(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンクリートは引張強度が低いため、コンクリートの収縮によりひび割れ(収縮ひび割れ)が発生する場合がある。この収縮ひび割れは、コンクリート構造物の美観を損なうほか、コンクリートの水密性・気密性の低下や鉄筋の腐食などの、構造物の耐久性低下の原因にもなっている。したがって、コンクリートの耐久性を確保するためには、収縮ひび割れを制御する必要がある。
この収縮ひび割れの主因としてコンクリートの乾燥収縮ひずみが挙げられる。該ひずみはコンクリートの外部拘束により生じるひずみと内部拘束により生じるひずみがある。したがって、コンクリートの収縮ひび割れを制御するには、主因となる乾燥収縮ひずみを事前に把握する必要がある。
【0003】
従来、コンクリートの乾燥収縮ひずみは、JIS A 1129−1〜3「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法」(以下「JIS法)という。)に準拠して測定されている。
また、乾燥収縮ひずみを測定することなく、コンクリートの体積、外気に接する表面積、体積表面積比、相対湿度などのパラメータを含む式に、セメントなどの種類の影響を表す修正係数を含む式を乗じてなる下記の提案式(予測式)が提示されている(非特許文献1)。
【0004】
しかし、JIS法では、コンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値を得るのに1年以上を要する(
図8参照)。また、前記の提案式では、非特許文献1の付
図2.4中の提案式の図(特許文献1の
図1の左上の図を参照)に示すように、予測精度は必ずしも十分とはいえない。
そこで、本願の出願人は、JIS法を用いて得られるコンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値とほぼ同じ値が、乾燥期間が50日以内という短い期間で得られる、コンクリートの乾燥収縮ひずみの測定装置および測定方法を提案した。
さらに、コンクリート構造物に使われるコンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値がより早く分かれば、コンクリート構造物のひび割れを早期に予測でき、ひび割れの防止対策を講ずる上で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】1個のレーザー変位計を有する乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の上に、供試体を載置した状態の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。
【
図2】2個のレーザー変位計を有する乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の上に、供試体を載置した状態の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。
【
図3】支持部材の下部の一部を、台座に埋め込んだ状態で設置してなる乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の支持部材の上に、供試体を載置した状態の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。ただし、
図3では、レーザー変位計の記載は省略した。
【
図4】2個のレーザー変位計を、対向して配置してなる乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。
【
図5】2個のレーザー変位計を、該レーザー変位計から照射されたレーザーが90°の角度で交差するように配置してなる、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。ただし、紙面に対し後方に位置するレーザー変位計の記載は省略した。
【
図6】4個のレーザー変位計を、該レーザー変位計から照射されたレーザーが90°の角度で交差するように配置してなる、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の一例を示す概略図であって、左の図は該測定装置の平面図、右の図は該測定装置の側面図である。ただし、紙面に対し前方および後方に位置するレーザー変位計は省略した。
【
図7】乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)に、供試体を載置した様子を示す写真である。なお、(A)の台座の中心にあるピンは支持部材ではなく、台座を固定するためのネジである。
【
図8】各種のセメントを用いて作製した供試体の乾燥収縮ひずみの経時変化を示す図であり、(A)は普通ポルトランドセメント、(B)は高炉セメントB種、(C)は中庸熱ポルトランドセメント、および(D)は低熱ポルトランドセメントを用いた供試体の乾燥収縮ひずみを示す。なお、図中の「本発明」が示す曲線は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)を用いて測定した乾燥収縮ひずみの曲線であり、図中の「JIS法」が示す曲線は、JIS A 1129-2「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法 第2部:コンタクトゲージ方法」を用いて測定した乾燥収縮ひずみの曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、前記のとおり、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)または乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)を用いて測定した、乾燥期間7日、10日、または14日のコンクリートの乾燥収縮ひずみ、および、該コンクリートに用いられたセメントの種類に応じて選択される表1に記載の係数に、前記乾燥収縮ひずみを乗じて得られた値を、コンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値として予測する方法である。
以下、本発明について、乾燥収縮ひずみ測定装置、乾燥収縮ひずみの測定方法、および乾燥収縮ひずみの終局値の予測方法に分けて詳細に説明する。
【0013】
1.乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)は、
図1〜3に例示するとおり、1個以上のレーザー変位計4、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を載置するための台座2、および、該供試体1の位置決め治具3を少なくとも含む装置である。
前記レーザー変位計は、特に制限されず、反射型や透過型等の市販のレーザー変位計が挙げられる。本発明では、レーザー変位計の数を増やせばデータ数が増え、その分、測定精度は向上するが、装置はコスト高になるため、レーザー変位計の数は、好ましくは1〜4個、より好ましくは2〜4個である。前記レーザー変位計は、台座上に載置した円板状または四角板状の供試体の中心に向けてレーザーを照射できるように設置する。レーザー変位計の設置位置は、例えば、
図1や
図2に示す位置が挙げられる。
【0014】
また、台座2は、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を載置するために用いる。台座の形状は、特に限定されず、例えば、
図1や
図2に示す正方形の板状や、円板状である。また、測定精度の向上のために、台座は水平に保たれていることが好ましい。
さらに、当該台座は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。また、台座は、供試体を支持するための支持部材5を設置してもよい。支持部材を設置すると、供試体と台座の間の熱の移動を低減できるため、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上する。
支持部材の形状は、特に制限されず、
図3に示すような球状(
図3では、支持部材の下部の一部が、台座に埋め込まれている。)や、柱状等が挙げられる。なお、支持部材を柱状にする場合は、供試体と点で接触するように、好ましくは、供試体に接する支持部材の面を半球状にする。
支持部材の数は、供試体を安定して載置できるため3点以上が好ましい。なお、支持部材を多くすると装置の製造に手間がかかるため、支持部材の数は3〜4がより好ましい。また、前記支持部材は、供試体を安定して載置するためには、正三角形または正方形を形成するように設置するのが好ましい。
図3は、支持部材が正方形を形成するように設置した例である。さらに、支持部材は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
【0015】
位置決め治具3は、供試体の乾燥収縮ひずみを測定する際に、供試体の載置位置を決めて固定するために用いるもので、例えば、
図1や
図2に示すように、台座上に倒立した状態で設置してなる2本のピン等が挙げられる。
図1や
図2では、乾燥期間が0(ゼロ)日の時点における円板状の供試体を台座に載置した場合、円板状の供試体の中心と台座の中心が一致するように、位置決め治具は円板状の供試体の周囲の側面と接触する位置に設置する。なお、当該位置決め治具は、台座上のほかに台座の外側に設置してもよい。さらに、当該位置決め治具は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
また、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)は、レーザー変位計、台座、および位置決め治具を、基盤を用いて一体化して構成することが好ましい。レーザー変位計、台座、位置決め治具、および、これらを設置するために用いる基盤は、熱や衝撃による変形を防止するため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
【0016】
2.乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法
該測定方法は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の台座上に、円板状または四角板状の供試体を、該供試体の周囲の側面が位置決め治具と接触するように載置した後、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを測る方法である。
供試体が円板状の場合、供試体の直径は、10〜30cmであれば、供試体の製造は容易で、また供試体の乾燥が速くなり好ましい。なお、供試体の直径は、より好ましくは10〜20cmである。また、供試体の厚さは、5〜20mmであれば供試体は割れ難く、また供試体の乾燥がさらに速くなるため好ましい。なお、供試体の厚さは、より好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜15mm、特に好ましくは8〜12mmである。
また、供試体が四角板状の場合、四角板の1辺の長さは、好ましくは10〜30cm、より好ましくは10〜20cmであり、さらに好ましくは、1辺の長さが10〜30cmの正方形、特に好ましくは、1辺の長さが10〜20cmの正方形である。1辺の長さが10〜30cmの正方形であれば、供試体の製造は容易で、また供試体の乾燥が速くなる。また、四角板状の供試体の厚さは、好ましくは5〜20mm、より好ましくは6〜18mm、さらに好ましくは7〜15mm、特に好ましくは8〜12mmである。供試体の厚さが5〜20mmであれば、供試体は割れ難く、また供試体の乾燥はさらに速くなる。
なお、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の台座に支持部材が設置されている場合、該支持部材上に、円板状または四角板状の供試体の周囲の側面が位置決め治具と接触するように、該供試体を載置する。
【0017】
前記測定方法では、所定の乾燥期間毎に、供試体を台座上に載置して乾燥収縮ひずみを測る方法である。そして、乾燥収縮ひずみの測定精度を向上させるため、好ましくは、供試体は円板状であり、該供試体を時計回りまたは反時計回りに回転して、該供試体の周囲の側面が位置決め治具と接触した状態で、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を、2回以上、好ましくは3〜5回測る。例えば、
図1に示す供試体の点aを測定した後、供試体を時計回りに90°回転して点bを測定し、さらに時計回りに90°回転して点cを測定して、3点の平均値を乾燥収縮ひずみとして求める。
本発明の測定方法では、乾燥収縮ひずみの測定間隔は任意であるが、乾燥収縮ひずみの終局値を早期に得るためや、測定の手間を低減するために、乾燥収縮ひずみの測定間隔は好ましくは乾燥期間1〜10日毎、より好ましくは乾燥期間1〜7日毎である。
【0018】
また、本発明の測定方法は、乾燥収縮ひずみをより正確に測定するために、乾燥前の供試体と同じ形状および寸法を有する金属板(基長板)を台座上に載置して、レーザー変位計と該金属板の側面の間の距離(L
1)を測定した後、該金属板に代えて前記供試体を台座上に載置して、レーザー変位計と供試体の側面の間の距離(L
2)を測定し、L
1とL
2の差(L
1−L
2)に基づき乾燥収縮ひずみを求める方法である。
また、前記測定した距離が画面上に表示される測定装置を用いる場合、本発明の測定方法は、乾燥前の供試体と同じ形状および寸法を有する金属板(基長板)を台座上に載置して、レーザー変位計と該金属板の側面の間の距離を測定し、該距離(の表示)をゼロに設定した後、該金属板に代えて前記供試体を台座上に載置して、レーザー変位計と供試体の側面の間の距離を測定し、乾燥収縮ひずみを求める方法である。
前記金属板(基長板)は、温度の変化による長さの変化が同じになるよう、好ましくは台座と同じ材質の金属であり、熱や衝撃による変形を防止するため、より好ましくは、インバー鋼材である。
【0019】
3.乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)
乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)は、
図4〜7に例示するように、2個以上のレーザー変位計4、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を支持するための3点以上の支持部材5、および、該支持部材の一部を埋設してなる台座2を少なくとも含む装置である。
前記レーザー変位計は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)のレーザー変位計と同じである。また、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上するため、レーザー変位計を2個以上設置する。レーザー変位計が1個では、乾燥収縮ひずみの測定精度が低下するおそれがある。また、レーザー変位計を増やせばデータ数が増え、その分、さらに測定精度が向上するが、装置はコスト高になる。したがって、レーザー変位計は、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個設置する。
レーザー変位計は、乾燥収縮ひずみの測定精度が向上し、また、供試体の載置が容易なため、好ましくは、支持部材が形成する正三角形または正方形の中心から等間隔の位置に、レーザー照射面を該中心に向けて設置する。また、乾燥収縮ひずみの測定精度がさらに向上するため、より好ましくは、2〜6個の前記レーザー変位計を、該レーザー変位計から照射されたレーザーが60〜300°の角度で交差するように配置する。
レーザー変位計を設置する態様は、レーザー変位計を2個設置する場合、例えば、
図4に示すように、レーザー変位計を対向して設置するか、
図5に示すように、レーザーが90°の角度で交差するように設置し、また、レーザー変位計を4個設置する場合、
図6に示すように、2組のレーザー変位計を対向して設置する。
【0020】
乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)では、支持部材は必須の治具であり、供試体を台座から離して、供試体と台座の間に空間を設けるために用いる。この空間を設けることにより、供試体は均質かつ早期に乾燥するため、特に、乾燥収縮ひずみの終局値を早期に測定できる。
なお、支持部材の形状、数、配置する形(位置の形状)、および材質は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)と同じである。
【0021】
台座は、支持部材の一部(下部)を埋設して固定してなるものである。ちなみに、
図4〜6に示す台座は正方形の板状であり、
図7に示す台座は円板状である。なお、台座は水平に保たれていることが好ましく、材質はインバー鋼材が好ましいことは、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)と同じである。
【0022】
乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)では、支持部材上への供試体の載置を容易にするため、供試体載置補助治具を用いてもよい。該供試体載置補助治具は、
図7に示すような、台座の外側に設置された2本のピンが挙げられる。
図7の乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の支持部材の上に、例えば、直径10cmの円板状の供試体を載置する場合、前記2本のピンと接触するように前記供試体を支持部材の上に載置すれば、供試体の中心と支持部材が形成する正方形の中心が一致するように供試体を載置できる。
なお、供試体載置補助治具は、
図7に示すように台座の外側に設置するほか、台座上に設置してもよい。また、供試体載置補助治具は、熱や衝撃による変形を防ぐため、好ましくはインバー鋼材を用いて製造する。
【0023】
乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)もまた、
図4〜7に示すように、2個以上のレーザー変位計、台座、および、必要に応じて、供試体載置補助治具を一体化して構成する。また、台座等の材質はインバー鋼材が好ましいことは、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)と同じである。
【0024】
4.乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法
該測定方法は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の支持部材上に、円板状または四角柱状の供試体の中心が、前記支持部材が形成する正三角形または正方形の中心と一致するように載置した後、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを求める方法である。
例えば、
図7に示すように、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)の支持部材(台座上の球状の4点)上に、円板状の供試体を、該供試体の中心と支持部材が形成する正方形の中心が一致するように載置した後(
図7(B))、レーザー変位計を用いて供試体の周囲の側面にレーザーを照射して、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定することにより、供試体の乾燥収縮ひずみを測る。
なお、前記供試体の形状、大きさ、および厚さは、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法の場合と同じである。
【0025】
前記測定方法は、(a)支持部材上に供試体を載置したままの状態で、供試体を乾燥して、所定の乾燥期間毎に、乾燥収縮ひずみを求める方法と、(b)別の場所で乾燥している供試体を、所定の乾燥期間毎に支持部材上に載置して、乾燥収縮ひずみを求める方法のいずれも可能であるが、作業の手間の低減や測定の精度向上の点から、(a)の方法が好ましい。
なお、乾燥収縮ひずみの測定間隔は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)を用いた乾燥収縮ひずみの測定方法の場合と同じである。
以上述べたように、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)または(E
2)を用いれば
、乾燥収縮ひずみ(終局値)を短期間で精度よく求めることができる。
【0026】
5.乾燥収縮ひずみの終局値の予測方法
該予測方法は、乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)または乾燥収縮ひずみ測定装置(E
2)を用いて測定した、乾燥期間7日、10日、または14日のコンクリートの乾燥収縮ひずみ、および、該コンクリートに用いられたセメントの種類に応じて選択される表1に記載の係数に、前記乾燥収縮ひずみを乗じて得られた値を、コンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値として予測する方法である。なお、表1の係数は既に得られたデータを用いて回帰分析により求めた数値である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)を用いたコンクリートの乾燥収縮ひずみの測定
(1−1)使用材料
(i)セメント(略号:C、すべて太平洋セメント社製)
普通ポルトランドセメント(略号:NC)
高炉セメントB種(略号:BB)
中庸熱ポルトランドセメント(略号:MC)
低熱ポルトランドセメント(略号:LC)
(ii)細骨材(略号:S):山砂(表乾密度2.56g/cm
3)
(iii)粗骨材(略号:G):表乾密度2.61g/cm
3
(iv)水(略号:W):水道水
(v)AE減水剤:リグニンスルホン酸系AE減水剤、商品名 ポゾリスNo.70[登録商標]、BASF社製、
(vi)AE剤:商品名 マスターエア404[登録商標]、BASF社製
【0028】
(1−2)乾燥収縮ひずみ測定用の供試体の作製
表2示す配合に従い、前記の各材料を容量50リッターのパン型ミキサに一括して投入し、2分間混練した後、混練物を内径10cm、高さ20cmの型枠に打設して成形しコンクリートを得た。次に、該コンクリートを20℃で1日間湿空養生した後に脱型し、さらに20℃で7日間水中養生した。水中養生した後、コンクリートの高さ方向の中央部付近を切断して、直径10cm、厚さ1cmの乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を3個作製した。
【0029】
【表2】
【0030】
(1−3)供試体の乾燥収縮ひずみの測定
前記乾燥収縮ひずみ測定用の供試体1を、室温20±2℃、相対湿度60±5%の条件で乾燥した。そして、乾燥期間7日毎に、乾燥収縮ひずみ測定用の供試体を、該供試体の周囲の側面が、
図1に示す乾燥収縮ひずみ測定装置(E
1)の位置決め治具3と接触するように台座2に載置した後、レーザー変位計4を用いて、レーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定した。なお、本実施例では、1個の供試体に対して3箇所(
図1の点a、点b、および点c)でレーザー変位計と供試体の周囲の側面の間の距離を測定して、この平均値を当該供試体の乾燥収縮ひずみとして算出し、さらに、この3個の供試体の乾燥収縮ひずみ(平均値)を平均して、全体の乾燥収縮ひずみを算出した。その結果を
図8と表3に示す(ただし、
図8では、乾燥期間56日以降のデータの一部の記載を省略した)。
なお、比較のため、JIS A 1129−2「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法 第2部:コンタクトゲージ方法」(JIS法)に準拠して、前記コンクリートA〜Dの乾燥収縮ひずみを測定した。その結果を
図8と表3に併記した。
また、
図1に示す乾燥収縮ひずみ測定装置を用いて測定したコンクリートA〜Dの乾燥期間が7日、または14日の乾燥収縮ひずみの値に、表1の係数を乗じて求めた各コンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値の予測値を表4に示す。
さらに、前記乾燥期間が7日と14日の乾燥収縮ひずみの値から乾燥期間が10日の乾燥収縮ひずみの値を推定し、当該推定値に表1の係数を乗じて求めた各コンクリートの乾燥収縮ひずみの終局値の予測値を表4に併記する。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
図8に示すように、いずれのコンクリートも、乾燥収縮ひずみの終局値は、JIS法では乾燥期間が1年以上経過しなければ得られない。
一方、表4に示すように、本発明によれば、乾燥期間が7日、10日、または14日の乾燥収縮ひずみの値に表1の係数を乗じることにより、乾燥収縮ひずみの終局値を早期に精度よく得ることができる。