(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図5を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係るアームレストカバーユニットと、自動車の既存のアームレストとを示す斜視図であるが、以下では、自動車の走行方向を前後方向(図中の矢示F方向が前方向、矢示B方向が後方向)とし、かつその前後方向に対して直交する水平方向を左右方向(図中の矢示L方向が左方向、矢示R方向が右方向)として、説明する。
【0012】
この
図1において、1は車両である自動車のシート(座席)、すなわち例えば車両右側の運転席で、2はそのシート1に標準装備された既存のアームレストである。
【0013】
シート1は、着座者である運転手の臀部を支持する座部(シートクッション)3と、この座部3に立設され、運転手の背中を支持する背凭れ部(シートバック)4とを備えている。
【0014】
アームレスト(既存アームレスト)2は、左右方向寸法である幅寸法が比較的小さな前後方向長手状をなす直方体形状のものであって、シート1の背凭れ部4に設けられている。
【0015】
そして、既存のアームレスト2は、その幅寸法が比較的小さく運転時に腕が疲れやすいので、この問題を解消すべく、このアームレスト2には、当該アームレスト2を少なくとも左右方向(幅方向)に大きくするための、すなわち例えば当該アームレスト2を左右方向(車両幅方向)にのみ拡張(大型化)するためのアームレストカバーユニット(アームレスト拡張ユニット)6が、後付けにより脱着可能に取り付けられる。
【0016】
なお、アームレストカバーユニット6(以下、単に「カバーユニット6」という場合がある。)を既存のアームレスト2に取り付けても、このアームレスト2の上面(肘受け面)2aの高さ位置は一定(略一定を含む)であり、カバーユニット6によって大型化したアームレストの高さはほとんど変わらず、運転手にとって何ら違和感がない。
【0017】
カバーユニット6は、アームレスト2に固定されてこのアームレスト2を拡張するベース体(アームレスト拡張体)7と、アームレスト2及びこのアームレスト2に固定されたベース体7をそれら全体をまとめて覆い隠すように覆う袋状の被覆体であるカバー体8とを備えている。つまり、このカバーユニット6は、従来のものとは異なり、互いに別体である2つの部材7,8のみで構成されている。
【0018】
ベース体7は、
図1及び
図2に示すように、車両用のアームレスト2の外側にこれと平行に並んで位置するようにアームレスト2の外側(背凭れ部4側とは反対側)の側面2bに外側方に向かって突出状に固定され、このアームレスト2の幅寸法を大きくする弾性変形可能なベース部材10と、このベース部材10の前後方向中央部に基端部が縫着により取り付けられ、先端部が自由端部となっている帯状の第1部材である短手部材11と、ベース部材10の前後方向中央部に基端部が縫着により取り付けられ、先端部が自由端部となっており、短手部材11と係脱可能に係合する帯状の第2部材である長手部材12とを有している。
【0019】
ベース部材10は、既存のアームレスト2と同一形状(略同一形状を含む)のもので、前後方向長手状をなす略直方体形状に形成されている。そして、このベース部材10は、短手部材11と長手部材12との係合によりアームレスト2の外側の一の側面2bのみに対して固定される。また、互いに係脱可能に係合する長さの異なる対をなす係合部材である短手部材11及び長手部材12は、いずれも可撓性を有する帯状のもので、これら両部材11,12の係合によって、所定幅を有するベース部材10がアームレスト2の側面2bに所望の固定位置から位置ズレしないように強固に固定される。
【0020】
ここで、ベース部材10は、アームレスト2の側面2bに面状に接触して固定される固定面である内側面(アームレスト2との対向面)16を一側面に有し、かつ、その反対側の他側面に外側面17を有している。また、このベース部材10は、カバー体8を介して運転手の腕の肘を支持する肘受け面18を上面に有し、この肘受け面18は、ベース体7がアームレスト2に固定された状態でアームレスト2の上面2aと同一面上に位置する。
【0021】
ベース部材10は、クッション性を有する弾性変形可能なもので、例えば布製の袋状部材21と、この袋状部材21内に収納された発泡ウレタン製の弾性部材22とによって構成されている。なお、弾性部材22の素材は、発泡ウレタンには限定されず、例えば発泡ポリエチレン等の他の樹脂材料や、合成ゴム等のゴム材料でもよく、弾性変形可能な弾性材料であれば任意である(カバー部材41の弾性部材49も同様である)。
【0022】
短手部材11は、その基端部(基端側の部分)がベース部材10の外側面17における前後方向中央部の下側に固着されている。そして、短手部材11は、ベース体7をアームレスト2に固定するための面ファスナー25の一方側係合部(例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部)26を先端部(先端側の部分)の一方表面に有している。
【0023】
短手部材11は、カバー体8の係合手段43の第1係合部56と係脱可能に係合する係合部である追加係合部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)27を基端部の他方表面に有している。この追加係合部27は、ベース体7の外側の側面に位置している。
【0024】
長手部材12は、その基端部(基端側の部分)がベース部材10の外側面17における前後方向中央部の上側に固着されている。そして、長手部材12は、短手部材11の一方側係合部26と係脱可能に係合する他方側係合部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)31を一方表面の全体(略全体を含む)に有している。
【0025】
長手部材12は、短手部材11よりも長く形成され、その長手方向の寸法は、
図2(a)の如く長手部材12を持ち上げて既存のアームレスト2に巻き付けるようにして、そのアームレスト2に固定されたベース部材10の下面側で両係合部26,31同士を互いに係合させることが可能な寸法に設定されている(
図5(b)を参照)。
【0026】
なお、短手部材11の面状の一方側係合部(雄係合面部)26と、長手部材12の面状の他方側係合部(雌係合面部)31とによって、面ファスナー25が構成されている。
【0027】
カバー体8は、
図1、
図3及び
図4に示すように、アームレスト2及びこのアームレスト2に固定されたベース体7をまとめて覆う袋状のカバー部材41と、このカバー部材41をそれら互いに固定されたアームレスト2及びベース体7に脱着可能に取り付けるためのファスナー手段である線ファスナー42とを有している。なお、当該ファスナー手段は、図示した線ファスナー42には限定されず、例えば面ファスナー等でもよい。
【0028】
また、カバー体8は、ベース体7の短手部材11及び長手部材12のうちの少なくとも一方、すなわち例えば両方との係合により、カバー部材41をベース体7に固定する係合手段(係合固定手段)43を有している。
【0029】
ここで、カバー部材41は、アームレスト2及びベース体7を内部空間45に収納可能な袋状に形成されたもので、線ファスナー42の開状態時には下面全体が大きく開口するが、線ファスナー42の閉状態時には、シート状の底蓋部46によって後側の一部開口47を残してその下面(底面)が閉鎖される。
【0030】
また、カバー部材41は、クッション性を有する弾性変形可能な周壁部48を有し、この周壁部48は、例えば前方に向かって徐々に幅寸法が減少する所定形状に形成されている。この周壁部48は、布製の表面部材44を有し、この表面部材44内には、発泡ウレタン製の弾性部材49と、この弾性部材49の内面側を支持する樹脂板50とが収納されている。
【0031】
弾性部材49は、カバー部材41の周壁部48の全周にわたって環状に配設されているが、樹脂板50は、周壁部48の全周にわたっておらず、外側の一部で切り欠かれている。なお、周壁部48の表面部材44は、例えばシートカバーが皮革製の場合にはそれに合わせて合成皮革等の皮革製としてもよい。
【0032】
線ファスナー42は、カバー部材41の周壁部48の下端部に設けられた一方側のエレメント(務歯)51と、カバー部材41の底蓋部46の側端部に設けられた他方側のエレメント(務歯)52と、閉方向(
図4中の矢示C方向)への移動により両エレメント51,52を互いに係合(噛合)させ、開方向(
図4中の矢示O方向)への移動により両エレメント51,52の係合(噛合)を解除する移動可能な移動体であるスライダー53と、このスライダー53に取り付けられた引き手54とを有している。
【0033】
この図示した線ファスナー42は、その始端部(スライダー53を閉方向へ移動させる際の始端側の端部)において両エレメント51,52が離れないものであるが、これには限定されず、例えば蝶棒、箱棒及び箱からなる開手段を始端部に有したオープン型の線ファスナーでもよい。
【0034】
係合手段43は、ベース体7の短手部材11の追加係合部(例えば雌係合面部)27と係脱可能に係合する第1係合部56と、ベース体7の長手部材12の他方側係合部(例えば雌係合面部)31と係脱可能に係合する第2係合部57とを有している。これら第1係合部56及び第2係合部57は、いずれも例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部からなるものであり、これら2つの面状の係合部(例えば雄係合面部)56,57によって、カバー体8の位置ズレ防止手段である係合手段43が構成されている。
【0035】
第1係合部56は、カバー部材41の周壁部48のうち一方側の内面に設けられて内部空間45に臨んでいる。また、第2係合部57は、第1係合部56と離間対向するようにカバー部材41の周壁部48のうち他方側の内面に設けられて内部空間45に臨んでいる。この第2係合部57は、第1係合部56よりも大きく形成され、この第2係合部57の上端部57aは第1係合部56の上端部56aよりも上方に位置して周壁部48の上側に配置されている。
【0036】
そして、カバー部材41が幅広アームレスト部(互いに固定されたアームレスト2とベース体7とからなる部分)60を覆うように取り付けられると、係合手段43の第1係合部56が短手部材11の追加係合部27と係合しかつ係合手段43の第2係合部57が長手部材12の他方側係合部31と係合する。その結果、係合手段43を介してカバー部材41がアームレスト部60に対して位置ズレしないように強固に固定される。
【0037】
次に、
図5を参照しつつカバーユニット6の取付手順について説明する。
【0038】
図5(a)に示すように、この図示した自動車のシート1の側面側にはアームレスト2が設けられており、この既存のアームレスト2に対して、まず、面ファスナー25を利用してベース体7を固定する。
【0039】
すなわち、
図5(b)に示すように、ベース体(面ファスナー付きベース体)7の長手部材12を、ベース部材10の上面、アームレスト2の上面、アームレスト2の内側の側面、アームレスト2の下面、及びベース部材10の下面に順次接触させるようにして、ベース部材10及びアームレスト2の両方に巻き付けた後、その長手部材12の先端側に位置する他方側係合部31と短手部材の先端側に位置する一方側係合部26とを互いに係合固定させることで、既存のアームレスト2の鉛直状の側面2bに対してベース部材10を強固に固定する。これにより、既存のアームレスト2よりも幅が広い、例えば幅寸法が約2倍の幅広アームレスト部60が得られる。なお、当該幅広アームレスト部60の幅寸法は、既存のアームレスト2の幅寸法の2倍程度が好ましいが、これには限定されず、例えば1.5倍や、2倍以上でもよい。
【0040】
次いで、
図4(a)の如く線ファスナー42を開状態にした下面開口状のカバー体8を、幅広アームレスト部60の上方側から当該幅広アームレスト部60に被せる。
【0041】
続いて、
図4(b)の如く線ファスナー42を閉状態にして、カバー体8の係合手段43の係合部56,57とベース体7の係合部27,31とを互いに係合固定させることで、幅広アームレスト部60に対してカバー部材41を強固に固定する。
【0042】
これにより、
図5(c)に示すように、既存のアームレスト2を廃棄することなく当該アームレスト2を使用しつつ、それよりもサイズの大きなカバー付き大型アームレストが得られる。よって、シート1に座った運転手がその大型アームレストを使用することで、運転時の腕への負担の軽減が図られる。
【0043】
そして、上記一実施の形態に係るアームレストカバーユニット6によれば、従来のアームレストカバーユニットに比べて、部品点数が少ないばかりでなく、当該カバーユニット6を既存のアームレスト2に容易に取り付けることができる。なお、アームレスト2への取付作業のみならず、取り付けたカバーユニット6をアームレスト2から取り外す取外作業も容易である。
【0044】
また、ベース体7の短手部材11は面ファスナー25の一方側係合部26を有しかつベース体7の長手部材12は面ファスナー25の他方側係合部31を有するため(換言するとベース体7は面ファスナー25を有するため)、ベース体7を既存のアームレスト2に容易かつ適切に固定できる。
【0045】
さらに、カバー体8は、線ファスナー42及び係合手段43を有するため、カバー体8を幅広アームレスト部(アームレスト2及びベース体7)60に容易かつ適切に固定できる。
【0046】
次に、本発明の他の実施の形態について
図6ないし
図10を参照して説明する。
【0047】
図6に示すシート(座席)1に標準装備された既存のアームレスト2は、
図1のものと同様、左右方向寸法である幅寸法が比較的小さなものであり、前後方向長手状に形成されている。そして、このアームレスト2は、シート1の背凭れ部4に回動軸5を中心として上下方向に回動可能に設けられている。なお、このアームレスト2は、
図1のものとは異なり、上下方向寸法が前方に向かって徐々に小さくなっている。
【0048】
そして、運転時における運転者の腕の疲労を抑制するために、
図1のものと同様、このアームレスト2にもカバーユニット6が後付けにより脱着可能に取り付けられる。
【0049】
この
図6に示すカバーユニット6は、アームレスト2に固定されてこのアームレスト2を拡張するベース体(アームレスト拡張体)71と、アームレスト2及びこのアームレスト2に固定されたベース体71をそれら全体をまとめて覆い隠すように覆う被覆体であるカバー体72とを備えている。
【0050】
そして、カバー体72は、アームレスト2及びこのアームレスト2に固定されたベース体71に対してそれらの外周全体に巻き付けられて固定される弾性変形可能な帯状の緩衝体73と、これら互いに固定されて一体化したアームレスト2、ベース体71及び緩衝体73をまとめて覆う袋状のカバー本体74とを有している。つまり、このカバー体72は、互いに分離可能な2つのカバー構成部材73,74からなるものである。
【0051】
このように、
図6に示すカバーユニット6は、2つの部材7,8のみからなる
図1のものとは異なり、互いに分離可能な別体である3つの部材71,73,74で構成されている。
【0052】
ベース体71は、
図7にも示すように、車両用のアームレスト2の外側にこれと平行に並んで位置するようにアームレスト2の外側の側面2bに外側方に向かって突出状に固定され、このアームレスト2の幅寸法を大きくする弾性変形可能なベース部材76を有している。
【0053】
また、ベース体71は、ベース部材76に一体的に設けられたシート状部材77と、ベース部材76の下面に縫着により取り付けられた複数(例えば3つ)の帯状の第1部材78と、シート状部材77に基端部が縫着により取り付けられかつ先端部が自由端部となっている複数(例えば3つ)の帯状の第2部材79とを有している。
【0054】
そして、これら複数対をなす第1部材78と第2部材79との係合(面ファスナー係合)により、ベース体71がアームレスト2に対して固定される。なお、シート状部材77は、アームレスト2の上面全体を覆う上面覆い部77aと、アームレスト2の前面上部を覆う前面覆い部77bと、アームレスト2の後面上部を覆う後面覆い部77cと、アームレスト2の内側の側面上部を覆う側面覆い部77dとを有している。
【0055】
ベース部材76は、既存のアームレスト2と同一形状(略同一形状を含む)のもので、前後方向長手状に形成されている。そして、このベース部材76が、互いに複数対をなす第1部材78と第2部材79との係合(面ファスナー係合)により、アームレスト2の外側の側面2bに対して固定される。つまり、互いに係脱可能に係合する長さの異なる対をなす係合部材である第1部材78及び第2部材79は、いずれも可撓性を有する帯状のもので、これら両部材78,79の係合によって、所定幅を有するベース部材76がアームレスト2の側面2bに所望の固定位置から位置ズレしないように強固に固定される。
【0056】
ここで、ベース部材76は、アームレスト2の側面2bに面状に接触して固定される固定面である内側面(アームレスト2との対向面)81を一側面に有し、かつ、その反対側の他側面に外側面82を有している。また、このベース部材76は、カバー体(緩衝体73及びカバー本体74)72を介して運転手の腕の肘を支持する肘受け面83を上面に有し、この肘受け面83は、ベース体71がアームレスト2に固定された状態でこのアームレスト2の上面2aと略同一面上に位置する。
【0057】
さらに、ベース部材76は、クッション性を有する弾性変形可能なもので、内部に発泡ウレタン製の弾性部材85を有している。この弾性部材85の素材は、発泡ウレタンには限定されず、例えば発泡ポリエチレン等の他の樹脂材料や、合成ゴム等のゴム材料でもよく、弾性変形可能な弾性材料であれば任意である(緩衝体73の弾性部材95も同様である)。
【0058】
第1部材78は、略全体がベース部材76の下面に固着されている。そして、第1部材78は、ベース体71をアームレスト2に固定するための面ファスナー90の一方側係合部(例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部)86を表面に有している。なお、図示した3つの第1部材78は、互いに間隔をおいて前後方向に並設されている。
【0059】
第2部材79は、その基端部(基端側の部分)79aがシート状部材77の側面覆い部77dの下端部に固着されている。そして、第2部材79は、第1部材78の一方側係合部86と係脱可能に係合する他方側係合部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)87を内側の表面に有している。なお、図示した3つの第2部材79は、第1部材78と同様、互いに間隔をおいて前後方向に並設されている。
【0060】
第2部材79は、第1部材78よりも長く形成され、その長手方向の寸法は、
図7の如くシート状部材77でアームレスト2の一部を覆うとともに第2部材79をアームレスト2に巻き付けるようにして、そのアームレスト2に固定されたベース部材76の下面側で両係合部86,87同士を互いに係合させることが可能な寸法に設定されている。
【0061】
なお、複数の第1部材(短手部材)78の面状の一方側係合部(雄係合面部)86と、複数の第2部材(長手部材)79の面状の他方側係合部(雌係合面部)87とによって、ベース体固定手段である面ファスナー90が構成されている。例えば図示しないが、両部材78,79は1対の構成とすることも可能である。
【0062】
帯状体である緩衝体73は、
図6及び
図8に示すように、可撓性を有する細長い矩形板状の緩衝部材91と、この緩衝部材91の長手方向一端部に固着された第1部材92と、この緩衝部材91の長手方向他端部に固着された第2部材93とを有している。そして、これら第1部材92と第2部材93との係合(面ファスナー係合)により、緩衝体73がアームレスト2及びベース体71に対して固定される。
【0063】
緩衝部材91は、クッション性を有する弾性変形可能なもので、内部に発泡ウレタン製の弾性部材95を有している(
図8(c)参照)。なお、例えば緩衝部材91内の弾性部材95が軟質ウレタンで、ベース部材76内の弾性部材85が硬質ウレタンであることが好ましいが、これには限定されず、他の素材からなるものでもよい。また、緩衝部材91の長手方向の寸法は、ベース部材76の外周寸法と略同じである。
【0064】
第1部材92は、互いに固定されて一体化したアームレスト2及びベース体71に緩衝体73を固定するための面ファスナー100の一方側係合部(例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部)96を外側の表面に有している。
【0065】
第2部材93は、第1部材92の一方側係合部96と係脱可能に係合する他方側係合部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)97を内側の表面に有している。なお、第1部材92の面状の一方側係合部(雄係合面部)96と、第2部材93の面状の他方側係合部(雌係合面部)97とによって、緩衝体固定手段である面ファスナー100が構成されている。
【0066】
袋状体であるカバー本体74は、
図6及び
図9に示すように、略円形状の開口部99が形成された布製の袋部材101と、この袋部材101の開口部99の近傍の外面に固着された第1部材102と、この袋部材101の開口部99の近傍の内面に固着された第2部材103とを有している。そして、これら第1部材102と第2部材103との係合(面ファスナー係合)により、カバー本体74が巻付状態の環状の緩衝体73に対して固定される。
【0067】
袋部材101は、互いに固定されて一体化したアームレスト2、ベース体71及び緩衝体73を内部空間に収納可能な袋状に形成されている。なお、袋部材101の開口部99には、回動軸が挿通された状態となる。
【0068】
第1部材102は、それら3つのアームレスト2、ベース体71及び緩衝体73を覆った状態のカバー本体74を巻付状態の緩衝体73に対して固定するための面ファスナー105の一方側係合部(例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部)106を表面に有している。
【0069】
第2部材103は、第1部材102の一方側係合部106と係脱可能に係合する他方側係合部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)107を表面に有している。なお、第1部材102の面状の一方側係合部(雄係合面部)106と、第2部材103の面状の他方側係合部(雌係合面部)107とによって、カバー体固定手段である面ファスナー105が構成されている。
【0070】
また一方、この
図6に示すカバーユニット6では、緩衝体73がベース体71に対して位置ズレしないようになっている。すなわち、ベース体71は、位置ズレ防止用の係合受部111を有し、かつ、緩衝体73は、その係合受部111と係脱可能に係合する係合部112を有している。
【0071】
具体的には、ベース体71のベース部材76の上面には、前後方向に細長い帯状の係合受部材113が固着され、この係合受部材113が係合受部(例えばループ状に起毛された雌部材からなる雌係合面部)111を表面に有している。
【0072】
また、緩衝体73の緩衝部材91の内側の面には、係合受部材113と同じ長さの帯状の係合部材114が固着され、この係合部材114が係合部(例えばフック状に起毛された雄部材からなる雄係合面部)112を表面に有している。そして、係合部材114の面状の係合部(雄係合面部)112と、係合受部材113の面状の係合受部(雌係合面部)111とによって、ベース体71に対する緩衝体73の位置ズレを防止する位置ズレ防止手段である面ファスナー110が構成されている。
【0073】
次に、
図10を参照しつつ、上記カバーユニット6の取付手順について説明する。
【0074】
図10(a)に示すように、この図示した自動車のシート1の側面側にはアームレスト2が設けられており、この既存のアームレスト2に対して、まず、面ファスナー90を利用してベース体71を固定する。
【0075】
すなわち、面ファスナー90を構成する3つの第1部材78の一方側係合部86と3つの第2部材79の他方側係合部87とを互いに係合固定させることで、
図10(b)の如く、既存のアームレスト2の鉛直状の側面2bに対してベース部材76を強固に固定する。
【0076】
これにより、既存のアームレスト2よりも幅が広い、例えば幅寸法が約2倍の幅広アームレスト部115が得られる。なお、幅広アームレスト部115の幅寸法は、既存のアームレスト2の幅寸法の2倍程度が好ましいが、これには限定されず、例えば1.5倍や、2倍以上でもよい。
【0077】
次いで、幅広アームレスト部115に対して、面ファスナー100を利用して緩衝体73を固定する。すなわち、面ファスナー100を構成する第1部材92の一方側係合部96と第2部材93の他方側係合部97とを互いに係合固定させることで、
図10(c)の如く、幅広アームレスト部115の外周面に緩衝部材91を強固に巻付け固定する。
【0078】
この結果、幅広アームレスト部115の外周面の全体が緩衝部材91によって覆い隠される。またこのとき、緩衝体73の裏側の係合部112がベース体71の係合受部111に係合して、ベース体71に対する緩衝体73の位置ズレが防止される。
【0079】
次いで、緩衝体73が巻き付けられた幅広アームレスト部115に対して、面ファスナー105を利用してカバー本体74を固定する。すなわち、面ファスナー105を構成する第1部材102の一方側係合部106と第2部材103の他方側係合部107とを互いに係合固定させることで、
図10(d)の如く、緩衝体73及び幅広アームレスト部115に袋部材101を強固に固定する。
【0080】
この結果、互いに固定されて一体化したアームレスト2、ベース体71及び緩衝体73が、カバー本体74によってその全体が覆い隠される。
【0081】
こうして、既存のアームレスト2を廃棄することなく当該アームレスト2を使用しつつ、それよりもサイズの大きなカバー付き大型アームレストが得られる。よって、シート1に座った運転手がその大型アームレストを使用することで、運転時の腕への負担の軽減が図られる。
【0082】
そして、この
図6に示すカバーユニット6であっても、
図1に示すものと同様、既存のアームレスト2に容易に取り付けることができる。なお、アームレスト2への取付作業のみならず、取り付けたカバーユニット6をアームレスト2から取り外す取外作業も容易である。
【0083】
また、ベース体71の第1部材78は面ファスナー90の一方側係合部86を有しかつベース体71の第2部材79は面ファスナー90の他方側係合部87を有するため(換言するとベース体71は面ファスナー90を有するため)、ベース体71を既存のアームレスト2に容易かつ適切に固定できる。
【0084】
さらに、カバー体72は、弾性変形可能な緩衝体73と袋状の布製のカバー本体74とで構成されていることから、緩衝体73によって腕への衝撃を緩和でき、しかも、カバー本体74が汚れた場合にはこの布製のカバー本体74のみを洗濯すればよい。
【0085】
また、ベース体71は位置ズレ防止用の係合受部111を有しかつ緩衝体73はその係合受部111と係合する係合部112を有するため、緩衝体73のベース体71に対する位置ズレを適切に防止できる。
【0086】
なお、上記いずれの実施の形態でも、ベース体は、ファスナー手段である面ファスナーを有するものには限定されず、例えばベース体の第1部材及び第2部材は、スナップボタンの雄ボタン及び雌ボタン、ホックの雄ホック及び雌ホック、或いは磁石及び磁性体等を有した構成でもよい。
【0087】
また、ベース体は、互いに係合する1対の第1部材及び第2部材をベース部材の前後方向中央部に設けた構成には限定されず、例えば対をなす第1部材及び第2部材がベース部材の前後方向に離れた複数箇所(例えば前端側、前後方向中央側及び後端側の3箇所等)にそれぞれ設けられた構成等でもよい。
【0088】
さらに、カバー体の係合手段(係合固定手段)は、ベース体の第1部材及び第2部材の両方と係合するものには限定されず、第1部材のみ或いは第2部材のみと係合するものでもよく、例えば2つの係合部56,57のうちのいずれか一方のみを有した構成等でもよい。なお、例えば係合手段43の第1係合部56がベース部材10の外側面(ループ状に起毛された雌部材からなる係合面)の任意位置に係合する構成等でもよい。
【0089】
また、カバー体は、互いに分離可能な緩衝体とカバー本体とからなるものには限定されず、例えばカバー本体の内側に緩衝体を一体的に設けた構成等でもよい。