特許第6894444号(P6894444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894444
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】データセンタへの冗長電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   H02J9/06 110
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-540859(P2018-540859)
(86)(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公表番号】特表2019-504608(P2019-504608A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】CA2017050122
(87)【国際公開番号】WO2017132769
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2020年1月17日
(31)【優先権主張番号】15/015,060
(32)【優先日】2016年2月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518272773
【氏名又は名称】ビッグズ テック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アードゥー、エリオット
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−103540(JP,A)
【文献】 特開2010−035364(JP,A)
【文献】 特開2010−220424(JP,A)
【文献】 実開平06−029349(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0048647(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0156187(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104253478(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 − 5/00
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムであって、
・電力を受け取るための電源へのN+1個の入力電気接続部と、
・各々が前記N+1個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有する、N+1個のUPSユニットと、
・電力が供給されるN個の電気パネルであって、各々が2つのUPSユニットの組み合わせへの電気接続部を有し、そのことにより前記N+1個のUPSユニットの各々は前記電気パネルへの少なくともN個の電気接続部を有する、N個の電気パネルと
を備え、
前記UPSユニットの各々は、前記入力電気接続部のうちの専用入力電気接続部を有し、前記UPSユニットの各々と前記入力電気接続のうちの専用の1つの入力電気接続部との間の前記電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、システム。
【請求項2】
前記UPSユニットの各々と前記N+1個の入力電気接続部のうちの前記専用入力電気接続部とは異なる入力電気接続部との間の前記電気接続部は、前記第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有するスイッチギヤを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記N+1個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルをさらに備え、前記ユーティリティ電気パネルは2つの専用入力電気接続部を有し、前記ユーティリティ電気パネルと前記2つの専用入力電気接続部との間の電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記UPSユニットと前記入力電気接続部との間の前記電気接続部は、ブロックバーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力電気接続部の各々は、自動切替スイッチ(ATS)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
データセンタのための電力供給システムであって、
・N+1個の電源の列から電力を受け取るためのN+1個の入力部と、
・N+1個のUPSユニットの列であって、各々が前記N+1個の入力部の各々への電気接続部を有し、前記N+1個のUPSユニットの各々の専用スイッチギヤによって保護される、N+1個のUPSユニットの列と、
・前記データセンタに供給するための2N個の電力出力部であって、各々が前記N+1個のUPSユニットのうちの2つに接続される、2N個の電力出力部と、
・分離スイッチギヤであって、2つのN+1個のUPSユニットの前記専用スイッチギヤ間の任意の電気的経路が前記分離スイッチギヤの少なくとも1つを備えるように配置された、分離スイッチギヤと
を備え、
各々の専用スイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは前記第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有する、電力供給システム。
【請求項7】
前記UPSユニットと前記入力部との間の前記電気接続部は、ブロックバーを備える、請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記入力部の各々は、自動切替スイッチ(ATS)を備える、請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記N+1個の入力部の各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルをさらに備え、前記ユーティリティ電気パネルは2つの専用入力部を有し、前記ユーティリティ電気パネルと前記2つの専用入力部との間の前記電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、請求項6に記載の電力供給システム。
【請求項10】
N個の電気パネルに電力を供給するための回路であって、
・N+1個のブロックバーであって、各々が電源の自動切替スイッチ(ATS)に接続するためのものであり、各々が分離スイッチギヤを介して前記N+1個のブロックバーのうちの少なくとも2つの他のブロックバーに接続される、N+1個のブロックバーと、
・N+1個のUPSユニットであって、当該N+1個のUPSユニットの各々の専用のスイッチギヤを介して専用の1つのブロックバーに接続するためのものである、N+1個のUPSユニットと、
・2N個の電力出力部であって、前記N個の電気パネルの各々が前記2N個の電力出力部のうちの2つに接続され、前記2N個の電力出力部の各々が前記N+1個のUPSユニットの2つに接続される、2N個の電力出力部と
を備え、
各々の専用スイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは前記第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有する、回路。
【請求項11】
前記N+1個のブロックバーの各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルをさらに備え、前記ユーティリティ電気パネルは2つの専用ブロックバーを有し、前記ユーティリティ電気パネルと前記2つの専用ブロックバーとの間の電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
N個の電気パネルに電力を供給するための回路であって、
・N+2個のブロックバーであって、各々が電源の自動切替スイッチ(ATS)に接続するためのものであり、各々が分離スイッチギヤを介して前記N+2個のブロックバーのうちの少なくとも2つの他のブロックバーに接続される、N+2個のブロックバーと、
・各々が専用のスイッチギヤを介して前記ブロックバーの各々に接続するためのものである、N+1個のUPSユニットと、
・2N個の電力出力部であって、前記N個の電気パネルの各々が前記2N個の電力出力部のうちの2つに接続され、前記2N個の電力出力部の各々がN+1個のUPSユニットの2つの接続される、2N個の電力出力部と
を備え、
各々の専用スイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは前記第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有する、回路。
【請求項13】
前記N+2個のブロックバーの各々への専用の電気接続部を有するユーティリティ電気パネルをさらに備え、前記専用の電気接続部を介する前記ユーティリティ電気パネルと前記N+2個のブロックバーの各々との間の前記電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、請求項12に記載の回路。
【請求項14】
前記N+2個のブロックバーの各々の前記電源は、冗長電源である、請求項12に記載の回路。
【請求項15】
電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムであって、
・電力を受け取るための電源へのN+2個の入力電気接続部と、
・各々が専用のスイッチギヤおよび分離スイッチギヤを介する前記N+個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有するN+1個のUPSユニットであって、各々の専用のスイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは前記第1の電流定格よりも大きい第2の電流定格を有する、N+1個のUPSユニットと、
・電力が供給されるN個の電気パネルであって、各々が2つのUPSユニットの組み合わせへの電気接続部を有し、そのことにより前記N+1個のUPSユニットの各々は前記電気パネルへの少なくともN個の電気接続部を有する、N個の電気パネルと
を備える、システム。
【請求項16】
前記N+2個の入力電気接続の各々は、二重電源に接続される、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年2月3日に出願された米国特許出願第15/015,060号の優先権または利益を主張するものである。この特許のその明細書を参照により本願明細書に引用したものとする。
【0002】
開示される主題は、一般に、データセンタへの電力供給のための回路に関する。より具体的には、本発明は、データセンタへの冗長電力供給を提供する回路アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0003】
データセンタは、かなりの電力を消費する。データセンタを構成するサーバは、絶えず、すなわち中断することなく電力が供給される必要がある。それよりは消費量は少ないが、同じことがデータセンタの機能に寄与するファンや空調のような他の構成要素についても言える。
【0004】
冗長性は、通常、データセンタの中断のない動作を保証するために設備を2倍にすることによって提供される。しかし、設備を2倍にするにはコストがかかる。この欠点は、冗長設備が通常は緊急の場合でのみ使用される、すなわち、ほとんど使用されないままであるという事実によって強調される。この産業環境では、スペースを占有し、メンテナンスが必要であり、そうでなければ設備利用率が非常に低い発電設備に資本を割り当てることは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、資本集約的な設備を必要としない電力供給の冗長性が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムであって、
・電力を受け取るための電源へのN+1個の入力電気接続部と、
・各々がN+1個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有する、N+1個のUPSユニットと、
・電力が供給されるN個の電気パネルであって、各々が2つのUPSユニットの組み合わせへの電気接続部を有し、そのことによりN+1個のUPSユニットの各々は電気パネルへの少なくともN個の電気接続部を有する、N個の電気パネルと
を備えるシステムが提供される。
【0007】
別の実施形態によれば、UPSユニットの各々は、専用の1つの入力電気接続部を有し、UPSユニットの各々と専用の1つの入力電気接続部との間の電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える。
【0008】
別の実施形態によれば、UPSユニットの各々とN+1個の入力電気接続部の専用の入力電気接続部以外の入力電気接続部との間の電気接続部は、第1の電流定格よりも大きい第2の電流定格を有するスイッチギヤを備える。
【0009】
別の実施形態によれば、N+1個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルであって、ユーティリティ電気パネルは2つの専用入力電気接続部を有し、ユーティリティ電気パネルと2つの専用の入力電気接続部との間の電気接続部は第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、ユーティリティ電気パネルがさらに提供される。
【0010】
別の実施形態によれば、UPSユニットと入力電気接続部との間の電気接続部はブロックバーを備える。
【0011】
別の実施形態によれば、入力電気接続部の各々は、自動切替スイッチ(ATS:Automatic Transfer Switch)を備える。
【0012】
本発明の別の態様では、データセンタのための電力供給システムであって、
・N+1個の電源の列から電力を受け取るためのN+1個の入力部と、
・各々がN+1個の入力部の各々への電気接続部を有し、専用のスイッチギヤによって保護される、N+1個のUPSユニットの列と、
・データセンタに供給するための2N個の電力出力部であって、各々がN+1個のUPSユニットのうちの2つに接続される、2N個の電力出力部と、
・分離スイッチギヤであって、2つのN+1個のUPSユニットの専用スイッチギヤ間の任意の電気的経路が分離スイッチギヤの少なくとも1つを備えるように配置された、分離スイッチギヤと
を備える電力供給システムが提供される。
【0013】
別の実施形態によれば、各々の専用スイッチギヤは、第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは、第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有する。
【0014】
別の実施形態によれば、UPSユニットと入力部との間の電気接続部はブロックバーを備える。
【0015】
別の実施形態によれば、入力部の各々は自動切替スイッチ(ATS)を備える。
【0016】
別の実施形態によれば、N+1個の入力部の各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルであって、ユーティリティ電気パネルは2つの専用の入力部を有し、ユーティリティ電気パネルと2つの専用入力部との間の電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、ユーティリティ電気パネルがさらに提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、N個の電気パネルに電力を供給するための回路であって、
・N+1個のブロックバーであって、各々が電源に接続するためのものであり、各々が分離スイッチギヤを介してN+1個のブロックバーのうちの少なくとも2つの他のブロックバーに接続される、N+1個のブロックバーと、
・各々が専用のスイッチギヤを介して専用の1つのブロックバーに接続するためのものである、N+1個のUPSユニットと、
・2N個の電力出力部であって、N個の電気パネルの各々が2N個の電力出力部のうちの2つに接続され、2N個の電力出力部の各々がN+1個のUPSユニットの2つに接続される、2N個の電力出力部と
を備える回路が提供される。
【0018】
別の実施形態によれば、各々の専用スイッチギヤは、第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは、第1の電流定格より大きい第2の電流定格を有する。
【0019】
別の実施形態によればN+1個のブロックバーの各々への電気接続部を有するユーティリティ電気パネルであって、ユーティリティ電気パネルは2つの専用のブロックバーを有し、ユーティリティ電気パネルと2つの専用のブロックバーとの間の電気接続部は第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、ユーティリティ電気パネルがさらに提供される。
【0020】
本発明の別の態様によれば、N個の電気パネルに電力を供給するための回路であって、回路は、
・N+2個のブロックバーであって、各々が電源に接続するためのものであり、各々が分離スイッチギヤを介してN+2個のブロックバーのうちの少なくとも2つの他のブロックバーに接続される、N+2個のブロックバーと、
・各々が専用のスイッチギヤを介してブロックバーの各々に接続するためのものである、N+1個のUPSユニットと、
・2N個の電力出力部であって、N個の電気パネルの各々は2N個の電力出力部のうちの2つに接続され、2N個の電力出力の各々はN+1個のUPSユニットの2つに接続される、2N個の電力出力部と
を備える。
【0021】
一実施形態によれば、各々の専用スイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは第1の電流定格よりも大きい第2の電流定格を有する。
【0022】
一実施形態によれば、N+2個のブロックバーの各々への専用の電気接続部を有するユーティリティ電気パネルであって、専用の電気接続部を介するユーティリティ電気パネルとN+2個のブロックバーの各々との間の電気接続部は、第1の電流定格を有するスイッチギヤを備える、ユーティリティ電気パネルがさらに提供される。
【0023】
一実施形態によれば、N+2個のブロックバーの各々の電源は冗長電源である。
【0024】
本発明の別の態様によれば、電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムであって、
・電力を受け取るための電源へのN+2個の入力電気接続部と、
・各々が専用のスイッチギヤおよび分離スイッチギヤを介するN+1個の入力電気接続部の各々への電気接続部を有するN+1個のUPSユニットであって、各々の専用のスイッチギヤは第1の電流定格を有し、各々の分離スイッチギヤは第1の電流定格よりも大きい第2の電流定格を有する、N+1個のUPSユニットと、
・電力が供給されるN個の電気パネルであって、電気パネルの各々は、2つのUPSユニットの組み合わせへの電気接続部を有し、そのことによりN+1個のUPSユニットの各々は電気パネルへの少なくともN個の電気接続部を有する、N個の電気パネルと
を備えるシステムが提供される。
【0025】
一実施形態によれば、N+2個の入力電気接続部の各々は、冗長電源に接続される。
【0026】
理解されるように、開示され主張される主題は、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な点で修正が可能である。したがって、図面および説明は本質的に例示的なものに過ぎず、限定的なものと見なされるべきではなく、主題の全範囲が特許請求の範囲に記載されている。
【0027】
本開示のさらなる特徴および利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係る、電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムを示す単線結線図である。
図2】一実施形態に係る、照明および他の建物関連機能に電力を冗長的に供給するためのサブシステムを示す単線結線図である。
図3】一実施形態に係る、電力網に関連するシステムを示す単線結線図である。
図4】一実施形態に係る、電気パネルを示す単線結線図である。
図5】別の実施形態に係る、電気パネルに電力を冗長的に供給するためのシステムを示す単線結線図である。
図6図5の実施形態に係る、UPSユニットを備えるサブシステムを示す単線結線図である。
図7】別の実施形態に係る、電力網に関連するシステムを示す単線結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付図面全体を通して、同様の特徴は同様の参照番号で識別されることに留意されたい。
【0030】
データセンタのような負荷に冗長的に電力を供給する図1のシステム10について説明する。以下に説明する構成は、2Nの冗長性を有する配電部に給電するために、発電機およびUPSのレベルにおけるN+1の冗長性を提供することができる。
【0031】
システム10は、回路のための電力を生成する電源20a、20b、20c(発電機ともいう)の列、UPSユニット30a、30b、30cの列、および電力を受け取る電気パネル50a、50bを備える。
【0032】
配電側では、システム10は、通常、N個の電気パネル50a、50b(図4参照)に直接接続された2N個の変圧器55a、55b、55c、55dを備える。N個の電気パネル50a、50bは、N+1個のUPSユニット30a、30b、30cによって冗長的に給電される。電力は、N+1個の電源20a、20b、20cによってN+1個のUPSユニット30a、30b、30cに供給される。
【0033】
したがって、本明細書で説明するシステムは、N個の負荷全体にわたって2Nの冗長性を有する配電部に給電するために、発電機およびUPSのレベルにおけるN+1の冗長性を表示する。
【0034】
上述したように、システム10は、複数のUPSユニット30a、30b、30cを備える。UPSは、無停電電力供給部(無停電電源ともいう)であり、その電源のうちの1つに障害が発生した場合に実質的に無中断の電力を負荷に供給する電気装置である。通常、既存のシステムでは、UPSは主電源によって電力供給される。主電源に障害が発生した場合、バッテリまたは任意のその同等物(例えば、スーパーキャパシタ)が必要な電力を供給することができる。バッテリまたはその同等物は(通常はパッシブモード)、主電源に障害が発生したときに、1つの電源から別の電源への移行がほぼシームレスになるように速やかに起動することができる必要がある。
【0035】
このシステムで使用されるUPSユニット30a、30b、30cは、バッテリの存在に依存せず、中断することなく非常用電力を供給する。むしろ、このシステムで使用されるUPSユニット30a、30b、30cは、UPSユニット30a、30b、30cに電力を連続的に供給している複数の電源20a、20b、20cへの接続に依存している。
【0036】
主アクティブ電源および主アクティブ電源に障害が発生したときに電力供給を引き継ぐ二次パッシブ電源に依存する代わりに、既存のシステムで通常行われるように、UPSユニット30a、30b、30cは、ほとんどの時間アクティブ状態である電源20a、20b、20cからの電力を使用する。
【0037】
一実施形態によれば、必要に応じて非常用電力を供給するためのバッテリ(図示せず)が依然として存在し得る。しかしながら、本明細書で検討されるシステム10は、これらのバッテリを取り除いて所望の冗長性を提供する。
【0038】
電源20a、20b、20cは、電力網15、オンサイト発電機(様々なフォームファクタで存在することは周知である)などであり得る。各々の電源は、他の電源とは独立している必要があるので、障害は独立したイベントになる。
【0039】
一実施形態によれば、電源20a、20b、20cは、自動切替スイッチ80a、80b、80c(ATS)が設けられた入力接続部40a、40b、40cの各々でシステム10に接続される。各々のATS(80a、80b、80c)は、電源(20a、20b、20cそれぞれ)の1つに対する専用のATSになる。ATSは、電源が必要なときを検出する(すなわち、システム10における電力の損失を検出する)切替スイッチであり、その専用の電源がシステム10に電力を供給できるように回路を電気的に閉じる。電源が必要でないときは、ATS80a、80b、80cからの関連するATSは回路を開いて、その電源20a、20b、20cのシステム10への接続を解除することができる。一実施形態によれば、ATSは、電源20a、20b、20cを起動する必要性を検出し、電源20a、20b、20cに起動するように指示する(すなわちトリガする)装置である。
【0040】
一実施形態によれば、変圧器55a、55b、55c、55dにもATS82a、82b、82cが設けられる。各々の変圧器(55a、55b、55c、55d)には、専用のATS(82a、82b、82c、82d)が設けられる。ATSは、変圧器55a、55b、55c、55dのうちの1つからパネルに電力を供給する必要があるときに回路を開閉するように働く。各々のATS−変圧器の対は、電気パネルに接続されることになり、したがって、各々のATS−変圧器の対は、システム10の電力出力部と見なされ得る。
【0041】
回路の部品間の電気接続部は、様々なタイプおよび形状で存在することで知られている。実際には、大電流がシステムに関係するという事実は、電気伝導用の電気バスバーと接続用のブロックバーの使用によって反映されている。電気バスバーは堅牢であり、大電流に耐えることができ、工業規模の電気エンクロージャ内で広く使用されている。
【0042】
一実施形態によれば、電源20a、20b、20cおよびUPSユニット30を隔離するための機構が存在する。例えば、電源間の同期不良(例えば、異なる周波数、適切に整列されていない位相など)が発生した場合、これらの電源20からの電気経路を隔離しなければならない。すなわち、これらの電源20は、回路のどの部分も同時に2つの同期していない電源から電力を受け取らないように、それらの電源間に電気接続部を有してはならない。UPSユニット30a、30b、30cの各々は、専用の1つの入力部40a、40b、40c(入力電気接続部40a、40b、40cともいう)を有する。隔離が行われる必要がある場合、UPSユニット30a、30b、30cのうちの1つとその専用入力部40a、40b、40cとの間の電気接続部は1つのみ維持される、すなわち、UPSユニット30a、30b、30cと非専用入力部40a、40b、40cとの間の接続は解除される。この動作は、通常は安全上の目的で、電源/UPSユニットの対を他の対から隔離する。
【0043】
これは、次のように形式化され得る。UPSユニット30a、30b、30cと入力電気接続部40a、40b、40cとの間の電気接続部は、複数の異なるUPS入力経路を含む。専用のUPS入力経路は隔離可能である、つまり、全ての専用UPS入力経路は、分離可能であり、互いに並行して動作することができる。専用のUPS入力経路を分離する必要がある場合、これらの経路に沿って電流が存在しないようにするために、非専用UPS入力経路がブレーカ(以下に説明するスイッチギヤユニット)によって電気的に開放され得る(すなわち、電流を流すことができない)。
【0044】
例えば、図1では、UPSユニット30aと入力部40aとの間の直接経路は専用UPS入力経路であり、UPSユニット30aから入力部40b、40cへの直接経路は非専用UPS入力経路である。
【0045】
一実施形態によれば、UPSユニット30a、30b、30cは、専用スイッチギヤユニット60a、60b、60c、60dを使用して個別に保護され得て、隔離可能な専用UPS入力経路の分離は分離スイッチギヤユニット70a、70b、70cを使用して行われる。
【0046】
スイッチギヤユニットは、回線ブレーカの機能を果たすことができる装置である。さらに、スイッチギヤユニットは、電流測定のような他の機能を実行する。スイッチギヤユニットの精巧さに応じて、スイッチギヤユニットに他の機能が追加される場合がある。スイッチギヤユニットは、プログラム可能である、すなわち、所定の規則に従って回路を遮断することができる。スイッチギヤユニット内でプログラムされた条件が満たされたときに、スイッチギヤユニットは回路を遮断する。通常、遮断は、保護の目的で、例えば、設備を過度の大電流から保護するために行われる。
【0047】
スイッチギヤユニットは、通常、電流定格(アンペア)によって特徴付けられ、電流定格は、様々な方法で定義され得るが、通常は、回路を切断する前にスイッチギヤが処理できる最大電流のことである。
【0048】
各々のUPSユニット用の専用スイッチギヤユニット60a、60b、60c、60d(第1のスイッチギヤともいう)は、各々のUPSユニットの専用UPS入力経路上に配置される。各々の専用スイッチギヤユニット60a、60b、60c、60dは、それぞれに対応するUPSユニット30a、30b、30cの各々の回路ブレーカとして機能する。例えば、図1では、専用スイッチギヤユニット60aがUPSユニット30a用のスイッチギヤユニットである。専用スイッチギヤユニット60a、60b、60c、60dは、UPSユニット30a、30b、30cを保護するための電流定格を有する。この電流定格は、第1の電流定格として定義される。一例では、第1の電流定格は約1,600Aである。
【0049】
UPSユニット30a、30b、30cの所与の1つは、回路内のこれらの2つの位置間の経路上の専用スイッチギヤユニットに接触せずに、その専用電源入力部に電気的に接続されるべきではない。さらに、図1に示されているように、UPSユニットをどの経路上でも発生する摂動から保護するために専用スイッチギヤユニットがそれに対応するUPSユニットに近接して配置されるように、所与のUPSユニットの専用スイッチギヤユニットが所与のUPSユニットと隣接する分離スイッチギヤユニット(単数または複数)との間の経路(単数または複数)上に配置される形が望ましい。
【0050】
分離スイッチギヤユニット70a、70b、70c(第2のスイッチギヤユニットともいう)は、UPSユニットと入力部との間の非専用経路の各々に配置される。分離スイッチギヤユニットの目的は、専用経路を他の経路から隔離することである。UPSユニット30a、30b、30cの所与のUPSユニットは、回路内のこれらの2つの位置間の経路上の分離用スイッチギヤユニットに接触せずに、電源入力部40a、40b、40cのうちの非専用の1つの電源入力部に電気的に接続されるべきではない。
【0051】
分離スイッチギヤユニットは、専用のUPS入力経路を隔離するための電流定格を有する。混乱を避けるために、この電流定格は第2の電流定格として定義される。一例では、第2の電流定格は約6000Aである。
【0052】
一実施形態によれば、第2の電流定格は第1の電流定格よりも大きい。所与のUPS入力部の対に対して、UPSユニットとその専用入力接続部との間に画定される専用経路は、他の全ての電源20a、20b、20c(その専用の電源、例えば、電源20b、20c以外)からの最大合計電流からUPSユニット30a、30b、30cのうちの所与のUPSユニット(例えば、UPSユニット30a)を保護するのに十分な第2の電流定格を有する分離スイッチギヤユニットによって保護されるべきである。
【0053】
実際には、上述したように、ブロックバーは、システム10の回路の構成要素間の接続に使用され得る。3つのUPSユニット30a、30b、30cおよび3つの電源入力部40a、40b、40cが存在する図1の状況下では、3つのブロックバー、例えば、ブロックバー90a、90b、90cが存在する。例えば、ブロックバー90aは、ATS80aおよびUPSユニット30aの専用スイッチギヤ60aに接続される。ブロックバー90a、90b、90cも一緒に接続されて複数の電気経路を形成する。しかしながら、ブロックバー90a、90b、90cの間には、必要であれば、または必要に応じて、ブロックバー上で分離を可能にするための分離スイッチギヤユニット70a、70b、70cが設けられる。例えば、ブロックバー90aとブロックバー90bとの間には分離スイッチギヤ70aが設けられ、ブロックバー90bとブロックバー90cとの間には分離スイッチギヤ70bが設けられ、ブロックバー90cとブロックバー90aとの間には分離スイッチギヤ70cが設けられる。
【0054】
一実施形態によれば、ユーティリティパネル51がさらに提供される。ユーティリティパネル51は、照明、および他の建物または部屋に関連する電力需要に使用される電気パネルである。図2に示されているように、ユーティリティパネル51は、複数のATS75と並行アーキテクチャで設けられ、すなわち、ユーティリティパネル51は、両端が第1のショートブレーク(short break)71および第2のショートブレーク72に接続され、複数のATS75は、同様の形で、第1のショートブレーク71および第2のショートブレーク72に接続される。より正確には、ユーティリティパネル51は、並列に設けられた他のATS75の電流定格よりも小さい電流定格を有するより、変圧器56およびATS74を介して第1のショートブレークおよび第2のショートブレークに接続される。図1に示されている実施形態では、第1のショートブレーク71および第2のショートブレーク72は、それぞれ電源20aおよび電源20cとの接続に専用のスイッチギヤユニットであり、両方の電源は、ユーティリティパネル51に電力を供給することができ、そのことにより冗長性を提供することができる。
【0055】
一実施形態によれば、システムの拡張を可能にするために追加の専用スイッチギヤユニット60dが設けられる。
【0056】
図3は、システム10と電力網15との間の接続の一例である。電力網の電源12は、高圧電力の配電に適した低電圧(例えば、25kV〜480Vの変換)への変換と共に示されている。図3に示されているように、電源20は、システム10が接続されている電力網からケーブルに組み込まれ得る。
【0057】
図4は、システム10の負荷の一例を示す。電気パネルに給電するための変圧器群55a、55b、55c、55dの各対の変圧器は、負荷に接続される。図4に示されている実施形態によれば、負荷または電気パネルは、複数のパネル、例えば、それぞれ42個のブレーカから成る18個のパネルを備える。この例では、各々のブレーカの定格電流は400Aであり、電気パネルは2極構成である。
【0058】
上記のシステムでは、パネルに給電するためにN+1個の電源とN+1個のUPSユニットのみが必要であるのが有利である。配電部(すなわち、変圧器)のみが2Nの冗長性を示す。したがって、全てのレベルで2Nの冗長性を必要とする既存のシステムと比較して、冗長性を提供するために必要な設備投資が低減される。
【0059】
さらに、上記のシステムは、全ての電源を利用するのが有利である。冗長電源は、非常用として待機している未使用のバッテリではない。むしろ、冗長性は、任意のUPSユニットに給電するために使用され得るようにアクティブ電源を接続することによって提供される。通常動作では全ての電源が使用されるため、通常動作の間は待機状態の電源はない。あるいは、使用される電源が選択され得る。例えば、電源20aは、図1に示されている2つの負荷に電力供給するために使用され得るUPSユニット20cに電力を供給するように選択され得る。使用される電源とUPSは独立しており、状況に応じて選択され得る。同期の問題が発生したときに(安全上の目的で)電気経路が分離される可能性があっても、通常動作の間は、どの発電機も任意の負荷に給電することができる任意のUPSに給電することができる。したがって、これらの要素の任意選択は、通常動作の間に使用され得る。
【0060】
さらに、電源20a、20b、20c間の結合およびUPSユニット30a、30b、30c間の結合は、最小限の設備で最大の冗長性を保証する。電源20a、20b、20cのうちの1つに障害が発生した場合に全てのUPSユニット30a、30b、30cが動作可能であり、UPSユニット30a、30b、30cの1つに障害が発生した場合に全てのパネルに電力が供給される。
【0061】
最後に、システム10は、有利には、電気パネル50a、50bが電気的に接続される集中システムとして提供され得る。施設内に分散され、維持することがより困難である複数のモジュール(各々のモジュールは冗長性を提供するためにバッテリを有する)を提供する代わりに、システム全体が単一のシステムとして1つに集中され、より維持しやすく、バスバーと、スイッチギヤと、ATSと、ブレーカと、電源および電気パネルへのコネクタとを備える。
【0062】
図5図7は、いくつかの構成要素が異なる相対位置を有するシステム10の別の実施形態を示している。
【0063】
この代替形態では、電源は、図5に示されているように、20a、20a’と、20b、20b’と、20c、20c’と、20d、20d’とになるように重複して設けられる。 すなわち、各々の電源は二重電源であり得る。変圧器は、ブロックバー90a〜90dを介してシステム10内で所望の一貫した電圧を達成するために、これら個々の電源の各々に関連付けられ得る。
【0064】
上記の実施形態と同様に、分離スイッチギヤユニット70a、70b、70c、70dが設けられる。専用のスイッチギヤユニット60a〜60pも設けられる。専用のスイッチギヤユニット60の数は、各々の電源対に対して2つ以上の専用のスイッチギヤユニット60が存在するので、上記の実施形態と比較して増加する。
【0065】
したがって、電源対は、分離スイッチギヤユニット70を使用して互いに分離されるが、UPSユニット30のいくつかは、同じ専用の電源対に接続されている限り、互いに分離されない。
【0066】
この実施形態では、変圧器55は、図5図6に示されているように、UPSユニット30より前に配置される。このことにより、より高い電圧(例えば、480Vの代わりに25kV)が可能となり、システムのより大きな限界負荷(例えば、2MWの代わりに6〜10MW)を達成することができる。この構成は、システム10の効率を高める。電力は、図1の変圧器レベル(55)で出力されるので、ATSユニットレベル(82a〜82d)で安全に冗長的に出力される。
【0067】
この実施形態では、各々のUPSユニット30a、30b、30cは、電源のうちのいずれか一つ(または図5に示されているような二重電源)への直接専用経路を有する。上記の実施形態と同様に、データセンタに電力を供給するために2N個の電力出力部が存在し、2N個の電力出力部の各々はN+1個のUPSユニット30のうちの2つに接続される。N+1個のUPSユニットの各々は、二重電源の各々に対する専用の接続部を有し、その数はN+2個であり、電力出力部に関してUPSユニットと同じ種類の冗長性を提供することができる。電源20の各々は、電源レベルで追加の冗長性を提供するために二重電源(例えば、電源20a、20a’を備える)になるように重複して設けられる。実際には、図7に示されている個々の電源は複数回使用され得るので、図示されているように多数の発電機を設ける必要はない。すなわち、図7に示されている8つの発電機から、それらの多くは冗長性を有することができ、わずか2つ、3つ、または4つの発電機が実際に設けられ得ることを意味している。しかしながら、この説明は、N+1個のUPSユニット30には当てはまらない(実際にはN+1個のUPSユニット30が存在する)。
【0068】
言い換えれば、N+1個のUPSユニット30が存在し、2N個の電力出力部(N個の電気パネルに電力供給するために二重冗長性を有する)の各々はN+1個のUPSユニットのうちの2つに接続され、N+1個のUPSユニットの各々は、この専用の電気経路用の冗長電源によってN+2個の専用電気経路を介して給電される。(「専用」という用語は、上記で定義されている。)N+2個の専用電気経路は、これらの電気経路を形成するN+2個のブロックバーが存在することを意味し、ブロックバーの各々は電源の自動切替スイッチ(ATS)に接続するためのものである(図7参照)。ブロックバーの各々は、分離スイッチギヤ70を介してN+1個のブロックバーのうちの少なくとも2つの他のブロックバー(例えば、図7では2つ)に接続されている。
【0069】
電源が冗長性を有するこの実施形態によれば、冗長電源は、複数の電源(すなわち、少なくとも2つ)の中から選択された少なくとも2つの(すなわち二重)電源を備える。
【0070】
図5図6の実施形態のシステムの動作の他の態様は、図1に示されているシステムの動作と同様である。
【0071】
図示されていない別の実施形態によれば、システム内の所与の場所におけるATSは、スイッチギヤ内の2つのインターロックされたブレーカで置き換えられ得る。
【0072】
図7は、システム10のこの実施形態と電力網15との間の接続の一例である。
【0073】
好適な実施形態を上記で説明し、添付の図面に示したが、本開示から逸脱することなく修正が行われてもよいことは、当業者には明らかであろう。このような修正は、本開示の範囲内に含まれる可能な変形形態であると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7