特許第6893807号(P6893807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893807
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】散粉装置
(51)【国際特許分類】
   A23P 20/12 20160101AFI20210614BHJP
   A21C 9/04 20060101ALI20210614BHJP
【FI】
   A23P20/12
   A21C9/04
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-57581(P2017-57581)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-157794(P2018-157794A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2020年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504055317
【氏名又は名称】岩田熔工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100156845
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 威一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩田 利明
(72)【発明者】
【氏名】相良 嘉宏
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−065125(JP,U)
【文献】 米国特許第04767030(US,A)
【文献】 実開昭50−157677(JP,U)
【文献】 特開2000−166458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23P 10/00−30/40
A21C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入開口と排出開口を有するホッパーと、
前記排出開口を塞ぐように前記排出開口の上部に配置され、表面に凹凸を有し、回転可能な排出用ローラと、
回転可能に設けられており、前記ホッパー内の粉体を攪拌する攪拌部材と、
を備え、
前記排出開口は、前記排出用ローラの回転軸に沿って延びており、
平面視において前記排出用ローラの回転軸が延びる方向と直交する方向における前記排出開口の幅は、前記排出用ローラの直径よりも小さい、散粉装置。
【請求項2】
前記攪拌部材は、回転可能な回転軸部材と、前記回転軸部材を中心とする回転とともに回転可能な棒状部材とを有し、
前記棒状部材は、前記回転軸部材と平行に、且つ前記回転軸部材から離隔して延びている、請求項1に記載の散粉装置。
【請求項3】
前記棒状部材の半径は、前記排出用ローラの半径よりも小さい、請求項2に記載の散粉装置。
【請求項4】
前記回転軸部材の中心と、前記排出用ローラの外周との間の距離は、前記棒状部材の前記回転軸部材を中心とする回転の回転半径に相当する、請求項2又は3に記載の散粉装置。
【請求項5】
前記回転軸部材を中心とする前記棒状部材の回転半径は、前記排出用ローラの半径より大きい、請求項2から4のいずれかに記載の散粉装置。
【請求項6】
前記攪拌部材は、回転可能な回転軸部材と、前記回転軸部材に設けられた複数の突起部と、を有する、請求項1に記載の散粉装置。
【請求項7】
前記排出用ローラと、前記攪拌部材とは、同期して回転する、請求項1から6のいずれかに記載の散粉装置。
【請求項8】
記攪拌部材は、前記排出用ローラの上部に配置されている、請求項1から7のいずれかに記載の散粉装置。
【請求項9】
前記攪拌部材は、前記排出用ローラの軸方向の概ね全長に亘って延びている、請求項1から8のいずれかに記載の散粉装置。
【請求項10】
前記排出用ローラの回転軸及び前記攪拌部材の回転軸は、前記排出開口に沿っている、請求項1から9のいずれかに記載の散粉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材に小麦粉、砂糖、塩等の粉体を散粉する散粉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小麦粉等の粉体を生地に散粉する散粉装置1が開示されている。特許文献1の散粉装置1は、図13に示すように、粉体を排出する開口部2aを有するホッパー2と、開口部2aに近接した位置で回転し、ホッパー2内の粉体を開口部2aに導く回転ドラム3と、開口部2aに取り付けられたネット4と、を備える。ホッパー2は、断面視において、下部が半円形状であり、その半円形状の最下部に開口部2aが設けられている。回転ドラム3は、断面視が円形状であり、その外周がホッパー2下部の半円形状の壁面に沿うように配置されている。この回転ドラム3の表面には、回転ドラム3が回転することにより、ホッパー2内の粉体が取り込まれる溝5が形成されている。回転ドラム3が回転すると、回転ドラム3の溝5と開口部2aのネット4とが接触し、溝5に取り込まれた粉体が、ネット4によって溝5から掻き出され、開口部2aから排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−4861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の散粉装置1では、生地に小麦粉等の粉を散粉することはできる。しかし、粉体がホッパー2の上部から投入され、その自重により回転ドラム3の上部で凝集する。つまり、回転ドラム3に近接して接触している粉体は、回転ドラム3の回転により回転ドラム3の溝5に取り込まれる。しかし、回転ドラム3に接触していない回転ドラム3の上方の粉体は、図13に示すように、回転ドラム3の上方で凝集し、いわゆるブリッジ現象が生じる。そのため、特許文献1の散粉装置1では、開口部2aから粉体を均一に散粉することができない。
【0005】
そこで、本発明は、粉体の凝集を抑えることができる散粉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点に係る散粉装置は、投入開口と排出開口を有するホッパーと、排出用ローラと、攪拌部材と、を備える。排出用ローラは、排出開口を塞ぐように配置され、表面に凹凸を有し、回転可能なローラである。
【0007】
この構成によれば、ホッパー内に回転可能な攪拌部材が設けられているため、この攪拌部材により、ホッパーから排出される前の粉体を攪拌することができる。そのため、粉体の凝集を抑制することができ、また、ホッパーの内壁に粉体が付着するのを抑制することができる。その結果、排出用ローラの回転によって、排出開口からは、均一に粉体の散粉をおこなうことができる。
【0008】
上記散粉装置においては、攪拌部材は、回転可能な回転軸部材と、回転軸部材を中心とする回転とともに回転可能な棒状部材とを有することができる。棒状部材は、回転軸部材と平行に、且つ、回転軸部材から離隔して延びるように構成できる。
【0009】
この場合、棒状部材は回転軸部材の軸方向に沿って延びる部材であるが、棒状部材と回転軸部材とは離間しているため、棒状部材で粉体の攪拌を行うことができる一方で、棒状部材と回転軸部材との間では粉体が通過するため、粉体が受ける抵抗を小さくすることができる。そのため、棒状部材の粉体の押圧による粉体の凝集を抑制しつつ、効率よく粉体を攪拌できる。なお、上記「平行」という文言は、厳密な平行を示すものではなく、多少の傾きは許容される。
【0010】
上記散粉装置においては、棒状部材の半径は、排出用ローラの半径よりも小さくすることができる。この場合、棒状部材の半径が排出用ローラの半径よりも小さく、棒状部材が回転軸部材の軸方向に沿って細長い形状を有している。よって、粉体が棒状部材の回転により受ける接触抵抗を減らし、棒状部材の粉体の押圧による粉体の凝集を抑制しつつ、効率よく粉体を攪拌できる。また、棒状部材の回転の際における粉体からの抵抗が小さいため、棒状部材を回転するのに要する消費電力を抑えることができる。
【0011】
上記散粉装置においては、回転軸部材の中心と、排出用ローラの外周との間の距離は、棒状部材の回転軸部材を中心とする回転の回転半径に相当することができる。例えば、棒状部材が、排出用ローラに接触しない程度の近傍の位置において回転可能なように、回転軸部材の中心と、排出用ローラの外周との間の距離が、棒状部材の回転半径に概ね一致している。これにより、排出用ローラの近傍において、棒状部材を回転させて、粉体を攪拌し、粉体の凝集を抑制できる。よって、排出用ローラに均一に粉体を供給でき、ひいては、排出用ローラから排出開口を介して均一に散紛できる。
【0012】
上記散粉装置においては、前記回転軸部材を中心とする棒状部材の回転半径は、排出用ローラの半径より大きくすることができる。この場合、棒状部材の回転半径が排出用ローラの半径より大きいため、排出用ローラに対してより大きな範囲で粉体を攪拌して凝集等を防ぐことができる。よって、排出用ローラに均一に粉体を供給でき、ひいては、排出用ローラから排出開口を介して均一に散紛できる。
【0013】
上記散粉装置においては、攪拌部材は、回転可能な回転軸部材と、回転軸部材に設けられた複数の突起部と、を有することができる。この場合、回転軸部材の回転に伴って、回転軸部材上の複数の突起部も回転する。回転する突起部により粉体が攪拌されるため、粉体の凝集が抑制され、また、ホッパーの内壁に粉体が付着するのが抑制される。よって、ホッパー内の粉体を効率よく攪拌し、排出用ローラよってホッパー内の粉体を均一に外部に排出できる。
【0014】
上記散粉装置においては、排出用ローラと、攪拌部材とは、同期して回転することができる。例えば、排出用ローラと攪拌部材とを、互いに連動する部材を用いて、同期して回転させる。つまり、排出用ローラ及び攪拌部材を回転させる部材において、少なくとも一部の部材を共通化することで、部品点数を減らし、回転機構を簡素化できるとともに消費電力を抑えることができる。
【0015】
上記散粉装置においては、排出用ローラは、排出開口の上部に配置され、攪拌部材は、排出用ローラの上部に配置されていることができる。粉体は、投入開口からホッパー内に投入されると、粉体の自重により、排出開口側から順次にホッパー内に収容される。そして、排出用ローラの回転及び粉体の自重により、排出用ローラの凹凸内に粉体が収容され、凹凸内の粉体が排出開口に導かれる。また、排出用ローラの回転及び粉体の自重により、排出用ローラの周辺等の粉体が排出開口に導かれる。排出用ローラの上部では、攪拌部材の回転により粉体が攪拌されるため、排出用ローラの上部において、粉体が例えばその自重により凝集するのを抑制し、また、例えばホッパーの内壁に粉体が付着するのを抑制できる。これにより、排出用ローラに均一に粉体を供給でき、ひいては、排出用ローラから排出開口を介して均一に散紛できる。
【0016】
上記散粉装置においては、攪拌部材は、排出用ローラの軸方向の概ね全長に亘って延びていることができる。このように、攪拌部材が排出用ローラと同程度に延びていることで、排出用ローラの全長に亘って、攪拌部材により粉体を攪拌し、粉体の凝集及びホッパーの内壁への粉体の付着を抑制できる。よって、排出用ローラの全長に亘って均一に粉体を供給でき、散粉を均一に行える。
【0017】
上記散粉装置においては、排出用ローラの回転軸及び攪拌部材の回転軸は、排出方向に沿っていることができる。排出開口に沿って粉体を効率よく散粉できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、粉体の凝集を抑えることができる散粉装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る食材成形装置の側面を示す模式図。
図2】散粉装置を投入開口側から見た斜視図。
図3図2のI−I線における散粉装置の断面図。
図4】攪拌部材の側面図。
図5】攪拌部材の別の一例を示す側面図。
図6】攪拌部材の別の一例であり、(a)は側面図、(b)は正面図。
図7】攪拌部材の別の一例であり、(a)は側面図、(b)は正面図。
図8】攪拌部材の別の一例を示す側面図。
図9】排出用ローラの凸部及び凹部の形状を示す模式図。
図10】排出用ローラの凸部及び凹部の形状を示す模式図。
図11】排出用ローラの凸部及び凹部の形状を示す模式図。
図12】排出用ローラの凸部及び凹部の形状を示す模式図。
図13】従来の散粉装置でのブリッジ現象を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<1.食材成形装置>
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る散粉装置を有する食材成形装置について説明する。
(1)食材成形装置の全体構成
まず、本発明の一実施形態に係る散粉装置を有する食材成形装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係る食材成形装置の側面を示す模式図である。食材成形装置10は、上流側から下流側に向かって並ぶ、食材用ホッパー100、散粉装置150、及びローラ機構200を含み、さらに食材を搬送する搬送機構300(第1搬送装置310及び第2搬送装置320)を含む。なお、図1においては、右側が上流側であり、左側が下流側である。
【0021】
食材成形装置10は、各種食材を成形するための装置であり、成形対象の食材が食材用ホッパー100に投入される。食材用ホッパー100の投入開口101に投入された食材は、排出開口103から第1搬送装置310上に排出される。第1搬送装置310では、ローラ312がシート状のベルト313で覆われている。第1搬送装置310上に載置された食材は、ローラ312の回転により、食材用ホッパー100側である上流側から順次、散粉装置150側である下流側に搬送される。本実施形態に係る散粉装置150は、投入開口151から小麦粉、砂糖、塩等の粉体が投入され、排出開口153から食材に粉体を散粉する。散粉がされた食材は、ローラ312の回転により、さらに下流側に搬送され、ローラ機構200に供給される。
【0022】
ローラ機構200は、概ね上下方向に並んで離間した第1ローラ210及び第2ローラ220を備えている。第1回転軸部材211を中心として第1ローラ210が時計回りに回転し、第2回転軸部材221を中心として第2ローラ220が反時計回りに回転する。第1搬送装置310からローラ機構200に供給された食材は、第1及び第2ローラ210、220の回転によって、第1ローラ210と第2ローラ220との間の第1隙間251を通過する。第1隙間251を通過することで成形された食材は、ローラ322がシート状のベルト323で覆われている第2搬送装置320上に排出される。第2搬送装置320上の食材は、ローラ322の回転により下流側に搬送される。
【0023】
(2)散粉装置の詳細
上述の通り、散粉装置150は、食材に小麦粉等の粉体を散粉する装置であるが、散粉装置150の構成について以下にさらに説明する。図2は、散粉装置を投入開口側から見た斜視図である。図3は、図2のI−I線における散粉装置の断面図である。
【0024】
以下では、図2図3等に示す方向、つまり上、下、左、右、前、後にしたがって説明を行う。具体的には、粉体用ホッパー(ホッパー)152の投入開口151がある上側と排出開口153がある下側との間が上下方向であり、排出開口153が延びる方向が前後方向であり、前後方向及び上下方向と直交する方向が左右方向である。この方向にしたがって、説明を行うこととする。但し、この向きによって、本発明が限定されるものではないが、本発明の「軸方向」が本実施形態の前後方向に相当する。
【0025】
また、以下において、「均一」の意味は、「絶対的な均一」の意味だけでなく、「概ね均一」の意味が含まれる。さらに、「均一」の意味には、「概ね均一な状態が連続する」という意味が含まれてもよい。
【0026】
散粉装置150は、粉体を収容する粉体用ホッパー152と、粉体用ホッパー152内の粉体を排出開口153から排出するための排出用ローラ160と、粉体用ホッパー152内の粉体を攪拌する攪拌部材170と、排出用ローラ160及び攪拌部材170を回転駆動する回転機構156を含む。
【0027】
粉体用ホッパー152は、図2に示すように、外形が例えば概ね直方体状である。また、粉体用ホッパー152の粉体が収容される内部空間は、上部から下部に向かって狭まっている。より具体的には、粉体用ホッパー152の内壁は、前側において上下方向に沿う前内壁155Fと、後側において上下方向に沿う後内壁155Bと、左側の左内壁155Lと、右側の右内壁155Rとを含む。また、図3に示すように、左内壁155Lは、上下方向に沿う上部の第1左内壁155Laと、第1左内壁155Laに連続する下部の第2左内壁155Lbとを含む。第2左内壁155Lbは、粉体用ホッパー152の内部空間を下部に向かって狭めるように、左内壁155Lの上下方向の中ほどから傾斜する面からなる。同様に、右内壁155Rは、上下方向に沿う上部の第1右内壁155Raと、第1右内壁155Raに連続する下部の第2右内壁155Rbとを有する。第2右内壁155Rbは、粉体用ホッパー152の内部空間を下部に向かって狭めるように、右内壁155Rの上下方向の下部近傍から傾斜する面からなる。
【0028】
粉体用ホッパー152は、上側に粉体が投入される投入開口151を備え、下側に粉体が排出される排出開口153を備えている。投入開口151は、粉体用ホッパー152の概ね上部全体を開口して形成されており、例えば長方形状である。排出開口153は、粉体を概ね均一に排出可能な程度に、投入開口151よりも十分に小さい開口である。また、排出開口153は、粉体用ホッパー152の最下部における開口であり、第2左内壁155Lbの最下部と第2右内壁155Rbの最下部とにより形成される隙間である。そして、排出開口153は、排出用ローラ160が延びる前後方向に沿って、排出用ローラ160の概ね全長に亘って延びており、概ね長方形状の開口である。
【0029】
排出用ローラ160は、その回転により、粉体用ホッパー152内の粉体を排出開口153から排出するローラである。排出用ローラ160は、図3に示すように、断面視が概ね円形状であり、粉体用ホッパー152の前後方向の概ね全長に亘って前後方向に延びる円筒状のローラである。よって、排出用ローラ160の回転軸は、排出開口153と同様に前後方向に沿っている。また、排出用ローラ160は、排出開口153の上部において、前後方向に沿った排出開口153を塞ぐように配置されている。そして、排出用ローラ160及び排出開口153は、ともに、長さが同程度であり、粉体用ホッパー152の前後方向の概ね全長に亘って、前後方向に沿って延びている。但し、排出用ローラ160は、排出開口153を完全に塞いでおらず、図3に示すように、排出開口153から粉体を排出可能な程度に排出開口153に近接して配置されている。例えば、排出用ローラ160は、排出開口153を完全に塞ぐことなく、その一部が排出開口153から突出するように配置されることもできる。
【0030】
また、排出用ローラ160は、その表面に凸部161と凹部163とが形成されることで、凹凸形状を有している。本実施形態では、凸部161及び凹部163は、軸方向に沿って交互に形成されている。凸部161は先端に向かって尖っており、凹部163は凹む方向に向かって尖っている。互いに隣接する凸部161により凹部163が形成されており、排出用ローラ160の回転により凹部163内に粉体が一時的に収容可能である。この粉体の収容は、例えば、排出開口153に面していない凹部163によって行われる。排出用ローラ160の更なる回転によって、粉体を収容した凹部163が排出開口153に達すると、凹部163から排出開口153を介して外部に粉体が排出される。また、排出用ローラ160の回転に伴って、凸部161が排出用ローラ160周辺の粉体を排出開口153に向かって掻き出すことによって、排出開口153から粉体を排出することもできる。
【0031】
次に、断面視における、排出用ローラ160の左右方向の直径と、排出開口153の左右方向の距離との関係について説明する。図3に示すように、排出用ローラ160は、半径r1を有しており、直径が(r1×2)である。なお、半径r1は、例えば、排出用ローラ160の中心点Oと、凸部161の先端との距離である。排出開口153は、左右方向において距離L1を有している。排出開口153の距離L1は、例えば、排出用ローラ160の直径(r1×2)よりも小さい。例えば、距離L1は、直径(r1×2)の約0.4倍〜約0.9倍であることができ、例えば約0.65倍であることができる。排出用ローラ160の直径(r1×2)を、排出開口153の距離L1に対してこのように設定することで、排出用ローラ160を比較的小型にできる。よって、排出用ローラ160の駆動に要する駆動力を抑制し、消費電力を抑制できる。
【0032】
なお、排出用ローラ160の中心点Oは、上面視において、排出開口153内に位置しているのが好ましい。この場合、排出用ローラ160の回転により排出開口153から効率的に粉体を排出できる。
【0033】
攪拌部材170は、排出用ローラ160の上部に配置されており、粉体用ホッパー152内の粉体を攪拌するための部材である。攪拌部材170の構成について、さらに図4を用いて説明する。図4は、攪拌部材の側面図である。攪拌部材170は、回転可能な回転軸部材171と、回転軸部材171の回転とともに回転可能な棒状部材173と、棒状部材173を回転軸部材171に対して支持する支持部175とを含む。
【0034】
回転軸部材171は、排出用ローラ160の前後方向の概ね全長に亘って前後方向に延びる円筒状の部材である。よって、回転軸部材171の回転軸は、排出開口153と同様に前後方向に沿っている。また、回転軸部材171は、排出用ローラ160の上部に配置されている。そして、本実施形態では、図3に示すように、回転軸部材171の中心点Pは、左右方向において、排出用ローラの中心点Oと概ね同位置に配置されている。また、棒状部材173は、回転軸部材171から離隔した位置に設けられている、例えば円筒状の部材である。棒状部材173は、回転軸部材171の前後方向の概ね全長に亘って前後方向に延びている。よって、棒状部材173は、排出用ローラ160の概ね全長に亘って前後方向に延びている。この棒状部材173は、回転軸部材171の概ね両端部において支持部175によって支持されている。支持部175は、回転軸部材171に対して交差する方向に突出して設けられており、例えば回転軸部材171とは概ね直交している。これらの部材からなる攪拌部材170は、回転軸部材171が回転すると、支持部175により支持されている棒状部材173が回転軸部材171を中心として回転する。この棒状部材173の回転により排出用ローラ160の上部及び上部周辺の粉体が攪拌され、粉体の凝集が抑制される。
【0035】
そして、前述の通り、棒状部材173が排出用ローラ160の概ね全長に亘って前後方向に延びているため、排出用ローラ160の全長の上方において、棒状部材173により粉体を攪拌し、粉体の凝集及び粉体用ホッパー152の内壁への粉体の付着を抑制できる。よって、排出用ローラ160の全長に亘って均一に粉体を供給でき、散粉を均一に行える。
【0036】
また、中心点Qを中心とする円筒状の棒状部材173の半径r2は、例えば、排出用ローラ160の半径r1より小さい。このような細長い形状の棒状部材173を用いて粉体を攪拌することで、棒状部材173と粉体との接触面積を小さくし、粉体が棒状部材173の回転により受ける接触抵抗を減らすことができる。よって、棒状部材173の粉体の押圧による粉体の凝集を抑制しつつ、効率よく粉体を攪拌できる。また、棒状部材173の回転の際における粉体からの抵抗が小さいため、棒状部材173を回転するのに要する消費電力を抑えることができる。なお、棒状部材173の半径r2は、例えば、排出用ローラ160の半径r1の約0.1倍〜約0.8倍であることができ、例えば約0.4倍であることができる。
【0037】
さらに、回転軸部材171の中心点Pと、回転軸部材171に最も近接する排出用ローラ160の外周部分との距離を距離L2とする。なお、回転軸部材171に最も近接する排出用ローラ160の外周部分とは、図3に示すように、例えば、排出用ローラ160の最上部に位置する凸部161の先端である。距離L2は、棒状部材173が回転軸部材171の中心点Pを中心として回転する場合の回転半径r3と概ね一致している。ただし、棒状部材173が、排出用ローラ160と接触しない程度の近傍において回転できるように、距離L2は回転半径r3よりも若干大きい。例えば、距離L2は、棒状部材の回転半径r3の約1.01倍〜約1.40倍であることができ、例えば約1.12倍であることができる。言い換えれば、(L2−r3)の距離は、r3の約0.01倍〜0.4倍であることができる。これにより、排出用ローラ160の近傍において、棒状部材173を回転させて、粉体を攪拌し、粉体の凝集を抑制できる。よって、排出用ローラ160に均一に粉体を供給でき、ひいては、排出用ローラ160から排出開口153を介して均一に散紛できる。
【0038】
なお、距離L2が棒状部材173の回転半径r3よりもかなり大きくなると、棒状部材173を排出用ローラ160の近傍で回転させることができない。その場合、排出用ローラ160の近傍において、棒状部材173によって粉体が攪拌されない領域が生じる。よって、距離L2と棒状部材の回転半径r3との関係は上記のように設定されるのが好ましい。
【0039】
また、棒状部材173の回転半径r3は、排出用ローラ160の半径r1より大きい。例えば、棒状部材173の回転半径r3は、排出用ローラ160の半径r1の約1.0倍〜約5.0倍であることができ、例えば約3.4倍であることができる。これにより、棒状部材173は、排出用ローラ160の半径r1に対してより大きな範囲で粉体を攪拌して凝集等を防ぐことができる。よって、排出用ローラ160に均一に粉体を供給でき、ひいては、排出用ローラ160から排出開口153を介して均一に散紛できる。さらには、棒状部材173の回転半径r3を、回転軸部材171の中心点Pと粉体用ホッパー152の内壁との距離L3に相当する程度にすることができる。例えば、棒状部材173の回転半径r3は、棒状部材173が粉体用ホッパー152の内壁に接触しない程度に、距離L3よりも若干小さい。これにより、棒状部材173により粉体を攪拌して、粉体用ホッパー152の内壁への粉体の付着を抑制できる。
【0040】
回転機構156は、図2に示すように、排出用ローラ160を回転させる第1回転部材157と、攪拌部材170の回転軸部材171を回転させる第2回転部材159と、これらの回転部材157、159を駆動する図示しない駆動部と、を含む。第1回転部材157及び第2回転部材159は、ギアで構成されており、第1回転部材157と第2回転部材159とが互いに噛み合うように配置されている。よって、第1回転部材157及び第2回転部材159は、共通の駆動部からの駆動力を得て、互いに連動し、同期して回転する。このように、第1回転部材157及び第2回転部材159を、共通の駆動部を用いて駆動することで、部品点数を減らし、回転機構156を簡素化できるとともに消費電力を抑えることができる。
【0041】
<2.特徴>
上記実施形態における散粉装置150では、粉体は、投入開口151から粉体用ホッパー152内に投入されると、粉体の自重により、排出開口153側から順次に粉体用ホッパー152に収容される。そして、排出用ローラ160の回転及び粉体の自重等により、排出用ローラ160の凹部163内に粉体が取り込まれ、凹部163内の粉体が排出開口153に導かれる。また、排出用ローラ160の回転及び粉体の自重等により、例えば、排出用ローラ160の凸部161が粉体を掻き出すことで、排出用ローラ160の周辺等の粉体が排出開口153に導かれる。
【0042】
前述の通り、排出用ローラ160の上部では、攪拌部材170の回転により粉体が攪拌され、排出用ローラ160側に送り出される。そのため、排出用ローラ160の上部において、粉体が例えばその自重により凝集するのを抑制し、また、例えば粉体用ホッパー152の内壁に粉体が付着するのを抑制できる。これにより、排出用ローラ160に均一に粉体を供給でき、ひいては、排出開口153から粉体を均一に散粉できる。
【0043】
また、棒状部材173は回転軸部材171の軸方向に平行に沿って延びる部材であるが、棒状部材173と回転軸部材171とは離間しているため、棒状部材173で粉体の攪拌を行うことができる一方で、棒状部材173と回転軸部材171との間では粉体が通過するため、粉体が受ける抵抗を小さくすることができる。そのため、棒状部材173の粉体の押圧による粉体の凝集を抑制しつつ、効率よく粉体を攪拌できる。なお、上記「平行」という文言は、厳密な平行を示すものではなく、多少の傾きは許容される。
【0044】
排出用ローラ160の回転軸及び攪拌部材170の回転軸は、排出開口153が延びる前後方向に沿っている。よって、排出開口153の延びる方向に沿って、排出用ローラ160により粉体を散紛できる。さらに、排出用ローラ160に沿って延びる攪拌部材170により、排出用ローラ160の上部で粉体を攪拌し、排出用ローラ160側に供給できる。
【0045】
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
【0046】
<3−1>
上記実施形態の攪拌部材170では、棒状部材173は、支持部175を介して回転軸部材171に設けられている。しかし、回転軸部材171は必ずしも必要ではない。図5は、攪拌部材の別の一例を示す側面図である。図5の攪拌部材170は、回転軸部材171は設けられておらず、回転可能な回転支持部176と、回転支持部176の回転により回転可能な棒状部材173と、棒状部材173を回転支持部176に対して支持する支持部175とを含む。回転支持部176は、前後方向に延びる棒状部材173の両端部にのみ対応して設けられており、支持部175を介して棒状部材173を回転させる。回転支持部176は、第2回転部材159(図2)及び図視しない駆動部により駆動されて回転し、この回転により棒状部材173が回転する。棒状部材173の回転により粉体が攪拌される点は上記実施形態と同様である。
【0047】
また、攪拌部材170を図6図7のように構成することもできる。図6及び図7は、攪拌部材の別の一例であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。図6及び図7に示すように、攪拌部材170は、回転可能な回転軸部材171と、回転軸部材171上に設けられた複数の突起部177とを有する。突起部177は、回転軸部材171から突出する部材である。図6では、突起部177は、図6(a)に示すように回転軸部材171の長手方向に沿って設けられるとともに、図6(b)に示すように回転軸部材171の周方向において所定間隔ごとに設けられている。なお、図6の突起部177は、長手方向に対して斜め方向に延びるように配置されていてもよい。
【0048】
図7では、突起部177は、図7(a)に示すように回転軸部材171の長手方向と交差する方向に長く突出して設けられるとともに、図7(b)に示すように回転軸部材171の周方向において所定間隔ごとに設けられている。なお、図7の突起部177は、回転軸部材171の長手方向に対して概ね直交して延びているが、回転軸部材171の長手方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。さらには、突起部177の形状は上記に限定されず、例えば円形状、半円形状及び多角形状などであってもよく、突起部177の数も限定されない。
【0049】
図6図7の攪拌部材170では、回転軸部材171の回転に伴って、回転軸部材171上の複数の突起部177も回転する。回転する突起部177により粉体が攪拌されるため、粉体の凝集が抑制され、また、粉体用ホッパー152の内壁への粉体の付着が抑制される。
【0050】
さらに、上記実施形態の攪拌部材170では、棒状部材173は、一方向に直線状に延び得る部材であるが、これに限定されない。図8は、攪拌部材の別の一例を示す側面図である。図8に示すように、攪拌部材170の棒状部材173は、側面視において波型の形状を有していてもよい。さらには、棒状部材173は、側面視において、ギザギザの形状を有していてもよい。また、棒状部材173の太さが一定ではなく、例えば、長手方向に沿って太さが変化してもよい。回転軸部材171の形状が長手方向に沿って変化するため、粉体を多様に攪拌し、粉体の凝集、粉体用ホッパー152の内壁への粉体の付着を抑制できる。
【0051】
<3−2>
上記実施形態では、排出用ローラ160の凸部161及び凹部163は、断面視において尖った形状を有しており、長手方向に沿って延びている。しかし、排出用ローラ160の凸部161及び凹部163の形状はこれに限定されず、例えば図9図12に示す形状であってもよい。図9図12は、排出用ローラの凸部及び凹部の形状を示す模式図である。図9の断面視に示すように、凸部161は矩形状であってもよく、この凸部161の間に凹部163が形成される。図10に示すように、断面視において、凸部161及び凹部163は、周方向に沿って交互に形成されており、凸部161は先端に向かって尖っており、凹部163は凹む方向に向かって尖っている。そして、凸部161及び凹部163は、排出用ローラ160の軸方向である前後方向に沿って延びている。図11の排出用ローラ160では、その表面を凹部163として、その表面から突出する複数の凸部161がランダムに配置されている。逆に、図12の排出用ローラ160では、その表面を凸部161として、その表面から凹む複数の凹部163がランダムに配置されている。なお、凸部161及び凹部163の形状は、粉体を排出開口153に導ければよく、特に限定されない。例えば、凸部161及び凹部163は、楕円形状、矩形状及び多角形状等であってもよい。
【0052】
<3−3>
上記実施形態では、散粉装置150が、食材成形装置10内で使用される例を示している。しかし、散粉装置150は単体で使用されてもよいし、食材成形装置10以外の他の装置内で使用されてもよい。
【0053】
<3−4>
上記実施形態では、棒状部材173は円筒状の部材である。しかし、棒状部材173の形状はこれに限定されず、例えば、四角柱状等の多角柱状等であってもよい。棒状部材173が円筒状以外の形状である場合においても、粉体との接触抵抗を考慮すれば、棒状部材173の断面が排出用ローラ160の断面よりも小さく形成されているのが好ましい。
【0054】
<3−5>
上記実施形態では、排出開口153の距離L1は、例えば、排出用ローラ160の直径(r1×2)よりも小さい。しかし、距離L1と直径(r1×2)との関係はこれに限定されず、距離L1と直径(r1×2)とが同程度であってもよい。
【0055】
<3−6>
上記実施形態では、上面視において、回転軸部材171の中心点Pは、排出用ローラ160の中心点Oと概ね同一である。つまり、図3において、中心点Pは中心点Oの真上に位置する。しかし、排出用ローラ160の上部において粉体を攪拌できればよく、回転軸部材171の中心点Pと排出用ローラ160の中心点Oとの関係はこれに限定されない。例えば、上面視において、回転軸部材171の中心点Pが、排出用ローラ160の直径(r1×2)の範囲内に含まれていてもよい。また、上面視において、攪拌部材170は、攪拌部材170の回転範囲の少なくとも一部が、排出用ローラ160に重畳するように配置されていてもよい。
<3−7>
上記実施形態では、回転軸部材171に対して1つの棒状部材173が取り付けられている。しかし、回転軸部材171に対して、回転軸部材171に対して、その軸方向に沿った複数の棒状部材173が互いに間隔をあけて設けられていてもよい。さらに、回転軸部材171と棒状部材173との間の空間に、棒状部材173から回転軸部材171に延びる枝部材が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 :食材成形装置
100 :食材用ホッパー
150 :散粉装置
151 :投入開口
152 :粉体用ホッパー
153 :排出開口
156 :回転機構
157 :第1回転部材
159 :第2回転部材
160 :排出用ローラ
161 :凸部
163 :凹部
170 :攪拌部材
171 :回転軸部材
173 :棒状部材
210 :第1ローラ
220 :第2ローラ
310 :第1搬送装置
320 :第2搬送装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13