特許第6893275号(P6893275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立パワーソリューションズの特許一覧

特許6893275ロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法
<>
  • 特許6893275-ロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法 図000002
  • 特許6893275-ロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6893275
(24)【登録日】2021年6月2日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】ロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   B21B 27/06 20060101AFI20210614BHJP
   F16N 7/38 20060101ALI20210614BHJP
   F16N 39/02 20060101ALI20210614BHJP
   F16N 39/04 20060101ALI20210614BHJP
   F16C 37/00 20060101ALI20210614BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20210614BHJP
   B30B 3/00 20060101ALI20210614BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20210614BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20210614BHJP
   B21B 31/07 20060101ALI20210614BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   B21B27/06
   F16N7/38 C
   F16N39/02
   F16N39/04
   F16C37/00 B
   F16C13/00 C
   B30B3/00 B
   B30B15/00 F
   B30B15/00 B
   F16C33/66 Z
   B21B31/07 Z
   H01M4/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-146594(P2020-146594)
(22)【出願日】2020年9月1日
【審査請求日】2020年9月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野▲瀬▼ 航平
(72)【発明者】
【氏名】大泉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山我 拓
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊
(72)【発明者】
【氏名】高橋 将徳
【審査官】 藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−294011(JP,A)
【文献】 特公昭49−009031(JP,B1)
【文献】 特開2020−133847(JP,A)
【文献】 特開2015−085377(JP,A)
【文献】 特開2014−042922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00−35/14
B21B 37/00−37/78
F16C 35/00−39/06、
43/00−43/08
B30B 1/00−7/04、
12/00−13/00、
15/00−15/34
H01M 4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置され、その対向間でリチウムイオン電池の電極材を圧縮加工する一対の上側及び下側プレスロールと、
記上側プレスロールの両端部を軸支する第一及び二の転がり軸受と、
前記下側プレスロールの両端部を軸支する第三及び第四の転がり軸受と、
前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれに供給する潤滑油の温度を調整する第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段と、
前記上側及び下側プレスロール表面のそれぞれの中央部と両端部の温度を検出する複数の温度センサと
数の前記温度センサで検出された前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度情報、前記第一及び第三の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報、前記第二及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報が入力され、それぞれの前記温度情報に応じて、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給されるそれぞれの前記潤滑油の温度の調整指令を前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段に出力する制御手段と、
記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれに前記潤滑油を供給する第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路と、
前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれから前記潤滑油を回収する第一、第二、第三及び第四の潤滑油回収路とを備え、
前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路の途中には、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段が設置されており、
前記制御手段からの指令を受けて前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段で温度調整されたそれぞれの前記潤滑油が、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路を介して前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給され
前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分下降するように冷却し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を冷却して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで下げ、
一方、前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように加熱し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を加熱して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで上げることを特徴とするロールプレス設備。
【請求項2】
請求項に記載のロールプレス設備であって、
前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段は、
冷却及び加熱対象とする前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受から回収した前記潤滑油を一時的に保持する保持機能と、
設定された目標温度に前記保持機能に一時的に保持された前記潤滑油の温度が一致するように冷却又は加熱処理する熱交換機能と、を備えていることを特徴とするロールプレス設備。
【請求項3】
請求項に記載のロールプレス設備であって、
前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段は、
前記保持機能により保持されて冷却又は加熱処理された前記潤滑油を、対応する前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路を介して対応する前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給する供給機能を備えていることを特徴とするロールプレス設備。
【請求項4】
請求項に記載のロールプレス設備であって、
前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段は、
前記保持機能と前記熱交換機能及び前記供給機能が1つに纏めて配置されているか、
若しくは前記保持機能と前記熱交換機能及び前記供給機能がそれぞれ別々に配置されていることを特徴とするロールプレス設備。
【請求項5】
第一及び第二の転がり軸受に支持された上側プレスロールと、第三及び第四の転がり軸受に支持された下側プレスロールとの一対のプレスロールを備えたロールプレス設備を用いてリチウムイオン電池の電極材を圧縮加工する際に、前記第一及び前記第二の転がり軸受と前記第三及び前記第四の転がり軸受に供給する潤滑油の温度を制御するに当たって、
複数の温度センサで検出された前記上側プレスロール表面の中央部温度情報及び前記第一の転がり軸受側の前記上側プレスロール表面の端部温度情報と前記第二の転がり軸受側の前記上側プレスロール表面の端部温度情報を取得する第1のステップと、
複数の温度センサで検出された前記下側プレスロール表面の中央部温度情報及び前記第三の転がり軸受側の前記下側プレスロール表面の端部温度情報と前記第四の転がり軸受側の前記下側プレスロール表面の端部温度情報を取得する第2のステップと、
前記上側プレスロール表面の中央部温度に、前記上側プレスロールの前記第一の転がり軸受側の端部温度と前記第二の転がり軸受側の端部温度とが一致するように、前記第一の転がり軸受及び前記第二の転がり軸受の温度を制御する第3のステップと、
前記下側プレスロール表面の中央部温度に、前記下側プレスロールの前記第三の転がり軸受側の端部温度と前記第四の転がり軸受側の端部温度とが一致するように、前記第三の転がり軸受及び前記第四の転がり軸受の温度を制御する第4のステップと、を行い、
前記第1、第2、第3及び第4のステップは、複数個の前記温度センサで検出された前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度情報、前記第一及び第三の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報、前記第二及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報が入力され、それぞれの前記温度情報に応じて、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路を介して前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給されるそれぞれの前記潤滑油の温度の調整指令を第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段に出力する制御手段で行い、
前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分下降するように冷却し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を冷却して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで下げ、
一方、前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように加熱し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を加熱して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで上げることを特徴とするロールプレス設備の転がり軸受温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法に係り、特に、リチウムイオン電池(LiB)の電極材を圧縮加工するものに用いられるロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材は、心材となる金属箔などの集電体シートと、その両面に形成した活性物質とから成り、厚さが一様であること及び活物質の密度を高めるために高精度な圧縮加工が必要とされる。
【0003】
連続シート状の二次電池用電極材の圧縮加工は、通常、ロールプレス設備を用いて行われる。ところが、このロールプレス設備において、上下それぞれのプレスロールのロール軸を軸支する転がり軸受の温度上昇により、上下それぞれのプレスロール表面の両端部が熱膨張し、上下それぞれのプレスロール表面が凹状に微小形状変形してしまい、これを解決する必要がある。
【0004】
上記した問題点を解決するために、特許文献1に記載されたロールプレス設備が提案されている。
【0005】
この特許文献1には、ロールプレス設備の更なる高速化及び連続化を可能とするために、上下それぞれのプレスロールのロール軸を軸支する転がり軸受に潤滑油を供給する潤滑油供給路に冷却手段を配置すると共に、上下それぞれのプレスロールの両端部表面の熱膨張による形状変形を抑制するために、転がり軸受を冷却した後の潤滑油の温度を計測し、潤滑油が所定の温度になるように、対応する潤滑油の温度を制御するロールプレス設備が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6640394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上下それぞれのプレスロールのロール軸を軸支する転がり軸受に供給する潤滑油を冷却しながら長時間稼働すると、上下それぞれのプレスロールの両端部の熱膨張は抑制できるが、今度は、上下それぞれのプレスロールの中央部の温度が上昇し、その結果、上下それぞれのプレスロールの中央部が熱膨張して表面が凸状に微小形状変形を生じることが分かった。
【0008】
この問題は、上述した特許文献1に記載されたロールプレス設備のように、転がり軸受を冷却した後の潤滑油の温度を計測し、潤滑油が所定の温度になるように潤滑油の温度を制御する方式では対応が難しい。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、上下それぞれのプレスロールの熱変形を制御し、高精度にリチウムイオン電池(LiB)の電極材を圧縮加工できるロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明のロールプレス設備は、上記目的を達成するために、相対向して配置され、その対向間でリチウムイオン電池の電極材を圧縮加工する一対の上側及び下側プレスロールと、
記上側プレスロールの両端部を軸支する第一及び二の転がり軸受と、
前記下側プレスロールの両端部を軸支する第三及び第四の転がり軸受と、
前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれに供給する潤滑油の温度を調整する第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段と、
前記上側及び下側プレスロール表面のそれぞれの中央部と両端部の温度を検出する複数の前記温度センサと
数の前記温度センサで検出された前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度情報、前記第一及び第三の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報、前記第二及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報が入力され、それぞれの前記温度情報に応じて、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給されるそれぞれの前記潤滑油の温度の調整指令を前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段に出力する制御手段と、
記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれに前記潤滑油を供給する第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路と、
前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受のそれぞれから前記潤滑油を回収する第一、第二、第三及び第四の潤滑油回収路とを備え、
前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路の途中には、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段が設置されており、
前記制御手段からの指令を受けて前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段で温度調整されたそれぞれの前記潤滑油が、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路を介して前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給され
前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分下降するように冷却し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を冷却して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで下げ、
一方、前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように加熱し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を加熱して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで上げることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のロールプレス設備の転がり軸受温度制御方法は、上記目的を達成するために、第一及び第二の転がり軸受に支持された上側プレスロールと、第三及び第四の転がり軸受に支持された下側プレスロールとの一対のプレスロールを備えたロールプレス設備を用いてリチウムイオン電池の電極材を圧縮加工する際に、前記第一及び前記第二の転がり軸受と前記第三及び前記第四の転がり軸受に供給する潤滑油の温度を制御するに当たって、
複数の温度センサで検出された前記上側プレスロール表面の中央部温度情報及び前記第一の転がり軸受側の前記上側プレスロール表面の端部温度情報と前記第二の転がり軸受側の前記上側プレスロール表面の端部温度情報を取得する第1のステップと、
複数の温度センサで検出された前記下側プレスロール表面の中央部温度情報及び前記第三の転がり軸受側の前記下側プレスロール表面の端部温度情報と前記第四の転がり軸受側の前記下側プレスロール表面の端部温度情報を取得する第2のステップと、
前記上側プレスロール表面の中央部温度に、前記上側プレスロールの前記第一の転がり軸受側の端部温度と前記第二の転がり軸受側の端部温度とが一致するように、前記第一の転がり軸受及び前記第二の転がり軸受の温度を制御する第3のステップと、
前記下側プレスロール表面の中央部温度に、前記下側プレスロールの前記第三の転がり軸受側の端部温度と前記第四の転がり軸受側の端部温度とが一致するように、前記第三の転がり軸受及び前記第四の転がり軸受の温度を制御する第4のステップと、を行い、
前記第1、第2、第3及び第4のステップは、複数個の前記温度センサで検出された前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度情報、前記第一及び第三の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報、前記第二及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報が入力され、それぞれの前記温度情報に応じて、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路を介して前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受に供給されるそれぞれの前記潤滑油の温度の調整指令を第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段に出力する制御手段で行い、
前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分下降するように冷却し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を冷却して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで下げ、
一方、前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度がT0であり、前記上側及び下側プレスロール表面の前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合には、前記制御手段は、前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路に配置された前記第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段の目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように加熱し、前記第一、第二、第三及び第四の転がり軸受を加熱して前記上側及び下側プレスロールの端部の温度をT0まで上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上下それぞれのプレスロールの熱変形を制御し、高精度にリチウムイオン電池(LiB)の電極材を圧縮加工できるロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のロールプレス設備の実施例1の全体構成を示す図である。
図2】本発明のロールプレス設備の転がり軸受温度制御方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示した実施例に基づいて本発明のロールプレス設備及びその転がり軸受温度制御方法を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に、本発明のロールプレス設備の実施例1の全体構成を示す。
【0018】
該図に示すように、本実施例のロールプレス設備100は、相対向して配置され、その対向間でリチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材(薄膜材)を圧縮加工する一対の上側プレスロール1a及び下側プレスロール1bと、上側プレスロール1aの両端部のロール軸9を軸支する第一の転がり軸受2a及び第二の転がり軸受2bと、下側プレスロール1bの両端部のロール軸10を軸支する第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dと、第一の転がり軸受2a、第二の転がり軸受2b、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dのそれぞれを保持する第一の軸受箱3a、第二の軸受箱3b、第三の軸受箱3c及び第四の軸受箱3dとを備えている。
【0019】
また、本実施例のロールプレス設備100は、上記した第一の転がり軸受2a、第二の転がり軸受2b、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dのそれぞれに潤滑油を供給する第一の潤滑油供給路4a、第二の潤滑油供給路4b、第三の潤滑油供給路4c及び第四の潤滑油供給路4dと、第一の転がり軸受2a、第二の転がり軸受2b、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dのそれぞれから潤滑油を回収する第一の潤滑油回収路5a、第二の潤滑油回収路5b、第三の潤滑油回収路5c及び第四の潤滑油回収路5dと、第一の潤滑油供給路4a、第二の潤滑油供給路4b、第三の潤滑油供給路4c及び第四の潤滑油供給路4dの途中に設置され、第一の転がり軸受2a、第二の転がり軸受2b、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dのそれぞれに供給する潤滑油の温度を調整する第一の潤滑油温度調整手段6a、第二の潤滑油温度調整手段6b、第三の潤滑油温度調整手段6c及び第四の潤滑油温度調整手段6dとを備えている。
【0020】
更に、本実施例のロールプレス設備100は、上記した上側プレスロール1a及び下側プレスロール1b表面のそれぞれの中央部(近傍を含む。以下、同じ。)と両端部(近傍を含む。以下、同じ。)の温度を検出する複数(本実施例では6個)の温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fと、この6個の温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fで検出された上側プレスロール1a及び下側プレスロール1b表面の中央部温度情報T及びT、第一の転がり軸受2a及び第三の転がり軸受2c側の上側プレスロール1a及び下側プレスロール1b表面の端部温度情報T及びT、第二の転がり軸受2b及び第四の転がり軸受2d側の上側プレスロール1a及び下側プレスロール1b表面の端部温度情報T及びTが入力され、それぞれの温度情報T、T、T、T、T及びTに応じて、第一の潤滑油供給路4a、第二の潤滑油供給路4b、第三の潤滑油供給路4c及び第四の潤滑油供給路4dを介して第一の転がり軸受2a、第二の転がり軸受2b、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dに供給されるそれぞれの潤滑油温度の調整指令を第一の潤滑油温度調整手段6a、第二の潤滑油温度調整手段6b、第三の潤滑油温度調整手段6c及び第四の潤滑油温度調整手段6dに出力する制御手段8とを備えている。
【0021】
上記した本実施例の制御手段8は、1つの温度センサ7aで検出された上側プレスロール1a表面の中央部温度に、2つの温度センサ7b、7cで検出された上側プレスロール1a表面の第一の転がり軸受2a及び第二の転がり軸受側2bの端部温度を一致させるように、第一の潤滑油供給路4a及び第二の潤滑油供給路4bに配置された第一の潤滑油温度調整手段6a及び第二の潤滑油温度調整手段6bの目標温度を設定して潤滑油の温度を制御している。
【0022】
また、上記した本実施例の制御手段8は、1つの温度センサ7dで検出された下側プレスロール1b表面の中央部温度に、2つの温度センサ7e、7fで検出された下側プレスロール1b表面の第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2d側の端部温度を一致させるように、第三の潤滑油供給路4c及び第四の潤滑油供給路4dに配置された第三の潤滑油温度調整手段6c及び第四の潤滑油温度調整手段6dの目標温度を設定して潤滑油の温度を制御している。
【0023】
更に、上記した本実施例の制御手段8は、3個の温度センサ7aと7b及び7cで検出された上側プレスロール1a表面の中央部と第一の転がり軸受2a側の端部及び第二の転がり軸受2b側の端部温度情報TとT及びTと、残り3個の温度センサ7dと7e及び7fで検出された下側プレスロール1b表面の中央部と第三の転がり軸受2c側の端部及び第四の転がり軸受2d側の端部温度情報TとT及びTとを任意の時刻に同時(誤差を含む)に取得している。
【0024】
また、図1に示すように、第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dは、冷却及び加熱対象とする第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dから回収した潤滑油を一時的に保持する保持機能(例えば、潤滑油貯蔵庫等)6a3と、設定された目標温度に潤滑油の温度が一致するように冷却又は加熱処理する熱交換機能(例えば、熱交換器等)6a2とを備え、更に、第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dは、保持機能6a3により保持されて冷却又は加熱処理された潤滑油を、対応する第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dを介して対応する第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dに供給する供給機能(例えば、ポンプ等)6a1を備えている。
【0025】
なお、上記した第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dのそれぞれは、保持機能6a3と熱交換機能6a2及び供給機能6a1を1つに纏めて配置しても良いし、保持機能6a3と熱交換機能6a2及び供給機能6a1をそれぞれ別々に配置しても構わない。
【0026】
次に、上述した本実施例のロールプレス設備100における転がり軸受温度制御方法について、図2を用いて説明する。
【0027】
本実施例のロールプレス設備100における転がり軸受温度制御方法は、第一及び第二の転がり軸受2a及び2bに支持された上側プレスロール1aと、第三及び第四の転がり軸受2c及び2dに支持された下側プレスロール1bとの一対のプレスロールを備えたロールプレス設備100を用いてリチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材(薄膜材)を圧縮加工する際に、第一及び第二の転がり軸受2a及び2bと第三及び第四の転がり軸受2c及び2dに供給する潤滑油の温度を制御するに当たって、3個の温度センサ7a、7b及び7cで検出された上側プレスロール1a表面の中央部温度情報及び第一の転がり軸受2a側の上側プレスロール1a表面の端部温度情報と第二の転がり軸受2b側の上側プレスロール1a表面の端部温度情報を取得する第1のステップ(S1)と、3個の温度センサ7d、7e及び7fで検出された下側プレスロール1b表面の中央部温度情報及び第三の転がり軸受2c側の下側プレスロール1b表面の端部温度情報と第四の転がり軸受2d側の下側プレスロール1b表面の端部温度情報を取得する第2のステップ(S2)と、上側プレスロール1a表面の中央部温度に、上側プレスロール1aの第一の転がり軸受2a側の端部温度と第二の転がり軸受2b側の端部温度とが一致するように、第一の転がり軸受2a及び第二の転がり軸受2bの温度を制御する第3のステップ(S3)と、下側プレスロール1b表面の中央部温度に、下側プレスロール1bの第三の転がり軸受2c側の端部温度と第四の転がり軸受2d側の端部温度とが一致するように、第三の転がり軸受2c及び第四の転がり軸受2dの温度を制御する第4ステップ(S4)を行うものである。
【0028】
上記した第1、第2、第3及び第4のステップは、6個の温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fで検出された上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の中央部温度情報、第一及び第三の転がり軸受2a及び2c側の上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の端部温度情報、第二及び第四の転がり軸受2b及び2d側の上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の端部温度情報が入力され、それぞれの温度情報に応じて、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dを介して第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dに供給されるそれぞれの潤滑油の温度の調整指令を第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dに出力する制御手段8で行なわれる。
【0029】
即ち、上記した制御手段8により、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部が熱膨張した時は、その両端部の熱膨張を抑制するために潤滑油の温度設定を低くして冷却し、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dを冷却して上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部の膨張を抑制して上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の平坦性を保持し、上側及び下側プレスロール1a及び1bの中央部が熱膨張した時は、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部を熱膨張させるように潤滑油の温度設定を高くして加熱し、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dを加熱して上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部を膨張させて上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の平坦性を保持するものである。
【0030】
具体的には、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の中央部温度がT0であり、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2d側の上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の端部温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合には、制御手段8は、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dに配置された第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dの目標温度をT0に設定してΔt分下降するように冷却し、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dを冷却して上側及び下側プレスロール1a及び1bの端部の温度をT0まで下げる。
【0031】
一方、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の中央部温度がT0であり、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2d側の上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の端部温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合には、制御手段8は、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dに配設された第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dの目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように加熱し、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dを加熱して上側及び下側プレスロール1a及び1bの端部の温度をT0まで上げる。
【0032】
更に詳細に説明すると、上記した制御手段8は、設定された回転速度により上側プレスロール1aと下側プレスロール1bを回転させて、圧縮加工対象物である二次電池用電極材の圧縮加工を開始する。
【0033】
運転開始してから所定時間経過後に、上側プレスロール1a表面の中央部温度情報及び第一の転がり軸受2a側及び第二の転がり軸受2b側の端部温度情報と、下側プレスロール1b表面の中央部温度情報及び第三の転がり軸受2c側及び第四の転がり軸受2d側の端部温度情報とを入力部から取得し、それぞれの温度情報に応じて、第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dに配置された第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dで潤滑油の温度を制御する。
【0034】
その結果、上側プレスロール1a表面及び下側プレスロール1b表面の両端部の熱膨張度合いがコントロールされ、上側プレスロール1a表面及び下側プレスロール1b表面の平坦性が保持される。
【0035】
上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部が熱膨張したときは、両端部の熱膨張を抑制するために潤滑油の温度設定を低くして冷却し、その結果、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dが冷却され、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部の膨張を抑制して上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の平坦性が保持される。
【0036】
一方、上側及び下側プレスロール1a及び1bの中央部が熱膨張したときは、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部を熱膨張させるように潤滑油の温度設定を高くして加熱し、その結果、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dが加熱され、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部を膨張して上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の平坦性が保持される。
【0037】
また、本実施例のロールプレス設備100の運転を開始してから、早い段階においては、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dの温度が上昇することにより、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の両端部の温度が中央部の温度より上昇する傾向にあり、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面に凹状の微小形状変形を生じることとなる。
【0038】
上記した制御手段8は、このような状態のときは、次のように制御する。
【0039】
即ち、上側プレスロール1a表面の中央部温度がT0であり、上側プレスロール1a表面の第一の転がり軸受2a側端部の温度がT1(T0よりΔt分高い)である場合、制御手段8は、第一の潤滑油供給路4aに配置された第一の温度調整手段6aの目標温度をT0に設定してΔt分下降するように潤滑油を温度制御し、この温度制御された潤滑油で第一の転がり軸受2aを冷却して一方端部の温度をT0まで下げる。
【0040】
なお、本実施例では、上側プレスロール1aの第一の転がり軸受2a側端部について説明したが、下側ロールプレス1bについても同様であり、また、第二の転がり軸受2b側端部、第三の転がり軸受2c側端部及び第四の転がり軸受2d側端部についても同様である。
【0041】
更に、ロールプレス設備100の運転を継続すると、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部の温度上昇は抑制できるが、今度は、上側及び下側プレスロール1a及び1bの中央部の温度が上昇する傾向にあり、凸状の微小形状変形を生じることとなる。
【0042】
上記した制御手段8は、このような状態のときは、次のように制御する。
【0043】
即ち、上側プレスロール1a表面の中央部温度がT0であり、上側プレスロール1a表面の第一の転がり軸受2a側端部の温度がT1(T0よりΔt分低い)である場合、制御手段8は、第一の潤滑油供給路4aに配設された第一の温度調整手段6aの目標温度をT0に設定してΔt分上昇するように潤滑油を加熱制御し、この加熱制御された潤滑油で第一の転がり軸受2aを加熱して一方端部の温度をT0まで上げる。
【0044】
なお、本実施例では、上側プレスロール1aの第一の転がり軸受2a側端部について説明したが、下側ロールプレス1bについても同様であり、また、第二の転がり軸受2b側端部、第三の転がり軸受2c側端部及び第四の転がり軸受2d側端部についても同様である。
【0045】
第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dは、対応する第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dから潤滑油を第一、第二、第三及び第四の潤滑油回収路5a、5b、5c及び5dを介して回収し、それぞれの保持機能6a3により、一時的に潤滑油を保持し、熱交換機能6a2により潤滑油を冷却処理又は加熱処理する。
【0046】
この冷却処理又は加熱処理が終了した潤滑油が、供給機能6a1により、対応する第一、第二、第三及び第四の潤滑油供給路4a、4b、4c及び4dを介して、再び対応する第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dに供給される。
【0047】
なお、上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の中央部及び両端部の温度情報を取得する温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fに接触タイプを使用するのであれば、温度情報の取得は、上側及び下側プレスロール1a及び1bの回転を停止したときでなければならない。
【0048】
つまり、上側又は下側プレスロール1a及び1bが回転していると、接触型の温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fでは、上側及び下側プレスロール1a及び1bを傷つけてしまうが、この点、非接触タイプの温度センサ7a、7b、7c、7d、7e及び7fであれば、上側及び下側プレスロール1a及び1bを傷つけることなく、常時、温度情報の取得が可能である。
【0049】
また、上記した制御手段8は、1つの構成で上側及び下側プレスロール1a及び1bの回転制御と第一、第二、第三及び第四の潤滑油温度調整手段6a、6b、6c及び6dの温度設定を行っても良いし、それぞれを別々の制御手段8で行っても構わない。
【0050】
このような本実施例によれば、ロールプレス設備100により、リチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材(薄膜材)を圧縮加工する際に、上側及び下側プレスロール1a及び1bを軸支する第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dへ供給される潤滑油の温度を調整することにより、対応する第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dの温度を制御することができ、上側及び下側プレスロール1a及び1bの両端部の膨張度合いを制御して、第一、第二、第三及び第四の転がり軸受2a、2b、2c及び2dの温度上昇の影響による上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の両端部の熱膨張と、上側及び下側プレスロール1a及び1bによりリチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材(薄膜材)を圧縮加工することにより生じる上側及び下側プレスロール1a及び1b表面の中央部の温度上昇による熱膨張とにより発生する上側及び下側プレスロール1a及び1bの微小形状変形を抑制することが可能になり、高精度にリチウムイオン電池(LiB)などの二次電池用電極材(薄膜材)を圧縮加工するロールプレス設備100を実現することができる。
【0055】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれている。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1a…上側プレスロール、1b…下側プレスロール、2a…第一の転がり軸受、2b…第二の転がり軸受、2c…第三の転がり軸受、2d…第四の転がり軸受、3a…第一の軸受箱、3b…第二の軸受箱、3c…第三の軸受箱、3d…第四の軸受箱、4a…第一の潤滑油供給路、4b…第二の潤滑油供給路、4c…第三の潤滑油供給路、4d…第四の潤滑油供給路、5a…第一の潤滑油回収路、5b…第二の潤滑油回収路、5c…第三の潤滑油回収路、5d…第四の潤滑油回収路、6a…第一の潤滑油温度調整手段、6b…第二の潤滑油温度調整手段、6c…第三の潤滑油温度調整手段、6d…第四の潤滑油温度調整手段、6a1…第一の潤滑油温度調整手段の供給機能、6a2…第一の潤滑油温度調整手段の熱交換機能、6a3…第一の潤滑油温度調整手段の保持機能、7a、7b、7c、7d、7e、7f…温度センサ、8…制御手段、9、10…ロール軸、100…ロールプレス設備。
【要約】      (修正有)
【課題】プレスロールの熱変形を制御し、高精度に二次電池用電極材等の薄膜材を圧縮加工できるロールプレス装置を提供する。
【解決手段】一対の上側及び下側プレスロール1a,1bと、前記上側及び下側プレスロールの両端部を軸支する第一から第四の転がり軸受と、前記第一から第四の転がり軸受のそれぞれに供給する潤滑油の温度を調整する第一から第四の潤滑油温度調整手段と、前記上側及び下側プレスロール表面のそれぞれの中央部と両端部の温度を検出する複数の温度センサと、前記温度センサで検出された前記上側及び下側プレスロール表面の中央部温度情報、それぞれの前記転がり軸受側の前記上側及び下側プレスロール表面の端部温度情報が入力され、それぞれの前記温度情報に応じて、それぞれの前記転がり軸受に供給されるそれぞれの前記潤滑油の温度の調整指令をそれぞれの前記潤滑油温度調整手段に出力する制御手段と、を備えたロールプレス設備100。
【選択図】図1
図1
図2