(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894384
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】自動薬剤調合装置のための薬剤供給キャニスタ
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-568388(P2017-568388)
(86)(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公表番号】特表2018-519119(P2018-519119A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】NL2015050485
(87)【国際公開番号】WO2017003280
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】517456967
【氏名又は名称】キャニスター・ソリューションズ・ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】CANISTER SOLUTIONS B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アリエ・ファン・ヴェイングハーデン
(72)【発明者】
【氏名】カロリーネ・ファン・ヴェイングハーデン
【審査官】
胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−223538(JP,A)
【文献】
特表平09−508846(JP,A)
【文献】
米国特許第04811764(US,A)
【文献】
米国特許第06766219(US,B1)
【文献】
米国特許第04834263(US,A)
【文献】
欧州特許出願公開第2752182(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0030374(US,A1)
【文献】
英国特許出願公開第2473433(GB,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第2820260(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動薬剤調合装置のための薬剤供給キャニスタであって、
前記キャニスタが、ハウジング、複数の薬剤ユニットを保管するための保管部、前記薬剤ユニットを排出するための排出部及び保管された前記薬剤ユニットを前記排出部へ供給するための供給機構を備え、
前記保管部が、複数の薬剤ホルダを備え、前記薬剤ホルダのそれぞれが、他の保持された薬剤ユニットから分離された1の薬剤ユニットを保持するように配置され、前記供給機構が、前記薬剤ホルダ内の前記薬剤ユニットを前記排出部へ供給するように配置され、
前記薬剤ユニットを前記排出部へ供給するために、前記薬剤ホルダが、特に前記排出部に対して移動可能であって、
前記薬剤供給キャニスタが、複数層の薬剤ユニットを保持するための複数の積層された保持面を備え、各保持面が薬剤ユニットを前記保持面から下層の前記保持面へ搬送するための開口部を備え、連続する2つの層の開口部が互い違いになっており、最下端の保持面にある開口部が前記排出部を形成することを特徴とする薬剤供給キャニスタ。
【請求項2】
前記薬剤ホルダが、特に前記排出部に対して回転式に移動可能である請求項1に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項3】
前記薬剤ホルダが、前記保持面の周囲をループ状に移動するように配置される請求項2に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項4】
薬剤ホルダがコンパートメントを備え、各コンパートメントが1の薬剤ユニットを保持するように配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項5】
複数の可動の壁を備え、保持面及び2つの隣接する壁と場合により前記ハウジングによってコンパートメントが定義される請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項6】
前記複数の壁が設けられた駆動可能なエンドレスベルトを備える請求項5に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項7】
前記保持面のそれぞれが、前記薬剤ユニットを前記開口部へ供給するために、それぞれの開口部に対して移動可能な複数の可動式の薬剤ホルダを備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項8】
前記保持面の各々において所定の方向に前記薬剤ホルダを同期して移動させるための中央駆動軸を備える請求項7に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項9】
前記保持面の間に配置された複数のベルトを備え、前記複数のベルトが前記駆動軸により駆動可能である請求項6〜8のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項10】
各層の開口部が、上側搬送表面から前記排出部にむかって前記薬剤ユニットの螺旋状の搬送経路を形成するために、前記薬剤ホルダの移動方向とは逆の方向にずれている請求項1〜9のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項11】
自動薬剤調合装置の回転可能な駆動軸を受けるための軸継手を更に備え、前記軸継手が前記複数の薬剤ホルダを伝達機構を介して動かすために駆動軸に作動可能に連結されており、前記伝達機構が、前記軸継手の回転方向に関係無く、前記駆動軸を所定の方向に回転させるように配置されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤供給キャニスタ。
【請求項12】
複数の保持面と移動可能な薬剤ホルダを備える請求項1〜11のいずれか1項に記載のキャニスタに使用するための保管部ユニット。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のキャニスタを備える自動薬剤調合装置。
【請求項14】
請求項13に記載の自動薬剤調合装置を用いて薬剤を調合する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動薬剤調合装置のための薬剤供給キャニスタに関し、キャニスタが、ハウジング、複数の薬剤ユニットを保管するための保管部、薬剤ユニットを排出するための排出部及び保管された薬剤ユニットを排出部へ供給するための供給機構を備えるものである。
【背景技術】
【0002】
自動調合キャビネット(ADC)、ユニットベースのキャビネット(UBC)、自動調合装置(ADD)、自動分配キャビネットまたは自動調合機械(ADM)とも呼ばれる自動薬剤調合装置は、所定の患者の特定の処方箋に従って様々な種類の薬剤を梱包するように配置されたコンピュータ化された薬物保管および包装装置である。自動薬調合装置は、複数の、典型的には50〜400の薬剤供給キャニスタを備え、それぞれが異なる種類の薬剤を収容する。
【0003】
このようなキャニスタは、典型的には、例えば丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態を有する複数の薬剤ユニットを保管するための保管部としての容器を定義するハウジングを備える。容器の底部近傍には、薬剤ユニットを排出部、例えば、キャニスタの排出開口部に個別に供給するための供給機構が配置されている。供給装置は、典型的には、収容された薬剤ユニットに従って成形された容器(レセプタクル)を有する回転部材の形態を有する。回転部材が回転すると、容器は単一の薬剤ユニットで満たされ、回転によって排出部に搬送される。一度に単一のユニットのみが排出されることを確実にするために、単一の薬剤ユニットのみが回転部材の容器に適合することが重要である。キャニスタの排出は、排出された薬剤ユニットを調合装置内の包装機構に搬送するために、調合装置の搬送手段、例えば樋またはエンドレスベルトに連結される。
【0004】
この供給機構は、典型的には、自動薬剤調合装置の駆動軸によって駆動され、それによりキャニスタが駆動軸の係合時に薬剤ユニットを供給できるようになっている。薬剤キャニスタには、自動薬剤調合機の駆動軸を供給機構に連結するための軸継手が設けられている。薬剤ユニットがキャニスタによって確実に供給されるようにするために、登録ユニット、例えば光学的登録ユニットが、典型的にはキャニスタの排出部の近くに設けられており、薬剤ユニットが駆動軸の回転時に排出されるかどうかを決定する。
【0005】
回転機構の形態を有する供給機構が常に信頼できるとは限られないという問題がある。例えば、回転機構内の容器が正しく充填されておらず空であり、回転機構の回転による搬送時に薬剤ユニットが排出されない場合がある。例えば、薬剤ユニットが登録ユニットによって検知されるまで回転機構が例えば回転するという場合がある。
【0006】
回転機構の他の問題は妨害である。容器に正しく配置されていないことによって、薬剤ユニットが回転機構の回転を妨害する可能性がある。この問題に対処するために、妨害が検出された場合に、例えば、駆動軸の測定されたトルクの増加または測定された合理的な移動の減少によって、回転機構の回転を逆転させることが知られている。よって、調合装置の駆動軸は、典型的には、2つの逆の方向に回転するように構成されている。
【0007】
さらに、既知のキャニスタの欠点は、奇妙な形状および/または部分的な薬剤ユニット、すなわち錠剤の一部を確実に排出することが、不可能ではないにしても困難であるということである。特に、これら分割された錠剤、例えば半分に壊れた錠剤は損傷の影響を受けやすい。例えば、妨害時における容器又は回転機構においては、これらの薬剤ユニットが粉砕されることがある。
【0008】
したがって、自動薬剤調合装置に、複数のホルダが設けられたリムーバブルトレイを装備することが知られており、各々が単一の、場合によっては異なる薬剤ユニット、例えば錠剤の一部を受け取り、排出するように配置されている。自動的に、患者固有の処方箋に従って、例えばトレイ内のホルダの底部を引き抜くことなどにより薬剤ユニットを排出すると、ホルダ上の内容物がトレイの下にある自動薬剤調合装置の収集部分に供給される。そのようなトレイの充填、および特にその後の充填のチェックは、処理される処方箋(レシピ)にしたがって特定の薬剤で各薬剤ホルダを手動で充填する必要があるため、労働集約的で時間のかかる操作である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の他の目的の中の一の目的は、上述した問題点の少なくとも1つが、少なくとも部分的に解決される改良されたキャニスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、前文に記載のキャニスタは、保管部が複数の薬剤ホルダを備え、薬剤ホルダの各々が1の薬剤ユニットを保持するように配置され、供給機構が1の薬剤ホルダ内の1の薬剤ユニットを排出部へ供給するように配置される。薬剤ユニットを薬剤ホルダに保持することにより、好ましくは別の保持された薬剤ユニットと分離することにより、薬剤ユニットの破片状の容器を有する従来のキャニスタにも共通するような、保管部内での相互接触による薬剤ユニットへの損傷が防止される。これにより、上述のようにリムーバブルトレイが使用されている自動薬剤調合装置において、キャニスタを使用して薬剤ユニットを供給することができる。よって、キャニスタは、自動薬剤調剤装置に挿入されるように成形され構成されている。
【0011】
好ましくは、必要に応じて、例えば、上述のような自動薬剤調合装置、好ましくは供給機構に作動可能に接続可能な自動薬剤調合装置の駆動軸を駆動することによって、薬剤ホルダ内の薬剤ユニットが、好ましくは別の薬剤ユニットから分離されて、排出部に供給されるように、1つの種類の薬剤が、キャニスタの薬剤ホルダに保管される。
【0012】
用語「薬剤ユニット」とは、好ましくは薬剤の単一部分、すなわち丸剤、錠剤またはカプセル剤またはそれらの一部を含む。しかしながら、本発明に係る薬剤ホルダは、ホルダが複数の丸剤、錠剤またはカプセル剤又はこれらの一部を含むことができるように、薬剤の組み合わせ、好ましくは頻繁に使用される薬剤の組み合わせを含むように使用されることも可能である。
【0013】
薬剤ユニットを各ホルダから排出部へ搬送するために別途の供給機構を設けることも可能であるが、薬剤ユニットを排出部へ供給するために薬剤ホルダが移動可能であることが好ましい。薬剤ユニットは、それぞれの薬剤ホルダ内に搬送され、それにより薬剤ユニットへの更なる損傷が抑制される。薬剤ホルダが排出部と並ぶか又は隣接するときに薬剤ホルダに保持された薬剤を排出するための排出部に対して薬剤ホルダが移動可能となるように、薬剤ホルダが排出部に対して移動可能であることが好ましい。薬剤ユニットがすでにそれぞれの薬剤ホルダ内に収容されることにより、上述のような回転機構に関連する妨害の問題が抑制される。
【0014】
好ましくは、薬剤ホルダは回転式に移動可能である。薬剤ホルダは、各薬剤ホルダに保持された薬剤ユニットが排出部を介して連続的に排出されるように、移動により排出部と作動可能に接触して連続的に移動する。薬剤ホルダは、例えば、複数の薬剤ホルダを備えるカルーセルまたは回転バッファーとして形成されてもよく、異なる薬剤ホルダは、各薬剤ホルダに保持された薬剤ユニットを排出するために排出部と連続的に整列する。
【0015】
更なる好ましい実施形態によれば、薬剤ユニットに対する改善された保護が得られるものであり、薬剤ホルダがコンパートメントを備え、各コンパートメントが1の薬剤ユニットを保持するように配置されている。コンパートメントは、例えば壁のような適切な分割手段を用いて各薬剤ユニットを互いに分離するように配置されることが好ましい。
【0016】
更に好ましい実施形態によれば、保管部は、複数の薬剤ユニットを保持するための少なくとも1の保持面を備える。薬剤ユニットを保持面上に保管することにより、従来の容器型や箱型の保管部とは異なり、例えば薬剤ユニットをお互いに距離を置いて保持することにより、各薬剤ユニットを相互に分離して保持することができる。これにより、薬剤ユニット間の相互接触による損傷が防止されるかあるいは少なくとも軽減される。
【0017】
排出部は、保持面に開口部として形成されていることが好ましい。保持面上にある薬剤ユニットの開口部への移動が、その後、薬剤ホルダ内に保持された薬剤ユニットを排出させる。
【0018】
保持面自体は、例えば上述のような開口部の形態で、薬剤ユニットを排出部へ搬送するための例えば搬送ベルト又はコンベヤ手段のような形態の搬送手段又は供給手段として形成されることも可能であるが、キャニスタが複数の可動の壁を備え、コンパートメントが保持面及び2つの隣接する壁の間に定義されることが好ましい。壁は、保持面が静止している間に例えば適切な駆動手段によって移動され、これにより保持された薬剤ユニットを保持面に、例えば排出部として保持面にある開口部に向けて移動させる。保持面はコンパートメントの底部又は下側の壁を定義することができる。更には、コンパートメントは、例えば保持面を囲んで包囲するハウジングの間に定義することができる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、キャニスタは、薬剤ホルダを駆動するために駆動可能なエンドレスベルトを備える。これにより、薬剤ホルダとの同期動作が可能になる。好ましくは、エンドレスベルトは複数の壁を備える。エンドレスベルトと2つの壁が少なくとも部分的にコンパートメントを定義し、好ましくは上述した保持面及び場合によってはハウジングとともにコンパートメントを定義するように、壁が、例えばベルトの表面から好ましくは垂直に突出している。
【0020】
更に好ましい実施形態によれば、薬剤ホルダが、保持面の周囲をループ状に移動するように配置される。これにより、薬剤ホルダを効率的に移動させることができる。保持面は、好ましくは、実質的に楕円形または円形の搬送経路、又は少なくともコーナーの周りで薬剤ユニットのより適切な案内を確実にするために丸いコーナーを有する搬送経路を定義する。保持面は、好ましくは、前述の搬送経路に沿って、即ち周状の形状を有するように成形され、ハウジングによって区切られるか又は囲まれてもよく、ハウジングが搬送経路、即ちその外周表面を区切る。薬剤ホルダが開口部に対して保持面の周りを移動し、開口部は排出部として機能することが好ましい。
【0021】
本発明に係るキャニスタの容量を増やすために、キャニスタの更に好ましい実施形態は、複数の層の薬剤ユニットを保持するための複数の保持面を備える。保持面は、好ましくはお互いに積層方向に配置される。キャニスタの排出部は、キャニスタの下側に延在するため、薬剤ユニットがキャニスタの下側に向けて搬送されることが好ましい。したがって、各保持面が、薬剤ユニットを保持面から下層へ、例えば下側の保持面へと搬送するための開口部を備えることが好ましい。例えば、上述したように可動の壁によって少なくとも部分的に定義された移動可能なコンパートメントを使用して、保持面の開口部に薬剤ユニットを移動させることにより、本実施形態では好ましくはコンパートメントの下壁又は底面を形成する保持面としての下層に薬剤ユニットを落下させる。したがって、更に好ましい実施形態によれば、保持面のそれぞれが、薬剤ユニットを開口部へ供給するために、それぞれの開口部に対して移動可能な複数の可動式の薬剤ホルダを備える。最下端の保持面では、開口部は、薬剤ユニットを排出するために排出部を形成するか、又は排出部と少なくとも接続されるか関連することができる。
【0022】
更に好ましい実施形態によれば、2つの連続する層の開口部が、互い違いになっている。これにより、1の保持面からこの保持面の下に位置する保持面に薬剤ユニットを落下させることができる。したがって、薬剤ユニットは、上部(頂部)保持面から、好ましくはより下層の各保持面を経由して、好ましくは排出部を備える下部へ搬送される。上側の保持面にある開口部は、薬剤ホルダの所定の移動方向からみて保持面の開口部に対して上流側に延在することが好ましい。その後、薬剤ユニットは保持面の開口部に向かう移動方向に沿って保持面上を落下するように搬送される。
【0023】
前述したように、薬剤ホルダが保持面で所定の方向にループ状又は回転式に移動することが好ましい。次いで、上部保持面の開口部が、好ましくは薬剤ホルダの幅に対応する距離を有して所定の方向とは逆の方向の下部保持面の開口部に延在することが好ましい。薬剤ユニットはその後保持面の開口部に隣接する保持面上に落下し、薬剤ユニットが開口部から離れる方向に移動し、最終的には薬剤ホルダのループ状又は回転式の移動によって開口部へ到達する。これにより、保持面の緩衝能が最大となる。
【0024】
更に好ましい実施形態によれば、キャニスタが、保持面の各々において所定の方向に薬剤ホルダを同期して移動させるための中央駆動軸を備える。これにより、各保持面上の薬剤ホルダが好ましくは同期して移動するような効率的な供給機構が得られる。各層の開口部が、上側搬送表面から排出部にむかって薬剤ユニットの螺旋状の搬送経路を形成するために、薬剤ホルダの移動方向とは逆の方向にずれていることが好ましい。次いで、キャニスタが、保持面の間に配置された複数のベルトを備え、複数のベルトが駆動軸により駆動可能であることが好ましい。
【0025】
薬剤ホルダが常に同じ方向に移動することを確実にするために、薬剤ユニットが直接的に、すなわち薬剤ホルダの一回の移動の後に、ある表面から別の表面へ落下させることを防止するために、キャニスタが駆動軸の所定の回転方向を確保するための伝達機構を備えていることが好ましい。上述したように、自動薬剤調合装置は、典型的には、妨害を防止するために2つの方向に回転する駆動軸を備えている。次いで、伝達機構は、一定の、すなわち一方向性の回転運動が薬剤ホルダに、より具体的には複数の薬剤ホルダを移動させるための駆動軸に、例えば上述のベルトを用いて与えられるようにする。より具体的には、更なる好ましい実施形態は、自動薬剤調合装置の回転可能な駆動軸を受けるための軸継手を備え、軸継手が複数の薬剤ホルダを伝達機構を介して動かすために駆動軸に作動可能に連結されており、伝達機構が、軸継手の回転方向に関係無く、駆動軸を所定の方向に回転させるように配置されている。
【0026】
更に本発明は、保管部が、複数の保持面と移動可能な薬剤ホルダを備える、本発明に係るキャニスタに使用するための保管部に関する。
【0027】
更に本発明は、本発明に係るキャニスタを備える自動薬剤調合装置に関する。更には、本発明に係る自動薬剤調合装置又はキャニスタを使用して薬剤を調合する方法に関する。
【0028】
本発明は、本発明に係るキャニスタの好ましい実施形態を示す以下の図面によって更に説明されるが、本発明の技術的範囲が限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明に係るキャニスタを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、キャニスタの複数部分を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る保管部を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、
図3の保管部ユニットを分解して示す図である。
【
図5】
図5は、保管部ユニットの保持プレートを示す図である。
【
図6】
図6は、薬剤を分離して移動させるためのベルトを示す図である。
【
図7】
図7a及び
図7bは、駆動軸の2つの位置における伝達機構を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び2には、本発明に係るキャニスタ1が示されている。キャニスタは、自動調合装置の駆動軸と連結するための軸継手15(目に見えない)が設けられたベース部11を備える。ベース部11の下側には更に、軸継手15の回転により薬剤を排出するための排出部として機能する開口部16が設けられている。開口部16は、ベース部11の上面にある開口部17と動作可能に接続されているか又は開口部17連通している。キャニスタ1は、対応する形状を有する開口部14に収容されたクリック舌片13を用いてベース部11に取り外し可能に接続されたハウジング12を更に備える。
【0031】
ハウジング12は、好ましくは同一種類の複数の薬剤ユニットを保管するように配置された保管部ユニット2を収容している。保管部ユニット2は、各薬剤ユニットを分離して保管するように配置された複数の薬剤ホルダ20を備え、それにより薬剤ユニットがお互いに接触しないようになっている。保管部ユニット2は、この例では、ベース部11の開口部17を介して、薬剤ホルダ20に保管された薬剤ユニットを排出部16に排出するように配置されている。
【0032】
図3〜5は、保管部ユニット2を更に詳細に示す。保管部ユニット2は、積層配置された複数のプレート21を備え、2枚のプレート21がその間に薬剤を収容するために相互距離を隔てて延在している。薬剤はここではプレート21上に置かれている。プレート21間にはプレート21上の薬剤を移動させるように配置されたベルト3が配置されている。
【0033】
図6を参照すると、ベルト3には、複数の壁32が設けられたループ状に形成されたベルト本体31が設けられている。壁32は、ベルト本体31に対して実質的に直角に延在している。ベルト3が回転すると、以下に詳細に説明するように、壁32がベルト21上に保持された薬剤を押し出す。薬剤ホルダ20はここでは
図3に示すように、壁32、ベルト本体31、2枚のプレート21及び接続状態にあるハウジング12によってコンパートメントとして形成されている。
【0034】
ベルト3を回転させるために、上述のように軸継手15には、作動可能に連結された駆動軸33が設けられている。また、駆動軸33には、その形状に対応する非円形の形状を有する駆動軸33を受け入れるための非円形の開口部35dに設けられた複数の駆動プーリまたはスプロケット35が設けられている。駆動スプロケット35の外周には、ベルト本体31の対応する形状を有する溝31aに受け入れられた面取り縁(ベベルエッジ)35aが設けられている。これにより、スプロケット35とベルト本体31との上下の位置合わせを確実に行うことができる。その外周には壁32の突出部32bを受け入れる上下方向の溝35bが更に設けられている。これによりスプロケット35とベルト本体31との間のスリップが防止できる。保管部ユニット2にはプーリ又は車輪36が設けられる支持軸34が更に設けられており、ベルト3は、2つのプーリ35、36の周りに張架されている。シャフト34は、保管部ユニット2に回転自在に取り付けられている。また、支持車輪36には面取り縁36aが設けられている。各プレート21には、シャフト33、34が延在する2つの孔28(
図4参照)が設けられている。また、保管部ユニット2のベース29には、シャフト33、34を収容するための2つの孔が設けられている。
【0035】
ベース29には、ベース部11の開口部17と連通するための開口部22dが設けられた下側プレート21dが設けられている。したがって、以下においては、開口部22dがキャニスタ1の排出部16と少なくとも接続された状態で連通しているため(
図1参照)、開口部22dは排出部22dともいう。
【0036】
図4及び
図5を具体的に参照すると、各プレート21には、開口部22が設けられている。上側プレート21aの開口部22aは、充填用開口部として使用され、プレート21間の残りの開口部は薬剤を上側プレート21bから下側プレート21cへと搬送するために使用される。開口部22は、
図4の矢印Rで示されているように、移動方向Rから見てお互いに互い違いになっている。即ち、プレート21間のベルト3は
図4及び5に示すA1及びA2に示される方向に駆動され、下側プレート21bの開口部22bが上側プレート21aの開口部に対してコンパートメントの移動方向A1とは反対方向に位置している。薬剤ユニットが天板21aの開口部22a内に挿入されると、薬剤が突起状に見える開口部22aの位置に対応する位置101上に落下する。ユニット2は薬剤がプレート21bの外周を移動して最終的に開口部22bに到達するように、壁32が、A1で示される方向にのみ移動するように設計されている。これにより、薬剤が下側プレトート21c上の位置102に落下することになり、その位置は、上側のプレート21bの開口部22bの位置に対応する。次いで、軸33の係合により薬剤を経路A2に沿って移動させ、薬剤が最終プレート21d上に落ちて排出部22dへ駆動されるまで、最終的には薬剤を更に下部のプレートに落下させる。この配置は、第1の位置101から排出部22dに向かって薬剤ユニットの螺旋状又はコルクスクリュー形状の搬送経路を提供する。
【0037】
シャフト33が段階的に駆動されると、シャフト33の各回転により、コンパートメント内に保持された各薬剤が、スパイラル・バッファ内の1のスポット上に移動する。これにより、薬剤が互いに接触することなく、薬剤を排出する効率的かつ制御された方法を得ることが可能になる。
【0038】
ベルト3が常に同じ方向に駆動されることを確実にするために、軸継手15の回転方向にかかわらず、伝達機構40(
図7aおよび
図7b参照)が設けられている。この伝達機構40は、ベース部11に組み込まれている。機構40は、固定された軸を有する3つのスプロケット41,42,43と、ガイド44に案内される可動スプロケット45とを備える。軸継手15は、スプロケット41に結合され、駆動軸33はスプロケット42に結合されている。補助スプロケット43がスプロケット42と係合されている。スプロケット45は、
図7aに示すようにスプロケット41,42と係合する位置とスプロケット41、43と係合する位置との間で移動可能である。ガイド45は、ここではスプロケット44を2つの位置の間で案内するように配置されている。
【0039】
スプロケット41がR2方向に回転すると(
図7a)、スプロケット45は
図7aに示す位置にとどまる。これによりスプロケット42は方向R3に回転する。しかしながら、スプロケット41をR1方向に回転させると、スプロケット44は、ガイド45を介して方向dに回転式に移動するように促され、
図7bの位置に移動する。スプロケット44は、ここではスプロケット41および43と係合している。これにより、補助スプロケット43の使用により、スプロケット42が方向R3に回転することになる。
【0040】
本発明は図示の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態にも拡張される。
【符号の説明】
【0041】
1…キャニスタ
2…保管部ユニット
3…ベルト
11…ベース部
12…ハウジング
13…クリック舌片
14…開口部
15…軸継手
16、17…開口部
20…薬剤ホルダ
21…プレート
22、22a、22b…開口部
28…孔
29…ベース
31…ベルト本体
32…壁
33…駆動軸
34…支持軸
35、41、42、43、44、45…スプロケット
36…(支持)車輪
40…伝達機構