特許第6893513号(P6893513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893513過給内燃エンジンを制御するための方法および関連する過給エンジン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893513
(24)【登録日】2021年6月3日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】過給内燃エンジンを制御するための方法および関連する過給エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/16 20060101AFI20210614BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20210614BHJP
   F02B 37/12 20060101ALI20210614BHJP
   F02B 39/16 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   F02B37/16 B
   F02D23/00 F
   F02B37/12 302C
   F02B39/16 Z
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-529945(P2018-529945)
(86)(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-537617(P2018-537617A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】FR2016053264
(87)【国際公開番号】WO2017103384
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年9月24日
(31)【優先権主張番号】1562616
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レロー, ニコラ
【審査官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−059076(JP,A)
【文献】 特開平04−287830(JP,A)
【文献】 特開平06−257449(JP,A)
【文献】 特開2003−250294(JP,A)
【文献】 特開2005−054612(JP,A)
【文献】 特開2013−217318(JP,A)
【文献】 特開2013−231367(JP,A)
【文献】 特開2014−227967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/12
F02B 39/16
F02D 23/00
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の過給内燃エンジン(1)を制御するための方法であって、前記エンジンが、前記エンジン(1)への供給が意図される排気ガスを圧縮するために吸気管(2)中に配置された圧縮機(8)と、前記圧縮機(8)の二位置吐出弁(15)を備えた前記圧縮機(8)の分岐管(14)と、吸気の流量を制御するために前記圧縮機(8)の下流の前記吸気管(2)中に配置されたスロットル弁体(6)とを備え、前記分岐管(14)は前記圧縮機(8)を迂回して前記スロットル弁体(6)に接続され、前記弁(15)の開放が、前記エンジンのプロセッサによる前記弁(15)の端子への電圧の印加によって制御され、
− 前記車両の運転者が加速ペダルから足を上げると、前記スロットル弁体(6)を閉止位置へ急速に戻すことを制御することと、
− 前記スロットル弁体(6)の閉止と、
− 前記スロットル弁体の前記閉止の終了を示す事象により前記吐出弁(15)の開放を制御することと
を含む方法であり、
前記弁(15)を開放するために、前記プロセッサが、二位置弁の前記開放の行程の少なくとも第1の部分に対して、前記弁の前記端子に最低電圧値(Uminicor)を印加し、それによって前記弁の前記開放が許されて、少なくとも前記行程の前記第1の部分にわたって最低開放速度を与えることが可能になることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スロットル弁体(6)の前記閉止の終了を示す前記事象が、前記エンジンの過給圧閾値を超えることであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最低電圧(Uminicor)が、前記プロセッサの連続一定電圧(UECU)のパルス幅の変調によって得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサが、前記弁(15)の開放の最終部分にわたって前記弁(15)の開放速度を上昇させることができる前記プロセッサの前記連続一定電圧(UECU)に等しい電圧を、前記弁(15)の開放の前記最終部分にわたって前記弁(15)の前記端子にさらに印加することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を実施するための自動車両用の過給内燃エンジン(1)であって、
前記エンジンが、前記エンジン(1)への供給が意図される吸気を圧縮するために吸気管(2)中に配置された圧縮機(8)と、前記圧縮機(8)の吐出弁(15)を備えた前記圧縮機(8)の分岐管(14)と、前記吸気の流量を制御するために前記圧縮機(8)の下流の前記吸気管(2)中に配置されたスロットル弁体(6)とを備え、前記分岐管(14)は前記圧縮機(8)を迂回して前記スロットル弁体(6)に接続され、前記エンジンのプロセッサによる前記弁(15)の端子への電圧の印加によって前記弁(15)の開放が制御され、
前記エンジンの前記プロセッサが、前記プロセッサの連続一定電圧(UECU)より低い最低電圧(Uminicor)を前記弁(15)の前記端子に印加できるようにすることを可能にする、前記連続一定電圧(UECU)のパルス幅を変調させるための手段をさらに備えることを特徴とする、内燃エンジン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給内燃エンジンを制御するための方法、および、そのような方法を実施することができる過給エンジンに関する。これによって、このようなエンジンの空気入口弁を閉止しているときの過給エンジンの圧縮機の放出騒音および圧縮機内へのポンピングを大幅に減らすことができる。これは、自動車両のガソリンエンジンに使用するには好都合である。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、現代の多くの内燃エンジンはターボ圧縮機を備えている。この例では4つのシリンダを備えているが、このようなエンジン1は、作動のため、吸気管2を通して空気を引き入れ、例えば、触媒コンバータおよび消音器を備える排気システム4に導くために排気管3を通してその排気ガスを排出する。
【0003】
吸気管2では、空気フィルタ5は、空気中に含まれる埃を除去することができ、また、例えば、旋回弁によって構成された空気入口弁6は、吸気管2を大なり小なり塞ぐことによってエンジン1内に導入される空気の流量を制御することができる。
【0004】
公知の態様では、エンジン1がガソリンエンジンのとき、入口弁6はスロットル弁体6である。このスロットル弁体6の位置、したがって、エンジン1内に導入される空気流量は、運転者による制御部材への行為によって、例えば、加速ペダル(図示せず)を押すことによって示される車両の運転者の希望にしたがって、エンジンのプロセッサ(図示せず)によって決定される。ペダルを押すことは、プロセッサによってトルク基準値に変換され、トルク基準値自体は、空気流量および燃料流量に変えられる。燃料は、多くの場合、直接式または間接式の燃料噴射装置(図示せず)によって化学量論比でエンジン内に噴射される。
【0005】
エンジン1は、過給エンジンの場合、この例では、ターボ圧縮機7をさらに備え、その圧縮機8は空気フィルタ5とスロットル弁体6との間の吸気管2中に配置される。さらに、圧縮機8によって圧縮された空気を冷却するために、例えば、圧縮機8とスロットル弁体6との間の吸気管2に温度交換器9を配置することが可能である。
【0006】
圧縮機8は、エンジン1と排気システム4との間の排気管3中に配置されたターボ圧縮機7のタービン10によって駆動される。それ自体公知の態様では、排気ガスによってタービン10に加えられるエネルギーを制限することができるように、したがって、圧縮機8によって与えられる圧力を制限することができるように、排気管3には、タービン10を迂回し、排気部12への吐出弁(「ウエイストゲート」弁とも呼ばれる)が設けられた分岐管11を備えることができる。
【0007】
図示されていない変形例では、ターボ圧縮機は、可変形状のタービン、すなわち、排気ガスから取り出すエネルギーを調整することもできる、傾きが可変の静翼を備えるタービンを備えることができる。
【0008】
従来の態様では、エンジン1の負荷が全負荷のとき、排気ガスのすべてがタービン10を通過して、ターボ圧縮機7が吸気の過給圧を特に上げるように、排気部12の吐出弁はプロセッサによって閉じられている。この例では、ターボ圧縮機7は、150,000から200,000rpm程度の非常に高回転速度に達する圧縮機8およびタービン10を有することができるものである。この態様では、このような速度で駆動されるターボ圧縮機7の慣性のレベルは高い。
【0009】
車両の運転者が、足上げ(foot lift)と呼ばれることを行うと、すなわち、運転者が、加速ペダルから足を急に上げると、弾力性のある戻し手段の効果によって、ペダルは、エンジン1が最小限のトルク、しばしば、アイドルパワーモードを維持するのに必要なだけのトルク、を与えるように制御される静止位置に戻る。
【0010】
このような足上げによって、スロットル弁体6が閉じる、または実質的に閉じる場合、エンジンは最小限の空気流量より多くを受け入れず、最小限の排気ガスだけが排気管3を循環し、その結果、タービン10はもはや圧縮機7に駆動エネルギーを与えない。しかしながら、ターボ圧縮機7のロータは、数秒間、吸気を圧縮し続けるのに十分な速度を維持するような慣性を有している。
【0011】
そのとき、圧縮機7は、圧縮機8とスロットル弁体6との間の吸気管2の部分13に加圧空気を供給させられる。この部分13では、スロットル弁体6が閉じているときには、わずかな空気流量しか循環しない。これらの作動状態(すなわち、高圧かつ低流量)では、圧縮機8は、「ポンピング(pumping)」と呼ばれる不安定モードに入ることがあり、このモードでは大きな振動が現れることがあり、それは、ターボ圧縮機7のロータが回転するように取り付けられた軸受を損傷し、最終的にターボ圧縮機を破壊することがある。
【0012】
ターボ圧縮機のポンピングを除去することを意図する多くの方法が知られている。この態様では、圧縮機8を迂回する分岐管14を吸気管2に配置することは従来技術から知られている。このような分岐管14には、入口に吐出するための弁15(「安全」弁とも呼ばれる)、例えば、電動弁が設けられて、圧縮機の下流で高圧状態が検出されたとき、吸気管2の部分13にある過大な圧力の空気を圧縮機8の上流に再導入することができるように、この弁が開放される。圧縮機8を通過する流量が増大し、その結果、圧縮機8は、機能的な不安定さが生じる状態から離れる。
【0013】
例えば、公報FR−A1−2986274は、過給エンジン圧縮機の分岐管の電動吐出弁を使用して、エンジンの過給圧の値が所定の基準値からずれたときにこの弁を開放するように制御することを提示している。
【0014】
圧縮機の分岐管、および圧力の判定基準で吐出弁を急速に開放することによって、しばしば、圧縮機のポンピングを効率的に弱めることができる。それでもなお、二位置弁(「オンオフ」弁とも呼ばれる)は一般的に使用される。すなわち、2つの位置を有し、完全な閉止の1つの安定位置と完全な開放の1つの安定位置だけを有し、完全な閉止位置から完全な開放位置への動きは、エンジンのプロセッサによって電圧を印加することによってもたらされる弁で、図2および3には、公知の従来技術による、弁の開放のための方法が示されている。
【0015】
図3は、X軸に時間、Y軸にプロセッサによって弁の端子に印加される電圧を示している。それ自体公知の態様では、プロセッサは、エンジンの様々なセンサおよびアクチュエータに接続され、これらの構成部品の端子に、ゼロ、または、プロセッサの設計時に予め決定された固定値UECU、例えば、従来のプロセッサでは12ボルトまたは24ボルト、に等しい電圧のどちらかを連続して供給することができる。この電圧は、下記では、「プロセッサの連続一定電圧」または「プロセッサ電圧」と呼ぶ。
【0016】
所与の時点で、例えば、スロットル弁体の閉止を示す事象、例えば、過給圧閾値を超えたことに応じて、プロセッサは、吐出弁15の端子の電圧をゼロボルトからプロセッサ電圧UECUに切り替える。
【0017】
X軸に時間、Y軸に吐出弁の開放度、例えば、弁座上の弁のニードルの上昇度を示す図2を参照すると、弁の端子の電圧が突然上昇すると、プロセッサの電圧UECUが印加され始める時点と弁が開き始める時点との間に経過する時間に相当する開放遅延期間後に、弁は、完全な閉止位置から完全な開放位置に動くのが分かる。
【0018】
全開放時間(図2に示されている)、より詳細には、弁自体の開放時間(すなわち、開放遅延期間は含まれない)は制御されていない。弁を急速に開放することは非常に重要であり、これによって、圧縮機の下流の空気圧を効率的かつ急速に下げることができ、したがって、ポンピングの危険性を除去することができるが、空気が排気管14に突然満たされると、排気騒音として知られている騒音が生じ、車両の乗員室から、および/または、車両の外部から気づかれる。
【発明の概要】
【0019】
本発明の目的は、公知の制御方法の欠点を克服することである。車両の運転者が足を上げた後、圧縮機のポンピングの危険性を除去しながら、自動車両用の過給エンジン圧縮機の入口における排気管内の排気騒音を最大限、除去する、または少なくとも低減することが意図されている。
【0020】
そのために、本発明は、自動車両の過給内燃エンジンを制御するための方法を提案する。このエンジンは、エンジンへの供給が意図される排気ガスを圧縮するために吸気管中に配置された圧縮機と、圧縮機の二位置吐出弁を備えた圧縮機の分岐管であり、弁の開放が、エンジンのプロセッサによる弁の端子への電圧の印加によって制御される、分岐管と、吸気の流量を制御するために圧縮機の下流の吸気管中に配置されたスロットル弁体とを備える。本方法は、
− 車両の運転者が足を上げると、スロットル弁体を閉止位置へ急速に戻すことを制御することと、
− スロットル弁体の閉止と、
− スロットル弁体の閉止を示す事象から吐出弁の開放を制御することと
を含む。
【0021】
本発明による本方法の主な特徴は、二位置吐出弁を開放するために、プロセッサが、弁の開放の行程の少なくとも第1の部分に対して、弁の端子に最低電圧値を印加し、この最低電圧では、弁の開放が許されて、少なくとも行程の第1の部分にわたって最低開放速度を与えることが可能になることである。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して本発明の非限定的な実施形態を読めば理解される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による方法を実施するための、エンジン圧縮機に入口において二位置吐出弁を備える過給エンジンを示す概略図である。
図2-3】図2は従来技術による図1の弁の開放を示すグラフであり、図3は、図2による弁の開放に対応する、従来技術による弁の端子の電圧の変化を示すグラフである。
図4-5】図4は本発明の実施形態の弁の開放を示すグラフであり、図5は、図4による弁の開放に対応する、弁の端子の電圧の変化を示すグラフである。
図6-7】図6は本発明の別の実施形態の弁の開放を示すグラフであり、図7は、図6による弁の開放に対応する、弁の端子の電圧の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から3は、従来技術を示し、すでに上記で詳細に説明した。本発明のよる駆動装置は、図1による従来技術による駆動装置のすべての要素を備える。さらに、エンジンのプロセッサは、略語PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)としても知られている、プロセッサの連続一定電圧UECUのパルス幅を変調させるための手段を備える。
【0025】
それ自体公知の態様では、平均で、ゼロボルトとプロセッサの電圧UECUとの間の値の中間電圧Ucorに等価である電圧を、例えば、弁の開放期間に相当する長い平均時間にわたって、弁の端子で得るために、これらの手段は、電動吐出弁15の端子に、非常に短い所定の期間、例えば、数ミリ秒程度の間、交互にゼロ電圧の期間とプロセッサの電圧UECUに等しい電圧の期間とを連続して印加することを可能にする。もちろん、中間電圧の値は、ゼロ電圧期間の印加時間とプロセッサの電圧UECU期間の印加時間との間の関係によって決定される。
【0026】
弁15の開放の動力学動きは、弁15の端子での電圧の変化よりかなり緩慢であり、弁15は、端子に一定の中間電圧Ucorが印加されたかのようにふるまう。その結果、弁は漸進的に開き、完全な閉止位置から完全な開放位置まで連続して動くが、プロセッサの電圧UECUが印加された場合よりも速度は遅く、その速度は、中間電圧Ucorの値の増加関数である。したがって、適切な中間電圧値Ucorを選ぶことによって速度を調整することが可能であり、この値は事前の試験によって決定することができる。
【0027】
その一方、中間電圧の最低値Uminicorがあり、これより低いと弁が開かない。この値もまた、実験的に決定することができる。中間電圧の値としてこの最低値を選ぶことによって、図4および5に示すように、確実に吐出弁が開き、確実に最低速度で開く。これによって、吐出弁15が開き始めるのが速すぎることから生じるポンピング騒音を最大限低減することができる、または除去することさえできる。
【0028】
図5は、X軸に時間、Y軸にプロセッサによって弁の端子に印加される電圧を示している。運転者が足を上げたのに続くスロットル弁体の閉止を表している時間において、例えば、過給圧閾値(圧縮機によって圧縮された空気の圧力で、圧縮機の下流で測定される)を超えると、プロセッサは、プロセッサ電圧UECUのパルス幅変調によって、弁の端子に印加される電圧を、ゼロ電圧から最低電圧Uminicorに変える。
【0029】
図4は、X軸に時間、Y軸に図5による電圧の印加に対応した弁の開放を示している。図2による弁の開放の進展は点線で示されているが、これと比較すると、弁の開放での遅延時間は同一であるが、開放速度が低いために、より詳細には、開放の開始時で低いために、開放時間自体は長くなっていることが分かる。これによって、排気騒音を最大限低減することができる、または除去することができる。
【0030】
図6および7に示されている本発明の改善された実施形態では、このように弁の開放時間を長くすることが、圧縮機によって圧縮された空気の圧力を下げることに過剰に時間がかかることにつながらないこと、すなわち、確実にポンピングを効果的に防止することを確実にしている。
【0031】
そのために(図7参照)、スロットル弁体の閉止を示した時点で、プロセッサは、まず、弁の開放の行程の第1の部分に対して、すなわち、弁の完全な閉止位置と部分開放位置との間で、プロセッサ電圧UECUのパルス幅変調によって、弁の端子に印加される電圧をゼロ電圧から最低電圧Uminicorに切り替える。最低電圧を印加する時間は、所定の部分開放に相当するように、事前の試験によって調節することができる。次いで、弁の開放の最終部分では、すなわち、その前の弁の部分開放位置と完全な開放位置との間では、プロセッサの電圧UECUを印加する。これは、弁の行程の終盤での弁の開放速度を上昇させる効果を有する。
【0032】
図6は、印加する電圧を変化させることから生じる弁の開放速度の変化を示している。図4の実線の開放の線は、破線で示されている。電圧を変化させると、図4の第1の実施形態に比べて、弁の開放時間全体、より詳細には、開放時間自体が短縮されている。
【0033】
このような方法によって、吐出弁の速すぎる開放速度と結びついた現象である排気騒音の低減と、遅すぎる開放時間と結びついた現象であるポンピングの除去との間でより都合よく折り合いをつけることができる。
図1
図2-3】
図4-5】
図6-7】