【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は請求項1記載の方法または請求項9記載の医学−光学式観察装置によって解決される。従属請求項は本発明の有利な実施形を含んでいる。
【0011】
本発明では、医学−光学式表示システムが少なくとも1つの画像データセットを物体画像にデータオーバーレイするためのデータオーバーレイユニットを備えている、医学−光学式観察装置によって得られる観察される物体の物体画像を表示するための医学−光学式表示システムを作動させるための方法が提供される。この方法は、
物体画像内で小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲を決定するステップと、
小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲内で少なくとも1つの画像データセットをオーバーレイするステップを有する。
【0012】
それによって、本発明は、情報の損失を伴う画像内容の不所望な重なりを回避するために、新しい方策を選択する。
【0013】
その際、物体画像は、右側の部分画像と左側の部分画像から構成された立体像であってもよい。画像データセットは左側の部分画像または右側の部分画像にオーバーレイされる。しかし、画像データセットを右側の部分画像と左側の部分画像の両方にオーバーレイすることもできる。特に、画像データセットは、立体感を与える画像データセットを共に生じる右側の部分画像と左側の部分画像を含むことができる。画像データセットによってオーバーレイされる画像情報は、立体感を与える画像情報を含んでいてもよい。しかし、物体画像は関連する物体範囲の周囲を示す周囲画像であってもよい。この周囲画像には画像データセットがオーバーレイされる。
【0014】
医学−光学式観察装置は基本的には、例えば手術用顕微鏡、内視鏡、内部顕微鏡等のような、物体画像を発生するすべての医学的な装置である。
【0015】
医学−光学式表示システムは、医学−光学式観察装置によって撮影された物体画像を表示するのに適したすべてのシステムである。例は、医学−光学式観察装置から物体画像を受信するモニタや頭取付けディスプレイあるいは手術用顕微鏡、内視鏡または内部顕微鏡の、少なくとも1個の接眼レンズを含む部分である。
【0016】
少なくとも1つの画像データセットは例えば機器の状態情報または患者データを含み、電子形式で存在する。画像データセットは例えばディスプレイまたは他の適当な変換ユニットによって光学データに変換される。この光学データは、物体画像の光線経路に重ねるために、医学−光学式表示システムの光線経路内にオーバーレイされ、例えば映し込まれる。しかし、デジタル形式で、デジタル物体画像にデジタルで重ねることもできる。小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲の決定がアルゴリズムによって達成されるかあるいは例えば神経網、特に多層の神経網に基づいて、学習可能なシステムが使用される。
【0017】
実施形によれば、小さな活動度を有する範囲を決定するために、次のステップが実施される。
個々の物体画像の時間的なシーケンスを示すソース画像データセットを検出するステップと、
ソース画像データセットの画像点の時間的な可変性を決定するステップと、この場合画像点はソース画像データセットのピクセルまたはピクセルからなるピクセルグループであってもよい、
時間的な可変性を設定された可変性限界値と比較するステップと、
小さな時間的可変性を有するまとまりのある少なくとも1つの領域を発生するために、決定された時間的可変性が可変性限界値を下回る画像点を集合するステップと、
小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として、小さな時間的可変性を有するまとまりのある少なくとも1つの領域を定めるステップ。
【0018】
すなわち、例えば物体を撮影したビデオ流れからのビデオシーケンスの形式の、個々の物体画像の時間的なシーケンスが検出される。その際、電子形式のソース画像データセットが存在する。時間的に連続する物体画像内の画像点の時間的な可変性と、設定された可変性限界値との比較に基づいて、画像データセットのオーバーレイに適した、画像点の小さな活動度、すなわち小さな可変性を有する少なくとも1つの範囲が決定される。この範囲内で、画像データセットがオーバーレイされる。複数の画像データセットが存在するときには、この画像データセットは、小さな活動度を有する同じ範囲の異なる区間にオーバーレイされるかあるいは小さな活動度を有する少なくとも2つの範囲が存在する場合には小さな活動度を有する異なる範囲にオーバーレイされる。
【0019】
小さな時間的可変性と、画像データセットのオーバーレイのための適当な大きさとを有するまとまりのある十分に大きな領域を得るために、画像処理によって、小さな時間的可変性を有するまとまりのある個々の領域が、小さな時間的可変性を有するまとまりのある大きな領域に統合され、小さな時間的可変性を有するまとまりのある大きな領域が小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として定められると有利である。
【0020】
画像データセットのオーバーレイが行われる、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲内の場所の決定は、画像データセット内に示された画像内容の大きさおよび/または形を考慮して行うことができる。これにより、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲が、画像データセットをオーバーレイするために十分であるかどうかあるいは場合によっては小さな活動度と小さな時間的可変性を有する個々の範囲を、小さな活動度を有する少なくとも1つの大きな範囲に統合しなければならないかどうかを定めることができる。
【0021】
本発明に係る方法の発展形態では、高い活動度が予想されるソース画像データセット内の所定の範囲を最初から、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として排除するために、観察物体の深さマップを用いることができる。これに加えてまたはその代わりに、パターン認識に基づいて、機器ディスプレイまたは視野で結像されるソース画像データセット内の範囲が認識され、最初から小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として排除される。
【0022】
医学−光学式観察装置によって得られた物体画像を表示するための本発明に係る医学−光学式表示システムは、
少なくとも1つの画像データセットを物体画像にオーバーレイするように形成されたデータオーバーレイユニットと、
物体画像内で小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲を決定するように形成された範囲決定ユニットとを備えている。
【0023】
データオーバーレイユニットは、小さな活動度を有する物体画像(OB)の少なくとも1つの範囲内に少なくとも1つの画像データセットをオーバーレイするように形成されている。
【0024】
本発明に係る医学−光学式観察装置は、本発明に係る方法の実施に適合している。
【0025】
医学−光学式表示システムはさらに、物体を観察するためおよび観察される物体の画像を物体画像として撮影するための医学−光学式観察装置を含んでいる。
【0026】
医学−光学式表示システムの範囲決定ユニットは特に、
個々の物体画像の時間的なシーケンスを示すソース画像データセットを読み込むための読み込みユニットと、
ソース画像データセットの画像点の時間的な可変性を決定するための評価ユニットと、この場合画像点はソース画像データセットのピクセルまたはピクセルからなるピクセルグループであってもよく、
時間的な可変性を設定された可変性限界値と比較するための比較ユニットと、
小さな時間的可変性を有する少なくとも1つのまとまりのある領域を発生するために、決定された時間的可変性が可変性限界値を下回る画像点を集合させるためのクラスタユニットと、
小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として、小さな時間的可変性を有する少なくとも1つのまとまりのある領域を定めるための決定ユニットとを含んでいる。
【0027】
小さな時間的可変性と適当な大きさを有するまとまりのある領域を、画像データセットのオーバーレイのために得るために、画像処理ユニットが設けられ、この画像処理ユニットは形態学的画像処理によって、小さな時間的可変性を有するまとまりのある個々の領域を、小さな時間的可変性を有するまとまりのある大きな領域に統合する。決定ユニットは、小さな時間的可変性を有するまとまりのある大きな領域を、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として定めるように形成されている。
【0028】
本発明に係る医学−光学式表示システムでは、画像データセットのデータオーバーレイのための装置が、小さな活動度を有する少なくとも1つ範囲内で、画像データセットのオーバーレイを行う場所を決定するために、画像データセット内に示された画像内容の大きさおよび/または形を考慮するように形成されている。これによって、例えば小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲が、画像データセットの画像内容をオーバーレイするために十分であるかどうかあるいは場合によっては小さな活動度を有する個々の範囲を、小さな活動度を有する大きな範囲に統合しなければならないかどうかを定めることができる。
【0029】
本発明に係る医学−光学式表示システムでは、範囲決定ユニットが予備選択装置を任意選択的に備えることができ、この予備選択装置は、観察物体の深さマップに基づいて、高い活動度が予想されるソース画像データセット内の所定の範囲を最初から、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として排除し、および/またはパターン認識に基づいて、機器ディスプレイまたは視野で結像されるソース画像データセット内の範囲を最初から、小さな活動度を有する少なくとも1つの範囲として排除する。
【0030】
さらに、プログラムコードがコンピュータ内に装入され、および/またはコンピュータ内で実施されるときに、本発明に係る方法を実施するためのコンピュータ化可能な命令を有するプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品が、本発明に属する。
【0031】
本発明の他の特徴、特性および効果は、添付の図を参照した、実施の形態の次の説明から明らかになる。