内径は、導波管フェルール内に受け取られる誘電体導波管の外径に等しく、またはそれよりわずかに小さくすることができる。
【0010】
フェルールレセプタクルもまた、自由内径を有することができるが、導波管フェルールの外径に実質上等しく、またはそれより大きくすることができる。
【0011】
導波管フェルールの外径は、ロック部材が配置される位置で画定することができる。さらに、導波管レセプタクルは、自由内径の異なる部分を含むことができ、したがって、ロック部材を備える部分より小さい外径を有する導波管フェルールベース、ならびにロック部材を有する部分を、十分に小さい遊びでフェルールレセプタクル内に受け取ることができる。十分に小さい遊びとは、導波管フェルールとフェルールソケットとの間の位置決めにおける結合損失のない許容可能な公差であると理解されたい。使用されるマイクロ波の波長に応じて、前記公差は異なる応用例に対して異なる。
【0012】
ロック部材は、溶接、はんだ付けなどの適当な取付け手段によって1つまたは2つの部分として導波管フェルールベースに取り付けることができるカラーであると理解することができる。
【0013】
ロック部材は、実質上円筒形の導波管フェルールベースから径方向に延びることができ、少なくとも部分的に導波管フェルールベースの周りに円周方向に延びることができる。
【0014】
導波管フェルールの相補形のコード化部材は、ロック凹部として実施することができ、フェルールソケットのコード化部材は、フェルールレセプタクル内へ延びることができ、フィン、ステント、またはスロットとして実施することができる。
【0015】
2つ以上のコード化部材を備えることができ、対応する数の相補形のコード化部材が、導波管フェルールで実施される。
【0016】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリのさらなる実施形態は、導波管フェルールの相補形のロック部材を備え、導波管フェルールの相補形のロック部材は、径方向とは反対の方向に平坦化された平坦部分を有する。そのような平坦部分は、導波管フェルールの変形によって容易に形成することができる。
【0017】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリの別の実施形態では、2つの相補形のコード化部材および2つのコード化部材が備えられ、それぞれ導波管フェルールベースの径方向両側および/またはフェルールレセプタクルの径方向両側に位置している。これは、2つの偏波維持構成要素間の偏波維持接続が、結合損失を最小限にしたちょうど2つの所定の角度位置を含むとき、特に有利である。
【0018】
偏波維持構成要素は、たとえば、2つの偏波維持誘電体導波管、または1つの誘電体導波管および1つのフェルールソケットとすることができる。
【0019】
したがって、操作者がコネクタ自体を見ることなく接続を確立する場合でも、操作者は、一例として導波管フェルールとフェルールソケットとの間の所定の角度位置をより容易かつ迅速に得ることができる。
【0020】
さらに、1つのコード化部材および1つのコード化凹部のみを有する実施形態と比較すると、2つのコード化部材および2つの凹部により、角度的な位置決め公差をより小さくすることが可能になる。
【0021】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリは、上述したように、3つ以上のコード化凹部およびコード化部材を備えることができ、そのような実施形態は優先的に、偶数のコード化凹部およびコード化部材を備え、その結果、2つの回転対称になる。そのようなマイクロ波コネクタアセンブリは、コード化部材とコード化凹部との間の等しくない角度間隔をさらに含む。
【0022】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリは、導波管フェルールがさらなるコード化部材を備える場合、さらに改善することができる。さらなるコード化部材は、別法または追加として提供することができる。したがって、相補形のコード化部材をさらなるコード化部材として実施することができ、または追加として相補形のコード化部材を提供することができる。追加として提供される場合、さらなるコード化部材は、円筒形の導波管フェルールに沿った投影図で、コード化凹部として実施される相補形のコード化部材内に少なくとも部分的に位置することができる。
【0023】
フィン、ステント、または異なる幾何形状として実施することができるさらなるコード化部材は、コード化凹部内に位置することができ、またはコード化凹部の円周方向位置に位置するが、導波管フェルールの長手方向軸に沿ってコード化凹部から離れる方へずれていてもよい。円筒形の導波管フェルールに沿った投影図は、導波管フェルールベースの長手方向軸に沿った投影図であると理解される。
【0024】
さらなるコード化部材は、導波管フェルールとフェルールソケットとの間の位置決め公差を減少させることができる。
【0025】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリは特に、導波管フェルールの両側に2つのさらなるコード化部材を備えることができる。
【0026】
導波管端を受取り端から導波管フェルールベースに挿入することができる誘電体導波管を備えることができる。導波管端は、導波管のうち、導波管へのマイクロ波放射を結合しまたは導波管からのマイクロ波放射を結合するように準備された部分である。導波管端は、導波管を接合することによって得ることができ、接合中は導波管端で明確な端面または小面が得られる。
【0027】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリの別の実施形態によれば、誘電体導波管が備えられ、誘電体導波管は、導波管フェルールを越えて延びる自由導波管端を有する。
【0028】
導波管端が導波管フェルールを越えて延びる場合、延びている誘電体導波管の一部分が自立することができる。前記部分を余端と呼ぶことができる。余端は、導波管、特にピグテールの自立端とすることができ、さらなるコネクタに接続されたPCBからの信号を経路指定する。
【0029】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリは、弾性アームで実施することができる対向ロック部材を備えることができ、弾性アームは、導波管フェルールがフェルールソケット内に受け取られたときにロック部材が対向ロック部材の傾斜面に当接することによって撓む。
【0030】
対向ロック部材は、振動および/または衝撃のある過酷な機械環境でも、フェルールソケット内で導波管フェルールを固定することを可能にすることができる。
【0031】
ロック部材と対向ロック部材との間の係合を1次ロックと呼ぶことができ、導波管フェルールがフェルールソケット内に所定の角度位置で受け取られた場合のみ、前記1次ロックに特に係合することができる。
【0032】
1つまたは2つの所定の角度位置とは異なるあらゆる中間角度位置で、コード化部材、相補形のコード化部材(たとえば、コード化凹部)、およびさらなるコード化部材は、1次ロックに係合するほど導波管レセプタクル内へ十分遠くまで導波管フェルールが挿入されるのを防止することができる。したがって、1次ロックによる固定接続は、導波管フェルールがフェルールソケットに対して正しい所定の角度位置に位置決めされた場合にのみ得ることができる。
【0033】
本発明のマイクロ波コネクタアセンブリのさらなる実施形態では、フェルールソケットに挿入可能なリテーナが備えられ、リテーナの2次ロック部材がロック部材に係合し、導波管フェルールがフェルールソケットから取り外されるのを防止する。リテーナは、追加として、導波管フェルールとフェルールソケットとの間の接続を固定する。
【0034】
リテーナは、ロック部材、したがって導波管フェルールを阻止することができる。リテーナは、ロック部材に形状嵌めで係合することができる。
【0035】
リテーナは、フェルールソケットの開口を通ってフェルールソケットに挿入することができ、リテーナのいくつかの部分のみを受け取ることができる。リテーナをフェルールソケット内に受け取ることは、径方向とは反対の方向に沿って、すなわち導波管フェルールの長手方向に本質的に直交する方向から実行することができる。
【0036】
リテーナは、導波管フェルールのカラー状のロック部材と同じ数の2次ロック部材を備えることができる。
【0037】
リテーナは、U字形で実施することができ、リテーナがフェルールソケット内に受け取られている場合、ベースが長手方向に対して本質的に平行に向けられる。
【0038】
2つの2次ロック部材が、ベースから本質的に直交してフェルールレセプタクルの方へ延びることができ、弧状の当接前面を備えることができ、弧状の曲率および/または半径は優先的に、導波管フェルールベースの半径に類似または等しくすることができる。
【0039】
したがって当接前面は、大きい面積で導波管フェルールベースに接触することができ、また2次ロック部材の円周方向の大部分が、導波管フェルールのカラー状のロック部材に近接して位置する。
【0040】
本発明の導波管コネクタアセンブリは、互いに対向する2つのフェルールレセプタクルを備えるフェルールソケットによってさらに改善することができ、2つの導波管フェルールの接続端は、対応するフェルールレセプタクル内に位置決めされ、マイクロ波放射の1波長未満だけ互いに離れる方へ分離されている。2つの導波管フェルールは、好ましくは、マイクロ波放射の波長の2分の1未満、より好ましくは波長の4分の1未満、さらに好ましくは波長の10分の1未満だけ、互いに離れて位置決めすることができる。
【0041】
そのような導波管コネクタアセンブリは、2つのフェルールアセンブリ、すなわち導波管フェルールが取り付けられた2つの誘電体導波管を接続して、最小限の結合損失で一方の誘電体導波管から他方の誘電体導波管へマイクロ波放射を結合するために適用することができる。
【0042】
冒頭に述べたマイクロ波伝送アセンブリは優先的に、直線偏波マイクロ波を刺激する縦型アンテナ(たとえば、ビバルディ構造)または横型アンテナ(たとえば、パッチ)として実施されるアンテナを備えることができる。
【0043】
マイクロ波アンテナの放射パターンは、主放射ローブを含むことができ、アンテナは、主放射ローブが誘電体導波管の方へ誘導されるように位置決めされ、したがってマイクロ波を誘電体導波管内へ結合することができる。マイクロ波アンテナの放射パターンはまた、遠視野またはアンテナパターンと呼ぶことができる。
【0044】
本発明によるマイクロ波伝送アセンブリにおいて、マイクロ波コネクタアセンブリおよび特にフェルールソケットは、マイクロ波エミッタから放出されたマイクロ波放射を誘電体導波管内へ結合することを可能にするように、マイクロ波エミッタに対して位置決めされる。
【0045】
マイクロ波伝送アセンブリは、導波管ソケットが回路基板の平坦面に締結されていることから、さらに改善することができる。したがって導波管ソケットは、回路基板の厚さにわたって回路基板の反対側まで延びず、反対側は、さらなる電気または機械構成要素に近接して位置決めすることができる。
【0046】
この実施形態では、誘電体導波管は、回路基板の表面に対して本質的に平行な方向に、回路基板の方へ向けられる。
【0047】
本発明のマイクロ波伝送アセンブリのさらなる実施形態では、導波管ソケットは、回路基板のフットプリント内に位置している。この実施形態には、回路基板の縁部がマイクロ波エミッタとは異なる構成要素を備えることができ、たとえば回路基板と本質的に同じサイズの取付け空間内に回路基板の縁部を受け取ることができるという利点がある。
【0048】
本発明のマイクロ波伝送アセンブリのさらなる実施形態では、誘電体導波管は、回路基板の平坦面に対して傾斜または直交するように向けられている。したがって、誘電体導波管を有する導波管フェルールを受け取るフェルールソケットは、回路基板のフットプリント内に位置し、したがって回路基板の平面内でマイクロ波伝送アセンブリの寸法が増大しない。
【0049】
この実施形態では、マイクロ波エミッタおよびそのアンテナは、マイクロ波放射の主ローブが回路基板に傾斜または直交する方向に放出されるように向けられる。したがって、フェルールレセプタクルおよび前記フェルールレセプタクル内に受け取られた導波管フェルールは、放出されるマイクロ波放射の主ローブと本質的に同じ方向に沿って向けられる。
【0050】
回路基板に対する誘電体導波管の傾斜により、回路基板のフットプリント内にフェルールソケットを位置決めすることが可能になり、追加として回路基板のフットプリントの寸法を増大させることなく誘電体導波管を回路基板の側へ離れて案内することが可能になる。
【0051】
さらに、マイクロ波放射は、フェルールソケット内の開口を通ってフェルールレセプタクルへ伝送することができる。表面が回路基板に対して本質的に平行に向けられている導波管端は、導波管フェルールによってフェルールレセプタクル内に位置決めされ、したがって導波管フェルールによって所定の角度位置で位置決めされた誘電体導波管内へ、偏波マイクロ波放射を結合することができる。
【0052】
本発明のマイクロ波伝送アセンブリのさらなる実施形態では、導波管の導波管端は、導波管ソケットから延びている。導波管のうち導波管ソケットから延びる部分を余端と呼ぶことができ、前記余端は導波管フェルールによって位置決めされる。
【0053】
この実施形態では、マイクロ波エミッタおよびそのアンテナは、マイクロ波放射の主ローブが回路基板へ傾斜する方向に放出されるように向けられる。
【0054】
マイクロ波エミッタは、フェルールソケットに直接位置することができ、したがって傾斜して放出されるマイクロ波放射は、フェルールソケット内へ直接放出され、アンテナは、導波管フェルール接続端の近傍および/または導波管の導波管端の近傍に位置することができる。導波管の導波管端は特に、導波管フェルールの接続端に一致することができる。
【0055】
別の実施形態では、誘電体導波管の一部分がフェルールソケットから延びることができ、この部分は、フェルールソケットに取り付けられた導波管フェルールによって、回路基板の方へ傾斜させて案内することができる。誘電体導波管の前端の近傍には、マイクロ波エミッタのアンテナが位置することができる。
【0056】
誘電体導波管と回路基板との間の傾斜角が、尖った角度(たとえば、30°を下回る角度)になるように選択された場合、斜角を付けたまたは面取りした誘電体導波管を回路基板のより近くに位置決めすることを可能にするために、回路基板に対して本質的に平行な平面に沿って誘電体導波管のクラッドを切断することができる。
【0057】
以下、本発明について、添付の図面を参照するいくつかの実施形態を使用して例としてより詳細に説明する。これらの実施形態は単に可能な構成であり、個々の特徴は、上述したように、互いに独立して実現および省略することができる。これらの実施形態の説明では、同じ技術的な特徴および同じ技術的な効果を有する技術的な特徴には、同じ参照番号を提供する。