(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の面の長手方向に複数のラベルからなるラベル群が複数配列された長尺のフィルムを繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部によって繰り出された前記フィルムから前記ラベル群を分離する分離部と、前記分離部によって分離された前記ラベル群を金型内に配置する配置部と、前記金型内に成形材料を供給し、前記配置部によって前記金型内に配置された前記ラベル群が外壁に貼着した容器を成形する成形部とを備え、前記分離部は、前記ラベル群をなす前記複数のラベルのそれぞれを前記フィルムから分離し、前記配置部は、前記金型のうち一つの内部に、前記分離部で分離された前記複数のラベルのそれぞれを配置し、前記ラベル群における前記複数のラベルの相対的な配置は、前記金型のうち一つの内部において配置される前記複数のラベルの相対的な配置と異なるように設定されたラベル付き容器の製造装置のために使用され、
前記分離部での前記複数のラベルの相対位置を前記配置部での前記複数のラベルの相対位置に変化させて、前記金型に前記複数のラベルを配置することを制御する制御工程をコンピュータに実行させる
ことを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、実施形態としてのラベル付き容器の製造装置および製造方法ならびにこれらに用いられるプログラムおよびこれを記録した記録媒体について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
以下の実施形態では、ラベル付き容器の製造工程を基準に上流および下流を定め、重力の作用方向を下方とし、下方の反対方向を上方とする。
【0016】
[I.一実施形態]
[1.ラベル付き容器]
まず、本実施形態の装置および方法で製造されるラベル付き容器について説明する。
図1Aに示すように、本実施形態のラベル付き容器は、外壁2aにラベル10が貼着している中空の容器2である。たとえば、ラベル10が容器2に融着(溶着)して一体化した状態は、ラベル10が容器2に貼着した状態に含まれる。
【0017】
このラベル付き容器では、インモールドラベリング(インモールド成形)でラベル10が容器2に貼着している。そのため、ラベル10の厚み方向の少なくとも一部が容器2の外壁2aに埋没している。したがって、
図1Bおよび
図1Cに示すように、ラベル10の厚み方向寸法を「T
1」とおき、外壁2aの外表面2bに対して外側で段部を形成するラベル10の高さ寸法(厚み方向寸法)を「T
2」とおけば、不等式「T
1>T
2」を満たす。プリフォームを使用するブロー成形方法の場合、不等式「T
1>T
2」を満たしやすい。なお、ラベル10の厚み方向の全部が容器2の外壁2aに埋没(たとえばラベル10の外表面と容器2の外表面2bとが同一平面をなす)していてもよく、この場合は「T
2=0」となる。また、ダイレクトブロー成形の場合は等式「T
2=0」を満たしやすい。
ここでは、側面視で複数のラベル10(ラベル群)が容器2の外壁2aに貼着している。さらに、容器2に貼着する前のラベル10は、裏面(貼着面)に予めヒートシール層1a(
図3参照)を有している。
【0018】
図1Aでは、容器2における表側の外壁2aに、第一ラベル11および第二ラベル12からなる二枚のラベル10(単に「ラベル10」と言う)を例示する。なお、図示省略するが、容器2における裏側の外壁には一枚のラベルが貼着している。
また、ラベル11,12は、互いに異なる形状に形成されている。ここでは、円形の第一ラベル11を例示し、三角形の第二ラベル12を例示する。ラベル11,12の輪郭形状の他の例としては、輪郭が曲線のみからなる種々の形状が挙げられる。ここでいう「輪郭が曲線のみからなる形状」には、紅葉形のような曲線どうしが角部で突き合わされた形状を含むものとする。
【0019】
ラベル10は、
図3に示すように、長尺(帯状)のフィルム1の一方の面の長手方向に規則的に配列して複数形成されている。これらのラベル10は、後述するようにフィルム1から分離可能となっている。
このフィルム1では、裏側(
図3では紙面手前側)の面から表側(
図3では紙面奥側)の面に向けて、ヒートシール層1a、基層1bおよび印刷層1cの順に少なくとも三層が積層されて形成される。
【0020】
ヒートシール層1aは、ラベル10と容器2とを接合する接着剤の働きをするものである。ヒートシール層1aは、常温では固体状であるが、金型内で被着体(容器2)を成形する際に溶融した樹脂の熱で活性化し、被着体と溶融接着して、冷却後は再度固体状となり強固な接着力を発揮する。
ヒートシール層1aの形成は特に限定されないが、例えば、基層1bの印刷層1cに対して反対側の面にヒートシール剤を塗布する方法,ドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する方法,基層1bとともに押出ラミネートする方法,ヒートシール層1aを予めフィルム状に成形し、これに対して基層1bに接着剤を介してラミネートする方法などにより形成することができる。そのため、ヒートシール層1aと基層1bとは強く粘着して一体的に設けられる。
【0021】
なお、フィルム1は、いわゆる単層フィルム(基層1bが単層)として構成されてもよい。この場合には、基層1bにコロナ放電処理などを施すことで、基層1bに印刷機能を付与することができる。よって、フィルム1から印刷層1cを省略することもできる。
【0022】
フィルム1は、一部分がラベル10であり、その他の部分が余白部13である。すなわち、フィルム1は、ラベル10の輪郭形状に沿って切断され、この切断線を介してラベル10と余白部13とが区画されるようになっている。
ここでは、ラベル10がフィルム1から脱落しないように、フィルム1が繰り出された状態においてラベル10と余白部13とが一部で繋がっており、ラベル10と余白部13とが完全には分離していない。たとえば、複数あるいは単数の箇所でラベル10と余白部13とが点状に繋げられた点止め加工が施されている。なお、上記した切断線がミシン目状に形成されていてもよい。
【0023】
あるいは、上記した切断線に替えてまたは加えて、ヒートシール層1a側または印刷層1c側から深さ(厚さ)方向に切れ込み(ハーフカット)がフィルム1に施されていてもよい。このとき、ヒートシール層1a,基層1bおよび印刷層1cの少なくとも一層において、完全には切断されずに接続されているように構成する。たとえば、ロータリーダイカッターやピナクルダイなどを使用してハーフカットが施される。
また、ラベル10の輪郭に切れ込みがない状態でフィルム1が繰り出され、ラベル10の輪郭形状に応じた刃部を有するダイカッタによってラベル10を切断することができる。あるいは、ラベル10の輪郭形状に沿ってレーザーでフィルム1を切断(レーザーカット)してもよい。
【0024】
そのほか、図示省略するが、フィルム1を他の搬送フィルムに貼り付けてもよい。具体的には、フィルム1のうちラベル10の部分において、ヒートシール層1a,基層1bおよび印刷層1cは、微粘着性の粘着剤あるいは接着剤を介して、フィルム1とは別の搬送フィルムに取り外し可能なように貼り付けられていてもよい。このとき、搬送フィルムからラベル10を外したときに、印刷層1cの表面に粘着剤あるいは接着剤が残らないように構成することが好ましい。この場合には、ラベル10と余白部13とが完全に切り離された全抜き加工が施されていてもよい。また、余白部13においては、搬送フィルムに必ずしもヒートシール層1a,基層1bおよび印刷層1cの全てが貼り付けられていなくてもよい。
【0025】
[2.製造装置]
つぎに、
図2〜
図5を参照して、ラベル付き容器を製造する装置を説明する。
この製造装置は、
図2に示すように、上流から下流に向けてそれぞれ設けられた繰り出し機構(繰り出し部,第一排出部)20,搬送機構(搬送部)50および成形機構(成形部)90の三つの機構に大別される。
【0026】
繰り出し機構20は、ラベル10が配列されたフィルム1を繰り出し、搬送機構50は、繰り出されるフィルム1からラベル10を分離してから金型91に配置するまで搬送する。成形機構90は、金型91内に成形材料を供給し、金型91の内部に配置されたラベル10を外壁2a(
図1参照)に貼着させて、容器2を成形する。
さらに、繰り出し機構20には、印刷されたラベル10の絵柄の印刷状態を検査する検査部40が付設されていてもよい。
【0027】
ここでは、本製造装置にフィルム1が配設される前に、ラベル10の絵柄,図柄あるいは文字など(単に「絵柄」という)がフィルム1に予め印刷されている。
ただし、ラベル10の絵柄をフィルム1における印刷層1cの表面に印刷する印刷部30(
図2には二点鎖線で示す)を繰り出し機構20に付設してもよい。すなわち、ラベル付き容器の製造装置に、ラベル10が配列されたフィルム1を準備するための印刷部30が組み込まれていてもよい。
なお、ラベル10の印刷されたフィルム1が繰り出し機構20に配設される場合には、印刷部30を停止させてもよく、印刷部30を省略してもよい。
【0028】
搬送機構50には、搬送するラベル10をフィルム1から保持し、また、搬送されたラベル10を金型91の内部に配置するアーム部(分離部,配置部)60が設けられる。そのうえ、搬送中のラベル10を整形する整形部70と、搬送中のラベル10を帯電させる帯電部80とが搬送機構50に付設されていてもよい。
ここで説明する製造装置には、二つの割り金型91a,91bから構成される金型91が設けられている。具体的には、装置の一側(
図2では上方)に第一割り金型91aを配置し、他側(
図2では下方)に第二割り金型91bを配置することで、ラベル10の処理効率を高めるたうえで、容器2の成形効率も向上させている。なお、ラベル付き容器は、第一割り金型91aによって表側が成形され、第二割り金型91bによって裏側が成形される。
【0029】
そのため、製造装置が水平方向に対称(
図2では上下対称)に設けられている。このように対称な製造装置では、二系統の製造工程を同時に実施することができる。具体的には、容器2における表側の外壁2aに貼着するラベル10を装置の一側で扱うと同時に、容器2における裏側の外壁に貼着するラベル10を装置の他側で扱うことができる。
ここでは、二組の金型91が設けられ、二つのラベル付き容器を同時に成形する製造装置を例示する。
以下の説明では、主に装置の一側に着目して説明する。
【0030】
[2−1.繰り出し機構]
まず、繰り出し機構20の繰り出しに関する構成を説明する。
繰り出し機構20は、フィルム1を繰り出すことで、ラベル10を所定の位置に繰り出す機構である。この繰り出し機構20には、二つの回転軸21,22が設けられる。これらの回転軸21,22のうち、上流側に配置された第一回転軸21ではラベル10が分離される前のフィルム1の上流部が巻回された状態から引き出され、下流側に配置された第二回転軸22ではラベル10が分離された後のフィルム1(残部)の下流部が巻き取られる。ここでは、第二回転軸22が回転駆動される。さらに、回転軸21,22にそれぞれ巻回されたフィルム1の中間部は、平面状に張架される。
このフィルム1が平面状に張架される領域に、フィルム1の繰り出し方向上流側から下流側へ向けてそれぞれ設けられた印刷部30,検査部40が配置される。これらの印刷部30,検査部40の下流には、車台部52の原点位置P
1が設定されている。
【0031】
この繰り出し機構20は、第二回転軸22を回転駆動することで、第一回転軸21に巻回されたフィルム1を引き出すとともに第二回転軸22にフィルム1を巻き取り、フィルム1を繰り出して、ラベル10を所定の位置に繰り出す。そのため、仮にフィルム1からラベル10が分離されなければ、ラベル10が第二回転軸22に巻き取られて、繰り出し機構20でそのまま回収されて排出される。
ここでの繰り出し機構20は、フィルム1から分離されるラベル10を所定の位置(以下「分離位置」という)まで繰り出して静止させる。静止したラベル10は、アーム部60で分離される。このことから、第二回転軸22が間欠駆動され、ラベル10の送り出しとその停止とが繰り返される繰り出しが実施される。具体的には、二つのラベル10におけるフィルム1の長手方向寸法に対応する回転量あるいは回転位相だけ第二回転軸22を回転させた後にその回転を停止させることを繰り返す。
【0032】
〈位置決め機構〉
繰り出し機構20には、繰り出されたラベル10を分離位置に静止させるための位置決め機構(位置決め部)25が設けられている。
位置決め機構25では、
図3に示すように、フィルム1の余白部13に付されたアイマークやトンボなどのマーキング14と、このマーキング14を撮像あるいは走査(以下単に「撮像」という)する光学機器26とを用いることができる。この場合には、光学機器26によって撮像されたマーキング14の位置とこれに対応するフィルム1の位相とに基づいて、繰り出し機構20を制御してラベル10の位置決めをすることができる。
【0033】
ここで、分離位置にラベル10が位置するときのフィルム1の位相を「N」とし、この位相からラベル10が一つ分だけ繰り出されたときのフィルム1の位相を「N+1」とし、さらにもう一つ分だけラベルが繰り出されたときのフィルム1の位相を「N+2」とする。なお、位相が「N+2」のフィルム1がラベル10一つ分だけさらに繰り出されると、分離位置にラベル10が位置し、フィルム1の位相は「N」となる。
ここでいう「ラベル10が一つ分だけ繰り出される」とは、ラベル10におけるフィルム1の長手方向寸法に対応する量あるいは位相だけ第二回転軸22を回転させることを意味する。
つづいて、繰り出し機構20に付設される印刷部30および検査部40を説明する。
【0034】
〈印刷部〉
印刷部30は、フィルム1のラベル10となる部分に絵柄を印刷するプリンタである。すなわち、フィルム1の表面に所要の印刷がなされることで、ラベル10が形成される。
この印刷部30の印刷方式としては、ラベル10に印刷可能な方式であれば、刷版方式,電子写真方式,インクジェット方式,熱転写方式といった種々の印刷方式を採用することができる。印刷部30の印刷方式の特徴を利用して、シリアルナンバー,日付,名前などの可変情報をオンデマンド印刷することができる。また、ラベル10の印刷が全く施されていないフィルム1を繰り出し機構20にセットして、ラベル10の絵柄をすべて印刷部30で印刷することもできる。この場合には、少量のラベル10を印刷して容器2を形成するときに、大掛かりな印刷部30や予めラベル10を印刷する印刷装置を必要としないためコスト上有利である。
【0035】
ここでは、印刷部30で印刷されるラベル10の輪郭に予め切断線が形成されている。ただし、印刷部30による印刷と並列的あるいは事後的に切断線を形成してもよい。印刷後に切断線が形成される場合には、印刷された絵柄の輪郭位置に合わせて切断線を形成することができる。
ここまでに説明した繰り出し機構20を録音装置のオープンリールに準えれば、リールに巻回されたテープがフィルム1に対応し、リールの駆動装置が繰り出し機構20に対応し、録音ヘッドが印刷部30に対応する。
【0036】
〈検査部〉
検査部40は、繰り出し機構20で繰り出されるラベル10が所定の状態であるか否かを検査する。ここでいう「所定の状態である」とは、ラベル10の状態が良好(合格)であることを意味する。逆に、「所定の状態でない」とは、ラベル10の状態が不良(不合格)であることを意味する。そのため、検査部40は、不良な状態のラベル10を検出するものとも言える。
【0037】
検査部40による検査対象としては、ラベル10の印刷状態や表面状態が挙げられる。検査対象が印刷状態であれば、ラベル10に印刷された絵柄の位置や色味などが所定の印刷状態(所定の状態)、即ち、所望の印刷がなされているか否かが検査される。検査対象が表面状態であれば、ラベル10に異物が付着していない所定の表面状態(所定の状態)であるか否かが検査される。
【0038】
不良な印刷状態であること(所定の印刷状態ではないこと)の例としては、印刷色のズレや印刷ムラ,印刷抜け,意図しない黒点や白点,絵柄の配置ズレ,皺や傷がラベル10の印刷に存在する状態などが挙げられる。
不良な表面状態であること(所定の表面状態ではないこと)の例としては、塵や埃などの異物がラベル10の表面に存在する状態などが挙げられる。
【0039】
この検査部40は、ラベル10の状態を検出する検出部41と、検出部41による検出結果に基づいてラベル10が所定の状態であるか否かを判定する判定部42とを有する。
検出部41としては、ラベル10の状態を検出可能な種々の公知機器を用いることができる。たとえば、ラベル10を撮像あるいは走査するカメラやスキャナといった光学機器が検出部41に用いられる。具体的には、CCDのエリアカメラやラインセンサが検出部41に採用される。さらに、検出精度を向上させるために、可視光やレーザー光をラベル10に照射する機器を検出部41に付設してもよい。
【0040】
たとえば、検出部41は、フィルム1に対して、基層1bに対して印刷層1cが配置される側(ここでは「外側」という)に配置される。このように検出部41が外側に配置されることで、フィルム1が透明である場合のほか不透明である場合にも、ラベル10の印刷状態や表面状態を検査することができる。なお、透明なフィルム1を用いる場合には、フィルム1に対して、基層1bに対してヒートシール層1aが配置される側(内側)に検出部41が配置されてもよい。
【0041】
判定部42による判定手法としては、ラベル10が所定の状態であるか否かを判定可能な手法であればさまざまな公知手法を採用することができる。たとえば、ラベル10の見本となる画像データと検出部41で検出されたデータとを比較して、これらのデータの差分が所定基準以下であればラベル10が所定の状態であると判定し、差分が所定基準よりも大きければラベル10が所定の状態でないと判定する。
【0042】
ここでは、フィルム1の位相が「N」のとき、即ち、ラベル10の繰り出しが停止したときに、検査部40がラベル10を検査する。具体的には、繰り出しの停止されたラベル10を検出部41が検出する。この検出部41は、分離位置よりも上流側のラベル10に対向して配置される。
なお、検出部41(たとえばエリアカメラ)がラベル10の状態を面状(二次元画像状)に撮像する場合は、ラベル10の繰り出しを停止させて判定することが好ましい。また、検出部41(たとえばCCDのラインセンサ)がラベル10の状態を線状(一次元画像状)にスキャン(走査)する場合には、ラベル10の繰り出しを停止させなくてもよい。
そのほか、判定部42は、検出部41が一体でなくてもよく、別体にして別の場所に配置してもよい。また、判定部42は、ハード構成品としてもよく、コンピュータに組み込んだソフト構成品にしてもよい。
【0043】
[2−2.搬送機構]
つぎに、搬送機構50の搬送に関する構成を説明する。
搬送機構50には、繰り出し機構20および成形機構90に跨るように延びるスライドレール51と、このスライドレール51に沿ってスライド移動する車台部52とが設けられている。このスライドレール51はフィルム1の中間部に沿って水平に敷設され、車台部52が水平に移動する。
【0044】
ここでは、水平方向のうち、スライドレール51が延びる方向を「X方向」(
図2では左右方向)とし、このX方向に直交する方向を「Y方向」(
図2では上下方向)とする。さらに、X方向のうち一方(
図2では左方)を「X
1」とするとともに他方を「X
2」とし、Y方向のうち一方(
図2では上方)を「Y
1」とするとともに他方を「Y
2」とする。
製造装置のY
1方向側では、フィルム1や第一割り金型91aよりもY
2方向側にスライドレール51および車台部52が設けられる。反対に、製造装置のY
2方向側では、フィルム1や第二割り金型91bよりもY
1方向側にスライドレール51および車台部52が設けられる。
【0045】
スライドレール51上の車台部52は、X
1方向からX
2方向に向けて、ラベル10を分離する原点位置P
1,ラベル10を整形部70で整形する整形位置P
2,ラベル10を帯電部80で帯電させる帯電位置P
3,ラベル10を第一割り金型91aに配置して容器2を成形する成形位置P
4の順に並ぶ各位置に移動する。
具体的に言えば、車台部52は、ラベル10を搬送するときに、原点位置P
1,整形位置P
2,帯電位置P
3,成形位置P
4の順に往動する。その後に、ラベル10を再び搬送するため、成形位置P
4,帯電位置P
3,整形位置P
2,原点位置P
1の順に復動する。そして、再びラベル10を搬送するときに、原点位置P
1,整形位置P
2,帯電位置P
3,成形位置P
4の順に往動する。
【0046】
車台部52には、上述したアーム部60が設けられる。アーム部60は、伸縮するようにY方向に駆動される。具体的には、アーム部60の先端部60aがフィルム1や第一割り金型91aに当接するように突出した挿抜位置と、先端部60aがフィルム1や第一割り金型91aから離隔した搬送位置との二つの位置を切り替えるように、アーム部60が車台部52から出没駆動(往復駆動)される。
さらに、アーム部60の先端部60aには、保持対象のラベル10を吸い付ける吸引機構(吸盤)が設けられている。
【0047】
ここでは、使用ラベルがラベル10である場合には、ラベル11とラベル12とからなるラベル10が二組同時に分離される(
図3参照)。そのため、二組のラベル10のそれぞれに対応して二組のアーム部60がX方向に並んで設けられる。さらに、一組のラベル10には二枚のラベル11,12が設けられることから、一組のアーム部60には、第一ラベル11に対応する第一アーム部61と、第二ラベル12に対応する第二アーム部62とが設けられる。敷衍して言えば、一組のラベル10におけるラベル11,12の枚数に応じた数のアーム部61,62が車台部52に設けられる。以下の説明では、一組のアーム部60に着目して説明する。
つぎに、位置P
1,P
2,P
3,P
4のそれぞれに車台部52が位置するときの搬送機構50について順を追って述べる。
【0048】
〈分離部〉
原点位置P
1に車台部52が位置するときには、車台部52のアーム部60が、フィルム1からラベル10を分離する分離部として機能する。このときの車台部52は、原点位置P
1に停止している。
アーム部60は、
図3の中央に示すように、搬送位置から挿抜位置に突出駆動され、先端部60aがラベル10に接触する。それから、吸引機構が作動して先端部60aにラベル10が吸い付けられる。その後、
図3の右側に示すように、挿抜位置から搬送位置にアーム部60が没入駆動される。このとき、先端部60aに吸い付けられたラベル10がフィルム1から分離される。この分離時には、ラベル10と余白部13とを繋ぐ点状の箇所が引きちぎられる。
【0049】
ここでは、
図2および
図3に示すように、アーム部60によるラベル10の分離をサポートするために、ラベル10の分離方向とは反対方向に余白部13を押圧するストッパ29が設けられている。このストッパ29としては、フィルム1に対して車台部52側に立設されたプレート29aや、このプレート29aからフィルム1側に突出したピン29bを用いることができる。このストッパ29により、ラベル10の分離方向とは反対方向に余白部13を押さえることで、ラベル10の分離性を向上させることができる。
すなわち、アーム部60やその出没駆動機構,吸引機構,ストッパ29などの設けられた分離機構(分離部)が設けられている。
【0050】
このように分離されたラベル10には、たとえば余白部13に対する繋ぎ目や切断不良によって、
図4に示すように、微小な突起状の異形部11aやヒゲ状あるいはバリ状の異形部12aが付随して形成されうる。
そこで、つぎに説明する整形部70が本製造装置には配備されている。
【0051】
〈整形部〉
整形位置P
2に車台部52が位置するときには、アーム部60に保持された搬送中のラベル10が、整形部70によって整形される。
整形部70は、ラベル10に付随している異形部11a,12aを除去して、ラベル10を整形する。この整形部70としては、噴射したエアで異形部11aを吹き飛ばしてラベル10から除去するエアガン(噴気部)71や、放射した火炎で異形部12aを溶融させてラベル10から除去するバーナ(火炎放射部)72といった異形部除去装置を採用することができる。
ここでは、整形部70から連続的に放出されたエアや火炎にラベル10の異形部11a,12aが晒されることで、異形部11a,12aが除去され、搬送中のラベル10が整形される。
【0052】
〈帯電部〉
ところで、金型91の内部(キャビティ)にラベル10を配置した直後には、金型91内でラベル10が動かないよう保持する必要がある。このようにラベル10を保持する方式としては、金型91内に吸引孔を設け、この吸引孔から真空吸引してラベル10を保持する方式と、ラベル10を帯電させて、金型91にラベル10を静電吸着させる方式が挙げられる。後者を採用する場合には、ラベル10を帯電させる必要があり、これには、ラベル10の少なくとも片面を帯電防止処理せず形成し、これによって得られたラベル10を帯電させる装置が必要となる。
【0053】
ここでは、ラベル10を帯電させる方式を採用した製造装置を例示する。
図2に示すように、帯電位置P
3に車台部52が位置するときには、アーム部60に保持された搬送中のラベル10が、帯電部80の近傍を通過する。これにより、ラベル10が帯電させられる。これによって、第一割り金型91aの内部にラベル10が配置された後に、ラベル10が第一割り金型91aに張り付いた状態がクーロン力で保持される。この帯電部80としては、帯電バーや帯電ガンといった帯電装置を採用することができる。
なお、ラベル10を金型91に真空吸引させる吸引機構が本製造装置に設けられれば、帯電部80を停止させてもよく、帯電部80を省略してもよい。
【0054】
〈配置部〉
配置位置P
4に車台部52が位置するときには、車台部52のアーム部60が、第一割り金型91aの内部にラベル10を配置する配置部として機能する。このときの車台部52は、第一割り金型91aの内部に対向するように、配置位置P
4に停止している。
アーム部60は、搬送位置から挿抜位置に突出駆動され、先端部60aに保持されたラベル10が第一割り金型91aの内部に挿入されて押し当てられる。
【0055】
それから、アーム部60の吸引機構の作動が停止し、帯電状態のラベル10が第一割り金型91aの内部に張り付く。このとき、
図5に示すように、ラベル10をなす第一ラベル11および第二ラベル12は、相対的な配置が保持されたまま第一割り金型91aの内部の所定位置に張り付く。そのため、金型91のうち第一割り金型91aの内部におけるラベル11,12の相対的な配置に合わせて、フィルム1におけるラベル11,12の相対的な配置が設定されている。
すなわち、アーム部60やその出没駆動機構,吸引機構などの設けられた配置機構(配置部)が設けられている。
【0056】
その後、挿抜位置から搬送位置にアーム部60が没入駆動されて、車台部52が原点位置P
1に移動する。
なお、ラベル10が第一割り金型91aに押し当てられると、繰り出し機構20がフィルム1を再び繰り出して、ラベル10が二つ分だけ繰り出される。
【0057】
[2−3.成形機構]
つぎに、
図2を参照して、成形機構90を説明する。
成形機構90は、金型91内に成形材料を供給し、インモールドラベリングで外壁2aにラベル10を貼着させることで、容器2をインモールド成形する。ここでは、ブロー成形でラベル10が貼着した容器2を成形する。たとえば、インジェクション成形,ダイレクトブロー成形,ストレッチブロー成形などでラベル付き容器を成形する。また、差圧式熱成形や真空成形などでラベル10が貼着した容器2を成形してもよい。
【0058】
この成形機構90には、二組のアーム部60と同様に、二組の金型91がX方向に並んで配置される。さらに、Y方向に二分割された割り金型91a,91bから各組の金型91が構成されることから、割り金型91a,91bを結ぶようにY方向に延びるスライドレール92が成形機構90に敷設される。このスライドレール92に沿って割り金型91a,91bが互いに接近または離隔するように移動する。
【0059】
また、成形機構90のY方向中央には、溶融したパイプ状の成形材料(プラスチック原料、いわゆる「パリソン」や「プリフォーム」)を金型91に供給する供給口93と、型閉め時の金型91に空気を吹き込み吹込口94とが設けられる。これらの供給口93および吹込口94は、金型91よりも上方に配置される。
なお、割り金型91a,91bには、配置されるラベル10を吸い付ける吸引機構が設けられていてもよい。
【0060】
ラベル付き容器は、次のような手順で成形される。
供給口93から割り金型91a,91b内に成形材料を導入し、割り金型91a,91bを接近させて型閉めしてブロー成形する。そして、冷却された割り金型91a,91bを互いに離隔させて型開きし、成形されたラベル付き容器が取り出される。その後、ラベル付き容器のバリ取り処理を施してもよい。
【0061】
[2−4.制御構成]
つぎに、
図6を参照して、製造装置を制御する制御部100の構成を説明する。
まず、制御部100の基本的な構成を説明する。
制御部100には、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ111と、HDD(Hard Disk Drive),SSD(Solid State Drive),光学ドライブ,フラッシュメモリ,リーダライタなどの外部記憶装置112,キーボードやマウスなどの入力装置113,ディスプレイやプリンタ装置などの出力装置(表示部)114,無線または有線で送受信する通信装置115が設けられる。これらの各デバイス110〜115は、制御部100の内部に設けられた制御バスやデータバスなどのバス116を介して互いに通信可能に接続される。
【0062】
この制御部100(プログラムプロダクト)は、プログラム117を実行可能な汎用のコンピュータである。このプログラム117は、外部記憶装置112にインストールされる。
なお、光学ドライブ,フラッシュメモリ,リーダライタなどで読み取り可能な記録媒体118にプログラム117を記録しておいてもよい。あるいは、制御部100が接続可能なネットワーク上のオンラインストレージにプログラム117を記録しておいてもよい。何れにしても、制御部100の外部記憶装置112にプログラム117をダウンロードする、あるいは、CPU110やメモリ111にプログラム117を読み込む(ロード)ことで、プログラム117が実行可能であればよい。
【0063】
つづいて、本製造装置の制御に好適な制御部100の構成を説明する。
この制御部100の入力側には、上述した検査部40が接続され、出力側には上述したアーム部60が接続される。これらの検査部40およびアーム部60と制御部100とは、有線または無線で情報伝達可能に接続される。
ここでは、ラベル10が所定の状態であるか否かの検査結果が検査部40から制御部100に伝達される。伝達された検査結果に応じて、制御部100はアーム部60を制御する。
【0064】
具体的には、ラベル10が所定の状態であるとの検査結果が伝達されると、フィルム1からラベル10を分離する制御指示が、制御部100からアーム部60に出力される。一方、ラベル10が所定の状態でないとの検査結果が伝達されると、フィルム1からラベル10を分離しない制御指示、即ち、停止制御指示が、制御部100からアーム部60に出力する。また、検査部40の制御結果を出力装置114に出力して表示する。このようにして、アーム部60が制御部100に操作される。
このような制御処理を上記のプログラム117により制御部100が実行する。
【0065】
[3.製造方法]
つづいて、
図7を参照して、ラベル付き容器の製造方法を説明する。この製造方法は、上述した製造装置によってラベル付き容器を製造する方法である。
この製造方法では、ラベル10が配列されたフィルム1を準備する準備工程(ステップA10),準備されたフィルム1とそのラベル10を繰り出して検査する検査工程(ステップA15),検査工程で検査されたラベル10を搬送する搬送工程(ステップA20),搬送工程で搬送されたラベル10を用いて容器2を成形する成形工程(ステップA30)の順に各工程が実施される。
【0066】
さらに、準備工程では、印刷工程(ステップA12)が実施される。また、検査工程(繰り出し工程)では、検出工程(ステップA16),判定工程(ステップA17)の順に各工程が実施される。
また、搬送工程では、分離工程(ステップA22),整形工程(ステップA24),帯電工程(ステップA26),配置工程(ステップA28)の順に各工程が実施される。
【0067】
以下、順を追って各工程を説明する。
はじめに、ステップA10の準備工程では、ステップA12の印刷工程でフィルム1のラベル10となる部分に印刷が施される。このようにして印刷されたラベル10は、フィルム1が繰り出されるのに伴って繰り出され、長手方向に配列して形成される。このようにしてフィルム1に配列した状態のラベル10を準備する。
【0068】
その後、ステップA15の検査工程では、繰り出されるラベル10が所定の状態であるか否かが検査される。具体的には、ステップA16の検出工程で、検出部41によってラベル10の状態が検出される。つづいて、ステップA17の判定工程で、ラベル10が所定の状態であるか否かが判定される。
【0069】
ラベル10が所定の状態であると判定されると、ステップA20の搬送工程に移行する。一方、所定の状態でないと判定されると、ステップA19の排出工程に移行する。
すなわち、ステップA17で肯定判定されると、肯定判定されたラベル10を分離する制御指示が制御部100からアーム部60に出力され、このラベル10が分離される。そして、ステップA20の搬送工程で、搬送機構50によって搬送される。一方、ステップA17で否定判定されると、否定判定されたラベル10を分離しない制御指示が制御部100からアーム部60に出力され、このラベル10は分離されない。そして、搬送機構50に搬送されることなく、ステップA19の排出工程で、第二回転軸22に巻き込まれて排出される。
【0070】
ステップA20の搬送工程では、搬送機構50のアーム部60によってラベル10が搬送される。
搬送工程で搬送されるラベル10は、ステップA22の分離工程で、アーム部60によってフィルム1から分離される。
それから、ステップA24の整形工程では、異形部11a,12aが整形部70によって除去され、ラベル10が整形される。
【0071】
つづいて、ステップA26の帯電工程では、帯電部80によってラベル10が帯電させられる。
その後、ステップA28の配置工程では、アーム部60によって帯電状態のラベル10が金型91の内部に配置される。そして、ラベル10が金型91に張り付く。
ステップA30の成形工程では、成形機構90によってラベル10が貼着した容器2を成形する。
【0072】
[4.材料など]
つぎに、容器2およびラベル10のそれぞれについて、材料をはじめ、物性や比率などを述べる。
[4−1.容器]
容器2の材料には、中空の容器が成形可能な材料であれば、公知の成形材料を用いることができる。
詳細には、以下の材料が容器2に用いられる。
【0073】
〈容器の材料〉
容器2を成形するときの樹脂材料としては、ポリオレフィン系の樹脂,ポリエステル系の樹脂,ポリスチレン系の樹脂,エチレン−酢酸ビニル樹脂,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリ塩化ビニル,ポリオキシメチレン,ポリメタクリル酸メチル,ポリメタクリルスチレン,ポリアリルサルホンなどの熱可塑性樹脂を使用することができる。またこれらの樹脂は、単独重合体のみならず、共重合体を使用することもできる。共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
【0074】
これらの中でもポリオレフィン系の樹脂,ポリエステル系の樹脂,ポリスチレン系の樹脂が加工適性や安全性の観点から好ましい。
ここで、ポリオレフィン系の樹脂としては、ポリエチレン系の樹脂,ポリプロピレン系の樹脂、ポリ(4−メチルペンタ−1−エン)系の樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリエチレン系の樹脂、ポリプロピレン系の樹脂が好ましい。
【0075】
ポリエチレン系の樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE),直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)などが挙げられる。
ポリプロピレン系の樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレンを主体とし、これとα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。プロピレン系共重合体は2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。また、ポリエチレンを主体とする樹脂であれば、他の樹脂との共重合体やブレンド樹脂を採用してもよい。
【0076】
ポリエステル系の樹脂としては、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステルが挙げられるが、食品容器や洗剤容器など生活用品に良く使われる汎用性から、芳香族ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0077】
スチレン系の樹脂としては、ポリスチレン,ハイインパクトポリスチレン,スチレン−アクリロニトリル共重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体,スチレン−ブタジエン共重合体,アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
これらの中でも、食品容器や洗剤容器など生活用品に良く使われる汎用性から、スチレン−アクリロニトリル共重合体,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体のいずれか、または両者の混合物を用いることが好ましい。
【0078】
ラベル付き容器を製造する際には、金型91にラベル10を挿入して、金型91内に成形可能な状態の熱可塑性樹脂組成物を押し出す方法が好ましい。中でも、金型91にこれらの樹脂からなるパリソンを押し出し成形し、これらを金型91で挟んでブロー成形する方法が好ましい。ブロー成形することによって、容器2を成形すると同時にラベル10を容器2に貼着することができる。これによって、容器2の意匠性、軽量化および生産性を維持したまま、短時間のうちにラベル付き容器を簡便に製造することができる。
【0079】
〈その他〉
上述した各成形法で用いられる樹脂は、顔料および染料などを含まない透明または自然色のものであってもよく、顔料または染料などを含む不透明または着色のものであってもよい。容器2を構成する樹脂が着色のものであっても、容器2自体の色相とラベル10を介した色相との差異は小さく、容器2とラベル10との一体感は優れたものとなる。容器2を構成する樹脂が透明である場合には、容器2およびラベル10ともに透明であり、ラベル付き容器全体として一体感に優れ、このラベル付き容器のどの箇所からでも内容物が視認しやすくなる。
これらの樹脂は耐熱性、強度、光反射性、その他の物性および意匠性を向上させる観点から結晶性を高める処理を施してもよく、またはこれらの樹脂に公知の充填剤や着色剤,添加剤を加えた樹脂組成物を用いることもできる。
【0080】
[4−2.ラベル]
つぎに、ラベル10について述べる。
〈材料〉
ラベル10の材料には、公知の材料を用いることができる。たとえば、ポリオレフィン系の樹脂、ポリエステル系の樹脂、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、スチレン系の樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系の樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンが挙げられ、ポリエステル系の樹脂として、ポリエチレンテレフタレートが挙げられるが、これらに特に限定されない。上記の熱可塑性樹脂の中でも、融点が130〜280℃の範囲である熱可塑性樹脂が好ましい。上記の熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
そのほか、ヒートシール剤が溶融するのに必要な熱量をヒートシール層1aに与えるためには、ラベル10が断熱性を有することが好ましい。そのため、多孔質のフィルム1からラベル10を得ることが好ましい。具体的に言えば、基層1bが多孔質のフィルム状であることが好ましい。
【0081】
〈容器に対する接着強度〉
容器2に対するラベル10の接着強度は、JIS K6854−2:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第2部:180度はく離」に従って測定する。ブリスター(気泡)が生じない状況下では、上記接着強度は2N/15mm以上が好ましく、4N/15mm以上がより好ましく、5N/15mm以上がさらに好ましい。一方、上記接着強度の上限は特に限定されないが、低融点樹脂層1aの樹脂の凝集破壊強度から15N/15mm以下であることが好ましい。また、ラベル付き容器からラベル10を剥離したとき、ラベル10内部で凝集破壊が生じることも好ましい。接着強度が上記範囲下限より高ければ、被着体が使用中に受ける摩擦,振動,衝撃によりラベル10が剥れにくい傾向がある。
【0082】
〈平滑度〉
良好な印刷適性を発現することから、ラベル10の印刷層1c表面は平滑度が高い。具体的には、特開2006−309175号公報に示された平滑度の印刷層1c表面をなすラベル10が用いられる。一方、インモールドラベリングで容器2にラベル10が貼着するときにヒートシール層1a表面は特開2015−166175号公報に示された平滑度のヒートシール層1a表面をなすラベル10が用いられる。
【0083】
〈厚み方向寸法〉
また、インモールドラベリングで容器2にラベル10が貼着されることから、ラベル10の高さ寸法の「T
2」が抑えられている。具体的に言えば、ラベル10の厚み方向寸法である「T
1」と、ラベル10の段差の高さ寸法である「T
2」との比率T
1:T
2は50:50〜100:0の範囲が好ましい。
【0084】
〈延伸〉
ラベル10は、少なくとも一方向に延伸されることが好ましい。たとえば、ラベル10の材料に熱可塑性樹脂および無機微細粉末を用い、フィルム状に成形した後に延伸することによって、多孔質のフィルム1を容易に得ることができる。また、延伸されたフィルム1を用いた場合には、異形部11a,12aをバーナ72で除去するときの効率が向上する。さらに、延伸することによってラベル10の剛性が高くなるため、アーム部60でラベル10を金型90に配置するときにラベル10が撓んだり皺が入ったりしにくくなる。
そのうえ、延伸方向をラベル10の輪郭形状に応じて設定することで、異形部11a,12aの形成が抑えられる。たとえば、繰り出し機構20に設置されたラベル10において、X方向に延伸される。
ただし、ラベル10が延伸されていなくてもよい。
【0085】
〈ヒートシール剤〉
ヒートシール層1aを形成するヒートシール剤には、たとえば150℃〜180℃で溶融して貼着性を発揮するものが用いられる。このヒートシール剤に用いられる材料としては、特開2015-166175号公報や特開2016-47598号公報に示されたさまざまな材料を用いることができる。たとえば、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の樹脂、ポリエステル系の樹脂,ポリアミド,ポリ塩化ビニル,スチレン系の樹脂,ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0086】
[4−3.比率]
つぎに、ラベル付き容器における容器2およびラベル10の表面の面積比率(以下「比率」という)を述べる。
【0087】
〈相対面積比〉
まず、第一ラベル11の面積と第二ラベル12の面積との相対的な比率(以下「相対面積比」という)を述べる。
複数のラベル11,12どうしの相対面積比は、一方のラベル(たとえば第二ラベル12)と他方のラベル(たとえば第一ラベル11)との面積比として1:10〜10:1が好ましく、3:7〜7:3がより好ましく、4:6〜6:4がさらに好ましい。ラベル11,12の相対面積比率が上記範囲内にあることによって、ラベル11,12のピックアップに失敗する確率を減少させ、不良率を低減することが容易になる。
なお、一つの容器2に三枚以上のラベルを貼着する場合にも、最も小さいラベルと最も大きいラベルとの面積比として上述した相対面積比が設定される。
【0088】
〈全体比〉
つづいて、容器2の表面積に対するラベル10の面積の比率(以下「全体比」という)を述べる。
一つ容器2の表面積に対するラベル10(あるいはこれに加えて裏側の面のラベル)の全面積の比率(百分率)は、5%〜90%が好ましく、20〜80%がより好ましく、30〜70%がさらに好ましい。全体比が上記範囲内にあることによって、ラベル10が干渉して脱落するなどの不良率を減少させると同時に、ラベル10の表示機能を発現させることができる。
【0089】
[5.作用および効果]
本実施形態のラベル付き容器の製造装置および製造方法ならびにこれらに用いられるプログラムおよび記録媒体では、フィルム1で長手方向に配列されたラベル10が分離されるため、重ねられた枚葉状のラベルを一枚づつ取り出す製法に比較して、ラベル10の反りを抑えることができ、静電気などで重なってラベル10が取り出されることもない。よって、ラベル付き容器の品質を向上させることができる。
さらに、以下のような作用および効果を得ることができる。
【0090】
[5−1.ラベルの検査]
まず、ラベル10の検査に関する作用および効果を述べる。
(1)繰り出し機構20によって繰り出されたラベル10が所定の状態であるか否かを検査部40で検査することにより、検査部40の検査結果に応じて、ラベル10の要否を選別することができる。
たとえば、検査部40の検査でラベル10が所定の状態でないとされれば、制御部100によるアーム部60の操作によって、フィルム1からラベル10を分離させず、容器2への不良な状態のラベル10の貼着を防ぐことができる。したがって、ラベル付き容器の品質を高めることができる。
【0091】
(2)ラベル10が所定の印刷状態であるか否かを検査部40で検査すれば、印刷不良のラベル10の容器2への貼着を防ぐことができる。
(3)また、ラベル10が所定の表面状態であるか否かを検査部40で検査すれば、異物の混入したラベル10の容器2への貼着を防ぐことができる。
【0092】
(4)フィルム1からラベル10を分離するか否かを検査部40の検査結果に応じて制
御部100で制御することで、所定の状態のラベル10を自動的に分離することができる。また、所定の状態でないラベル10を自動的に分離しないようにすることもできる。そのため、製品(ラベル付き容器)の不良発生率を大幅に低減させることができる。
(5)所定の状態であるラベル10を分離することで、容器2に貼着させるのに適切なラベル10を製造ラインにのせることができる。
(6)一方、所定の状態でないラベル10を分離しないことで、容器2に貼着させるのに不適切な状態のラベル10が容器2に貼着することを防ぐことができる。
【0093】
(7)さらに、検査部40の検査で所定の状態でないとされたラベル10は、繰り出し機構20によって下流側に巻き込まれて排出されるため、繰り出し機構20を利用して、不良な状態のラベル10を製造ラインからはずすことができる。
(8)そのほか、検査部40による検査結果を表示部114に表示することで、ラベル10の状態の良否を作業員に示すことができ、製造作業性を向上させることができる。
【0094】
[5−2.ラベルの整形]
つぎに、ラベルの整形に関する作用および効果を述べる。
(1)アーム部60によって分離されたラベル10に付随している異形部11a,12aを整形部70によって除去することで、ラベル10が整形される。そのため、容器2におけるラベル10の外形を整えることができ、延いては、ラベル付き容器の品質を高めることができる。
【0095】
(2)整形部70にエアガン71が用いられれば、噴射したエアで異形部11aを吹き飛ばしてラベル10から除去することで、ラベル10を整形することができる。
(3)整形部70にバーナ72が用いられれば、放射した火炎で異形部12aを溶融させてラベル10から除去することで、ラベル10を整形することができる。
【0096】
[5−3.ラベルの配置]
さらに、ラベル10の配置に関する作用および効果を述べる。
(1)割り金型91a,91bのうちの一つの内部に複数のラベル11,12をアーム部60によって配置することで、割り金型91a,91bのうちの一つに対応する容器2の一側に複数のラベル11,12が貼着する。このようにして、表側(一側)に複数のラベル11,12が貼着した容器2をインモールド成形することができる。延いては、ラベル付き容器の意匠性を高めることができ、外観のデザイン自由度を向上させることができる。
【0097】
(2)相対的な配置を保持したまま複数のラベル11,12をフィルム1から分離して金型91a,91bのうち一つの内部に配置することで、金型91a,91b内の所望の位置に複数のラベル91a,91bのそれぞれを配置することができる。
(3)たとえば、枚葉状のラベルの形状が互いに異なる場合には、金型91内部の所望位置に複数のラベルのそれぞれを配置するのは困難である。これに対し、フィルム1上の相対配置を保持したまま金型91の内部に配置するだけで複数のラベル11,12を所望の位置に配置することができる。このように、製造効率の低下を抑えつつラベル付き容器の意匠性を高めることができる。
【0098】
(4)また、枚葉状のラベルの輪郭が曲線のみからなる場合には、揃えて重ね難いことから、金型91内部の所望位置に複数のラベルのそれぞれを配置するのは困難である。これに対し、輪郭が曲線のみからなる第一ラベル11は、フィルム1上の向きが保持されたまま金型の内部に配置されるため、このラベル11を所望の位置に配置することができる。このように、製造効率の低下を抑えつつラベル付き容器の意匠性を高めることができる。
(5)ラベル11,12の枚数に応じた数のアーム部61,62が車台部52に設けられるため、複数のラベル11,12を同時に分離,配置することができる。たとえば、本装置よりも少ない本数のアーム部のそれぞれが複数のラベル11,12を順次分離,剥離する製造装置に比較して、製造効率を向上させることができる。
【0099】
[II.実施例]
以下、本件の実施例を述べる。
なお、下記の実施例に示す材料,使用量,割合,処理内容,処理手順などは、本件の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本件の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0100】
(接着強度)
得られたラベル付き容器について、成形時の向きを基準として上下方向を長手として長さ35mm×幅15mmのサンプルを容器本体とラベルとを含むように切り出した。つぎに、成形時の向きを基準として、切り出したサンプルの下側に、容器とラベルとの間にカッターナイフを差し入れ、5mm分離し、この部分を掴み代とした。つぎに島津製作所製の引張試験機「オートグラフ、AGS−D形」を用い、JIS K6854−3:1999に従い、300mm/分の引張速度で、T字分離し、分離開始10mm以降の分離最大応力を測定し、さらにサンプル6点の測定値を平均して得られた値を接着強度とする。接着強度は、6N/15mm以上であれば実用上全く問題がなく、2N/15mm以上6N/15mm未満であれば実用上問題がなく、2N/15mm未満であれば実用上はがれやすいという基準で判定した。
【0101】
[1.第一実施例]
第一実施例では、インジェクション成形によって製造されるラベル付き容器について述べる。
【0102】
〈基材層(A)の材料〉
材料1 プロピレン単独重合体(略号:PP1、日本ポリプロ(株)製、製品名:ノバテックPP FY4、MFR(230℃,2.16kg荷重):5g/10分))
材料2 高密度ポリエチレン(略号:PE1、日本ポリエチレン(株)製、製品名:ノバテックHD HJ580、MFR(190℃,2.16kg荷重):12g/10分))
材料3 重質炭酸カルシウム(略号:CA1、備北粉化工業(株)製、製品名:ソフトン2200、体積平均粒子径:1.0μm、比表面積22,000cm
2/g)
〈ヒートシール性樹脂層(B)の材料〉
材料a プロピレン単独重合体(略号:PP1、日本ポリプロ(株)製、製品名:ノバテックPP FY4、MFR(230℃,2.16kg荷重):5g/10分))
材料b 高密度ポリエチレン(略号:HDPE、日本ポリエチレン(株)製、製品名:ノバテックHD HJ580、MFR(190℃,2.16kg荷重):12g/10分))
【0103】
材料1 80質量%,材料2 10質量%,材料3 10質量%の配合物[a1]を250℃に設定された押出機で溶融混練して押出成形し、冷却装置にて70℃まで冷却して単層の無延伸シートを得た。
この無延伸シートを140℃に加熱した後、縦方向にロール間で5倍に延伸し、コア層(A1)となる縦一軸延伸フィルムを得た。次いで材料1 55質量%,材料3 45質量%の配合物[a2]を250℃に設定された押出機で溶融混練して、前記縦一軸延伸フィルムの片面に積層し、印刷層/コア層(A2/A1)の積層物を得た。
更に材料1 55質量%,材料3 45質量%の配合物[a3]と材料a 50質量%,材料b 50質量%の配合物[b1]をそれぞれ別の押出機を用い250℃で溶融混練して前記で積層した反対面に配合物[b]が外側になるように積層して、配合物[a2]/配合物[a1]/配合物[a3]/配合物[b1]となる印刷層/コア層/中間層/ヒートシール層の四層構造の積層物(A2/A1/A3/B)を得た。
次いで前記積層物を155℃に加熱してテンター延伸機を用いて横方向に8倍延伸し、1軸/2軸/1軸/1軸に延伸された4層の積層フィルムを得た。
【0104】
この積層フィルムを55℃まで冷却し、耳部をスリットして、さらに印刷層(A2)側に30W・分/m
2のコロナ放電処理を施し、三菱化学(株)製「ST−3200」(商品名)を0.5重量%含む水溶液を、単位面積(m
2)当たり乾燥後の固形分が0.01gの帯電防止剤が含有するようにサイズプレス方式にて塗工し、乾燥させて帯電防止層を設けた。その結果、帯電防止層/印刷層/コア層/中間層/ヒートシール層(帯電防止層/A2/A1/A3/B)の積層構造を持つ、インモールド成形用のラベル10が配列されたシート(フィルム)を得た。なお、シートのヒートシール層側には帯電防止処理が施されていない。ここでは、「印刷層/コア層/中間層」(A2/A1/A3)がラベル10に相当する。
【0105】
これらのインモールド成形用のラベル10を用いて、本実施形態に係る製造装置(以降、単に「本製造装置」とも称する。)によりラベル付き容器の製造を行った。本製造装置は、成形機構90として、(株)新潟鐵工所製の射出成形機(NV50ST/型締め50トン、縦型配置式)を備えている。容器のサイズが横130mm、縦150mm、肉厚1mmの平板となる射出成形用の割り金型を用いた。巻回機構20によってフィルム1を繰り出し、検出部41がラベル10の状態を検出した。次に、肯定判定されたラベル10を、搬送機構50によってフィルム1から剥離した。さらに、金型を20℃に保持した状態で、下部固定盤側に取り付けられた雌型の金型表面に、搬送機構50によってラベル10を印刷面側が金型と接するように配置した。次いで割り金型を型締めした後、射出装置よりポリプロピレン(日本ポリプロ(株)製、「ノバテックPP、MA3、MFR11[230℃、2.16kg荷重]」)を射出樹脂温度230℃、射出圧力60MPaでゲート部より型内に注入し、ラベル10を溶融接着させるとともに射出樹脂を冷却固化させた。その後、型開きをして、ラベル付き容器2を得た。これにより得られたラベル付き容器2のラベル接着強度は7.2N/15mmであった。また、射出樹脂温度200℃に変更した以外は上記と同様にして、ラベル付き容器2を得た。これにより得られたインモールド成形品のラベル接着強度は6.7N/15mmであった。
【0106】
[2.第二実施例]
第二実施例では、ダイレクトブロー成形によって製造されるラベル付き容器について述べる。
〈基材層(A)の材料〉
材料4 プロピレン単独重合体(略号:PP2、日本ポリプロ(株)製、製品名:ノバテックPP MA4、MFR(230℃,2.16kg荷重):5g/10分))
材料5 重質炭酸カルシウム(略号:CA2、備北粉化工業(株)製、製品名:ソフトン1800、体積平均粒子径:1.8μm)
材料6 ルチル型酸化チタン(略号:TIO、石原産業(株)製、製品名:タイペーク CR−60、体積平均粒子径:0.2μm)
〈ヒートシール性樹脂層(B)の材料〉
材料c メタロセン系ポリエチレン(略号:PE2、日本ポリエチレン(株)製、製品名:ハーモレックス NH745N、MFR(190℃,2.16kg荷重):8g/10分))
【0107】
材料4 89質量%,材料5 10質量%,材料6 1質量%の配合物[a4]を、250℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定したTダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷却ロールにて約60℃まで冷却して無延伸シートを得た。次いでこの無延伸シートを、140℃に再加熱した後、ロール群の周速差を利用して縦方向に4倍となるように延伸し、冷却ロールにて約60℃まで冷却して、延伸シートを得た。
【0108】
次いで材料c[b2]を、230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、230℃に設定したTダイよりシート状に押し出し、この熱可塑性樹脂と延伸シートとを、#150線のグラビアエンボスを付形した金属冷却ロールとマット調ゴムロールとの間に導き、挟圧して両者を接合しながら熱可塑性樹脂側にエンボスパターンを転写し、冷却ロールにて冷却して、[a4]/[b2]の2層構造を有するフィルムを得た。
【0109】
次いでこの積層樹脂シートを、テンターオーブンを用いて160℃に再加熱した後、テンターを用いて9倍となるように延伸した後、更に160℃に調整した熱セットゾーンによりアニーリング処理を行い、冷却ロールにて約60℃まで冷却し、耳部をスリットして厚み110μm(オレフィン系の樹脂フィルム/ヒートシール層:106μm/4μm)、密度0.78g/cm
3である2層構造の2軸延伸樹脂のフィルムを得た。
【0110】
次いでこれをガイドロールでコロナ放電処理器に導き、オレフィン系の樹脂フィルム側の表面に50W・分/m
2の処理量でコロナ放電処理を施し、巻き取り機で巻き取った。
次いでこのフィルムを、横60mm,縦110mmの矩形に打抜加工してラベル付き容器の製造に用いるラベル10とした。このラベル10を400mlの内容量のボトルを成型できるブロー成形用金型の一方にヒートシール層がキャビティ側に向くように配置し、吸引を利用して金型上に固定した後、金型間に高密度ポリエチレン(商品名「ノバテックHD HB420R」,日本ポリエチレン(株)製、MFR〈JIS−K7210〉=0.2g/10分,融解ピーク温度〈JIS−K7121〉=133℃,結晶化ピーク温度〈JIS−K7121〉=115℃,密度=0.956g/cm
3)を170℃で溶融してパリソン状に押出し、次いで金型91を型締めした後、4.2kg/cm
2の圧空をパリソン内に供給し、16秒間パリソンを膨張させて金型91に密着させて容器状とするとともにラベル10と融着させ、次いで、金型91内で成型物を冷却し、型開きをしてラベル付き容器を得た。この際、金型冷却温度は20℃、ショットサイクル時間は28秒/回とした。
【0111】
ラベル付き容器を23℃、相対湿度50%の環境下に1週間保管した後、接着強度を評価した。得られたラベル付き容器のラベル接着強度は5.6N/15mmであった。
【0112】
[3.第三実施例]
第三実施例では、ストレッチブロー成形によって製造されるラベル付き容器について述べる。
〈基材層(A)の材料〉
材料7 プロピレン単独重合体(略号:PP3、日本ポリプロ(株)製、製品名:ノバテックPP MA3U)
材料8 エチレン・ヘキセン−1共重合体(略号:PE3、日本ポリエチレン(株)製、製品名:カーネル KS340T)
材料9 低密度高圧法ポリエチレン(略号:PE4、日本ポリエチレン(株)製、製品名:ノバテックLD LC720)
材料10 帯電防止剤(略号:AS1、日本ポリエチレン(株)製、製品名:ノバテックLL LX−AS)
〈ヒートシール性樹脂層(B)の材料 〉
材料d マレイン酸変性エチレン・酢酸ビニル共重合体のエマルジョン溶液(東洋モートン社製、商品名:EA−H700、固形分濃度:50%)
【0113】
材料7 70質量%,材料9 30質量%の配合物[a5]を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。
材料7[a6]を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。
また、材料8 85.7質量%,材料9 9.5質量%,材料10 4.8質量%の配合物[a7]を、押出機を用いて240℃で溶融混練した。なお、これらの溶融混練は、互いに別々の押出機を用いて行った。
【0114】
これらの混練物を1台の共押出Tダイに供給し、Tダイ内で3層に積層した。次に、Tダイよりシート状に押し出し、これをセミミラー調冷却ロールとマット調ゴムロールとの間に導き、挟圧(線圧:約1.5kg/cm)しながら冷却した。このようにして、(a5/a6/a7)の3層構造を有する無延伸の積層樹脂フィルムを得た。
次に、得られた積層樹脂フィルムをガイドロールでコロナ放電処理器に導き、印刷可能層側の表面を50W・分/m
2の処理量でコロナ放電処理を施し、耳部を切り取った。その後、巻き取り機で巻き取った。
挟圧時には、セミミラー調冷却ロールが中間層と接し、マット調ゴムロールが印刷可能層と接するように成形した。得られた積層樹脂フィルムの厚さは80μmであり、内部ヘイズは13%であった。
【0115】
マイクログラビアコーターを用いて、材料d[b3]を塗工した。塗工した積層樹脂フィルムを95℃に設定したオーブンで乾燥させて、(a5/a6/a7/b3)の4層構造を有するフィルムを得た。フィルムのヒートシール層の厚さは3μmであった。
【0116】
得られたフィルム1を長辺8cmおよび短辺6cmの矩形に打ち抜き、インモールド成形用のラベル10を得た。
ストレッチブロー成形機(日精エー・エスー・ビー社製、商品名:ASB−70DPH)の成形用金型の内部に、シール層の反対面が金型に接するように(シール層がキャビティ側を向くように)、設置した。金型91には吸引孔が設けられ、真空吸引装置に接続されている。ラベル10は、長辺が金型91内で樹脂成形体の胴体の周方向に対して平行に貼着するように設置した。金型91は、キャビティ側の表面温度が20〜45℃の範囲内となるように冷却した。
【0117】
つぎに、ポリエチレンテレフタレートのプリフォームを130℃に予熱した。そして、金型内で、10〜40kg/cm
2のブロー圧力下、金型温度45℃で1秒間、このプリフォームをストレッチブロー成形した。その後、3秒で50℃まで冷却した。このようにして、ラベル付き容器を得た。得られたラベル付き容器のうちの容器2は、高さ12cmおよび一辺約7cmの角型の胴部を有する容器であった。
つぎに、得られた各ラベル付き容器を、温度23℃、相対湿度50%環境下で2日間保管した。得られたインモールド成形品のラベル接着強度は6.9N/15mmであった。
【0118】
[III.変形例]
最後に、本実施形態の変形例について述べる。
[1.第一変形例]
ここでは、ラベル10の検査に関する変形例を述べる。
所定の状態でないと判定されたラベル10をアーム部60で分離してもよい。この場合には、
図2に二点鎖線で示すように、アーム部60で分離されたラベル10を装置外に排出する排出口(第二排出部)27が設けられる。ここでは、原点位置P
1における挿抜位置と搬送位置との間に排出口27が配置される。なかでも、であって、アーム部60よりも下方に排出口27が配置されると、分離されたラベル10は自重で落下するため、簡便な装置でラベル10を回収することができる。
このようにアーム部60および排出口27がラベル10の排出部として機能することで、所定の状態でないと判定されたラベル10を確実に装置外に排出することができる。
【0119】
また、検査部40によるラベル10の検査結果に基づいて、ラベル10の品質管理を実施してもよい。たとえば、検査部40によってラベル10が所定の状態でないと判定された記録を蓄積することによって、ラベル10の品質を管理することができる。この場合には、
図7の破線で示すように、判定工程(ステップA17)の否定判定の後に品質管理工程(ステップA18)が実施される。
【0120】
そのほか、所定の状態でないラベル10を所定の状態に修正したうえでフィルム1から分離してもよい。この場合には、ラベル10を所定の状態にする修正部が製造装置に設けられる。
この修正部としては、表面に存在する異物を除去してラベル10を修正する場合には、エアを噴出して異物を除去するエアガンや表面を拭き取って異物を除去する払拭装置を採用することができる。あるいは、不良な印刷状態を修正する場合には、印刷抜けを補完するプリンタやマーカを修正部に採用することもできる。
このように、検査工程の後であって分離工程の前に、修正部によってラベル10が修正されることで、ラベル10が所定の状態に修正される修正工程が実施されてもよい。
【0121】
一方、所定の状態でないラベル10を不良品として排出する前に所定の状態に復元できないような状態に変化させてから排出してもよい。この場合には、ラベル10を所定の状態に復元できないような状態に変化させる状態変更部が製造装置に設けられる。
この状態変更部によるラベル10の状態の変更は、針による突き刺しなどの物理的な状態の変更であってもよく、前記印刷部で印刷情報の状態を変更するための上書き(新たな印刷)であってもよい。あるいは、状態変更部は、複数のラベル10を固着させる手段であってもよい。
状態変更部によるラベル10の上書きとしては、ベタ印刷、地紋の印刷、文字の印刷、マークの印刷等の印刷情報を重ねる手段や、インキ剥離剤やインキ溶解剤等の印刷情報を除去する手段などが挙げられる。
複数のラベルを固着させる手段をなす状態変更部としては、粘着剤の噴射や塗布する装置や機構などが挙げられる。
【0122】
[2.第二変形例]
ここでは、ラベル10の整形に関する変形例を述べる。
整形部70の作動は、連続的でなく間欠的でもよい。たとえば、搬送されるラベル10が整形位置P
2のときに、整形部70がエアや火炎を放出し、それ以外のときに放出を停止してもよい。
【0123】
さらに、アーム部60によって分離されたラベル10に異形部11a,12aが付随しているか否かを検査する検査部が設けられてもよい。
検査部としては、上述した光学機器26を流用することができる。この光学機器26による検査手法としては、ラベル10の見本となる画像データ(輪郭のデータ)と光学機構26によって撮像されたラベル10の画像データ(輪郭のデータ)とを比較する手法が挙げられる。この手法では、前者の輪郭よりも後者の輪郭が大きいときに異形部11a,12aがラベル10に付随していると判定し、そうでなければ異形部11a,12aがラベル10に付随していないと判定する。このような検査工程は、分離工程の後であって整形工程の前に実施される。
【0124】
このようにして異形部11a,12aの有無を検査する検査部が設けられる場合には、制御部100に対して検査結果を伝達可能に検査部が接続されることが好ましい。
この制御部100は、検査部の検査結果に応じてラベル10を整形するか否かを制御する。
具体的には、異形部11a,12aがラベル10に付随しているとの検査結果が検査部から制御部100に伝達されると、ラベル10を整形する制御指示が制御部100から整形部70に出力される。一方、異形部11a,12aがラベル10に付随していないとの検査結果が検査部から制御部100に伝達されると、ラベル10を整形しない制御指示、即ち、停止制御指示が制御部100から整形部70に出力される。このような制御処理を上記のプログラム117が実行してもよい。
【0125】
このように、整形部70は、検査部の検査でラベル10に異形部11a,12aが付随しているとされるとラベル10を整形し、反対に、検査部の検査でラベル10に異形部11a,12aが付随していないとされると、ラベル10を整形しなくてもよい。
また、異形部11a,12aがラベル10に付随するときだけ、異形部11a,12aに整形部70の狙いをつけて、ラベル10を整形してもよい。このような制御処理を上記のプログラム117が実行してもよい。
【0126】
つぎに、ラベル10の整形に関する変形例の作用および効果を述べる。
アーム60によってフィルム1から分離されたラベル10に異形部11a,12aが付随いているか否かを検査する検査部が設けられれば、検査部の検査結果に応じて、ラベル10の整形の要否を判別することができる。たとえば、検査部の検査でラベル10に異形部11a,12aが付随しているとされれば、制御部100や作業員による整形部70の操作によって、ラベル10から異形部11a,12aを除去することができる。
【0127】
さらに、検査部の検査結果に応じてラベル10を整形するか否かを制御部100が制御すれば、ラベル10から異形部11a,12aを自動的に除去することができる。また、異形部11a,12aの付随していないラベル10が整形されず、整形部70による過度な整形処理を抑えることができる。
検査部の検査でラベル10に異形部11a,12aが付随しているとされると、たとえば制御部100や作業員による整形部70の操作によって、ラベル10から異形部11a,12aが除去される。このようにして製造ライン上のラベル10の外形を整えることで、製造効率を確保しつつラベル付き容器の品質を高めることができる。
【0128】
そのうえ、位置検出部によって検出された異形部11a,12aの位置に応じて、整形部70が異形部11a,12aを除去することで、異形部11a,12aの除去効率を向上させることができる。
一方、検査部の検査でラベル10に異形部11a,12aが付随していないとされると、たとえば制御部100や作業員による整形部70の停止操作によってラベル10が整形されず、無用な整形処理を抑えることができる。
【0129】
[3.第三変形例]
ここでは、ラベル10の位置決めに関する変形例を述べる。
位置決め機構25としては、分離位置に対応する箇所に配置されてフィルム1の位置決め穴に対応する箇所(高さ)を挟持する電極を設けてもよい。この位置決め穴は、一つのラベル10のそれぞれに対して一つづつフィルム1に穿設されている。
この場合には、フィルム1の位相が「N」のときに電極どうしが穴を介して接触し通電する。一方、フィルム1の位相が「N」以外のときには、電極どうしが絶縁される。そのため、電極の通電時にラベル10の繰り出しを停止させることで、分離位置にラベル10を位置決めすることができる。
【0130】
そのほかの位置決め機構としては、出没駆動される位置決めピン(プランジャ)とこのピンが挿抜される位置決め穴とが協働してラベル10を位置決めする機構が挙げられる。
この際、バネやゴムといった付勢部材で位置決めピンを突出方向に付勢してもよい。
【0131】
なお、ラベル付き容器は、三つ以上が同時に成形されてもよいし、一つずつ成形されてもよい。この場合には、一度に成形されるラベル付き容器の数に応じて、ラベル10の繰り出し枚数や金型の組数が設定される。さらに、各組の金型には、二分割の割り金型に限られず、三つ以上に分割された割れ金型を用いてもよい。
【0132】
[4.第四変形例]
ここでは、アーム部60に関する変形例を述べる。
上述した一実施形態では、一つのラベル10におけるラベル11,12の枚数に応じた数のアーム部61,62が設けられる車台部52を説明したが、ラベルの枚数にかかわらず、一つのアーム部を用いてもよい。
この場合に用いられるアーム部には、複数枚のラベルの全てと側面視で重複する大きさの先端部が設けられる。この先端部としては、多数の穴が穿設されたパンチンググリル(「パンチングプレート」とも称される)を用いることができる。
翻って、一つのラベル10におけるラベル11,12の枚数よりも多数のアーム部を設けてもよい。具体的には、一枚のラベル11,12に対して複数のアーム部が設けられてもよい。
さらに、吸引に限らず、静電気でラベルをアーム部に引き付けてもよい。この場合には、ラベルが帯電しうることから、帯電部を設けなくてもよい。
【0133】
[5.第五変形例]
ここでは、
図8および
図9を参照して、ラベル10の取り出し先に関して変形したラベル付き容器を製造する装置およびそのラベル搬送装置の例を述べる。
なお、ここで説明する点を除いては、上述した一実施形態と同様の構成になっている。これらの構成については、同様の符号を付し、各部の説明を省略する。
この製造装置は、
図8に示すように、ラベルストックエリア200,搬送機構(搬送部)50および成形機構(成形部)90を備えて構成される。また、ラベル搬送装置は、製造装置から成形機構90を除いた、ラベルストックエリア200,搬送機構(搬送部)50を備えて構成される。
【0134】
ラベルストックエリア200には、
図8および
図9に示すように、ラベル10が配列されたフィルム1を繰り出す繰り出し機構20と、複数の枚葉状のラベル9を集積状態で収容した枚葉スタッカ8とが配置されている(以下、集積状態の複数の枚葉状のラベル9をラベル集積体9Sという)。つまり、ラベルストックエリア200には、ラベル10を含むフィルム1が設置される分離ラベル設置部200Aと、ラベル集積体9Sが設置される枚葉ラベル設置部200Bとが備えられている。
搬送機構50は、ラベルストックエリア200から、フィルム1のラベル10またはラベル集積体9Sの枚葉状のラベル9を取り出して金型91に配置するまで搬送する。以下、ラベルストックエリア200から取り出されたラベル10またはラベル9は、金型91内に配置されて容器2の製造に使用されることから使用ラベルともいう。
また、
図9に示すように(
図8では省略)、搬送機構50により、ラベル10またはラベル9を選択的に取り出すことができるように切替機構(相対位置変更機構,ラベル設置部移動機構)55が設けられている。切替機構55については後述する。
【0135】
〈枚葉スタッカ〉
枚葉スタッカ8には、上述したように複数の集積状態の枚葉状のラベル9(ラベル集積体9S)が格納される。枚葉状のラベル9は、ロータリーダイカッターやギロチンカッター等で事前に断裁されるとともに、上述したように事前に絵柄が印刷されている。
枚葉スタッカ8は、
図9に示すように、底壁8bおよび底壁8bの両側縁からそれぞれ立設されたL字状のフレーム8cからなるスタッカ本体8aと、スタッカ本体8a内に配置されるプッシャ8dとを備えて構成されている。プッシャ8dは図示しない駆動装置により駆動され、スタッカ本体8a内に格納された枚葉状のラベル9を、搬送機構50側へと1枚ずつ順次送り出す。
また、枚葉スタッカ8は、その底壁8bを、架台54に立設された支持バー54cにより支持されて、繰り出し機構20よりも上方に配置されている。
【0136】
〈切替機構〉
切替機構55には、
図9に示すように、架台54と、架台54を上下に移動させる移動機構(架台移動機構)56とが備えられている。架台54には、繰り出し機構20(フィルム1)が設置される分離ラベル設置部200Aと、枚葉スタッカ8(ラベル集積体9S)が設置される枚葉ラベル設置部200Bとが備えられる。
架台54の上面には、繰り出し機構20の回転軸21,22の下端をそれぞれ回転可能に支持する支持部54a,54bが備えられるとともに、枚葉スタッカ8の底壁8bを支持する前記支持部54cが備えられている。本実施形態では、支持部54a,54bに較べて支持部54cの高さを高めに設定して、繰り出し機構20の上方に枚葉スタッカ8を配置している。
【0137】
移動機構56は、後述の制御部100により作動を制御され、制御部100に予め入力された生産オーダに基づいて架台54を上下に移動させる。具体的には、現在の生産オーダがラベル10を使用する生産オーダである場合には、架台54を上方に移動して、繰り出し機構20の高さを、後述の車台部52のアーム部60に対向しうる高さ(以下「取り出し高さ」という)にする。これにより、アーム部60により、分離ラベル設置部200Aから、繰り出し機構20のラベル10を使用ラベルとして取り出すことができる。その一方、現在の生産オーダがラベル9を使用する生産オーダである場合には、架台54を下方に移動して、枚葉ラベル設置部200Bの高さを前記取り出し高さにする。これにより、アーム部60により、枚葉スタッカ8のラベル9を使用ラベルとして取り出すことができる。
【0138】
したがって、容器2の表側(第一割り金型91a側)および裏側(第二割り金型91b側)に使用するラベル9,10をそれぞれ択一的に切り替えることができる。なお、容器2の表側と裏側とで使用ラベルをラベル9またはラベル10に統一する必要はなく、表側には枚葉状のラベル9が貼着するとともに、裏側にはフィルムから分離されたラベルが貼着した容器2を成形することもできる。つまり、枚葉状のラベル9とフィルムから分離されたラベル10とを一つの容器2で併用することもできる。
なお、切替機構55による使用ラベルの取り出し先を切り替える切替工程が、繰り出し機構20におけるフィルム1を巻回する巻回工程と並列的に実施されてもよい。
【0139】
そのほか、切替機構は、ラベル9,10の取り出し先のステージを切り替えるのに代えてあるいは加えて、搬送機構50のステージを切り替えてもよい。具体的には、上下に延びるスライドレールが設けられ、車台部52がスライドレールに沿って上下にスライド移動する切替機構であってもよい。この場合には、車台部52が下部に位置するときは、上述したように長尺のフィルム1からラベル10を分離することができるうえに、上部に位置するときには、スタッカ8で重ねられた枚葉状のラベル9を取り出すことができる。
なお、繰り出し機構20における回転軸21,22の延在方向や、繰り出し機構20およびスタッカ8が並ぶ方向は、上下方向に限らず、周囲の構成や要求仕様などに応じて種々の方向に設定される。
【0140】
[6.第六変形例]
ここでは、ラベル9,10の搬送に関する変形例を述べる。
搬送機構50は、車台部52がレール51に沿ってスライド移動して、ラベル9,10が直線的に往復動する機構に限られない。
たとえば、回転する円盤状の外周端部に断続的に吸盤や静電部を配置し、これらの吸盤や静電部でラベル9,10を引き付けてもよい。この場合には、ラベル9,10が回転しながら搬送される。
【0141】
そのほか、四軸ロボットや六軸ロボットといった多軸のロボットアームの先端部に吸盤や静電部を配置し、これらの吸盤や静電部でラベル9,10を引き付けてもよい。この場合には、ラベル9,10を自在な軌道で搬送することができる。
さらに、ラベルの枚数に応じた数のロボットアームが設けられる場合には、相対的な配置を変更して搬送することができる。そのため、フィルム1に対してラベル10を高密度に印刷することで、材料コストを抑えることができる。
【0142】
すなわち、複数のラベル11,12の相対的な配置は、分離工程(分離部)と配置工程(配置部)とで、異なるように設定されていてもよい。これにより、長尺のフィルム1に
おいて、一方の面の長手方向に複数のラベル11,12からなるラベル群10が複数配列された状態で、一つのラベル群10の中における複数のラベル11,12の間隔を狭くすることができる。言い換えると、長尺のフィルム1に印刷するときの絵柄の割り付け(面付けともいう)の工夫により余白を少なくすることで、フィルム1の材料コストを削減することができる。
【0143】
このとき、分離工程において、ラベル群10をなす複数のラベル11,12のそれぞれをフィルム1から分離する点で変化はないが、配置工程において、金型91のうち一つの内部に、分離工程で分離された複数のラベル11,12の相対的な配置と異なるように配置することが必要になる。複数のラベル11,12のそれぞれを吸引するアーム部60はそれぞれ独立して移動する必要がある。これを達成するためには、上述したように、それぞれのアーム部60がそれぞれ独立した多軸ロボットのアームとして、またはこのアームに接続されて構成されることが好ましい。
【0144】
複数のラベル11,12の相対的な配置が、分離工程と配置工程とで異なるように設定される場合には、分離工程における複数のラベル11,12の相対位置および配置工程における複数のラベル11,12の相対位置をそれぞれ予め外部記憶装置112に記憶しておき、分離工程でのラベル11,12の相対配置を配置工程でのラベル11,12の相対配置に変化させて、複数のラベル11,12を金型91に配置するように多軸ロボットをコンピュータ制御することが好ましい。さらに、この制御を制御部100に実行させるプログラム117が外部記憶装置112に格納されることが好ましい。
【0145】
[7.第七変形例]
ここでは、制御系に関する変形例を述べる。
制御部100の制御対象は、アーム部60,整形部70だけでなく、印刷部30,繰り出し機構20,搬送機構50といった他のユニットであってもよいし、これらのユニットを統合的に制御して製造装置の全体を制御してもよい。この場合には、製造装置の各ユニットを個別に制御するときの制御処理や制御装置の全体を制御するときの制御処理をプログラム117が実行してもよい。
【0146】
逆に、制御部100を省略してもよい。この場合には、出力装置114以外に表示部を設け、この表示部に検査部40による検査結果を表示してもよい。このように表示部に検査結果が表示されれば、表示された検査結果に応じて、作業員がアーム部60を手動で操作し、ラベル10を選別することができる。よって、製造作業性を高めることができる。
更に言えば、検査部40,整形部70,帯電部80を省略してもよい。この場合には、装置構成を簡素にすることができる。
【0147】
また、検査部40によるラベル10の検査結果に基づいて、複数のラベル11,12のうち一方のみ不良判定された場合、複数のラベル11,12の両方が合格判定されるまで搬送機構50および容器の製造工程を停止させるように制御してもよく、複数のラベル11,12をそれぞれ一時保管するバッファエリアを設け、アーム部60で取り出したラベル11,12をバッファエリアに一時保管し、バッファエリアから改めてラベル11,12を取り出し、搬送工程に供してもよい。バッファエリアを設ける場合、繰り出し機構20と搬送機構50とを非連動にして制御する。また、バッファエリアからラベルを取り出すアーム部は、バッファエリアにラベルを一時保管するためのアーム部60と共用でもよいが、アーム部60とは別のアーム部として設けてもよい。
【0148】
[8.第八変形例]
ここでは、
図8を参照して、ラベル10に活性化処理を施す活性化処理部150に関する変形例を述べる。
〈活性化処理部〉
活性化処理部150はラベル10のヒートシール層1a(
図3参照)側に配置される。活性化処理部150は、ヒートシール層1aの容器2に貼着される貼着面、すなわち金型91内に配置されたときに金型91の内方に向く面に、活性化処理を施すことで、ヒートシール層1aを活性化して濡れ性を向上させる。
活性化処理部150の位置は、ラベル10が金型91に配置される前に、ヒートシール層1aに活性化処理を施せる位置であれば
図8に示される位置に限定されない。
具体的には、繰り出し機構20の第一回転軸21側からフィルム1と一体に繰り出された後、搬送機構50のアーム部60により金型91の第一割り金型91aの内部に配置される前に、ラベル10に対して活性化処理を行えるような位置に、活性化処理部150を配置すればよい。
また、活性化処理部150は、ラベル10が活性化処理を行う処理位置を通過する期間だけ活性化処理を行うようにしてもよい。あるいは、連続的に活性化処理を行うようにしてもよい。連続的に活性化処理を行う場合は、ラベル10だけでなく余白部13(
図3参照)を含むフィルム1全体が活性化処理されることとなる。
【0149】
インモールド成形する際に低融点樹脂層(ヒートシール層)1aの表面を活性化処理することで、低融点樹脂層1aと容器2との密着が良好になり、これにより、ラベル付き容器2のラベル接着強度を高くすることができる。
【0150】
ここで、従来、ラベルに両面印刷が施されるような場合には、ヒートシール層の貼着面を含むラベルに両面に印刷機能を付与すべくコロナ放電処理のような活性化処理を施すことはあったが、インモールド成型のように外側面だけに片面印刷する場合には、非印刷面である貼着面にコロナ放電処理のような活性化処理を施す必要がなかった。また、ラベルの貼着面に活性化処理を施すと却ってラベルの接着強度が低下して実用的でないことが一般的な理解であった。
このため、インモールド成型に使用するラベルの貼着面に活性化処理を施すことは禁忌とされ、ラベルの外側面に印刷機能を付与すべく活性化処理を施す場合には、活性化処理の影響が貼着面に作用しないように注意が払われていた。
これに対し、本発明者は、容器2が、ペットボトルのように極性樹脂を成型したものであった場合には、ラベル10のヒートシール層1aの貼着面、すなわちインモールド成型時にパリソンに対向する面に、活性化処理を行うことで、貼着面を活性化して濡れ性を向上させることができ、これにより容器2とヒートシール層1aとの接着性を向上できることを発見した。これは、ヒートシール層1aの濡れ性が向上すると、パリソンの熱でヒートシール層1aが融解したとき、ヒートシール層1aとパリソンとのなじみが良くなり、パリソンの表面にヒートシール層1aが広がりやすくなってヒートシール層1aと容器2との密着が良好になるものと推察される。
この結果、容器2が極性樹脂を成型したものであった場合でも、ヒートシール層1aに非極性樹脂を使用したラベル10を貼着できる。
活性化処理としては、主にコロナ放電処理を挙げることができるが、その他にも、フレーム処理、プラズマ処理を挙げることができる。中でも処理効果の観点からはコロナ放電処理およびプラズマ処理が好ましく、簡便な設備を用いられる観点からはコロナ放電処理およびフレーム処理が好ましい。
【0151】
さらに、活性化処理部150にコロナ放電処理部を使用した場合に関連する変形例を述べる。
(1)コロナ放電処理部を設けてコロナ放電処理により活性化処理工程が実行されるので、その際に、ラベル10が帯電する。この帯電の電荷が大きい場合には、金型91にラベル10を静電吸着させることが可能となるので、帯電部80および帯電工程を省略してもよい。
逆に、金型91内に吸引孔を設け、この吸引孔から真空吸引してラベル10を保持する場合には、除電装置(イオナイザ)を設けて、コロナ放電処理による活性化処理工程の実行後、ラベル10を金型91内に吸引保持させる前に、ラベル10を除電するようにするのが好ましい。これは、ラベル10が帯電していると、静電力が吸引保持に影響して、金型91内でのラベル10の保持位置が正規の位置からずれてしまうおそれがあるためである。
【0152】
(2)上記実施形態では、本発明を、フィルム1の長手方向に配列されたラベル10に活性化処理を施すものに適用した例を説明したが、本発明は、枚葉状のラベルに活性化処理を施すものにも適用できる。
なお、活性化処理部150による活性化処理の対象は、フィルム1から分離されるラベル10に限らず、枚葉状のラベル9であってもよい。