【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、弦楽器、特にヴァイオリンまたはヴィオラに対して、支持装置を取り付けるための本発明のアダプタによって実現される。アダプタは、弦楽器のテールピースボタンを包囲する領域を有する第1の部品と、第2の部品と、接続装置とを備える。アダプタは、テールピースボタンを包囲する第1の部品の領域がテールピースボタンと少なくとも断面的に固定接触するように、第1の部品と第2の部品が配設されるとともに接続装置によって接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のアダプタは、支持装置と弦楽器との間に機械的な接続を確立する。アダプタと楽器の接続は、弦楽器のテールピースボタンに取り付けることで確立されている。テールピースボタンは、エンドボタンとも称され、テールピースのテールガットループを受容し、弦の力を楽器の本体に送り、楽器の本体にしっかり接着された中実のエンドブロックにしっかりと固定されて着座している。上記のようにエンドボタンを配置すれば、楽器のサウンドボードには影響を与えないため、サウンドパターン、サウンドスペクトル、および音量が損なわれることはない。したがって、アダプタのテールピースボタンへの取り付けは、ある意味、静的強度において有利である。なぜなら、ヴァイオリンが適切に使用されていれば、水平引張力は、いわゆるテールガットの垂直張力によって固定され、エンドボタンに対しては作用しないからである。また、サウンドボードの荷重を低減され、その結果、木材やヘルムホルツ本体のひび割れが防止される。支持用付属品を使用することによっても、機械的影響が低減され、その結果、仕上げの磨耗および損傷が防止される。もう一つは、エンドボタンは、その位置から、サウンドボードに影響を与えることがないため、エンドボタンへの取り付けにより、楽器の音や音量を損なうことがない。
【0008】
接続は、接続装置によって接続されるアダプタの2つの部品によって行われる。2つの部品を接続すると、第1の部品の領域は、テールピースボタンを固定状態で包囲し、それによって機械的な接続を形成する。
【0009】
アダプタは、別個の支持装置を(キャリアモジュールを介して)取り付けることができるコネクタデバイスを有していてもよい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、アダプタは、弦楽器に対してポジティブロック方式で取り付けられるように設計されており、第1の部品と第2の部品とは、テールピースボタンと接触している。
【0011】
接続は、テールピースボタンを介して、アダプタと楽器との両方によってそれらの間で確立されるので、静的特性および機械的特性に関して上記の利点をもたらし、音質や音量を全く損なうことがない。ポジティブロック方式の接続は、部品の1つを接触させることによって、または両方の部品を結合して接触させることにより達成することができる。この点に関しては、テールピースボタンの両(反対)側、例えば、上および下から、または左右からの接触を確立することが考えられる。
【0012】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも第1の部品および/または第2の部品は、弦楽器の背面または頂部と接触する。この関連で、それぞれの他の部品は、上述のようにテールピースボタンと接触しており、少なくともその一部を包含している。このタイプの接続では、エンドボタンでの位置決めに加えて、楽器の上側または下側にアダプタをさらに位置決めする。上側の位置決めは、好ましくは、楽器の下側サドル上、および下側サドル/上縁の領域の、エンドブロックの上方の頂部領域で行うのがよい。したがって、アダプタがエンドボタンを中心として回転する可能性を効果的に防止することができる。ヴァイオリンへのアダプタの取り付けは、レスト部品と、(接続装置で接続された)テールピースボタンと接触する部品とによって生成されるクランプ作用を介して行うこともできる。
【0013】
本発明の接続装置は、第1の部品と第2の部品との間に本質的に剛性の接続を形成する。
【0014】
剛性の接続は、例えば、テールピースボタンを包囲するか、または係合させることにより、アダプタと楽器との間の安定した安全な接続を確立するために必要である。これは、楽器と使用者との間で媒介されない直接の力の伝達と移動につながり、楽器を自由に使用できるようにすることを狙いとしている。この点に関して、例えば、ねじ止め、ラッチ、クランプ、ウェッジ等考えられる全ての方法を使用してアダプタの2つの部品を接続することができる。特に、アダプタの本発明の接続装置は、少なくとも1つのねじ結合を有することが好ましい。その結果、一方では、2つの部品を、互いに対して正確に配置することができ、他方では、部品を楽器の部材へ永久的に固定することができる。2つの部品間の距離は、各ヴァイオリンまたは各テールピースボタンに対して正確に調整することができる。
【0015】
本発明のアダプタの有利な実施形態では、第1の部品がベースと、ベースに形成された円形部の形態の領域を備え、前記円形部の半径はテールピースボタンの半径に相当する。円形領域は、テールピースボタンに適合された溝を有し、後者が溝に係合する、またはその逆となってもよい。これにより、テールピースボタンが、第1の部品上にぴったりと安定して載置することが可能となり、アダプタの部分上のいかなる遊びも効果的に防止することができ、したがって、楽器の使用を妨げるような動きの誘発を効果的に防止することができる。
【0016】
第1の部品は、好ましい実施形態では、接続装置に接続するための少なくとも第1の取り付け部および/または接続装置に接続するための第2の取り付け部を有する。
【0017】
第1の部品の取り付け部は、レセプタクル、孔、凹部等のような本発明の接続装置に接続するための対応する部材を有する。
【0018】
従って、本発明の特に有利な実施形態において、第1の取り付け部および/または第2の取り付け部はそれぞれ、接続装置を受容するための内ねじを有する少なくとも1本の通路を有していてもよい。
【0019】
対応するカウンタねじを有する接続装置を使用することによって、例えばねじの形態での、第1の部品の目標配置およびその後の固定および確実なロックを達成することができる。
【0020】
本発明のアダプタの更なる好ましい実施形態では、第1の部品は実質的にU字形である。
【0021】
U字形は、テールピースボタンの領域を収容し、遊びを防止するために使用される。
【0022】
好ましくは、第2の部品は、弦楽器の頂部または背面上に載置されるブラケットのように設計される。
【0023】
第2の部品のブラケットまたはレスト部分は、弦楽器の上側または下側に載置される。上側に位置決めする場合には、楽器の下側サドル上および下側サドル/上縁の間の、エンドブロックの上方の頂部領域とするのが好ましい。上側と下側の位置決めを第1の部品の領域上のエンドボタンの載置とともに行うと、アダプタが安定的に位置決めされる。
【0024】
アダプタを楽器にしっかりと固定するために、第2の部品に対する第1の部品の一定の張力は、それに対応する接続装置の調整によって生成することができる。
【0025】
特に有利な実施形態では、第2の部品は、接続装置に接続するための第3および/または第4の取り付け部を有する。
【0026】
レスト部分は、第3の取り付け部と第4の取り付け部とに接続されている。第3および第4の取り付け部に関しては、これに対応して第1および第2の取り付け部に関する上記の考慮事項が適用される。これらの部分は、例えば、レセプタクル、穴、凹部等の本発明の接続装置に接続するための部材を有する。レスト部分は、弦楽器の上側または下側を支持する。
【0027】
第3の取り付け部と第4の取り付け部はそれぞれ、接続装置を収容するための内ねじを備えた少なくとも1本の通路を有する。
【0028】
この点に関して、第1および第2の取り付け部についての説明が状況に応じて適用されるので、例えばねじの形態でのカウンタねじにより、第2の部品への狙い通りの配置、固定、および確実なロックを達成することができる。
【0029】
本発明のアダプタの好ましい実施形態では、第2の部品は、弦楽器のテールピースボタンと接触する領域を有し、第1の部品と第2の部品は、接続装置によって第2の部品の領域がテールピースボタンと固定的に接触するように配置され、連結されている。
【0030】
両方の部品は、テールピースボタンとの接触を可能にする領域を有し、第1および第2の部品の領域は、固定的接触状態にある。通常、テールピースボタンの調整は、例えば、上から、および下からの2つの側面から行う。接続部材を使用することにより、2つの部品をエンドボタンに対して対向させて配置することが可能となり、距離を調整して固定することができる。2つの部品間のテールピースボタンの接触により、アダプタと楽器との間に遊びのない接続が確立する。
【0031】
好ましい実施形態では、本発明のアダプタの第2の部品は、弦楽器のテールピースボタンの少なくとも一部を包囲する領域を有し、第1の部品と第2の部品は、接続装置によって、テールピースボタンを包囲する第2の部品の第2の領域がテールピースボタンと固定的に接触するように、配置され、接続される。
【0032】
テールピースボタンと接触、または包囲する第1の部品に加えて、第2の部品の領域を包囲していることにより、アダプタと楽器との間の安定した遊びのない接続を可能にする。また、エンドボタンは、2つの側面から、例えば、上から、下から、あるいは左右から、両方の部品によって包囲されることも可能である。後者の場合、部品はテールピースボタンの左側と右側に配置される。
【0033】
本発明のさらになる実施形態では、アダプタは上、中央、下部分を有し、上部分は弦楽器の頂部に載置されるように構成され、下部分は弦楽器の背面に載置され、中央部分は上部分と下部分とを連結するようになっている。
【0034】
アダプタは、モノリシックであっても、上記の実施形態に従ってインラインに、上述の2つ以上の部品から構成されていてもよく、あるいは個々の部分が個々の部品から構成されていてもよい。
【0035】
アダプタの下部分は、楽器の背面に配置されることが好ましい。中央部分は、テールピースボタン用の凹部を有していてもよい。この点に関して、テールピースボタンは、受容部材とテールピースボタンとの間で接触、もしくは、機械的な接続が確立されていない。また、上記した凹部以外にも、接触せずにテールピースボタンを包囲するための他の形状のアダプタも考えられる。
【0036】
上部分は、楽器の頂部にアダプタを載置する役目を果たす。好ましくは、アダプタは、下側サドル上および楽器のエンドブロックより上の頂部領域の下側サドル/上縁の領域で載置する。これを行うための上部分の取り付けと形状に関しては、いくつか考えられる方法がある。頂部への取り付けは、クランプ、ラッチ、ポジティブロック、または同様の手段によって行うことができる。接触面の形状は、例えば、アダプタの幅全体にわたって、または、例えば、適切なフックの助けを借りて、単に点状に延びるように構成することができる。これにより、上部分を連続部品として設計する必要がないことが明らかになる。連続設計の場合、テールピースボタンのために凹んだ中央部分の領域は、上部分で完成させることができる。しかし、U字形の凹部は、上方に開いたままにすることも可能であり、上部分は、2つのブラケットまたはフックによって支持するようにすることもできる。
【0037】
マルチピースの実施形態の場合、アダプタは接続装置を有し、これにより、接続装置によって、下部分が弦楽器の頂部で背面および上部分に接触するように個々の部分が配置され、接続される。上述の実施形態によれば、ねじ込み、ロック、クランプ、ウェッジ等のような、アダプタの部分を接続するために考えられる全ての方法は、可能な接続装置であると考えられる。特に、アダプタの本発明の接続装置は、少なくとも1つのねじ結合を有することが好ましい。その結果、アダプタの各部分の正確な配置を互いに対して調整することができる一方、他方でアダプタを楽器に永久的かつ個別に固定することも可能である。本発明のアダプタは、上部分が取り付け部材として設計されていることによって特別な実施形態で特徴付けられ、ここで、その部材は、弦楽器のテールピースの下部領域を少なくとも部分的に包囲するために、丸みを帯びたE字形を有する。
【0038】
特に、上部分はブラケットのような設計であってもよく、ブラケットの中央部は中央部分に取り付けられ、中央部分から延びる2本のアームは中央部分の平面からヴァイオリンの頂部に(特にヴァイオリン本体の頂部のエッジウェブ上にも)延びて、クランプ効果を生じさせるか、またはポジティブロック方式でヴァイオリン本体に取り付けられる。
【0039】
一つには、取り付け部材の輪郭が楽器の頂部で支持体として働く。取り付け部材は、楽器の頂部のリブの湾曲に適合する丸みを帯びた外形を有することができ、従って安定した接続を形成することができる。さらに、ブラケット形状または丸みを帯びたE形状は、テールピースの下端を包囲する目的を果たす。したがって、アダプタを容易に調整してヴァイオリン本体に取り付けることができる。
【0040】
本発明のキャリアモジュールは、例えばネック部の形態で、本発明のアダプタまたは本発明のアダプタの部品のいずれかと共に(モノリシックに)構成することができる。別の実施形態では、アダプタは、別個に構成されたキャリアモジュール(取り外し可能)が、例えば、プラグイン/ロック接続によって取り付けられ得る1つ以上のコネクタを有していてもよい。
【0041】
また、上記のようにアダプタに接続されたキャリアモジュールを用いて本発明により目的を達成することができるので、高さを調整することが可能となり、支持部材の配置に適したものとすることができる。
【0042】
キャリアモジュールは、ユーザの胸部、顎、肩領域の支持部材を収容する一方、他方で首の個々の長さに適応することができる。キャリアモジュールは、ねじ込み、ラッチ、クランプ等の適切な接続方法によってアダプタに取り付けることができる。
【0043】
さらに、キャリアモジュールは、好ましくは、ユーザの個々の首の長さに適合するように、高さ調節可能である。キャリアモジュールは、例えば、2つの部分で構成され、そのうちの一つは、もう一つの部分の線形ガイドによって高さ調節可能である。所望の高さは、ばね係止機構によって調整され、ロックされる。個々の高さは、例えば、横ねじで固定される。
【0044】
顎、胸部、肩に載置するためのよく知られた部材は、個々の身体的な予測のつかない物理的な変化に適応できるようにするために適切なパッドを備えた支持部材として機能することができる。
【0045】
また、本発明は、ユーザの首/顎/肩領域に対して配置される少なくとも1つの支持部材を含み、前記支持部材が上記のようなアダプタに接続された弦楽器の支持装置を開示する。
【0046】
本発明の支持部材は、顎、胸部、肩、および胸顎角の個々の体形に関して、保持機能および支持機能を提供し、音楽家に適応する可能性を提供する役割を果たす。顎および胸部/肩領域の支持に関して、支持部材は、ユーザの皮膚および下側の筋肉を保護し、過剰な圧力から保護するためにパッドまたは弾性材料を有する。胸部の支持と肩の支持は、個々の体形に合わせて調整することができる。