(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記在庫管理支援装置が、前記所定装置の交換を行った前記部品に対応する前記測定データの時系列の値又は当該測定データに基づき算出される対応する前記劣化因子の時系列の値に基づいて、当該部品の交換の良否を判定し、前記部品の交換が正常に行われていないと判定した場合に、所定の送信先に第2のアラートを送信する第3のステップを備える
ことを特徴とする請求項5に記載の在庫管理支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)本実施の形態による在庫管理支援システムの構成
図1は、本実施の形態による在庫管理支援システム1のハードウェア構成を示す。この在庫管理支援システム1は、昇降機2の部品の在庫管理を支援するシステムである。
【0017】
本在庫管理支援システム1は、遠隔監視装置3、測定データ管理サーバ4、稼動情報管理サーバ5、通信端末6及び在庫管理支援装置7を備え、これらがインターネットなどのネットワーク8を介して相互に接続されて構成されている。
【0018】
遠隔監視装置3は、監視対象の昇降機2の設置場所に配置された通信端末装置である。また測定データ管理サーバ4及び稼動情報管理サーバ5は、汎用のサーバ装置から構成される。通信端末6は、例えば、スマートフォンやタブレット等の携帯型の通信端末装置から構成され、保守現場などにおいて保守作業員9が昇降機2の部品の交換実績やそのとき発生した故障に関する情報(以下、これを部品交換実績・故障情報と呼ぶ)などを入力するために利用される。
【0019】
在庫管理支援装置7は、昇降機2の各部品の在庫管理を支援するための各種演算処理を実行するコンピュータ装置であり、CPU(Central Processing Unit)10及びメモリ11等の情報処理資源と、入力装置12及び表示装置13となどを備えて構成される。
【0020】
CPU10は、在庫管理支援装置全体の動作制御を司るプロセッサである。またメモリ11は、例えば半導体メモリなどから構成され、CPU10のワークメモリとして利用される。本実施の形態の場合、メモリ11には、故障発生周期演算プログラム14、在庫計画演算プログラム15、交換要否判定プログラム16、影響度ランクテーブル17、在庫計画テーブル18及び交換要否判定閾値テーブル19が格納される。これらの詳細については後述する。
【0021】
入力装置12は、マウスやキーボードなどから構成され、ユーザが在庫管理支援装置7に対する操作を行うために利用される。また表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイから構成され、必要な情報を表示するために利用される。
【0022】
図2は、本在庫管理支援システム1の論理構成を示す。この
図2において、実線で示す矢印は、在庫計画の作成時におけるデータやコマンドの流れを示し、破線で示す矢印は、保守作業員9により昇降機2の部品の交換が行われた後のデータやコマンドの流れを示す。
【0023】
遠隔監視装置3は、各昇降機2に対応させてそれぞれ設置され、対応する昇降機2に取り付けられたセンサなどにより計測した各部品の劣化因子に関する測定データをその昇降機2の制御盤2Aから定期的(例えば、数分〜数時間ごと)に取得し、取得した測定データを測定データ管理サーバ4に送信する。また遠隔監視装置3は、昇降機2全体や必要な部品の稼動時間などの稼動情報を例えば測定データと同じ周期で制御盤2Aから取得し、取得したこれらの稼動情報を稼動情報管理サーバ5に送信する。
【0024】
測定データ管理サーバ4は、遠隔監視装置3から送信されてきた各部品の劣化因子に関する測定データを
図3(A)について後述する測定データデータベース20に登録して管理する。また稼動情報管理サーバ5は、遠隔監視装置3から送信されてきた稼動情報と、通信端末6から送信されてきた上述の部品交換実績・故障情報とを
図4について後述する稼動情報データベース21に登録して管理する。
【0025】
在庫管理支援装置7は、故障発生周期演算部22、在庫計画演算部23及び交換要否判定部24を備える。故障発生周期演算部22は、在庫管理支援装置7のCPU10(
図1)がメモリ11(
図1)に格納された故障発生周期演算プログラム14(
図1)を実行することにより具現化される機能部である。
【0026】
故障発生周期演算部22は、稼動情報データベース21に格納された部品交換実績・故障情報を用いて昇降機2の部品種別ごとの故障の発生周期(以下、これを故障発生周期と呼ぶ)をそれぞれ算出する機能を有する。この場合、故障発生周期演算部22は、
図4について後述する影響度ランクテーブル17を参照して、その部品種別の部品が故障した場合に昇降機2の運行に支障をきたす度合い(以下、これを故障時影響度と呼ぶ)を加味して各部品の故障発生周期をそれぞれ算出する。
【0027】
在庫計画演算部23は、在庫管理支援装置7のCPU10がメモリ11に格納された在庫計画演算プログラム15(
図1)を実行することにより具現化される機能部である。在庫計画演算部23は、故障発生周期演算部22により算出された部品種別ごとの故障発生周期と、稼動情報データベース21に格納された各昇降機2の各部品の稼動情報とを用いて、各昇降機2の部品ごとの故障が発生すると予測される年月(以下、これを故障発生予測年月と呼ぶ)をそれぞれ算出し、算出結果を在庫計画テーブル18に格納する。また在庫計画演算部23は、この算出結果に基づいて各昇降機2の部品ごとの来年度の在庫の要否をそれぞれ判定し、この判定結果を在庫計画テーブル18に格納する。
【0028】
交換要否判定部24は、在庫管理支援装置7のCPU10がメモリ11に格納された交換要否判定プログラム16(
図1)を実行することにより具現化される機能部である。交換要否判定部24は、測定データデータベース20に蓄積された測定データと、
図7について後述する交換要否判定閾値テーブル19に予め登録されている部品ごとの測定データの閾値とに基づいて、各昇降機2の部品ごとに、現在の状態からその交換の要否を判定する機能を有する。また交換要否判定部24は、この判定結果に基づいて、各部品種別の部品の在庫量を在庫計画テーブル18に登録し、又は登録されている在庫量を変更するよう在庫計画演算部23に指示を与える。
【0029】
図3(A)は、測定データ管理サーバ4(
図2)が管理する測定データデータベース20の構成例を示す。測定データデータベース20は、この
図3(A)に示すように、製造番号欄20Aと、昇降機2の各部品にそれぞれ対応させて設けられた複数の計測値欄20Bとを備えて構成される。測定データデータベース20では、1つの行が管理対象の1つの昇降機2に対応する。
【0030】
そして製造番号欄20Aには、対応する昇降機2の製造番号が格納される。また本実施の形態の場合、
図3(B)に示すように、例えば、ベルトの伸び率など、部品種別ごとにその劣化因子が計測項目として定められている。そして計測値欄20Bには、昇降機2に設置されたセンサにより計測されて遠隔監視装置3から測定データとして送信されてきたこれらの計測項目に関する計測値が時系列に格納されて蓄積される。
【0031】
図4は、稼動情報データベース21の構成例を示す。稼動情報データベース21は、この
図4に示すように、製造番号欄21A、製品型式欄21B及び納入年月欄21Cと、昇降機2の各部品にそれぞれ対応させて設けられた複数の部品欄21Dとを備えて構成される。稼動情報データベース21では、1つの行が管理対象の1つの昇降機2に対応する。
【0032】
そして製造番号欄21Aには、対応する昇降機2の製造番号が格納され、製品型式欄21Bには、その昇降機2の型式が格納される。また納入年月欄21Cには、その昇降機2が設置場所に納入された年月が格納される。
【0033】
また各部品欄21Dは、それぞれ型式欄21DA、据付日欄21DB、交換日欄21DC、累積稼動時間欄21DD、月間稼動時間欄21DE及び故障来歴欄21DFから構成される。そして型式欄21DAには、対応する部品の型式が格納され、据付日欄21DBには、その部品が対応する昇降機2に据え付けられた日にち(据付日)が格納される。
【0034】
さらに交換日欄21DCには、対応する部品が交換された場合に、保守作業員9(
図2)が作業現場等において通信端末6(
図6)に入力したその交換を行った日にち(交換日)が格納される。この場合、その部品が複数回交換されているときには、そのすべての交換日が交換日欄に時系列に格納される。
【0035】
同様に、故障来歴欄21DFには、対応する部品に故障が発生した場合に、保守作業員9が作業現場等において通信端末6に入力したその故障が発生した日にち(故障日)が格納される。この場合、その部品に故障が複数回発生しているときには、それらの故障が発生したすべての日にちが故障来歴欄21DFに時系列に格納される。
【0036】
累積稼動時間欄21DDには、稼動情報管理サーバ5が遠隔監視装置3から取得した情報に基づいて算出した対応する部品の累積の稼動時間(累積稼動時間)が格納される。また月間稼動時間欄21DEには、同じく、稼動情報管理サーバ5が遠隔監視装置3から取得した情報に基づいて算出した対応する部品の平均的な月間の稼動時間(月間稼動時間)が格納される。
【0037】
従って、
図4の例の場合、製造番号が「00001」の昇降機2は、製品型式が「A01」、納入年月が「2013/4」であり、その昇降機2で使用されている「部品1」という部品名(部品種別)の部品の型式は「MC001」、据付日は「2013/4」、累積稼動時間は「1440h」、月間稼動時間は「40h」であり、「2015/6/29」に故障が発生し(故障来歴欄21DF)、その日に交換が行われた(交換日欄21DC)ことが示されている。
【0038】
一方、
図5は、故障発生周期演算部22(
図2)が管理する影響度ランクテーブル17の構成例を示す。影響度ランクテーブル17は、昇降機2の部品種別ごとにその部品種別の部品に故障が発生した場合における昇降機2の運行に対する影響の度合い(以下、これを故障時影響度と呼ぶ)等を管理するためのテーブルであり、予めユーザにより設定される。
【0039】
図5に示すように、影響度ランクテーブル17は、部品名欄17A、型式欄17B、故障時影響度欄17C、故障頻度欄17D、部品コスト欄17E、部品納入期間欄17F及び故障発生周期算出時信頼度欄17Gを備えて構成される。影響度ランクテーブル17では、1つの行が1つの部品種別に対応する。
【0040】
そして部品名欄17Aには、昇降機2の対応する部品種別の名称(部品名)が格納され、型式欄17Bには、対応する部品種別の型式が格納される。また故障時影響度欄17Cには、対応する部品種別の部品についてユーザが判断した故障時影響度が格納される。本実施の形態の場合、この故障時影響度として「A」、「B」及び「C」の3つのランクが規定されており、故障が発生した場合に昇降機2の運行に最も大きい影響を与える部品種別の故障時影響度のランクが「A」、次に大きい影響を与える部品種別の故障時影響度のランクが「B」、最も影響を与えない部品種別の故障時影響度のランクが「C」にそれぞれ設定される。
【0041】
故障頻度欄17Dには、対応する部品種別の部品に故障が発生する頻度(以下、これを故障頻度と呼ぶ)が格納される。本実施の形態の場合、故障しやすい部品種別の故障頻度が「高」、次に故障しやすい部品種別の故障頻度が「中」、故障し難い部品種別の故障頻度が「低」にそれぞれ設定される。
【0042】
また部品コスト欄17Eには、対応する部品種別の部品の調達及び交換作業のコストが格納される。本実施の形態の場合、最も高い価格帯の部品のコストが「高」、次に高い価格帯の部品のコストが「中」、最も安い価格帯の部品のコストが「低」に設定される。
【0043】
部品納入期間欄17Fには、対応する部品種別の部品をその製造会社に発注してから保全事業者に納入されるまでの期間が格納される。さらに故障発生周期算出時信頼度欄17Gには、故障発生周期を計算する際に基準とすべき信頼度が格納される。例えば、信頼度「95%」の場合には、5%の部品に故障が発生する周期(故障発生周期)が格納される。
【0044】
従って、
図5の例の場合、「部品1」という部品種別の部品は、型式が「B01」であり、その故障時影響度のランクが「A」に設定され、故障頻度が「低」、部品コストが「高」であり、納入には「3ヶ月」を要し、故障発生周期を計算する際の信頼度が「95%」であることが示されている。
【0045】
他方、
図6は、在庫計画演算部23(
図2)が管理する在庫計画テーブル18の構成例を示す。在庫計画テーブル18は、故障発生周期演算部22により算出された各昇降機2の部品ごとの故障発生周期に基づいて在庫計画演算部23により算出された、各昇降機2の部品ごとの故障が発生すると予測される年月(以下、これを故障発生予測年月と呼ぶ)などを管理するために利用されるテーブルである。
【0046】
この在庫計画テーブル18は、
図6に示すように、製造番号欄18Aと、昇降機2の各部品にそれぞれ対応させて設けられた複数の部品欄18Bとを備えて構成される。在庫計画テーブル18では、1つの行が1つの昇降機2に対応する。そして製造番号欄18Aには、対応する昇降機2の製造番号が格納される。
【0047】
また各部品欄18Bは、それぞれ故障発生予測年月欄18BA、在庫要否欄18BB及び来年度在庫量欄18BCから構成される。そして故障発生予測年月欄18BAには、在庫計画演算部23により算出された対応する部品の故障発生予測年月が格納される。
【0048】
また在庫要否欄18BBには、対応する昇降機2におけるその部品の来年度の在庫の要否の判定結果が格納される。この要否判定は、在庫計画演算部23により算出されたその部品の故障発生予測年月に基づいて行われる。例えば、故障発生予測年月が来年度中である場合には、その部品の来年度の在庫が「必要」と判定され、故障発生予測年月が来年度中でない場合には、その部品の来年度の在庫が「不要」と判定される。
【0049】
さらに来年度在庫量欄18BCには、
図8〜
図12について後述する一連の処理により計画された対応する部品種別の部品の来年度の在庫量が格納される。
【0050】
従って、
図6の例の場合、製造番号が「00001」の昇降機2の「部品1」という部品種別の部品については、故障発生予測年月が「2021/2」であるため、その部品については来年度は在庫が「不要」であることが示されている。また
図6では、各昇降機2の「部品1」という部品種別の部品の在庫の要否の判定結果に基づいて、その部品種別(「部品1」)の部品の来年度の在庫量が「32」個に計画されたことが示されている。
【0051】
図7は、交換要否判定部24(
図2)が管理する交換要否判定閾値テーブル19の構成例を示す。交換要否判定閾値テーブル19は、各部品種別の部品の計測項目に対して予め設定された計測値又は計測値に基づき算出された値の閾値(以下、これを交換要否判定閾値と呼ぶ)を管理するために利用されるテーブルである。なお、この交換要否判定閾値は、対応する計測値又は計測値に基づき算出された値がその交換要否判定閾値を超過している場合に、その部品を1年以内に交換する必要があると考えられる値であり、予めユーザにより設定される。
【0052】
図7に示すように、交換要否判定閾値テーブル19は、部品名欄19A、計測項目欄19B及び交換要否判定閾値欄19Cを備えて構成される。交換要否判定閾値テーブル19では、1つの行が1つの部品に対応する。
【0053】
そして部品名欄19Aには、対応する部品種別の名称(部品名)が格納され、計測項目欄19Bには、その部品種別の部品について規定された計測項目が格納される。また交換要否判定閾値欄19Cには、対応する部品種別の部品の対応する計測項目について予め設定された交換要否判定閾値が格納される。
【0054】
従って、
図7の例の場合、例えば、「部品A」という部品種別の部品については、「伸び率」の交換要否判定閾値が「5%」、「部品B」という部品種別の部品については、「寸法変化量」の交換要否判定閾値が「15mm」に設定されていることが示されている。
【0055】
(2)在庫管理支援装置の各機能部の処理
(2−1)故障発生周期演算部の処理
図8は、例えば、次年度の各部品種別の部品の在庫量を決定する処理に関連して、在庫計画を立案するタイミング(以下においては、1年に1度とする)で故障発生周期演算部22により実行される故障発生周期算出処理の流れを示す。故障発生周期演算部22は、この
図8に示す処理手順に従って、昇降機2に用いられる各部品の部品種別ごとの故障発生周期をそれぞれ演算する。
【0056】
実際上、故障発生周期演算部22は、ユーザの所定操作に応じてこの故障発生周期演算処理を開始し、まず、稼動情報データベース21(
図4)に登録された昇降機2の部品の部品種別の中から未処理の部品種別を1つ選択する(S1)。
【0057】
続いて、故障発生周期演算部22は、稼動情報データベース21(
図4)を参照して、ステップS1で選択した部品種別(以下、これを選択部品種別と呼ぶ)の部品について、故障時間と故障件数との関係を取得する(S2)。
【0058】
具体的に、故障発生周期演算部22は、各昇降機2の選択部品種別の部品について、その故障日、据付日及び月間稼動時間を稼動情報データベース21からそれぞれ読み出し、読み出したこれらの情報に基づいて、次式
【数1】
により各昇降機2の選択部品種別の部品の故障時間をそれぞれ算出する。そして故障発生周期演算部22は、この算出結果に基づいて、
図9に示すような集計表を作成する。
【0059】
続いて、故障発生周期演算部22は、ステップS2で作成した集計表を利用してワイブル分析を行い、その選択部品種別の部品の形状パラメータm及び尺度パラメータηをそれぞれ算出する(S3)。また故障発生周期演算部22は、算出したその選択部品種別の部品の形状パラメータmの値が所定の閾値(本実施の形態では「1」とする)よりも大きいか否かを判定する(S4)。
【0060】
そして故障発生周期演算部22は、この判定で肯定結果を得た場合には、選択部品種別の部品が磨耗により故障が発生するタイプの部品であると判断して、影響度ランクテーブル17(
図5)を参照して、その選択部品種別の部品に対して設定された故障時影響度のランクが「A」であるか否かを判定する(S5)。
【0061】
故障発生周期演算部22は、この判定で肯定結果を得ると、次式
【数2】
で与えられる一般的なワイブル分析で用いる信頼度計算式を用いて、例えば次式
【数3】
により、95%信頼度で選択部品種別の部品に故障が発生する周期(故障発生周期)を算出し(S6)、この後、ステップS11に進む。
【0062】
これに対して、故障発生周期演算部22は、ステップS6の判断で否定結果を得ると、次式
【数4】
により、90%信頼度で選択部品種別の部品に故障が発生する周期(故障発生周期)を算出し(S8)、この後、ステップS11に進む。
【0063】
一方、故障発生周期演算部22は、ステップS4の判定で否定結果を得た場合、選択部品種別の部品の故障は偶発的に発生するものであって、その発生周期の予測は困難であると判断する。そして故障発生周期演算部22は、影響度ランクテーブル17を参照して、その選択部品種別の部品に対して設定された故障時影響度のランクが「A」であるか否かを判定する(S8)。
【0064】
そして故障発生周期演算部22は、この判定で肯定結果を得た場合には、その選択部品種別の部品の来年度の在庫量を本年度よりも増加させた個数(本実施の形態では本年度の1.2倍に増加させた個数)に決定し(S9)、この後、ステップS11に進む。
【0065】
これに対して、故障発生周期演算部22は、ステップS8の判定で否定結果を得た場合には、その選択部品種別の部品の来年度の在庫量を本年度と同じ個数に決定し(S10)、この後、ステップS11に進む。
【0066】
この後、故障発生周期演算部22は、稼動情報データベース21に登録されたすべての部品種別の部品についてステップS2以降の処理を実行し終えたか否かを判定する(S11)。そして故障発生周期演算部22は、この判定で否定結果を得るとステップS1に戻り、この後、ステップS1で選択する部品種別を未処理の他の部品種別に順次切り替えながら、ステップS1〜ステップS11の処理を繰り返す。
【0067】
そして故障発生周期演算部22は、やがて稼動情報データベース21に登録されたすべての部品種別についてステップS2以降の処理を実行し終えることによりステップS11で肯定結果を得ると、以上までの処理結果を在庫計画演算部23に送信し(S12)、この後、この故障発生周期演算処理を終了する。
【0068】
このように本実施の形態の在庫管理支援システム1では、部品種別ごとに、その部品種別の部品に故障が発生した場合における昇降機2全体への影響の度合い(故障時影響度)を考慮した故障発生周期をそれぞれ算出する。
【0069】
(2−2)在庫計画演算部の処理
図10は、上述の故障発生周期演算処理のステップS12で故障発生周期演算部22から送信された処理結果(以下、これを故障発生周期演算処理結果と呼ぶ)を受信した在庫計画演算部23により実行される処理(以下、これを在庫計画演算処理と呼ぶ)の内容を示す。在庫計画演算部23は、この
図10に示す処理手順に従って、各昇降機2における上述の故障発生周期演算処理により故障発生周期が算出された各部品種別の部品について、その故障発生予測年月を予測する。
【0070】
実際上、在庫計画演算部23は、かかる処理結果を受領すると、この
図10に示す在庫計演算処理を開始し、まず、稼動情報データベース21(
図4)に登録されている昇降機2の中からステップS21以降が未処理の昇降機2を1つ選択する(S20)。
【0071】
続いて、在庫計画演算部23は、ステップS20で選択した昇降機(以下、これを選択昇降機と呼ぶ)2について稼動情報データベース21(
図4)に登録されている部品の中から1つの部品を選択する(S21)。そして在庫計画演算部23は、その部品(以下、これを選択部品と呼ぶ)の部品種別の故障発生周期がそのとき受領した故障発生周期演算処理結果に含まれているか否かを判定する(S22)。
【0072】
この判定で否定結果を得ることは、選択部品が上述の故障発生周期演算処理のステップS9又はステップS10において来年度の在庫量が決定された部品種別であることを意味する。かくして、このとき在庫計画演算部23は、故障発生周期演算処理結果に含まれる、その部品種別の来年度の在庫量を在庫計画テーブル18(
図6)の対応する来年度在庫量欄18BCに格納し(S23)、この後、ステップS28に進む。
【0073】
なお、このように故障発生周期演算部22により決定された来年度の在庫量を在庫計画テーブル18に登録するのは同じ部品種別の部品について1度だけであり、これ以降、在庫計画演算部23は、選択部品が同じ部品種別である場合には、ステップS23をスルーしてステップS28に進む。
【0074】
一方、在庫計画演算部23は、ステップS22で肯定結果を得ると、そのとき受領した故障発生周期演算処理結果に含まれる、選択部品の部品種別の故障発生周期と、稼動情報データベース21(
図5)に登録されている選択部品の累積稼動時間及び月間稼動時間とに基づいて、その選択部品に故障が発生すると予測される年及び月(故障発生予測年月)を算出する(S24)。
【0075】
具体的に、在庫計画演算部23は、次式
【数5】
により、その選択部品に故障が発生すると予測される時期までの月数を算出し、算出した月数を現在の月に加算することによりその選択部品の故障発生予測年月を算出する。
【0076】
また在庫計画演算部23は、ステップS24で算出した故障発生予測年月が来年度中であるか否かを判定する(S25)。そして在庫計画演算部23は、この判定で否定結果を得ると、そのとき算出した選択部品の故障発生予測年月を在庫計画テーブル18(
図6)のその選択部品に対応する故障発生予測年月欄18BA(
図6)に格納すると共に、その選択部品に対応する在庫要否欄18BB(
図6)に来年度用の在庫は「不要」である旨の情報を格納する(S26)。そして在庫計画演算部23は、この後、ステップS28に進む。
【0077】
これに対して、在庫計画演算部23は、ステップS25の判定で肯定結果を得ると、算出した選択部品の故障発生予測年月を在庫計画テーブル18のその選択部品に対応する故障発生予測年月欄18BAに格納すると共に、その選択部品に対応する在庫要否欄18BBに来年度用の在庫は「必要」である旨の情報を格納する(S27)。そして在庫計画演算部23は、この後、ステップS28に進む。
【0078】
この後、在庫計画演算部23は、選択昇降機2のすべての部品についてステップS22以降の処理を実行し終えたか否かを判定する(S28)。そして在庫計画演算部23は、この判定で否定結果を得るとステップS21に戻り、この後、ステップS21で選択する部品をステップS22以降が未処理の他の部品に順次切り替えながらステップS21〜ステップS28の処理を繰り返す。
【0079】
また在庫計画演算部23は、やがて選択昇降機2のすべての部品についてステップS22以降の処理を実行し終えることによりステップS28で肯定結果を得ると、稼動情報データベース21に登録されているすべての昇降機2についてステップS21以降の処理を実行し終えたか否かを判定する(S29)。
【0080】
そして在庫計画演算部23は、この判定で否定結果を得るとステップS20に戻り、この後、ステップS20で選択する昇降機2をステップS21以降が未処理の他の昇降機2に順次切り替えながらステップS20〜ステップS29の処理を繰り替えす。
【0081】
そして在庫計画演算部23は、やがて稼動情報データベース21に登録されているすべての昇降機2についてステップS21以降の処理を実行し終えることによりステップS29で肯定結果を得ると、この在庫計画演算処理を終了する。
【0082】
(2−3)交換要否判定部の処理
図11は、交換要否判定部24(
図2)により、
図8について上述した故障発生周期演算処理よりも短い周期(例えば1ヶ月周期)で定期的に実行される処理(以下、これを交換要否判定処理と呼ぶ)の処理内容を示す。
【0083】
交換要否判定部24は、この
図11に示す処理手順に従って、
図10について上述した在庫計画演算処理のステップS26やステップS27において故障発生予測日及び来年度の在庫の要否を在庫計画テーブル18(
図6)に登録した各部品の部品種別ごとに、来年度の在庫量を決定して在庫計画テーブル18に登録し、又は、在庫計画テーブル18に登録した来年度の在庫量を必要に応じて変更する。
【0084】
実際上、交換要否判定部24は、この
図11に示す交換要否判定処理を開始すると、まず、稼動情報データベース21(
図4)に登録された昇降機2の中からステップS31以降が未処理の1つの昇降機2を選択する(S30)。
【0085】
また交換要否判定部24は、ステップS30で選択した昇降機(以下、これを対象昇降機と呼ぶ)2の部品の中からステップS32以降が未処理の1つの部品を選択し(S31)、その部品(以下、これを対象部品と呼ぶ)の計測項目に関する最新の計測値を測定データデータベース20(
図3(A))から取得する(S32)。
【0086】
続いて、交換要否判定部24は、ステップS32で取得した計測値、又は、当該計測値に基づいて算出した対応する計測項目の値が、交換要否判定閾値テーブル19(
図7)に登録されているその部品の交換要否判定閾値を超過しているか否かを判定する(S33)。
【0087】
そして、交換要否判定部24は、このステップS33において、例えば
図12(A)に示すように、その計測項目の最新の値がその交換要否判定閾値を超過していることを確認した場合には、対象部品を来年度中に交換する必要がある旨を在庫計画演算部23に通知する(S34)。
【0088】
かくして、この通知を受領した在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18(
図6)のその対象部品に対応する在庫要否欄18BB(
図6)に格納されている値を確認し、この値が「不要」であった場合にはその情報を「必要」に書き換え、かかる値が「必要」であった場合にはその情報の値を書き換えず、そのままにする。
【0089】
なお、在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18のその対象部品に対応する在庫要否欄18BBに格納されている値を「不要」から「必要」に書き換えた場合には、以下の(A1)又は(A2)のいずれかの処理も併せて実行する。
【0090】
(A1)在庫計画テーブル18上でその対象部品と同じ部品名に対応する来年度在庫量欄18BC(
図6)に来年度の在庫量が格納されていない場合、その対象部品の部品種別の部品(対象部品を含む)であって、在庫計画テーブル18上に対応する在庫要否欄18BBに格納された値が「必要」となっている部品の数をカウントし、そのカウント結果(総数)をその部品種別の来年度の在庫量として対応する来年度在庫量欄18BCに格納する。
【0091】
(A2)在庫計画テーブル18上でその対象部品と同じ部品名に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が既に格納されている場合、その来年度在庫量欄18BC)に格納されている来年度の在庫量を「1」だけ増加させる。
【0092】
また在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18のその対象部品に対応する在庫要否欄18BBに格納されている値を書き換えなかった場合(その在庫要否欄18BBに格納された値が元々「必要」であった場合)には、以下の(B1)又は(B2)の処理又は対応を併せて実行する。
【0093】
(B1)在庫計画テーブル18上でその対象部品の部品種別に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が格納されていないときには、上述の(A1)と同じ処理を実行する。
【0094】
(B2)在庫計画テーブル18上でその対象部品の部品種別に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が既に格納されている場合、何もしない。
【0095】
一方、交換要否判定部24は、ステップS33において、例えば
図12(B)に示すように、その計測項目の最新の値がその交換要否判定閾値を超過していないことを確認した場合には、対象部品を来年度中に交換する必要がない旨を在庫計画演算部23に通知する(S35)。
【0096】
かくして、この通知を受領した在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18のその対象部品に対応する在庫要否欄18BBに格納されている値を確認し、この値が「必要」であった場合にはその情報を「不要」に書き換え、かかる値が「不要」であった場合にはその情報の値を書き換えず、そのままにする。
【0097】
なお、在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18のその対象部品に対応する在庫要否欄18BBに格納されている値を「必要」から「不要」に書き換えた場合には、以下の(C1)又は(C2)のいずれかの処理も併せて実行する。
【0098】
(C1)在庫計画テーブル18上でその対象部品の部品種別に対応する来年度在庫量欄18BC(
図6)に来年度の在庫量が格納されていない場合、その対象部品の部品種別の部品(対象部品を含む)であって、在庫計画テーブル18上に対応する在庫要否欄18BBに格納された値が「必要」となっている部品の数をカウントし、そのカウント結果(総数)をその部品種別の来年度の在庫量としてその部品種別に対応する来年度在庫量欄18BCに格納する。
【0099】
(C2)在庫計画テーブル18上でその対象部品と同じ部品名に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が既に格納されている場合、その来年度在庫量欄18BCに格納されている来年度の在庫量を「1」だけ減少させる。
【0100】
また在庫計画演算部23は、在庫計画テーブル18のその対象部品に対応する在庫要否欄18BBに格納されている値を書き換えなかった場合(その在庫要否欄18BBに格納された値が元々「不要」であった場合)には、以下の(D1)又は(D2)の処理又は対応を併せて実行する。
【0101】
(D1)在庫計画テーブル18上でその対象部品の部品種別に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が格納されていないときには、上述の(C1)と同じ処理を実行する。
【0102】
(D2)在庫計画テーブル18上でその対象部品の部品種別に対応する来年度在庫量欄18BCに来年度の在庫量が既に格納されている場合、その来年度在庫量欄18BCに格納されている来年度の在庫量を「1」だけ減少させる。
【0103】
この後、交換要否判定部24は、対象昇降機2の必要なすべての部品についてステップS32〜ステップS35の処理を実行し終えたか否かを判定する(S36)。そして交換要否判定部24は、この判定で否定結果を得るとステップS31に戻り、この後、ステップS31で取得する部品を未処理の他の部品に順次切り替えながらステップS31〜ステップS36の処理を繰り返す。
【0104】
そして交換要否判定部24は、やがて対象昇降機2の必要なすべての部品についてステップS32〜ステップS35の処理を実行し終えることによりステップS36で肯定結果を得ると、測定データデータベース20(
図3(A))に登録されたすべての昇降機2についてステップS31〜ステップS36の処理を実行し終えたか否かを判定する(S37)。
【0105】
交換要否判定部24は、この判定で否定結果を得るとステップS30に戻り、この後、ステップS30で選択する昇降機2を未処理の他の昇降機2に順次切り替えながらステップS30〜ステップS37の処理を繰り返す。
【0106】
そして交換要否判定部24は、やがて測定データデータベース20に登録されたすべての昇降機2についてステップS31〜ステップS36の処理を実行し終えることによりステップS37で肯定結果を得ると、この交換要否判定処理を終了する。
【0107】
このように本実施の形態の在庫管理支援システム1では、過去の故障データを用いて故障発生時の影響度を考慮した在庫計画を立案するだけでなく、さらに各昇降機2の最新の状態をも判定して在庫計画に反映・調整するため、無駄のない在庫計画を立案することが可能となる。
【0108】
(2−4)部品交換良否判定処理
次に、在庫管理支援装置7に搭載された部品交換良否判定機能について説明する。この部品交換良否判定機能は、昇降機2の部品を交換した後の昇降機2の状態を監視し、監視結果に基づいてかかる部品交換の良否を判定し、必要に応じて保守作業員9(
図1)にアラートを送信する機能である。
【0109】
なお、かかる部品交換良否判定機能を実現するための前提として、保守作業員9が自己の通信端末6(
図1)を操作して部品の出庫依頼を登録した場合、例えば倉庫の作業員が、その部品を倉庫からその保守作業員9に配送した日付(以下、これを配送日と呼ぶ)を、倉庫に設置された図示しないコンピュータ装置に登録する。そして、この配送日が、そのコンピュータ装置からネットワーク8(
図1)を介して在庫管理支援装置7(
図2)に送信されて在庫計画演算部23(
図2)により在庫計画テーブル18(
図6)のその部品に対応付けられた図示しない欄に登録されるものとする。
【0110】
また、保守作業員9は、その部品の交換を完了した場合に、自己の通信端末6を操作してかかる部品の交換を完了した日付(以下、これを交換日と呼ぶ)を登録するものとする。この場合、この交換日が、通信端末6からネットワーク8を介して在庫管理支援装置7に送信されて在庫計画演算部23により在庫計画テーブル18内のその部品に対応付けられた図示しない欄に登録されるものとする。
【0111】
図13は、かかる部品交換良否判定機能に関連して在庫管理支援装置7において定期的(例えば毎日)に実行される一連の処理(以下、これを部品交換良否判定処理と呼ぶ)の流れを示す。
【0112】
この場合、まず、在庫計画演算部23が在庫計画テーブル18を参照して、現在までに部品の倉庫からの出庫があったか否かを判定する(S40)。そして在庫計画演算部23は、この判定で否定結果を得ると、処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0113】
これに対して、在庫計画演算部23は、ステップS40の判定で肯定結果を得ると、現在までに倉庫から出庫された部品(以下、これを出庫部品と呼ぶ)について、その出庫部品が交換された実績があるか否かを判定する(S41)。この判定は、在庫計画テーブル18にその出庫部品の交換日が登録されているか否かを判定することにより行われる。
【0114】
この判定で否定結果を得ることは、出庫部品が倉庫から出庫されて保守作業員9に配送されたものの、その出庫部品が未だ使用されていない(古い部品と交換されていない)ことを意味する。かくして、このとき在庫計画演算部23は、その出庫部品の使用期限が切れいていないか否かを判定する(S42)。具体的に、在庫計画演算部23は、ステップS42において、本日の日にちからその出庫部品の出庫日を減算した値が、その出庫部品の保管期限を超過しているか否かを判定する。
【0115】
そして在庫計画演算部23は、この判定で否定結果を得ると、処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0116】
これに対して、在庫計画演算部23は、ステップS42の判定で肯定結果を得ると、出庫部品の保管期限が超過した旨の第1のアラートをその出庫部品の出庫を依頼した保守作業員9の通信端末6に送信する(S43)。かくして、この第1のアラートを受信した通信端末6を携帯する保守作業員9は、その対象部品を回収して破棄する。そして在庫計画演算部23は、この後、処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0117】
一方、在庫計画演算部23は、ステップS41の判定で肯定結果を得ると、出庫部品の交換の良否を検証するよう交換要否判定部24に指示を与える(S44)。この際、在庫計画演算部23は、その出庫部品の交換日を在庫計画テーブル18から読み出して交換要否判定部24に通知する。
【0118】
そしてこの指示を受けた交換要否判定部24は、測定データデータベース20(
図3(A))に登録された出庫部品に関する計測値のうち、その出庫部品の交換日の所定期間前から現在までの時系列の各計測値をそれぞれ取得する。また交換要否判定部24は、取得した時系列の測定データの値(計測値)又は当該測定データに基づき算出される対応する計測項目(劣化因子)の時系列の値と、交換要否判定閾値テーブル19(
図7)に登録されているその計測項目の閾値とを順次比較し、出庫部品の交換の良否を判定する(S45)。
【0119】
そして交換要否判定部24は、
図14(A)に示すように、出庫部品の計測値又は計測値に基づき算出される対応する計測項目の値が、その出庫部品の交換日に、その計測項目について設定された交換要否判定閾値未満まで減少し、それ以降も継続的に交換要否判定閾値未満の値を維持している場合には、その出庫部品の交換が正常に行われたと判定する。そして、このとき交換要否判定部は、何もせずに処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0120】
これに対して、交換要否判定部24は、
図14(B)に示すように、出庫部品の計測値又は計測値に基づき算出される対応する計測項目の値が、その出庫部品の交換日以降も継続的にその計測項目について設定された交換要否判定閾値以上となっている場合には、交換が未実施、交換作業の不良又は部品自体の不良などの出庫部品の交換不良が発生していると判定する。
【0121】
そして、このとき交換要否判定部24は、その出庫部品の交換不良が発生している旨の第2のアラートをその出庫部品の出庫を依頼した保守作業員9の通信端末6に送信する(S46)。かくして、この第2のアラートを受信した通信端末6を携帯する保守作業員9は、その出庫部品の交換実施、チェック又は再交換などの是正処理を実行する。
【0122】
また、交換要否判定部24は、かかる是正処理が完了するまでは出庫部品の追加出庫の可能性があるため、在庫計画テーブル18における出庫部品の来年度の在庫を追加するよう在庫計画演算部23(
図2)に指示を与える(S47)。この結果、この指示に応じて、在庫計画演算部23により在庫計画テーブル18に格納されているその出庫部品と同じ部品名の部品の来年度の在庫量が「1」だけ増加される。そして、この後、交換要否判定部24は、処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0123】
一方、交換要否判定部24は、
図14(C)に示すように、出庫部品の計測値又は計測値に基づき算出される対応する計測項目の値が、その出庫部品の交換日以降も継続的にその計測項目について設定された交換要否判定閾値の半分以下である場合には、保守作業員9の誤解等による出庫部品の誤手配及び誤交換、又は、本来必要がなかった部品の過剰な予防交換であると判定する。
【0124】
そして、このとき交換要否判定部24は、その出庫部品が誤手配による交換又は過剰な予防交換である旨の第3のアラートをその出庫部品の出庫を依頼した保守作業員9の通信端末6に送信する(S48)。かくして、この第3のアラートを受信した通信端末6を携帯する保守作業員9は、出庫部品と交換した古い部品を回収し、オーバーホールによる再利用の可能性を調査する。そして、この後、交換要否判定部24は、処理を終了する。これにより在庫管理支援装置7における部品交換良否判定処理が終了する。
【0125】
なお交換要否判定部24は、ステップS40でそのときまでに出庫された部品を複数検出した場合には、ステップS41〜ステップS47の処理をその部品(出庫部品)ごとにそれぞれ実行する。
【0126】
(3)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の在庫管理支援システム1では、昇降機2の部品種別ごとに、その部品種別の故障時影響度のランクを予め設定すると共に、故障発生周期算出時信頼度欄17Gには、故障発生周期を計算する際に基準とすべき信頼度をそれぞれ故障時影響度のラングごとにそれぞれ予め決定する。そして在庫管理支援装置7は、これら部品種別の故障時影響度のランクと、当該ランクごとの信頼度とに基づいて、各昇降機2の部品ごとの故障発生予測年月をそれぞれ算出し、算出結果に基づいて、部品種別ごとの在庫量を決定する。
【0127】
この場合、本在庫管理支援システム1では、故障時影響度のランクが高い(故障時の影響が大きい)部品種別については95%信頼度、これ以外のランクの部品種別については90%信頼度で故障発生周期を算出しているため、結果的に故障時影響度のランクの高い部品種別の部品についてはその在庫量をより安全な在庫量に決定でき、これ以外のランクの部品種別の部品については故障時影響度のランクの高い部品種別よりも数量を抑えた形で在庫量を決定することができる。
【0128】
また本在庫管理支援システム1では、
図11の交換要否判定処理について上述したように、これに加えて各昇降機2の部品ごとの現在の状態をも考慮して最終的な部品種別ごとの在庫量を確定するため、各部品種別の在庫量を適正化することができる。
【0129】
さらに本在庫管理支援システム1では、交換後の部品の状態を監視し、必要に応じて保守作業員にアラートを送信したする一方で、在庫量の調整も行うため、より一層と在庫量の適正化を図れるよう在庫管理を支援することができる。
【0130】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を昇降機2の部品の在庫管理を支援する在庫管理支援システム1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、昇降機2以外の装置の部品の在庫管理にも広く適用することができる。
【0131】
また上述の実施の形態においては、故障時影響度のランクを「A」〜「C」の3ランクとするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、故障時影響度のランクを2ランク又は4ランク以上に設定できるようにしてもよい。
【0132】
さらに上述の実施の形態においては、故障発生周期を算出する際の信頼度を、故障時影響度のランクが「A」の部品種別とこれ以外の部品種別との2種類に分けて設定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、故障時影響度のランクごとにそれぞれ信頼度を設定するようにしてもよい。
【0133】
さらに上述の実施の形態においては、第1〜第3のアラートを保守作業員9に送信するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら第1〜第3のアラートを所管の営業所に送信するようにしてもよく、これら第1〜第3のアラートの送信先としては、この他種々の送信先を広く適用することができる。