(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の後端部近傍を照明するための灯具であって、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、基板上に搭載した光源を収容して成る車両用照明灯において、
車両前後方向に長軸を有するシリンドリカルレンズを備え、該シリンドリカルレンズの前端に、光を車両後方に向けて反射させる反射面を形成し、
前記シリンドリカルレンズの入射面と前記反射面に対向する位置に前記光源をそれぞれ配置したことを特徴とする車両用照明灯。
前記シリンドリカルレンズを2つ配置し、各シリンドリカルレンズの入射面をこれに対向する前記光源の光軸に対して傾斜した斜面としたことを特徴とする請求項1記載の車両用照明灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、福祉車両には、高齢者等が車椅子によって乗り降りする後端開口部近傍を夜間に照明する照明灯が設けられていないものがあるため、高齢者等の夜間での乗り降りに不便を伴い、車椅子がスロープから脱輪する可能性もあった。又、
図18に示す福祉車両110のように、照明灯101を後端開口部110aの上端や左右両側に設けたものもあるが、このような福祉車両110においては、夜間での車椅子による乗降時に各照明灯101から出射する車両前方からの光が眩しい、又、これによっても脱輪の可能性が残っていた。
【0006】
又、
図18に示す福祉車両110においては、夜間での車椅子による乗降時に後続車両に対して注意を促す照明灯が設けられていないため、安全対策が不十分であるという問題もある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、夜間での車両への乗り降りを安全且つ容易に行うことができるとともに、夜間での乗降に対して後続車両に注意を喚起することができる車両用照明灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、車両の後端部近傍を照明するための灯具であって、ハウジングとその開口部を覆うアウタレンズによって画成された灯室内に、基板上に搭載した光源を収容して成る車両用照明灯において、車両前後方向に長軸を有するシリンドリカルレンズを備え、該シリンドリカルレンズの前端に、光を車両後方に向けて反射させる反射面を形成し、前記シリンドリカルレンズの入射面と前記反射面に対向する位置に前記光源をそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記反射面で反射した光は、前記シリンドリカルレンズの後端に形成された出射面より放出されることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シリンドリカルレンズの入射面は、これに対向する前記光源の光軸を中心とするVカット状の2つの斜面で構成され、前記シリンドリカルレンズは、前記2つの斜面に対応した曲率中心が異なる外側に凸の曲面を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シリンドリカルレンズを2つ配置し、各シリンドリカルレンズの入射面をこれに対向する前記光源の光軸に対して傾斜した斜面としたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、略半球面状の凸レンズを備え、該凸レンズの光軸上に第2の光源を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び2記載の発明によれば、シリンドリカルレンズの入射面に対向配置された光源から当該シリンドリカルレンズに入射する光は、該シリンドリカルレンズの出射面から車両前後方向に長いライン光として出射して車両の後端部近傍に照射されるため、例えば高齢者等を乗せた車椅子をライン光に沿ってガイドしながらスロープを移動させることができ、車椅子のスロープからの脱輪を防いで高齢者等を安全且つ容易に車両へと乗せ、或いは車両から降ろすことができる。
【0014】
又、シリンドリカルレンズの前端に形成された反射面に対向配置された光源から出射する光は、反射面で反射して車両後方に向かい、該シリンドリカルレンズの後端に形成された出射面から出射するため、この光によって高齢者等の乗り降りが前方車両においてなされていることが後続車両によって視認されることとなり、後続車に注意を喚起して安全性を高めることができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、シリンドリカルレンズの入射面をこれに対向する光源の光軸を中心とするVカット状の2つの斜面で構成したため、光源から出射する光は、斜面を成す2つの入射面から分岐してアウタレンズに入射し、アウタレンズから分岐した2本のライン光として出射する。このため、例えば車両の後端開口部に架け渡されたスロープの左右両端縁に沿ってライン光が照射され、車椅子をライン光の内側に沿って移動させることによって該車椅子のスロープからの脱輪を防ぐことができ、高齢者等を車両に対して安全に乗降させることができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、各シリンドリカルレンズの入射面をこれに対向する光源の光軸に対して傾斜した斜面としたため、各光源からの光は、各アウタレンズからライン光としてそれぞれ出射する。このため、例えば車両の後端開口部に架け渡されたスロープの左右両端縁に沿ってライン光が照射され、これらのライン光の内側に沿って車椅子を移動させることによって該車椅子のスロープからの脱輪を防ぐことができ、高齢者等を車両に対して安全に乗降させることができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、略半球面状の凸レンズの光軸上に配置された光源からの光は、凸レンズによって拡散して拡散光として車両の後端部近傍を一様に照明するため、例えば車両の後端開口部からの乗り降りが一層安全且つ容易になされる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1に係る車両用照明灯が設けられた車両の斜視図、
図2は本発明の実施の形態1に係る車両用照明灯の正面図、
図3は
図2の矢視A方向の図、
図4は
図2のB−B線断面図、
図5は
図2のC−C線断面図、
図6は
図3のD−D線断面図であって、(a)はシリンドリカルレンズから出射するライン光を示す図、(b)はシリンドリカルレンズの反射面で反射する光を示す図である。
【0021】
図1に示す車両10は、ワンボックスタイプの福祉車両であって、その後端開口部10aは、上端を中心として上下にスイングするバックドア11によって開閉される。そして、この車両10においては、図示のようにバックドア11を上方に跳ね上げて後端開口部10aを開放し、矩形平板状のスロープ12を後端開口部10aと地面との間に斜めに掛け渡した状態で、高齢者等が乗った不図示の車椅子をスロープ12に沿って移動させることによって、高齢者等を車両に対して乗り降りさせることが行われる。
【0022】
而して、
図1に示す車両10のバックドア11の裏面の略中心位置には、本発明に係る車両用照明灯1が取り付けられている。この車両用照明灯1は、
図1に示すように、車両10のバックドア11を跳ね上げて後端開口部10aを開放した状態では、後端開口部10aの近傍のスロープ12の周りを照明するためのものである。ここで、この車両用照明灯1の具体的な構成と作用を
図2〜
図6に基づいて以下に説明する。
【0023】
本発明に係る車両用照明灯1は、
図1に示す車両10のバックドア11の裏面に取り付けられる矩形のハウジング2とその開口部を覆う透明な矩形ボックス状のアウタレンズ3によって画成された灯室S(
図4〜
図6参照)内に、矩形平板状の基板4に実装された光源である1つの白色LED5(
図4及び
図6参照)と1つの赤色LED6(
図6参照)及び4つの白色LED7(
図5参照、但し
図5には2つのみ図示)を収容して構成されている。ここで、白色LD5,7と赤色LED6は、光の出射方向がアウタレンズ3に向かうように(
図4〜
図6の下向きとなるように)基板4に実装されている。
【0024】
上記ハウジング2は、ポリカーボネイトやABS等の不透明樹脂によって構成され、前記アウタレンズ3は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂によって構成されており、アウタレンズ3の周縁をハウジング2の開口部周縁に嵌め込んで結着することによって、前述のようにハウジング2とアウタレンズ3との間に前記灯室Sが形成されている。
【0025】
而して、本実施の形態においては、アウタレンズ3の外面の幅方向中心には、車両前後方向(
図1に示すようにバックドア11が開いた状態では、
図2の上方が車両前方、下方が車両後方)に長く延びた半円柱状のシリンドリカルレンズ3Aが一体に突設されている。そして、この車両前後方向に長軸を有するシリンドリカルレンズ3Aの前端(
図2の上端)には、
図6に示すように、傾斜する凸曲面状の反射面3Acが形成されている。反射面3Acは、赤色LED6の光軸上の接平面が基板4の赤色LED6搭載面に対して約45°傾斜しており、シリンドリカルレンズ3Aの外側に向かって凸の凸曲面で構成されている。尚、本実施の形態では、反射面3Acには銀色塗装やクロムメッキ等の反射処理が施されている。シリンドリカルレンズ3の後端(
図2の下端)には、出射面3Abが形成されている。本実施の形態において出射面3Abは、基板4から離れる方向に反射面3Ac側にやや傾斜した平坦面で構成されている。
【0026】
ここで、上記シリンドリカルレンズ3Aの内面は平坦な入射面を構成し、外面は凸曲面状の出射面3Aaを構成しており、入射面の中心に対向する位置には、
図4及び
図6に示すように、1つの白色LED5が配置されている。シリンドリカル面である出射面3Aaに対向する面が白色LED5からの光の入射面として構成されている。白色LED5は、シリンドリカルレンズ3Aの中心軸上に配置されている。又、シリンドリカルレンズ3Aの前端に形成された反射面3Acに対向する位置には、
図6に示すように、1つの前記赤色LED6が配置されている。
【0027】
更に、
図2に示すように、アウタレンズ3Aの外面の四隅には略半球面状の凸レンズ3Bがそれぞれ一体に突設されている。ここで、
図5に示すように、各凸レンズ3Bの内面は平坦な入射面を構成し、外面は凸半球面状の出射面を構成している。そして、各凸レンズ3Bの入射面に対向する位置には、各1つの白色LED7がそれぞれ配置されている。尚、1つの白色LED5と1つの赤色LED6及び4つの白色LED7は、不図示の電気配線を介してバッテリ等の電源に接続されている。
【0028】
以上のように構成された車両用照明灯1は、
図1に示す車両10のバックドア11の裏面に、アウタレンズ3に形成されたシリンドリカルレンズ3Aの反射面3Acが上側に位置する状態(
図2に示す状態)で取り付けられる。
【0029】
而して、高齢者等を乗せて移動する福祉車両として機能する
図1に示す車両10において、車椅子を使用して高齢車等を乗せ或いは降ろす場合には、バックドア11を上端を中心として図示のように上方へと回動させてこれを跳ね上げる。すると、車両10の後端開口部10aが開放されるため、該車両10の床面と地面との間に矩形板状のスロープ12を斜めに架け渡す。このとき、バックドア11の裏面に取り付けられた車両用照明灯1においては、
図2に示す上側が車両前方に位置し、下側が車両後方に位置する。
【0030】
ここで、車両10に対する高齢者等の乗降が夜間において行われる場合には、車両用照明灯1の各白色LED5,7と赤色LED6に不図示の電源から給電され、これらの各白色LED5,7と赤色LED6がそれぞれ起動された発光する。すると、アウタレンズ3に形成されたシリンドリカルレンズ3Aの平坦な入射面(内面)の長手方向中心に対向して配置された1つの白色LED5から出射する白色光は、
図4及び
図6(a)に示すように、シリンドリカルレンズ3Aの入射面から該シリンドリカルレンズ3Aの内部へと入射し、屈折によって幅方向(
図4の左右方向)に集光するとともに、車両前後方向(
図6(a)の左右方向)に若干集光した拡散光として当該シリンドリカルレンズ3Aの出射面(外面)3Aaから
図1に示すスロープ12に向かってライン光を照射する。つまり、シリンドリカルレンズ3Aにより、白色LED5からの出射光は、車両左右方向に大きく集光された拡散光、車両前後方向には車両左右方向の集光と比較して小さく集光された拡散光となる。この結果、
図1に示すように、スロープ12の幅方向中心にはライン光が1本の白い直線(センターライン)として表示され、従って、介護者は、その白い直線を目印としてこれに沿って車椅子をスロープ12上で移動させることができる。このため、車椅子のスロープ12からの脱輪が防がれ、車椅子によって高齢者等を車両10に対して安全且つ容易に乗せ或いは降ろすことができる。又、車両用照明灯1は、バックドアからの乗降時において、乗降者の上方位置にあるため、眩しさを抑制することができる。
【0031】
又、4つの各白色LED7から出射する光は、
図5に示すように、アウタレンズ3に形成された拡散光を照射する外側に向かって凸の曲面を有する凸レンズ3Bの各入射面(内面)から該凸レンズ3Bの内部へと入射し、各入射面における屈折によって僅かに集光されて出射面に入射するとともに、出射面における屈折によって集光された後、出射面より四方に拡散しながら
図1に示すスロープ12の周囲に向かって照射される。この結果、4つの凸レンズ3Bから四方に拡散しながらスロープ12に向かって照射される拡散光は、
図1に示すように、スロープ12の周囲に円形の拡散配光を形成するため、スロープ12の周囲が明るく照明され、この照明によって車椅子を用いた高齢者等の車両への乗降が一層安全且つ容易になされる。
【0032】
尚、本実施の形態においては、4つの白色LED7及び凸レンズ4Bは任意に設けることができる。又、本実施の形態に係る車両用照明灯1は、前端面を反射面3Acとしたシリンドリカルレンズ3Aを備えているため、1つのシリンドリカルレンズ3Aで車両後方近傍路面方向へのライン状配光と車両後方後続車方向への配光を形成することができる。このため、本実施の形態によれば、路面方向へのガイド光と後続車方向への警告光を照射する車両用照明灯1の小型化を図ることができる。
【0033】
更に、アウタレンズ3に形成されたシリンドリカルレンズ3Aの反射面3Acに対向配置された1つの赤色LED6から出射する赤色光は、
図6(b)に示すように、シリンドリカルレンズ3の反射面3Acで反射して若干集光させて出射面3Abに入射し、出射面3Abより車両後方(
図6(b)の左方)に向かって照射される。このため、この赤色光によって高齢者等の乗り降りが前方の車両10においてなされていることが後続車両によって視認されることとなり、後続車に注意を喚起して安全性を高めることができる。尚、出射面3Abは、本実施の形態では平坦面としたが、例えば、凸曲面、凹曲面、魚眼加工面、シボ加工面等の任意形状とすることができる。出射面3Abは、反射面3Acで反射して当該出射面3Abに入射する光を拡散させる形状とすることが、後方視認性を高める上で好ましい。
【0034】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を
図7〜
図10に基づいて以下に説明する。
【0035】
図7は本発明の実施の形態2に係る車両用照明灯1’が設けられた車両の斜視図、
図8は本発明の実施の形態2に係る車両用照明灯の正面図、
図9は
図8のE−E線断面図、
図10は
図9のF部拡大詳細図であり、これらの図においては
図1〜
図6に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0036】
図7に示す車両10も
図1に示したものと同様に福祉車両として使用されるものであり、この車両10においても、高齢者等を車椅子を用いて乗り降りさせる場合には、図示のようにバックドア11を上方へ跳ね上げて後端開口部10aを開放するが、本実施の形態においては、バックドア11の裏面に取り付けられた車両用照明灯1’から出射するライン光によってスロープ12の左右両端縁に沿ってライン光を照射する点が前記実施の形態1とは異なっている。
【0037】
本実施の形態に係る車両用照明灯1’においても、
図8に示すように、アウタレンズ3の外面の幅方向中心には、車両前後方向に長い略半円柱状のシリンドリカルレンズ3Aが一体に突設されるとともに、アウタレンズ3の外面の四隅には略半球面状の凸レンズ3Bがそれぞれ一体に突設されている。尚、本実施の形態においても、シリンドリカルレンズ3Aの前端(
図8の上端)には、斜め45°に傾斜する凸曲面状の反射面3Acが形成されている。
【0038】
而して、本実施の形態に係る車両用照明灯1’においては、
図9及び
図10に示すように、アウタレンズ3に一体に形成されたシリンドリカルレンズ3Aの入射面3bを、これに対向する白色LED5の光軸を中心とするVカット状の2つの斜面で構成している。又、シリンドリカルレンズ3の出射面3cは、入射面3bを構成する2つの斜面に対応して曲率中心が異なる2つの凸曲面で構成されている。ここで、出射面3cを構成する2つの凸曲面の曲率は同じであり、これらの凸曲面は、シリンドリカルレンズ3Aの外側に凸の曲面である。2つの尚、図示しないが、本実施の形態に係る車両用照明灯1’においても、各凸レンズ3Bの光軸上には各1つの白色LEDがそれぞれ配置され、シリンドリカルレンズ3Aの反射面3Acに対向する位置には1つの赤色LEDが配置されている。
【0039】
以上のように構成された車両用照明灯1’において、シリンドリカルレンズ3Aの入射面3bの長手方向中心に対向する位置に配置された1つの白色LED5が起動されて発光すると、その白色光は、
図9及び
図10に示すように、斜面を成す2つの入射面3bから左右に分岐してシリンドリカルレンズ3Aに入射し、シリンドリカルレンズ3Aの2つの出射面3cから左右に分岐して2本のライン光として出射する。このため、
図7に示すように、車両10の後端開口部10aに架け渡されたスロープ12の左右両端縁に沿って白いライン光が照射され、車椅子をライン光の内側に沿って移動させることによって該車椅子のスロープ12からの脱輪を防ぐことができ、高齢者等を車両10に対して安全に乗降させることができる。
【0040】
尚、本実施の形態に係る車両用照明灯1’においても、前記実施の形態1と同様に、アウタレンズ3の四隅に一体に突設された各凸レンズ3Bより放出される拡散光によってスロープ12の周囲が明るく照明されるために高齢者等の車両10への乗り降りが一層安全且つ容易になされる。又、不図示の赤色LEDから出射する光は、シリンドリカルレンズ3Aの前端に形成された反射面3Acで反射して車両後方へと出射するため、高齢者等の乗り降りが前方の車両10においてなされていることが後続車両によって視認されることとなり、後続車に注意を喚起して安全性を高めることができる。
【0041】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を
図11〜
図13に基づいて以下に説明する。
【0042】
図11は本発明の実施の形態3に係る車両用照明灯1”の正面図、
図12は
図11のG−G線断面図、
図13は
図12のH部拡大詳細図であり、これらの図においても
図1〜
図6において示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0043】
本実施の形態は、前記実施の形態2と同様に、
図7に示すスロープ12の左右両端縁に沿って白いライン光を照射するための別構造を示すものである。即ち、本実施の形態に係る車両用照明灯1”においては、
図11に示すように、アウタレンズ3の外面の幅方向両端部に、車両前後方向(
図11の上下方向)に長いシリンドリカルレンズ3Aをそれぞれ一体に突設し、
図12及び
図13に示すように、各シリンドリカルレンズ3Aの入射面3bをこれに対向する白色LED5の光軸に対して斜面した斜面としている。尚、本実施の形態においても、各シリンドリカルレンズ3Aの前端(
図11の上端)には、斜め45°に傾斜する凸曲面状の反射面3Ac(
図11参照)がそれぞれ形成されており、各反射面3Acに対向する位置には不図示の赤色LEDがそれぞれ配置されている。
【0044】
而して、本実施の形態に係る車両用照明灯1”において、左右の各シリンドリカルレンズ3Aの入射面3bの長手方向中心に対向する位置にそれぞれ配置された各1つの白色LED5が起動されて発光すると、その光は、
図12及び
図13に示すように、斜面を成す各入射面3bから左右の各シリンドリカルレンズ3Aの内部に入射する。そして、左右のシリンドリカルレンズ3Aの内部に入射した光は、屈折して左右の各シリンドリカルレンズ3Aの出射面3cから左右に向かうライン光としてそれぞれ出射しする。このため、
図7に示すように、車両10の後端開口部10aに架け渡されたスロープ12の左右両端縁に沿って白いライン光が照射され、車椅子をライン光の内側に沿って移動させることによって該車椅子のスロープ12からの脱輪を防ぐことができ、高齢者等を車両10に対して安全に乗降させることができる。
【0045】
尚、本実施の形態に係る車両用照明灯1”においても、前記実施の形態1,2と同様に、不図示の赤色LEDから出射する赤色光は、左右のシリンドリカルレンズ3Aの前端にそれぞれ形成された反射面3Acで反射して車両後方へと出射するため、高齢者等の乗り降りが前方の車両10においてなされていることが後続車両によって視認されることとなり、後続車に注意を喚起して安全性を高めることができる。
【0046】
ところで、以上は本発明を後端開口部を上下に回動するバックドアによって開閉する方式を採用する車両に設けられる車両用照明灯に対して適用した形態について説明したが、本発明は、後端開口部を左右に回動する或いはスライドすることによって開閉する方式を採用する車両に設けられる車両用照明灯に対しても同様に適用可能である。車両の形態により車両用照明灯をバックドアに取り付けることが困難である場合には、車両天井の後端開口部近傍に車両用照明灯を取り付けることができる。又、以上は本発明を福祉車両として機能する車両に設けられる車両用照明灯に対して適用した形態について説明したが、本発明に係る車両用照明灯が設けられる車両は、他の任意の用途に供される車両であっても良いことは勿論である。
【0047】
更に、以上は車両の後端開口部に掛け渡されたスロープの近傍を照明するための車両用照明灯に対して本発明を適用した形態について説明したが、本発明に係る車両用照明灯が設けられる車両の乗降機構は、ステップでも昇降機構等であっても良いことは勿論である。
【0048】
<実施の形態4>
以上は、本発明に係る車両用照明灯を停車時に車両の乗降可能な後端開口部近傍を照明するためのものとして使用する形態について説明したが、本発明に係る車両用照明灯は、車両走行時に車両後端近傍の路面を照明する用途にも供せられる。その一例を
図14に基づいて以下に説明する。
【0049】
図14は本発明の実施の形態4に係る車両用照明灯が設けられた車両の側面図であり、図示の車両は自転車20であって、この自転車20においては、サドル21を支持する丸パイプ状の支柱22の上部に、前記実施の形態3に示したものと同じ車両用照明灯1”が取り付けられている。又、本実施の形態に係る車両用照明灯1”は、支柱22に取り付けられるとともに、サドル21の下のサポートリムへも固定されており、これによって車両用照明灯1”の平衡度を確保することができる。
【0050】
車両用照明灯1”が設けられた自転車20においては、後端部近傍の地面が車幅よりも広い間隔でライン状に照明される。又、車両用照明灯1”から後方に向かって照射される赤色光によって、当該自転車20の存在を後方車両等に知らせることができるため、安全性が高められる。尚、車両用照明灯1”においては、自転車20の走行状態に応じて光の照射パターンを変化させることができる。例えば、車両用照明灯1”に備えられた六軸センサ等の検知手段と連動させることによって、自転車20の速度や傾きを検出し、自転車20が減速した場合には後方に向かって照射される赤色光を点滅させたり、車両が傾斜した場合には傾斜した側の赤色光を点滅させることができる。
【0051】
尚、本実施の形態に係る車両用照明灯に使用される光源としては、LED等の非コヒーレント光を出射するものが好ましい。コヒーレント光は、眼に対する安全性を考慮した出力となるため、この非コヒーレント光を高い出力で用いることによって、後方からの視認性を高めることができるためである。
【0052】
<実施の形態5>
次に、本発明の実施の形態5を
図15〜
図17に基づいて以下に説明する。
【0053】
図15は本発明の実施の形態5に係る車両用照明灯1Aの正面図、
図16は
図15のI−I線断面図、
図17は
図15のJ−J線断面図であり、これらの図においては
図2〜
図6に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0054】
本実施の形態に係る車両用照明灯1Aは、シリンドリカルレンズ3Aと凸レンズ3Bをインナレンズとしてアウタレンズ3とは別体に構成し、これらを例えばネジ8,9等の固定手段によってそれぞれハウジング2又は基板4に取り付けたことを特徴としている。尚、インナレンズとしてのシリンドリカルレンズ3Aと凸レンズ3Bとを一体に構成し、この一体化されたシリンドリカルレンズ3Aと凸レンズ3Bをハウジング2又は基板4に取り付けても良い。又、シリンドリカルレンズ3A又は凸レンズ3Bの何れか一方をインナレンズとし、他方をアウタレンズ3と一体に構成しても良い。
【0055】
而して、本実施の形態に係る車両用照明灯1Aの基本構成は、
図2〜
図6に示した実施の形態1に係る車両用照明灯1のそれと同じであるため、本実施の形態においても前記実施の形態1において得られたと同様の作用効果が得られる。
【0056】
ところで、本発明に係る車両用照明灯は、公道を走行する車両のみならず、倒立振子移動体、車椅子等の車両に対しても設けられて前記と同様の効果を奏することができる。
【0057】
更に、以上の実施の形態では、車両用照明灯の光源としてLEDを用いた例について説明したが、光源にはLED以外のバルブを含む任意の光源を用いることができる。又、以上の実施の形態では、光源として白色LEDと赤色LEDを使用したが、任意の発光色の光源を使用することができる。