【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の対象物は、層(A)〜層(D)の順序で積層される4層(A)〜層(D)を備えるポリプロピレン薄膜(
図1と
図2B)であり、層(B)〜層(D)は、二軸配向ポリプロピレンを含み、
層(A)は、ポリウレタンとナノ粒子とを含み、層厚25nm〜300nmを有し、
層(B)は、ポリウレタンと共有結合可能な官能基を備える複数の重合体を含み、かつ層(A)に直接連結され、
層(C)は、全薄膜厚の少なくとも50%の層厚を有し、
層(D)は、粘着防止剤を含み、薄膜の外側層となる。
【0008】
本発明の薄膜は、良好な機械的特性と、改良された防護特性と表面特性とを備える。特に同薄膜は、層(A)上に塗布される金属層又は金属酸化物層に対し非常に強固に連結する。本明細書では、金属層は、(別途記載しない限り又は関連性から他の点が明確でない限り)常に金属酸化物層も含む。
【0009】
図2Aは、(中央の支持層の両表面に各単一の外側層(表面薄層)を有する)従来の二軸配向ポリプロピレン薄膜の断面を示し、
図2Bは、本発明の薄膜の断面を示す。
図2Aに示す従来の薄膜は、主要層又は支持層の中間層を有する。中間層は、薄膜全体に機械的特性と防護特性を与える主層である。中間層の両側の外側層は、付加される粘着防止剤を含み、支持層と類似の材料で基本的に構成される(最下層の詳細な図示を省略する)。粘着防止剤は、薄膜の表面に対してより大きな粗度を与える。薄膜の巻取り時に、粘着防止剤の粗度により、前面と裏面との過度な接着力が抑制されて、その後、薄膜を容易に繰り出すことができる。粘着防止剤の表面粗度を構成する固体粒子の粒径範囲は、通常、1/1000mm、好適には1μm〜10μm、特に好適には1.5μm〜4μmである。粘着防止剤は、通常外側層中にのみ配合されて、支持層の特性への悪影響が防止される。
【0010】
図2Bに示す本発明の薄膜では、層(C)と層(D)は、従来の薄膜の支持層と、下方の外側層とに相当する。層(A)と層(B)は、上方の外側層を置換したものである。層(A)の材料(ポリウレタン)により、本発明のポリプロピレン薄膜では、防護特性が改良される。また、ポリウレタン表面は、格段に円滑であり(表面粗度が極めて小さい)、明らかに表面張力が高い。ポリウレタン表面上に更に金属層を塗布すると、塗布した金属層は、ポリウレタン表面に強固に付着して、防護特性が更に向上する。層(B)に対する層(A)の付着力も顕著に強力である。層(A)の印刷適性もまた傑出する。更に、層(A)は、金属化と印刷に対する下塗剤(プライマー)となる。金属層又は金属酸化物層のない薄膜では、層(A)は、薄膜の外側層となる。
【0011】
層(A)に配合するナノ粒子は、凹凸の小さい表面を有し、層(A)に十分な表面粗度を与える。粘着防止粒子をナノ粒子で置換すると、ポリウレタン表面の金属層の防護特性が改良される事実は、驚愕に値する。防護特性の改善は、従来の薄膜(層内の粘着防止剤が薄膜の表面に接する)よりも表面粗度が、小さいことに基づく。従って、円滑で均質な被覆が得られる。他方、巻き上げる金属化薄膜の防護特性も改善される。産業用薄膜は、ロール形態で保管されて、事後処理に利用にされる。巻取時に、薄膜の上面と下面とは互いに接触する。薄膜の片面を金属で被覆する金属層は、薄膜の反対面に接触する。
図2Aに示す従来の二軸配向ポリプロピレン薄膜に金属層を設けても、金属層は、巻上げ状態では両面で粘着防止剤に直接接触する。薄膜の両面で直接薄膜に対向する箇所では、粘着防止剤の大きな粒子により、薄膜に高い圧力が加えられるため、金属層に穴(例えば、針孔)、亀裂、その他の欠損が生じて、防護特性が低下する。本発明の薄膜では、粘着防止剤の粒子は、明らかにより小さいナノ粒子に当接する。これにより、部分的に加えられる圧力が低下し、金属層中の欠損数、特に針孔数が低減する。欠損数低減効果は、粘着防止剤を具備しない層(D)にも生じる。即ち、より小さいナノ粒子により、従来の粘着防止剤より少ない欠損が、金属被覆層又は金属酸化物被覆層に発生するため、防護特性が改善される。
【0012】
ポリウレタン表面の高円滑性及び高表面張力を有するポリウレタン材料自体も、ロール上に巻取られる際に、下面と上面との間に強い付着力を生ずる。通常の高速度で薄膜をロールから引出すときに、付着力により移動過程に不規則性が生じ、これにより薄膜に強い引張力が作用して、防護層が損傷することがある。しかし、表面間に空気層を形成するナノ粒子により、問題なく薄膜を高速度で繰り出すことができる。
【0013】
本明細書に使用する用語「ポリプロピレン」は、二軸延伸により配向可能な又は既に配向されるポリプロピレンをいう。これは、不斉炭素が同じ絶対配置を持つ構造のアイソタクチックポリプロピレンを含む。同プロピレンは、置換基が炭素骨格の同一側にある高立体規則性(アイソタクティシティ)を有することが好適である。高立体規則性の好適範囲は、70%を上回り、特に好適には85%を上回り、最好適には92%〜96%である。同プロピレンは、ポリプロピレン単独重合体が好ましい。例えば、別の共重合化単量体を一定の割合だけ含有する類別等の所期の目的に使用する他のポリプロピレンを用いても良い。この場合に、通常、単量体の少なくとも70%、好適には少なくとも80%、特に好適には少なくとも90%、更に特に好適には少なくとも95%、最も好適には少なくとも98%のプロピレンを本発明のポリプロピレン薄膜に配合することができる。プロピレン以外では、例えば、異なるα−オレフィンの単量体を2重量%まで含有する重合体が適する。ポリプロピレン、特にポリプロピレン単独重合体と、異なる重合体との混合物(ブレンド)もまた適する。異なる前記重合体は、例えば、オレフィン重合体、オレフィン共重合体又はオレフィン三元重合体からなる群から選択できる。その群には、好適にはエチレンプロピレン共重合体が含まれる。
【0014】
本発明のポリプロピレン薄膜中のポリプロピレン単独重合体の好適な割合は、50重量%より大きく、特に好適には80重量%より大きく、更に特に好適には90%よりも大きく、最も好適には95%より大きい。
【0015】
別途説明しない限り、層(B)〜層(D)は、各層の全質量に対して、各層のポリプロピレンは、少なくとも35重量%、特に好適には少なくとも50重量%、更に特に好適には少なくとも75%、最も好適には少なくとも90重量%を含有できる。尤も、層又は層製造用材料が、全体として更に配向可能な限り、層(B)〜層(D)は、ポリプロピレンとして、アイソタクチックポリプロピレン又はそれ以外の重合体を含むことはできない。
【0016】
ポリプロピレンの重量平均分子量範囲は、好適には150,000g/mol〜500,000g/mol、特に好適には200,000g/mol〜480,000g/mol、更に特に好適には250,000g/mol〜450,000g/molである。
【0017】
動的示差熱量測定(DSC)での計測では、ポリプロピレンの結晶化度は、いずれの場合も、好適には少なくとも20%、特に好適には少なくとも25%、更に特に好適には少なくとも45%である、ポリプロピレンの結晶化度は、動的示差熱量測定(DSC)では、一般的に、30%〜70%が好適範囲である。
【0018】
本発明の薄膜を構成する層(B)〜層(D)は、二軸配向ポリプロピレン薄膜を形成する。縦方向は、本来薄膜の搬送通路に沿う押出し方向(機械方向)であり、「MD」と略称する。縦方向に対して垂直な横方向は、「TD」とも略称する。厚さは、第3の寸法である。二軸配向ポリプロピレン薄膜は、傑出した機械特性を有し、良好な防護特性を有する。
【0019】
本発明の薄膜の厚さ範囲は、通常3μm〜50μm、好適には5μm〜30μm、特に好適には5μm〜20μmである。より薄い薄膜は、価格効率が良く、軽量である。厚さが薄過ぎると、機械特性と、耐処理性が不十分である。過度に厚いと、同様に製造時の処理可能性と追加処理は不十分になる。
【0020】
層(A)
本発明のポリプロピレン薄膜は、ポリウレタン層(A)を備える特徴がある。ポリウレタン層(A)は、全薄膜の酸素防護特性と水蒸気防護特性とを格段に改良する強力な気体拡散阻止作用を有する。特に、金属及び金属酸化物を備える耐久性被覆を、本発明のポリプロピレン薄膜の層(A)に形成できる。
【0021】
層(A)は、非常に滑らかな表面と、層(A)内のナノ粒子に依拠する好都合で正確に設定可能な表面粗度とを有する。アルミニウム等の金属被覆、酸化アルミニウム又は二酸化シリコン等の金属酸化物被覆を、非常に滑らかい層(A)の表面に極めて強固に付着して形成できる。小さい粒度のナノ粒子は、金属層又は金属酸化物層(M)と層(A)との間の強固な結合力に悪影響を与えない。また、ナノ粒子は、金属層又は金属酸化物層の欠損原因となる可能性がより少ない。逆に、ナノ粒子は、層(A)の表面に十分な表面粗度を付与して、層(A)の表面に摩擦係数を増加させるため、製造工程間にロールを通り、薄膜を有効に搬送しかつロール上に薄膜を巻上げ、ロールから薄膜を繰出すことができる。更に、非常に高くかつ非常に均一に分布する表面張力を有する層(A)に、事後に金属又は金属酸化物を被覆する化学性質は、ポリプロピレン層よりも明らかに適するので、複数の金属層又は金属酸化物層(M)を層(A)上に塗布すると、両層間の付着力は、明らかに改善される。複数のアルミニウム製の金属層(M)を層(A)の表面上に形成するとき、特に付着力の改善が認められる。蒸着する複数のアルミニウム原子の侵入深さは、(層(A)のない)非被覆薄膜の侵入深さより格段に深い。
【0022】
更に、製造工程、特に延伸工程後の表面処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理又は火炎処理)は、もはや必須ではない。複数の金属被覆又は金属酸化物被覆の形成時に、ポリプロピレン外側層を備える二軸配向ポリプロピレン薄膜に通常表面処理を施す必要があるが、本発明では、ポリプロピレンの非極性表面に発生する複数の官能基により、表面張力が増大し、付着力は、改善される。多くの場合、薄膜の延伸工程と、巻上げ工程との間に、この表面処理が行われる。一定時間後に、付着力は脆弱化するため、その後、必要に応じて、更なる処理前に改めて、表面処理を行う必要がある。例えば、数週間の貯蔵後に、付着力は、閾値未満に低下するから、改めて表面処理を行う必要がある。通常行われる後表面処理(例えば、コロナ処理、プラズマ処理又は火炎処理でも良い)に比較して、ポリウレタンの製造工程に組み込む(インライン)被覆工程は、表面張力の永続的強化に役立ち、再び実施する必要がないから、本発明のポリプロピレン薄膜では、再度の表面処理は、必須ではない。換言すれば、本発明のポリプロピレン薄膜は、長期間の貯蔵でも劣化しない点で、非常に重要な商業的利点があるから、工程技術的に非常に優れており、製造時間の節約にもなる。
【0023】
層(A)の層厚範囲は、25nm〜300nm、好適には50nm〜200nm、特に好適には50nm〜150nmである。層Aの最好適な層厚範囲は、100nm〜150nmである。層(A)の層厚範囲は、好適には、本発明のポリプロピレン薄膜の厚さの0.1%〜5%、好適には0.2%〜3%、特に好適には0.5%〜1%である。ポリプロピレンに比べると、ポリウレタンは、比較的高価である。従って、層厚を薄くして、製造価格を低減できる。しかしながら、前記層厚範囲よりも層(A)が薄いと、薄膜上の均一な層(A)の形成が困難になり、層(A)の防護特性が徐々に喪失する。逆に層(A)が厚いと、製造価格が上昇するが、防護特性はより良好になる。層(A)が非常に厚いと、製造工程被覆法ではもはや塗布不能(下記参照)となり、製造価格が不当に高騰する難点が生ずる。
【0024】
市販の複数のポリウレタン分散系塗料は、ポリウレタン用の材料に適する。Takelac(登録商標)WPB 341が特に適する。これは、30%ポリウレタンを含有する三井ケミカル社製の水溶性分散系塗料である。基本的には、前記以外の複数の方法で、層(A)を塗布できるが、薄厚成形、均等厚成形及び表面円滑性等の複数の利点を失う場合もある。また、製造工程被覆による層の形成も、もはや可能でない場合もある。単純な製法は、本発明の本質的な利点である(下記参照)。
【0025】
非晶質二酸化シリコンナノ粒子を含有する層(A)のナノ粒子が好適である。特にコロイド状二酸化シリコンナノ粒子を含有するナノ粒子が好適である。尤も、他のナノ粒子も適する。分散系塗料としてコロイド形態粒子を好適に採用できる。ポリウレタンに乾式添加するナノ粒子は、コロイド状分散系塗料よりも凝集し沈殿する傾向が強い。この特性は、不都合である。球状粒子を使用することが好適である。レーザー回折粒径分析により決定する層(A)内のナノ粒子の平均粒径は、層(A)の厚さを超えず又は層(A)の厚さの20%より大きいことが好適である。例えば、粘着防止粒子等のより大きい粒子は、層(A)から突出する寸法が大きく、塗布する金属層又は金属酸化物層(M)内に空孔、ボイド、特に針孔を形成して、防護特性に悪影響を与える不都合を生ずる場合がある。層(A)中のナノ粒子の平均粒径の好適範囲は、20nm〜150nm、特に好適には50nm〜150nm、更に特に好適には80nm〜150nmである。ナノ粒子が過剰に小さいと、摩擦係数増大作用が失われ、薄膜は、過剰に円滑になり、薄膜の円滑な搬送が不能又は不十分になる。逆に、過剰に大きいナノ粒子は層(A)上に突出して、複数の金属被覆又は金属酸化物被覆を損傷する難点が生じて、水及び空気が透過する欠損が薄膜に形成される不都合が生じる。
【0026】
層(A)内のナノ粒子のBET(ブルナウアーエメットテラー)理論による好適な比表面積範囲は、10m
2/g〜500m
2/g、特に好適には10m
2/g〜150m
2/g、より好適には10m
2/g〜100m
2/g、最好適範囲は20m
2/g〜70m
2/gである。これらの範囲のナノ粒子は、ポリウレタンに良好に結合する。アクゾノーベル(Akzonobel)社製水中コロイド状二酸化シリコン分散系塗料商品名Levasil(登録商標)30/50型ナノ粒子が特に好適である。
【0027】
層(A)内のナノ粒子の好適な含有範囲は、0.5重量%〜20重量%、特に好適には1重量%〜10重量%、更に特に好適には2重量%〜7重量%である。前記量のナノ粒子により、表面粗度を適合させて、複数の金属層又は金属酸化物層(M)を層(A)上に特に良好に付着させて、ロールに対し高速処理速度で薄膜を容易に巻上げ又は繰出すことができる。
【0028】
層(B)
ポリウレタンと共有結合可能な複数の官能基を備える複数の重合体により、層(B)(固着層)を形成して、ポリウレタン層(A)の薄膜への結合力を改善することができる。複数の官能基は、接着剤として作用する。複数の官能基を含有せず又は十分含有しない層(B)は、層(A)に完全に付着しないから、薄膜の構造は、不安定になる。複数の重合体は、ポリプロピレン又はこれ以外の重合体でもよい。いずれの場合も、層(B)は、ポリプロピレンを含有する。しかし、好適には重合体は、ポリオレフィンである。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる群から選択できるポリオレフィンは、ポリプロピレンが好適である。ポリプロピレンを使用する層(B)、層(C)及び層(D)は、処理上類似の特性を帯びる。ポリプロピレンは、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体及びプロピレン三元重合体からなる群から選択される複数の重合体である。
【0029】
層(B)内のポリプロピレンは、好適には補助的な複数の官能基を持ち得るプロピレン単独重合体、プロピレン共重合体又はプロピレン三元重合体である。層(B)に使用するプロピレン共重合体とプロピレン三元重合体は、好適には少なくとも50重量%、好ましくは80重量%〜98重量%範囲のプロピレン単量体を含有する。これら以外に好適には、エチレン及び/又はブチレン単量体を含有する。
【0030】
接着剤となる複数の官能基は、好適には、無水カルボン酸基、エポキシ基、カルボン酸基及びカルボン酸エステル基からなる群から選択される。層(B)の重合体は、例えば、無水カルボン酸基及びカルボン酸エステル基も含む種々のこの種の複数の官能基を含んでもよい。層(B)の重合体は、特に好適には、無水カルボン酸基を含有し、更に特に好適には、無水マレイン酸基を含有し、最も好適には、層(B)は無水マレイン酸で変性されたポリプロピレンを含む。層(B)は、好適には、無水マレイン酸で変性されるポリプロピレンにより構成され、特に好適には、結合無水マレイン酸基を備えるポリプロピレン、最も好適には、結合無水マレイン酸基を備えるポリプロピレン単独重合体である。無水マレイン酸基は、層(A)と層(B)との間に特に強い結合力を生ずる。これ以外に更なる重合体を層(B)が含有しない場合にも同様に好適である。多量のポリプロピレンを含む層(B)は、層(C)と層(D)と類似の機械特性と類似の延性特性を生ずる。多量の無水マレイン酸で変性した重合体は、特に層(A)と層(B)との間の結合力を強化する。結合される無水マレイン酸基を備えるポリプロピレン単独重合体の結合度範囲は、好適には0.01%〜1%、特に好適には0.1%〜0.4%である。
【0031】
例えば、共重合化2−ビニル−無水マレイン酸等の共重合化可能な無水マレイン酸誘導体でも、無水マレイン酸基をポリプロピレンに導入できる。層(B)は、複数の重合体と他の複数の重合体とからなる混合重合体(混合物)を含んでもよい。
【0032】
例えば、三井ケミカル社製の商品名Admer(登録商標)、三菱化学社製の商品名Modic(登録商標)、ケンプレックス(Chemplex)社製の商品名Plexar(登録商標)、イーストマン(Eastman)社製の商品名Epilene(登録商標)及びデュポン(DuPont)社製の商品名Bynel(登録商標)で販売される複数の変性ポリプロピレンは公知である。本発明の目的に好適な無水マレイン酸で変性したプロピレン単独重合体又はプロピレン共重合体(例えば、三井ケミカル社製Qシリーズ製品)の溶融指数は、230℃で1g〜10g/10分の範囲(ASTM(米国試験材料協会)D 1238)にあり、ビカット軟化温度は、110℃〜155℃の間である(ASTMD 1525)。前記重合体の製造法は、米国特許出願公開第3,480,580A号の例えば実施例3、4及び6中に記載される。結合する無水マレイン酸基は、層(B)の表面極性を向上しかつポリウレタン層(A)の成分への化学結合を改善にする。
【0033】
特に好適な無水マレイン酸で変性されるポリプロピレンは、商品名ADMER(登録商標)AT3177E(ドイツ三井ケミカル社から入手可能)である。特別な組成成分により、層(B)の表面にこの材料を使用すると、非常に高い光沢を生ずる。粗度の小さい層(B)の表面は、表面張力がより高く、層(B)上に層(A)を接着する付着力が高いため、層(A)での被覆(特に、縦方向延伸後の被覆、下記参照)に非常に適する。
【0034】
粘着防止剤を含有しない層(B)も特に好適である。複数の粘着防止剤は、層(B)の表面粗度を過度に増加させて、ポリウレタン層の結合力を劣化することがある。特に、前記粘着防止剤は、上に塗布する金属層又は金属酸化物層内に複数の欠損、特に針孔の原因となる起伏を非常に薄い層(A)の表面に生じて、酸素及び/又は水蒸気に対する防護特性を劣化する可能性がある。
【0035】
層(B)の好適な厚さ範囲は、通常0.3μm〜5μm、好ましくは0.3μm〜3μm、特に0.5μm〜2μmである。層(B)の好適な最大層厚は、薄膜厚の25%、より好適には最大15%である。
【0036】
層(C)
層(C)は、主層(基礎層又は支持層とも称する)である。層(C)は、本発明のポリプロピレン薄膜の機械特性に特に決定的に重要である。二軸配向性と層厚により、層(C)は、防護特性と光学特性にも顕著に役立つ。
【0037】
層(C)は、好適には、本発明のポリプロピレン薄膜層厚の少なくとも50%、好適には少なくとも70%、特に好適には少なくとも80%を占める。層(C)の厚さ範囲は、好適には3μm〜45μm、特に好適には5μm〜28μm、最好適には7μm〜20μmである。
【0038】
この種の薄膜は、当業者には十分公知である。好適には、層(C)は、ポリプロピレン単独重合体を含む。更に、好適には、層(C)のポリプロピレン含有量は、50重量%より多く、好適には80重量%より多く、特に好適には90重量%より多い。最も好適には、層(C)は、ポリプロピレン単独重合体からなる。
【0039】
層(D)
層(D)は、本発明のポリプロピレン薄膜を高速ロールにより繰り出して、ロールでの搬送に役立つ十分な表面粗度を層(A)の裏側の薄膜面に付与する好都合な表面性質を有する。従って、層(D)は、ポリプロピレン薄膜の通常の「外皮層」である。層(D)は、ポリプロピレン単独重合体を含有することが好適であるが、ポリプロピレン共重合体を含有してもよい。
【0040】
層(D)が含有する粘着防止剤の量範囲は、通常1重量%〜10重量%、好適には1重量%〜7重量%、特に好適には1重量%〜6重量%である。含有量が過度に少ないと、表面が円滑に失して、薄膜の良好な加工が阻害され、特に、巻上げと再繰出しを良好に行うことができない。逆に、含有量が過度に多いと、多くの粘着防止剤粒子が薄膜の表面に不当に突出する。対向する側が金属で被覆される薄膜を巻上げるとき、金属層に接触する粘着防止剤粒子は、金属層(又は金属酸化物層)内に押し込まれ、防護特性の劣化を招来する複数の欠陥、特に複数の針孔を形成する。従って、極力少なくかつ加工可能な量の粘着防止剤を投入すべきである。粘着防止剤の適切な量は、各薄膜について、事前の試験により導き出き、公知の全粘着防止剤を採用できる。
【0041】
本発明のポリプロピレン薄膜は、層(C)と、層(B)及び(D)との間に介在する追加の複数の層を設けてもよい。
【0042】
薄膜の意図する使用目的に応じて、例えば、微小空所、充填剤、吸収剤、紫外線保護剤又は光保護剤、染料及び不透明色素を形成する鉱物性添加物又は有機性添加物からなる群から選択される種々の通常の複数の添加物を全ての追加層に配合できる。
【0043】
ポリプロピレン薄膜の少なくとも片面に金属層又は金属酸化物層を設けて、食料品包装中又は食料品包装として使用する場合もある。本発明の対象は、層(A)の表面に直接連結される金属層又は金属酸化物層を有する本発明のポリプロピレン薄膜である。この薄膜は、直接食料品包装用に採用できる。
【0044】
層(B)、層(C)及び層(D)の配列と、厚さ18μmとを有する市販の二軸配向ポリプロピレン薄膜の酸素透過性(酸素透過率(oxygen transmission rate、OTR))は、約1500cm
3/m
2×日である。標準的な金属化により、酸素透過性を約60cm
3/m
2×日×バール〜80cm
3/m
2×日×バールに低減できる。本発明の製法により、「標準薄膜」と比較して、金属化する本発明のポリプロピレン薄膜のOTR値を価格効率良く6cm
3/m
2×日〜7cm
3/m
2×日に低減できる(表1、
図3)。即ち、現時点で利用可能な二軸配向ポリプロピレン薄膜に比較して、厚さ100nmに過ぎない被覆部(層(A))の採用により、本発明の二軸配向ポリプロピレン薄膜の酸素透過性を約10倍も低減できる。本発明は、防護特性の劣る通常の薄膜を金属化した二軸配向ポリプロピレン薄膜と、高製造価格の「超高防護(Ultra High Barrier)」薄膜(0.3cm
3/m
2×日以下の酸素透過性値を達成するが、非常に高価である)との間の隙間を埋める。水蒸気透過性(「water vapor transmission rate(水蒸気透過率)」)にも、同様の理由を適用できる。
【0045】
本発明のポリプロピレン薄膜の酸素透過性は、1cm
3/m
2×日〜10cm
3/m
2×日の好適な範囲である。本発明のポリプロピレン薄膜の水蒸気透過性は、好適な0.1g/m
2d〜0.5g/m
2dである。
【0046】
樹脂薄膜の金属化法は、当業者には公知である。例えば、熱薄膜エンボス法、メッキ法及びラッカー塗布法等の真空金属化法、間接金属化法により、原理的に金属化法が行われる。薄膜の特別な特性又は製法、補助剤を使用しない又は実質的に必要としない点で、真空金属化は、好適である。標準的な真空金属化(物理的気相成長法(Physical Vapor Deposition))又はスパッタリング(プラズマ化学気相成長法、(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、PE-CVD)により真空金属化を実施できる。アルミニウムを使用するとき、標準真空金属化を適用することが有利である。また、公知の方法により金属酸化物層を塗布できる。本発明のポリプロピレン薄膜に設ける金属酸化物層は、好適には層(A)の表面と直接連結する酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層である。金属酸化物層の厚さは、使用する材料に依拠して異なる。アルミニウム層の層厚範囲は、30nm〜80nmが好適である。酸化シリコン層の層厚範囲は、30nm〜80nmが好適であり、酸化アルミニウム層の層厚範囲は、5nm〜20nmが好適である。
【0047】
本発明の他の実施の態様は、ポリプロピレン薄膜を食料品包装品に適用できる。
【0048】
本発明の別の実施の態様は、下記工程を含むポリプロピレン薄膜の製法にある:
層(B)〜層(D)を備え、層(B)と層(D)が、外側層となる薄膜を縦方向に一軸延伸して薄膜を準備する工程と、
ポリウレタンとナノ粒子とを含有する流体分散系塗料層を層(B)上に塗布する工程と、
流体分散系塗料層を乾燥させて層(A)を製造する工程と、
層(A)を含む薄膜を横方向に延伸して、二軸配向薄膜を製造する工程。
【0049】
本発明の製法は、順次延伸工程を含む。本発明のポリプロピレン薄膜の製造方法は、好適には下記工程を含む:
前記組成を有する全成分を備える少なくとも層(B)、層(C)及び層(D)用の重合体を準備する工程と、
各重合体を溶融する工程と、
層(B)と層(D)を外側層として、各重合体を幅広スリットノズルから押出して層(B)、層(C)及び層(D)に対応する少なくとも3層を備える薄膜を作成する工程と、
冷却ロール上で得られる薄膜を冷却して、層(B)、層(C)及び層(D)を備える薄膜を作成する工程と、
薄膜を縦方向に延伸する工程と、
少なくともポリウレタンとナノ粒子とを含有する流体分散系塗料の均一な層を層(B)上に塗布して、流体分散系塗料層を形成する工程と、
加熱により流体分散系塗料層を乾燥して、層(A)を形成する工程と、
薄膜を横方向に延伸して、二軸配向薄膜を製造する工程。
【0050】
この製法では、準備する重合体は通常配向されない。
【0051】
二軸配向ポリプロピレン薄膜の従来の製法では、ポリプロピレン出発材料を準備し、溶融して、押出成形と冷却により、溶融物から流涎薄膜(一次薄膜)が形成される。その後、流涎薄膜は、延伸温度に再加熱され、順次又は同時に機械方向(MD)と横方向(TD)との二軸延伸され、延伸した二軸配向ポリプロピレン薄膜は、冷却後に巻上げられる。順次延伸では、流涎薄膜は、最初に機械方向(MD)に延伸され、その後横方向(TD)に延伸される。同時延伸では、流涎薄膜は、双方向に同時に延伸される。
【0052】
本明細書では、二軸配向ポリプロピレン薄膜を薄膜と称する一方で、非配向又は一軸配向ポリプロピレンフィルムくも薄膜(フィルム)と称する。薄膜とフィルムとは厳密に順守しない。薄膜とフィルムとの概念は、本発明では、同義語と理解でき、本発明の説明では、双方に交換可能に用いる。
【0053】
従来の製法に比較して、本発明の製法では、追加的に層(A)を塗布する。縦方向延伸後ではあるが、横方向延伸前の段階で、分散系塗料形態のポリウレタンを薄膜上に塗布する極めて単純な方法となり、従来の薄膜の製造工程に対して価格上昇を実質的に招来しない。ポリウレタン層に追加的な押出機を採用する必要がない。軟化点付近の温度に薄膜を加熱して、延伸するので、薄膜を加熱して横方向に延伸する際に、溶媒が自動的に蒸発して除去される。非常に薄い層(A)からの溶媒の蒸発に要する時間は非常に短い。同時に、流体分散系塗料成分としてのナノ粒子は、液体と共に層(A)の表面上に均等に配分される。製造工程で被覆により、ポリウレタン層に塗布でき、塗布に要する価格は非常に低い。
【0054】
縦方向の延伸過程前に、ポリウレタン分散系塗料を塗布する本発明の方法で説明する通り、本発明のポリプロピレン薄膜の製法は、下記工程を含む:
層(B)と層(D)を外側層として、前記組成物を備える非配向の層(B)〜層(D)(一次フィルム)を含む薄膜を準備する工程と、
ポリウレタンとナノ粒子とを含有する流体分散系塗料を層(B)上に塗布する工程と、
加熱により流体分散系塗料を乾燥させて層(A)を生成する工程と、
乾燥した薄膜と縦方向と横方向とに同時に延伸して、二軸配向薄膜を製造する工程。
【0055】
本発明のポリプロピレン薄膜の前記製法は、以下の好適な工程を含む:
少なくとも層(B)、層(C)及び層(D)用の前記組成物を有する重合体を準備する工程と、
各重合体を溶融する工程と、
層(B)と層(D)を外側層として前記重合体を幅広スリットノズルから押出して、層(B)、(C)及び(D)に対応する少なくとも3層を備える薄膜を生成する工程と、
冷却ロールにより、得られた薄膜を冷却して、層(B)、層(C)及び層(D)を備えるフィルムを作成する工程と、
少なくともポリウレタンとナノ粒子とを含有する流体分散系塗料を層(B)上に塗布する工程と、
加熱により流体分散系塗料を乾燥させて、層(A)を生成する工程と、
縦方向と横方向とに同時に乾燥した薄膜を延伸して二軸配向薄膜を製造する工程。
【0056】
前記製法では、準備する重合体は、通常配向されない。例えば、一軸押出機又は二軸押出機を用いて、重合体を溶融しかつ押出すことができる。
【0057】
本発明の第三の製法では、本発明の実施に使用する工程の組み合わせが用いられる。即ち、まず縦方向に薄膜を延伸した後、流体分散系塗料を薄膜上に塗布し、続いて再度同時に薄膜が延伸される。
【0058】
尤も、塗布する流体分散系塗料の少ない順次延伸を適用する最初に説明する製法の方が、製法を加速して実施し、製造価格を低減できる点で同時延伸の場合よりも有利である。
【0059】
流体分散系塗料は、ナノ粒子とポリウレタン以外に溶媒を含む。流体分散系塗料は、流体分散系塗料乾燥質量に対し、0.5重量%〜20重量%、好適には1重量%〜10重量%、特に好適には2重量%〜7重量%のナノ粒子を含有することが好ましい。一定重量に達するまで、温度130℃で流体分散系塗料を乾燥すると、乾燥質量が決定される。残留物質は、乾燥質量を示す。通常140℃以下、好適には130℃以下、特に好適には120℃以下の沸点を有する溶媒をこの製法の流体分散系塗料に用いることが好適である。
【0060】
流体分散系塗料乾燥質量に対して、通常80重量%〜99.5重量%、好適には90重量%〜99重量%、特に好適には93重量%〜96重量%のポリウレタンを含有する流体分散系塗料が使用される。ポリウレタンを除くと、乾燥質量は、少なくともナノ粒子を含有するが、更に補助剤を配合してもよい。また、流体分散系塗料は、通常5重量%〜25重量%、好適には10重量%〜20重量%、特に好適には12重量%〜18重量%の乾燥質量を含有する。流体分散系塗料は、好適には水溶性分散系塗料、特に好適には、水が流体分散系塗料の唯一用いられる溶媒である。流体分散系塗料は、更に架橋剤を含有してもよい。架橋剤は、流体分散系塗料乾燥質量の3重量%以下、好適には1重量%以下の量である。好適な架橋剤は、多官能性アジリジン架橋剤である。
【0061】
好適なポリウレタンは、ポリウレタン分散系塗料のTakelac(登録商標)WPB-341(三井ケミカル社製)を採用する。これは、特別に変性されたポリウレタンであり、従来のポリウレタンとは異なり、明らかに酸素防護性が高い。従来、この材料は、太陽電池又は特別な包装品のガス防護性を改善するため、「製造工程外(オフライン)被覆」部門中でのみ用いられた。製造工程とその後の延伸工程では、この材料は、従来全く用いられなかった。また、Levasil(登録商標)30/50(アクゾノーベル(Akzonobel)社製)のナノ粒子が3%〜5%の量だけ好適に添加される。
【0062】
薄膜の横方向延伸と同時に又は縦方向−横方向同時延伸を行う薄膜の予熱と同時に、流体分散系塗料を乾燥するのが本発明の好適な実施法である。通常延伸炉の予熱領域内で、温度120℃以上にポリプロピレン薄膜を加熱して、延伸温度に達する薄膜の延性を高めて、薄膜が延伸される。予熱領域内で薄膜を加熱すると、薄膜上の流体分散系塗料が同時に乾燥して、層(A)を形成できるので、流体分散系塗料を乾燥する追加工程は不要になる。
【0063】
リバースグラビアキス被覆法(Reverse Gravur Kiss Coating)により、流体分散系塗料を層(B)上に塗布するが、特に好適には「キス被覆法(kiss coating)」により、「リバースグラビア塗布機(reverse gravure coater)」を使用して、被覆される。
図4は、被覆実施法を略示する。2つの案内ロール間を通る薄膜は、薄膜の移動方向とは逆方向に回転する印刷(グラビア)ロールを介して案内される。貯蔵部内の水溶性分散系塗料は、印刷ロールに供給(点状で)される。この印刷法により、流体分散系塗料は、非常に高処理速度で均等に塗布される。流体分散系塗料の全質量に対する流体分散系塗料固体の各割合は、好適には5重量%〜20重量%、特に好適には10重量%〜20重量%、理想的には15重量%である。流体分散系塗料により、層(B)上に形成される湿式層質量は、好適には3g/m
2〜20g/m
2、特に好適には6g/m
2〜10g/m
2である。流体分散系塗料の固体割合は、特に好適には、10重量%〜20重量%であり、形成される湿式層質量は、6g/m
2〜10g/m
2である。塗布する流体分散系塗料の好適な温度は、100℃以下、より好適には70℃以下、特に好適には40℃以下である。同様の条件を薄膜にも適用することが好適である。より高温では、液体が沸騰しかつ/又は成分が分解する。印刷過程を実施する通常の室温維持には、基本的に問題が生じないはずである。しかし、薄膜に形成すべき層(A)を塗布する前に、流体分散系塗料を十分冷却しなければならない点に注意を要する。
【0064】
流体分散系塗料を塗布する工程前に、層(B)に表面処理を施すことが好適である。コロナ処理、プラズマ処理及び火炎処理から表面処理を選択することが好適である。コロナ処理が最好適である。表面処理を層(B)に施すと、層(A)と層(B)との間の付着力が改善される。横方向延伸前の薄膜の結晶化は、まだ比較的小さいので、コロナ処理、プラズマ処理及び火炎処理による事前処理は、延伸後に処理を施す従来の薄膜よりも有効である。ポリウレタン分散系塗料量も、横方向延伸前に塗布する場合よりも何倍も少ない。縦方向延伸後の薄膜幅1.5mを横方向に延伸すると、通常8m〜11mに達する。従って、遥かに多量の流体分散系塗料を塗布して、均等な被覆を形成しなければならなかった。
【0065】
本発明の製法では、温度範囲20℃〜40℃に冷却ロールの温度を設定することも好適な特徴である。通常少なくとも1の予熱領域を有する延伸炉を用いて、好適な横方向延伸が行われる。本発明の製法では、実際の延伸開始前に、ポリウレタン分散系塗料が実質的に乾燥する予熱温度に延伸炉の予熱領域を設定しなければならない。必要に応じて、通常の場合よりも予熱温度を高く設定しなければならない。予熱温度は、好適には通常の場合より2℃〜15℃だけ高く、特に好適には3℃〜10℃だけ高い。延伸前に流体分散系塗料が十分乾燥しないと、欠損、特に針孔が層(A)に発生することがある。層(A)の全表面に渡り、表面張力が均等な大きさであると、形成される被覆も均一になる。従って、酸素透過性又は水蒸気透過性にも十分な乾燥度を用いることができる。より長い乾燥時間又はより高い乾燥温度で、酸素透過性値又は水蒸気透過性値を改善すれば、薄膜とその製法に、乾燥温度は十分になる。
【0066】
順次延伸での好適な縦方向延伸比範囲は、2〜8、より好適には、3〜7、特に好適には、4〜6である。順次延伸での好適な横方向延伸比範囲は、4〜14、特に好適には、6〜10、より特に好適には、8〜10である。同時延伸法での好適な延伸割合は、35〜60、特に好適には40〜55、更に特に好適には45〜50である。冷却ロール上への溶融物の載置を所謂空気膜(エアナイフ)で支援する構造も有利である。
【0067】
延伸後に、薄膜の縦方向、横方向又は縦横両方向の内部応力を緩和することが望ましい。