特許第6893977号(P6893977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6893977
(24)【登録日】2021年6月4日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】弦楽器の支持装置用のアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G10G 5/00 20060101AFI20210614BHJP
   G10D 3/18 20200101ALI20210614BHJP
【FI】
   G10G5/00
   G10D3/18 110
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-516053(P2019-516053)
(86)(22)【出願日】2016年6月1日
(65)【公表番号】特表2019-517686(P2019-517686A)
(43)【公表日】2019年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2016062388
(87)【国際公開番号】WO2017207047
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2019年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】518428842
【氏名又は名称】モリナ イザベル
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴイナー ミチャエル
【審査官】 中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05341714(US,A)
【文献】 米国特許第06667430(US,B1)
【文献】 独国特許発明第00836591(DE,C1)
【文献】 独国特許発明第03216759(DE,C1)
【文献】 特表2011−514554(JP,A)
【文献】 実開昭53−087114(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第19717338(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 5/00
G10D 1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦楽器、特にヴァイオリンまたはヴィオラ用の支持装置(10)を取り付けるためのアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)であって、
前記弦楽器のテールピースボタン(8)を少なくとも部分的に包囲する領域を有する第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)と、
第2の部品(12、23、32、42、52、62、72)と、
接続装置と、を備え、
前記第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)と前記第2の部品(12、23、32、42、52、62、72)は前記接続装置によって配置及び接続され、前記テールピースボタン(8)を包囲する前記第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)の前記領域(113、313、413、513、611、621、713)は、少なくとも部分的に前記テールピースボタン(8)と固定接触し、
前記アダプタ(3、6、7)は、弦楽器にポジティブロッキング方式で取り付けるように設計されており、前記第1の部品(31、61、71)と前記第2の部品(32、62、72)は前記テールピースボタン(8)と接触していることを特徴とするアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項2】
少なくとも前記第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)および/または前記第2の部品(12、23、32、42、52、62、72)が弦楽器の背面または頂部と接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項3】
前記接続装置は、前記第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)および前記第2の部品(12、23、32、42、52、62、72)の間に本質的に剛性の接続を確立することを特徴とする請求項1または2に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項4】
前記第1の部品(11)が、基部と、前記基部に構成された、半径が前記テールピースボタン(8)の前記半径に相当する円形部分形態の前記領域(113、313、413、513、611、713)とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項5】
前記第1の部品(11、21、31、41、51、61、71)は、前記接続装置に接続するための少なくとも第1の取り付け部(111、211、311、411、511、711)および/または前記接続装置に接続するための第2の取り付け部(112、212、312、412、512、712)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項6】
前記第1の取り付け部(311、511、711)および/または前記第2の取り付け部(312、512、712)は、それぞれ、前記接続装置を収容するための内ねじを有する少なくとも1つの通路を有することを特徴とする請求項5に記載のアダプタ(2、3、5、6、7)。
【請求項7】
前記第2の部品(12、23、32、52)が、前記弦楽器の頂部または背面に載置されるブラケットのように設計されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、4、5)。
【請求項8】
前記第2の部品(12、23、32、42、52、72)は、前記接続装置に接続するための少なくとも第3の取り付け部(121、231、321、421、521、721)を有し、および/または前記接続装置に接続するための第4の取り付け部(122、232、322、422、522、722)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)。
【請求項9】
前記第3の取り付け部(121、231、321、521、721)および前記第4の取り付け部(122、232、322、522、722)は、それぞれ前記接続装置を収容するための内ねじを備えた少なくとも1本の通路を有することを特徴とする請求項8に記載のアダプタ(2、3、5、6、7)。
【請求項10】
前記第2の部品(12)は、前記弦楽器の前記テールピースボタン(8)と接触する領域(323、723)を有し、前記第1の部品(31、71)および前記第2の部品(32、72)は、前記接続装置によって、前記第2の部品の前記領域(323、723)が前記テールピースボタン(8)と固定接触するように配置および接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のアダプタ(3、7)。
【請求項11】
上部分(23)、中央部分(22)及び下部分(21)を備え、前記上部分(23)は弦楽器の頂部と接触し、前記下部分(21)は、前記弦楽器の背面と接触するように構成され、前記中央部分(22)は、前記上部分(23)と下部分(21)を接続する役割を果たす、弦楽器、特にヴァイオリンまたはヴィオラ用の支持装置(10)を取り付けるためのアダプタ(2)であって、
前記上部分(23)は取り付け部材として設計されており、前記部材は、丸みを帯びたE字形を有し、前記弦楽器のテールピースの下部領域を少なくとも部分的に包囲しており、前記中央部分(22)は、前記弦楽器のテールピースボタン(8)用の凹部(223)を有し、前記凹部(223)は、前記テールピースボタン(8)が接触することなく前記テールピースボタン(8)を収容することを特徴とするアダプタ(2)。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)に接続されるキャリアモジュール(9)であって、
少なくとも1つの支持装置(10)を受容するのに適していることを特徴とするキャリアモジュール(9)。
【請求項13】
ユーザの首/顎/肩領域に対して配置するための少なくとも1つの支持部材であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載のアダプタ(1、2、3、4、5、6、7)に接続される支持部材を含む弦楽器のための支持装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器のテールピースボタンを少なくとも部分的に包囲する領域を有する第1の部品と、第2の部品と、接続装置とを備えた弦楽器、特にヴァイオリンまたはヴィオラのための支持装置を取り付けるためのアダプタに関する。
【0002】
本発明はさらに、アダプタに接続されたキャリアモジュールと、ユーザの首/顎/肩領域に対して配置するための少なくとも1つの支持部材と、支持部材に接続されたアダプタとを含む弦楽器の支持装置を備える。
【背景技術】
【0003】
弦楽器、特にヴァイオリン、フィドルおよび同様の楽器のための支持装置用のアダプタは知られており、支持体と楽器との間に機械的な接続を提供することができる。支持装置全体の部材は、演奏中に2本の手で自由に演奏できるようにするために、手を使わずに音楽家の身体に楽器を位置決めすることを目的としている。支持装置は、通常、顎、肩、胸の領域を支持するためのレストを備えている。顎領域は通常楽器の上側に配置され、肩/胸部領域は通常楽器の下側に配置される。楽器は、顎と肩またはユーザの胸部との間に配置されることによって、適所に挟持される。
【0004】
上記のような楽器の人体の対応する接触点への配置は、前述の領域における身体的障害を引き起こす可能性があり、これは問題となっていることが証明されている。これは、前述の領域における予測のつかない物理的な変化がユーザごとに異なるために、従来の支持装置は、必要であるとはいえ、個々の人間工学的解剖学的ニーズに最適に適応することができないためである。同様に、性別に特有の身体の差についてはこれまで考慮されていなかった。これは主に、今までは、それぞれの楽器をユーザに最良の方法で適合させることに焦点が当てられてきたことによるものであり、後者の物理的状況の重要性は二次的なものに過ぎなかった。楽器のユーザに対する適合が不適切であると、楽器の使用がより困難となり、また、所望の音楽の品質を低下させることになる。このため、本発明は個々の予測のつかない物理的な変化をそれぞれの楽器に適応させることを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、静的、音楽的、生理学的および医学的要件の観点から、支持装置と楽器との間の安定的で柔軟な接続を確立する弦楽器の支持装置用のアダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、弦楽器、特にヴァイオリンまたはヴィオラに対して、支持装置を取り付けるための本発明のアダプタによって実現される。アダプタは、弦楽器のテールピースボタンを包囲する領域を有する第1の部品と、第2の部品と、接続装置とを備える。アダプタは、テールピースボタンを包囲する第1の部品の領域がテールピースボタンと少なくとも断面的に固定接触するように、第1の部品と第2の部品が配設されるとともに接続装置によって接続されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のアダプタは、支持装置と弦楽器との間に機械的な接続を確立する。アダプタと楽器の接続は、弦楽器のテールピースボタンに取り付けることで確立されている。テールピースボタンは、エンドボタンとも称され、テールピースのテールガットループを受容し、弦の力を楽器の本体に送り、楽器の本体にしっかり接着された中実のエンドブロックにしっかりと固定されて着座している。上記のようにエンドボタンを配置すれば、楽器のサウンドボードには影響を与えないため、サウンドパターン、サウンドスペクトル、および音量が損なわれることはない。したがって、アダプタのテールピースボタンへの取り付けは、ある意味、静的強度において有利である。なぜなら、ヴァイオリンが適切に使用されていれば、水平引張力は、いわゆるテールガットの垂直張力によって固定され、エンドボタンに対しては作用しないからである。また、サウンドボードの荷重を低減され、その結果、木材やヘルムホルツ本体のひび割れが防止される。支持用付属品を使用することによっても、機械的影響が低減され、その結果、仕上げの磨耗および損傷が防止される。もう一つは、エンドボタンは、その位置から、サウンドボードに影響を与えることがないため、エンドボタンへの取り付けにより、楽器の音や音量を損なうことがない。
【0008】
接続は、接続装置によって接続されるアダプタの2つの部品によって行われる。2つの部品を接続すると、第1の部品の領域は、テールピースボタンを固定状態で包囲し、それによって機械的な接続を形成する。
【0009】
アダプタは、別個の支持装置を(キャリアモジュールを介して)取り付けることができるコネクタデバイスを有していてもよい。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、アダプタは、弦楽器に対してポジティブロック方式で取り付けられるように設計されており、第1の部品と第2の部品とは、テールピースボタンと接触している。
【0011】
接続は、テールピースボタンを介して、アダプタと楽器との両方によってそれらの間で確立されるので、静的特性および機械的特性に関して上記の利点をもたらし、音質や音量を全く損なうことがない。ポジティブロック方式の接続は、部品の1つを接触させることによって、または両方の部品を結合して接触させることにより達成することができる。この点に関しては、テールピースボタンの両(反対)側、例えば、上および下から、または左右からの接触を確立することが考えられる。
【0012】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも第1の部品および/または第2の部品は、弦楽器の背面または頂部と接触する。この関連で、それぞれの他の部品は、上述のようにテールピースボタンと接触しており、少なくともその一部を包含している。このタイプの接続では、エンドボタンでの位置決めに加えて、楽器の上側または下側にアダプタをさらに位置決めする。上側の位置決めは、好ましくは、楽器の下側サドル上、および下側サドル/上縁の領域の、エンドブロックの上方の頂部領域で行うのがよい。したがって、アダプタがエンドボタンを中心として回転する可能性を効果的に防止することができる。ヴァイオリンへのアダプタの取り付けは、レスト部品と、(接続装置で接続された)テールピースボタンと接触する部品とによって生成されるクランプ作用を介して行うこともできる。
【0013】
本発明の接続装置は、第1の部品と第2の部品との間に本質的に剛性の接続を形成する。
【0014】
剛性の接続は、例えば、テールピースボタンを包囲するか、または係合させることにより、アダプタと楽器との間の安定した安全な接続を確立するために必要である。これは、楽器と使用者との間で媒介されない直接の力の伝達と移動につながり、楽器を自由に使用できるようにすることを狙いとしている。この点に関して、例えば、ねじ止め、ラッチ、クランプ、ウェッジ等考えられる全ての方法を使用してアダプタの2つの部品を接続することができる。特に、アダプタの本発明の接続装置は、少なくとも1つのねじ結合を有することが好ましい。その結果、一方では、2つの部品を、互いに対して正確に配置することができ、他方では、部品を楽器の部材へ永久的に固定することができる。2つの部品間の距離は、各ヴァイオリンまたは各テールピースボタンに対して正確に調整することができる。
【0015】
本発明のアダプタの有利な実施形態では、第1の部品がベースと、ベースに形成された円形部の形態の領域を備え、前記円形部の半径はテールピースボタンの半径に相当する。円形領域は、テールピースボタンに適合された溝を有し、後者が溝に係合する、またはその逆となってもよい。これにより、テールピースボタンが、第1の部品上にぴったりと安定して載置することが可能となり、アダプタの部分上のいかなる遊びも効果的に防止することができ、したがって、楽器の使用を妨げるような動きの誘発を効果的に防止することができる。
【0016】
第1の部品は、好ましい実施形態では、接続装置に接続するための少なくとも第1の取り付け部および/または接続装置に接続するための第2の取り付け部を有する。
【0017】
第1の部品の取り付け部は、レセプタクル、孔、凹部等のような本発明の接続装置に接続するための対応する部材を有する。
【0018】
従って、本発明の特に有利な実施形態において、第1の取り付け部および/または第2の取り付け部はそれぞれ、接続装置を受容するための内ねじを有する少なくとも1本の通路を有していてもよい。
【0019】
対応するカウンタねじを有する接続装置を使用することによって、例えばねじの形態での、第1の部品の目標配置およびその後の固定および確実なロックを達成することができる。
【0020】
本発明のアダプタの更なる好ましい実施形態では、第1の部品は実質的にU字形である。
【0021】
U字形は、テールピースボタンの領域を収容し、遊びを防止するために使用される。
【0022】
好ましくは、第2の部品は、弦楽器の頂部または背面上に載置されるブラケットのように設計される。
【0023】
第2の部品のブラケットまたはレスト部分は、弦楽器の上側または下側に載置される。上側に位置決めする場合には、楽器の下側サドル上および下側サドル/上縁の間の、エンドブロックの上方の頂部領域とするのが好ましい。上側と下側の位置決めを第1の部品の領域上のエンドボタンの載置とともに行うと、アダプタが安定的に位置決めされる。
【0024】
アダプタを楽器にしっかりと固定するために、第2の部品に対する第1の部品の一定の張力は、それに対応する接続装置の調整によって生成することができる。
【0025】
特に有利な実施形態では、第2の部品は、接続装置に接続するための第3および/または第4の取り付け部を有する。
【0026】
レスト部分は、第3の取り付け部と第4の取り付け部とに接続されている。第3および第4の取り付け部に関しては、これに対応して第1および第2の取り付け部に関する上記の考慮事項が適用される。これらの部分は、例えば、レセプタクル、穴、凹部等の本発明の接続装置に接続するための部材を有する。レスト部分は、弦楽器の上側または下側を支持する。
【0027】
第3の取り付け部と第4の取り付け部はそれぞれ、接続装置を収容するための内ねじを備えた少なくとも1本の通路を有する。
【0028】
この点に関して、第1および第2の取り付け部についての説明が状況に応じて適用されるので、例えばねじの形態でのカウンタねじにより、第2の部品への狙い通りの配置、固定、および確実なロックを達成することができる。
【0029】
本発明のアダプタの好ましい実施形態では、第2の部品は、弦楽器のテールピースボタンと接触する領域を有し、第1の部品と第2の部品は、接続装置によって第2の部品の領域がテールピースボタンと固定的に接触するように配置され、連結されている。
【0030】
両方の部品は、テールピースボタンとの接触を可能にする領域を有し、第1および第2の部品の領域は、固定的接触状態にある。通常、テールピースボタンの調整は、例えば、上から、および下からの2つの側面から行う。接続部材を使用することにより、2つの部品をエンドボタンに対して対向させて配置することが可能となり、距離を調整して固定することができる。2つの部品間のテールピースボタンの接触により、アダプタと楽器との間に遊びのない接続が確立する。
【0031】
好ましい実施形態では、本発明のアダプタの第2の部品は、弦楽器のテールピースボタンの少なくとも一部を包囲する領域を有し、第1の部品と第2の部品は、接続装置によって、テールピースボタンを包囲する第2の部品の第2の領域がテールピースボタンと固定的に接触するように、配置され、接続される。
【0032】
テールピースボタンと接触、または包囲する第1の部品に加えて、第2の部品の領域を包囲していることにより、アダプタと楽器との間の安定した遊びのない接続を可能にする。また、エンドボタンは、2つの側面から、例えば、上から、下から、あるいは左右から、両方の部品によって包囲されることも可能である。後者の場合、部品はテールピースボタンの左側と右側に配置される。
【0033】
本発明のさらになる実施形態では、アダプタは上、中央、下部分を有し、上部分は弦楽器の頂部に載置されるように構成され、下部分は弦楽器の背面に載置され、中央部分は上部分と下部分とを連結するようになっている。
【0034】
アダプタは、モノリシックであっても、上記の実施形態に従ってインラインに、上述の2つ以上の部品から構成されていてもよく、あるいは個々の部分が個々の部品から構成されていてもよい。
【0035】
アダプタの下部分は、楽器の背面に配置されることが好ましい。中央部分は、テールピースボタン用の凹部を有していてもよい。この点に関して、テールピースボタンは、受容部材とテールピースボタンとの間で接触、もしくは、機械的な接続が確立されていない。また、上記した凹部以外にも、接触せずにテールピースボタンを包囲するための他の形状のアダプタも考えられる。
【0036】
上部分は、楽器の頂部にアダプタを載置する役目を果たす。好ましくは、アダプタは、下側サドル上および楽器のエンドブロックより上の頂部領域の下側サドル/上縁の領域で載置する。これを行うための上部分の取り付けと形状に関しては、いくつか考えられる方法がある。頂部への取り付けは、クランプ、ラッチ、ポジティブロック、または同様の手段によって行うことができる。接触面の形状は、例えば、アダプタの幅全体にわたって、または、例えば、適切なフックの助けを借りて、単に点状に延びるように構成することができる。これにより、上部分を連続部品として設計する必要がないことが明らかになる。連続設計の場合、テールピースボタンのために凹んだ中央部分の領域は、上部分で完成させることができる。しかし、U字形の凹部は、上方に開いたままにすることも可能であり、上部分は、2つのブラケットまたはフックによって支持するようにすることもできる。
【0037】
マルチピースの実施形態の場合、アダプタは接続装置を有し、これにより、接続装置によって、下部分が弦楽器の頂部で背面および上部分に接触するように個々の部分が配置され、接続される。上述の実施形態によれば、ねじ込み、ロック、クランプ、ウェッジ等のような、アダプタの部分を接続するために考えられる全ての方法は、可能な接続装置であると考えられる。特に、アダプタの本発明の接続装置は、少なくとも1つのねじ結合を有することが好ましい。その結果、アダプタの各部分の正確な配置を互いに対して調整することができる一方、他方でアダプタを楽器に永久的かつ個別に固定することも可能である。本発明のアダプタは、上部分が取り付け部材として設計されていることによって特別な実施形態で特徴付けられ、ここで、その部材は、弦楽器のテールピースの下部領域を少なくとも部分的に包囲するために、丸みを帯びたE字形を有する。
【0038】
特に、上部分はブラケットのような設計であってもよく、ブラケットの中央部は中央部分に取り付けられ、中央部分から延びる2本のアームは中央部分の平面からヴァイオリンの頂部に(特にヴァイオリン本体の頂部のエッジウェブ上にも)延びて、クランプ効果を生じさせるか、またはポジティブロック方式でヴァイオリン本体に取り付けられる。
【0039】
一つには、取り付け部材の輪郭が楽器の頂部で支持体として働く。取り付け部材は、楽器の頂部のリブの湾曲に適合する丸みを帯びた外形を有することができ、従って安定した接続を形成することができる。さらに、ブラケット形状または丸みを帯びたE形状は、テールピースの下端を包囲する目的を果たす。したがって、アダプタを容易に調整してヴァイオリン本体に取り付けることができる。
【0040】
本発明のキャリアモジュールは、例えばネック部の形態で、本発明のアダプタまたは本発明のアダプタの部品のいずれかと共に(モノリシックに)構成することができる。別の実施形態では、アダプタは、別個に構成されたキャリアモジュール(取り外し可能)が、例えば、プラグイン/ロック接続によって取り付けられ得る1つ以上のコネクタを有していてもよい。
【0041】
また、上記のようにアダプタに接続されたキャリアモジュールを用いて本発明により目的を達成することができるので、高さを調整することが可能となり、支持部材の配置に適したものとすることができる。
【0042】
キャリアモジュールは、ユーザの胸部、顎、肩領域の支持部材を収容する一方、他方で首の個々の長さに適応することができる。キャリアモジュールは、ねじ込み、ラッチ、クランプ等の適切な接続方法によってアダプタに取り付けることができる。
【0043】
さらに、キャリアモジュールは、好ましくは、ユーザの個々の首の長さに適合するように、高さ調節可能である。キャリアモジュールは、例えば、2つの部分で構成され、そのうちの一つは、もう一つの部分の線形ガイドによって高さ調節可能である。所望の高さは、ばね係止機構によって調整され、ロックされる。個々の高さは、例えば、横ねじで固定される。
【0044】
顎、胸部、肩に載置するためのよく知られた部材は、個々の身体的な予測のつかない物理的な変化に適応できるようにするために適切なパッドを備えた支持部材として機能することができる。
【0045】
また、本発明は、ユーザの首/顎/肩領域に対して配置される少なくとも1つの支持部材を含み、前記支持部材が上記のようなアダプタに接続された弦楽器の支持装置を開示する。
【0046】
本発明の支持部材は、顎、胸部、肩、および胸顎角の個々の体形に関して、保持機能および支持機能を提供し、音楽家に適応する可能性を提供する役割を果たす。顎および胸部/肩領域の支持に関して、支持部材は、ユーザの皮膚および下側の筋肉を保護し、過剰な圧力から保護するためにパッドまたは弾性材料を有する。胸部の支持と肩の支持は、個々の体形に合わせて調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】背面ブラケットの形態である第1の下側部品と、下側サドルブラケットの形態である第2の上部部品とを有する本発明のアダプタを示す図である。下側サドルブラケットは、丸みを帯びたE字形を有し、その結果、楽器のテールピースの下部領域と下側領域は、取り付け部材が弦楽器に取り付けられるときに包囲される。下側サドルブラケットと背面ブラケットには、2つのねじスリーブで接続されたねじゾーンがある。楽器から見た図である。
図2】本発明の図1のアダプタを楽器に向かって見た図である。
図3】上(下側サドルブラケット)、中(中間部)および下部分(背面ブラケット)を有する本発明のアダプタの実施形態を示す図である。中間部には、テールピースボタンを受容する凹部が設けられている。背面ブラケットは、弦楽器の背面に載置されるように構成され、胸部用のフラップを有する。
図4図3の本発明のアダプタであって、楽器(テールピースによって示される)に向かって見た図である。
図5図3および図4のアダプタを取り付けた様子を示す、ヴァイオリンの上側の平面図である。テールピースは、中央部分の凹部内に接触することなく配置されている。テールピースのコードは、上側部品によって包囲される。
図6】本発明のアダプタは、1つの部品がブラケットを含み、そして、下部からテールピースボタン上に載置するためのU字形輪郭を有し、ブラケットは、楽器の背面に載置するのに適しており、他の部品は、楽器の上側に載置するためのブラケットの形態であることを示す図である。両部品は、対応する接続部材のレセプタクルおよび通路を有する。ヴァイオリンのリブが上下から2つの部品によって係合されている。
図7図6に示すアダプタを、エンドボタンを省略して示す図である。
図8】本発明のアダプタを示す図であり、1つの部品が本質的にU字形であり、下からテールピースボタンを支持するためのU字形輪郭を有し、他の部品は楽器の上側に載置するためのリブ脚を有するブラケットの形態である。両部品は、対応する接続部材のレセプタクルおよび通路を有する。
図9A図8のアダプタの変形例を2つの方向から見た図である。
図9B図8のアダプタの変形例を2つの方向から見た図である。
図10】テールピースボタンが両部品に包含される本発明のアダプタを示す図である。
図11】テールピースボタンがU字形部品の領域上に載置され、載置された状態で他の部品の領域上に載置される本発明のアダプタを示す図である。両部品は、楽器から見て、対応する取り付け部材のレセプタクルおよび通路を有する。
図12図11の本発明のアダプタであって、楽器に向かって見た際の図である。
図13図11および図12によるアダプタの変形例で、より細形の形態の例である。
図14】下側サドルに取り付けた取り付け部材の形態のアダプタの上部分を示す図であり、前記部材は丸みを帯びたE字形を有し、取り付け部材が弦楽器に取り付けられると、楽器のテールピースの下側および下側領域が包囲される(上図)。テールピースコードの下に通される閉じた形態の取り付け部材の形態のアダプタの上部分である(下図)。
図15】顎、胸骨および鎖骨の支持体を備えた支持装置に接続するための高さ調節可能なキャリアモジュールを備えた本発明のアダプタの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の例およびそれらが基づく図は、発明アダプタの構造を明確に示している。
【0049】
図1は、2つの部品11、12から構成される本発明のアダプタ1を示している。第1の部品11は背面ブラケットであり、基本的にU字形であり、エンドボタン8の一部を支持および包囲する領域113を有し、さらに第1の部品は楽器の背面における支持体としての役割を果たす領域を有する。第1の部品11は、取り付け手段用の外ねじの形態で外側のレセプタクル111、284.48cmを有している。第2の部品12は、下側サドルブラケット123の形態であり、楽器の上側または頂部上に載置される。第2の部品12は、丸みを帯びたE字形123の形状を有しており、その結果、テールピースへの取り付けが容易に行われる。これは、ある意味では、楽器に載置する目的で、一方で、E字形の脚部はテールピースを包囲することになる。丸みを帯びたE字形123のため、テールピースの下部領域は3点(下面と両側面)に包囲されている。また、第2の部品12は、全体的にブラケット状に形成されていてもよい。E字形またはブラケットの丸みを帯びた外側の脚部は、対称軸に向かって曲げられ、丸みを帯びている。「E」の中央脚部が短くなっている。さらに、少なくとも外側脚部の自由端部は、弦楽器の上側を越えて突出するエッジウェブと重なるように1つの平面から曲げられるので、アダプタ1を確実に固定することができる。この目的のために、形状は、第2の部品12が、テールピースの周りでできるだけ容易に「ねじ込み」できるように構成される。
【0050】
第2の部品12は、外ねじの形態で取り付け手段用の外側レセプタクル121、122にも設けられている。両部品11、12は、この場合、内ねじを有する2つの逆回転スクリュースリーブが、適した接続手段13によって互いに向かい合うように配置され、ねじ接続の結果として互いに接続される。この点で、テールピースボタン8は、U字形領域113上に載置され、第2の部品12との接続により、係合される。第2の部品12は、楽器の上側または頂部に載置され、部品と楽器との間に安定した接続を確立する。第1の部品11は、楽器の背面に接触している。上側で位置決めをするため、好ましくは楽器の下側サドル上、および下側サドル/上縁の間の領域のエンドブロックの上方の頂部領域に載置する。楽器の上側または下側に位置決めすることにより、エンドボタン8の周囲でアダプタ1のねじれや回転運動を抑制することができる。
【0051】
図2は、反対側から、すなわち、楽器に向かって見た、上述されたアダプタ1を示しており、テールピースボタン8のみが示されている。
【0052】
図3は、本発明のアダプタのさらなる実施形態を示す。アダプタ2は、下側サドルブラケットの形態をした上部分、中央部分22、および背面ブラケットの形をした下部分21を有し、中央部分22は、弦楽器のテールピースボタン8用の凹部223を有する。中央部分22は、異なる形状を有していてもよく、必ずしも凹部を含んでいる必要はない。これらの部分は、モノリシックでもマルチピースでもよく、後者の場合は、適切な接続部材によって相互接続されていてもよい。中央部分22の凹部は、テールピースボタン8を収容するために、基本的にU字形である。その結果、アダプタ2は楽器のリブに対して面一に取り付けられ、エンドボタン8は接触することなく領域223内に収容される。上部分23は、中央部分22に取り付けられており、上述したような丸みを帯びたE字形を有しているため、簡単にテールピースへ取り付けられる。下部分21、または背面ブラケットは、本質的にL字形であり、ユーザの胸部または鎖骨に支持要素を取り付けるためのフラップ211を有する。「L」の水平脚は、楽器の背面に載置するのに適している。アダプタ2はまた、中央部分22の角度位置をフラップ211に調節およびロックするための部材24を有している。中央部分22は、顎レストを受容するスリーブ224および225の形態をした受容部材を有している。
【0053】
マルチピースの実施形態の場合、アダプタ2は、その外側のレセプタクル221および222に、例えば、ねじなどを接続するための手段を有する。アダプタ2の各部分の相互位置合わせおよびロックは、例えば、上部分23上のねじ結合によって行うことができ、その結果、下部分21、中央部分22、および上部分23が互いに相対的に、また、楽器への配置に関して正確に位置決めされる。
【0054】
図4は、図3の既述のアダプタ2を、楽器に向かって見た状態を示しており、エンドボタン8のみが示されている。
【0055】
図5はヴァイオリンに取り付けられたアダプタ2を示しており、そこではテールピースボタン8は中央部分22の凹部223に接触せずに挿入されている。アダプタ2を取り付けるためには、ヴァイオリンの底リブに対して下部分21を配置し、凹部223内にはテールピースボタン8が接触しないように配置される。この接続手段の使用により、アダプタ2の各部分が互いに対向して配置されるとともに、下部分21が背面又は底リブに取り付けられ、取り付け部材23の形態の上部分がヴァイオリンの頂部のリブに取り付けられている。これは、下部サドルの領域内で行われるのが好ましい。結果として、アダプタ2と楽器との間に安定した接続が得られる。取り付け部材23が丸みを帯びたE字形をしているため、テールピースコードが包囲される。
【0056】
したがって、楽器の上側および下側で取り付けが行われ、そこでテールピースボタン8には触れない。アダプタ2の取り付け部材23と下部分21との間の張力または距離により、あるいはアダプタ2のヴァイオリン本体へのポジティブロッキング方式の取り付けにより、アダプタ2は、弦楽器の共振体に確実に取り付けられる。
【0057】
図6は、本発明のアダプタの第2の実施形態を示す。アダプタ3は、背面ブラケットの形態の第1の下側部品31と第2の上側部品32とから構成されている。第1の部品31は、本質的にブラケットの形態であり、テールピースボタン8の第1の部分を受容するU字形の受容領域313を有する。第1の部品31のブラケット形状は、楽器の背面の支持体として機能する。第1の部品31は、接続手段(図示せず)に対してその外側にレセプタクル311、312を有している。第2の部品32は、エンドボタン8の別の第2の部分(第1の部分とは反対側)を受容するための領域323を有する。第2の部品32はまた、その外側に取り付け手段のためのレセプタクル321、322を有している。接続手段を使用することにより、2つの部品は互いに配置され、エンドボタン8は、2つの部品の2つの支持領域313、323の間にポジティブ係合される。これにより、アダプタ3と楽器との間に安定した接続が確保される。取り付けは、テールピースボタン8および楽器の背面で行われる。
【0058】
図7は、エンドボタンを除く、図6のアダプタ3を示している。エンドボタンの受容領域323は、上側の第2の部品32上で明らかに視認可能である。
【0059】
図8は、本発明のアダプタのさらなる実施形態を示している。アダプタ4は、2つの部品41と42から構成される。第1の部品41は基本的にU字形であり、エンドボタン8(図示せず)の部分を支持および包囲する領域413を有する。第1の部品41は、その外側に取り付け手段のための外ねじの形態のレセプタクル411および412を有している。第2の部品42は、リブ脚を有する下側サドルブラケット423の形態で構成され、楽器の上側または頂部上の支持体として機能する。また、第2の部品42は、外ねじの形態で取り付け手段用にその外側にレセプタクル421、422を有している。両部品41および42は、この場合、内ねじを有する2つの逆回転スクリュースリーブが、適した接続手段43によって互いに向かい合うように配置され、ねじ接続によって互いに接続される。テールピースボタン8は、U字形領域413上に載置され、第2の部品42との接続により、係合される。第2の部品42は、楽器の上側または頂部に載置され、部品と楽器との間に安定した接続を形成する。上側で位置決めをするため、載置は、好ましくは楽器の下側サドル上、および下側サドル/上縁の領域のエンドブロック上方の頂部領域で行われる。楽器の上側または下側に位置決めすることにより、エンドボタン8の周囲でアダプタ4のねじれや回転運動を抑制することができる。
【0060】
図9Aおよび図9Bは、アダプタ4の変形例であり、楽器とは逆方向を向いた場合(図9A)、楽器の方を向いた場合(図9B)を示している。アダプタの第1の部品51は、その外側に取り付け手段用のレセプタクル511および512を有している。第2の部品52は、閉じた下側サドルブラケット523の形態で構成され、楽器の上側または下側サドル上の支持体として機能する。第2の部品52は、接続手段(図示せず)に対してその外側にレセプタクル521および522も有している。両部品51および52は、適切な接続手段(図示せず)によって互いに接続されている。
【0061】
図10は、2つの同様な形状のクランプ部品の形態で2つの部品61および62を有する別の発明アダプタ6を示しており、これらの部分はそれぞれが、テールピースボタン8(図示せず)を載置するための領域611および621を有している。これらの領域は、テールピースボタン8の形状に適合されている。両方の部品61および62は、2つの側面から弦楽器のテールピースボタン8の周りに引き寄せられ、その後、所定の位置に固定される。図面は、例えば、ねじ結合またはウェッジ結合(どちらも図示されていない)によって、共にロックすることができる。後者の場合、ウェッジを締め付けることによって、2つの部品61および62を、互いに対して正確に位置決めすることができる。本実施形態においても、取り付けは、楽器本体の残りの部分に接触することなく、テールピースボタン8のみで行われる。この利点は、接続が楽器のサウンドボードに悪影響を与えず、音と音量が損なわれないということである。
【0062】
図11は、本発明のアダプタのさらなる変形例を示す。第1の部品71は、本質的にU字形であり、領域713は、テールピースボタン8の第1の部分を収容するようになっている。第1の部品71は、その外側に接続手段(図示せず)用のレセプタクル711および712を有している。第2の部品72は、さらにエンドボタン8の第2の部分(第1の部分とは反対側)を受容するための領域723を有し、テールピースコード用の2つの凹部724を有する。第2の部品72はまた、その外側に取り付け手段用のレセプタクル721、722を有している。接続手段を使用することにより、2つの部品は互いに向けて配置され、エンドボタン8は、2つの部品の2つの支持領域713および723の間にポジティブ係合される。これにより、アダプタ7と楽器との間に安定した接続が確保される。取り付けは、ヴァイオリン本体の残りの部分に接触することなく、テールピースボタン8のみで行われる。このことの利点は、接続が楽器のサウンドボードに負の影響を及ぼさず、楽器の音と音量が損なわれることがないということである。
【0063】
図12は、既述したアダプタ7を反対側から見た、すなわち、(エンドボタン8で表される)楽器に向かって見た斜視図である。
【0064】
図13は、エンドボタンのないスリムバージョンでのアダプタ7の変形例を示している。
【0065】
図14は、2つの実施形態における取り付け部材の形態の上部分を示している。アダプタ2の部品23およびアダプタ5の部品523は、ここで実施例として、例示的な目的のために示すものであり、限定することを目的としたものではない。レセプタクル231および232、521および522を使用して、接続手段を受容することができる。取り付け部材23は、例えば、丸みを帯びたE字形(頂部)またはブラケット形状523(底部)を有し、その結果、テールピースへの取り付けが簡単になる。一つには、取り付け部材23が楽器の支持体として機能し、一方で、E字形の脚部がテールピースを包囲する。丸みを帯びたE字形のため、テールピースの下部は3点(下面と両側面)に包囲されている。取り付け部材23および523は、ブラケット形状の部材とすることができる。E字形またはブラケットの丸みを帯びた外側の脚部は、対称軸に向かって曲げられ、丸みを帯びている。「E」の中央脚部が短くなっている。さらに、少なくとも外側脚部の自由端部分は、弦楽器の上側を越えて突出するエッジウェブと重なるように1つの平面から曲げられるので、アダプタ2または5を確実に固定することができる。この形状により、取り付け部材23および523を、テールピースの周りでできる限り容易に「ねじ込み」できるようになる。閉じたブラケット形態523の場合、テールピースコードはブラケット形態の下で経路指定される。
【0066】
図15は、例えば、キャリアモジュール9を介して支持装置10に接続された図1図14に記載されたような本発明のアダプタ1〜7のいずれか(この場合ではアダプタ2)を弦楽器に取り付けた基本的構造または接続を示す概略図である。マルチパートのキャリアモジュール9は、高さ調節可能であり、したがって、楽器のユーザそれぞれの首の長さに合わせて調節することができる。支持装置10は、その下部に鎖骨当て部102と胸当て部103とを有し、その上部には顎101の支持体を有している。これらの当て部または支持体は、ユーザの皮膚および筋肉を保護するためのパッドを有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15