(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源は、ゼロではない伝播角度で前記導光板に前記光を提供するようにさらに構成され、コリメーション係数に従って、前記導光板内で前記導かれた光が所定の角度の広がりに収まるようにコリメートされる、請求項3に記載のマルチビューディスプレイ。
前記マルチビーム素子は、前記導光板に光学的に結合されて、前記導かれた光の前記一部を結合して出射する、回折格子、微小反射素子、および微小屈折素子のうちの1つを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
前記アレイのマルチビーム素子は、前記マルチビューディスプレイの異なるビューの異なるビュー方向に対応する互いに異なる主角度方向を有する複数の光ビームとして、前記導光板によって導かれる光の一部を結合して出射するように構成されている、請求項14に記載のマルチビューディスプレイ。
前記マルチビーム素子は、前記導光板に光学的に結合されて、前記導光板によって導かれた光の一部を結合して出射する、回折格子、微小反射素子、および微小屈折素子のうちの1つ以上を備える、請求項14から16のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
前記導光板に光学的に結合され、ゼロではない伝播角度で導かれた光として前記導光板に光を提供するように構成され、コリメーション係数、前記ゼロではない伝播角度、およびコリメーションに従って、前記導光板内で前記導かれた光が所定の角度の広がりに収まるようにコリメートされる光源をさらに備える、請求項14から17のいずれか一項に記載のマルチビューディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ある例および実施形態では、上述の図面に示された特徴に加えて、またはそれらの代わりに、その他の特徴を有してもよい。これらの特徴やその他の特徴を、上述の図面を参照して以下に説明する。
【0008】
本明細書に記載の原理による例および実施形態は、バックライトとスクリーンとの間に配置された反射支持構造を備えるマルチビューディスプレイを提供する。反射支持構造は、スクリーンとバックライトとの間に実質的に均一な分離距離を維持し、スクリーンをバックライトに接着または固定するように構成される。さらに、いくつかの実施形態によれば、反射支持構造の反射特性によって、バックライト内を伝播する光が「再利用」されてもよい。特に、反射支持構造は、当該反射支持構造に入射した光を実質的に反射して導光板に戻すことによって光を再利用してもよい。以下に説明するような各種実施形態によれば、このようにして光を再利用することによって、導光板からの光の漏れや望ましくない透過を防止し得る。
【0009】
マルチビューディスプレイは、マルチビュー画像の複数または多数の異なるビューを異なるビュー方向に提供するように構成された電子ディスプレイまたはディスプレイシステムである。用語「マルチビュー画像」に用いられる用語「マルチビュー」は、異なる透視図を表す、または多くの異なるビュー間の角度差を含む、複数または多数のビューを指す。さらに、「マルチビュー」という用語は、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低3つのビュー、一般的には4つ以上のビュー)を含む。そのため、「マルチビューディスプレイ」は、立体ディスプレイとは区別される。立体ディスプレイは、シーンまたは画像を表すために2つの異なるビューのみを表示する。しかしながら、マルチビュー画像およびマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むものの、マルチビュー画像は、一度に見るためのマルチビューの2つのみのビュー(例えば、片目に1つのビュー)を選択することによって、一対の立体画像として(例えば、マルチビューディスプレイ上で)見られてもよい。
【0010】
マルチビューディスプレイは、複数のマルチビュー画素を有するスクリーンを備える。各マルチビュー画素は、複数組のライトバルブを備える。マルチビューディスプレイは、複数のマルチビーム素子で構成されている導光板に光学的に結合された光源を備えるバックライトを含む。各マルチビーム素子は、一組のライトバルブに対応している。さらに、各マルチビーム素子は、対応する各組のライトバルブの中心に対して、マルチビュー画素の中心に向かって、空間的にオフセットされている。それぞれの組のライトバルブは、対応するマルチビーム素子から回折的に結合されて出射された光を変調する。マルチビーム素子が空間的にオフセットされていることにより、それぞれの組のライトバルブから出射される変調された光ビームに角度オフセットが生じる。各マルチビュー画素に関連する組のライトバルブから出射される変調された光ビームは、スクリーンから見える距離にマルチビュー画像を作成するためにインターリーブする。
【0011】
図1Aは、例示的なマルチビューディスプレイ100によって生成されたマルチビュー画像の斜視図を示す。
図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ100は、同時に複数の画像を表示してもよい。各画像は、異なるビュー方向からのシーンまたはオブジェクトの異なるビューを提供する。
図1Aでは、マルチビューディスプレイ100から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として、ビュー方向が示されている。異なるビューは、矢印の末端に斜線付きの多角形パネルとして示されている。例えば、
図1Aでは、4つの多角形パネル102〜105が、対応する異なるビュー方向106〜109からのマルチビュー画像の4つの異なるビューを表す。ここで、マルチビューディスプレイ100が、オブジェクト(例えば、あるシーン内の3次元オブジェクト)のマルチビュー画像を表示するために使用されると仮定する。観察者が方向106からマルチビューディスプレイ100を見ると、観察者はオブジェクトのビュー102を目にする。しかしながら、観察者がビュー方向109からマルチビューディスプレイ100を見ると、観察者は同じオブジェクトの異なるビュー105を目にする。説明を簡単にするために、
図1Aでは異なるビューがマルチビューディスプレイ100の上部にあるものとして示されていることに留意されたい。実際には、マルチビューディスプレイ100のスクリーン上に異なるビューが実際に同時に表示され、観察者がマルチビューディスプレイ100のビュー方向を変更するだけで、異なるビュー方向からオブジェクトまたはシーンを見ることを可能にする。
【0012】
ビュー方向、すなわちマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、一般的に、角度成分(α,β)によって定められる主角度方向を有する。角度成分αは、光ビームの「仰角成分」または「仰角」と呼ばれる。角度成分βは、光ビームの「方位角成分」または「方位角」と呼ばれる。仰角αは垂直面内(例えばマルチビューディスプレイのスクリーン面に垂直)の角度であり、方位角βは水平面内の(例えばマルチビューディスプレイのスクリーン面に平行な)角度である。
【0013】
図1Bは、
図1Aのビュー方向108のようなビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する
マルチビューディスプレイ100
の点から放出された、または発する光ビーム110の角度成分(α,β)のグラフ表示を示す。光ビーム110は、マルチビューディスプレイ100内の特定の原点「O」に対応付けられた中心光線を有する。
【0014】
マルチビューディスプレイのバックライトは、導光板のマルチビーム素子を通して導光板内を伝播する光を回折的に結合する導光板で構成される。バックライトとスクリーンとの間に配置された反射支持構造は、導光板の面の一部に当接し、マルチビーム素子によって回折的に結合されて出射された光の透過を可能にするように構成される。反射支持構造は、反射支持構造に当接する面の一部に入射した光を反射して導光板に戻すことによって、導光板内を伝播する光を再利用するように構成される。
【0015】
図2Aは、例示的なマルチビューディスプレイ200の等角図を示す。
図2Bは、
図2Aの線I−Iに沿ったマルチビューディスプレイ200の断面図を示す。
図2Cは、マルチビューディスプレイ200の分解等角図を示す。
図2A〜
図2Cに示すように、マルチビューディスプレイ200は、マルチビューバックライト202と、反射層204と、支持層206と、スクリーン208とを備える。マルチビューバックライト202は、導光板210と、導光板210の縁部に光学的に結合された光源212とを備える。導光板210は、導光板210の第1の面214と第2の面216との間に、光源212によって生成された光を導くように構成される。
【0016】
図2Bおよび
図2Cにおいて、導光板210は、実質的に平面であり、平行に配置された第
1および第2の面
214、216を有する光導波路板であってもよい。導光板210の第1の面214は、多数のマルチビーム素子220で構成されてもよい。
図2Bおよび
図2Cにおいて、反射層204は、開口部222を有する矩形形状を有する。
図2Cにおいて、支持層206も開口部224を有する矩形形状を有する。
図2Bにおいて、支持層206は反射層204の表面に配置されている。反射層204の直線部分の幅は、W
rで示され、支持層206の直線部分の幅よりも大きい。別の実施形態では、反射層204の直線部分の幅は、支持層206の直線部分の幅とほぼ等しくてもよい。
【0017】
図2A〜
図2Cにおいて、スクリーン208は、スクリーン境界228によって囲まれたライトバルブアレイ226を備える。ライトバルブアレイ226は、不透明から透明に選択的に切り替えられる区分された、個別に動作可能なライトバルブ230を含む。ライトバルブ230は、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、およびエレクトロウェッティングに基づくライトバルブであってもよい。各ライトバルブ230は、ライトバルブアレイ226上に画像を表示するために別々に変調されてもよい。
図2Bに示されるように、スクリーン境界228は支持層206上に配置されてこれに当接する。支持層206および反射層204は、導光板210から実質的に均一な距離Dだけスクリーンを隔てる反射支持構造を形成する。支持層206は厚さT
sを有し、反射層204は厚さT
rを有するように構成されてもよい。これらによって、導光板210の第1の面214から距離D=T
s+T
rだけスクリーン208を隔てる。支持層206および反射層204は、スクリーンを導光板210に接着(固着)する接着剤を含んでもよい。反射
層および支持層
204、206のそれぞれの開口部222および224は、スクリーン208のライトバルブアレイ226と導光板210の第1の面214のマルチビーム素子220との間に遮るもののない空間を形成する。言い換えれば、開口部222および224は、導光板210から回折的に結合されてライトバルブアレイ226に向かって出射された光を阻んだり、遮ったりしないように形成される。
【0018】
導光板210は、多数の異なる光学的に透明な材料のうちの任意の1つを含んでもよいし、またはシリカガラス、アルカリアルミノシリケート、ホウケイ酸ガラスなどの各種ガラスの1種または複数種、ならびに例えばポリ(メチルメタクリレート)またはアクリルガラス、およびポリカーボネートなどの実質的に光学的に透明なプラスチックやポリマーを含むがこれらに限定されない、各種誘電材料のうちのいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、導光板210は、全内部反射(TIR)を容易にするために、導光板210の表面の少なくとも一部(図示せず)上にクラッド層を含んでもよい。
【0019】
光源212は、1つ以上の発光体を備えてもよい。発光体は、発光ダイオード(LED)、レーザー、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマ発光体、蛍光灯、白熱電球、およびその他の光源であってもよい。光源212によって生成された光は、特定の波長のもの(すなわち特定の色のもの)であってもよく、またはある範囲の波長にわたるもの(例えば白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源212は、各組の発光体が、他の組の発光体が生成する波長または波長範囲とは異なる特定の波長または波長範囲の光を生成する、複数組の発光体を含んでもよい。例えば、光源212は、1つ以上の発光体の各組が原色(例えば、赤、緑、および青)のうちの1つを生成する、複数組の発光体を備えてもよい。
【0020】
図2A〜
図2Cに示すように、ライトバルブアレイ226は、ライトバルブアレイ上に画像を表示するように変調することができる区分されたライトバルブ230を備える。1つのマルチビュー画素は、2つ以上のライトバルブのアレイを備える。
図2A〜
図2Cでは、ライトバルブアレイ226のライトバルブは、8つのマルチビュー画素を作成するように分割されている。各マルチビュー画素は、7×7のライトバルブ230のアレイを備える。マルチビュー画素を形成する各7×7のライトバルブのアレイは、破線の正方形で区画されている。例えば、ライトバルブ230は、
図2Aおよび
図2Cにおいて区画されているマルチビュー画素232の49個のライトバルブのうちの1つである。マルチビュー画素とは、マルチビューディスプレイの同様の数の異なるビューのそれぞれにおける「ビュー」画素を表す一組のライトバルブである。特に、マルチビュー画素は、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおけるビュー画素に対応する、またはこのビュー画素を表す個々のライトバルブを有してもよい。さらに、マルチビュー画素のライトバルブは、各ライトバルブが異なるビューのうちの1つの所定のビュー方向に関連付けられるという点で「指向性画素」とも呼ばれる。さらに、様々な例および実施形態によれば、マルチビュー画素のライトバルブによって表される異なるビュー画素は、異なるビューのそれぞれにおいて同等または少なくとも実質的に同様の位置または座標を有してもよい。例えば、第1のマルチビュー画素は、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおいて{x
1,y
1}に位置するビュー画素に対応する個別のライトバルブを有してもよく、第2のマルチビュー画素は、異なるビューのそれぞれにおいて{x
2,y
2}に位置するビュー画素に対応する個別のライトバルブを有してもよく、以下同様となる。
【0021】
いくつかの実施形態では、マルチビュー画素内のライトバルブの数は、マルチビューディスプレイのビューの数に等しくてもよい。例えば、マルチビュー画素は、64の異なるビューを有するマルチビューディスプレイを作成するために使用され得る、64個のライトバルブのアレイを備えてもよい。別の例では、マルチビューディスプレイは8×4のビュー(すなわち32ビュー)のアレイを提供してもよく、マルチビュー画素は32個のライトバルブ(すなわち各ビューにつき1つ)を含んでもよい。例えば、異なるライトバルブのそれぞれは、64の異なるビューに対応するビュー方向のうちの異なる1つに対応する関連する方向(例えば、光ビームの主角度方向)を有することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビュー画素の数は、マルチビューディスプレイビューにおける「ビュー」画素の数(すなわち、選択されたビューを構成する画素)と実質的に等しくてもよい。例えば、ビューが640×480のビュー画素(すなわち、640×480ビュー解像度)を含む場合、マルチビューディスプレイは、307,200のマルチビュー画素を有し得る。別の例では、ビューが100×100画素を含むとき、マルチビューディスプレイは、合計10,000(すなわち、100×100=10,000)のマルチビュー画素を含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、マルチビーム素子220は、一次元(1D)アレイまたは二次元(2D)アレイのいずれかに配置されてもよい。例えば、マルチビーム素子220は、線形1Dアレイとして配置されてもよい。別の例では、マルチビーム素子220は、
図2Cに示すように矩形の2Dアレイとして配置されてもよい。他の例では、マルチビーム素子は、円形または楕円形の2Dアレイに配置されてもよい。他の例では、マルチビーム素子のアレイ(すなわち、1Dまたは2Dアレイ)は、規則的または均一に間隔をあけられたマルチビーム素子であってもよい。特に、マルチビーム素子220間の素子間距離(例えば、中心間距離または間隔)は、マルチビーム素子のアレイにわたって実質的に均一または一定であってもよい。さらに他の例では、マルチビーム素子220間の素子間距離は、x方向およびy方向の一方または両方において変化してもよい。
【0023】
図2Bに示すように、マルチビーム素子220のサイズ(sで示す)は、ライトバルブアレイ226のライトバルブ230のサイズ(Sで示す)と同程度である。ここで、「サイズ」は、ライトバルブの長さ、幅、または面積であってもよいが、これらに限定されない。例えば、ライトバルブ230のサイズは、ライトバルブの長さであってもよく、これと同程度のマルチビーム素子220のサイズはまた、マルチビーム素子220の長さであってもよい。別の例では、サイズは、ライトバルブ230の面積と同程度の、マルチビーム素子220の面積などの面積を指してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子220のサイズは、マルチビーム素子のサイズがライトバルブのサイズの約50%から約200%の間であるように、ライトバルブのサイズと同程度である。例えば、マルチビーム素子のサイズsは、以下の条件を満たす。
【数1】
他の例では、マルチビーム素子のサイズは、ライトバルブのサイズの約60%より大きい、またはライトバルブのサイズの約70%より大きい、またはライトバルブのサイズの約80%より大きい、またはライトバルブのサイズの約90%より大きく、かつ、マルチビーム素子は、ライトバルブのサイズの約180%未満、またはライトバルブのサイズの約160%未満、またはライトバルブのサイズの約140%未満、またはライトバルブのサイズの約120%未満である。例えば、「同程度のサイズ」として、マルチビーム素子のサイズは、ライトバルブのサイズの約75%から約150%の間であってもよい。別の例では、マルチビーム素子220は、マルチビーム素子のサイズがライトバルブのサイズの約125%から約85%の間であるように、ライトバルブ230のサイズと同程度であってもよい。いくつかの実施形態によれば、マルチビーム素子220およびライトバルブ230の同程度のサイズは、マルチビューディスプレイ200のビュー間の暗帯を少なくし、またはいくつかの例では最小化し、同時に、いくつかの例は、マルチビューディスプレイ
200のビュー間のオーバーラップを少なくし、またはいくつかの例では最小化するように選択されてもよい。
【0025】
図3は、光源212によって生成された光が、光302として導光板210に入力される、または導光板210に結合される、
マルチビューディスプレイ200の断面図を示す。光302は、導光板210の第1の面214および第2の面216に対してゼロではない伝播角度(例えば、約30〜35度)で導光板210に結合される。1つまたは複数のレンズ、プリズム、ミラー、または同様の反射体(例えば、傾斜コリメート反射体)(図示せず)を使用して、光源212によって生成された光をゼロではない伝播角度で導光板210に結合してもよい。光302は、コリメート光として導光板210に入力されてもよい。光302がコリメートされる程度は、コリメーション係数(σで示す)によって表される。コリメーション係数は、コリメート光内の光線の角度の広がりを定義する。例えば、コリメーション係数σは、コリメート光302の光線の大部分が特定の角度の広がり(例えば、コリメート光の中心角方向または主角度方向を中心に±σ度)内に収まることを示してもよい。コリメート光302の光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度の広がりは、コリメート光のピーク強度の半分で決定される角度であってもよい。
【0026】
図3では、導光板210は、導光板210の第1の面214と第2の面216との間のゼロではない伝播角度で、TIRに基づいて光302を導く。
図4は、導光板210内を伝播し、導光板210の面402(例えば、第1の面214または第2の面216)の同じ点に入射する2つの光線の軌跡を示している。面402は、導光板210と空気404との間の境界であり、導光板210よりも低い屈折率を有する。一点鎖線406は法線を表し、θ
cはこの法線に対する臨界角を表す。入射角は法
線に対して測定される。臨界角θ
cよりも大きな角度で面402に入射する光は、TIRを受ける。例えば、方向矢印408が表す光は、臨界角θ
cよりも大きな角度で面402に入射するため、この光は方向矢印410が表すように内部反射される。方向矢印412が表すように、臨界角θ
cよりも小さな角度で面402に入射する光は、方向矢印414が表すように透過される。
【0027】
反射層204は、導光板210の第1の面214に配置された、銀やアルミニウムなど(これらに限定されない)の反射材料を含む。反射層204は、第1の面214の境界周辺に膜または反射テープとして予め形成、堆積されてもよい。あるいは、反射層204は、まず化学蒸着または物理蒸着によって反射材料を第1の面214に堆積し、続いてウェットエッチング、イオンミリング、フォトリソグラフィ、異方性エッチング、およびプラズマエッチングのうちの1つ以上によって開口部222を形成することにより形成されてもよい。反射層204は、導光板210内を伝播し、反射層204の下の第1の面214に入射した光を反射して、導光板210に戻す。
【0028】
図5は、支持層206、反射層204、および導光板210の一部の断面図を示す。一点鎖線502は、導光板210の第1の面214に対する法線を表す。方向矢印504は、反射層204に隣接する第1の面214に入射する光を表す。反射層204は、方向矢印506が表すように、光を反射して導光板110に戻す。いくつかの実施形態によれば、反射層204は、反射層204に当接する第1の面214の任意の部分に入射する光を反射して導光板210に戻すことによって、ほぼ完全な鏡面反射体として機能してもよい。反射されて導光板210に戻ってきた光は、導光板210の他方の面からのTIRによって再利用されてもよい。
【0029】
反射層204の反射特性によって、支持層206に隣接する第1の面214に入射する光が支持層206へと漏出するのを防ぐ。例えば、上記のように構成されているマルチビューディスプレイが反射層204を有していない場合、そのようなマルチビューディスプレイは、導光板210の第1の面214に直接当接するように配置された支持層206を有するであろう。その結果、支持層206に隣接する第1の面214に入射する光の少なくとも一部は支持層206内へと漏出し、支持層206内に光を損失する光学的ドレインが形成されてしまう。
【0030】
図3に戻ると、各マルチビーム素子220は、光の一部を結合されて出射された光として、対応するマルチビュー画素232に結合して出射するように構成される。例えば、
図3において、マルチビーム素子220に入射する光302の一部によって、マルチビュー画素232のライトバルブを通過する、発散方向矢印238が表す、結合されて出射された光が生成される。導光板210は、光が導光板210に入力される縁部とは反対側の導光板210の端部に反射体(図示せず)を含んでもよい。この反射体は、
図3において矢印306が表すように、光302を反射して導光板210に戻す。このようにして光を再利用することにより、光を複数回利用可能にすることによってマルチビューバックライト202の明るさ(例えば、結合されて出射された光の強度)が増し得る。
【0031】
図2B、
図2Cに示される例では、上述の
マルチビューディスプレイ
200の反射層204は、導光板210の第1の面214に配置された連続的な矩形の物体である。他の実施形態では、
マルチビューディスプレイ
200の反射層は、導光板210の第1の面214に配置された反射分割部を備えてもよい。
【0032】
図6Aは、
マルチビューディスプレイ200と同様であるが、
マルチビューディスプレイ200の反射層204および支持層206が分割された反射層602および分割された支持層604に置き換えられたディスプレイ600の分解等角図を示す。
図6に示されるように、ディスプレイ600は、
図2A〜
図2Cを参照して上述したマルチビューバックライト202およびスクリーン208を含む。反射層602は、直線反射分割部606〜609を含む。支持層604は、直線状支持分割部610〜613を含む。ディスプレイ600を組み立てる際に、反射分割部606〜609は第1の面214の縁部付近に配置され、支持分割部610〜613は対応する反射分割部606〜609に配置される。分割された反射層602および分割された支持層604は、スクリーン208を導光板210から隔てる反射支持構造を形成する。
【0033】
図6Bは、
マルチビューディスプレイ200と同様であるが、
マルチビューディスプレイ200の反射層204および支持層206が分割された反射層622および分割された支持層624に置き換えられたディスプレイ620の分解等角図を示す。
図6Bに示されるように、ディスプレイ620は、
図2A〜
図2Cを参照して上述したマルチビューバックライト202およびスクリーン208を含む。反射層622は、屈曲反射分割部626〜629を含む。支持層624は、屈曲支持分割部630〜633を含む。ディスプレイ620を組み立てる際に、屈曲反射分割部626〜629は第1の面214の隅部付近に配置され、支持分割部は対応する屈曲反射分割部606〜609に配置される。分割された反射層622および分割された支持層624は、スクリーン208を導光板210から隔てる反射支持構造を形成する。
【0034】
他の実施形態では、スクリーン208を導光板210から隔てる反射支持構造は、反射材料で構成してもよい。
図7は、
マルチビューディスプレイ200の反射支持構造(すなわち、反射層204および支持層206)が、スクリーン208を導光板210の第1の面214から距離Dだけ隔てている反射支持構造702に置き換えられていることを除いては、
マルチビューディスプレイ200と同様の例示的ディスプレイ700の断面図を示す。反射支持構造702は、導光板210の第1の面214の縁部の近くに配置されている。反射支持構造702は、スクリーン208を導光板210に接着して固定する接着剤であってもよく、銀やアルミニウムなどの反射材料をさらに含む。反射支持構造702は、回折格子からの回折的に結合されて出射された光が遮断されずにライトバルブアレイ226に伝播することを可能にする開口部704を有する連続的な矩形形状を有してもよい。他の実施形態では、
反射支持構造702は、第1の面214の縁部および角部付近に分割部が配置された分割された反射支持構造であり得る。反射支持構造702は、
図5を参照して上述した反射層204と同様に、反射支持構造702に当接する第1の面214の任意の部分に入射する光を反射して導光板210に戻すことによって、ほぼ完全な鏡面反射体として機能する。
【0035】
様々な実施形態によれば、マルチビーム素子220は、光302の一部を結合して出射するように構成された、多数の異なる構造のうちのいずれかを備えてもよい。例えば、これらの異なる構造としては、回折格子、微小反射素子、微小屈折素子、またはそれらの様々な組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によれば、回折格子の回折機構は、互いに離間している溝および隆起部の一方または両方を備えてもよい。溝または隆起部は、導光板210の材料を含んでもよく、例えば、溝および隆起部を導光板210の表面に形成することができる。別の例では、溝または隆起部は、導光板材料以外の材料、例えば導光板210の表面上の他の材料からなる膜または層から形成されてもよい。
【0036】
図8Aは、導光板210の第1の面214に回折格子802として構成された導光板210のマルチビーム素子220の断面図を示す。回折格子802は、光302の1つまたは複数の波長よりも広い回折機構間の間隔(dで示す)を有する回折機構を備える。回折格子802と相互作用する特定の波長λの光を考える。この光は、回折機構によって異なる方向に透過および散乱される。光の波は、異なる位相で回折格子802から出射される。結果として、この波は建設的におよび相殺的に干渉して、波が建設的に干渉するところで光ビームを作り出す。例えば、隣接する回折機構から出射される光の波の間の光路差が波長の半分(すなわちλ/2)である場合、波は位相がずれて出射され、相殺的干渉によって相殺されることがある。他方、隣接する回折機構から出射される波の間の光路差が波長λに等しい場合、波は建設的に干渉して最大強度の光が生成される。回折格子から最大強度で出射される光ビームは方向矢印804で表され、第1の面214に対する法線806に対して光が回折格子802から出射される回折角は、回折式に従って以下のように計算されてもよい。
【数2】
式中、
mは回折次数であり(すなわち、m=…,−2,−1,0,1,2,…)、
nは導光板210の屈折率であり、
θ
iは法線806に対する光302の入射角であり、
θ
mは、導光板210から回折的に結合されて出射されたm番目の光ビームの法線806に対する回折角である。
【0037】
別の例では、
図8Bに示されるように、マルチビーム素子220は、導光板210の第2の面216に配置された、または第2の面216に隣接して配置された回折格子810である。マルチビーム素子は、反射型回折格子を形成するために回折格子810の回折機構に充填された反射コーティング812を含む。反射コーティング812は、回折された光を第1の面214に向かって反射し、この光は、回折的に結合されて出射された光814として第1の面214を抜け出る。第1の面214に沿って導光板210から出射される回折的に結合されて出射された光814は、導光板210のより高い屈折率の材料からより低い屈折率の空気中へと進行した結果として屈折し、これによって回折的に結合されて出射された光814は広がる。回折格子810の回折機構の間隔は、導光板210から出射された光の広がりを考慮して選択されてもよい。
【0038】
他の実施形態(図示せず)では、マルチビーム素子220は、導光板210の第1
および第2の面
214、21
6の間に配置された回折格子であってもよい。なお、いくつかの実施形態では、マルチビーム素子220によって生成される結合されて出射された光の主角度方向は、導光板210から空気中に出射される結合されて出射された光による屈折の影響が考慮されていてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、マルチビーム素子の回折格子は、回折機構の間隔が回折格子全体にわたって実質的に一定または不変である一様な回折格子であってもよい。他の実施形態では、マルチビーム素子はチャープ回折格子であってもよい。チャープ回折格子の回折機構の間隔は、チャープ回折格子の範囲または長さにわたって変化している。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、回折機構の間隔について、距離と共に直線的に変化するチャープを有しても、または示してもよい。このように、チャープ回折格子は「線形チャープ」回折格子である。他の実施形態では、チャープ回折格子は、回折機構の間隔について非線形チャープを示してもよい。指数チャープ、対数チャープ、または実質的に不均一またはランダムではあるが単調な別の形で変化するチャープを含むがこれらに限定されない各種非線形チャープを使用してもよい。正弦波チャープ、三角チャープ、またはのこぎり波チャープなどであるがこれらに限定されない非単調チャープを使用してもよい。さらに、任意の非線形チャープの組み合わせを使用してもよい。
【0040】
他の実施形態では、マルチビーム素子220は、結合されて出射された光として、光302の一部を屈折的に結合して出射するように構成された微小屈折素子を備えてもよい。
図9は、マルチビーム素子220が微小屈折素子902を備える導光板210の断面図を示す。様々な実施形態によれば、微小屈折素子902は、結合されて出射された光904として、導光板210からの光302の一部を屈折的に結合して出射するように構成される。微小屈折素子902は、半球形状、矩形形状、またはプリズム形状(すなわち傾斜したファセットを有する形状)を含むがこれらに限定されない様々な形状を有してもよい。様々な実施形態によれば、微小屈折素子902は、図示のように導光板210の第1の面214から延出または突出してもよく、あるいは第1の面214のキャビティまたは凹部(図示せず)であってもよい。いくつかの実施形態では、微小屈折素子902は導光板210の材料を含んでもよい。他の実施形態では、微小屈折素子902は、第1の面214に隣接し、あるいはいくつかの例では第1の面214に接触している、別の材料を含んでもよい。
【0041】
他の実施形態では、マルチビーム素子220は、結合されて出射された光として、光302の一部を反射的に結合して出射するように構成された微小反射素子を備えてもよい。
図10Aは、マルチビーム素子220が第2の面216に沿って配置されたプリズム形状の微小反射素子1002を備える導光板210の断面図を示す。
図10Bは、マルチビーム素子220が第2の面216に沿って配置された半球状の微小屈折素子1004を備える導光板210の断面図を示す。微小反射素子1002および1004としては、反射材料またはその層(例えば、反射金属)を用いた反射体、またはTIRに基づく反射体が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態(図示せず)では、微小反射素子は、第1
および第2の面
214、21
6の間の導光板210内に配置されてもよい。
図10Aにおいて、プリズム形状の微小反射素子1002は、導光板210の第2の面216に隣接して配置された反射ファセットを有する。プリズム形状の微小反射素子1002のファセットは、光302の一部を導光板210から反射(すなわち反射的に結合)させて出射するように構成されている。例えば、光302の一部を反射して導光板210から出射するために、この光の伝播方向に対してファセットは傾けられ、または傾斜していてもよい(すなわち傾斜角を有している)。ファセットは、(例えば、
図10Aに示されるように)導光板210内に反射材料を用いて形成されてもよく、または様々な実施形態においては第2の面216に設けられたプリズム形状のキャビティの面であってもよい。プリズム形状のキャビティを用いる場合、いくつかの実施形態では、キャビティの面における屈折率変化によって反射(例えば、TIR)が実現されるか、ファセットを形成するキャビティの面が反射材料でコーティングされて反射が実現されるかのいずれかである。
図10Bにおいて、半球状の微小反射素子1004は、実質的に滑らかな曲面を有する。半球状の微小反射素子1004の表面曲率によって、光302が曲面となす入射点に応じて光302の一部が反射される。
図10Bの半球状の微小反射素子1004は、導光板210内の反射材料であっても、または
図10Bに示すように、第2の面216に形成されたキャビティ(例えば、半円状のキャビティ)のいずれかであってもよい。
図10Aおよび
図10Bにおいて、結合されて出射された光1006および1008が第1の面214を横切って空気中へと抜ける際に屈折率の変化により、当該結合されて出射された光1006および1008の主角度方向が屈折することに留意されたい。
【0042】
図11は、マルチビューディスプレイを動作させる方法のフロー図を示す。ブロック1101において、
図2A〜
図2Cを参照して上述したように、光源によって生成された光は、導光板に光学的に結合されて導光板内を伝播する光を生成する。ブロック1102において、
図3を参照して上述したように、光の一部が導光板から結合されてマルチビーム素子を介して出射される。ブロック1103において、
図5を参照して上述したように、反射支持構造に当接する面の一部に入射する光が反射されて導光板に戻る。この反射支持構造は、マルチビーム素子から結合されて出射された光の透過を可能にするように構成される。ブロック1104では、反射支持構造に配置されたライトバルブアレイのマルチビュー画素を用いて、結合されて出射された光を変調し、画像を作成する。
【0043】
開示された実施形態の上述の説明は、当業者が本開示を製造または使用することを可能にするために提供されていることを理解されたい。これらの実施形態に対する様々な変形が当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に例示された実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示された原理および新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲を与えられるべきである。