特許第6893864号(P6893864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893864
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】位置算出装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20210614BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20210614BHJP
   B66C 23/52 20060101ALI20210614BHJP
   G01S 19/14 20100101ALN20210614BHJP
【FI】
   B66C13/46 D
   B66C13/22 Y
   B66C23/52
   !G01S19/14
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-235003(P2017-235003)
(22)【出願日】2017年12月7日
(65)【公開番号】特開2019-99357(P2019-99357A)
(43)【公開日】2019年6月24日
【審査請求日】2020年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 賢一郎
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−20257(JP,A)
【文献】 実開平1−112191(JP,U)
【文献】 実開昭62−23286(JP,U)
【文献】 特開2015−187380(JP,A)
【文献】 特開平10−152839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00−15/06
B66C 19/00−23/94
G01S 5/00−5/14;19/00−19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンのブームの先端と水中の吊り荷との距離をワイヤロープの繰出量を用いて算出する距離算出手段と、
航法信号を用いて、前記ブームの先端の位置を算出する第1位置算出手段と、
航法信号を用いて、前記ワイヤロープと水面が交わる位置を算出する第2位置算出手段と、
前記距離算出手段により算出された距離と、前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記第2位置算出手段により算出された位置とを用いて、前記吊り荷の位置を算出する吊り荷位置算出手段と
を備える位置算出装置。
【請求項2】
前記ワイヤロープに摺動自在に取り付けられた浮体と、
前記浮体に配置され航法信号を受信する受信機と
を備え、
前記第2位置算出手段は、前記受信機により受信された航法信号を用いて、前記ワイヤロープと水面が交わる位置を算出する
請求項1に記載の位置算出装置。
【請求項3】
航法信号を用いて、前記ブームの根元の位置を算出する第3位置算出手段と、
航法信号を用いて、前記クレーンを水上で支持する船舶の所定部分の位置を算出する第4位置算出手段と、
前記船舶の方位を計測する方位計測手段と、
前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記吊り荷位置算出手段により算出された位置と、前記第3位置算出手段により算出された位置と、前記第4位置算出手段により算出された位置と、前記方位計測手段により計測された方位とを用いて、前記船舶と前記吊り荷との位置関係を特定する位置関係特定手段と
を備える請求項1又は2に記載の位置算出装置。
【請求項4】
航法信号を用いて、前記ブームの根元の位置を算出する第3位置算出手段と、
前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記吊り荷位置算出手段により算出された位置と、前記第3位置算出手段により算出された位置とを用いて、前記クレーンと前記吊り荷との位置関係を特定する位置関係特定手段と
を備える請求項1又は2に記載の位置算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の吊り荷の位置を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン船により水中に吊り下げられた吊り荷の位置を特定する方法として、超音波を用いる方法が考えられる。例えば、吊り荷にトランスポンダが設置され、クレーン船に送波器と受波器アレイが設置される。超音波信号の送波から受波までに要した時間と水中音速とからトランスポンダまでの距離が算出され、受波器アレイで受波した超音波信号の位相差からトランスポンダの方位が算出される。
【0003】
別の方法として、航法衛星から送信される航法信号を利用する技術が知られている。例えば、特許文献1に記載されたクレーン船用吊り荷位置測定装置は、ジブに支持されたGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナの位置を計測するジブ側GNSS測位手段と、クレーン旋回部に固定されたGNSSアンテナの位置を計測する旋回部側GNSS測位手段と、ジブの方位を計測するジブ方位計測手段と、ジブ側GNSSアンテナの位置及びジブ方位に基づきジブの中央に位置するジブ側基準位置を算出し、旋回部側GNSSアンテナの位置、ジブ方位及び旋回中心に対する旋回部側GNSSアンテナの相対位置に基づきクレーン旋回部の旋回中心位置を算出し、ジブ側基準位置と旋回中心位置とに基づきジブの起伏角を算出し、起伏角と、ジブ側GNSSアンテナとシーブの中心との相対位置と、シーブ半径とに基づいてワイヤの繰り出し位置を算出する演算手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−20257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、超音波を用いる方法では、水中での信号検知に数十秒から数分の時間がかかる。また、吊り荷を水中に降下させたときの水の濁りや気泡の影響により計測の誤差が発生するため、濁りや気泡が或る程度減少してから計測を行うことが望ましい。このように、超音波を用いる方法では、吊り荷を水中に降下させるたびに位置の計測のための時間を確保することが必要なため、作業効率が低下してしまう。
【0006】
一方、特許文献1に記載された構成では、超音波を用いる方法と比べて短時間で位置の計測が可能であるが、吊り荷の位置をジブ先端のワイヤ繰り出し位置の直下とみなすことから、吊り荷が水流に押されてワイヤ繰り出し位置の直下でない位置に移動した場合には吊り荷の位置に誤差が生じてしまう。
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は、強い水流が生じる環境下においても水中の吊り荷の位置を高精度且つ短時間で計測する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、クレーンのブームの先端と水中の吊り荷との距離をワイヤロープの繰出量を用いて算出する距離算出手段と、航法信号を用いて、前記ブームの先端の位置を算出する第1位置算出手段と、航法信号を用いて、前記ワイヤロープと水面が交わる位置を算出する第2位置算出手段と、前記距離算出手段により算出された距離と、前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記第2位置算出手段により算出された位置とを用いて、前記吊り荷の位置を算出する吊り荷位置算出手段とを備える位置算出装置を第1の態様として提案する。
【0009】
上記の第1の態様にかかる位置算出装置において、前記ワイヤロープに摺動自在に取り付けられた浮体と、前記浮体に配置され航法信号を受信する受信機とを備え、前記第2位置算出手段は、前記受信機により受信された航法信号を用いて、前記ワイヤロープと水面が交わる位置を算出する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
上記の第1又は第2の態様にかかる位置算出装置において、航法信号を用いて、前記ブームの根元の位置を算出する第3位置算出手段と、航法信号を用いて、前記クレーンを水上で支持する船舶の所定部分の位置を算出する第4位置算出手段と、前記船舶の方位を計測する方位計測手段と、前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記吊り荷位置算出手段により算出された位置と、前記第3位置算出手段により算出された位置と、前記第4位置算出手段により算出された位置と、前記方位計測手段により計測された方位とを用いて、前記船舶と前記吊り荷との位置関係を特定する位置関係特定手段とを備える、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0011】
上記の第1又は第2の態様にかかる位置算出装置において、航法信号を用いて、前記ブームの根元の位置を算出する第3位置算出手段と、前記第1位置算出手段により算出された位置と、前記吊り荷位置算出手段により算出された位置と、前記第3位置算出手段により算出された位置とを用いて、前記クレーンと前記吊り荷との位置関係を特定する位置関係特定手段とを備える、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、強い水流が生じる環境下においても水中の吊り荷の位置を高精度且つ短時間で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の全体を示す図。
図2】浮体22と第2受信機32を示す図。
図3】位置算出装置10のハードウェア構成を示すブロック図。
図4】位置算出装置10の機能構成を示すブロック図。
図5】位置算出処理の流れ図。
図6】本実施形態で想定する吊り荷9の状態を示す図。
図7】位置算出処理の結果の表示例を示す図。
図8】位置算出処理の結果の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
図1は、実施形態の全体を示す図である。作業船1(船舶の一例)は、船体2にクレーン3を備えて構成される。クレーン3は、旋回体4、ブーム5および巻取装置6を備える。旋回体4は、船体2に支持され、旋回動作を行う。ブーム5の一端は、旋回体4に設けられた水平軸51に支持され、水平軸51を支点として起伏動作を行う。ワイヤロープ7は、一端が巻取装置6に巻き付けられ、ブーム5の先端に設けられた滑車8に掛け回される。吊り荷9は、例えばグラブバケットであり、滑車8から垂下されたワイヤロープ7によって吊り下げられる。巻取装置6を用いたワイヤロープ7の巻き取りと繰り出しにより、吊り荷9の昇降が行われる。巻取装置6は、ワイヤロープ7の繰出量を計測し、計測された繰出量を示す繰出量データを出力する。
【0015】
旋回体4には、位置算出装置10と操縦装置20が備えられている。操縦装置20は、旋回体4とブーム5を操縦する機能を備える。第1受信機31、第2受信機32、第3受信機33、第4受信機34は、航法衛星から送信される航法信号を受信する。第1受信機31は、ブーム5の先端に設けられる。第1受信機31は、ブーム5の先端において、滑車8の外縁におけるワイヤロープ7が垂下される位置(以下、垂下位置という。)の近傍に設けられることが望ましい。
【0016】
図2は、浮体22と第2受信機32を示す図である。浮体22は、ワイヤロープ7が通される貫通孔23を有し、ワイヤロープ7に摺動自在に取り付けられる。図示した例は、浮体22の形状が環状である例であるが、浮体22の形状はいかなる形状でもよい。第2受信機32は、浮体22の上部に配置され、ワイヤロープ7と水面が交わる位置で航法信号を受信する。第3受信機33は、ブーム5の根元の位置、例えば、旋回体4におけるブーム5を支持する水平軸51の近傍に設けられる。第4受信機34は、船体2に設けられる。
【0017】
方位計21は、船体2に設けられ、船体2の方位を計測する。方位計21は、例えば船体2の長軸方向に並べて配置された2個の受信機を備え、各々の受信機が受信した航法信号を用いて各々の受信機の位置を計測し、2個の受信機の位置を通る直線の方位を求める。この方位は、船体2の方位を表す。方位計21は、この方位を表す方位データを出力する。
【0018】
図3は、位置算出装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。位置算出装置10のハードウェア構成は一般的なコンピュータのハードウェアを含み、演算部11、記憶部12、入出力I/F(Interface)部13およびUI(User Interface)部14を備える。
【0019】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブ等の記憶装置を備え、プログラムやデータを記憶する。演算部11は、プロセッサとデータ処理におけるワークエリアとして用いられるメモリを備え、記憶部12に記憶されたプログラムに従い各種データ処理を実行する。
【0020】
入出力I/F部13には、第1受信機31、第2受信機32、第3受信機33、第4受信機34、巻取装置6、方位計21が接続される。演算部11は、入出力I/F部13を介して、第1受信機31、第2受信機32、第3受信機33、第4受信機34から航法信号を受信し、巻取装置6から繰出量データを受信し、方位計21から方位データを受信する。
【0021】
UI部14は、表示部と操作部を備え、表示部が各種情報を表示し、ユーザによる操作を操作部が受け付ける。表示部は、例えば液晶パネルである。操作部は、例えばキーボードとポインティングデバイスである。なお、UI部14が位置算出装置10の本体から分離された装置として構成され、入出力I/F部13にUI部14が接続されてもよい。
【0022】
図4は、位置算出装置10の機能構成を示すブロック図である。図5は、位置算出処理の流れ図である。記憶部12には位置算出処理の手順を記述したプログラムが記憶されており、演算部11がこのプログラムを実行することにより、図4に示す各機能が実現される。
【0023】
最初に、距離算出手段100が、クレーン3のブーム5の先端と水中の吊り荷9との距離L1をワイヤロープ7の繰出量を用いて算出する(ステップS01)。具体的には、以下のとおりである。
【0024】
図6は、本実施形態で想定する吊り荷9の状態を示す図である。吊り荷9が水流に押されることにより、ワイヤロープ7の垂下位置(滑車8の外縁におけるワイヤロープ7が垂下される位置)の直下でない位置に移動させられた状態を想定する。距離L1は、ワイヤロープ7の滑車8から垂下された部分の長さ(以下、垂下量という。)に相当する。例えば、吊り荷9を空中に吊り下げた状態を初期状態として、初期状態における垂下量が既知であるとする。巻取装置6は、初期状態におけるワイヤロープ7の繰出量を示す繰出量データを出力する。ワイヤロープ7を繰り出して吊り荷9を水中に降下させると、巻取装置6は、吊り荷9を降下させた状態におけるワイヤロープ7の繰出量を示す繰出量データを出力する。距離算出手段100は、初期状態に対する繰出量の増分を算出し、初期状態における垂下量に繰出量の増分を加算することにより、距離L1が算出される。
【0025】
次に、第1位置算出手段301が、第1受信機31により受信された航法信号を用いて、ブーム5の先端の位置を算出する(ステップS02)。本実施形態では、ブーム5の先端において第1受信機31がワイヤロープ7の垂下位置の近傍に設けられており、第1受信機31により受信された航法信号から算出された位置Aの座標(X1,Y1,Z1)をブーム5の先端の位置の座標として用いる。座標系はどのように定められてもよいが、例えば、東西方向をX軸とし、南北方向をY軸とし、鉛直方向をZ軸としてもよい。
【0026】
次に、第2位置算出手段302が、第2受信機32により受信された航法信号を用いて、ワイヤロープ7と水面が交わる位置を算出する(ステップS03)。ワイヤロープ7と水面が交わる位置Bの座標を(X2,Y2,Z2)とする。
【0027】
次に、吊り荷位置算出手段200が、距離算出手段100により算出された距離と、第1位置算出手段301により算出された位置と、第2位置算出手段302により算出された位置とを用いて、吊り荷9の位置を算出する(ステップS04)。具体的には、垂下されたワイヤロープ7と吊り荷9とが連結された位置Tを吊り荷9の位置とする。垂下位置からワイヤロープ7と水面が交わる位置までの距離L2は、次式で求められる。
【数1】
【0028】
吊り荷9の位置Tの座標を(X,Y,Z)とすると次式が成り立つ。
(X−X1)/(X2−X1)=L1/L2
(Y−Y1)/(Y2−Y1)=L1/L2
(Z−Z1)/(Z2−Z1)=L1/L2
よって、X、Y、Zは次式で求められる。
X=(X2−X1)L1/L2+X1
Y=(Y2−Y1)L1/L2+Y1
Z=(Z2−Z1)L1/L2+Z1
【0029】
次に、第3位置算出手段303が、第3受信機33により受信された航法信号を用いて、ブーム5の根元の位置Cの座標(X3,Y3,Z3)を算出する。第4位置算出手段304は、第4受信機34により受信された航法信号を用いて、クレーン3を水上で支持する船体2の所定部分の位置Dの座標(X4,Y4,Z4)を算出する。方位計測手段400は、前述の方位計21であり、船体2の方位を計測し、計測された方位を示す方位データを出力する(ステップS05)。
【0030】
次に、位置関係特定手段500が、第1位置算出手段301により算出された位置と、吊り荷位置算出手段200により算出された位置と、第3位置算出手段303により算出された位置と、第4位置算出手段304により算出された位置と、方位計測手段400により計測された方位とを用いて、船体2と吊り荷9との位置関係を特定する(ステップS06)。具体的には、第1位置算出手段301により算出されたブーム5の先端の位置と、第3位置算出手段303により算出されたブーム5の根元の位置とから、ブーム5の方位が算出される。算出されたブーム5の方位と、方位計測手段400により計測された船体2の方位とから、船体2に対するブーム5の旋回角度が算出される。
【0031】
図7は、位置算出処理の結果の表示例を示す図である。左側の画面には、作業船1の上方に視点を置いて、船体2、旋回体4、ブーム5、ワイヤロープ7、吊り荷9が表示され、位置関係特定手段500により特定された船体2と吊り荷9との位置関係が表示される。船体2の中心線が画面の上下方向に一致するように船体2が配置され、位置関係特定手段500により算出された旋回角度だけ旋回体4が船体2に対して旋回された様子を示している。右上の画面には、吊り荷9の目標位置と吊り荷位置算出手段200により算出された吊り荷9の位置との位置関係が図示されている。右下の画面には、吊り荷9と水底との距離が図示されている。水底の標高は、事前の調査により既知である。
【0032】
本実施形態によれば、水流の影響により吊り荷9がブーム5の先端のワイヤロープ7の垂下位置の直下でない位置に移動した場合であっても吊り荷9の位置が高精度で計測される。また、本実施形態では、航法衛星から送信される航法信号を用いて位置を算出するから、超音波を用いる方法と比べて短時間で吊り荷9の位置が算出される。また、本実施形態では、ブーム5の先端の位置とブーム5の根元の位置が算出され、これらの位置からブーム5の姿勢(旋回角度、起伏角度)が算出されるから、ブーム長が可変式のクレーン船であっても簡単にブーム5の姿勢が算出される。
【0033】
上記の実施形態を次のように変形してもよい。また、複数の変形例を組み合わせてもよい。
【0034】
[変形例1]
位置関係特定手段500が、第1位置算出手段301により算出された位置と、吊り荷位置算出手段200により算出された位置と、第3位置算出手段303により算出された位置とを用いて、クレーン3と吊り荷9との位置関係を特定するように構成されてもよい。この構成においては、上記実施形態における第4位置算出手段304と方位計測手段400は必須ではない。
【0035】
図8は、本変形例にかかる位置算出処理の結果の表示例を示す図である。左側の画面には、旋回体4、ブーム5、ワイヤロープ7、吊り荷9が表示され、位置関係特定手段500により特定されたクレーン3と吊り荷9との位置関係が表示される。ブーム5の長手方向が画面の上下方向に一致するように各部が配置されている。右上の画面と右下の画面の内容は、図7と同じである。
【0036】
[変形例2]
上記の実施形態では、ブーム5の方位と船体2の方位とから船体2に対するブーム5の旋回角度が算出され、作業船1の上方に視点を置いた各部の位置関係が表示される例(図7の左の図)を示したが、ブーム5の先端の位置とブーム5の根元の位置とからブーム5の起伏角度が算出され、図6に示すように作業船1の側方に視点を置いた各部の位置関係が表示されるように構成されてもよい。
【0037】
[変形例3]
上記の実施形態では、第1受信機31により受信された航法信号から算出された位置Aの座標(X1,Y1,Z1)をブーム5の先端の座標として用いたが、第1受信機31と垂下位置との位置関係に基づいて位置Aの座標を補正し、補正した座標をブーム5の先端の座標として用いてもよい。このとき、第1受信機31と垂下位置との位置関係はブーム5の起伏角度によって変化するから、起伏角度を用いて位置Aの座標を補正してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…作業船、2…船体、3…クレーン、4…旋回体、5…ブーム、6…巻取装置、7…ワイヤロープ、8…滑車、9…吊り荷、10…位置算出装置、20…操縦装置、21…方位計、31…第1受信機、32…第2受信機、33…第3受信機、34…第4受信機、22…浮体、32…第2受信機、23…貫通孔、11…演算部、12…記憶部、13…入出力I/F部、14…UI部、100…距離算出手段、200…吊り荷位置算出手段、301…第1位置算出手段、302…第2位置算出手段、303…第3位置算出手段、304…第4位置算出手段、400…方位計測手段、500…位置関係特定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8