特許第6893629号(P6893629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893629肺圧測定ポートとインジェクタで排水が可能な閉鎖システムのウォータートラップとを有したダブルルーメン呼吸回路システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893629
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】肺圧測定ポートとインジェクタで排水が可能な閉鎖システムのウォータートラップとを有したダブルルーメン呼吸回路システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   A61M16/00 380
【請求項の数】1
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-228817(P2019-228817)
(22)【出願日】2019年12月19日
(62)【分割の表示】特願2018-527716(P2018-527716)の分割
【原出願日】2015年8月13日
(65)【公開番号】特開2020-49263(P2020-49263A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】518047355
【氏名又は名称】メディテラ ティビ マルゼメ サナイ ヴェ ティカレット アノニム シルケッティ
(73)【特許権者】
【識別番号】518047366
【氏名又は名称】セヴィンクリ,アティラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヴィンクリ,アティラ
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−223586(JP,A)
【文献】 特表2006−521172(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/165116(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0150794(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0122702(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0017907(US,A1)
【文献】 米国特許第04867153(US,A)
【文献】 米国特許第05404873(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第03823242(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
A61M 16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺圧測定ポートと、インジェクタで排出可能な閉鎖システムのウォータートラップと、を有したダブルルーメン呼吸回路システムであって、
呼気ラインと吸気ラインの両方に溜まった水の回収を可能にし、前記ダブルルーメン呼吸回路の中間部に取り付け可能であるダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)と、
I型コネクタ(18)と、
を備え、
前記ダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)は、
互いに対称な二つの部分を有し、ダブルルーメン呼吸回路のチューブとの接続を提供する脚部セクション(3)と、
前記脚部セクション(3)の前記対称な二つの部分の固定的な連結を可能にする脚部連結部(7)と、
互いに対称な二つの部分を有し、前記脚部セクション(3)を通過した水を回収するボトルセクション(4)と、
前記ボトルセクション(4)の前記対称な二つの部分の固定的な取り付けを可能にするボトル接続セクション(8)と、
前記ボトルセクション(4)内に配置されるインク壺(6)であって、前記チューブ内の水が前記インク壺(6)を通過して、前記ボトルセクション(4)に回収される、インク壺(6)と、
前記ボトルセクション(4)に接続された溝付きルアーポート(5)であって、無針の雌型装置(15)と、前記雌型装置(15)に取り付けられたインジェクタとを備え、前記ボトルセクション(4)に回収された水の排出を可能にする溝付きルアーポート(5)と、
を備え、
前記I型コネクタ(18)は、
患者の呼気から患者の肺圧を測定するために使用されるプローブを取り付けることができる肺圧測定ポート(9)と、
患者に直接接触するカテーテルマウントまたは類似装置を連結できる患者接続セクション(12)と、
呼気ラインチューブが接続される呼気ラインチューブ接続部(13)と、
吸気ラインチューブが接続される吸気ラインチューブ接続部(14)と、
を備える、
ダブルルーメン呼吸回路システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明が関係する技術分野
本発明は、患者側の肺圧測定ポートと、インジェクタおよびポート内に配置される無針装置で排水が可能なインク壺形状を有するよう設計されている閉鎖システムのウォータートラップとを加えて再設計されているダブルルーメン(二つの内腔)および同軸呼吸回路システムに関する。この排水ルアー(誘引)ポートはボトルの底部に配置されており、ボトルは使用中にウォータートラップのボトルセクション(ボトル部)で回収される流体を含むが、この水はトラップを開けることなく排水することができる。
【背景技術】
【0002】
従来技術
今日、手術中または集中治療ユニットにおいて呼吸困難な場合には血液中に十分な酸素を提供するために呼吸(ventilation)装置を使用する機械的な呼吸が実施されている。しかしながら麻酔のために手術中には麻酔装置が使用される。患者と麻酔装置との間にガス流を提供するシステムは麻酔呼吸回路(anaesthesia and ventilation circuits)と称される。この回路は一般的には3タイプで形成される。すなわち、ダブルチューブ(従来型)、同軸ダブルチューブ(同軸型)、および膜によって2つに分割されたシングルチューブ(ダブルルーメン)の3タイプである。
【0003】
麻酔中または機械的呼吸の使用中の患者の呼吸系から受け取った排出物の結果として、および水蒸気の凝縮の結果として、呼吸回路を構成するチューブの呼気側では、感染のリスクを有する流体が回収される。このこと以外にも、低流量の麻酔中に患者に適用される麻酔ガス内には患者から受け取った一定量の呼気が存在するので、呼吸回路の吸気ラインには流体の滞留が形成される。
【0004】
集中治療ユニットの場合には、呼吸回路が患者に長時間適用される。呼吸装置から受け取る空気は乾燥し且つ冷たいので、患者の気道がダメージを受けないようにするために患者に供給される空気を加湿し且つ温める必要がある。温められ且つ加湿された空気が集中治療ユニットの冷却雰囲気に曝露されたとき、水の凝縮が発生する。
【0005】
溜まった流体は、呼吸回路チューブからの空気流に対して抵抗を引き起こす。この理由で、回路が麻酔のために使用される長時間の手術の間、麻酔回路内に流体が溜まるのを防止し、患者から受け取った流体と、集中治療ユニットで使用される呼吸回路内で凝縮した湿気とを保持するために、ウォータートラップが必要とされる。従来の回路にウォータートラップが設けられる。
【0006】
ウォータートラップ機構は現在のダブルルーメン呼吸回路には設けられていない。ウォータートラップを呼吸回路チューブに取り付けている脚部の構造により、標準的なウォータートラップをダブルルーメン呼吸回路には使用できないので、ダブルルーメン呼吸チューブのチューブに溜まる水を、量的に最も溜まるチューブの中央部分から排水できない。従って、現在のダブルルーメン呼吸回路は、呼気ラインおよび吸気ラインの両方に流体が溜まるという問題のために、集中治療ユニットや長時間の手術において適用される麻酔中には使用されていない。
【0007】
従来型のウォータートラップは麻酔装置に連結されるチューブ(呼気ライン)の箇所に設置され、患者の呼気はそのチューブから移され、ダブルルーメン呼吸回路から麻酔装置への水の流れを防止する。
【0008】
手術後に患者が集中治療ユニットに移されているとき、麻酔のために手術中に使用されていたダブルルーメン呼吸システムは、ウォータートラップを含む呼吸回路を備えたウォータートラップを含んでいないため、交換される。これにより、病院には追加のコストが必要となる。集中治療ユニットで使用されるウォータートラップが水で満たされると、システムの下方に配置されたボトルが看護師によって開けられ、流体が排出される。この作業中に、ウォータートラップのボトルが開いているとき呼吸システムは外部環境に対して開いたままであるため、看護師が患者から感染するリスクと、患者が外部環境および看護師の両方から感染するリスクとが存在する。
【0009】
肺圧測定ポートは、患者の呼気が従来の呼吸回路を通って通過するラインに配置されており、そのポートは、患者が呼吸することができるのに必要な圧力差が形成されているか否かを判定し、且つ患者が二酸化炭素の再呼吸をしているか否かを判定することを可能にする。肺圧測定は現在のダブルルーメン同軸呼吸回路では実行できない。なぜなら、患者に接続される患者側に残っているこれら呼吸回路のI型コネクタの現在の構造はそれには適していないからである。
【0010】
当該技術分野で公知の特許文献US2010122702(A1)は、凝縮を分離する内側ガスチャネル(3)と、外側ガスチャネル(4)を有した同軸チューブシステムとに関する。第1流体チャネル(10)は、内側ガスチャネルと第1回収容積部(8)との間に配置され、第2流体チャネル(11)は外側ガスチャネル(4)と第2回収容積部(9)との間に配置されている。これら回収ユニット(8、9)はそれらの間にパーティション(分離部)(7)を有した流体回収ボトル(6)を備えている。この関連特許においては、ウォータートラップは手動では開かれず、水は、保持装置の上部からの接続部を介して創出された真空によって定期的に排出されるようになっている。溜まった水を排出するのに真空装置が必要である。
【0011】
当該技術分野で公知の特許文献US4867153(A)によれば、この発明は、流体が人と接触することなく、呼吸によってチューブ内に溜まり、その後、呼吸システムのボトル内に溜まった流体の排出に関する。この密封排水システムにおいてはバルブがボトルの下側に設けられている。このバルブは手動で稼動される。ウォータートラップは呼気ラインおよび吸気ラインの両方で水を保持でき、その水を異なるチャンバに回収することができる。溜まった水の排水はチャンバを1か所ずつ開くことで実施される。この時点で、吸気ガスおよび呼気ガスは、そのバルブシステムによって互いに混合せず、呼吸回路からの空気の漏れは発生しない。
【0012】
これらの公知の技術文献および特許出願を考慮したとき、この発明は、従来型呼吸システムおよびウォータートラップを備えていないダブルルーメン呼吸システムの両方で使用されるように設計されていると言える。この発明は、両方の(同軸およびダブルルーメン)呼吸回路の吸気(空気が患者に送られる)ラインと呼気(空気を患者から受け取る)ラインの両方からの水を保持できる。回収された水は、ルアーロックによってウォータートラップに取り付け可能なコネクタと、インジェクタの端部に取り付けられるコネクタとによって容易に排出できる。さらに、同軸呼吸回路で使用されるウォータートラップ(吸気ラインおよび呼気ラインのウォータートラップ)は両方とも、好ましくはルアー接続部を有していないボトルと、インク壺構造の代わりの従来型ストッパとで使用できる。同軸呼吸回路の呼気ラインのウォータートラップを従来型呼吸回路の閉鎖システムで使用することが望まれる場合、その回路も使用できる。これに加えて、肺圧測定ポートが、現在そのようなポートを備えていないダブルルーメンおよび同軸呼吸回路に取り付けられている。
【0013】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US2010122702(A1)
【特許文献2】US4867153(A)
【発明の概要】
【0015】
発明およびその目的の簡単な説明
本発明は、閉鎖システム、ウォータートラップ、肺圧測定ポート、ダブルルーメンおよび同軸呼吸回路システムに関し、流体はインジェクタによってダブルルーメンおよび同軸呼吸回路システムから排出することができ、インジェクタは、現行ではウォータートラップを備えていないダブルルーメン呼吸回路と同軸呼吸回路との両方からの水を保持する吸気(空気が患者に送られる)ラインと呼気(空気を患者から受け取る)ラインの両方からの水を、インジェクタに取り付け可能なルアーおよびコネクタによって水を回収するウォータートラップから排出できるように設計されている。さらに、同軸呼吸回路で使用されるウォータートラップ(吸気ラインおよび呼気ラインのウォータートラップ)は、必要ならルアー接続部を有していないボトルと共に使用でき、またはインク壺部の代わりに従来型ストッパと共に使用でき、さらに、肺圧測定ポートはダブルルーメンおよび同軸呼吸回路に取り付けられる。これに加えて、同軸呼吸回路に適合するウォータートラップが閉鎖システムのウォータートラップで使用されることが望まれる場合には、従来型の呼吸回路も使用できる。
【0016】
ウォータートラップは、本発明に従って開発された、閉鎖システムのウォータートラップの呼吸回路内およびダブルルーメン呼吸回路内のほとんどの水が溜まる箇所であるチューブの中間部で使用できる。
【0017】
この新規な閉鎖システムのウォータートラップの手段によって、ダブルルーメンおよび同軸呼吸システムにおいて、空気を患者から受け取るセクション(部分)と、空気が患者に送られるセクションの両方に溜まる水は保持され、空気流に対する抵抗は排除され、水が麻酔装置および呼吸装置内に漏入するリスクは克服される。
【0018】
同軸で従来型のダブルルーメン呼吸回路と共に使用できる閉鎖システムのウォータートラップの新規な設計と構造によって、ウォータートラップのボトルセクションに溜まった流体を、針を使用せず、且つ閉鎖システムの閉鎖状態を壊すことなくインジェクタで排出できる。よって、呼吸環境および病院環境から発生する病気に患者が感染するリスクは減少する。看護師が、高い感染リスクを有する患者からの流体と接触する可能性も排除される。
【0019】
ダブルルーメンおよび同軸呼吸回路は、肺圧測定ポートが取り付けられたコネクタによって肺圧測定を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
発明を図示する図面の説明
本発明に従って開発された、インジェクタで排水できる閉鎖システムのウォータートラップと、肺圧測定ポートを備えたダブルルーメンおよび同軸呼吸回路システムとをさらに説明するために準備された図面が以下で説明されている。
【0021】
図1図1は、同軸呼吸回路のための完全閉鎖システムの呼気ラインのウォータートラップの垂直断面図である。
図2図2は、同軸呼吸回路のための完全閉鎖システムの呼気ラインのウォータートラップの垂直断面図である。
図3図3は、呼吸回路ストッパの斜視図である。
図4図4は、同軸呼吸回路のための完全閉鎖システムの吸気ラインのウォータートラップの垂直断面図である。
図5図5は、同軸呼吸回路のための肺圧測定ポートを備えたI型コネクタの垂直断面図である。
図6図6は、ダブルルーメン呼吸回路のための閉鎖システムのウォータートラップの斜視図である。
図7図7は、ダブルルーメン呼吸回路のための閉鎖システムのウォータートラップの内部構造の断面図である。
図8図8は、ダブルルーメン呼吸回路のための閉鎖システムのウォータートラップの中間部の垂直断面図である。
図9図9は、ダブルルーメン呼吸回路のための肺圧測定ポートを備えたI型コネクタの斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
発明を形成する部材の説明
本発明で開発された、肺圧測定ポートと、インジェクタで排出できる閉鎖システムのウォータートラップとを有したダブルルーメンおよび同軸呼吸回路をさらに説明するために準備された図面の部材には番号が付されており、各部材番号の部材名は以下に記載されている。
【0023】
1.同軸呼吸回路の呼気ラインの閉鎖システムのウォータートラップ
2.ダブルルーメン呼吸回路のための閉鎖システムのウォータートラップ
3.脚部
4.ボトルセクション
5.無針溝付きルアーポート
6.インク壺部
7.脚部連結部
8.ボトル連結部
9.肺圧測定ポート
10.蓋
11.ストッパ
12.患者側
13.呼気ラインのチューブ接続部
14.吸気ラインのチューブ接続部
15.無針装置
16.同軸呼吸回路の吸気ラインの閉鎖システムのウォータートラップ
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の詳細な説明
本発明はダブルルーメン同軸呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(1)、(2)、(16)に関し、肺圧測定ポート(4)を有した同軸呼吸ダブルルーメン回路のボトルセクション(4)で溜まった水を、排水ルアーポート(5)、および排水ルアーポート(5)に取り付けられ、インク壺形状部を有するよう設計されている無針インジェクタ装置(15)によって、ボトルセクション(4)を開けることなく排水できる。本発明は次のような構成要素を備えている:
・同軸呼吸回路チューブとの接続を可能にする脚部セクションであって、チューブ内の水のウォータートラップ(1)、(16)への方向付けと、ダブルルーメン呼吸回路チューブの、完全に閉鎖したシステムのウォータートラップ(2)への連結と、傾斜によってチューブ内に溜まった流体をインク壺(6)を通過させてボトル(4)内に回収することと、を確実にする脚部セクション、
・呼吸回路のインク壺(6)と脚部セクション(3)とから受け取った流体を回収するボトルセクション(4)、
・無針の雌型装置(15)および雌型装置(15)に取り付けられたインジェクタによってボトル(4)に回収された水の排出を可能にする無針溝付きルアーポート(5)、
・ボトルセクション(4)内への空気流の侵入を防止し、ボトル(4)内に回収された水が、ボトルが空になるまで呼吸回路へ還流することを防止するインク壺(6)、
・ダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)の対称的な脚部セクション(3)の固定的な取り付けを可能にする脚部セクション連結部(7)、
・ダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)の対称的なボトルセクション(4)の固定的な取り付けを可能にするボトル連結部(8)、
・ダブルルーメン呼吸回路で患者から受け取った患者の呼気の肺圧を測定するために使用されるプローブに連結可能な肺圧測定ポート(9)、
・流体の排出完了まで、ボトルセクション(4)内に回収された流体の呼吸回路のチューブ内への漏入を防止する蓋(10)、
・流体が排出される前にボトルからチューブにボトル(4)に回収された流体が通過することを防止し、且つボトルセクション(4)への空気の通過を防止するストッパ(11)、
・患者に直接接触するカテーテルマウントまたは類似装置に連結される患者側(12)、
・呼気ラインチューブが接続される呼気ラインチューブ接続部(13)、
・吸気ラインチューブが接続される吸気ラインチューブ接続部(14)、
・溝付きルアーポート(5)から排出される、ボトルセクション(4)に回収された水の排出に使用される無針装置(15)。
【0025】
従来構造を有したウォータートラップは外されており、肺圧測定ポートと、本発明による、インジェクタを用いて排出できる閉鎖システムのウォータートラップとを有したダブルルーメンおよび同軸呼吸回路において、3つの異なる閉鎖システムのウォータートラップ(1)、(2)、(16)が同軸呼吸回路およびダブルルーメン呼吸回路の吸気ラインおよび呼気ラインに適するように再設計されている。呼吸回路で使用される閉鎖システムウォータートラップ(1)、(2)、(16)は3つの構造で形成されている。脚部セクション(3)は、呼吸回路のチューブがウォータートラップに連結される構造部であり、ボトルセクションは呼吸回路から受け取った水が回収されるところであり、インク壺セクション(6)はウォータートラップのボトルセクション(4)に回収された水の還流を防止する構造部である。
【0026】
同軸呼吸回路の呼気ラインの閉鎖システムのウォータートラップ(1)の脚部セクション(3)は、同軸呼吸回路の内側チューブが通過し、呼気ラインに溜まった水がウォータートラップに向けて方向付けられ、外側チューブを通過する、患者から受け取った呼気空気が妨害されないように設計されている。
【0027】
閉鎖システムのウォータートラップ(1、2、16)のボトルセクション(4)は、ポート(5)内に配置された無針装置によって、ボトル(4)を開ける必要なく、溜まった流体の排水を可能にし、その排水ルアーポート(5)はボトル(4)の基部(底部)に設けられている。インク壺セクション(6)はインク壺形状を有しており、この手段によってボトル(4)に溜まった水がチューブ内に逆流することが防止される。
【0028】
同軸呼吸回路の吸気ラインチューブ接続部(13)を連結するために使用される閉鎖システムのウォータートラップ(16)の脚部セクション(3)は、呼吸/麻酔装置と吸気ラインとの間に配置される。水の還流を防止するために、ストッパ(11)が脚部セクション(3)とボトルセクション(4)との間に配置されており、ストッパの位置を保護するためにバネが脚部セクション(3)に一体化されている。
【0029】
同軸呼吸回路の呼気ラインの閉鎖システムのウォータートラップ(1)と、ダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)および同軸呼吸回路の吸気ラインの閉鎖システムのウォータートラップ(16)とに溜まった水を、ボトルセクション(4)に配置された排水ルアーポート(5)によって、このポート(5)に一体化された無針コネクタおよび無針インジェクタを介して、ボトルセクション(4)を開けることなく排出することができる。この手段によって、完全に閉鎖した排水(流体排出)が可能になり、看護師または患者が感染するリスクは克服された。ボトルが排水される前のボトル(4)に溜まった水のチューブへの還流と、ボトルセクション(4)への空気の通入とは、ストッパ(11)とインク壺(6)とによって防止される。
【0030】
ダブルルーメン呼吸回路の閉鎖システムのウォータートラップ(2)において、脚部セクション(3)およびボトルセクション(4)の右側セクション(右側部分)および左側セクション(左側部分)は相互に対称である。
【0031】
同軸呼吸回路およびダブルルーメン呼吸回路において、肺圧測定はポート(9)によって実行され、そのポート(9)は、患者のみから受け取った空気が通過するセクション内に配置されており、その空気は、呼気ラインチューブおよびI型コネクタが連結される呼気ラインチューブ接続部(13)からそのセクションを通って流れる。
【0032】
肺圧測定ポート(9)は、従来の呼吸回路において、患者から受け取った呼気が通過するラインに配置されており、患者が呼吸を実行するのに必要な圧力差が形成されているか否かを判定し、且つ患者が二酸化炭素の再呼吸を実行しているか否かを判定するために使用される。
【0033】
図1は、同軸呼吸回路のための呼気ラインの閉鎖システムのウォータートラップの垂直断面図である。脚部セクション(3)は、2方向に開いている2つの脚部によって呼吸チューブ内に挿入されている。脚部(3)間の角度によって同軸呼吸回路の呼気ラインに溜まった水は、インク壺セクション(6)を通って、ボトルセクション(4)内に回収される。
【0034】
本発明によって、患者が、病院の疾病または換気から発生する疾病に罹患するリスクは減少する。また、使用されるウォータートラップ(1、2、16)によって、呼吸回路を通過する空気は全く抵抗を受けず、呼吸装置と麻酔装置の両方の中への流体の漏入は防止される。開発された閉鎖システムのウォータートラップ(2)によって、ウォータートラップは、水が最も溜まるセクションであるチューブの中間部への取り付けが可能である。
【0035】
閉鎖システムのウォータートラップ(1、2、16)に溜まった流体の排出が閉鎖システムの排水ルアーポート(5)によって実行されるので、患者または看護師が感染することが防止される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9