特許第6894064号(P6894064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894064
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月23日
(54)【発明の名称】可搬型温度調節装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20210614BHJP
【FI】
   A41D13/005 103
   A41D13/005 101
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-80161(P2016-80161)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-190536(P2017-190536A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】592197821
【氏名又は名称】公益財団法人日本ユニフォームセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】山方 健士
(72)【発明者】
【氏名】谷山 洪栄
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−077207(JP,A)
【文献】 特表2006−518424(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0062206(KR,A)
【文献】 特開2000−288007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を伝達する流体状の媒体と、前記媒体の温度を調節する着脱可能な冷熱体と、前記媒体を前記冷熱体との間において熱交換するように前記冷熱体の外面に沿って配置される第1の媒体搬送路と、温度調節対象である被調節体の周囲に配置され、前記媒体が前記第1の媒体搬送路との間を閉鎖循環するように設けられる第2の媒体搬送路と、前記媒体を前記第1の媒体搬送路と前記第2の媒体搬送路との間において循環させる循環装置と、前記循環装置に電力を供給する電源部と、前記第1の媒体搬送路、前記循環装置、及び前記電源部を収納する収納部と、前記媒体の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部によって検知した温度に基づいて前記循環装置を制御することにより前記媒体の流量を制御する制御部と、を備える可搬型温度調節装置であって、
前記第1の媒体搬送路が、
前記冷熱体の外面の一方の面に接触するように前記収納部の底に蛇行配置される媒体チューブと、前記冷熱体の外面の他方の面に接触するジグザグ蛇行流路を有する媒体パックとによって形成され、前記冷熱体と熱交換する可搬型温度調節装置。
【請求項2】
熱を伝達する流体状の媒体と、前記媒体の温度を調節する着脱可能な冷熱体と、前記媒体を前記冷熱体との間において熱交換するように前記冷熱体の外面に沿って配置される第1の媒体搬送路と、温度調節対象である被調節体の周囲に配置され、前記媒体が前記第1の媒体搬送路との間を閉鎖循環するように設けられる第2の媒体搬送路と、前記媒体を前記第1の媒体搬送路と前記第2の媒体搬送路との間において循環させる循環装置と、前記循環装置に電力を供給する電源部と、前記第1の媒体搬送路、前記循環装置、及び前記電源部を収納する収納部と、前記媒体の温度を検知する温度検知部と、前記循環装置から前記第2の媒体搬送路への流量を調整する流量調整部と、前記温度検知部によって検知した温度に基づいて前記流量調整部を制御することにより前記媒体の流量を制御する制御部と、を備える可搬型温度調節装置であって、
前記第1の媒体搬送路が、
前記冷熱体の外面の一方の面に接触するように前記収納部の底に蛇行配置される媒体チューブと、前記冷熱体の外面の他方の面に接触するジグザグ蛇行流路を有する媒体パックとによって形成され、前記冷熱体と熱交換する可搬型温度調節装置。
【請求項3】
前記冷熱体は、
保冷材及び発熱材のうちから1種類選ばれる請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【請求項4】
前記第1の媒体搬送路は、
前記冷熱体の外面の一方の面に接触するように前記収納部の底に螺旋状に周回配置される媒体チューブと、前記冷熱体の外面の他方の面に接触するように螺旋状に周回配置される流路を有する媒体パックである請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【請求項5】
前記第2の媒体搬送路は、
被服、布帛、ニット、不織布、シート状樹脂、シート状皮革、及び固体の中から1種類以上選ばれる搬送路担持体に担持される請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【請求項6】
前記媒体は、
液体の水、液体の炭化水素、シリコンオイル、不凍液、アンモニア、二酸化硫黄、フロン、及びメチルクロライドの中から1種類選ばれる請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【請求項7】
前記第1の媒体搬送路は、
前記第2の媒体搬送路に対して着脱できるように形成される請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【請求項8】
前記収納部は、
携帯可能な袋状物である請求項1又は2に記載の可搬型温度調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型温度調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気温が高いにもかかわらず衣服を着用しなければならない場合、例えば原子力施設内において気温が高く、被曝を防ぐための防護服を着用しなければならない場合、或いはオートバイの運転者が夏の暑い盛りにジャンプスーツを着用してオートバイを運転する場合、身体を効率よく冷却する必要がある。
【0003】
また逆に、気温が低いにもかかわらず防寒具を重ね着できない場合、例えば冷凍倉庫内において作業者が作業をする場合、或いは冬の寒いときに屋外において作業をしなければならない場合、身体を効率よく加温する必要がある。
【0004】
このような必要性に応ずるために、衣服にチューブを縫い付け、このチューブに冷却媒体を通し、この冷却媒体を蒸発器、圧縮機、凝集器、ポンプ、及びマイクロコンピュータを備える冷却装置によって冷却しながらチューブ内を循環させる技術が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0005】
しかし、この技術によっては冷却装置の重量が重くなり、作業に支障が出るのみならず、冷却装置を稼働させるためのバッテリーの消耗が速く、稼働時間が短くならざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−310208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、より重量が軽く、より長い時間稼働できる可搬型温度調節装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の可搬型温度調節装置は、熱を伝達する流体状の媒体と、前記媒体の温度を調節する着脱可能な冷熱体と、前記媒体を前記冷熱体との間において熱交換するように前記冷熱体の外面に沿って配置される第1の媒体搬送路と、温度調節対象である被調節体の周囲に配置され、前記媒体が前記第1の媒体搬送路との間を閉鎖循環するように設けられる第2の媒体搬送路と、前記媒体を前記第1の媒体搬送路と前記第2の媒体搬送路との間において循環させる循環装置と、前記循環装置に電力を供給する電源部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より重量が軽く、より長い時間稼働できる可搬型温度調節装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態の可搬型温度調節装置の被服部の正面図。
図2】被覆部の背面図。
図3】温度調節部の図2(B)におけるXX線断面図。
図4】温度調節部2の構成を示す図。
図5】第2の実施形態の可搬型温度調節装置のシート状搬送路担持体を示す図。
図6】第3の実施形態の可搬型温度調節装置の固形搬送路担持体を示す図。
図7】第4の実施形態の可搬型温度調節装置のポンプの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例にかかる可搬型温度調節装置を、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態の可搬型温度調節装置は、被服部1と、温度調節部2と、を備える。図1は、被服部1の正面図、図2は被服部1の背面図である。図1及び図2(A)は温度調節部2を装着していない被服部1を、図2(B)は温度調節部2を装着した被服部1を示す。
【0013】
図1及び図2に示すように、被服部1は、上半身、下半身、或いは全身などの身体の一部または全部に装着又は纏う被服体11と、被服体11の装着されたチューブである被服体チューブ12と、を備える。
【0014】
被服体11は、綿、ナイロン、ポリエステル等の布帛によって形成される。被服体11は、例えば腰に対応する部分に被服体チューブ12のインレットジャック12Aと、アウトレットジャック12Bと、を備える。
【0015】
被服体チューブ12は、被服体11の表面に沿って蛇行するように取り付けられる。被服体チューブ12は、1本のチューブによって形成されていてもよいが、インレットジャック12Aに接続する1本のチューブから複数分岐するチューブを有していることが冷却効率を高める上において望ましい。
【0016】
被服体チューブ12が複数分岐するチューブを有する場合、各チューブは同一の長さを有し、かつ各チューブは被服体の異なる部位に設置される。例えば、被服体チューブ12は、右首周り、左首周り、右胸、左胸、右わき腹、左わき腹、右側背中、左側背中、等のように、異なる部位に左右又は上下に往復するように配置される。
【0017】
このように配置すると、インレットジャック12Aの付近の温度とアウトレットジャック12Bの付近の温度とが大きく異なることがなくなり、身体をより均一に温度調節することが可能となる。
【0018】
温度調節部2は、被服部1に適宜の方法によって装着される。例えば、温度調節部2はベルトを用いて背負うリュックサック、肩掛けバック、ヒップバッグ、アームポーチ、或いはレッグポーチのように装着してもよい。或いは、キャリーバックのように可搬できる形態でもよい。
【0019】
温度調節部2の大きさは、図2(B)に示すように、背負うことができ、或いはキャリーバックのような可搬でき、かつ被服部1の装着者の身体運動と作業に邪魔にならない程度の大きさを有することが望ましい。従って、温度調節部2は縦長に形成されることが望ましい。
【0020】
図3は、温度調節部2の図2(B)におけるXX線断面図、図4は温度調節部2の構成を示す図である。図4(A)は温度調節部2の蓋部33を開けて中身を取り出した図であり、図4(B)は蓋部33を閉じた状態の温度調節部2の図4(A)のY矢視図である。
【0021】
図3及び図4に示すように、温度調節部2は、熱を伝達する流体状の媒体と、媒体チューブ23と、媒体パック25と、冷熱体24と、ポンプ27と、ケース30と、を備える。
【0022】
媒体は熱を伝達する流体であればどのようなものでもよい。媒体は、例えば液体の水、流動パラフィンのような液体の炭化水素、シリコンオイル、不凍液、液体のアンモニア、液体の二酸化硫黄、フロン、メチルクロライドの中から1種類以上選ばれることが熱伝導効率の点から望ましい。
【0023】
水は水道水でもよいが、ポンプ27の寿命を延ばす点から純水やRO水(逆浸透法によって処理した水)であることが望ましい。
【0024】
不凍液は、例えばエチレングリコール及びグリセリンから1種類以上選ばれる液体と、水との混合物を用いることができる。
【0025】
媒体チューブ23の一端は、一端に吸入口21Bを有する第1吸入チューブ22の他端に接続される。媒体チューブ23は、図4(A)に示すように、ケース30の内底部に左右に往復して蛇行するように取り付けられる。媒体チューブ23の他端は媒体パック25の入り口に接続される。
【0026】
媒体パック25は、熱伝導性の高い材質、例えばアルミニウムなどの金属や合成樹脂によって形成される。媒体パック25は正面視がほぼ長方形の扁平な形状を有し、図4(A)に示すように、左右方向に往復して蛇行するように形成され、媒体を流す扁平な流路を有する。
【0027】
媒体パック25の出口には第2吸入チューブ26が接続され、第2吸入チューブ26はポンプ27の吸入ジャック27Aに接続する。
【0028】
冷熱体24は、蓄熱性の材質を備える。例えば、冷却を目的とする場合には冷却した保冷材が、加熱を目的とする場合には熱湯を入れた金属製の容器、使い捨てのカイロ、或いはヒータと交換可能な電源パックの組合せなどの発熱材を用いることができる。冷熱体24がヒータと交換可能な電源パックの組合せの場合、交換可能な電源パックは外付けでも構わない。冷熱体24は保冷材及び発熱材のうちから1種類選ばれる。
【0029】
冷熱体24は着脱可能であり、冷熱体24が保冷材の場合には温まった保冷材を温度調節部2から外して、冷えた冷熱体24と取り換えることができる。また、冷熱体24が熱湯を入れた金属容器の場合には、金属容器を取り出して熱湯を入れ替えることができる。冷熱体24が使い捨てカイロの場合には新しい使い捨てカイロと取り換えることができる。冷熱体24がヒータと交換可能な電源パックの組合せの場合には、電源パックを取り出し、新しい電源パックに交換、或いは、電源パックが充電式電池パックなら充電式電池パックを充電することができる。
【0030】
図3に示すように、冷熱体24は、一方の面が媒体チューブ23に接触し、他方の面が媒体パック25に接触するように配置される。つまり、第1の媒体搬送路である媒体チューブ23と媒体パック25は、媒体を冷熱体24との間において熱交換できるように冷熱体24の外面に沿って配置される。
【0031】
第1の媒体搬送路は、冷熱体24の外面を蛇行するように配置される管状体(チューブ)及び冷熱体24の外面に配置される袋状体のうちから1種類以上選ばれる。第1の媒体搬送路が袋状体の場合には、第1の媒体搬送路は冷熱体24の形状に合わせて扁平な形状に形成される。
【0032】
また、第1の媒体搬送路は、冷熱体24の外面を螺旋状に周回するように配置される管状体及び冷熱体24の外面を螺旋状に周回するように配置される袋状体のうちから1種類以上選ばれてもよい。
【0033】
ポンプ27は、その種類を問わず、例えばチューブポンプやダイヤフラムポンプを用いることができる。ポンプ27は、媒体の吸い込み口である吸入ジャック27Aと、媒体の吐き出し口である吐出ジャック27Bと、を有する。吐出ジャック27Bには吐出チューブ28が接続され、吐出チューブ28の先端の吐出口21Aは被服部1のインレットジャック12Aに接続される。
【0034】
また、ポンプ27はスイッチ29を備え、スイッチ29はケース30の外部に導出される。ポンプ27はさらに交換可能な電源パック、或いは充電可能な電池を含みポンプ27に電力を供給する電源部を備える。
【0035】
ケース30はナイロンなどの軽量な素材によって形成される。ケース30は、冷熱体24が配置される部分と、ポンプ27が設けられる部分とを区画する仕切壁30Aと、ファスナー30Bを有する蓋部33と、ポンプ27を固定するポンプ固定部27Cと、を備える。ケース30は、第1の媒体搬送路、ポンプ27、及び電源部を収納する。
【0036】
収納部であるケース30は、携帯可能な袋状物であってもよい。この袋状物には、例えば、ベルトを用いて背負うリュックサック、肩掛けバック、ヒップバッグ、アームポーチ、レッグポーチ、或いはキャリーバックのように可搬できる形態などが含まれる。
【0037】
図3の白抜き矢印に示すように、被服部1から戻ってきた媒体は、第1吸入チューブ22、媒体チューブ23、媒体パック25、第2吸入チューブ26、を経てポンプ27に至り、ポンプ27は吸入した媒体を吐出チューブ28を介して被服部1に還流させる。
【0038】
つまり、ポンプ27は、第1の媒体搬送路と、温度調節対象である被調節体、ここでは人間の身体の周囲に配置される第2の媒体搬送路である被服体チューブ12との間を媒体が閉鎖循環するように循環させる。
【0039】
第1の媒体搬送路と第2の媒体搬送路とはジャック等の繋手によって着脱可能に接続される。従って、ユーザは被服部1を着たまま温度調節部2を着脱することが可能である。
【0040】
図4(B)に示すように、ケース30は平面視が、蓋部33が上底に対応する略台形をなし、上底と台形の脚は丸みを以て接続される形状をなす。作業の際にケース30が物にひっかからないようにするためである。
【0041】
以上述べたように、本実施形態の可搬型温度調節装置は、熱を伝達する媒体と、媒体の温度を調節する着脱可能な冷熱体24と、媒体を冷熱体24との間において熱交換するように冷熱体24の外面に沿って配置される第1の媒体搬送路(媒体チューブ23と媒体パック25)と、温度調節対象である被調節体(身体)の周囲に配置され、媒体が第1の媒体搬送路との間を閉鎖循環するように設けられる第2の媒体搬送路(被服体チューブ12)と、媒体を第1の媒体搬送路と第2の媒体搬送路との間において循環させる循環装置(ポンプ27)と、循環装置(ポンプ27)に電力を供給する電源部と、を備える。
【0042】
従って、より重量が軽く、より長い時間稼働できる可搬型温度調節装置を提供することができるという効果がある。
【0043】
(第2の実施形態)
図5は、本実施形態の可搬型温度調節装置の第2の媒体搬送路32を含むシート状搬送路担持体31を示す図である。
【0044】
本実施形態の構成は、被服体11がシート状のシート状搬送路担持体31に変わった以外は第1の実施形態の構成と同様である。
【0045】
シート状搬送路担持体31は表面又は内部に上下方向又は左右方向に蛇行する第2の媒体搬送路32を含む。
【0046】
シート状搬送路担持体31は、布帛、ニット、不織布、シート状樹脂、及びシート状皮革の中から1種類以上選ばれる。
【0047】
第2の媒体搬送路32は、吐出口21Aに接続されるインレットジャック32Aと、吸入口21Bに接続されるアウトレットジャック32Bと、を備える。
【0048】
以上述べたように、本実施形態の可搬型温度調節装置は、被服の形態を有さない布帛、ニット、不織布、シート状樹脂、及びシート状皮革の中から1種類以上選ばれるシート状搬送路担持体31を備える。
【0049】
従って、例えば横たわっている人にブランケットを掛けるようにしてシート状搬送路担持体31を掛け、人の身体を冷却又は加熱することが可能となる。
【0050】
(第3の実施形態)
図6は、本実施形態の可搬型温度調節装置の第2の媒体搬送路42を含む固形搬送路担持体41を示す図である。
【0051】
本実施形態の構成は、被服体11が、断面が矩形の筒状体の固形搬送路担持体41に変わった以外は第1の実施形態の構成と同様である。
【0052】
固形搬送路担持体41は、熱伝導率が高い樹脂又は金属などの固体によって形成される。
【0053】
固形搬送路担持体41は、内面又は内部に正面視水平方向に蛇行して伸びる第2の媒体搬送路42を有する。
【0054】
第2の媒体搬送路42は、吐出口21Aに接続されるインレットジャック42Aと、吸入口21Bに接続されるアウトレットジャック42Bと、を備える。
【0055】
以上述べたように、本実施形態の可搬型温度調節装置は、被服の形態を有さない固体によって形成され、内部に空間を備える固形搬送路担持体41を備える。
【0056】
従って、内部の空間に被温度調節体を配置することによって手軽に恒温実験を行うことができるという効果がある。
【0057】
(第4の実施形態)
図7は、本実施形態の可搬型温度調節装置のポンプ27の構成を示す図である。本実施形態のポンプ27は、第1の実施形態から第3の実施形態までのポンプ27のいずれにも適用可能である。
【0058】
図7に示すように、ポンプ27は、制御部271と、温度センサ272と、流量調整部273と、ポンプ本体部274と、を備える。
【0059】
制御部271は、演算装置であるCPU(central processing unit)を含む。
【0060】
温度センサ272は、ポンプ本体部274から流出される媒体の温度を検知し、制御部271に出力する。
【0061】
流量調整部273は、オリフィス及び流量調整弁の中から選ばれ、ポンプ本体部274から第2の媒体搬送路に送られる媒体の量を調節する。
【0062】
制御部271は、温度検知部である温度センサ272によって検知した温度に基づいて流量調整部273を制御することにより媒体の流量を制御する。
【0063】
例えば、制御部271は、冷却を目的とする場合、媒体の温度が第1の閾値より低い場合には流量を標準値より減らし、媒体の温度が第1の閾値より高い第2の閾値を超える場合には流量を標準値より増やす。
【0064】
制御部271は、加熱を目的とする場合、媒体の温度が第1の閾値より低い場合には流量を標準値より増やし、媒体の温度が第1の閾値より高い第2の閾値を超える場合には流量を標準値より減らす。
【0065】
なお、ポンプ27は、流量調整部273を設けずに、ポンプ本体部274の動作を制御することにより流量を調節することもできる。
【0066】
この場合例えば、制御部271はポンプ本体部274に供給される電力をPWM制御(pulse width modulation control)によりデューティーをコントロールすることによりポンプ本体部274の動作を制御する。
【0067】
また、冷熱体24は、電熱ヒータ、セラミックヒーター、ペルチエ素子などの加温又は加熱の少なくとも一方を行う、いわゆるチラーと言われる冷熱装置を用いることができる。この場合、制御部271や温度センサ272は冷熱装置に設けられていてもよい。
【0068】
さらに、温度センサ272は媒体の流路であれば任意の場所に設けることができる。例えば、温度センサ272は、インレットジャック12A、アウトレットジャック12B、吐出口21A、吸入口21Bのうち少なくとも一箇所に設けることができる。
【0069】
以上述べたように、本実施形態の可搬型温度調節装置は、ポンプ27が、制御部271と、温度センサ272と、流量調整部273と、ポンプ本体部274と、を備え、制御部271は、温度センサ272によって検知した温度に基づいて流量調整部273を制御することにより媒体の流量を制御する。
【0070】
従って、被温度調節体をより効率的に温度調節できるという効果がある。
【符号の説明】
【0071】
1 被服部
2 温度調節部
11 被服体
12 被服体チューブ
12A インレットジャック
12B アウトレットジャック
21A 吐出口
21B 吸入口
22 第1吸入チューブ
23 媒体チューブ
24 冷熱体
25 媒体パック
26 第2吸入チューブ
27 ポンプ
27A 吸入ジャック
27B 吐出ジャック
27C ポンプ固定部
28 吐出チューブ
29 スイッチ
30 ケース
30A 仕切壁
30B ファスナー
31 シート状搬送路担持体
32 第2の媒体搬送路
32A インレットジャック
32B アウトレットジャック
33 蓋部
41 固形搬送路担持体
42 第2の媒体搬送路
42A インレットジャック
42B アウトレットジャック
271 制御部
272 温度センサ
273 流量調整部
274 ポンプ本体部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7