特許第6893816号(P6893816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893816
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】内袋の取付構造及び内袋の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   B65D77/06 F
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-69234(P2017-69234)
(22)【出願日】2017年3月30日
(65)【公開番号】特開2018-167902(P2018-167902A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591251669
【氏名又は名称】伏見樹脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】伏見 修
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕亮
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−020273(JP,U)
【文献】 特開2003−002362(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/084724(WO,A1)
【文献】 特開2009−102040(JP,A)
【文献】 国際公開第92/016432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 33/36
B65D 8/02
B31B 70/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装容器の口金に取り付けられ、軸方向に貫通する挿通穴に雌ねじが形成された筒状の取付金具と、
前記取付金具の前記雌ねじに螺合する雄ねじを有するとともに前記雄ねじの軸方向に貫通する抽出口を有し、前記抽出口が前記外装容器内に収納された内袋の内部に連通する筒状のスパウトと、
前記スパウトに係止して、前記取付金具に対する前記スパウトの回転を阻止する突部を有するブレ止めリングと、
前記ブレ止めリングを保持し、前記スパウトの前記抽出口を塞いだ状態で前記口金側に取り付けられるキャップと、を備え
前記ブレ止めリングは、
前記取付金具に対して同軸上に配置可能な環状のリング部と、
前記リング部から前記リング部の中心に向けて突出された前記突部と、を有することを特徴とする内袋の取付構造。
【請求項2】
前記スパウトは、
前記内袋の開口部が溶着される溶着部位に形成され、前記スパウトの径方向外側へ突出し、前記スパウトの軸方向へ延びる突条部を有することを特徴とする請求項1に記載の内袋の取付構造。
【請求項3】
前記取付金具は、前記ブレ止めリングの前記突部が嵌合する嵌合凹部を有し、
前記スパウトは、前記嵌合凹部に嵌合された前記突部が係止する係止凹部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内袋の取付構造。
【請求項4】
前記キャップは、
前記口金側に取り付けられた状態において、外装容器の周縁の高さ寸法より小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の内袋の取付構造。
【請求項5】
折り畳まれた内袋に溶着されたスパウトにスパウトキャップを着脱自在に取り付ける第1工程と、
前記スパウトの雄ねじに取付金具の雌ねじを螺合する第2工程と、
前記折り畳まれた内袋を外装容器の口金から前記外装容器の内部に差し込み、前記折り畳まれた内袋の膨張、展開する方向が前記外装容器の中心を向くように前記スパウトを前記スパウトキャップで位置決めする第3工程と、
前記スパウトキャップを保持した状態で、前記取付金具を前記口金に取り付け、前記スパウトの係止凹部と前記取付金具の嵌合凹部とを径方向に一致させる第4工程と、
前記取付金具の嵌合凹部にブレ止めリングの突部を嵌合するとともに、前記突部を前記スパウトの係止凹部に係止する第5工程と、
前記スパウトキャップを前記スパウトから外す第6工程と、
前記スパウトの抽出口をキャップで塞ぎ、前記ブレ止めリングを前記キャップで保持した状態で、前記キャップを前記口金側に取り付ける第7工程と、
を備えたことを特徴とする内袋の取付方法。
【請求項6】
前記第1工程において、前記内袋の膨張、展開する方向を確認できる指標を前記スパウトキャップに設け、前記スパウトキャップを前記スパウトに着脱自在に取り付けた後、前記指標が前記内袋の膨張、展開する方向を指す位置になるように前記スパウトに前記内袋を溶着し、
前記第3工程において、前記内袋の膨張、展開する方向を前記指標で確認して、前記内袋の膨張、展開する方向を前記外装容器の中心に合わせることを特徴とする請求項に記載の内袋の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内袋の取付構造及び内袋の取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラム缶などの金属製又は樹脂製の外装容器に内容物(液体や紛体)を充填する際には、可撓性フィルムからなる内袋を外装容器内に設け、内袋に内容物を充填することが知られている。例えばドラム缶には、有底筒状の缶本体及び缶本体の開口部に着脱自在に設けられた蓋体を備えるオープンドラム缶と、缶本体の開口部に天板を巻き締めてなるクローズドドラム缶とがある。
クローズドドラム缶に内容物を充填する際には、蓋体に形成されたφ40〜60mm程度の口金から内袋を缶本体内に挿入し、内袋の注出口から内容物を充填する。
【0003】
ところで、内袋に設ける内袋の取付構造として、クローズドドラム缶等の外装容器の口金に内袋の注出口を固定し、注出口から内容物を内袋に充填でき、かつ内容物を充填した後に、容易に注出口を口金から取り外せるものが知られている。
すなわち、内袋内に内容物が充填された状態において、注出口をキャップで封止する。注出口やキャップは外径が口金の内径より小さく形成されている。よって、注出口やキャップを口金の下方へ移行させることができる。注出口が口金から外装容器内へ入り込み、内容物が充填されている内袋の上へ落下する。最後に、口金にプラグを取り付けて外装容器への内容物充填作業を完了させる。
一方、外装容器内から内容物を取り出す際には、注出口を口金に固定し、キャップを外した後、注出口から袋内へパイプを挿入してその先端を内容物内に臨ませ、ポンプで吸引する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−022725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の内袋の取付構造は、注出口やキャップの外径が口金の内径より小さく形成され、内容物の充填作業を完了させた後、注入口やキャップは外装容器内に格納される。このため、外装容器内から内容物を取り出す際には、注入口やキャップを外装容器内で探し当て、口金から外装容器の外部に取り出す必要があり、内容物の取出しに手間がかかる。
【0006】
そこで、この発明は、内容物を手間をかけることなく容易に取り出すことができる内袋の取付構造及び内袋の取付方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内袋の取付構造は、外装容器の口金に取り付けられ、軸方向に貫通する挿通穴に雌ねじが形成された筒状の取付金具と、前記取付金具の前記雌ねじに螺合する雄ねじを有するとともに前記雄ねじの軸方向に貫通する抽出口を有し、前記抽出口が前記外装容器内に収納された内袋の内部に連通する筒状のスパウトと、前記スパウトに係止して、前記取付金具に対する前記スパウトの回転を阻止する突部を有するブレ止めリングと、前記ブレ止めリングを保持し、前記スパウトの前記抽出口を塞いだ状態で前記口金側に取り付けられるキャップと、を備え、前記ブレ止めリングは、前記取付金具に対して同軸上に配置可能な環状のリング部と、前記リング部から前記リング部の中心に向けて突出された前記突部と、を有することを特徴とする。
前記スパウトは、前記内袋の開口部が溶着される溶着部位に形成され、前記スパウトの径方向外側へ突出し、前記スパウトの軸方向へ延びる突条部を有することが好ましい。前記取付金具は、前記ブレ止めリングの前記突部が嵌合する嵌合凹部を有し、前記スパウトは、前記嵌合凹部に嵌合された前記突部が係止する係止凹部を有することが好ましい。前記キャップは、前記口金側に取り付けられた状態において、外装容器の周縁の高さ寸法より小さいことが好ましい。
【0008】
本発明の内袋の取付方法は、折り畳まれた内袋に溶着されたスパウトにスパウトキャップを着脱自在に取り付ける第1工程と、前記スパウトの雄ねじに取付金具の雌ねじを螺合する第2工程と、前記折り畳まれた内袋を外装容器の口金から前記外装容器の内部に差し込み、前記折り畳まれた内袋の膨張、展開する方向が前記外装容器の中心を向くように前記スパウトを前記スパウトキャップで位置決めする第3工程と、前記スパウトキャップを保持した状態で、前記取付金具を前記口金に取り付け、前記スパウトの係止凹部と前記取付金具の嵌合凹部とを径方向に一致させる第4工程と、前記取付金具の嵌合凹部にブレ止めリングの突部を嵌合するとともに、前記突部を前記スパウトの係止凹部に係止する第5工程と、前記スパウトキャップを前記スパウトから外す第6工程と、前記スパウトの抽出口をキャップで塞ぎ、前記ブレ止めリングを前記キャップで保持した状態で、前記キャップを前記口金側に取り付ける第7工程と、を備えたことを特徴とする。
前記第1工程において、前記内袋の膨張、展開する方向を確認できる指標を前記スパウトキャップに設け、前記スパウトキャップを前記スパウトに着脱自在に取り付けた後、前記指標が前記内袋の膨張、展開する方向を指す位置になるように前記スパウトに前記内袋を溶着し、前記第3工程において、前記内袋の膨張、展開する方向を前記指標で確認して、前記内袋の膨張、展開する方向を前記外装容器の中心に合わせることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明の内袋の取付構造によれば、内容物を手間をかけることなく容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における内袋の取付構造を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態における内袋の取付構造を示す分解断面図である。
図3】本発明の一実施形態における取付金具を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態におけるスパウトを示す平面図である。
図5】本発明の一実施形態における図1のV−V線に沿う断面図である。
図6】本発明の一実施形態における内袋を膨張、展開した状態を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態におけるブレ止めリングを示す平面図である。
図8】本発明の一実施形態におけるスパウトキャップを示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態における内袋の取付方法の第1工程、第2工程を説明する側面図である。
図10】本発明の一実施形態における内袋の取付方法の第3工程、第4工程、第5工程を説明する側面図である。
図11】本発明の一実施形態における内袋の取付方法の第6工程、第7工程を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面において便宜上、キャップ18側を上方、内袋50側を下方として説明する。
図1図2に示すように、内袋の取付構造10は、取付金具12と、スパウト14と、ブレ止めリング16と、キャップ18とを備える。
取付金具12は、例えば樹脂材で形成され、外装容器20の口金22に取り付けられている。外装容器20は、例えばドラム缶であり、円筒状の胴板24と、胴板24の底部を塞ぐ地板と、胴板24の上端部24aを塞ぐ天板25と、天板25に設けられた口金22とを備えている。地板及び天板25は円板状に形成されている。
【0012】
口金22は、天板25の中心から胴板24側に離れた位置に設けられている。口金22は、環状に形成され、下端部22aが天板25に設けられている。口金22は、口金22の軸方向に貫通する貫通穴に口金雌ねじ27が形成されている。口金22に取付金具12が螺合されている。
【0013】
取付金具12は、環状に形成され、取付金具雄ねじ31と、取付金具雌ねじ32と、取付金具鍔部33と、嵌合凹部34とを有する。
取付金具雄ねじ31は、取付金具12の外周のうち、下端部12aから取付金具鍔部33までの部位に形成されている。取付金具雄ねじ31は、口金雌ねじ27に螺合可能に、口金雌ねじ27と同軸上に形成されている。
また、取付金具12は、取付金具12の軸方向に貫通する挿通穴に取付金具雌ねじ32が形成されている。取付金具雌ねじ32は、取付金具12の上端部12bから下端部12aまで取付金具12と同軸上に形成されている。取付金具雌ねじ32にスパウト14が螺合される。
【0014】
取付金具雄ねじ31の上端(すなわち、取付金具12の上端部12b寄りの部位)から取付金具鍔部33が取付金具12の径方向外側に張り出されている。取付金具鍔部33は、口金22の口金雌ねじ27より径方向外側に円形状に張り出され、口金22の上端22bに載置可能に形成されている。
実施形態では、取付金具鍔部33の外形を円形に形成した例について説明するが、その他の例として、例えば取付金具鍔部33の外形を六角形に形成してもよい。取付金具鍔部33の六角形を利用して取付金具12を工具で一層容易に取り付けることが可能になる。
取付金具雄ねじ31が口金雌ねじ27に螺合された状態において、取付金具鍔部33が口金22の上端22bに当接する。これにより、取付金具12が口金22に取り付けられる。
【0015】
図3に示すように、取付金具12の上端部12bに複数の嵌合凹部34が形成されている。取付金具12の上端部12bが環状に形成され、環状の上端部12bに嵌合凹部34が周方向に等間隔に形成されている。嵌合凹部34は、上方が開口し、底部34aと、両側部34bとで側面視U(コ)字状に形成されている。両側部34bは、互いに平行に形成されている。
嵌合凹部34は、例えば、環状の上端部12bに7個が周方向へ等間隔に形成されている。嵌合凹部34には、ブレ止めリング16の突部62(後述する)が嵌合される。
取付金具12にはスパウト14(図1参照)が取り付けられている。
【0016】
図1図2に戻って、スパウト14は、例えば樹脂材で筒状に形成されている。スパウト14は、スパウト雄ねじ41と、スパウト雌ねじ42と、スパウト鍔部43と、係止凹部44とを有する。
スパウト14は、スパウト雄ねじ41の軸方向に貫通する抽出口(注入口)46を有し、抽出口46の上半部にスパウト雌ねじ42が形成されている。スパウト雌ねじ42にキャップ18のキャップ雄ねじ66(後述する)が螺合される。
【0017】
スパウト14の外周にはスパウト鍔部43が形成されている。スパウト鍔部43は、スパウト14の外周のうち、軸方向略中央からスパウト14の径方向外側に張り出されている。また、スパウト14の外周のうち、スパウト鍔部43からスパウト14の上端部14aまでの間にスパウト雄ねじ41が形成されている。スパウト雄ねじ41は、取付金具雌ねじ32に螺合される。スパウト雄ねじ41には、複数の係止凹部44が形成されている。係止凹部44は、スパウト鍔部43からスパウト14の上端部14aまでスパウト14の軸方向へ延び、上端44aが開口されている。
【0018】
図4に示すように、複数の係止凹部44は、スパウト雄ねじ41に周方向に等間隔をおいて形成されている。係止凹部44は、スパウト14の径方向外側が開口し、底部44bと、両側部44cとで側面視U(コ)字状に形成されている。両側部44cは、互いに平行に形成されている。
係止凹部44は、例えば、スパウト雄ねじ41に径方向へ等間隔をおいて4個形成されている。係止凹部44には、嵌合凹部34に嵌合されたブレ止めリング16の突部62(後述する)の先端が係止する。
【0019】
図2図5図6に示すように、内袋50は、複数の可撓性樹脂シート53の端部が互いに溶着されて袋状に形成されている。スパウト14の外周のうち、スパウト鍔部43からスパウト14の下端部14bまでの溶着部位47に内袋50の開口部51が溶着されている。この状態において、内袋50の内部52にスパウト14の抽出口46が連通されている。開口部51は、隣接する可撓性樹脂シート53の一部で形成されている。
【0020】
内袋50は、外装容器20内に収納する際に、折り畳まれた状態で、外装容器の口金22から挿入される。内袋50にスパウト14から内容物(例えば、液体や紛体)が充填される。内容物が内袋50の内部52に充填されることにより、外装容器20(図1参照)の内部29において、内袋50がスパウト14から離れる方向に矢印の如く円柱形に膨張、展開する。この状態において、スパウト14は、内袋50の中心54から離れた位置に保持される。内袋50の中心54は、外装容器20の中心に概ね一致する。
【0021】
ここで、外装容器20のなかには、例えばドラム缶のように、外装容器20の中心から口金22(図1参照)がずれているものがある。このため、外装容器20の口金22にスパウト14を合わせる必要があり、スパウト14は内袋50の中心54から離れた位置に保持される。
この場合、折り畳まれた内袋50は、膨張、展開する方向(すなわち、矢印方向)を外装容器20の中心に向けて配置する必要がある。内袋50の膨張、展開する方向を外装容器20の中心に向けて配置することにより、内袋50を良好に膨張、展開させることができる。
【0022】
この内袋50の開口部51が溶着部位47に溶着されている。溶着部位47は、複数の突条部48を有する。突条部48は、スパウト14の径方向外側へ断面V字状に突出され、かつ、スパウト14の軸方向に延出されたフィンである。複数の突条部48は、例えば、溶着部位47に周方向へ環状に4箇所等間隔に形成されている。通常の2箇所溶着では、上下シールバーを用いて内袋50とスパウト14とを溶着する際に、横方向の圧力が、掛かりにくくなる為、4箇所溶着が好ましい。
【0023】
内袋50の開口部51は、例えば、内袋50の第1可撓性樹脂シート51a及び第2可撓性樹脂シート51bで形成されている。第1可撓性樹脂シート51a及び第2可撓性樹脂シート51bで溶着部位47の外周を覆う。この状態において、第1可撓性樹脂シート51a及び第2可撓性樹脂シート51bを、例えば複数のシールバー55で溶着部位47の外周に溶着する。実施形態においては、複数のシールバー55として4個のシールバー55を用い、内袋50の開口部51を4方から溶着部位47の外周に溶着する例について説明する。
その他の例として、例えば複数のシールバー55を用い、内袋50の開口部51を2方または3方から溶着部位47の外周に溶着してもよい。
【0024】
ここで、複数の突条部48が溶着部位47に形成されている。よって、溶着部位47の外周を比較的平坦に形成できる。これにより、第1可撓性樹脂シート51a、第2可撓性樹脂シート51bを溶着部位47の外周に複数のシールバー55で良好に溶着することができる。
また、隣接するシールバー55の間に突条部(すなわち、フィン)48を配置するようにした。よって、隣接するシールバー55を突条部48に確実に当接することができる。これにより、第1可撓性樹脂シート51a、第2可撓性樹脂シート51b(すなわち、内袋50の開口部51)を溶着部位47の外周に良好に溶着することができる。
溶着部位47に溶着された内袋50は、ブレ止めリング16の突部62(後述する)で、内袋50の膨張、展開する方向が外装容器20の中心(概ね内袋50の中心54)に向くように配置される。
【0025】
図1図7に示すように、ブレ止めリング16は、例えば樹脂材や金属材で形成され、リング部61と、突部62とを有する。リング部61は、取付金具12の上端部12bに対して同軸上に嵌合(配置)可能に環状に形成されている。リング部61は、取付金具12の上端部12bに嵌合された状態において取付金具鍔部33に載置される。リング部61に突部62が一体に形成されている。突部62は、リング部61の内周61aからリング部61の中心に向けて突出されている。
突部62は、リング部61の内周61aから互いに平行に延びる一対の側辺62aと、一対の側辺62aの先端を連結する先端62bとを有する。
【0026】
ブレ止めリング16のリング部61が取付金具12の上端部12bに嵌合されて取付金具鍔部33に載置される。この状態において、ブレ止めリング16の突部62は、取付金具12の嵌合凹部34に嵌合され、かつ、スパウト14の係止凹部44に先端が係止される。よって、取付金具12に対するスパウト14の回転が突部62で阻止される。
取付金具鍔部33にリング部61を配置させて、嵌合凹部34に突部62を嵌合させ、係止凹部44に突部62の先端を係止させることができる。これにより、スパウト14を所定位置に手間をかけないで簡単に位置決めした状態に保持できる。
所定位置とは、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向が外装容器20の中心(概ね内袋50の中心54)に向けて配置される位置である。
【0027】
すなわち、スパウト14を所定位置に位置決めした状態に保持することにより、折り畳まれた内袋50が膨張、展開する方向を外装容器20の中心に向けて配置できる。これにより、内袋50にスパウト14から内容物を充填する際に、内袋50を内容物で外装容器20内に良好に膨張、展開させることができる。
【0028】
このように、外装容器20の口金22に取付金具12が螺合により取り付けられる。取付金具12にスパウト14が螺合により取り付けられる。取付金具鍔部33にブレ止めリング16のリング部61が載置された状態において、ブレ止めリング16の突部62が、取付金具12の嵌合凹部34に嵌合され、突部62の先端がスパウト14の係止凹部44に係止される。これにより、取付金具12に対するスパウト14の回転が突部62で阻止される。この状態において、スパウト雌ねじ42にキャップ18が取り付けられる。
【0029】
図1図2に示すように、キャップ18は、例えば樹脂材で形成され、キャップ本体65と、キャップ雄ねじ66とを有する。キャップ本体65は、平面視円形状に形成され、環状の周縁65aと、取付凹部67とを有する。キャップ本体65の外周下端に環状の周縁65aが形成されている。環状の周縁65aは、キャップ本体65の外周65bに沿って、ブレ止めリング16のリング部61の上面61bに対して僅かに隙間が開くように形成されている。
キャップ本体65の上面65cに取付凹部67が形成されている。取付凹部67は、キャップ本体65の上面65cの中央に所定の長さ寸法L1で、かつ所定の幅寸法で形成されている。取付凹部67に取付治具を差し込み、取付治具でキャップ18を締め付けることができる。
【0030】
キャップ本体65にはキャップ雄ねじ66が設けられている。キャップ雄ねじ66は、キャップ本体65の裏面65dからキャップ本体65と同軸上に下方(すなわち、口金22)に向けて突出されている。キャップ雄ねじ66は、スパウト雌ねじ42に螺合可能に形成されている。
キャップ雄ねじ66がスパウト雌ねじ42に螺合されることにより、キャップ18の裏面65dがスパウト14の上端部14aに当接する。スパウト14の抽出口46がキャップ雄ねじ66で塞がれ、キャップ18がスパウト14及び取付金具12を介して口金22側に取り付けられる。
この状態において、キャップ18の環状の周縁65aがリング部61の上面61bに対して僅かに隙間が開く位置に配置される。よって、ブレ止めリング16が環状の周縁65aで保持される。
【0031】
実施形態においては、キャップ雄ねじ66をスパウト雌ねじ42に螺合させてキャップ18を口金22側に取り付ける例について説明したが、これに限定しない。その他の例として、例えばキャップ18に雌ねじを形成して、形成した雌ねじを口金22の雄ねじに螺合させてキャップ18を口金22取り付けることも可能である。
【0032】
キャップ18が口金22側に取り付けられた状態において、キャップ18の高さ寸法H1が外装容器20の容器周縁(チャイム)20aの高さ寸法H2より小さくなる。
キャップ18の高さ寸法H1は、天板25からキャップ本体65の上面65cまでの高さ寸法である。外装容器20の容器周縁20aの高さ寸法H2は、天板25から容器周縁20aまでの高さ寸法である。
キャップ雄ねじ66をスパウト雌ねじ42に螺合させてキャップ18を口金22側に取り付ける構成とすることにより、キャップ18の高さ寸法H1を好適に小さく抑えることができる。
キャップ18の高さ寸法H1を外装容器20の容器周縁20aの高さ寸法H2より小さくすることにより、例えば、外装容器20の容器周縁20aに外装容器20を重ねる際に、重ねた外装容器20がキャップ18に干渉することを防止できる。これにより、外装容器20を安定させた状態に重ねることができる。
【0033】
以上説明したように、内袋の取付構造10によれば、内袋50の内部52(図6参照)にスパウト14を連通した状態でスパウト14を取付金具12に螺合させた。また、取付金具12を外装容器20の口金22に取り付けた。さらに、スパウト14の抽出口46をキャップ18で塞ぐようにした。
よって、スパウト14を取付金具12で外装容器20の口金22に取り付けることができる。これにより、内袋50から内容物を取り出す際には、キャップ18を外してスパウト14の抽出口46を開けることにより、内容物を手間をかけることなく容易に取り出すことができる。
【0034】
ここで、キャップ18にGPS(Global Positioning System)機能を付与することも可能である。キャップ18にGPS機能を付与することにより、外装容器20の物流管理が可能になる。
さらに、キャップ18に、例えば、電子標識器具としてマイクロチップなどを取り付けることも可能である。マイクロチップなどに製造情報や使用情報として内容物(液体や紛体)などを記憶させることにより製造情報や使用情報の管理が可能になる。
【0035】
つぎに、内袋の取付構造10を口金22に取り付ける内袋の取付方法を図8図11に基づいて説明する。まず、内袋の取付構造10を口金22に取り付ける際に使用するスパウトキャップ70を図8図9(a)に基づいて説明する。
図8図9(a)に示すように、スパウトキャップ70は、内袋の取付構造10を口金22に取り付ける際に使用する取付治具である。スパウトキャップ70は、例えば樹脂材で形成され、スパウトキャップ雄ねじ71と、スパウトキャップ鍔部72と、取手部73とを有する。
【0036】
スパウトキャップ雄ねじ71は、スパウトキャップ70の下部において、スパウトキャップ70の軸方向へスパウト雌ねじ42(図1参照)に螺合可能に形成されている。スパウトキャップ雄ねじ71をスパウト雌ねじ42に螺合することにより、スパウトキャップ70がスパウト14に着脱自在に取り付けられる。
スパウトキャップ雄ねじ71の上端にスパウトキャップ鍔部72が円板状に形成されている。スパウトキャップ鍔部72から取手部73が上方へ立ち上げられている。取手部73は側面視矩形状に形成され、中央に開口部74が円形に貫通されている。取手部73は、両面73aが一定の厚さ寸法T1に平行に形成されている。取手部73の頂部73bには、指標76が設けられている。
【0037】
つぎに、内袋の取付構造10をスパウトキャップ70を使用して口金22に取り付ける内袋の取付方法を図9図11に基づいて説明する。
図9(a)、図9(b)は第1工程を示す。第1工程に示すように、内袋50の膨張、展開する方向を確認できる指標76(図8参照)をスパウトキャップ70に設ける。スパウト雌ねじ42(図1参照)にスパウトキャップ雄ねじ71を矢印Aの如く突き合わせる。スパウト雌ねじ42にスパウトキャップ雄ねじ71を突き合わせた状態で、スパウトキャップ雄ねじ71をスパウト雌ねじ42に矢印Bの如く螺合させる。
【0038】
スパウトキャップ鍔部72がスパウト14の上端部14aに当接してスパウトキャップ70がスパウト14に取り付けられる。
スパウトキャップ70をスパウト14に取り付けた後、指標76が50内袋の膨張、展開する方向を指す位置になるように、折り畳まれた内袋50の開口部51をスパウト14の溶着部位47に溶着する。この状態において、内袋50の内部52にスパウト14の抽出口46(図1参照)が連通される。
【0039】
図9(c)、図9(d)は第2工程を示す。第2工程に示すように、スパウト雄ねじ41に取付金具雌ねじ32(図1参照)を矢印Cの如く突き合わせる。取付金具雌ねじ32をスパウト雄ねじ41に突き合わせた状態で、取付金具雌ねじ32をスパウト雄ねじ41に矢印Dの如く螺合させる。
【0040】
図10(a)、図10(b)は第3工程を示す。第3工程に示すように、折り畳まれた内袋50を外装容器20の口金22から外装容器20の内部29に差し込む。取付金具雄ねじ31が口金22の口金雌ねじ27に突き合わされる。
この状態において、折り畳まれた内袋50を外装容器20の内部29に差し込んだ後、スパウトキャップ70の指標76(図8参照)を外装容器20の中心(概ね内袋50の中心54(図6参照))に合わせる。これにより、折り畳まれた内袋50は、膨張、展開する方向が外装容器20の中心を向いた状態に合わせられる(位置決めされる)。
スパウトキャップ70を現状の位置に保持した状態で、取付金具雄ねじ31を口金22の口金雌ねじ27に矢印Gの如く螺合させる。
【0041】
図10(c)は第4工程を示す。第4工程に示すように、スパウトキャップ70を現状の位置に継続して保持する。この状態で、取付金具鍔部33が口金22の上端22bに当接するまで取付金具雄ねじ31(図10(b)参照)を口金22の口金雌ねじ27(図10(b)参照)に矢印Gの如く螺合させる。
取付金具鍔部33が口金22の上端22bに当接することにより、取付金具12が口金22に取り付けられる。この状態において、取付金具12の嵌合凹部34がスパウト14の係止凹部44と径方向において一致していない場合、スパウトキャップ70を微調整(すなわち、回転)して、スパウト14の係止凹部44と取付金具12の嵌合凹部34とを径方向に一致させる。
具体的には、複数の係止凹部44のうちの1つの係止凹部44と、複数の嵌合凹部34のうちの1つの嵌合凹部34とを径方向に一致させる。
【0042】
図3図4に示すように、スパウト14の係止凹部44は、例えば、スパウト雄ねじ41に径方向へ等間隔をおいて4個(偶数個)形成されている。また、取付金具12の嵌合凹部34は、例えば、環状の上端部12bに周方向へ等間隔に7個(奇数個)形成されている。よって、隣接する係止凹部44間の半径方向外側の領域に嵌合凹部34をバランスよく配置できる。
すなわち、嵌合凹部34の個数を7個とすることにより、1つの嵌合凹部34が1つの係止凹部44と径方向において一致しない場合でも、例えば、他の嵌合凹部34が他の係止凹部44と径方向においてより近い位置に配置される可能性がある。よって、より近い位置に配置されている嵌合凹部34と係止凹部44とを径方向に一致させることにより、スパウトキャップ70の微調整(回転)を小さく抑えることができる。
【0043】
これにより、スパウトキャップ70を微調整した状態において、スパウトキャップ70の指標76(図8参照)を外装容器20の中心に向けた状態に保つことができる。すなわち、内袋50の膨張、展開する方向を外装容器20の中心に向けた状態に保つことができる。実施形態においては、係止凹部44を4個、嵌合凹部34を7個を形成した例について説明するが、その他の例として、係止凹部44、嵌合凹部34の個数を任意に選択してもよい。また、係止凹部44を奇数個、嵌合凹部34を偶数個としてもよい。
一方、複数の嵌合凹部34の1つが、複数の係止凹部44の1つと径方向において一致している場合、スパウトキャップ70を現状の位置(スパウトキャップ70の指標76(図8参照)を外装容器20の中心に向けた位置)に保つ。
【0044】
図10(d)は第5工程を示す。第5工程に示すように、ブレ止めリング16のリング部61を取付金具12の上端部12bに矢印Hの如く嵌合させた状態において、リング部61を取付金具鍔部33に載せる。この状態において、係止凹部44に一致している嵌合凹部34にブレ止めリング16の突部62を嵌合させるとともに、嵌合凹部34に一致している突部62の先端をスパウト14の係止凹部44に係止させる(図3図4図7も参照)。よって、取付金具12に対するスパウト14の回転が突部62で阻止される。
【0045】
このように、取付金具鍔部33にリング部61を配置することにより、嵌合凹部34に突部62を嵌合させ、係止凹部44に突部62の先端を係止させることができる。これにより、スパウト14を所定位置に手間をかけないで簡単に位置決めした状態に保持できる。すなわち、折り畳まれた内袋50は、膨張、展開する方向が外装容器20の中心に向けて配置されている。
【0046】
図11(a)は第6工程を示す。第6工程に示すように、スパウト雌ねじ42(図1参照)からスパウトキャップ雄ねじ71の螺合を解除して、スパウトキャップ70をスパウトから矢印Iの如く外す。
【0047】
図11(b)は第7工程を示す。第7工程に示すように、スパウト雌ねじ42にキャップ雄ねじ66を矢印Jの如く螺合する。キャップ雄ねじ66がスパウト雌ねじ42に螺合されることにより、キャップ18がスパウト14に当接する。スパウト14の抽出口46がキャップ雄ねじ66で塞がれ、キャップ18がスパウト14及び取付金具12を介して口金22側に取り付けられる。
この状態において、キャップ18の環状の周縁65aがリング部61の上面61bに対して僅かに隙間が開く位置に配置される。よって、ブレ止めリング16が環状の周縁65aで保持される。
ここで、キャップ雄ねじ66を螺合するスパウト雌ねじ42は、スパウトキャップ雄ねじ71を螺合する雌ねじを兼ねている。スパウト雌ねじ42をキャップ雄ねじ66及びスパウトキャップ雄ねじ71に適用することにより構成の簡素化が図れる。
【0048】
以上説明したように、折り畳まれた内袋50が溶着されたスパウト14にスパウトキャップ70を螺合させた。よって、スパウトキャップ70を利用して、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向が外装容器20の中心を向くようにスパウト14を位置決めできる。これにより、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向が外装容器20の中心を向くように、内袋50を外装容器20の内部29に手間をかけないで容易に取り付けることができる。
【0049】
さらに、スパウトキャップ70の頂部73bに指標76を設けた、よって、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向の位置を指標76で容易に確認できる。このように、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向を外装容器20の中心に指標76で合わせることにより、折り畳まれた内袋50の膨張、展開する方向を外装容器20の中心に一層容易に合わせることができる。
【0050】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、スパウトキャップ70の取手部73の頂部73bに指標76を設けたについて説明したが、これに限らないで、取手部73以外の個所に指標76を設けてもよい。その他の例として、スパウト14などの他の部材に指標76を設けてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10……内袋の取付構造
12……取付金具
14……スパウト
16……ブレ止めリング
18……キャップ
20……外装容器
20a…容器周縁(周縁)
22……口金
29……外装容器の内部
32……取付金具雌ねじ(雌ねじ)
34……嵌合凹部
41……スパウト雄ねじ(雄ねじ)
44……係止凹部
46……抽出口(注入口)
47……溶着部位
48……突条部
50……内袋
51……開口部
52……内袋の内部
61……リング部
62……突部
70……スパウトキャップ
76……指標
H1……キャップの高さ寸法
H2……容器周縁の高さ寸法
図1
図2
図3
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図11