(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数の前記IC接点バネを保持するIC接点ブロックと、前記カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触可能な接触位置と前記IC接点バネが前記外部接続端子に接触しないように退避する退避位置との間で前記IC接点ブロックを移動させるためのガイド軸とを備え、
前記カード移動路を移動する前記カードの移動方向と前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向とに直交する方向を左右方向とすると、
前記ガイド軸は、前記IC接点ブロックと別体で形成されるとともに、前記ガイド軸の軸方向と左右方向とが一致するように配置され、
前記本体フレームは、前記ガイド軸の一端側部分を保持する第1軸保持部と、前記ガイド軸の他端側部分を保持する第2軸保持部とを備え、
前記IC接点ブロックは、左右方向において、前記第1軸保持部と前記第2軸保持部との間に配置され、
前記IC接点ブロックには、前記ガイド軸が挿通される挿通穴が左右方向に貫通するように形成されるとともに、前記カードの移動方向における前記カードの一端が当接する当接部が形成され、
前記第1軸保持部には、前記ガイド軸の一端側部分が配置されるとともに前記ガイド軸が左右方向へ通過可能な配置穴が左右方向に貫通するように形成され、
前記配置穴が、前記ガイド軸とともに前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを移動させる第1カム溝となっており、かつ、前記第2軸保持部に、前記ガイド軸とともに前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを移動させる第2カム溝が形成されているか、あるいは、
前記挿通穴が、前記ガイド軸とともに前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックを移動させるカム溝となっており、
前記配置穴が前記第1カム溝となっており、かつ、前記第2軸保持部に前記第2カム溝が形成されている場合には、前記第1軸保持部および前記第2軸保持部に対して、前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックが前記ガイド軸と一緒に移動可能となっており、
前記挿通穴が前記カム溝となっている場合には、前記第1軸保持部、前記第2軸保持部および前記ガイド軸に対して、前記接触位置と前記退避位置との間で前記IC接点ブロックが移動可能となっており、
前記第1軸保持部および前記第2軸保持部から左右方向における前記第1軸保持部側への前記ガイド軸の抜けを防止する抜止め部材が、前記ガイド軸または前記本体フレームに着脱可能に取り付けられ、
前記当接部に前記カードの一端が当接すると、前記退避位置にある前記IC接点ブロックが前記接触位置に向かって移動を開始することを特徴とするカードリーダ。
前記第2軸保持部には、前記ガイド軸の他端側部分が配置されるとともに前記第2軸保持部の左右方向の一方の側面から左右方向の他方に向かって窪む配置凹部が形成され、
前記配置凹部は、前記第2カム溝となっており、
左右方向における前記第1軸保持部側で、前記抜止め部材が前記ガイド軸または前記本体フレームに着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたカードリーダのようなICカードリーダでは、IC接点ブロックのメンテナンスが必要になる場合がある。この場合には、IC接点ブロックを取り外してメンテナンスを行った方がIC接点ブロックのメンテナンスが容易になる。また、ICカードリーダでは、IC接点ブロックの交換が必要になる場合もある。したがって、ICカードリーダでは、IC接点ブロックの取外しが容易になっていることが好ましい。
【0006】
そこで、本発明の課題は、接触式のICカードに記録されたデータの読取りや接触式のICカードへのデータの記録を行うカードリーダにおいて、IC接点バネを保持するIC接点ブロックを容易に取り外すことが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに形成されるICチップの外部接続端子に接触する複数のIC接点バネと、複数のIC接点バネを保持するIC接点ブロックと、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、IC接点バネが外部接続端子に接触可能な接触位置とIC接点バネが外部接続端子に接触しないように退避する退避位置との間でIC接点ブロックを移動させるためのガイド軸とを備え、カード移動路を移動するカードの移動方向とカード移動路を移動するカードの厚さ方向とに直交する方向を左右方向とすると、ガイド軸は、IC接点ブロックと別体で形成されるとともに、ガイド軸の軸方向と左右方向とが一致するように配置され、本体フレームは、ガイド軸の一端側部分を保持する第1軸保持部と、ガイド軸の他端側部分を保持する第2軸保持部とを備え、IC接点ブロックは、左右方向において、第1軸保持部と第2軸保持部との間に配置され、IC接点ブロックには、ガイド軸が挿通される挿通穴が左右方向に貫通するように形成されるとともに、カードの移動方向におけるカードの一端が当接する当接部が形成され、第1軸保持部には、ガイド軸の一端側部分が配置されるとともにガイド軸が左右方向へ通過可能な配置穴が左右方向に貫通するように形成され、配置穴が、ガイド軸とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを移動させる第1カム溝となっており、かつ、第2軸保持部に、ガイド軸とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを移動させる第2カム溝が形成されているか、あるいは、挿通穴が、ガイド軸とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックを移動させるカム溝となっており、配置穴が第1カム溝となっており、かつ、第2軸保持部に第2カム溝が形成されている場合には、第1軸保持部および第2軸保持部に対して、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックがガイド軸と一緒に移動可能となっており、挿通穴がカム溝となっている場合には、第1軸保持部、第2軸保持部およびガイド軸に対して、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロックが移動可能となっており、第1軸保持部および第2軸保持部から左右方向における第1軸保持部側へのガイド軸の抜けを防止する抜止め部材が、ガイド軸または本体フレームに着脱可能に取り付けられ、当接部にカードの一端が当接すると、退避位置にあるIC接点ブロックが接触位置に向かって移動を開始することを特徴とする。
【0008】
本発明のカードリーダでは、本体フレームは、ガイド軸の一端側部分を保持する第1軸保持部と、ガイド軸の他端側部分を保持する第2軸保持部とを備えており、IC接点ブロックは、左右方向において、第1軸保持部と第2軸保持部との間に配置されている。また、本発明では、IC接点ブロックに、IC接点ブロックと別体で形成されたガイド軸が挿通される挿通穴が左右方向に貫通するように形成され、第1軸保持部に、ガイド軸の一端側部分が配置されるとともにガイド軸が左右方向へ通過可能な配置穴が左右方向に貫通するように形成されている。さらに、本発明では、第1軸保持部および第2軸保持部から左右方向における第1軸保持部側へのガイド軸の抜けを防止する抜止め部材が、ガイド軸または本体フレームに着脱可能に取り付けられている。
【0009】
そのため、本発明では、ガイド軸または本体フレームに着脱可能に取り付けられた抜止め部材を取り外すことで、IC接点ブロックの挿通穴に挿通されるガイド軸を、少なくとも第1軸保持部側へ抜き取ることが可能になる。また、ガイド軸を抜き取ることで、第1軸保持部と第2軸保持部との間に配置されるIC接点ブロックを取り外すことが可能になる。したがって、本発明では、IC接点ブロックを容易に取り外すことが可能になる。
【0010】
本発明において、配置穴が第1カム溝となっており、かつ、第2軸保持部に第2カム溝が形成されていることが好ましい。このように構成すると、IC接点ブロックに形成される挿通穴を、たとえば、丸穴にすれば良いため、IC接点ブロックの挿通穴がカム溝になっている場合と比較して、形状が複雑になりやすいIC接点ブロックの構成を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、第2軸保持部には、ガイド軸の他端側部分が配置されるとともに第2軸保持部の左右方向の一方の側面から左右方向の他方に向かって窪む配置凹部が形成され、配置凹部は、第2カム溝となっており、左右方向における第1軸保持部側で、抜止め部材がガイド軸または本体フレームに着脱可能に取り付けられていることが好ましい。このように構成すると、配置凹部の底面を利用して、左右方向における第2軸保持部側へのガイド軸の抜けを防止することが可能になる。したがって、左右方向における第2軸保持部側へのガイド軸の抜けを防止する部材を別途設ける必要がなくなり、その結果、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。また、このように構成すると、第1軸保持部の配置穴およびIC接点ブロックの挿通穴に挿通されたガイド軸の端面を配置凹部の底面に押し付けた状態で抜止め部材を取り付けることで、IC接点ブロックを取り付けることが可能になる。したがって、IC接点ブロックの取付作業が容易になる。
【0012】
本発明において、ガイド軸は、鋼鉄で形成され、第1軸保持部および第2軸保持部は、樹脂で形成されていることが好ましい。このように構成すると、ガイド軸の耐摩耗性を高めることが可能になるとともに、第1カム溝および第2カム溝と、ガイド軸との摺動性を高めることが可能になる。また、このように構成すると、環境温度の変動等の影響によるガイド軸の熱収縮量が小さくなるため、挿通穴にガイド軸が挿通されたIC接点ブロックに保持されるIC接点バネと、カード移動路に配置されるカードの外部接続端子との相対位置が、環境温度の変動等に起因してずれるのを抑制することが可能になる。したがって、環境温度の変動等に起因してカードに対するデータの読取り品質や記録品質が低下するのを抑制することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、カードリーダは、2本のガイド軸と、退避位置に向かってIC接点ブロックを付勢する引張りコイルバネとを備え、引張りコイルバネの一端側は、2本のガイド軸のうちの一方のガイド軸に取り付けられ、引張りコイルバネの他端側は、本体フレームに取り付けられている。この場合には、ガイド軸を利用して、IC接点ブロックを退避位置に向かって付勢することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、抜止め部材は、本体フレームに着脱可能に取り付けられている。
【0015】
本発明において、カードの厚さ方向の一方を第1方向とすると、本体フレームは、カード移動路の第1方向側の面を構成する側面部を備え、側面部には、IC接点ブロックの一部が配置される開口部がカードの厚さ方向で側面部を貫通するように形成され、第1軸保持部および第2軸保持部は、側面部の第1方向側の面に形成され、側面部には、第1方向側から開口部を塞ぐとともに、第1方向側から第1軸保持部、第2軸保持部およびIC接点ブロックを覆うカバー部材が着脱可能に取り付けられ、カバー部材の一部が抜止め部材となっていることが好ましい。このように構成すると、側面部の開口部を塞ぐとともに第1軸保持部、第2軸保持部およびIC接点ブロックを覆うカバー部材の一部を利用して、第1軸保持部および第2軸保持部から左右方向における第1軸保持部側へのガイド軸の抜けを防止することが可能になる。したがって、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0016】
本発明において、カバー部材は、たとえば、カード移動路から側面部の第1方向側への液体の浸入を防止する防水カバーである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明では、接触式のICカードに記録されたデータの読取りや接触式のICカードへのデータの記録を行うカードリーダにおいて、IC接点バネを保持するIC接点ブロックを容易に取り外すことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すカードリーダ1からケース本体12を取り外した状態を別の方向から示す斜視図である。
図3は、
図2のE部の、カバー部材13を取り外した状態の斜視図である。
図4は、
図2のE部の分解斜視図である。
【0021】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行ってデータの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。このカードリーダ1は、たとえば、無人またはセルフサービス方式のガソリンスタンドの給油装置等に搭載されて使用される。
【0022】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2には、ICチップが内蔵されており、カード2の一方の面には、
図1に示すように、ICチップの外部接続端子2aが形成されている。また、カード2の他方の面には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。
【0023】
カードリーダ1は、カードリーダ本体3と、カードリーダ本体3を覆うケース体4とを備えている。カードリーダ本体3は、カード2が移動するカード移動路5(
図5参照)が形成される本体フレーム6と、カード2に記録された磁気データの読取りやカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッドと、カード2の外部接続端子2aに接触する複数のIC接点バネ8(
図4参照)と、複数のIC接点バネ8を保持するIC接点ブロック9とを備えている。ケース体4は、カード2の挿入口10が形成される前面カバー11と、ケース本体12とから構成されている。なお、
図3では、IC接点バネ8の図示を省略している。
【0024】
本形態では、手動で操作されるカード2は、
図1等に示すX方向に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路5を移動するカード2の移動方向である。また、カード2は、X1方向に挿入され、X2方向に抜き取られる。また、X方向に直交する
図1等のZ方向は、カード移動路5を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する
図1等のY方向は、カード移動路5を移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0025】
以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「後ろ」側とし、カードリーダ1からのカード2の抜取り方向側であるX2方向側を「前」側とする。また、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0026】
本体フレーム6は、樹脂で形成されている。本体フレーム6は、カードリーダ1に挿入されたカード2(すなわち、挿入口10から挿入されたカード2)の後端側部分が収容される袋状のカード収容部6aと、カード収容部6aの前端から鍔状に広がる隔壁部6bとを備えている。隔壁部6bは、上下方向および左右方向に広がる略長方形の枠状に形成されている。また、本体フレーム6は、磁気ヘッドが配置されるヘッド配置部と、挿入口10から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部とを備えている。ヘッド配置部およびカード案内部は、隔壁部6bの前面から前側に突出するように形成されている。ヘッド配置部とカード案内部とは、左右方向において間隔をあけた状態で形成されている。
【0027】
カード収容部6aの内部は、カード移動路5の一部となっている。カード収容部6aは、カード移動路5の上側面を構成する側面部としての上側面部6cと、カード移動路5の下側面を構成する下側面部6dと、カード移動路5の右側面を構成する右側面部6eと、カード移動路5の左側面を構成する左側面部6fと、カード移動路5の後ろ側面を構成する後側面部6gとから構成されている。本形態の上方向(Z1方向)は、カード2の厚さ方向の一方である第1方向となっている。
【0028】
上側面部6cには、IC接点ブロック9の一部が配置される開口部6hが形成されている(
図4参照)。開口部6hは、上側面部6cを上下方向で貫通しており、カード移動路5に通じている。上側面部6cには、上側から開口部6hを塞ぐとともに、上側からIC接点ブロック9を覆うカバー部材13が取り付けられている。下側面部6d、右側面部6e、左側面部6fおよび後側面部6gには、カード収容部6aの外部からカード移動路5に通じる開口部は形成されていない。
【0029】
前面カバー11は、本体フレーム6の前面側に配置されており、ヘッド配置部およびカード案内部を覆っている。また、前面カバー11は、カードリーダ1の前面を構成している。
図1に示すように、前面カバー11には、前面カバー11の前面から後ろ側に向かって窪む指挿入部11aが形成されている。指挿入部11aは、ユーザの指が挿入可能となる大きさに形成されており、ユーザがカードリーダ1へカード2を挿入する際、および、ユーザがカードリーダ1からカード2を抜き取る際には、指挿入部11aにユーザの指が挿入される。
【0030】
ケース本体12は、前端が開口する略直方体の箱状に形成されている。ケース本体12は、カード収容部6aおよび隔壁部6bを覆っている。前面カバー11とケース本体12とは、前面カバー11の後端とケース本体12の前端とが当接した状態で互いに固定されている。ケース体4は、カードリーダ本体3の上下の両面、左右の両面および前後の両面を覆っている。
【0031】
本形態では、カード収容部6aの外側の領域であって、隔壁部6bと上側面部6cと下側面部6dと右側面部6eと左側面部6fと後側面部6gとカバー部材13とケース本体12とによって囲まれた領域は、水等の液体の浸入を許容しない防水領域となっている。一方、隔壁部6bよりも前側の領域、カバー部材13の内側の領域およびカード移動路5は、水等の液体の浸入を許容する浸水許容領域となっている。カバー部材13は、カード移動路5から上側面部6cの上側への液体の浸入を防止する防水カバーとしての機能を果たしている。なお、カバー部材13は、カード移動路5から上側面部6cの上側への塵埃の侵入を防止する機能も果たしている。
【0032】
(IC接点ブロックおよびIC接点ブロックの周辺部の構成)
図5は、
図2のF−F断面の断面図である。
【0033】
IC接点ブロック9は、樹脂で形成されている。また、IC接点ブロック9は、扁平な略直方体のブロック状に形成されている。IC接点ブロック9は、上述のように複数のIC接点バネ8を保持している。IC接点バネ8の上端側部分には、フレキシブルプリント基板17が接続されている。フレキシブルプリント基板17は、IC接点ブロック9の後ろ側へ引き回されている。IC接点ブロック9は、IC接点バネ8がカード移動路5に上側から臨むように配置されている。また、IC接点ブロック9は、IC接点バネ8がカード2の外部接続端子2aに接触可能な接触位置と、IC接点バネ8が外部接続端子2aに接触しないように退避する退避位置との間で移動可能となっている。
【0034】
カードリーダ1は、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させるためのガイド軸18と、退避位置に向かってIC接点ブロック9を付勢する引張りコイルバネ19とを備えている。本形態のカードリーダ1は、2本のガイド軸18と、1個の引張りコイルバネ19とを備えている。本体フレーム6は、ガイド軸18の一端側部分を保持する第1軸保持部としての軸保持部6jと、ガイド軸18の他端側部分を保持する第2軸保持部としての軸保持部6kとを備えている。
【0035】
ガイド軸18は、IC接点ブロック9と別体で形成されている。また、ガイド軸18は、鋼鉄で形成されている。具体的には、ガイド軸18は、ステンレス鋼で形成されている。ガイド軸18は、細長い円柱状に形成されている。ガイド軸18は、ガイド軸18の軸方向と左右方向とが一致するように配置されている。2本のガイド軸18は、前後方向において所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0036】
IC接点ブロック9には、2本のガイド軸18が挿通される挿通穴9a、9bが左右方向に貫通するように形成されている。挿通穴9aは、IC接点ブロック9の前端側に形成される2個の突出部9cのそれぞれに形成されている。挿通穴9bは、IC接点ブロック9の後端側に形成される2個の突出部9dのそれぞれに形成されている。
【0037】
2個の突出部9cは、前側に突出するように形成されるとともに、左右方向に所定間隔をあけた状態で形成されている。2個の突出部9dは、後ろ側に突出するように形成されるとともに、左右方向に所定間隔をあけた状態で形成されている。挿通穴9aは、突出部9cを左右方向で貫通し、挿通穴9bは、突出部9dを左右方向で貫通している。挿通穴9a、9bは、丸穴となっている。挿通穴9a、9bの内径は、ガイド軸18の外径とほぼ等しくなっている。
【0038】
また、IC接点ブロック9には、後ろ側に向かってカード移動路5を移動するカード2の後端が当接する当接部9eが形成されている。当接部9eは、突出部9dの後端部に形成されている。また、当接部9eは、下側に向かって突出するように形成されている。
図5に示すように、当接部9eは、カード移動路5の中に配置されている。
【0039】
軸保持部6j、6kは、上側面部6cの上側の面(上面)に形成されている。また、軸保持部6j、6kは、上側面部6cの上面から上側に向かって立ち上がるように形成されている。上述のように、本体フレーム6は、樹脂で形成されており、軸保持部6j、6kは、樹脂で形成されている。本形態では、2本のガイド軸18のそれぞれの左端側部分を保持する2個の軸保持部6jと、2本のガイド軸18の右端側部分を一緒に保持する1個の軸保持部6kとが上側面部6cに形成されている。
【0040】
軸保持部6jと軸保持部6kとは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、軸保持部6jは、開口部6hの左側の縁から上側に立ち上がるように形成され、軸保持部6kは、開口部6hの右側の縁から上側に立ち上がるように形成されている。また、2個の軸保持部6jは、前後方向に間隔をあけた状態で配置されている。IC接点ブロック9は、左右方向において、軸保持部6jと軸保持部6kとの間に配置されている。
【0041】
軸保持部6jには、ガイド軸18の左端側部分が配置される配置穴6nが形成されている。配置穴6nは、軸保持部6jを左右方向で貫通している。また、配置穴6nは、左右方向を軸方向として配置されるガイド軸18が左右方向へ通過可能な大きさに形成されている。また、配置穴6nは、長穴状に形成されている。軸保持部6kには、ガイド軸18の右端側部分が配置される配置凹部6pが形成されている。本形態では、2本のガイド軸18のそれぞれの右端側部分が配置される2個の配置凹部6pが軸保持部6kに形成されている。配置凹部6pは、軸保持部6kの左側面から右側に向かって窪むように形成されており、配置凹部6pは、左右方向で軸保持部6kを貫通していない。
【0042】
本形態の配置穴6nは、ガイド軸18とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させる第1カム溝となっている。また、配置凹部6pは、ガイド軸18とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させる第2カム溝となっている。すなわち、軸保持部6kには、ガイド軸18とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させる第2カム溝が形成されている。
【0043】
そのため、配置穴6nに左端側部分が配置されるとともに配置凹部6pに右端側部分が配置されるガイド軸18が配置穴6nおよび配置凹部6pに沿って移動すると、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9が移動する。具体的には、IC接点ブロック9が後ろ下側に配置される接触位置と、IC接点ブロック9が前上側に配置される退避位置との間でIC接点ブロック9が移動する。また、軸保持部6j、6kに対して、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9がガイド軸18と一緒に移動する。
【0044】
上述のように、IC接点ブロック9は、引張りコイルバネ19によって退避位置に向かって付勢されている。すなわち、IC接点ブロック9は、引張りコイルバネ19によって前上側に向かって付勢されている。
図5に示すように、ガイド軸18は、配置穴6nの上面6qおよび配置凹部6pの上面6rに接触しており、上面6q、6rは、ガイド軸18を案内するカム面となっている。上面6qと上面6rとは、同形状に形成されている。また、上面6qと上面6rとは、前後方向および上下方向において同じ位置に配置されている。また、上面6q、6rは、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9が移動するように所定形状に形成されている。
【0045】
配置穴6nには、ガイド軸18の下側への抜けを防止する下面6sが形成されている。配置穴6nの上面6qと配置穴6nの下面6sとは、
図5に示すように、左右方向でずれた位置に配置されている。一方、配置凹部6pには、下面が形成されておらず、配置凹部6pの下端は、カード移動路5に通じている。
【0046】
本形態の本体フレーム6は、上側面部6cを有する上フレームと下側面部6dを有する下フレームとの、上下方向で2分割される2個のフレームによって構成されている。また、配置穴6nの上面6qと配置穴6nの下面6sとが左右方向でずれた位置に配置され、かつ、配置凹部6pに下面が形成されていないため、上下方向に2分割される金型を使って、上フレームを形成することが可能になっている。なお、上面6qと下面6sとは、左右方向において同じ位置に配置されていても良いし、配置凹部6pに下面が形成されていても良い。
【0047】
引張りコイルバネ19の一端側は、2本のガイド軸18のうちの一方のガイド軸18に取り付けられ、引張りコイルバネ19の他端側は、本体フレーム6に取り付けられている。具体的には、引張りコイルバネ19の後端側が、前側に配置されるガイド軸18に取り付けられ、引張りコイルバネ19の前端側が、上側面部6cの上面に形成されるバネ係合突起6tに取り付けられている。また、引張りコイルバネ19の後端側は、左右方向における2個の突出部9cの間でガイド軸18に取り付けられている。
【0048】
本形態では、後ろ側に向かってカード移動路5を移動するカード2の後端(すなわち、カードリーダ1の内部に挿入されるカード2の後端)が当接部9eに当接すると、退避位置にあるIC接点ブロック9が接触位置に向かって移動を開始する。また、カード2がさらに挿入されると、IC接点ブロック9が接触位置に到達する。IC接点ブロック9が接触位置に到達すると、カード2の外部接続端子2aにIC接点バネ8が所定の接触圧で接触して、カード2に記録されたデータの読取りやカード2へのデータの記録が行われる。また、カードリーダ1に挿入されたカード2が引き抜かれると、接触位置にあるIC接点ブロック9が、引張りコイルバネ19の付勢力によって退避位置へ移動する。
【0049】
カバー部材13は、下面が開口する略直方体の箱状に形成されている。また、カバー部材13は、上下方向の厚さが薄い扁平な箱状に形成されている。上述のように、カバー部材13は、開口部6hを上側から塞いでいる。また、カバー部材13は、前後の両側、左右の両側および上側からIC接点ブロック9を覆っている。さらに、カバー部材13は、軸保持部6j、6k、バネ係合突起6tおよび引張りコイルバネ19を覆っている。具体的には、カバー部材13は、前後の両側、左右の両側および上側から軸保持部6j、6k、バネ係合突起6tおよび引張りコイルバネ19を覆っている。なお、カバー部材13の後端部では、カバー部材13の後ろ側へフレキシブルプリント基板17が引き出されている。フレキシブルプリント基板17の引出し部には、カバー部材13の外側への液体の浸入を防止するシーリング処理が施されている。
【0050】
カバー部材13は、本体フレーム6に着脱可能に取り付けられている。具体的には、カバー部材13は、複数のネジ20(
図2参照)によって、上側面部6cに着脱可能に取り付けられている。カバー部材13には、
図5に示すように、軸保持部6j、6kから左右方向における軸保持部6j側(すなわち、左側)へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部13aが形成されている。
【0051】
抜止め部13aは、平板状に形成されており、抜止め部13aの厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。また、抜止め部13aは、カバー部材13の上面部から下側に向かって突出するように形成されており、カバー部材13の内部に配置されている。すなわち、抜止め部13aは、
図5に示すように、カバー部材13の左側面部よりも右側に配置されている。また、カバー部材13には、2本のガイド軸18のそれぞれの抜けを防止する2個の抜止め部13aが形成されている。また、抜止め部13aは、ガイド軸18の左側に配置されている。
【0052】
このように、本形態では、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部13aが、軸保持部6j側で、本体フレーム6に着脱可能に取り付けられている。また、カバー部材13の一部が抜止め部13aとなっている。本形態の抜止め部13aは、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部材である。
【0053】
上述のように、IC接点ブロック9は、左右方向において、軸保持部6jと軸保持部6kとの間に配置されている。また、IC接点ブロック9に、IC接点ブロック9と別体で形成されたガイド軸18が挿通される挿通穴9a、9bが左右方向に貫通するように形成され、軸保持部6jに、ガイド軸18の左端側部分が配置されるとともにガイド軸18が左右方向へ通過可能な配置穴6nが左右方向に貫通するように形成されている。さらに、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部13aがカバー部材13に形成されており、カバー部材13は、ネジ20によって上側面部6cに着脱可能に取り付けられている。
【0054】
そのため、本形態では、上側面部6cからカバー部材13を取り外すことで、IC接点ブロック9の挿通穴9a、9bに挿通されるガイド軸18を左側へ抜き取ることが可能になっている。また、ガイド軸18を抜き取ることで、左右方向において軸保持部6jと軸保持部6kとの間に配置されるIC接点ブロック9を取り外すことが可能になっている。なお、軸保持部6jと左側面部6fとの間には、挿通穴9a、9bに挿通されたガイド軸18を左側へ抜き取ることができる空間が形成されている。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、上側面部6cからカバー部材13を取り外すことで、IC接点ブロック9の挿通穴9a、9bに挿通されるガイド軸18を左側へ抜き取ることが可能になっており、ガイド軸18を抜き取ることで、左右方向において軸保持部6jと軸保持部6kとの間に配置されるIC接点ブロック9を取り外すことが可能になっている。そのため、本形態では、IC接点ブロックを容易に取り外すことが可能になる。
【0056】
本形態では、左右方向で軸保持部6kを貫通していない配置凹部6pが、接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させるための第2カム溝となっている。そのため、本形態では、配置凹部6pの底面(右側の側面)を利用して、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けを防止することが可能になる。したがって、本形態では、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けを防止するための部材を別途設ける必要がない。その結果、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。また、本形態では、軸保持部6jの配置穴6nおよびIC接点ブロック9の挿通穴9a、9bに挿通されたガイド軸18の右端を配置凹部6pの底面に押し付けた状態でカバー部材13を取り付けることで、IC接点ブロック9の取り付けを完了させることが可能になる。したがって、本形態では、IC接点ブロック9の取付作業が容易になる。
【0057】
本形態では、ガイド軸18は、鋼鉄で形成され、軸保持部6j、6kは、樹脂で形成されている。そのため、本形態では、ガイド軸18の耐摩耗性を高めることが可能になるとともに、カム面である配置穴6nの上面6qおよび配置凹部6pの上面6rと、ガイド軸18との摺動性を高めることが可能になる。また、本形態では、環境温度の変動等の影響によるガイド軸18の熱収縮量が小さくなるため、挿通穴9a、9bにガイド軸18が挿通されたIC接点ブロック9に保持されるIC接点バネ8と、カード移動路5に配置されるカード2の外部接続端子2aとの相対位置が、環境温度の変動等に起因してずれるのを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、環境温度の変動等に起因してカード2に対するデータの読取り品質や記録品質が低下するのを抑制することが可能になる。
【0058】
本形態では、カード移動路5から上側面部6cの上側への液体の浸入を防止する防水カバーとしての機能を果たすカバー部材13に、抜止め部13aが形成されている。そのため、本形態では、防水カバーとしての機能を果たすカバー部材13の一部を利用して、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けを防止することが可能になる。したがって、本形態では、防水カバーであるカバー部材13に加えて、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部材が別途設けられている場合と比較して、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0059】
本形態では、引張りコイルバネ19の後端側は、2本のガイド軸18のうちの一方のガイド軸18に取り付けられている。そのため、本形態では、ガイド軸18を利用して、IC接点ブロック9を退避位置に向かって付勢することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0060】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0061】
上述した形態において、カバー部材13の左側面を構成する左側面部によって、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けが防止されても良い。この場合には、カバー部材13の左側面部が抜止め部材となる。また、上述した形態において、カバー部材13以外の、本体フレーム6に着脱可能に取り付けられる抜止め部材によって、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けが防止されても良いし、ガイド軸18に着脱可能に取り付けられるE型止め輪等の抜止め部材によって、軸保持部6j、6kから左側へのガイド軸18の抜けが防止されても良い。この場合であって、水等の液体を使用しない環境でカードリーダ1が使用される場合には、カードリーダ1は、カバー部材13を備えていなくても良い。
【0062】
上述した形態において、配置凹部6pに代えて、ガイド軸18の右端側部分が配置されるとともに左右方向で軸保持部6kを貫通する配置穴が軸保持部6kに形成されていても良い。この場合には、たとえば、この配置穴は、配置穴6nと同様に形成されており、ガイド軸18が左右方向へ通過可能な大きさに形成されている。また、この配置穴は、第2カム溝となっている。
【0063】
軸保持部6kに形成される配置穴が配置穴6nと同様に形成されている場合には、たとえば、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けを防止するための抜止め部がカバー部材13に形成されており、この抜止め部は、ガイド軸18の右側に配置されている。あるいは、カバー部材13の右側面部が、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けを防止する抜止め部となっている。
【0064】
また、カバー部材13以外の、本体フレーム6に着脱可能に取り付けられる部材によって、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けが防止されても良いし、ガイド軸18に着脱可能に取り付けられるE型止め輪等によって、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けが防止されても良い。この場合であって、水等の液体を使用しない環境でカードリーダ1が使用される場合には、カードリーダ1は、カバー部材13を備えていなくても良い。
【0065】
また、上述した形態において、配置凹部6pに代えて、ガイド軸18の右端側部分が配置されるとともに左右方向で軸保持部6kを貫通する配置穴が軸保持部6kに形成されている場合には、この配置穴は、ガイド軸18が左右方向へ通過できない大きさに形成されていても良い。この場合には、たとえば、ガイド軸18の右端側に外径の小さな小径部が形成されており、この小径部がこの配置穴に配置されている。また、ガイド軸18の小径部の左端に形成される段差面と軸保持部6kの左側面とによって、軸保持部6j、6kから右側へのガイド軸18の抜けが防止される。
【0066】
上述した形態において、IC接点ブロック9に形成される挿通穴9a、9bが、ガイド軸18とともに接触位置と退避位置との間でIC接点ブロック9を移動させるカム溝となっていても良い。この場合には、配置穴6nは、丸穴となっており、配置凹部6pは、丸い凹部となっている。また、配置穴6nの内径および配置凹部6pの内径は、ガイド軸18の外径とほぼ等しくなっている。この場合には、軸保持部6j、6kおよびガイド軸18に対して、IC接点ブロック9が接触位置と退避位置との間で移動する。
【0067】
ただし、上述した形態のように配置穴6nが第1カム溝となっており、かつ、配置凹部6pが第2カム溝となっている場合には、IC接点ブロック9に形成される挿通穴9a、9bを丸穴にすれば良いため、IC接点ブロック9の挿通穴9a、9bがカム溝になっている場合と比較して、形状が複雑になりやすいIC接点ブロック9の構成を簡素化することが可能になる。
【0068】
上述した形態において、カードリーダ1は、3本以上のガイド軸18を備えていても良い。また、上述した形態において、カードリーダ本体3は、磁気ヘッドを備えていなくても良い。さらに、上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。また、上述した形態において、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。