特許第6893713号(P6893713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6893713合成高分子樹脂製バンドの製造方法、及びその製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6893713
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】合成高分子樹脂製バンドの製造方法、及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/08 20060101AFI20210614BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20210614BHJP
   A63B 71/00 20060101ALI20210614BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20210614BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20210614BHJP
   H01F 13/00 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   A61N2/08 H
   A41D13/00 115
   A63B71/00 Z
   A41D13/08 107
   A41D13/08 108
   A41D13/05 112
   H01F13/00 620
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-56901(P2020-56901)
(22)【出願日】2020年3月26日
【審査請求日】2020年5月12日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519231887
【氏名又は名称】株式会社BANDEL
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−105964(JP,A)
【文献】 特開2015−035558(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148371(JP,U)
【文献】 特表2017−529360(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102150981(CN,A)
【文献】 特開平11−178940(JP,A)
【文献】 特表2002−518145(JP,A)
【文献】 特許第6626230(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/08
A41D 13/00−13/08
A63B 71/00
H01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空芯の磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する段階と、
前記磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する段階と、
前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電して前記磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を形成させて前記バンドに印加する、強力な減衰振動磁界の印加段階と、
によって強力な減衰振動磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造することを特徴とする合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項2】
空芯の磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する段階と、
前記磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する段階と、
前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電して前記磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を形成させて前記バンドに印加する、強力なパルス状の磁界の印加段階と、
によって強力なパルス状の磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造することを特徴とする合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項3】
前記合成高分子樹脂製バンドは、身体の一部に巻回されて装着される合成高分子樹脂製バンドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項4】
前記合成高分子樹脂製バンドは、リストバンド又はブレスレットであることを特徴とする請求項3に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項5】
前記合成高分子樹脂製バンドは、アンクレットであることを特徴とする請求項3に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項6】
前記合成高分子樹脂製バンドは、首に巻回される形状のバンドであることを特徴とする請求項3に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項7】
前記合成高分子樹脂製バンドは、手指に巻回されるリング形状であることを特徴とする請求項3に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項8】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項3乃至7の何れか1項に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項9】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項10】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の合成高分子樹脂製バンド製造方法。
【請求項11】
空芯の磁気コイルと、前記磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する合成高分子樹脂製バンド配置手段と、前記磁気コイルに電気エネルギーを供給するコンデンサと、前記コンデンサを充電する充電回路と、前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電する放電回路と、を備え、
前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電するとき、前記磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を形成させて前記バンドに強力な減衰振動磁界を印加して、着用者の運動能力を向上させる機能を有することを特徴とする合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項12】
空芯の磁気コイルと、前記磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する合成高分子樹脂製バンド配置手段と、前記磁気コイルに電気エネルギーを供給するコンデンサと、前記コンデンサを充電する充電回路と、前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電する放電回路と、を備え、
前記コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電するとき、前記磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を形成させて前記バンドに強力なパルス状の磁界を印加して、着用者の運動能力を向上させる機能を有することを特徴とする合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項13】
前記合成高分子樹脂製バンドは、身体の一部に巻回されて装着される合成高分子樹脂製バンドであることを特徴とする請求項11又は12に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項14】
前記合成高分子樹脂製バンドは、リストバンド又はブレスレットであることを特徴とする請求項13に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項15】
前記合成高分子樹脂製バンドは、アンクレットであることを特徴とする請求項13に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項16】
前記合成高分子樹脂製バンドは、首に巻回される形状のバンドであることを特徴とする請求項13に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項17】
前記合成高分子樹脂製バンドは、手指に巻回されるリング形状であることを特徴とする請求項13に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項18】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項19】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項18に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【請求項20】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項18に記載の合成高分子樹脂製バンド製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成高分子樹脂製バンドの製造方法、及びその製造装置に係り、より詳しくは、強力な減衰振動磁界又はパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドを身体の一部分に巻回して装着することによって、装着者の運動能力を向上させる合成高分子樹脂製バンドの製造方法、及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物質を磁気的な性質で大きく分類すると、当業者周知のように、強磁性体と常磁性体と反磁性体との3種類に分けられる。このうち合成高分子樹脂などの反磁性物質は、磁場が近付くと弱い反発を示し、遠ざかると元に戻り、物質自体には何の変化も起こらないと考えられてきた。しかし、各元素の同位体のうちの約半数は、回転する磁石のような性質(核スピン)を有する。核スピンを有する同位体は、強力な磁場が印加されると核スピンのエネルギーレベルが分され(ゼーマン分裂)、されたエネルギーレベル差に相当するエネルギーを共鳴吸収(核磁気共鳴吸収)する(非特許文献1、2、4を参照)。
【0003】
核スピンを有する同位体であって核磁気共鳴吸収に最も有用性のあるものとして、天然存在比から、水素(H)、フッ素19(19F)、リン31(31P)を、また有用なものとしてホウ素12(12B)、窒素14(14N)、ケイ素29(29Si)を、並びに使用可能なものとして重水素(H)、13C、15N、17O、33Sを挙げることができる(非特許文献1を参照)。
この現象(核スピン)を利用したものが核磁気共鳴吸収法(NMR)という分析方法であり、またこの技術を人体の内部を観察し医療に応用したのがMRIである。
【0004】
しかし、核磁気共鳴吸収は非常に強い磁界で起こる現象であって、例えばNMR測定では水素(H)は、11.74テスラの磁界で分され、約500MHzの電磁波を吸収してエネルギー準位の低いスピン異性体であるパラ水素から、エネルギー準位の高いスピン異性体であるオルト水素に活性化される。同様に、同じ11.74テスラの磁束密度の磁界で、炭素(13C)は125MHzの電磁波を吸収し、窒素(14N)は35MHzの電磁波を吸収する(非特許文献2を参照)。
【0005】
核磁気共鳴吸収によって量子化されたエネルギーを吸収して生成したエネルギー準位の高いスピン異性体は、エネルギー準位の低い元のスピン異性体にゆっくりと緩和される時に、吸収したエネルギーに相当する微弱な電磁波を放射する。NMR分析は、実際には、エネルギーを吸収して活性化されたスピン異性体が緩和されて元のエネルギーの低いスピン異性体に戻るときに放射する電磁波を観測して行われる。
【0006】
しかし、通常の場合は、上記の緩和は非常にゆっくりと行われるために、放射される電磁波は微弱すぎて測定するのは技術的に困難である。
【0007】
本発明者は、核スピンを有する原子を含む合成高分子樹脂に強力な磁界を印加することによって、核スピンを有する原子の核スピンが核磁気共鳴吸収によってエネルギーを吸収して活性化されその履歴が所定期間保存され得ると考えた(非特許文献5を参照)
しかし、NMRで用いる11.74テスラ磁界(非特許文献1を参照)は、超電導磁石で形成される狭い磁界に発生される強力な磁界であって、NMR装置を合成高分子樹脂製バンドに磁界を印加するのに用いるのは困難であった。
【0008】
近年、高い磁気特性を有する希土類磁石が開発され、基幹技術に必要不可欠な材料として広く利用され、今後も更に使用量が増大するものと予想される。
しかし、希土類磁石は、使用する前に強力に着磁し、変更、更新、修正、は廃棄などのために脱磁が必要になった時には脱磁しなくてはならない。しかし、強力に着磁し、一度着磁された磁石を脱磁することは極めて難しいという問題を有している。
【0009】
希土類磁石を脱磁する目的で、磁気コイルと、磁気コイルに電気エネルギーを供給するコンデンサと、コンデンサを充電する充電回路と、コンデンサに充電された電気エネルギーを一気に磁気コイルに放電して磁気コイルに強力なパルス状の磁界又は減衰振動磁界を形成させる放電回路と、を有する着磁及び脱磁装置が開発された(特許文献1を参照)
【0010】
本発明者は、合成高分子樹脂製バンドに着磁(強力なパルス状の磁界の印加)又は脱磁(強力な減衰振動磁界の印加)装置(段落[0030]及び特許文献1、2を参照)を用いて強力な磁界を印加し、着磁(強力なパルス状の磁界の印加)又は脱磁(強力な減衰振動磁界の印加)処理を行うことによって、合成高分子樹脂の中の核スピンを有する原子の核スピンが分し、着磁(強力なパルス状の磁界の印加)装置及び脱磁(強力な減衰振動磁界の印加)装置から2次的に派生される電磁波のエネルギーを吸収して活性化され、生成したエネルギー準位の高いスピン異性体がエネルギー準位の低いスピン異性体にゆっくりと緩和される時に(例えば、非特許文献5を参照)、一定波長の微弱な電磁波を長時間に亘って放射し、上記の電磁波が、装着者の運動能力を向上させる可能性がある(例えば、非特許文献3を参照)と考え、多様な運動用具及び運動用品に強力な減衰振動磁界の印加、又は強力なパルス状の磁界の印加を行い、新規な機能性を有する商品を開発する研究を行った。その結果、シリコーン樹脂製のリストバンドに強力な減衰振動磁界を印加、又は強力なパルス状の磁界を印加することによって、バンド着用者の運動能力を向上させるという機能効果を見出した。
更に、シリコーン樹脂製リストバンドだけでなく、合成高分子樹脂製のブレスレット、アンクレット、首に巻回する形状のベルト、及び手指に巻回するリング等を含む、身体の一部を巻回して装着する合成高分子樹脂製バンドにも、シリコーン樹脂製リストバンドと同様の運動能力向上効果があることを見出し(本願明細書の段落(0031)を参照])、本発明に到達した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開第2015−35558号公報
【特許文献2】特開第2011−249612号公報
【0012】
【非特許文献1】NMRスペクトルの実際、廣川化学シリーズ15、R.H.バイブル、湯川秀康訳、1967年初版発行、廣川書店(特に1〜2ページ及び表1−1)
【非特許文献2】核磁気共鳴装置の原理と応用 一般社団法人日本分析機器工業会 インターネット検索 https://www.https://jaima.or.jp/jp/analytical/basic/magneticresonance/nmr/ 2012年8月16日公開 2020年9月29日検索
【非特許文献3】周波数がなぜ体に効果があるのか? ドイツ振動医学研究所 インターネット検索 https://healingfrequency.jimdo.com/周波数がなぜ体に効果があるのか−why−is−the−frequency−effective−in−the−body/(2019年6月3日検索)
【非特許文献4】NMRの基礎知識 インターネット検索 https://www.chem−station.com/blpg/2018/01.nmr.html(2018年1月6日 加筆修正 2020年9月29日検索)
【非特許文献5】固体における水素の挙動を探る、生産研究、59巻(5号)、416(2007年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
た本発明は、着用者の運動能力を向上させる機能を有する強力な減衰振動磁界の印加された又は強力なパルス状の磁界の印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する方法を提供することを課題とする。
【0014】
更に本発明は、着用者の運動能力を向上させる機能を有する強力な減衰振動磁界又は強力なパルス状の磁界の印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、本発明の一実施形態の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドの製造方法は、空芯の磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する段階と、磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する段階と、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電して磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を形成させてバンドに印加する強力な減衰振動磁界の印加段階と、によって強力な減衰振動磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造することを特徴とする。
【0016】
また本発明の他の実施形態の合成高分子樹脂製バンドの製造方法は、空芯の磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する段階と、磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する段階と、コンデンサに充電された電気エネルギーを前記磁気コイルに放電して前記磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を形成させてバンドに印加する強力なパルス状の磁界の印加段階と、によって強力なパルス状の磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造することを特徴とする。
【0017】
また、前記合成高分子樹脂製バンドは、身体の一部に巻回されて装着される合成高分子樹脂製バンドであり得る。
また、前記合成高分子樹脂製バンドは、リストバンドはブレスレットであることができる。
【0018】
また、前記合成高分子樹脂製バンドは、アンクレットであることができる。
また、前記合成高分子樹脂製バンドは、首に巻回される形状のバンドであることができる。
また、前記合成高分子樹脂製バンドは、手指に巻回されるリング形状であることができる。
【0019】
また、前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる1以上であることを特徴とする。
【0020】
前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂は、シリコーン樹脂であることができる。
また、前記合成高分子樹脂製バンドに用いる合成高分子樹脂は、ポリウレタン樹脂であることができる。
【0021】
また、本発明の一実施形態の合成高分子樹脂製バンド製造装置は、空芯の磁気コイルと、磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する合成高分子樹脂製バンド配置手段と、磁気コイルに電気エネルギーを供給するコンデンサと、コンデンサを充電する充電回路と、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電する放電回路と、を備え、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電するとき磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を形成させてバンドに強力な減衰振動磁界を印加して、着用者の運動能力を向上させる機能を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の他の実施形態の合成高分子樹脂製バンド製造装置は、空芯の磁気コイルと、磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する合成高分子樹脂製バンド配置手段と、磁気コイルに電気エネルギーを供給するコンデンサと、コンデンサを充電する充電回路と、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電する放電回路と、を備え、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電するとき、磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を形成させてバンドに強力なパルス状の磁界を印加して、着用者の運動能力を向上させる機能を有することを特徴とする。
【0023】
また本願の他の実施形態の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドの製造方法は、空芯の磁気コイルの内部に合成高分子樹脂製バンドを配置する段階と、磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する段階と、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに放電して磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を形成させてバンドに印加する強力な減衰振動磁界を印加段階と、によって強力な減衰振動磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態の合成高分子樹脂製バンドは、空芯の磁気コイルの内部に配置された状態で磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界が印加されて、強力な減衰振動磁界が印加された状態の、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の他の実施形態の合成高分子樹脂製バンドは、空芯の磁気コイルの内部に配置された状態で磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界が印加されて、強力なパルス状の磁界が印加された状態の、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する装置は、合成高分子樹脂製バンドに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を印加し、合成高分子樹脂製バンドに強力な減衰振動磁界を印加することができる。
また、本発明の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する装置は、合成高分子樹脂製バンドに最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を印加することにより、強力なパルス状の磁界が印加された、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成高分子樹脂製バンドを製造する装置を提供することができる。
【0027】
本発明の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する方法は、合成高分子樹脂製バンドに、最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を印加することによって、合成高分子樹脂製バンドに強力なパルス状の磁界を印加する方法を提供する。
また、本発明の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンドを製造する方法は、合成高分子樹脂製バンドに、最高磁気密度が50ミリテスラ以上のパルス状の磁界を印加することによって、合成高分子樹脂製バンドに強力なパルス状の磁界を印加する方法を提供する。
【0028】
本発明の、強力な減衰振動磁界又は強力なパルス状の磁界が印加されたシリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる合成高分子樹脂製のリストバンド、アンクレット、リング(指輪)、及びネックレスを含む身体の一部に巻回されて装着されるベルトは、本発明のバンドを着用した被検者の最大筋力(握力)、身体柔軟性(前屈指床間距離)、瞬発性(20mダッシュ)、及び身体の平衡性(閉眼片足立ちテスト及び重心動揺試験)を含む身体能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例の合成高分子樹脂製バンド製造装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施例の強力な減衰振動磁界の印加装置の回路図である。
図3】本発明の一実施例の減衰振動磁界のグラフである。
図4】本発明の一実施例の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法のプロセスブロック図である。
図5】本発明の他の実施例の強力なパルス状の磁界の印加装置の回路図である。
図6】本発明の他の実施例のパルス状の磁界のグラフである。
図7】本発明の他の実施例の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法のプロセスブロック図である
図8】本発明の強力な減衰振動磁界又は強力なパルス状の磁界の印加された合成高分子樹脂製バンドの一例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は着用する状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明者らは、多様な運動用具及び運動用品に強力な減衰振動磁界を印加する脱磁、または強力なパルス状の磁界の印加による着磁を行い、新規な機能性を有する商品を開発する研究を行った。その結果、シリコーン樹脂製のリストバンドを脱磁または着磁することによって、バンド着用者の運動能力を向上させるという機能効果を見出した。
【0031】
更に、シリコーン樹脂製リストバンドだけでなく、合成高分子樹脂製のブレスレット、アンクレット、首に巻回する形状のベルト、及び手指に巻回するリング等を含む、身体の一部を巻回して装着する合成高分子樹脂製バンドにも、シリコーン樹脂製リストバンドと同様の運動能力向上効果があることを見出し、本発明を完成させた。
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
[合成高分子樹脂製バンド製造装置]
図1は、本発明の一実施例の合成高分子樹脂製バンド製造装置を示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の合成高分子樹脂製バンド製造装置1は、合成高分子樹脂製バンド磁化装置2と合成高分子樹脂製バンド配置手段3とからなり、合成高分子樹脂製バンド10が、合成高分子樹脂製バンド配置手段3に載置されて磁化装置2の内部に配置されることが好ましい。
磁化装置2は、強力な減衰振動磁界の印加装置4と強力なパルス状の磁界の印加装置5とを有することができる。
【0033】
図2は、本発明の一実施例の強力な減衰振動磁界の印加装置4の回路図である。
図2に示すように、強力な減衰振動磁界の印加装置4は、充電回路40放電回路50とを含み、充電回路40は、商用電源42に接続される昇圧トランス44と、商用電源42の一方の端子に接続された交流位相制御回路46と、昇圧トランス44に接続された整流回路48と、整流回路48の直流出力端子間に接続された電圧検出回路49と、充電回路40の接続を断接する充電回路スイッチ41と、を備えることができる。
【0034】
一方、放電回路50は、整流回路48の直流出力端子間に電圧検出回路49と並列に接続されたコンデンサ30と、コンデンサ30の両電極間に接続された磁気コイル20と、磁気コイル20及びコンデンサ30の間に配置されたスイッチング素子51と、を含み、コンデンサ30と磁気コイル20とがLCR共鳴を起こすように配備されることが好ましい。
【0035】
本発明の強力な減衰振動磁界の印加装置4は、充電回路40からコンデンサ30に充電された電気エネルギーを、放電回路50のスイッチング素子51を用いて、磁気コイル20に一気に放電することによって磁気コイル20に形成された強力な減衰振動磁界を、磁気コイル20の内部に配置された合成高分子樹脂製バンド10に印加することができる。
【0036】
図3は、本発明の一実施例の合成高分子樹脂製バンドに印加する減衰振動磁界のグラフである。
図3に示すような波形や磁界強度ピーク値を有する減衰振動磁界を磁気コイル20に発生させて印加する方法は、磁気コイル20及びコンデンサ30の電磁的性質等によって減衰振動磁界を発生することができるが、これらは当業者の設計事項であり、また特許文献1、2にも記載されているので、詳細な説明は省略する。
【0037】
強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法]
図4は、本発明の一実施例による強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法のプロセスブロック図である。
図4に示すように、本発明の強力な減衰振動磁界の印加装置4は、磁気コイル20の内部に合成高分子樹脂製バンド10を配置する段階(S−1)と、コンデンサ30を所定の電圧まで充電する段階(S−2)と、を有することができる。
【0038】
次いで、コンデンサ30と充電回路40とを充電回路スイッチ41を用いて電気的に切断し、コンデンサ30と磁気コイル20とを放電回路スイッチ51を用いてコンデンサ30に充電された電気エネルギーを磁気コイル20に放電し、磁気コイル20に強力な減衰振動磁界を形成させて合成高分子樹脂製バンド10に印加する強力な減衰振動磁界印加段階(S−3)と、更に、強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド取出し段階(S−4)と、によって強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12aを製造することができる。
【0039】
強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法]
図5は、本発明の他の実施例の強力なパルス状の磁界印加装置5の回路図である。
図5に示すように、強力なパルス状の磁界印加装置5は、充電回路40と放電回路50とを含み、強力なパルス状の磁界印加装置5の充電回路40は、図2に示される強力な減衰振動磁界印加装置と同じであり得る。
一方、放電回路50は、コンデンサ30と磁気コイル20がLCR共鳴を起こさないように強力なパルス状の磁界の印加電源装置の放電時に発生する逆方向電流を抑えるキックバック防止回路52等を配備することが好ましい。
【0040】
本発明の強力なパルス状の磁界印加装置5は、充電回路40からコンデンサ30に充電された電気エネルギーを、放電回路50の放電回路スイッチ51とキックバック防止回路52とを用いて、磁気コイル20に一気に放電することによって磁気コイル20に形成された、図6に示すような強力なパルス状の磁界を、磁気コイル20の内部に配置された合成高分子樹脂製バンド10に印加することができる。
【0041】
図6は、本発明の他の実施例の強力なパルス状の磁界印加装置5で発生するパルス状の磁界のグラフである。
図6に示すグラフは、強力なパルス状の磁界印加効果を上げるためにキックバック電流やテーリング電流を補正したパルス状の磁界のグラフである。このような波形や磁界強度ピーク値を有するパルス磁界は、低インピーダンスの磁気コイルコイル20、コンデンサ30の電磁的特性、及びキックバック防止回路52等を用いて磁気コイル20に発生させて印加することができるが、これらの方法は当業者の設計的事項であるので詳細な説明は省略する。
【0042】
図7は、本発明の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法のプロセスブロック図である。
図7に示すように、本発明の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド製造方法は、磁気コイル20の内部に合成高分子樹脂製バンド10を配置する段階(S−11)と、コンデンサ30を所定の電圧まで充電する段階(S−12)と、を有することができる。
【0043】
次いで、コンデンサ30と充電回路40とを充電回路スイッチ41を用いて電気的に切断し、コンデンサ30に充電された電気エネルギーを磁気コイル20に放電し、磁気コイル20に強力なパルス状の磁界を形成させて合成高分子樹脂製バンド10に印加して強力なパルス状の磁界の印加段階(S−13)と、更に、強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド取出し段階(S−14)と、によって強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12bを製造することができる。
【0044】
(合成高分子樹脂製バンド)
本発明の合成高分子樹脂製バンド10は、身体の一部分に巻回して装着するバンドであることが好ましい。
具体的な実例としては、手首に装着されるリストバンド又はブレスレット、足首に装着されるアンクレット、首に巻回される例えばネックレス形状のバンド、及び手指に巻回されるリング形状の指輪を挙げることができるが、これらに限られるものではなく、通常の環形状のものであれば特に制限されない。形状は例えば図8に示すものと同様であってもよく、また異なっていてもよい。また細長いテープであって、2回以上巻回して用いるものであってもよい。
大きさ及び色は、着用する身体部位に対応すればよく、また皮膚に密着できるが締め付けないものが好ましい。
【0045】
本発明で用いるバンドの材質は、合成ポリマーであれば特に制限されないが、例えば合成高分子樹脂が、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる1以上であることが好ましい。
【0046】
なお、本発明の減衰振動磁界印加段階又はパルス状の磁界印加段階では、磁気コイル20に、最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界又はパルス状の磁界を形成させて合成高分子樹脂製バンド10に印加して強力な減衰振動磁界を印加、又は強力なパルス状の磁界を印加することが好ましく、最高磁気密度が100ミリテスラ以上の減衰振動磁界又はパルス状の磁界を印加することがより好ましく、最も好ましい例として最高磁気密度が250ミリテスラ以上の減衰振動磁界又はパルス状の磁界を印加する例を挙げることができる。減衰振動磁界又はパルス状の磁界の最高磁気密度が50ミリテスラ未満では、合成高分子樹脂製バンドに十分な強度の減衰振動磁界を印加できないことがある。減衰振動磁界又はパルス状の磁界の最高磁気密度は、使用可能な磁化装置2の最高磁気密度や経済的な理由等によって制限されるので、上限は設けない。
【0047】
また、本発明は、磁気コイル20の内部に収容された合成高分子樹脂製バンド10に対する強力な減衰振動磁界の印加又は強力なパルス状の磁界の印加を複数回行うことができる。所定の回数の活性化処理が終了したのちに、強力なパルス状の磁界が印加又は減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12を取り出す合成高分子樹脂製バンド取出段階(S−4又はS−14)を行うことができる。
【0048】
[実施例1]
合成高分子樹脂製バンド配置手段3に載置した長さ180mm、巾20mm、厚さ1.2mmのシリコーン樹脂製リストバンド10aを、直径100mm、長さ270mmの空芯の磁気コイル20に挿入し、商用電源42から、昇圧トランス44を用いてコンデンサ30を電圧3000Vまで充電し、充電した電気エネルギーを、放電回路50を用いて磁気コイル20に一気に放電して減衰振動電流を発生させ、磁気コイル20に最高磁気密度50ミリテスラの減衰振動磁界を形成させてシリコーン樹脂製リストバンド10a強力な減衰振動磁界を印加し、減衰振動磁界が消失後、磁気コイル20から合成高分子樹脂製バンド配置手段3を引き出し、強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12cを製造した。得られた強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12の外見は、処理前のシリコーン樹脂製リストバンド10aと変化がなかった。
【0049】
[実施例2]
実施例1と同じシリコーン樹脂製リストバンド10aに、実施例1と同様に、但し、強力な減衰振動磁界の印加装置の減衰振動磁界の代わりに強力なパルス状の磁界の印加装置5を用いて磁気密度50ミリテスラのパルス状の磁界を印加して実施例2の強力なパルス状の磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12bを製造した。
【0050】
[実施例3]
実施例1と同じシリコーン樹脂製リストバンド10aに、実施例1と同様に、強力な減衰振動磁界の印加装置4を用いて、但し、最高磁気密度が100ミリテスラの減衰振動磁界を印加して実施例3の強力な減衰振動磁界を印加したシリコーン樹脂製リストバンド13cを製造した。
【0051】
[実施例4]〜[実施例11]
シリコーン樹脂又は
ウレタン樹脂のうちから選ばれる何れか一つの合成高分子樹脂製のリストバンド、アンクレット、リング、はネックレスのうちから選ばれる何れか一つのバンドに、実施例1と同様に強力な減衰振動磁界の印加装置4を用いて、又は実施例2と同様に強力なパルス状の磁界印加装置5を用いて磁気処理して、表1に示す実施例4〜11の強力な減衰振動磁界又は強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子製リストバンド、アンクレット、リング、はネックレスを製造した。
【0052】
【表1】
【0053】
[比較例1]
強力な減衰振動磁界又はパルス状の磁界の印加処理していない合成高分子製リストバンド、アンクレット、リング、はネックレスを比較例とした。
[比較例2]
実施例1と同じシリコーン製のリストバンド10に実施例1と同様に、但し最高磁気密度が25ミリテスラの磁界を印加して比較例1の減衰振動磁界を印加したシリコーン樹脂製リストバンド14cを得た。
【0054】
[測定例1]
16〜30歳の男性133名及び女性13名、合計146名を被検者として、最大筋力の試験として握力、柔軟性の試験として前屈指床間距離、及び瞬発力の試験として20メートルダッシュ走に関し、表1に示す実施例1、2、4〜11の減衰振動磁界を印加した合成高分子樹脂製バンド12a又はパルス状の磁界を印加した合成高分子樹脂製バンド12bと、対応する減衰振動磁界又はパルス状の磁界を印加していない比較例の合成高分子樹脂製バンド10の効果を測定し比較した。
いずれの測定においても、被検者は磁界を印加した合成高分子樹脂製バンド12a、又は12bを着用しているか、磁界を印加していない合成高分子樹脂製バンド10を着用しているかが分からないようにし、また、先に磁界を印加合成高分子樹脂製バンド12a又は12bを着用して測定した被検者と、先に磁界を印加していない合成高分子樹脂製バンド10を着用して測定した被検者と、が同数になるようにした。
測定値は、何れも正規分布にならなかったので測定値をウィルコクソン検定し、p<0.05の有意確率で向上している場合に有意差ありとした。
【0055】
<最大筋力>
実施例1、4、6、8、10の強力な減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12、又は、対応する磁界を印加していない合成高分子樹脂製バンド10を利き腕の手首に着用させて握力を測定し、その結果を表2に示した。また、実施例2、5、7、9、11の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12bは磁界を印加していない比較例1の合成高分子樹脂製バンド10を利き腕の手首に着用させて握力を測定し、その結果を表3に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
<柔軟性>
被検者に、実施例1、4、6、8、10の減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12a、は対応する磁界を印加していない合成高分子樹脂製バンド10を両腕の手首に着用させて台の端に立たせ、両脚を揃え、膝を伸ばして前屈させて指の指先と床面との距離を測定した結果を表4に示し、実施例2、5、7、9、11の強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12b又は磁化処理しないシリコーン樹脂製バンド10を着用させて同様の測定を行って表5に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
【表5】
【0061】
<瞬発力>
被検者に実施例1、4、6、8の減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12a、は比較例1の合成高分子樹脂製バンド10を両手首に装着させて20メートルダッシュ走の所要時間を計測して表6に示し、実施例2、5、7、9のパルス状の磁界が印加された成高分子樹脂製バンド12b、又は比較例1の合成高分子樹脂製バンド10を両手首に装着させて20メートルダッシュ走の所要時間を計測して表7に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
表2〜7に示すように、本発明の実施例1、2、4〜11の、強力な減衰振動磁界が印加又は強力なパルス状の磁界が印加された、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、及びポリブタジエン、並びにその2以上の共重合体の中から選ばれる合成高分子樹脂製の、リストバンド、アンクレット、リング(指輪)、及びネックレスを含む身体の一部に巻回されて装着されるベルトを着用する被検者の最大筋力(握力)、身体柔軟性(前屈指床間距離)、及び瞬発性(20mダッシュ)を含む身体能力を向上させることが示された。なお、実施例2、5、7、9の強力なパルス状の磁界が印加処理されたシリコーン樹脂製のリストバンド及びリングの瞬発力は、P<0.05で示す有意な効果を示さなかったが、何れの測定値も瞬発性を向上させる方向にあり、他のデータを勘案すると、測定例1の結果は、本発明の強力な減衰振動磁界が印加又は強力なパルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド12は、身体能力を向上させることを示すと結論することができる。
【0065】
[測定例2]
<閉眼片足立ちテスト>
日本健康運動研究所のプロトコール(注1)に従って閉眼片足立ち試験を行い、身体バランス保持機能を試験した。
(注1 www.jhei.netexer/measurement/me04.html)
(試料)
実施例1の最高磁気密度50ミリテスラの減衰振動磁界を印加して製造した強力な減衰振動磁界の印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12c、実施例3の最高磁気密度100ミリテスラの減衰振動磁界を印加して製造した減衰振動磁界印加シリコーン樹脂製リストバンド13c、比較例2の最高磁気密度25ミリテスラの減衰振動磁界を印加して製造した強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド14c、及び比較例1の磁化処理していないシリコーン樹脂製リストバンド10
(被検者)
20〜39歳の健康な男女各10名。
【0066】
(試験方法)
被検者は、両手に実施例1、3又は比較例1、2のシリコーン樹脂製リストバンドを巻回し、装着30分後に試験を行った。
開眼して片足立ちし、目をつむってから軸足が動くまで、は反対側の足が着地するまでの時間を計測した。5分間隔で3回の測定を行い、最長時間を3分間とし、長い方の2回の測定値を平均した。
被験者の疲労や試験に対する習熟度が偏らないように計画したダブルブラインド方式で行った。各測定者の記録時間を日本健康運動研究所のプロトコールに記載された男性用換算表(表1)及び女性用換算表(表2)を用いてスコア値に換算した。
結果を表8に示す。
【0067】
【表8】
【0068】
表8に示すように、比較例2の最高磁気密度25ミリテスラの減衰振動磁界を印加した強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド14cを着用した被検者の平均スコアは2.9であり、比較例1の強力な減衰振動磁界を印加していないシリコーン樹脂製リストバンド10aを着用した被検者の平均スコアは3.0であるから、比較例2は、バランス保持機能は改善されなかったと判断した。
また、実施例3の最高磁気密度100ミリテスラの減衰振動磁界を印加した強力な減衰振動磁界印加シリコーン樹脂製リストバンド13cを着用した実施例3の平均スコアは、4.0であり、比較例1、2の被検者より閉眼片足立ちテストの結果が向上したことが示された。
【0069】
一方、最高磁気密度50ミリテスラの減衰振動磁界を印加した強力な減衰振動磁界を印加したシリコーン樹脂製リストバンド12cを着用した実施例1の被検者の平均スコアは3.5であり、バランス保持機能が向上していることは示唆されたが有意に向上されているか否かを判断できなかったので、重心動揺試験を用いて実施例1の強力な減衰振動磁界を印加した合成高分子リストバンドが有意にバランス保持機能を改善しているか否かを検定した。
【0070】
[測定例3]
<重心動揺試験>
(試料)
実施例1で製造した最高磁気密度50ミリテスラの減衰振動磁界を印加したシリコーン樹脂製リストバンド12cを試料とし活性化処理をしていないシリコーン樹脂製リストバンド10aを比較例とした。
(試験装置)
重心動揺試験機(バランスシステムSD BDX−SD 酒井医療株式会社製)を用いて全方向、前後方向、及び左右方向の重心の安定指数を測定した。
測定方法は、両手首に合成高分子樹脂製バンドを着用した被験者を、重心動揺試験機のプラットフォーム上に両足を軽く広げた楽な姿勢で立たせて、重心動揺試験機で全方向、前後方向、及び左右方向の重心の移動範囲を測定して重心の安定指数を測定した。
【0071】
(被検者)
19〜21歳の男性8名(A〜D、G〜J)及び女性4名(E、F、K、L)を、それぞれ男性4名及び女性2名からなる第1グループ(A〜F)及び第2グループ(G〜L)に分けて測定を行なった。
(測定条件)
各測定は、約10秒間の準備期間の後に20秒間の測定を10秒間隔で3回の計測を繰り返して1回の測定とし、平均値を求めた。各グループとも1日に2回の測定を行った。
第1グループの第1回目の測定は、リストバンドを着用せずに測定し、第2回目測定は、実施例1の強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12cを両手首に着用して測定した。
また、第2グループの第1回目の測定は、リストバンドを着用せずに測定し、第2回目の測定は、比較例1の磁気処理していないシリコーン樹脂製リストバンド10aを両手首に着用して測定した。
なお、被験者には、着用するシリコーン樹脂製リストバンドのグループを分けて測定していること及びその種類は通知しなかった。
各被験者に対して、日にちを分けて同じ測定を2回行ない、その平均値を求めた。
重心動揺試験機による安定指数の測定結果を表9に示す。
【0072】
【表9】
【0073】
(有意差検定)
表9のデータを、マイクロソフトEXCEL365及び多変量解析ソフト IBMSPSS Statisticsを用いてt検定を行い、第1グループと第2グループとの間に有意確率があるか否かを判定した。計算の結果を表10に示す。
【0074】
表10は、第1グループの被検者の、実施例1の強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12cを着用した場合及の測定値及び着用していない場合の測定値の差と、第2グループの被検者の、比較例1の磁気処理していないシリコーン樹脂製リストバンド10aを着用した場合の測定値及び着用していない場合の測定値の差と、の間に、全方向、前後方向、及び左右方向の安定指数に有意な差があるか否かの有意確率を示すものである。
【表10】
【0075】
表10に示すように、第1グループと第2グループとの全方向の安定指数と前後方向の安定指数との間に安定指数の有意差はみられなかったが、左右方向の安定指数において、第1グループの実施例1の強力な減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド12cを着用した場合の測定値及び着用していない場合の測定値の差の方が、第2グループの、比較例1の磁気処理していないシリコーン樹脂製リストバンド10aを着用した場合の測定値及び着用していない場合の測定値の差より有意確率p<0.1で明らかに改善されている傾向を示した。従って、実施例1のシリコーン樹脂製リストバンド12cを着用した被検者の重心動揺試験機による左右方向の安定指数は、有意に改善されているものと判定した。
【0076】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 合成高分子樹脂製バンド製造装置
2 磁化装置
3 合成高分子樹脂製バンド配置手段
強力な減衰振動磁界の印加装置
強力なパルス状の磁界の印加装置
10 (磁界を印加していない)合成高分子樹脂製バンド
10a シリコーン樹脂製リストバンド
12 磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド
12a 減衰振動磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド
12b パルス状の磁界が印加された合成高分子樹脂製バンド
12c 減衰振動磁界が印加されたシリコーン樹脂製リストバンド
13c 最高磁気密度が100ミリテスラ以上の減衰振動磁界が印加されたシリコ
ーン樹脂製リストバン
14c 最高磁気密度が25ミリテスラ以上の減衰振動磁界が印加されたシリコー
ン樹脂製リストバンド
20 磁気コイル
30 コンデンサ
40 充電回路
41 充電回路スイッチ
42 商用電源
44 昇圧トランス
46 交流位相制御回路
48 整流回路
49 電圧検出回路
50 放電回路
51 放電回路スイッチ
52 キックバック防止回路
【要約】
【課題】本発明は、活性化された状態であって、着用者の運動能力を向上させる機能を有する合成合成高分子樹脂製バンドを提供することを課題とする。
【解決手段】空芯の磁気コイルの内部に合成高分子製のバンドを配置する段階と、磁気コイルに接続されたコンデンサを所定電圧まで充電する充電段階と、コンデンサに充電された電気エネルギーを磁気コイルに一気に放電してコンデンサとコイルとに減衰振動電流を発生させ、磁気コイルに最高磁気密度が50ミリテスラ以上の減衰振動磁界を形成させてバンドに印加する減衰振動磁界印加段階と、によって合成高分子樹脂製バンドを製造することを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8