特許第6893679号(P6893679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893679ブレース上端接続金具、ブレース下端接続金具、及び天井下地構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893679
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】ブレース上端接続金具、ブレース下端接続金具、及び天井下地構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   E04B9/18 F
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-6622(P2017-6622)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-115460(P2018-115460A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2020年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502306903
【氏名又は名称】八潮建材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 昇
(72)【発明者】
【氏名】右田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】岩下 裕樹
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−243228(JP,A)
【文献】 特開2015−081496(JP,A)
【文献】 特開2014−051818(JP,A)
【文献】 特開2014−088145(JP,A)
【文献】 特開2016−044459(JP,A)
【文献】 特開2014−077336(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0074096(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18 − 9/20
B60N 3/02
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、前記野縁の前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、斜めに配置されるブレースと、を備える天井下地構造の、前記ブレースの上端部を前記吊ボルトに固定するブレース上端接続金具であって、
前記吊ボルトに固定される吊ボルト固定部と、
前記ブレースの上端部が固定されるブレース固定部と、
前記吊ボルト固定部と前記ブレース固定部との間に位置して前記吊ボルト固定部と前記ブレース固定部とを区切る脆弱部と、
前記吊ボルト固定部、前記ブレース固定部、及び前記脆弱部に配置される第一金具と、
前記吊ボルト固定部に配置され、前記第一金具と重ねられて前記第一金具との間に前記吊ボルトを挟持する第二金具と、
前記ブレース固定部に配置され、前記ブレースの上端部が固定されるとともに、前記第一金具に対して揺動可能に連結される第三金具と、を備え、
前記脆弱部には、前記第二金具及び前記第三金具が配置されておらず、
前記脆弱部の剛性は、前記吊ボルト固定部の剛性及び前記ブレース固定部の剛性よりも低い、
ブレース上端接続金具。
【請求項2】
前記吊ボルト固定部では、前記第一金具及び前記第二金具が屈曲されており、
前記ブレース固定部では、前記第一金具及び前記第三金具が屈曲されており、
前記脆弱部では、前記第一金具が屈曲されていない、
請求項に記載のブレース上端接続金具。
【請求項3】
前記脆弱部は、前記第一金具を直線状に横切る直線領域を含む、
請求項1又は2に記載のブレース上端接続金具。
【請求項4】
前記脆弱部の断面積は、前記吊ボルト固定部の断面積及び前記ブレース固定部の断面積よりも小さい、
請求項1〜の何れか一項に記載のブレース上端接続金具。
【請求項5】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、前記野縁の前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、斜めに配置されるブレースと、を備える天井下地構造の、前記ブレースの上端部を前記吊ボルトに固定するブレース上端接続金具であって、
前記吊ボルトに固定される吊ボルト固定部と、
前記ブレースの上端部が固定されるブレース固定部と、
前記吊ボルト固定部と前記ブレース固定部との間に位置して前記吊ボルト固定部と前記ブレース固定部とを区切る脆弱部と、
前記吊ボルト固定部、前記ブレース固定部、及び前記脆弱部に配置される第一金具と、
前記吊ボルト固定部に配置され、前記第一金具と重ねられて前記第一金具との間に前記吊ボルトを挟持する第二金具と、
前記ブレース固定部に配置され、前記ブレースの上端部が固定されるとともに、前記第一金具に対して揺動可能に連結される第三金具と、を備え、
前記第三金具の前記脆弱部、切り欠きが形成されており
前記脆弱部の剛性は、前記吊ボルト固定部の剛性及び前記ブレース固定部の剛性よりも低い、
ブレース上端接続金具。
【請求項6】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、前記野縁の前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、V字状に斜めに配置される一対のブレースと、前記野縁受けと前記吊ボルトとを連結する吊金具と、を備える天井下地構造の、前記一対のブレースの下端部が固定されるブレース下端接続金具であって、
前記野縁受けに固定される野縁受け固定部と、
一方の前記ブレースの下端部が固定される第一ブレース固定部と、
他方の前記ブレースの下端部が固定される第二ブレース固定部と、
前記第一ブレース固定部と前記第二ブレース固定部との間に位置して前記吊金具に係止される係止部と、を備える、
ブレース下端接続金具。
【請求項7】
前記吊金具は、互いに分離可能な上側部材及び下側部材がボルトにより締結されており、
前記係止部は、前記ボルトが挿入される係止穴が形成されている、
請求項に記載のブレース下端接続金具。
【請求項8】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、前記野縁の前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、前記野縁受けの前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁受けと直交する方向に延びる補強材と、前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、V字状に斜めに配置される一対のブレースと、前記野縁受けと前記補強材とが交差する交差位置において前記野縁受けと前記補強材とを連結する連結金具と、を備える天井下地構造の、前記一対のブレースの下端部が固定されるブレース下端接続金具であって、
前記補強材に固定される補強材固定部と、
一方の前記ブレースの下端部が固定される第一ブレース固定部と、
他方の前記ブレースの下端部が固定される第二ブレース固定部と、を備え、
前記補強材固定部は、
前記補強材に引っ掛ける一対のフック部と、
一対の前記フック部の間に位置し、前記連結金具が配置される切り欠きと、を備える、
ブレース下端接続金具。
【請求項9】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、
前記野縁の前記天井材とは反対側に配置される複数の野縁受けと、
前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、
V字状に斜めに配置される一対のブレースと、
請求項1〜の何れか一項に記載のブレース上端接続金具と、を備え
天井下地構造。
【請求項10】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、
前記野縁の前記天井材とは反対側に配置される複数の野縁受けと、
前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、
V字状に斜めに配置される一対のブレースと、
前記野縁受けと前記吊ボルトとを連結する吊金具と、
請求項6又は7に記載のブレース下端接続金具と、備える、
井下地構造。
【請求項11】
天井材が取り付けられる複数の野縁と、
前記野縁の前記天井材とは反対側に配置される複数の野縁受けと、
前記野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、
V字状に斜めに配置される一対のブレースと、
前記野縁受けの前記天井材とは反対側に配置されて前記野縁受けと直交する方向に延びる補強材と、
前記野縁受けと前記補強材とが交差する交差位置において前記野縁受けと前記補強材とを連結する連結金具と、
請求項に記載のブレース下端接続金具と、備える、
井下地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天井下地構造のブレースに固定されるブレース上端接続金具、ブレース上端接続金具、及び天井下地構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、天井材を施工するための天井下地構造は、天井材が取り付けられる複数の野縁(「バー」ともいう。)と、野縁の天井材とは反対側に配置されて野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受け(「チャンネル」ともいう。)と、建物躯体に固定されて野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、を備える。近年の法基準の改正では、特定天井の天井下地構造において、V字状に斜めに配置される一対のブレースを備えることが求められている場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−023855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の特定天井の天井下地構造における強度設計は、ブレースの座屈による設計が一般的である。つまり、ブレース材の長さやメンバーにより天井下地構造の耐力をコントロールしている。
【0005】
しかしながら、非構造部材の鋼材メンバーに関して、構造材に比べてブレース材に用いることができる構材の品種が非常に少ないため、柔軟な設計を行うことが困難である。しかも、ブレース上下端の接合部にブレースから地震力が伝わると、ブレースの弾性領域での座屈の影響を受けるため、ブレース上下端の接合部に生じる回転力によりブレース上下端の接合部の変形を早めたりするなど、天井下地構造全体の耐力にも大きくかかわってくる場合がある。このため、ブレース材の長さによってブレースのメンバーを変えた場合には、ブレースの座屈荷重を等比にしない限り、吊長さなどのパラメータで実施した試験結果から得られた剛性等を線形補間することができなくなるものと考えられる。
【0006】
そこで、ブレース材の座屈により天井下地構造の耐力をコントロールするのではなく、ブレースの上下端の接合部の変形により天井下地構造の耐力をコントロールすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、ブレースの下端の接合部を変形させると、当該変形の影響が室内天井に及ぶ可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、地震による室内天井の変形を抑制しつつ天井下地構造の強度設計を容易に行うことができるブレース上端接続金具、ブレース下端接続金具、及び天井下地構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るブレース上端接続金具は、天井材が取り付けられる複数の野縁と、野縁の天井材とは反対側に配置されて野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、斜めに配置されるブレースと、を備える天井下地構造の、ブレースの上端部を吊ボルトに固定するブレース上端接続金具であって、吊ボルトに固定される吊ボルト固定部と、ブレースの上端部が固定されるブレース固定部と、吊ボルト固定部とブレース固定部との間に位置して吊ボルト固定部とブレース固定部とを区切る脆弱部と、を備え、脆弱部の剛性は、吊ボルト固定部の剛性及びブレース固定部の剛性よりも低い。
【0010】
このブレース上端接続金具では、吊ボルト固定部とブレース固定部との間に、吊ボルト固定部とブレース固定部とを区切るとともに吊ボルト固定部の剛性及びブレース固定部よりも剛性の低い脆弱部が位置している。このため、天井下地構造に地震力が入力されると、ブレース上端接続金具の脆弱部が優先的に変形することで、当該地震力を逃がすことができる。これにより、ブレース上端接続金具の変形により天井下地構造の耐力をコントロールすることができるため、天井下地構造の強度設計を容易に行うことができる。しかも、ブレース上端接続金具は室内天井から離れているため、ブレース上端接続金具が変形しても、当該変形の影響が室内天井に及ぶのを抑制することができる。
【0011】
上記のブレース上端接続金具において、吊ボルト固定部、ブレース固定部、及び脆弱部に配置される第一金具と、吊ボルト固定部に配置され、第一金具と重ねられて第一金具との間に吊ボルトを挟持する第二金具と、ブレース固定部に配置され、ブレースの上端部が固定されるとともに、第一金具に対して揺動可能に連結される第三金具と、を備え、脆弱部には、第二金具及び第三金具が配置されなくてもよい。このブレース上端接続金具では、第一金具と第二金具とで吊ボルトを挟持するとともに、第三金具にブレースの上端部を固定することで、ブレースの上端部を吊ボルトに接続することができる。また、第一金具に対する第三金具の傾きを変えることで、ブレースの傾斜角度を変えることができる。そして、吊ボルト固定部は、第一金具及び第二金具の二枚で構成され、ブレース固定部は、第一金具及び第三金具の二枚で構成されるのに対し、脆弱部は、第一金具の一枚で構成される。このため、脆弱部の剛性が吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレースに圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部が優先的に屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレースに引張荷重が作用した場合は、脆弱部が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0012】
上記のブレース上端接続金具において、吊ボルト固定部では、第一金具及び第二金具が屈曲されており、ブレース固定部では、第一金具及び第三金具が屈曲されており、脆弱部では、第一金具が屈曲されていなくてもよい。このブレース上端接続金具では、吊ボルト固定部及びブレース固定部を構成する第一金具、第二金具、及び第三金具は屈曲されているのに対し、脆弱部を構成する第一金具は屈曲されていないため、脆弱部において剛性が局所的に小さくなっている。このため、ブレースに圧縮荷重が作用した場合に、脆弱部が優先的に屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0013】
上記のブレース上端接続金具において、脆弱部は、第一金具を直線状に横切る直線領域を含んでもよい。このブレース上端接続金具では、脆弱部が第一金具を直線状に横切る直線領域を含むため、ブレースに圧縮荷重が作用した場合に、脆弱部が屈曲変形しやすくなる。
【0014】
上記のブレース上端接続金具において、脆弱部の断面積は、吊ボルト固定部の断面積及びブレース固定部の断面積よりも小さくてもよい。このブレース上端接続金具では、脆弱部の断面積が吊ボルト固定部の断面積及びブレース固定部の断面積よりも小さいため、脆弱部の剛性が吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレースに圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部が屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレースに引張荷重が作用した場合は、脆弱部が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0015】
上記のブレース上端接続金具において、脆弱部は、切り欠きが形成されていてもよい。このブレース上端接続金具では、脆弱部に切り欠きが形成されているため、脆弱部の剛性が吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレースに圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部が屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレースに引張荷重が作用した場合は、脆弱部が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0016】
本発明に係るブレース下端接続金具は、天井材が取り付けられる複数の野縁と、野縁の天井材とは反対側に配置されて野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、V字状に斜めに配置される一対のブレースと、を備える天井下地構造の、一対のブレースの下端部が固定されるブレース下端接続金具であって、野縁受けに固定される野縁受け固定部と、一方のブレースの下端部が固定される第一ブレース固定部と、他方のブレースの下端部が固定される第二ブレース固定部と、を備える。
【0017】
このブレース下端接続金具では、野縁受けを介することなく一対のブレースから入力された荷重を受けることができるため、一対のブレースに荷重が入力された際に、野縁受けが変形するのを抑制することができる。これにより、天井下地構造に地震力が入力されても、室内天井が変形するのを抑制することができる。
【0018】
上記のブレース下端接続金具において、天井下地構造は、野縁受けと吊ボルトとを連結するとともに、互いに分離可能な上側部材及び下側部材がボルトにより締結された吊金具を更に備え、ブレース下端接続金具は、第一ブレース固定部と第二ブレース固定部との間に位置し、ボルトが挿入される係止穴が形成された係止部を更に備えてもよい。このブレース下端接続金具では、吊金具のボルトを係止穴に挿入することで係止部を当該ボルトに係止することができるため、野縁受けに対してブレース下端接続金具を固定する際の作業性を向上することができる。しかも、係止穴が形成される係止部は、第一ブレース固定部と第二ブレース固定部との間に位置するため、係止部を吊金具のボルトに係止した際に、ブレース下端接続金具がバランスを崩して落下するのを抑制することができる。
【0019】
本発明に係るブレース下端接続金具は、天井材が取り付けられる複数の野縁と、野縁の天井材とは反対側に配置されて野縁と直交する方向に延びる複数の野縁受けと、野縁受けの天井材とは反対側に配置されて野縁受けと直交する方向に延びる補強材と、野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、V字状に斜めに配置される一対のブレースと、を備える天井下地構造の、一対のブレースの下端部が固定されるブレース下端接続金具であって、補強材に固定される補強材固定部と、一方のブレースの下端部が固定される第一ブレース固定部と、他方のブレースの下端部が固定される第二ブレース固定部と、を備える。
【0020】
このブレース下端接続金具では、補強材を介することなく一対のブレースから入力された荷重を受けることができるため、一対のブレースに荷重が入力された際に、補強材が変形するのを抑制することができる。これにより、天井下地構造に地震力が入力されても、室内天井が変形するのを抑制することができる。
【0021】
上記のブレース下端接続金具において、天井下地構造は、野縁受けと補強材とが交差する交差位置において野縁受けと補強材とを連結する連結金具を更に備え、補強材固定部は、補強材に引っ掛ける一対のフック部と、一対のフック部の間に位置し、連結金具が配置される切り欠きと、を備えてもよい。このブレース下端接続金具では、一対のフック部を補強材に引っ掛けることができるため、補強材に対してブレース下端接続金具を固定する際の作業性を向上することができる。しかも、一対のフック部の間に、連結金具が配置される切り欠きが形成されているため、野縁受けと補強材とが交差する位置にブレース下端接続金具を設けることができる。これにより、ブレース下端接続金具の配置自由度を向上することができる。
【0022】
本発明に係る天井下地構造は、天井材が取り付けられる複数の野縁と、野縁の天井材とは反対側に配置される複数の野縁受けと、野縁受けを吊り下げる複数の吊ボルトと、V字状に斜めに配置される一対のブレースと、上記の何れかのブレース上端接続金具と、を備え、脆弱部の剛性は、ブレースの剛性よりも低い。
【0023】
この天井下地構造では、上記のブレース上端接続金具を備えるとともに、脆弱部の剛性がブレースの剛性よりも低くなっているため、天井下地構造に地震力が入力されると、ブレース上端接続金具の脆弱部が優先的に変形することで、当該地震力を逃がすことができる。これにより、ブレース上端接続金具の変形により天井下地構造の耐力をコントロールすることができるため、天井下地構造の強度設計を容易に行うことができる。しかも、ブレース上端接続金具は室内天井から離れているため、ブレース上端接続金具が変形しても、当該変形の影響が室内天井に及ぶのを抑制することができる。
【0024】
上記の天井下地構造において、上記の何れかのブレース下端接続金具を更に備えてもよい。この天井下地構造では、上記のブレース下端接続金具を備えるため、地震による室内天井の変形を抑制することができる。
【0025】
上記の天井下地構造において、野縁受けの天井材とは反対側に配置されて野縁受けと直交する方向に延びる補強材と、上記の何れかのブレース下端接続金具と、を更に備えてもよい。この天井下地構造では、上記のブレース下端接続金具を備えるため、地震による室内天井の変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、地震による室内天井の変形を抑制しつつ天井下地構造の強度設計を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る天井下地構造の斜視図である。
図2】天井下地構造の一部を示す図である。
図3】天井下地構造の一部を示す図である。
図4】ブレース上端接続金具の周囲を示す拡大正面図である。
図5】ブレース上端接続金具の周囲を示す拡大背面図である。
図6】ブレース上端接続金具の第一金具を示す斜視図である。
図7】(a)は第一金具の平面図、(b)は第一金具の正面図、(c)は第一金具の背面図である。
図8】ブレース上端接続金具の第二金具を示す斜視図である。
図9】(a)は第二金具の平面図、(b)は第二金具の正面図、(c)は第二金具の背面図である。
図10】ブレース上端接続金具の第三金具を示す斜視図である。
図11】(a)は第三金具の平面図、(b)は第三金具の正面図、(c)は第三金具の側面図である。
図12】第一ブレース下端接続金具の周囲を示す拡大正面図である。
図13】第一ブレース下端接続金具の周囲を示す拡大背面図である。
図14】第一ブレース下端接続金具を示す斜視図である。
図15】(a)は第一ブレース下端接続金具の平面図、(b)は第一ブレース下端接続金具の正面図、(c)は第一ブレース下端接続金具の側面図である。
図16】第二ブレース下端接続金具の周囲を示す拡大正面図である。
図17】第二ブレース下端接続金具の周囲を示す拡大背面図である。
図18】第二ブレース下端接続金具を示す斜視図である。
図19】(a)は第二ブレース下端接続金具の平面図、(b)は第二ブレース下端接続金具の正面図、(c)は第二ブレース下端接続金具の側面図である。
図20】変形例のブレース上端接続金具を示す斜視図である。
図21】変形例のブレース上端接続金具を示す正面図である。
図22】変形例のブレース上端接続金具を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明に係るブレース上端接続金具、ブレース下端接続金具、及び天井下地構造について詳細に説明する。なお、全図中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、下記の説明において、上下の方向は、天井下地構造における上下の方向をいう。
【0029】
図1図3に示すように、天井下地構造1は、建物躯体(不図示)に対して、室内天井を形成する天井材Cを上方から支持するものである。天井下地構造1は、複数の野縁2と、複数の野縁受け3と、1又は複数の補強材4と、複数の吊ボルト5と、複数のブレース6と、ブレース上端接続金具7と、第一ブレース下端接続金具8と、第二ブレース下端接続金具9と、を主構成要素としている。
【0030】
野縁2は、天井材Cが取り付けられる部材である。野縁2は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で長尺に形成されている。複数の野縁2は、互いに平行に配置されて、水平方向に延在している。野縁2は、上方に開放された断面略C字状に形成されている。
【0031】
野縁受け3は、野縁2の天井材Cとは反対側(野縁2の上側)に配置されて野縁2と直交する方向に延びる部材である。野縁受け3は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で長尺に形成されている。複数の野縁受け3は、野縁2と互いに平行に配置されて、野縁受け3と直交する水平方向に延在している。野縁受け3は、側方に開放された断面コ字状に形成されている。
【0032】
野縁2と野縁受け3とは、クリップ11により連結されている。クリップ11は、野縁2と野縁受け3とが交差する交差位置において野縁2と野縁受け3とを連結する金具である。クリップ11は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で形成されている。なお、図2及び図3では、クリップ11の図示を省略している。
【0033】
補強材4は、野縁受け3の天井材Cとは反対側(野縁受け3の上側)に配置されて、野縁受け3と直交する方向に延びる部材である。補強材4は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で長尺に形成されている。補強材4は、野縁2と平行かつ野縁受け3と直交する水平方向に延在している。補強材4は、側方に開放された断面コ字状に形成されている。
【0034】
野縁受け3と補強材4とは、連結金具12により連結されている。連結金具12は、野縁受け3と補強材4とが交差する交差位置において野縁受け3と補強材4とを連結する金具である。連結金具12は、クロスジョイントとも呼ばれる。連結金具12は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で形成されている。なお、図1では、連結金具12の図示を省略している。
【0035】
吊ボルト5は、建物躯体Sに固定されて野縁受け3を吊り下げる部材である。吊ボルト5は、建物躯体Sに着脱可能に固定されてもよく、建物躯体Sに着脱不能に固定されてもよい。複数の吊ボルト5は、鉛直方向に直線状に延びており、外周面にネジ溝が刻設されている。
【0036】
野縁受け3は、吊金具13を介して吊ボルト5に吊り下げられている。吊金具13は、吊ボルト5に対して野縁受け3を吊る部材である。吊金具13は、ステンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で形成されている。吊金具13は、ハンガとも呼ばれており、吊ボルト5の下端部に取り付けられている。吊金具13は、互いに分離可能な上側部材13a及び下側部材13bにより矩形の枠状に形成されており、上側部材13aと下側部材13bとがボルト13cにより連結されている。そして、野縁受け3を嵌め込んだ下側部材13bを吊ボルト5に取り付けられた上側部材13aに重ね合せ、下側部材13bと上側部材13aとをボルト13cにより締結する。これにより、野縁受け3が吊金具13を介して吊ボルト5に吊り下げられている。
【0037】
ブレース6は、斜めに配置される部材である。ブレース6は、テンレスや亜鉛めっき鋼板などの金属材で形成されている。ブレース6は、側方に開放された断面C型に形成されている。ブレース6は、吊ボルト5に固定されて、天井面の振れ止めを行う。そして、天井下地構造1は、V字状に配置される一対の第一ブレース6A,6Aと、V字状に配置される一対の第二ブレース6B,6Bと、を備える。一対の第一ブレース6A,6Aは、それぞれ吊ボルト5と野縁受け3とに固定される。一対の第二ブレース6B,6Bは、それぞれ吊ボルト5と補強材4とに固定される。なお、第一ブレース6Aと第二ブレース6Bとは、同じ形状をしているため、特に分けて説明する場合を除き、ブレース6として纏めて説明する。
【0038】
第一ブレース6Aの上端部は、ブレース上端接続金具7により吊ボルト5に固定される。第一ブレース6Aの下端部は、第一ブレース下端接続金具8により野縁受け3に固定される。第二ブレース6Bの上端部は、ブレース上端接続金具7により吊ボルト5に固定される。第二ブレース6Bの下端部は、第二ブレース下端接続金具9により補強材4に固定される。
【0039】
ブレース上端接続金具7は、ブレース6の上端部を吊ボルト5に固定する部材である。ブレース上端接続金具7は、吊ボルト5の何れの位置にも取り付けることができるが、天井下地構造1の耐力を向上させる観点から、建物躯体Sに当接される位置に取り付けられることが好ましい。
【0040】
図4及び図5に示すように、ブレース上端接続金具7は、吊ボルト固定部71と、ブレース固定部72と、脆弱部73と、を備える。吊ボルト固定部71は、吊ボルト5に固定される部位である。ブレース固定部72は、ブレース6の上端部が固定される部位である。脆弱部73は、吊ボルト固定部71とブレース固定部72との間に位置して、吊ボルト固定部71とブレース固定部72とを区切る部位である。脆弱部73の剛性は、吊ボルト固定部71の剛性及びブレース固定部72の剛性よりも低くなっている。
【0041】
ブレース上端接続金具7は、第一金具21と、第二金具22と、第三金具23と、を備える。第一金具21、第二金具22、及び第三金具23は、それぞれ一枚の金属板により形成されており、それぞれの板厚は略同じである。第一金具21は、吊ボルト固定部71、ブレース固定部72、及び脆弱部73に配置される金具である。第一金具21は、脆弱部73を挟んで吊ボルト固定部71からブレース固定部72まで延びる。第二金具22は、吊ボルト固定部71に配置される金具である。第二金具22は、第一金具21と重ねられて第一金具21との間に吊ボルト5を挟持する。第三金具23は、ブレース固定部72に配置される金具である。第三金具23は、ブレース6の上端部が固定されるとともに、第一金具21に対して揺動可能に連結される。
【0042】
吊ボルト固定部71は、第一金具21及び第二金具22により構成される。吊ボルト固定部71では、第一金具21及び第二金具22が屈曲されている。これにより、吊ボルト固定部71の剛性が高められている。ブレース固定部72は、第一金具21及び第三金具23により構成されている。そして、ブレース固定部72では、第一金具21及び第三金具23が屈曲されている。これにより、ブレース固定部72の剛性が高められている。脆弱部73は、第一金具21により構成される。つまり、脆弱部73には、第二金具22及び第三金具23が配置されない。そして、脆弱部73では、第一金具が屈曲されていない。このため、脆弱部73は、吊ボルト固定部71及びブレース固定部72のように剛性が高められていない。
【0043】
脆弱部73は、ブレース固定部72に固定されるブレース6の延在方向Dと交差する交差方向において、第一金具21を直線状に横切る直線領域73aを含んでいる。ところで、第三金具23は、ブレース6の傾斜角度に応じて、第一金具21に対する傾きを変えることができる。一方、実際の施工では、ブレース6の傾斜角度は、所定の角度範囲内となる。所定の角度範囲は、例えば、30°〜60°である。このため、脆弱部73は、少なくとも、ブレース6が所定の角度範囲内で傾斜している場合に、第一金具21を直線状に横切る直線領域73aを含んでいればよい。
【0044】
また、ブレース固定部72に固定されるブレース6の延在方向Dと交差する交差方向において、脆弱部73の断面積(直線領域73aの断面積)は、吊ボルト固定部71の断面積及びブレース固定部72の断面積よりも小さい。つまり、吊ボルト固定部71は、第一金具21及び第二金具22の二枚構造であり、ブレース固定部72は、第一金具21及び第三金具23の二枚構造であるのに対し、脆弱部73は、第一金具21の一枚構造であるため、脆弱部73の断面積が、吊ボルト固定部71の断面積及びブレース固定部72の断面積よりも小さくなっている。
【0045】
次に、第一金具21、第二金具22、及び第三金具23の具体的な形状について説明する。
【0046】
図4図7に示すように、第一金具21は、左右対称に形成されており、中央に位置する曲板部31と、曲板部31の両隣に位置する一対の平板部32,32と、を備える。ここで、平板部32,32の曲板部31側を、平板部32,32の内側といい、平板部32,32の曲板部31とは反対側を、平板部32,32の外側という。なお、一対の平板部32,32は、同じ形状であるため、特に分けて説明をする場合を除き、平板部32として纏めて説明する。
【0047】
曲板部31は、吊ボルト固定部71に位置して、第二金具22との間で吊ボルト5を挟み込む部位である。曲板部31は、吊ボルト5の外周に沿う円弧状に屈曲されている。曲板部31の第二金具22側(吊ボルト5が配置される側)の円弧面31aには、吊ボルト5のネジ溝に対応するネジ溝が刻設されている。
【0048】
平板部32は、吊ボルト固定部71と、ブレース固定部72と、脆弱部73と、に位置して、第二金具22及び第三金具23が連結される部位である。平板部32は、略矩形の平板状に形成されている。そして、平板部32における内側及び上側に位置する略三角形状の部分が、吊ボルト固定部71となっている。また、平板部32における外側及び下側に位置する略三角形状の部分が、ブレース固定部72となっている。また、平板部32における内側端部と上側端部とが接続される頂点部分と外側端部と下側端部とが接続される頂点部分とを結ぶ対角線部分が、脆弱部73となっている。
【0049】
吊ボルト固定部71に位置する平板部32の内側端部には、上述した曲板部31が接続されており、平板部32の内側端部の剛性が高められている。吊ボルト固定部71に位置する平板部32の上側端部には、平板部32に対して略直角に屈曲する上側屈曲部34が接続されており、平板部32の上側端部の剛性が高められている。平板部32の外側端部には、平板部32に対して略直角に屈曲する外側屈曲部35が接続されており、平板部32の外側端部の剛性が高められている。平板部32の下側端部には、平板部32に対して略直角に屈曲する下側屈曲部36が接続されており、平板部32の下側端部の剛性が高められている。
【0050】
そして、上側屈曲部34と外側屈曲部35とは離間しており、平板部32における上側端部と上側端部とを接続する頂点部分では、上側屈曲部34と外側屈曲部35とが接続されていない。また、曲板部31と下側屈曲部36とは離間しており、平板部32における内側端部と下側端部とを接続する頂点部分では、曲板部31と下側屈曲部36とが接続されていない。これにより、脆弱部73の剛性が局所的に低くなっている。
【0051】
平板部32の吊ボルト固定部71に位置する部分には、ボルト穴37が形成されている。平板部32のブレース固定部72に位置する部分には、ボルト穴38が形成されている。ボルト穴37は、第一金具21に対して第二金具22を連結するためのボルト74が挿入される穴である。ボルト穴38は、第一金具21に対して第三金具23を固定するためのボルト76が挿入される穴である。
【0052】
図4図5図8及び図9に示すように、第二金具22は、左右対称に形成されており、中央に位置する曲板部41と、曲板部41の両隣に位置する一対の平板部42,42と、を備える。なお、一対の平板部42,42は、同じ形状であるため、特に分けて説明をする場合を除き、平板部42として纏めて説明する。
【0053】
曲板部41は、吊ボルト固定部71に位置して、第一金具21との間で吊ボルト5を挟み込む部位である。曲板部41は、吊ボルト5の外周に沿う円弧状に屈曲されている。曲板部41の第一金具21側(吊ボルト5が配置される側)の円弧面41aには、吊ボルト5のネジ溝に対応するネジ溝が刻設されている。
【0054】
平板部42は、吊ボルト固定部71に位置して、第一金具21の平板部32に重ね合わされる部位である。平板部42は、吊ボルト固定部71と同じ外形を成す平板状に形成されている。平板部42には、ボルト穴44が形成されている。ボルト穴44は、第一金具21に対して第二金具22を連結するためのボルト74が挿入される穴である。
【0055】
図4図5図10及び図11に示すように、第三金具23は、ブレース6と同様に側方に開放された断面コ字状に形成されており、矩形平板状の基板部51と、基板部51の両端縁から基板部51に対して略直角に屈曲する一対の矩形平板状のフランジ部52,52と、を備える。なお、一対のフランジ部52,52は、同じ形状であるため、特に分けて説明をする場合を除き、フランジ部52として纏めて説明する。
【0056】
基板部51には、係止部54が形成されている。係止部54は、ブレース6の位置決めを行うために、基板部51の一部を基板部51の内側に切り起こした部分である。つまり、ブレース6は、係止部54に当接されることで、第二金具22側(吊ボルト5側)への移動が規制される。
【0057】
また、基板部51には、ビス穴55が形成されている。フランジ部52には、ビス穴56が形成されている。基板部51には、ボルト穴57が形成されている。ビス穴55は、基板部51にブレース6の上端部をビス止めするためのビス78aが挿入される穴である。ビス穴56は、フランジ部52にブレース6の上端部をビス止めするためのビス78bが挿入される穴である。ボルト穴57は、第一金具21に対して第三金具23を連結するためのボルト76が挿入される穴である。
【0058】
このように構成されるブレース上端接続金具7では、図4図11に示すように、第一金具21の円弧面31aと第二金具22の円弧面41aとで吊ボルト5を挟み込む。そして、第一金具21のボルト穴37及び第二金具22のボルト穴44にボルト74を挿入し、このボルト74とナット75とを締結する。これにより、吊ボルト5に第一金具21及び第二金具22が固定される。また、ブレース6の上端を第三金具23の係止部54に当接させた状態で、第三金具23に対してブレース6の上端部をビス止めする。つまり、第三金具23のビス穴55に挿入したビス78a及びビス穴56に挿入したビス78bを、ブレース6の基板部51及びフランジ部52にねじ込む。そして、第一金具21のボルト穴38及び第三金具23のボルト穴57にボルト76を挿入し、このボルト76とナット77とを締結する。これにより、第三金具23及びブレース6が第一金具21及び吊ボルト5に対して所定の角度に傾斜した状態で固定される。
【0059】
図1図3に示すように、第一ブレース下端接続金具8は、野縁受け3に固定されるともに、一対の第一ブレース6A,6Aの下端部が固定される部材である。第一ブレース下端接続金具8は、野縁受け3の何れの位置に固定されてもよいが、天井下地構造1の耐力を向上させる観点から、吊ボルト5及び吊金具13に吊り下げられる位置に固定されることが好ましい。
【0060】
図12図15に示すように、第一ブレース下端接続金具8は、一枚の金属板により形成されている。第一ブレース下端接続金具8は、左右対称に形成されており、左右一対の平板部81A,81Bと、一対の平板部81A,81Bの間に位置する係止部82と、を備える。ここで、平板部81A,81Bの係止部82側を、平板部81A,81Bの内側といい、平板部81A,81Bの係止部82とは反対側を、平板部81A,81Bの外側という。なお、一対の平板部81A,81Bは、同じ形状であるため、特に分けて説明をする場合を除き、平板部81として纏めて説明する。
【0061】
平板部81Aは、野縁受け固定部84と、第一ブレース固定部85と、を備える。平板部81Bは、野縁受け固定部86と、第二ブレース固定部87と、を備える。野縁受け固定部84及び野縁受け固定部86は、野縁受け3に固定される部位である。第一ブレース固定部85は、一対の第一ブレース6A,6Aのうち一方の第一ブレース6Aの下端部が固定される部位である。第二ブレース固定部87は、一対の第一ブレース6A,6Aのうち他方の第一ブレース6Aの下端部が固定される部位である。
【0062】
平板部81Aは、略矩形の平板状に形成されている。そして、平板部81Aにおける下側の部分が、野縁受け固定部84となっており、平板部81Aにおける上側の部分が、第一ブレース固定部85となっている。また、平板部81Bは、略矩形の平板状に形成されている。そして、平板部81Bにおける下側の部分が、野縁受け固定部86となっており、平板部81Bにおける上側の部分が、第二ブレース固定部87となっている。
【0063】
平板部81の上側端部には、平板部81に対して略直角に屈曲する上側屈曲部101が接続されている。平板部81の外側端部には、平板部81に対して略直角に屈曲する外側屈曲部102が接続されている。平板部81の下側端部には、平板部81に対して略直角に屈曲する下側屈曲部103が接続されている。
【0064】
上側屈曲部101及び外側屈曲部102の屈曲方向は、野縁受け固定部84に野縁受け3が固定された際に、野縁受け3とは反対側となる方向である。これにより、野縁受け3と干渉することなく、平板部81の剛性が高められている。一方、下側屈曲部103の屈曲方向は、野縁受け固定部84に野縁受け3が固定された際に、野縁受け3側となる方向である。これにより、下側屈曲部103が野縁受け3の下面に当接することで、第一ブレース下端接続金具8が回転するのを防止することができる。
【0065】
平板部81Aの野縁受け固定部84に位置する部分には、ビス穴104が形成されている。平板部81Aの第一ブレース固定部85に位置する部分には、ビス穴105が形成されている。平板部81Bの野縁受け固定部86に位置する部分には、ビス穴106が形成されている。平板部81Bの第二ブレース固定部87に位置する部分には、ビス穴107が形成されている。ビス穴104及びビス穴106は、野縁受け3に対して第一ブレース下端接続金具8を固定するためのビス109aが挿入される穴である。ビス穴105は、第一ブレース下端接続金具8に対して一方の第一ブレース6Aの下端部を固定するためのビス109bが挿入される穴である。ビス穴107は、第一ブレース下端接続金具8に対して他方の第一ブレース6Aの下端部を固定するためのビス109cが挿入される穴である。
【0066】
係止部82は、一対の平板部81A,81Bを連結するとともに、吊金具13のボルト13cに係止される部位である。係止部82は、平板部81Aの第一ブレース固定部85と平板部81Bの第二ブレース固定部87との間に位置する。係止部82は、吊金具13と対向する位置に配置される。このため、係止部82は、吊金具13と干渉しないように、吊金具13とは反対側に凸となるように屈曲形成されている。係止部82は、吊金具13のボルト13cが挿入される係止穴108が形成されている。係止穴108は、野縁受け3に対する第一ブレース下端接続金具8の固定位置において、ボルト13cに対応する位置に形成されている。
【0067】
このように構成される第一ブレース下端接続金具8では、ボルト13cを係止穴108に挿入して、係止部82をボルト13cに係止する。このとき、下側屈曲部103が野縁受け3の下面に当接するため、第一ブレース下端接続金具8がボルト13cを中心として回転するのが抑制される。そして、野縁受け3に対して第一ブレース下端接続金具8をビス止めする。つまり、野縁受け固定部84のビス穴104に挿入したビス109a及び野縁受け固定部86のビス穴106に挿入したビス109aを、野縁受け3にねじ込む。また、第一ブレース下端接続金具8に対して一方の第一ブレース6Aの下端部をビス止めする。つまり、第一ブレース固定部85のビス穴105に挿入したビス109bを、一方の第一ブレース6Aにねじ込む。また、第一ブレース下端接続金具8に対して他方の第一ブレース6Aの下端部をビス止めする。つまり、第二ブレース固定部87のビス穴107に挿入したビス109cを、他方の第一ブレース6Aにねじ込む。
【0068】
図1図3に示すように、第二ブレース下端接続金具9は、補強材4に固定されるともに、一対の第二ブレース6B,6Bの下端部が固定される部材である。第二ブレース下端接続金具9は、補強材4の何れの位置に固定されてもよいが、天井下地構造1の耐力を向上させる観点から、吊ボルト5及び吊金具13により野縁受け3が吊り下げられるとともに、野縁受け3と補強材4とが連結金具12により連結される位置に固定されることが好ましい。
【0069】
図16図19に示すように、第二ブレース下端接続金具9は、一枚の金属板により形成されている。第二ブレース下端接続金具9は、左右対称に形成されており、平板部91を備える。
【0070】
平板部91は、左右一対の補強材固定部92A,92Bと、左右一対の第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94と、第一ブレース固定部93と第二ブレース固定部94との間に位置する接続部95と、補強材固定部92Aと補強材固定部92Bとの間に位置する切り欠き96と、を備える。ここで、補強材固定部92A,92Bの切り欠き96側を、補強材固定部92A,92Bの内側といい、補強材固定部92A,92Bの切り欠き96とは反対側を、補強材固定部92A,92Bの外側という。また、第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94の接続部95側を、第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94の内側といい、第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94の接続部95とは反対側を、第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94の外側という。なお、一対の補強材固定部92A,92Bは、同じ形状であるため、特に分けて説明をする場合を除き、補強材固定部92として纏めて説明する。
【0071】
補強材固定部92Aは、平板部91の一方側の下部に位置して、補強材4に固定される部位である。補強材固定部92Bは、平板部91の他方側の下部に位置して、補強材4に固定される部位である。第一ブレース固定部93は、平板部91の一方側の上部に位置して、一対の第二ブレース6B,6Bのうち一方の第二ブレース6Bの下端部が固定される部位である。第二ブレース固定部94は、平板部91の他方側の上部に位置して、一対の第二ブレース6B,6Bのうち他方の第二ブレース6Bの下端部が固定される部位である。接続部95は、第一ブレース固定部93と第二ブレース固定部94とを接続する部位である。
【0072】
補強材固定部92は、略矩形の平板状に形成されている。補強材固定部92の上側端部の外側には、フック部111が接続されている。フック部111は、補強材4に引っ掛ける部位であり、第二ブレース下端接続金具9の左右端部に位置する。補強材固定部92の下側端部には、平板部91に対して略直角に屈曲する下側屈曲部112が接続されている。補強材固定部92の内側端部には、平板部91に対して略直角に屈曲する内側屈曲部113が接続されている。下側屈曲部112及び内側屈曲部113の屈曲方向は、平板部91(補強材固定部92)からフック部111が延びる方向と反対の方向である。これにより、補強材4と干渉することなく、補強材固定部92の剛性が高められている。
【0073】
切り欠き96は、補強材固定部92Aと、補強材固定部92Bと、接続部95とにより画成される。切り欠き96は、一対の補強材固定部92A,92Bの間、つまり、一対のフック部111の間に位置する。そして、補強材4に第二ブレース下端接続金具9を固定した際、つまり補強材4にフック部111を引っ掛けた際に、切り欠き96には、連結金具12が配置される。つまり、切り欠き96は、連結金具12を囲むように形成されている。なお、切り欠き96は、連結金具12との干渉が防止できれば、如何なる形状及び大きさ等であってもよい。
【0074】
平板部91の補強材固定部92に位置する部分には、ビス穴117が形成されている。平板部91の第一ブレース固定部93に位置する部分には、ビス穴118が形成されている。平板部91の第二ブレース固定部94に位置する部分には、ビス穴119が形成されている。ビス穴117は、補強材4に対して第二ブレース下端接続金具9を固定するためのビス120aが挿入される穴である。ビス穴118は、第二ブレース下端接続金具9に対して一方の第二ブレース6Bの下端部を固定するためのビス120bが挿入される穴である。ビス穴119は、第二ブレース下端接続金具9に対して他方の第二ブレース6Bの下端部を固定するためのビス120cが挿入される穴である。
【0075】
第一ブレース固定部93、第二ブレース固定部94、及び接続部95の上側端部には、平板部91に対して略直角に屈曲する上側屈曲部114が接続されている。第一ブレース固定部93及び第二ブレース固定部94の外側端部には、それぞれ平板部91に対して略直角に屈曲する外側屈曲部115,115が接続されている。接続部95の切り欠き96側の端部には、平板部91に対して略直角に屈曲する下側屈曲部116が接続されている。
【0076】
上側屈曲部114、外側屈曲部115、及び接続部95は、同じ方向に屈曲している。なお、本実施形態では、上側屈曲部114、外側屈曲部115、及び接続部95は、補強材固定部92からフック部111が延びる方向と同じ方向に屈曲している。これにより、上側屈曲部114及び外側屈曲部115と第二ブレース6Bとが干渉することなく、第一ブレース固定部93、第二ブレース固定部94、及び接続部95の剛性が高められている。
【0077】
このように構成される第二ブレース下端接続金具9では、一対のフック部111を補強材4に引っ掛けて、第二ブレース下端接続金具9を補強材4に係止する。このとき、一対のフック部111,111は、第二ブレース下端接続金具9の左右端部に位置するため、第二ブレース下端接続金具9が回転するのが抑制される。そして、補強材4に対して第二ブレース下端接続金具9をビス止めする。つまり、補強材固定部92のビス穴117に挿入したビス120aを、補強材4にねじ込む。また、第二ブレース下端接続金具9に対して一方の第二ブレース6Bの下端部をビス止めする。つまり、第一ブレース固定部93のビス穴118に挿入したビス120bを、一方の第二ブレース6Bにねじ込む。また、第二ブレース下端接続金具9に対して他方の第二ブレース6Bの下端部をビス止めする。つまり、第二ブレース固定部94のビス穴119に挿入したビス120cを、他方の第二ブレース6Bにねじ込む。
【0078】
このように、本実施形態に係るブレース上端接続金具7では、吊ボルト固定部71とブレース固定部72との間に、吊ボルト固定部71とブレース固定部72とを区切るとともに吊ボルト固定部71の剛性及びブレース固定部72よりも剛性の低い脆弱部73が位置している。このため、天井下地構造1に地震力が入力されると、ブレース上端接続金具7の脆弱部73が優先的に変形することで、当該地震力を逃がすことができる。これにより、ブレース上端接続金具7の変形により天井下地構造1の耐力をコントロールすることができるため、天井下地構造1の強度設計を容易に行うことができる。しかも、ブレース上端接続金具7は、室内天井を形成する天井材Cから離れているため、ブレース上端接続金具7が変形しても、当該変形の影響が室内天井に及ぶのを抑制することができる。
【0079】
また、このブレース上端接続金具7では、第一金具21と第二金具22とで吊ボルト5を挟持するとともに、第三金具23にブレース6の上端部を固定することで、ブレース6の上端部を吊ボルト5に接続することができる。また、第一金具21に対する第三金具23の傾きを変えることで、ブレース6の傾斜角度を変えることができる。そして、吊ボルト固定部71は、第一金具21及び第二金具22の二枚で構成され、ブレース固定部72は、第一金具21及び第三金具23の二枚で構成されるのに対し、脆弱部73は、第一金具21の一枚で構成される。このため、脆弱部73の剛性が吊ボルト固定部71及びブレース固定部72の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレース6に圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部73が優先的に屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレース6に引張荷重が作用した場合は、脆弱部73が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0080】
また、このブレース上端接続金具7では、吊ボルト固定部71及びブレース固定部72を構成する第一金具21、第二金具22、及び第三金具23は屈曲されているのに対し、脆弱部73を構成する第一金具21は屈曲されていないため、脆弱部73において剛性が局所的に小さくなっている。このため、ブレース6に圧縮荷重が作用した場合に、脆弱部73が優先的に屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0081】
また、このブレース上端接続金具7では、脆弱部73が第一金具21を直線状に横切る直線領域73aを含むため、ブレース6に圧縮荷重が作用した場合に、脆弱部73が屈曲変形しやすくなる。
【0082】
また、このブレース上端接続金具7では、脆弱部73の断面積が吊ボルト固定部71の断面積及びブレース固定部72の断面積よりも小さいため、脆弱部73の剛性が吊ボルト固定部71及びブレース固定部72の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレース6に圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部73が屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレース6に引張荷重が作用した場合は、脆弱部73が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【0083】
本実施形態に係る第一ブレース下端接続金具8では、野縁受け3を介することなく一対の第一ブレース6Aから入力された荷重を受けることができるため、一対の第一ブレース6Aに荷重が入力された際に、野縁受け3が変形するのを抑制することができる。これにより、天井下地構造1に地震力が入力されても、室内天井が変形するのを抑制することができる。
【0084】
また、この第一ブレース下端接続金具8では、吊金具13のボルト13cを係止穴108に挿入することで係止部82を当該ボルト13cに係止することができるため、野縁受け3に対して第一ブレース下端接続金具8を固定する際の作業性を向上することができる。しかも、係止穴108が形成される係止部82は、第一ブレース固定部85と第二ブレース固定部87との間に位置するため、係止部82を吊金具13のボルト13cに係止した際に、第一ブレース下端接続金具8がバランスを崩して落下するのを抑制することができる。
【0085】
同様に、本実施形態に係る第二ブレース下端接続金具9では、補強材4を介することなく一対の第二ブレース6Bから入力された荷重を受けることができるため、一対の第二ブレース6Bに荷重が入力された際に、補強材4が変形するのを抑制することができる。これにより、天井下地構造1に地震力が入力されても、室内天井が変形するのを抑制することができる。
【0086】
また、この第二ブレース下端接続金具9では、一対のフック部111,111を補強材4に引っ掛けることができるため、補強材4に対して第二ブレース下端接続金具9を固定する際の作業性を向上することができる。しかも、一対のフック部111,111の間に、連結金具12が配置される切り欠き96が形成されているため、野縁受け3と補強材4とが交差する位置に第二ブレース下端接続金具9を設けることができる。これにより、第二ブレース下端接続金具9の配置自由度を向上することができる。
【0087】
そして、本実施形態に係る天井下地構造1では、上記のブレース上端接続金具7を備えるとともに、脆弱部73の剛性がブレース6の剛性よりも低くなっているため、天井下地構造1に地震力が入力されると、ブレース上端接続金具7の脆弱部73が優先的に変形することで、当該地震力を逃がすことができる。これにより、ブレース上端接続金具7の変形により天井下地構造1の耐力をコントロールすることができるため、天井下地構造1の強度設計を容易に行うことができる。しかも、ブレース上端接続金具7は室内天井を形成する天井材Cから離れているため、ブレース上端接続金具7が変形しても、当該変形の影響が室内天井に及ぶのを抑制することができる。
【0088】
本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
【0089】
例えば、図20図22に示すブレース上端接続金具130のように、脆弱部に切り欠きが形成されることにより、脆弱部の剛性が吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性よりも低くなるものとしてもよい。
【0090】
図20図22に示すブレース上端接続金具130は、第一金具131と、第二金具132と、第三金具133と、を備える。
【0091】
第一金具131及び第二金具132は、吊ボルト固定部を形成する。第一金具131及び第二金具132は、ボルト134及びナット135により締結されることで、吊ボルト5を挟持する。
【0092】
第三金具133は、吊ボルト固定部、ブレース固定部、及び脆弱部を形成する。第三金具133の吊ボルト固定部を形成する部分には、屈曲部136が形成されている。第三金具133のブレース固定部を形成する部分には、屈曲部137が形成されている。第三金具133の脆弱部を形成する部分には、切り欠き138が形成されている。これにより、吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性が高くなっており、反対に、脆弱部の剛性が局所的に低くなっている。このため、ブレース上端接続金具130は、引張荷重が作用すると、第三金具133の切り欠き138が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。なお、屈曲部136及び屈曲部137は、互いに同じ方向に屈曲してもよく、互いに異なる方向に屈曲してもよい。本実施形態では、屈曲部136及び屈曲部137は、互いに異なる方向に屈曲している。
【0093】
第三金具133は、ブレース6と同様に側方に開放された断面コ字状に形成されており、矩形平板状の基板部と、基板部の両端縁から基板部に対して略直角に屈曲する一対の矩形平板状のフランジ部と、を備える。第三金具133は、第三金具133に固定されるブレース6よりも幅狭となっており、第三金具133の基板部にのみ、ビス穴139が形成されている。
【0094】
このように構成されるブレース上端接続金具130では、第三金具23に対してブレース6の上端部をビス止めする。つまり、第三金具133のビス穴139に挿入したビス140を、ブレース6にねじ込む。そして、第一金具131と第二金具132とで吊ボルト5及び第三金具133を挟み込み、ボルト134及びナット135により第一金具131と第二金具132とを締結する。これにより、第一金具131及び第二金具132が吊ボルト5に固定されるとともに、第三金具133及びブレース6が第一金具131、第二金具132及び吊ボルト5に対して所定の角度に傾斜した状態で固定される。
【0095】
このように構成されるブレース上端接続金具130では、脆弱部に切り欠き138が形成されているため、脆弱部の剛性が吊ボルト固定部及びブレース固定部の剛性よりも低くなる。これにより、例えば、ブレース6に圧縮荷重が作用した場合は、脆弱部が屈曲変形することで当該荷重を逃がすことができ、ブレース6に引張荷重が作用した場合は、脆弱部が伸長変形することで当該荷重を逃がすことができる。
【符号の説明】
【0096】
1…天井下地構造、2…野縁、3…野縁受け、4…補強材、5…吊ボルト、6…ブレース、6A…第一ブレース、6B…第二ブレース、7…ブレース上端接続金具、8…第一ブレース下端接続金具、9…第二ブレース下端接続金具、11…クリップ、12…連結金具、13…吊金具、13a…上側部材、13b…下側部材、13c…ボルト、21…第一金具、22…第二金具、23…第三金具、31…曲板部、31a…円弧面、32…平板部、34…上側屈曲部、35…外側屈曲部、36…下側屈曲部、37,38…ボルト穴、41…曲板部、41a…円弧面、42…平板部、44…ボルト穴、51…基板部、52…フランジ部、54…係止部、55,56…ビス穴、57…ボルト穴、71…吊ボルト固定部、72…ブレース固定部、73…脆弱部、73a…直線領域、74,76…ボルト、75,77…ナット、78a,78b…ビス、81,81A,81B…平板部、82…係止部、84,86…野縁受け固定部、85…第一ブレース固定部、87…第二ブレース固定部、91…平板部、92,92A,92B…補強材固定部、93…第一ブレース固定部、94…第二ブレース固定部、95…接続部、96…切り欠き、101…上側屈曲部、102…外側屈曲部、103…下側屈曲部、104,105,106,107…ビス穴、108…係止穴、109a,109b,109c…ビス、111…フック部、112…下側屈曲部、113…内側屈曲部、114…上側屈曲部、115…外側屈曲部、116…下側屈曲部、117,118,119…ビス穴、120a,120b,120c…ビス、130…ブレース上端接続金具、131…第一金具、132…第二金具、133…第三金具、134…ボルト、135…ナット、136,137…屈曲部、138…切り欠き、139…ビス穴、140…ビス、C…天井材、S…建物躯体。
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