(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の磁極構成では、前記第1の複数の永久磁極、前記第2の複数の永久磁極、前記第3の複数の永久磁極、及び前記第4の複数の永久磁極のN磁極極性は、全て軸方向及び半径方向で整列してNNNN磁極構成を形成する、請求項1に記載の電気機械。
前記第2の磁極構成では、前記第1の複数の永久磁極のN磁極極性及び前記第2の複数の永久磁極のN磁極極性は、互いに対向して、前記第3の複数の永久磁極及び前記第4の複数の永久磁極のS磁極極性と半径方向で整列してNSNS磁極構成を形成する、請求項1に記載の電気機械。
前記第1の磁極構成では、前記第1の複数の永久磁極、前記第2の複数の永久磁極、前記第3の複数の永久磁極、及び前記第4の複数の永久磁極のN磁極極性は、全て軸方向及び半径方向で整列してNNNN磁極構成を形成する、請求項11に記載の方法。
前記第2の磁極構成では、前記第1の複数の永久磁極のN磁極極性及び前記第2の複数の永久磁極のN磁極極性は、互いに対向して、前記第3の複数の永久磁極及び前記第4の複数の永久磁極のS磁極極性と半径方向で整列してNSNS磁極構成を形成する、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を簡単にするために、構成部品、信号、メッセージ、プロトコル及び配置の具体例を以下に説明する。もちろん、これらは、単なる例であり、本発明を請求項に記載された発明に限定するものではない。不必要な詳細が本発明を不明瞭にしないように、周知の要素は、詳細な説明なしに提示する。大部分について、本発明の完全な理解を得るために不必要な詳細事項は、そのような詳細事項が当業者の技術の範囲内にある限り省略されている。本明細書で説明する特定の構成部品又は要素に電力を供給するために使用される従来の制御回路、電源又は回路に関する詳細事項は、当業者の技術範囲内にあるため省略する。
【0011】
本開示において上部、下部、頂部、底部、時計回り又は反時計回りのような方向を説明するとき、そのような方向は、例示した図面に関する、及び図中の構成部品の向きに関する基準方向を提示するに過ぎないことを意味する。方向は、結果として得られる発明又は実際の使用にて使用する実際の方向を意味すると解釈すべきではない。いかなる場合でも、そのような方向は、請求項を制限し、又は請求項に何らかの意味を与えると解釈すべきではない。
【0012】
図1は、磁気ディスク組立体400、ロータハブ300、及び第1の作動機構600を例示するモータ/ジェネレータ構成部品100の分解斜視図であり、モータ/ジェネレータ構成部品100は、特定の実施形態では、磁気ディスク組立体400の一側に連結するのに適する。特定の実施形態では、磁気ディスク組立体400の対向する外側に連結するのに適する第2の作動機構650も存在する可能性がある。
【0013】
磁気ディスク組立体400は、トロイダル磁性シリンダ430(図示しない)を取り囲みかつ位置決めするバックアイアン回路200を備える。トロイダル磁性シリンダ430は、コイル組立体500(図示しない)を取り囲む。以下に説明するように、特定の実施形態では、ロータハブ300は、バックアイアン回路200の様々な構成部品を支持し、ロータシャフト302に連結される。
【0014】
図2Aは、磁気ディスク組立体400の詳細な等角図である。
図2Aに示すように、バックアイアン回路200は、磁気ディスク組立体400の外部を備える。特定の実施形態では、バックアイアン回路は、2つの部分から成ることができる。ページに対して、バックアイアン回路は、第1の又は頂部部分202と、第2の又は底部部分204とを備えることができる。特定の実施形態では、バックアイアン回路200の第1の部分202は、バックアイアン材で作った第1の円筒形壁206を備える。本出願の目的のために、「バックアイアン」という用語は、任意の鉄化合物又は合金、任意の鉄、ニッケル又はコバルト合金のような鉄又は軟磁性材料、或いはそのような材料の積層シートから成る任意の積層金属などを指すことができる。
【0015】
特定の実施形態では、第1の円筒壁206は、同様にバックアイアン材で作ったリング又は平坦な側壁208に連結することができる。以下で説明するように、さらに他の実施形態では、第1の円筒壁206は、平坦な壁208に対して特定の角度だけ回転することができる。何れの場合も、側壁208は、第1の円筒壁206に隣接している。
【0016】
バックアイアン回路204の第2の部分は第2の円筒壁210を備え、第2の円筒壁210は、特定の実施形態では、第2のリング又は平坦な側壁212に連結することができる。以下に説明するように、さらに他の実施形態では、外側円筒壁210は、平坦な壁212に対して特定の角度だけ回転することができる。
【0017】
特定の実施形態では、円筒壁206と平坦な側壁208との間にスロット214を定めて、制御ワイヤ及び/又は電気導体の通過を、或いは機械的な固定及び支持の追加を可能にできる。さらに他の実施形態では、円筒壁206と円筒壁210との間に定まる同様のスロット又はギャップ(
図2Aには図示しない)が存在することができる。
【0018】
図2Bは、磁気ディスク組立体400の一実施形態の詳細な等角図であり、明確性のためにバックアイアン回路を除去している。例示したように、また後述するように、バックアイアン回路は、コイル組立体500を取り囲むトロイダル磁性シリンダ430を位置決めしかつ支持する。
【0019】
図3Aは、コイル組立体500の一実施形態の詳細な等角図であり、明確性のためにトロイダル磁性シリンダ430を除去している。特定の実施形態では、コイル組立体500は、それが静止できる点でステータとすることができる。さらに他の実施形態では、コイル組立体500は、回転できるのでロータとして機能できる。さらに、例示した実施形態は、コイル組立体500を構成しかつ支持する1つの方法に過ぎない。他の実施形態では、コイル組立体500は、外側円筒壁206と外側円筒壁210との間の中心スロット(
図2A参照)を通ってコイル組立体から外部のケーシング又はハウジングに延びる、支持リングによって支持することができる。さらに他の実施形態では、コイル組立体500、ロータとして機能するとき、内側円筒壁207と内側円筒壁211との間の中心スロットを通ってコイル組立体からシャフトに延びる、支持リングによって支持することができる。正確な構成は、コイル組立体がステータ又はロータの何れであるかというデザイン上の選択に左右される。
【0020】
一般に、業界で通常使用されているように、「ロータ」は、永久磁石を含む1つ又は複数の部分(ロータが静止し又は移動しているかどうかに関係ない)とすることができる。例示した実施形態では、コイル組立体500は、トロイダル磁性シリンダ430(
図2B参照)が形成するロータ(又は複数のロータ)と併せて使用されるステータの一部である。
【0021】
図3Bは、円筒形又は輪形コア504を備えるコイル組立体支持体502を示し、輪形コア504は、長手方向又は軸方向の軸線401に対して輪形コアの周りに半径方向に離間して配置された複数の歯506に連結されている。明確化の目的で、
図3Bでは、歯506の一部は、輪形コア504が見えるように除去されている。
【0022】
特定の実施形態では、輪形コア504は、鉄、軟磁性材料、又はバックアイアン材料で作り、磁束力集線装置として作用する。しかしながら、機械的強度、渦電流の低減、冷却通路などの設計上の検討事項を考慮すると、他のコア材料が使用できる。上述したように、バックアイアン材料は、鉄、鉄合金、積層鋼鉄、又は軟磁性材料とすることができる。一部の実施形態では、輪形コア504は、中空とし又は内部に定まる通路を有し、液体又は空気を冷却することができる。
【0023】
図3Cに、個々の歯506a及び輪形コア504の小さい部分の一実施形態が例示される。歯506aは、コア504を形成する材料と同様の材料、例えば鉄、積層鋼又は軟磁性材料から作ることができる。例示した実施形態では、各歯506aは、輪形コア504から半径(例えば水平)方向及び長手(例えば垂直)方向に延びている。従って、各歯506aは、長手方向軸線401(
図3参照)から遠ざかって半径方向に延びる外側部分510と、長手方向軸線401に向かって半径方向に延びる内側部分512と、一方の長手方向又は軸方向に延びる頂部514と、反対の垂直方向又は長手方向に延びる底部516とを含む。輪形コア504の例示した部分は、個々の歯506aに連結されて、個々の歯506aを支持する。
【0024】
特定の実施形態では、外側垂直部分510の外縁に外側フィン520が連結し、長手方向軸線401に対して反対の円周方向(又は接線方向)で、垂直部分510から外方に延びている。同様に、内側部分512の内縁に内側フィン522が連結し、反対の円周向(又は接線)方向で、部分512から外方に延びている。本開示で用いるように、「円周方向」という用語は、軸線401(
図3B参照)のような軸線の周りの接線方向又は回転方向を意味する。
【0025】
図3Dに、個々の歯506’a及び輪形コア504の小さい部分の代替実施形態が例示される。歯506’aは、同じく頂部514及び底部516から延びる水平な又は放射状のフィンを有する点を除いて、
図5を参照して例示した上記歯506aと同様である。具体的には、頂部水平部分514の縁部から第1の又は頂部の水平フィン518が反対の水平円周方向に延びている。同様に、底部水平部分516の縁部から第2の又は底部の水平フィン519が反対の水平円筒方向に延びている。言い換えると、頂部水平フィン518は、外部フィン520の頂部を内部フィン522の頂部に連結する。同様に、底部水平フィン519は、外部フィン520の底部を内部フィン522の底部に連結する。構造上の観点から、フィン518及びフィン519の厚さは、それぞれの水平部材514及び516との結合部に近いほど厚く、フィンが結合部から遠ざかるにつれて先細になっている。
【0026】
図3Aに例示するように、コアリング504によって支持された隣接する歯506又は506’が、コイル組立体支持構造502内に半径方向のスロット524を形成する。
図3E(明確化のために歯506の一部を省略している)に、複数の個々のコイル又はコイル巻線526を例示し、それらは、輪形コア504の周りに、しかも隣接する歯506の間又は歯506’の間に形成されたスロット524内に半径方向に配置されている。対照的に、
図3Aは、完全なコイル組立体500を例示し、個々のスロット504内に位置決めされた、個々の歯506及び個々のコイル巻線526の全てを示す。
【0027】
コイル組立体500内の各個々のコイル526は、銅(又は同様の合金)ワイヤのような導電性材料から作ることができ、本技術分野で公知である従来の巻付け技術を用いて組み立てることができる。特定の実施形態では、集中巻が使用できる。特定の実施形態では、個々のコイル526の形状は、本質的に円筒形又は長方形とすることができ、コイル526は輪形コア504の周りに巻かれ、輪形コア504は、個々のコイル526がコア504に固定され得る大きさの中心開口を有する。
【0028】
個々のコイル526を、歯506又は506’によって定まるスロット524内に位置決めすることによって、コイルは、歯のより実質的なヒートシンク能力によって囲まれ、ヒートシンク能力は、特定の実施形態では、歯を形成する材料に冷却通路を直接組み込むことができる。これにより、従来のモータの配置よりもはるかに高い電流密度が得られる。さらに、複数のコイル526を、スロット524内にしかも歯506間に配置することによって、コイル間の空隙が減少する。空隙を減らすことによって、コイル組立体500は、モータ又はジェネレータによって生成される全体トルクに貢献することができる。特定の実施形態では、コイル組立体の歯506a又は歯506’aの横方向フィン518及び519(
図3D参照)、円周方向フィン520及び522(
図3C又は
図3D参照)は、コイルの構造間の空隙を低減して、コイルが通電されて、コイル組立体500が磁気トンネルに対して移動し始めるとき、磁束力が一方のフィンから隣接するフィンに流れることを可能にする。
【0029】
個々のコイル526の数は、所望の容積内に物理的に収まる任意の数とし、本技術分野で公知である所望の電気出力又は機械出力を生成する導体の長さ及び大きさとすることができる。さらに他の実施形態では、コイル526は、本技術分野で公知のグラムリングと同様に、本質的に1つの連続コイルとすることができる。
【0030】
図4Aは、磁性トロイダルシリンダ430の一実施形態を示す。長手方向軸線401の周りに位置決めされた磁石の頂壁又は第1の側壁又は半径方向の壁402(第1の側壁402)がある。同様に、磁石の第1の側壁402から長手方向に離れて位置決めされた磁石の底壁又は第2の側壁又は半径方向の壁404(第2の側壁404)がある。磁石の第1の側壁402と第2の半径方向壁404との間に、磁石の外側円筒壁又は長手方向リング406が長手方向に配置されている。磁石の第1の側壁402と第2の半径方向壁404との間に、磁石の内側円筒壁又は長手方向リング408も長手方向に位置決めされ、磁石406の外側長手方向リング406内に横方向又は半径方向に配置される。組み立てたとき、半径方向壁402〜404及び長手方向壁408〜406を形成する磁石は、
図4Aに例示するようなトロイダル磁性シリンダ430を形成する。各壁又は各リングは、複数の磁石から作ることができる。業界用語では、永久磁石の各磁性壁を「ロータ」と呼ぶ。このように、「四重壁の」磁性トロイダルシリンダは、4ロータ式永久磁石システムとして公知である。
【0031】
特定の実施形態では、本明細書で検討する半径方向壁又は側壁402〜404、及び長手方向壁408〜406を形成する磁石は、ネオジム、アルニコ合金、セラミック永久磁石又は電磁石のような、任意の適切な磁性材料で作ることができる。磁石又は電磁石の正確な数は、必要な磁界強度又は機械構成に左右される。例示した実施形態は、単に、特定の市販の磁石に基づき磁石を配置する一つの方法である。特に磁石がこの特定の目的のために製造されるとき、他の配置が可能である。
【0032】
図4Aの例示した実施形態では、壁間にスロットが存在し、例えば外側長手方向壁406と頂部側壁又は第1の側壁402との間にスロット456が存在することができる。上述したように、特定の実施形態では、壁内にスロットが存在し、例えば外部円筒壁406内に定まるスロット(図示しない)が存在することができる。スロットは、支持構造並びに/又はワイヤ及び導体に収納するように設計されている。本開示で用いる「閉鎖磁性トンネル」という用語は、部分的なトロイダル磁性シリンダ430を形成する磁石の配置を使用することを指し、磁石配置は、まず磁気力を大きなスロットを通して逃がすことなく、トンネルの一側から他側へ又は円周方向に、磁束力を「強いる」又は「曲げる」ことができる。従って、スロット幅は、磁束力がスロットを通って流出しないように制限することができる。他の実施形態では、追加の磁石をスロットに挿入して、磁束力を所定方向又は円周方向に導き続けることができる。
【0033】
上述したように、トロイダル磁性シリンダ430を形成する磁石は、バックアイアン回路200によって位置決めされかつ支持される。
図4Bは、バックアイアン回路200、及びトロイダル磁性シリンダ430を形成する磁石の分解斜視図である。この実施形態では、バックアイアン回路200は、第1の部分202及び第2の部分204を備える。バックアイアン回路200の第1の部分は、側壁又は頂壁208と、第1の円周方向外壁又はリング206と、第1の内壁又はリング207とを備える。バックアイアン回路200の第2の部分204は、側壁又は底壁212と、第2の円周方向の外壁又はリング210と、第2の内壁又はリング211とを備える。
【0034】
この実施形態では、各外壁又はリング406a及び406bは、複数の湾曲磁石を備える。バックアイアン回路200の第1の外側円筒壁206の内側面242aの周囲に、複数の内側長手方向溝240aが定まり、半径方向に離間している。外側磁性壁406の第1の部分406aを形成する複数の外側磁石は、複数の内側長手方向溝240a内に嵌合する大きさとされる。同様に、第2の外側円筒壁210の内側面242bの周りに、複数の内側長手方向溝240bが定まり、半径方向に離間している。外側磁壁406の第2の部分406bを形成する複数の外側磁石は、複数の内側長手方向溝240b内に嵌合する大きさとされる。
【0035】
各内側磁性リング又は壁部分408a及び408bも、複数の湾曲磁石を備える。バックアイアン回路200の第1の内側円筒壁207の外側面246aの周囲に、複数の外側長手方向溝244aが定まり、半径方向に離間している。内側磁性壁408の第1の部分408aを形成する複数の内側磁石は、複数の外側長手方向溝244a内に嵌合する大きさとされる。同様に、第2の内側円筒壁211の外面246bの周りに複数の外側長手方向溝244bが定まり、半径方向に離間している。内側磁性壁408の第2の部分408bを形成する複数の内側磁石は、複数の外側長手方向溝244b内に嵌合する大きさとされる。
【0036】
従って、複数の溝240a、240b、244a及び244bは、外側円筒形磁性壁406及び内側円筒形磁性壁408を形成する複数の磁石を位置決めし、構造的に支持するように設計される。同様に、半径方向溝248は、バックアイアン回路200の平らな側壁208及び212の内部に対面する表面に定めることができる。半径方向溝248はまた、半径方向の磁石404(及び半径方向の磁石402)のリングを収納しかつ支持するような大きさとされている。特定の実施形態では、本技術分野で公知の接着材料を使用して、トロイダル磁性シリンダ430を形成する磁石をバックアイアン回路200の様々な要素に固定して連結することができる。
【0037】
図4Bに例示した実施形態は、2つの外側円筒形壁206及び210を使用する。他の実施形態では、2つの外側円筒形壁206及び210は、単一の円筒形壁(図示しない)によって置き換え可能である。同様に、2つの内側円筒壁207及び211が
図4Bに例示される。しかしながら、特定の実施形態では、内側円筒形壁207及び211は、単一の円筒形内壁(図示しない)によって置き換え可能である。
【0038】
特定の実施形態では、トロイダル磁性シリンダ430は、複数の半径方向セグメントに、又は本技術分野で公知の「極」に分割することができる。例示目的で、トロイダル磁性シリンダ430は、8つの半径方向セグメントに分割され、隣接するセグメントは、磁極の向きが交互配置になっている。しかしながら、モータ又はジェネレータに対する具体的なデザイン要求に応じて、任意の数の半径方向セグメントを使用することができる。
【0039】
図5Aに、そのような1つの半径方向セグメント440が例示される。各半径方向セグメントは、内壁408と、外壁406と、頂壁又は第1の側壁402と、底壁又は第2の側壁404とを有する。
図5Aに例示しかつ
図4Bを参照して上述したように、壁406及び408は、さらに、2つ以上の軸方向又は長手方向部分に分割することができる。例えば、
図5Aの外壁406は、第1の部分又は壁406aと、第2の部分又は壁406bとを備える。同様に、内壁408は、第1の部分又は壁408aと、第2の部分又は壁408bとを備える。
【0040】
対照的に、
図5Bの半径方向セグメント440’は、単一の磁性外壁406及び単一の磁性外壁408を有する実施形態を示す。電磁的観点から見ると、半径方向セグメント440の軸方向壁406及び408が、
図5Bに示す単一の湾曲磁石から形成されても、又は
図5Aに示す2つ以上の湾曲磁石から形成されても、ほとんど相違を生じない。しかしながら、特定の実施形態では、機械的観点から、
図5Aに例示したような半径方向セグメント440又は
図5Bに例示したような半径方向セグメント440’を使用する方がより好都合なことがある。
NNNN磁極構成
【0041】
半径方向セグメント440の磁性壁を形成する個々の磁石は、磁性円筒400の全体性能に影響を与える所定方向に対面する極を有する。例示するために、
図5Cは、半径方向セグメント440’の磁性壁の概念的断面図であり、半径方向セグメントの様々な壁を形成する磁石の磁極向きを示す。例えば、
図5Cでは、外側円筒形壁406及び内側円筒形壁408を形成する磁石の磁極は、その長手方向軸線401(
図4A参照)対して半径方向に沿って向きを合わせたそれらの磁極を有する。
図5Cの説明では、円筒形壁406及び408のN磁極は、半径方向セグメント440の内部442に向いている。その結果、円筒形壁406及び408のS極は、半径方向セグメント440の内部442から遠ざかって向いている。同様に、側壁402及び404を形成する磁石は、長手方向又は軸方向に沿って向きを合わせたそれらの磁極を有し、結果としてそのN極も半径方向セグメント440の内部442に向かって対面している。この開示の目的のために、
図5Cに例示する磁気構成は、半径方向セグメントの内部442に向いている全ての極がN磁極極性を有するので、NNNN構成と考えることができる。
【0042】
特定の実施形態では、隣接する半径方向セグメントの磁極は、半径方向セグメント440の方向又は向きとは反対の方向又は向きに合わせる。言い換えれば、隣接するセグメントでは、外側円筒形壁406及び内側円筒形壁408を形成する磁石の磁極は、長手方向軸線401に向かう半径方向に沿って向きを合わせたそれらの磁極を有し(
図4A参照)、結果としてそれらのS磁極が半径方向セグメント440の内部442に向かう。同様に、側壁402及び404を形成する磁石は、軸方向又は長手方向に沿って向きを合わせたその磁極を有し、結果としてそのS極も半径方向セグメント440の内部に対面している。このように、隣接する半径方向セグメントは、内部に対面する磁極が全てS極磁極であるため、SSSS磁極構成を有することができる。
【0043】
NNNN又はSSSSの命名は、全ての内部に対面する磁石が同じ極性であることを表すことを意味する。この命名は、請求項に記載された発明を、磁気セグメントを形成する4つの壁に限定するように理解すべきでない。例示の実施形態は、断面に4つの壁がある4側式トロイダルシリンダ430を例示しているが、3つ、5つ、6つ又はそれ以上の壁セグメントを使用して、トロイダル磁性シリンダ又は類似の形状を形成することは、本発明の範囲内である。
【0044】
図5Dに例示するように、トロイダル磁性シリンダ430を形成する半径方向セグメントは、それらの磁極の向きを、シリンダの周りで各隣接セグメントと交互配置にしている。
図5Dは、トロイダル磁性シリンダ430の分解斜視図であり、下部側壁404及び内側円筒壁408から引き離された頂部リング又は側壁402及び外側円筒壁406を示し、結果として観察者は、この実施形態のトロイダル磁性シリンダ430を形成する8つの半径方向セグメント440の磁極の向きを目視することができる。
【0045】
例えば、
図5Cに例示する単一の半径方向セグメント440’は、
図5D上に、頂部壁セグメント462、下部壁セグメント464、外側壁466、及び下部壁468によって形成することができ、それらは、半径方向及び軸方向で整列して1つのセグメントを形成する(
図6に例示する)。この開示の目的のために、磁石の表面に「N」又は「S」を表し、半径方向セグメントの任意の特定の壁の磁極の向きを示す。
図5Dに示すように、内部円筒壁468の「内部」側面には、その上に、壁を形成する1つ又は複数の「N」が定まり、磁石又はその磁石のN極がトンネルの内部に(及び観察者に向かって)対面していることを表す。下部壁部分464も、その上に「N」を定め、N極がトロイダル磁性シリンダ430の内部に向かって上向きに対面していることを表す。対照的に、上部側壁部分462には、その上に「S」が定まり、磁気リングのS極が観察者に対面していることを表し、これはまた、
図5Cに例示するように、そのN極が観察者から遠ざかってかつトロイダルシリンダの内部に向かって下方に対面していることを表す。同様に、外壁部分466は、その上に「S」が定まり、磁壁のS極が観察者に対面していることを表し、これはまた、そのN極が観察者から遠ざかり、トンネルの内部に向かっていることを表す。
【0046】
従って、断面を半径方向セグメント440’を通って切断した場合、
図5Cに例示するように、その特定の半径方向セグメントの磁極向きは、全てセグメントの内部に向かって対面するN極(即ちNNNN磁極構成)を有する。対照的に、半径方向セグメント440’に直接隣接する半径方向セグメントは、全てセグメントの内部に向かって対面するS極(即ちSSSS磁極構成)を有する。
【0047】
以下に説明するように、
図5C及び
図5Dに表すトロイダル磁性シリンダ430の構成は第1の構成(又はNNNN磁極構成)であり、第1の構成は、トロイダル磁性シリンダ430がモータ又はジェネレータの一部として使用されるとき、比較的高いトルクを生成する。
NSNS磁極構成
【0048】
上述したように、トロイダル磁性シリンダ430を形成する磁石は、バックアイアン回路200の様々な構成部品によって位置決めされかつ支持される。再び
図4Bを参照すると、バックアイアン回路200の上部側壁208は、磁性壁402を形成する磁石を位置決めする。下部側壁212は、磁性壁404を形成する磁石を位置決めする。外側円筒形壁206及び210は、外側磁性壁406を形成する磁石を位置決めする。内側円筒形壁207及び211は、内側磁性壁408を形成する磁石を位置決めする。そのため、外側円筒形壁206及び210並びに内部円筒形壁207及び211に対して、軸線401の周りに、第1の回転アクチュエータ600(
図1参照)が上部側壁208を回転させ、第2の回転アクチュエータ650(
図1参照)が下部側壁212を一致して回転させるとき、上部磁性側壁402及び下部磁性側壁404を形成する複数の磁石も回転する(おそらく、このような実施形態では、外側円筒形壁は、
図4Bの外側円筒形壁206及び210の両方を置き換え、又は外側円筒形壁206及び210は、結合されて1つの壁を形成する。同様に、内側円筒形壁は、
図4Bの内側円筒形壁207及び211の両方を置き換える)。
【0049】
前述したように、各図に例示した例としての実施形態では、トロイダル磁性シリンダ430を形成する8つの半径方向磁性セグメント440が存在し、これは、磁性セグメントの中心間の角度距離が45度であることを意味する。そのため、例示的な実施形態では、上部側壁208及び下部側壁212が、外側円筒壁206及び210並びに内側円筒壁207及び211に対して45度回転すると、磁性側壁402及び404は、内側磁性壁及び外側磁性壁408及び406を形成する磁石に連れ周り、同様に45度回転する。
【0050】
図5Eは、トロイダル磁性シリンダ430の分解斜視図であり、図中上部側壁及び下部側壁402及び404を形成する磁石が、内側円筒形壁及び外側円筒形壁406及び408を形成する磁石に対して、長手方向軸線401の周りに45度回転して、第2の磁気構成になる。
図5Fは、回転後の半径方向セグメント440の断面図であり、第2の構成又は「NSNS」磁極構成にある半径方向セグメントを示す。
【0051】
図5Fにおいて、外側円筒形壁406及び内側円筒形壁408を形成する磁石の磁極は、いまや、それらのS磁極が半径方向セグメント440の内部442に向かうように磁極の向きを合わせている。対照的に、第1の側壁402及び下部側壁404を形成する磁石の磁極は、それらのN磁極が半径方向セグメント440の内部442に向かうようにそれらの磁極の向きを合わせている。従って、第2の構成はNSNS磁極構成であり、その理由は、隣接する磁性内面は、内部に向いたS極と内部に向いたN極とが交互配置になっているからである。
図5Eに表すように、隣接する半径方向セグメントの磁極向きは、
図5Fに例示する向きとは反対である。
【0052】
以下で論じるように、回転アクチュエータ600及び650が、磁性トロイダルシリンダ430をNSNS磁極向き(
図5E及び
図5Fに表す)に回転させると、磁性トロイダルシリンダ430は、
図5D及び
図5Cを参照して上述した第1の又はNNNN磁極構成よりも低いトルクを生成する。
NNSS磁極構成
【0053】
図4Bに戻って、下部側壁212並びに内部円筒形壁207及び211に対して、上部側壁208並びに円筒形壁206及び210が一致させて回転する場合、それらは、必然的に、下部磁性側壁404及び内側磁性円筒形壁408に対して、上部磁性側壁402及び外側磁性円筒形壁406を回転させることになる。
【0054】
このような実施形態では、回転アクチュエータ600は上部側壁208に連結することができ、上部側壁は外側円筒形壁206に連結することができる(おそらく、このような実施形態では、外側円筒形壁は、
図4Bの外側円筒形壁206及び210の両方と置き換え可能であり、又は外側円筒形壁206及び210は、結合されて1つの壁を形成する。同様に、内側円筒形壁は、
図4Bの内部円筒形壁207及び211の両方と置き換え可能である)。回転アクチュエータ600は、回転につれて次いで上部側壁208を移動させ、それにより、次に、内側円筒形壁207/211及び下部側壁212に対して外側円筒形壁206/210が移動する。代わりに、回転アクチュエータ600が下部側壁212に結合されて、下部側壁及び内側円筒形壁207/211と、上部側壁208及び外側円筒形壁206/210との間に相対回転を生じさせ得る。回転アクチュエータの配置にかかわらず、相対回転が磁極構成を変化させるので、効果は同じである。得られた向きを
図5Gに示す。
【0055】
図5Gは、
図5Dに例示した磁極構成からの追加の磁極構成を例示する、トロイダル磁性シリンダ430の分解詳細斜視図である。
図5Hは、この第2の磁気構成を示す円筒セグメント440’を通る断面であり、図中外側円筒形壁406及び頂部軸方向壁リング402を形成する磁石の磁極は、今や、それらのS磁極が半径方向セグメント440の内部442に向かうようにそれらの磁極の向きを合わせている。対照的に、内側円筒形壁408及び下部側壁404を形成する磁石の磁極は、それらのN磁極が半径方向セグメント440の内部442に向かうようにそれらの磁極の向きを合わせている。従って、この第3の磁気構成はSSNN磁極構成であり、その理由は、2つの隣接する磁性面は内部に向かうそれらのS極を有し、2つの隣接する磁性面は内部に向かうそれらのN極を有するからである。
【0056】
以下に説明するように、
図5G及び
図5Hによって表示したトロイダル磁性シリンダ430の第3の構成又はSSNNは、NNNN磁気構成よりも低いトルクを生成する。
磁気構成タイプ間の比較
【0057】
ここで
図6を参照すると、NNNN磁気構成を備える磁性円筒セグメント440が例示される。言い換えれば、磁性円筒セグメント440の複数壁(頂部側壁402、外側円筒壁406、下部側壁404、及び内側円筒形壁408)を形成する全ての磁石は、それらのN極が、磁性円筒セグメントの内部に向かって内方に対面している。周知の通り、N磁極は磁束を生成する。磁石の内面における磁束の方向は、矢印490a、490b、490c及び490dで表し、それらの全てがセグメント440の内部を向いている。
【0058】
コイル組立体500の一部も、磁性円筒セグメントの内部に位置決めされる(コイル組立体500の残りの部分は、明確化のために除去している)。コイル組立体500は、上述したように個々のコイル巻線526を支持する。モータモードでは、コイル巻線526に電流が流入する。電流は、コイル526の周りを回るにつれて、循環し、軸方向及び半径方向に転じる。電流の方向は、矢印530a〜530dで表わす。周知の通り、磁場の存在のもとで電流が流れると、ラプラス力又はローレンツ力が生成され得る。左手の法則によれば、力は、電流によって形成される表面及び磁界に対して垂直である。永久磁石によって生成された磁界も半径方向及び軸方向に転じるので、結果として得られる力は、接線方向にある(接線軸線は、半径方向及び軸方向ベクトルによって形成される表面に対して垂直である)と予想される。
【0059】
NNNN磁気構成では、ローレンツ力は、矢印540a、540b、540c及び540dによって表される。換言すれば、電流が磁場内のコイル526の各「脚」の周りを流れるにつれて、その脚にラプラス力又はローレンツ力が生じる。
【0060】
コイル組立体の飽和及びスロットの効果は、正確な力の計算を変更できるが、力の相対的な測定(及び得られるトルク)を決定することができる。
【0061】
例えば、NNNN磁気構成では、コイルに作用する総ローレンツ力(「F」)は、以下の式によって推定することができる。
式中
Iは、コイル526を流れる電流であり、
Bは、電流に作用する磁場の強さであり、
aは、混成係数を表し、ラプラス力及び逆起電圧に関係し、
a
zは、軸方向又は長手方向の混成係数であり、
a
rは、半径方向の混成係数であり、
a
φは、半径方向の混成係数であり、
l
1は、回転軸線に対するコイルの幅(例えば、
図6のコイル526の垂直方向の長さ)であり、
l
2は、回転軸線に対するコイルの深さ(例えば、
図6のコイル526の水平方向長さ)である。
【0062】
上記式において、コイル526の各辺又は各脚は、正又は負の何れかに貢献し、各脚のトルク貢献は、半径の関数及び幾何学的形状の関数として変化する。従って、各コイル脚は、磁石の幾何学的形状及び向きに応じて、加算的又は減算的な効果がある。
【0063】
NNNN磁極構成とは対照的に、NSNS磁極構成の総平均力は、以下のように表すことができる。
【0064】
分かるように、上記式(1)から得られる力は、式(2)から得られる力よりも大きく、式(2)は、NNNN磁気向きによって生成される総力が、NSNS構成によって生成される総力よりも大きく、他は全て等しいことを示す。磁性円筒セグメント440が長手方向軸線401の周りに回転するので、NNNN磁気構成によって生成される電磁トルクも、NSNS磁気構成によって生成される電磁トルクよりも大きい。
【0065】
上記の解析を実証するために、半径方向セグメントにて有限要素モデリングを実行することができる。周知の通り、逆起電力又は逆EMFは電磁トルクに関係する。有限要素モデリングを通じて、NNNN磁気構成を有しかつ3000rpmで動作する半径方向セグメント440に対する、経時的な逆起電力のグラフを生成することができる。結果を
図7Aに例示し、
図7Aは、軟磁性複合ステータコア(例えばコア504)及びコイル用の単一巻き(例えば単一の導体)を備える直流電流からの逆起電圧を例示する。NSNS構成を有する半径方向セグメント440に対して同様の分析を行うことができる。これらの結果を
図7Bに示し、
図7Bは、軟磁性複合ステータ及びコイル用のコア単一巻きを備える直流電流からの逆起電圧を例示する。
【0066】
例示したように、NNNN磁気構成で生成される電磁トルクは、NSNS構成で生成されるトルクよりも相対的に大きい。磁気飽和がなければ、2つの磁気構成(同一のステータ励磁のもとで)によって生じたトルクの比は、以下に示すコイル寸法の関数として近似することができ、
図7Cのように図式的に示される。
式中、T
Aは、NNNN磁極構成を有する半径方向セグメントからのトルクであり、
T
cは、NSNS磁極構成を有する半径方向セグメントからのトルクである。
【0067】
特に、これらのトポロジでの誘起逆起電力は同じ傾向に従い、コイル寸法を賢明に選択すれば、NNNN構成について誘起電圧を大幅に下げることができ、それは、同じスケールの電磁トルクの低下に対応する。
【0068】
NNSS磁気構成を有する磁気セグメント440に対して同様の分析を行うことができる。ここでも、各コイル脚のローレンツ力から生成される総力は、以下のように近似することができる。
【0069】
分かるように、上記式(1)から計算される力は、式(4)から計算される力よりも大きく、式(4)は、NNNNの磁気向きによって生成された総力が、NNSS構成によって生成された総力よりも大きく、他はすべて等しいことを表す。磁性円筒セグメント440は、長手方向軸線401の周りに回転するので、NNNN磁気構成によって生成される電磁トルクも、NSNS磁気構成によって生成される電磁トルクよりも大きい。
【0070】
再び、上記分析を実証するために、NNSS磁極構成を有する半径方向セグメント上で、有限要素モデリングを行うことができる。有限要素モデリングを通じて、NNSS磁気構成を有しかつ3000rpmで動作する、半径方向セグメント440の経時的な逆起電力のグラフを生成することができる。結果が
図7Dに例示され、軟磁性複合コア及びコイル用の単一の巻き(例えば単一の導体)用いた誘起逆起電圧を示す。例示したように、NNNN磁気構成で発生する電磁トルクは、NNSS構成で発生するトルクよりも相対的に大きい。
磁場弱め作用
【0071】
以上で論証したように、NNNN磁気構成は、NNSS又はNSNS磁気構成より大きなトルクを生成する。その結果、NNSS又はNSNS磁気構成の何れかによって生成される磁場は、同じ条件下で、NNNN磁気構成によって生成される磁場よりも小さい。このように、NNNN磁気構成からNNSS磁気構成又はNSNS磁気構成の何れかへ徐々に移行することによって、磁場弱め作用が生じる。磁場が弱まるとトルクが低下する。トルクが低下するとモータの回転速度が上昇する。
【0072】
特定の実施形態では、高トルクのモータは一定のトルクモードにあり、それにより基本速度が得られる。基本速度を上回ってかつモータ最大速度まで、モータは、一定電力モードで動作する。一定電力モードでは、トルクが下がるにつれて、電流が増えて速度が上がる。
【0073】
例えば、NNNNからNSNSへの移行では、側部磁性壁402及び404に対して外側磁性シリンダ及び内側磁性シリンダ406及び408が回転する場合、この回転角度は、制御された変数として使用され、以下の式を用いて磁場弱めを論証する。
【0074】
このように、NNNN磁気構成からNSNS磁気構成への移行により、従来技術で典型的に使用される負のd軸線電流の注入なしに、磁場が効果的に弱められ、従って一定電力領域で高い効率を維持する。トルク及び速度には同一の減少及び増加傾向があり、それにより一定電力が得られることも注目される。
【0075】
図8Aは、回転アクチュエータの一実施形態を示す。例示的な実施形態では、ボール及びナックル組立体602は、長手方向力を回転力に変換するように設計されて、このように回転力によりシフトプレート又はバックプレート200の部分が回転可能である。上述したように、バックアイアン組立体200が回転すると、磁性トロイダルシリンダ430の磁性壁又はロータも互いに対して回転し、磁極構成が変化することになる。
【0076】
シャフトカラー604は、ロータハブ300のシャフト302(
図1参照)に摺動可能に連結する大きさにでき、結果としてシャフトは、シャフトカラー604に挿入されたとき自由に回転することができる。特定の実施形態では、シャフトカラー604は制御レバー(図示しない)に連結し、制御レバーは、シャフトカラーに長手方向の力を加える。特定の実施形態では、シャフトカラー604は、長手方向の付勢機構(図示しない)に連結して、シャフト機構を長手方向に保持することができる。加えた長手方向力が付勢機構に打ち勝つのに十分なほど大きくなると、シャフトカラーは、磁気ディスク組立体400(
図4参照)に向かって長手方向に移動する。シャフトカラー604は、長手方向に移動するにつれて、静止したスワッシュリング606に長手方向の力を加える。静止スワッシュリング606は、その本体から横方向外側に延びる4つの玉継手608a〜608dに連結されている。
【0077】
例示的な実施形態では、4つの連結ロッド610a〜610dの端部が玉継手608a〜608dに連結している。4つの連結ロッド610a〜610dの反対の端部は、第2組の玉継手612a〜612dに連結している。玉継手612a〜612dは、回転可能なピン接続部614a〜614dを介して回転斜板614に連結されている。
【0078】
静止したスワッシュリング606に長手方向力(例えば、紙面に対して下向きの力)が加わると、スワッシュリング606は、連結ロッド610a〜610dに力を加える。連結ロッドに長手方向力が加わると、連結ロッドの反対端部が回転し、それにより次に、玉継手612a〜612d及び回転可能なピン614a〜614bが回転する。玉継手612a〜612d及び回転可能なピン接続部614a〜614dの回転により、
図8Bに例示するように、斜板616が回転する。
【0079】
図8Bには、ボール及びナックル組立体が第2の位置又は回転位置で例示される。斜板614に連結されたピン618が、追加のスイッチプレート又はバックアイアン回路の構成部品に連結している。
【0080】
図8Cは、バックアイアン構成部品、具体的には平坦な側壁212(
図4B参照)に連結されかつロータシャフト302に摺動可能に連結された、ボール及びナックル組立体602を例示する。
図8Cに例示した実施形態では、側壁212は、内部円筒形壁211に堅固に連結することができる。この実施形態では、内部円筒壁211は、内部円筒形壁207に強固に連結されて、1つの壁として作用することができる。他の実施形態では、内部円筒形壁207及び211は、単一の壁で置き換えることができる。何れの場合でも、側壁212が回転すると、内側円筒壁211及び207(又は1つの壁)は、側壁212の回転と一致して回転する。
【0081】
図8Cに例示した実施形態は、NNNN構成のNNSS構成への回転を例示する。NNNN構成の説明には再び
図5C及び
図5Dを参照し、NNSS構成の説明には再び
図5G及び
図5Hを参照されたい。以上で検討したように、バックアイアン構成部品が回転するとき、磁性壁(例えば、側壁404及び内側磁性円筒形壁408)も回転し、その理由は、上述したように、磁石は、バックアイアン構成部品に固定して取り付けているためである。従って、ボール及びナックル組立体602が1つの半径方向磁極又は磁性円筒形セグメント長さ(例えば、8極の又は8つの円筒形セグメントのモータでは45度)回転すると、側板212もまた回転し、それにより次に、他のバックアイアン構成部品(例えば側壁208並びに外側円筒壁206及び210)に対して円筒形壁211及び207が回転する
【0082】
磁石の回転は、
図5Dに例示する第1の又はNNNN構成から
図5Gに例示する第2の又はNNSS構成への回転を起こす。特定の実施形態では、ボール及びナックル組立体602の結合部間の摩擦が、第1の構成から第2の構成への制御された回転を維持することができる。さらに他の実施形態では、
図8D及び
図8Eに例示するように、回転斜板616と併せて歯車装置622が使用されて、回転速度を制御することができる。
図8Dは、回転斜板616が歯車装置622に連結されて回転斜板の回転数を機械的に制御する、ボール及びナックル組立体602の一実施形態の等角図を示す。
図8Eは、歯車装置を別の角度から見た等角図である。
【0083】
全体の相対回転を制限するために、
図1の湾曲スロット620によって例示されるように、斜板又は側壁208及び212に湾曲スロットを定めることができる。湾曲スロット620は、ピン618の全体回転を制限し、ひいては、ボール及びナックル組立体602の全体回転を制限する。
【0084】
図9は、バックアイアン構成部品、具体的には平坦な側壁208及び212(
図4B参照)に連結されかつロータシャフト302に摺動可能に連結された、2つのボール及びナックル組立体602及び603を用いる実施形態を示す分解図である。
図9に例示する実施形態は、上記実施形態と類似している。そのため、同一又は類似の要素は、明確化のためにここでは繰り返さない。
図9に示す実施形態では、側壁208及び212は、外側円筒形壁206及び210並びに内側円筒形壁207及び211(
図9には見えない)とは独立に回転することができる。
【0085】
この実施形態では、ボール及びナックル組立体602及び603は、一致して回転するように設計されている。その結果、側壁208及び212は、内側側壁207及び211並びに外側側壁206及び210に対して一致して回転する(前述同様に、内側側壁207及び211は、一緒に結合され又は単一の壁で置き換える)。同様に、外側側壁206及び210は、一緒に結合され又は単一の外側壁で置き換える。
図9に示す実施形態は、NNNN構成からNSNS構成への回転を例示する。NNNN構成の説明には再び
図5C及び
図5Dを参照し、NSNS構成の説明には再び
図5D及び
図5を参照する。上述したように、バックアイアン構成部品が回転すると、磁性壁(例えば側壁404及び402)も回転し、その理由は、上述したように磁石をバックアイアン構成部品に固定して取り付けているからである。従って、ボール及びナックル組立体602が1つの半径方向磁極又は磁気円筒形セグメント長さ(例えば、8極の又は8つの円筒形セグメントのモータでは45度)だけ回転すると、側板212も回転する(磁性側壁404又はロータを同じ角度回転させる)。一致して、ボール及びナックル組立体603が、1つの半径方向セグメント長さ回転し、側板208も回転する(磁性側壁402又はロータを同じ角度回転させる)。特定の実施形態では、ロータハブ300を外側円筒形壁206及び210に連結するために連結装置を使用し、結果として外側円筒形壁206及び210は、一致してかつ磁気構成の移行によって側板208及び212から独立して回転する。磁性壁402及び404(又はロータ)の回転は、バックアイアンの壁208及び212の回転を起こし、
図5C及び
図5Dに例示する第1の又はNNNN構成から
図5E及び
図5Fに例示する第2の又はNSNS構成への回転を生じさせる。
【0086】
上述したボール及びナックル組立体は、開示された実施形態で使用できる回転アクチュエータの一実施形態に過ぎない。他の様々な選択肢を用いて、磁気構成を移動又は回転させることができる。例えば、遠心力を用いる機構を使用して、重み付きポジショナがロータプレートを新たな位置へ強制的にもたらすことができる。回転速度が十分に速くなるにつれて、重み付きポジショナは、例示した内部位置から外部位置へ投入されることになる。重み付きポジショナの外方への移動により次に、バックアイアン構成部品が所定量回転する。速度が下がると、ばねのような付勢部材により、重み付きポジショナはその当初位置に戻ることができる。
【0087】
他の実施形態では、圧力板に外部からパワー又はエネルギを加えて、バックアイアン構成部品を互いに対して移動させる工程を用いることができる。他の実施形態は、機械的制動力を加えてバックアイアン構成部品を互いに回転させる機構を使用することができる。
【0088】
別の回転アクチュエータは、ソレノイド、油圧又は空気圧ラムを使用して、バックアイアン構成部品に、電気的又は機械的連結装置の何れかを介して力を加えることができる。全ての場合において、適切なバックアイアン構成部品は、他のバックアイアン構成部品に対して新しい位置に回転して、新しい磁気構成を形成することができる。回転の程度は、特定のモータで選択された磁極又は磁気トンネルの数に左右される。例えば、「2極」又は「2つの円筒形セグメント」のトロイダル磁性シリンダでは、第1の構成から第2の構成へ移行するために、180度の回転が必要である。一方、4極では、90度の回転が必要である。6極では、60度の回転が必要である、などである。
【0089】
パワープレートのような種々の切換え機構では、パワーが加わると、ロータの両プレートに等しい力が伝達され、回転を与える。選択された速度で、プレッシャープレートがロータプレートの一側に配置される。これにより、プレート上に抗力が加わり、その速度を下げる。しかしながら、他のプレートの速度は一定のままであり、それによりプレートの整列に強制的にシフトを起こす。シフト作用は、停止に達してロータプレートが第2の構成を取るまで起こり続ける。移行持続時間は比較的短い間隔であるので、移行が起こる間のみ電力を遮断することも可能である。
【0090】
減速時は、反対の作用が起こる。再び予め選択した速度で、プレッシャープレートが押し付けられ、それによりバックアイアン壁が第1の構成に戻される。このシフト作用は、モータがジェネレータとして作用してプレート上に抗力を加えるために生じる。戻しばねを利用して、もとの第1の構成への移行を助けることもできる。切換えの全体を通して、コイルは、予めプログラムされた時間にのみ「点火」して、適切なコイルが適切な時間に電力を生成するのを保証することができる。様々な実施形態において、コイルはまた、切換えプロセスの補助として使用することができる。
【0091】
さらに他の実施形態では、クラッチ及び渦ブレーキ装置を使用することができる。特定の実施形態では、全ての側壁及び円筒壁を共通のシャフトに接続することができる。クラッチ又は切離し機構は、選択された一対のロータ又は壁を引き離すことができる。二対のロータ(例えば、磁性壁208及び212を介した磁性壁402及び404)が切り離されると、渦電流ブレーキが選択されたロータ対(又は磁性壁)に制動トルクを一時的にかけて、連結されたロータに対してロータを不整合とし又は回転させる。渦電流ブレーキは、所望の回転角が達成されると、次いで非通電になる。特定の実施形態では、不整合角は、動作速度に応じて決定することができる。
【0092】
渦電流ブレーキを非通電とすることによって、ロータ(又は磁性壁)はクラッチ装置を介して縦に並んで置くことができ、修正された磁気構成内の同期性が再確立される。渦電流ブレーキは非接触配置によって形成することができ、非接触配置では、表面コイルを持ちかつセグメントから成るディスクロータが、ロータの永久磁石と係合して制動トルクを生成する。逆方向の移行は、渦電流ブレーキにおける電流方向の逆転、又は第2の磁気構成(例えばNSNS磁極構成)を第1の磁気構成(例えば、NNNN磁極構成)へ徐々に制動することによって達成できる。
【0093】
図10は、三相電力入力及びコントローラ590と電気通信する複数のホール効果センサ592に連結された、コイル組立体500の概念図である。本技術分野で公知の通り、従来の任意の切換え構成がコントローラ590と共に利用できる。
【0094】
例示的な実施形態では、ステータ又はコイル組立体500は、磁気セクタ当たり6つのコイルを含む、8つの単極性セクタを備えることができる。コイルは、セクタの45度の移動全体にわたって連続的に通電状態に留まるように設計できる。
【0095】
隣接する2つのコイルは、デザイン要求に応じて直列又は並列にグループ化され、各単極性セクタ内の等価コイルに連結することができる。明確化のために、「A」相のみを例示している。この実施形態では、コイルは絶縁されているが、デルタ及びY接続配置も利用できる。
【0096】
各相は、それが単極性セクタに入るにつれて、適切な極性で通電される。適切なホール効果センサは、次いでこの極性の変化で作動してコントローラ590に信号を送り、コントローラ590によりA相への電力入力の適切な極性が通電され、回路に、コイル移動を通じて連続電源電圧が印加される。
【0097】
コイルが次の連続する単極性セクタに入っていることをホール効果センサが検出すると、状態の変化が始まり、その時、コイルは、再び適切な極性の連続電圧でパルスを発する。
【0098】
この実施形態は、速度及びトルクを適切に制御し、電力入力で可変電圧を使用して、磁場弱めを制御するための別の方法として利用できる。この配置とともに、他の相シーケンスが可能である。例えば、6相電源を6つの回路グループに接続することができ、こうしてモータ電源導体の物理的再配列なしに、多極高トルク機械が可能になる。ソフトウェアが、コイルパルス順序を再連結して、特定のグループの隣接するコイルを重ね合わせ、3相電源を可能にする。
【0099】
開示の要約は、要約を要求する規則を順守する理由のみで提示され、それにより検索者は、この開示から発行特許の技術的開示の主題を素早く確認することができる。要約は、請求項の範囲又は意味を解釈し又は制限するために使用されないことを理解されたい。
【0100】
説明した利点及び利益は、本発明の全ての実施形態に適用されるわけではない。請求項に記載の要素に「手段」という単語が記載されている場合、出願人は、請求項に記載の要素が35合衆国法典112条6項に該当することを意図している。しばしば、1つ以上の単語のラベルが、単語「手段」に先行する。「手段」という単語に先行する1つの単語又は複数の単語は、請求項に記載の要素の参照を容易にすることを意図したラベルであり、構造上の制限を伝えることを意図しない。そのような手段プラス機能の請求項は、機能を実行するために本明細書に記載された構造及びそれらの構造的均等物だけでなく、均等な構造をもカバーすることを意図している。例えば、くぎとねじとは構造が異なるが、それらは、両方とも締付けの機能を果たすので、均等な構造である。手段という単語を使用しない請求項は、35112条第6項に該当することを意図しない。
【0101】
本発明の実施形態の上記説明は、例示及び説明を目的として提示している。説明が網羅的であること、又は発明を開示された正確な形態に限定することを意図しない。上記教示に照らして、多くの組合せ、修正及び変形が可能である。例えば、特定の実施形態では、上記構成部品及び特徴の各々は、個々に又は順次に他の構成部品又は特徴と組み合わせることができ、依然として本発明の範囲内にある。交換された構成部品を有する説明していない実施形態は、依然として本発明の範囲内にある。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されず、請求項によって限定されることが意図されている。