(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の構成原理と動作原理を具体的に説明する。
【0011】
本発明の一つの目的は、複数の後段回路の設置によるコストの増加を回避するように、複数の映像ストリームを時分割方式で単一の後段回路によって処理するマルチストリーム映像処理装置及び方法を提供する。
【0012】
図1を参照する。
図1は本発明の一実施例におけるマルチストリーム映像処理装置100を示すブロック図である。マルチストリーム映像処理装置100は、周囲環境の映像を撮像し、同一の映像源ISから複数の映像ストリームMS(メイン映像ストリーム)、SS1(第1サブ映像ストリーム)、SS2(第2サブ映像ストリーム)を生成し、映像ストリームMS、SS1、SS2に対し後続処理を施し、処理後メイン映像ストリームEMS、処理後第1サブ映像ストリームESS1、処理後第2サブ映像ストリームESS2を生成する。
【0013】
マルチストリーム映像処理装置100は、メモリモジュール110と、前段回路120と、後段回路130と、処理回路140と、同期回路150とを備える。
【0014】
実施例において、メモリモジュール110は、異なる領域を有し、マルチストリーム映像処理に必要な異なるデータを格納する。メモリモジュール110は、高速なメモリによって実現可能であり、例えば、DDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって実現されるが、これらに限定されない。
【0015】
実施例において、マルチストリーム映像処理装置100は、さらに、メモリコントローラ115を備える。メモリコントローラ115は、例えば、MIU(Memory Interface Unit)によって実現されるが、これらに限定されない。マルチストリーム映像処理装置100におけるその他の回路モジュールについて、例えば、前段回路120及び後段回路130は、メモリコントローラ115を介して、メモリモジュール110に対し読み取り及び書き込みを行い、データをメモリモジュール110に格納し、又はメモリモジュール110からデータを読み取る。
【0016】
前段回路120は実施例において、映像信号プロセッサ(Image Signal Processor:ISP)であり、同一の映像源ISから、複数の映像ストリームMS、SS1、SS2を生成するように構成される。映像源ISは、例えば、ネットワークカメラの感光性素子(不図示)であるが、これらに限定されない。感光性素子によって映像を検知した後、前段回路120はこれに基づいて、解像度の異なる映像ストリームMS、SS1、SS2を生成し、メモリコントローラ115を介してメモリモジュール110に格納する。
【0017】
映像ストリームMSはメイン映像ストリームであり、映像ストリームSS1、SS2は第1及び第2サブ映像ストリームである。メイン映像ストリームMSの解像度は、サブ映像ストリームSS1、SS2よりも高い。実施例において、メイン映像ストリームMSの解像度は4K、第1サブ映像ストリームSS1の解像度は1280×720、第2サブ映像ストリームSS2の解像度は720×576である。ここで注意されたいのは、上記サブ映像ストリームの数及び各映像ストリームの解像度の数値は一例であり、本発明はこれらの数値に限定されない。実施例において、サブ映像ストリームの数は一つ、又は複数である。
【0018】
後段回路130は実施例において、エンコーダであり、メモリコントローラ115を介して、メモリモジュール110から映像ストリームMS、SS1、SS2を読み取り、符号化し、符号化した処理後メイン映像ストリームEMS、処理後第1サブ映像ストリームESS1、処理後第2サブ映像ストリームESS2を生成するように構成される。その他の実施例では、符号化は、H.264、H.265、又は他の符号化規格に従って行うが、これらに限定されない。
【0019】
同期回路150は、前段回路120と、後段回路130と、処理回路140とに電気的に接続されており、処理回路140による制御によって、前段回路120による映像ストリームのメモリモジュール110への格納速度と、後段回路130による映像ストリームのメモリモジュール110からの読取速度とにバランスが取れるように構成される。
【0020】
処理回路140は、メモリモジュール110と、前段回路120と、後段回路130と、同期回路150とに電気的に接続される。処理回路140は、ファームウェア実行可能コマンド141を実行することで、マルチストリーム映像処理装置100の機能を実行する。より具体的には、処理回路140は、マルチストリーム映像処理装置100に含まれる格納モジュール(不図示)からファームウェア実行可能コマンド141を取り出す。当該ファームウェア実行可能コマンド141は、前段回路120と、後段回路130と、同期回路150とのファームウェア、及び、前段回路120と、後段回路130と、同期回路150とを操作、制御するための他の関連コマンドを含むが、これらに限定されない。処理回路140は、さらに、前段回路120と、後段回路130と、同期回路150とを操作、制御して、上記映像ストリームMS、SS1、SS2を一時格納、読み出し、符号化を行い、処理後メイン映像ストリームEMS、処理後第1サブ映像ストリームESS1、処理後第2サブ映像ストリームESS2を生成する機能を実現する。
【0021】
ここでは、格納モジュールは実施例において、メモリモジュール110と無関係に独立的に存在する他のメモリによって実現される。具体的には、格納モジュールは、例えば、CD−ROM、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フロッピーディスク、ハードディスク、または、光ディスクであるが、これらに限定されない。他の実施例において、格納モジュールは、メモリモジュール110と共有するメモリによって実現可能である。
【0022】
さらに、
図2を参照する。以下、
図1及び
図2を参照し、マルチストリーム映像処理装置100の詳細機能をさらに説明する。
【0023】
図2は、本発明におけるマルチストリーム映像処理方法200のフローチャートである。マルチストリーム映像処理方法200は、
図1に示すマルチストリーム映像処理装置100に適用できる。
図2に示すように、マルチストリーム映像処理方法200の実施例は以下のステップを含む。
【0024】
ステップS210において、前段回路120は、同一の映像源ISから、複数の映像ストリームMS、SS1、SS2を生成する。上記のように、当該複数の映像ストリームは、メイン映像ストリームMSと、第1サブ映像ストリームSS1と、第2サブ映像ストリームSS2とを含み、当該メイン映像ストリームの解像度は、サブ映像ストリームSS1とSS2よりも高い。
【0025】
ステップS220において、一つの映像ピクチャ処理時間区間において、前段回路120は、サブ映像ストリームSS1、SS2のN個目のサブ映像ピクチャを、メモリモジュール110における最新第1サブ映像一時記憶領域114Aと最新第2サブ映像一時記憶領域116Aに格納し、メイン映像ストリームMSのN個目のメイン映像ピクチャを、メモリモジュール110におけるメイン映像一時記憶領域112に格納する。Nは正整数である。
【0026】
図3を合わせて参照する。
図3は本発明の実施例におけるマルチストリーム映像処理装置100による映像処理のシーケンス図である。
【0027】
マルチストリーム映像処理装置100は、処理シーケンスにおいて、複数の映像ピクチャ処理時間区間を含み、例えば、
図3に例示するように、連続する3つの映像ピクチャ処理時間区間T
N−1、T
N、T
N+1を含む。隣接する2つの映像ピクチャ処理時間区間の間に、1つの同期信号時間区間が含まれる。例えば、映像処理時間区間T
N−1とT
Nとの間に、同期信号時間区間TS
Nが含まれ、映像処理時間区間T
NとT
N+1との間に、同期信号時間区間TS
N+1が含まれる。同期信号時間区間TS
N及び同期信号時間区間TS
N+1は、それぞれ、同期信号S
N及び同期信号S
N+1の伝送に対応し、映像ピクチャ処理時間区間T
N及びT
N+1の開始を示す。
【0028】
本実施例では、前段回路120及び後段回路130は、同期信号時間区間TS
Nと同期信号時間区間TS
N+1においていずれもデータ処理を行わず、映像ピクチャ処理時間区間T
N−1、T
N、T
N+1のみにデータ処理を行う。
【0029】
図3において、前段回路120の処理シーケンスは斜線領域で示す。前段回路120は、映像ストリームMS、SS1、SS2を同時に生成することが可能であるため、映像ピクチャ処理時間区間T
Nになると、前段回路120は直ちに、サブ映像ストリームSS1、SS2のN個目のサブ映像ピクチャを、最新第1サブ映像一時記憶領域114Aと最新第2サブ映像一時記憶領域116Aに格納し、メイン映像ストリームMSのN個目のメイン映像ピクチャをメイン映像一時記憶領域112に格納する。
【0030】
ステップS230において、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの第1サブ区間T
S1において、後段回路130は、メモリモジュール110における先行第1サブ映像一時記憶領域114Bと先行第2サブ映像一時記憶領域116Bに一時的に格納されたサブ映像ストリームSS1とSS2のN−1個目のサブ映像ピクチャを先に読み取り、処理を行う。
【0031】
一実施例において、
図3に示すように、映像ピクチャ処理時間区間T
N−1において、サブ映像ストリームSS1及びSS2のN−1個目のサブ映像ピクチャのそれぞれは、既に前段回路120によって、メモリコントローラ115を介して、先行第1サブ映像一時記憶領域114Bと先行第2サブ映像一時記憶領域116Bに格納されている。
【0032】
後段回路130の処理シーケンスはドット領域で示す。後段回路130は時分割方式で動作し、1回の処理は1つの画面映像に対し行う。したがって、
図3に示すように、後段回路130は、第1サブ区間T
S1において、まず、メモリコントローラ115を介して、先行第1サブ映像一時記憶領域114Bにおける、第1サブ映像ストリームSS1と対応するN−1個目のサブ映像ピクチャを読み取り、処理を行うことで、処理後第1サブ映像ストリームESS1に対応する映像ピクチャを生成する。次に、後段回路130は、第1サブ区間T
S1の残りの時間において、再びメモリコントローラ115を介して、先行第2サブ映像一時記憶領域116Bにおける、第2サブ映像ストリームSS2と対応するN−1個目のサブ映像ピクチャを読み取り、処理を行うことで、処理後第2サブ映像ストリームESS2に対応する映像ピクチャを生成する。
【0033】
ステップS240において、映像ピクチャ処理時間区間T
Nにおける第1サブ区間TS1の後の第2サブ区間T
S2において、後段回路130は、メイン映像一時記憶領域112に一時的に格納されたN個目のメイン映像ピクチャを読み取り、処理を行う。
【0034】
一実施例において、メイン映像一時記憶領域112の容量は、N個目のメイン映像ピクチャの大きさより大きい、または等しい。一部の実施例において、後段回路130の動作速度は前段回路120より速い場合がある。このため、後段回路130のメイン映像一時記憶領域112からデータを読み取る読取速度が、前段回路120のデータをメイン映像一時記憶領域112に格納する格納速度を超えることを回避するため、同期回路150は前段回路120と後段回路130との調和及び同期を行う。
【0035】
図4を参照する。
図4は本発明の一実施例における同期回路150のブロック図である。
【0036】
図4に示すように、同期回路150は、第1比較モジュール400と、第2比較モジュール402と、同期処理モジュール404とを含む。
【0037】
第1比較モジュール400と第2比較モジュール402は、前段回路120及び後段回路130から、ピクチャ処理情報FP1及びFP2のコンテンツを取り出すことができる。ピクチャ処理情報FP1は、前段回路120が格納中の映像ピクチャの前段ピクチャ番号1、及び格納中の映像ピクチャの格納行数RWを含み、ピクチャ処理情報FP2は、後段回路130が読取中の映像ピクチャの後段ピクチャ番号2、及び読取中の映像ピクチャの読取行数RRを含む。
【0038】
一実施例において、第1比較モジュール400は、前段回路120が格納中の映像ピクチャの前段ピクチャ番号F1及び後段回路130が読取中の映像ピクチャの後段ピクチャ番号F2に基づいて比較を行い、前段回路120が格納中の映像ピクチャと、後段回路130が読取中の映像ピクチャとが一致するか否かを判定する。第2比較モジュール402は、前段回路120が格納中の映像ピクチャの格納行数RW及び後段回路130が読取中の映像ピクチャの読取行数RRに基づいて比較を行い、後段回路130が読取中の映像ピクチャの読取行数RRが、前段回路120が格納中の映像ピクチャの格納行数RWを超えているか否かを判定する。
【0039】
同期処理モジュール404は、さらに、第1比較モジュール400及び第2比較モジュール402の比較結果に基づいて、前段回路120及び後段回路130の動作状況を判定し、使用する同期メカニズムを決定する。
【0040】
図5を合わせて参照する。
図5は本発明の一実施例における同期回路150が動作時に行う同期フロー500のフローチャートである。以下、
図4及び
図5に基づいて、同期回路150の動作メカニズムをより詳しく説明する。
【0041】
図5に示すように、ステップS510において、第1比較モジュール400は、前段回路120及び後段回路130からピクチャ処理情報FP1及びFP2における前段ピクチャ番号F1及び後段ピクチャ番号F2を取り出し、比較を行う。
【0042】
ステップS520において、同期処理モジュール404は、第1比較モジュール400の第1比較結果CR1に基づいて、さらに、前段回路120が格納中の映像ピクチャと後段回路130が読取中の映像ピクチャとが一致するか否かを判定する。
【0043】
映像ピクチャが異なり、例えば、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの第1サブ区間T
S1の状況において、後段回路130が読み取ったのはN−1個目のサブ映像ピクチャであり、前段回路120が格納したのはN個目のメイン映像ピクチャである場合、ステップS530にて、同期処理モジュール404は同期回路150の同期メカニズムを起動しない。
【0044】
映像ピクチャが同一であり、例えば、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの第2サブ区間T
S2の状況において、前段回路120による格納と後段回路130による読み取りは、いずれもN個目のメイン映像ピクチャである場合、同期処理モジュール404は同期メカニズムを起動して、ステップS540にて、第2比較モジュール402は、前段回路120及び後段回路130からピクチャ処理情報FP1及びFP2における格納行数RWと読取行数RRを取り出し、比較を行う。
【0045】
図6を合わせて参照する。
図6は本発明の一実施例におけるメイン映像ピクチャ600の模式図である。
【0046】
ステップS550において、同期処理モジュール404は、第2比較モジュール402の第2比較結果CR2に基づいて、前段回路120が格納中のメイン映像ピクチャ600の格納行数RWが、後段回路130が読取中のメイン映像ピクチャ600の読取行数RRを超えているか否かを判定する。
【0047】
格納行数RWが読取行数RRを超えている場合、後段回路130による読取コンテンツが前段回路120による格納コンテンツを追いついていないことを示す。したがって、ステップS560において、同期処理モジュール404は、後段回路制御信号CC1を用いて、後段回路130が継続してN個目のメイン映像ピクチャを読み取り、処理することを許可する。一方、格納行数RWが読取行数RRを超えていない場合、後段回路130による読取コンテンツが前段回路120の格納コンテンツを追いついていることを示す。したがって、ステップS570において、同期処理モジュール404は、後段回路制御信号CC1を用いて、後段回路によるN個目のメイン映像ピクチャの読み取りを停止し、間違ったデータコンテンツの読み取りを回避する。
【0048】
上記により、後段回路130は、同期回路150による調和及び同期の元で、N個目のメイン映像ピクチャのコンテンツを順次に読み取り、処理を行う。これにより、処理後メイン映像ストリームEMSに対応するメイン映像ピクチャを生成する。ここで注意されたいのは、本実施例において、後段回路130は、次の同期信号時間区間TS
N+1の前に、N個目のメイン映像ピクチャに対する処理を完成する。
【0049】
さらに、映像ピクチャ処理時間区間T
N+1において、前段回路120は上述した方式に従って、サブ映像ストリームSS1、SS2のN+1個目のサブ映像ピクチャを格納し、メイン映像ストリームMSのN+1個目のメイン映像ピクチャを格納する。後段回路130は上述した方式に従って、先にサブ映像ストリームSS1及びSS2のN個目のサブ映像ピクチャを読み取り、処理した後、メイン映像ストリームMSのN+1個目のメイン映像ピクチャを読み取って処理する。
【0050】
ここで注意されたいのは、一実施例において、前段回路120は、映像ピクチャ処理時間区間T
Nにおいて、サブ映像ストリームSS1、SS2のN個目のサブ映像ピクチャを一時的に格納するための最新第1サブ映像一時記憶領域114A及び最新第2サブ映像一時記憶領域116Aは、映像ピクチャ処理時間区間T
N+1に対し、先行サブ映像一時記憶領域となる。これに対し、映像ピクチャ処理時間区間T
Nにおける先行第1サブ映像一時記憶領域114B及び先行第2サブ映像一時記憶領域116Bは、映像ピクチャ処理時間区間T
N+1に対し、最新サブ映像一時記憶領域となり、サブ映像ストリームSS1、SS2のN+1個目のサブ映像ピクチャを格納する。
【0051】
上記の実施形態は、メイン映像一時記憶領域112の容量がN個目のメイン映像ピクチャのサイズより大きい、または等しい場合を例として説明したものである。その他の実施例では、メイン映像一時記憶領域112の容量がN個目のメイン映像ピクチャのサイズより小さく、リングバッファとして機能することが可能である。すなわち、前段回路120はメイン映像ピクチャをメイン映像一時記憶領域112に格納し、その最上位アドレスまで格納した場合に更新されたデータが生じると、更新されたデータをメイン映像一時記憶領域112の最下位アドレスから続けて格納して上書きする。後段回路130はメイン映像ピクチャを読み取り、当該読み取りはメイン映像一時記憶領域112の最上位アドレスになった時、メイン映像一時記憶領域112の最下位アドレスに戻って読み取りを継続する。
【0052】
図7及び
図8を合わせて参照する。
図7は本発明のその他の実施例における同期回路150のブロック図である。
図8は本発明のその他の実施例における同期回路150が動作時に行う同期フロー800のフローチャートである。以下、
図7及び
図8を参照しながら、リングバッファで動作するメイン映像一時記憶領域112の実施の形態を詳しく説明する。
図7に示す同期回路150と
図4に示す同期回路150とはほぼ同じであり、第1比較モジュール400と、第2比較モジュール402と、同期処理モジュール404とを含む。本実施例において、
図7の同期回路150はさらに第1算出モジュール406を含む。第1算出モジュール406は、ピクチャ処理情報FP1及びFP2に基づいて、格納行数RWと読取行数RRとの差分DRを算出する。
【0053】
図7に示す同期回路150によって行われる同期のメカニズムでは、
図5のステップS510〜S570以外にも、
図8に示すフローを実行し、ステップS810にて、第1算出モジュール406は、格納行数RWと読取行数RRとの差分DRを算出する。
【0054】
ステップS820において、同期処理モジュール404は、差分DRがメイン映像一時記憶領域112の容量より大きいか否かを判定する。
【0055】
差分DRがメイン映像一時記憶領域112の容量より大きくない場合、メイン映像一時記憶領域112の内部有効未符号化コンテンツが、メイン映像一時記憶領域112の容量を全ては占用していないことを示す。そこで、ステップS830において、同期処理モジュール404は、前段回路制御信号CC2を用いて、前段回路120が継続してN個目のメイン映像ピクチャを格納することを許可する。一方、差分がメイン映像一時記憶領域112の容量より大きい場合、前段回路120の格納速度が後段回路130の読取速度を超えていることを示し、格納が継続すると、後段回路130が読み取っていないメイン映像ピクチャのデータを上書きしてしまう。そこで、ステップS840において、同期処理モジュール404は、前段回路制御信号CC2を用いて、前段回路120によるN個目のメイン映像ピクチャの格納を停止させ、メイン映像ピクチャデータの格納を遅らせる。
【0056】
上述したメカニズムにより、リングバッファで動作するメイン映像一時記憶領域112の実施の形態において、後段回路130の読取速度が速過ぎることによって間違ったデータの読み取りを回避するのみではなく、前段回路120の格納速度が速過ぎることで後段回路130の読み取っていないデータを上書きしてしまうことも回避することができる。
【0057】
ここで、
図9を参照する。
図9は本発明のその他の実施例におけるマルチストリーム映像処理装置100による映像処理のシーケンス図である。
【0058】
マルチストリーム映像処理装置100は、処理シーケンスにおいて、複数の映像ピクチャ処理時間区間を含み、例えば、
図5に示す連続した3つの映像ピクチャ処理時間区間T
N−1、T
N、T
N+1を含む。隣接する2つの映像ピクチャ処理時間区間の間に、同期信号時間区間が含まれる。例えば、映像ピクチャ処理時間区間T
N−1とT
Nとの間に同期信号時間区間TS
N、映像ピクチャ処理時間区間T
NとT
N+1との間に同期信号時間区間TS
N+1が含まれる。同期信号時間区間TS
N及び同期信号時間区間TS
N+1は、それぞれ、同期信号S
N及び同期信号S
N+1の伝送に対応し、映像ピクチャ処理時間区間T
N及びT
N+1の開始を示す。
【0059】
本実施例において、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの第1サブ区間T
S1において、上述と同じく、後段回路130はサブ映像ストリームSS1とSS2のN−1個目のサブ映像ピクチャを読み取り、処理を行う。また、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの第2サブ区間T
S2において、同様に後段回路130はN個目のメイン映像ピクチャを読み取り、処理を行う。
【0060】
しかし、本実施例では、メイン映像一時記憶領域112がリングバッファの方式で実現する以外に、映像ピクチャ処理時間区間T
Nは第1サブ区間T
S1の前に、さらに第3サブ区間T
S3を含む。映像ピクチャ処理時間区間T
N−1に対応するN−1個目のメイン映像ピクチャに対し、後段回路130は映像ピクチャ処理時間区間T
N−1の後半で処理を行うことに加えて、同期信号時間区間TS
Nと第3サブ区間T
S3での処理も許可される。このように、後段回路130の、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの後半、及び同期信号時間区間TS
N+1と、映像ピクチャ処理時間区間T
N+1の第3サブ区間T
S3におけるN個目のメイン映像ピクチャに対する処理も許可される。
【0061】
しかし、前段回路120にとって、依然として、映像ピクチャ処理時間区間T
Nの開始時に、サブ映像ストリームSS1、SS2のN個目のサブ映像ピクチャと、メイン映像ストリームMSのN個目のメイン画面との格納を開始する。したがって、メイン映像一時記憶領域112は、第3サブ区間T
S3において、N−1個目のメイン映像ピクチャの読み取りと、N個目のメイン映像ピクチャの格納を同時に行う。T
S3を加えることで、後段回路の処理速度が遅くなることが可能であるという利点がある。すなわち、消費電力を節約することができる。
【0062】
図10及び
図11も参照する。
図10は本発明の他の実施例における同期回路150のブロック図である。
図11は本発明の他の実施例における同期回路150が動作時に行う同期フロー1100のフローチャートである。以下、
図10及び
図11を参照しながら、リングバッファで動作するメイン映像一時記憶領域112の実施の形態を詳しく説明する。
【0063】
図10に示す同期回路150は
図7に示す同期回路150とほぼ同じであり、第1比較モジュール400と、第2比較モジュール402と、同期処理モジュール404と、第1算出モジュール406とを含む。本実施例では、
図10の同期回路150は、さらに、第2算出モジュール408を含み、前段回路120が格納中の映像ピクチャと、後段回路130が読取中の映像ピクチャとが同時に動作の対象とされないように構成されている。
【0064】
図10に示す同期回路150の同期メカニズムは、
図5のステップS510、S520、S540〜S570と同様なステップに加えて、
図8に示すステップS810〜S840も含む。しかし、本実施例において、
図5のステップS520で、前段回路120が格納中の映像ピクチャと、後段回路130が読取中の映像ピクチャとが異なると判定した場合、例えば、第3サブ区間T
S3の状況では、
図10に示す同期回路150は
図11のフローを実行し、同期メカニズムの動作を起動する。
【0065】
ステップS1110において、第2算出モジュール408は、ピクチャ処理情報FP1とFP2に基づいて、先にN−1個目のメイン映像ピクチャのサイズFRとN−1個目のメイン映像ピクチャの読取行数RRとの差分を算出する。当該差分は、N−1個目のメイン映像ピクチャにおいて、後段回路130により読み取って処理していない残りのデータ量を意味する。次に、第2算出モジュール408は、当該差分とN個目のメイン映像ピクチャの格納行数RW
Nとの合計SUMを算出する。格納行数RWはN個目のメイン映像ピクチャにおいて、前段回路120が既に格納したデータ量を意味する。
【0066】
ステップS1120において、同期処理モジュール404は、合計SUMがメイン映像一時記憶領域112の容量より大きいか否かを判定する。
【0067】
合計SUMがメイン映像一時記憶領域112の容量より大きくない場合、前段回路120の格納速度が後段回路130の読取速度を超えていないことを示す。そこで、ステップS1130において、同期処理モジュール404は、前段回路制御信号CC2を用いて、前段回路120が継続してN個目のメイン映像ピクチャを格納することを許可する。一方、合計SUMがメイン映像一時記憶領域112の容量より大きい場合、前段回路120の格納速度が後段回路130の読取速度を超えていることを示し、格納が継続すると、後段回路130が読み取っていないメイン映像ピクチャのデータを上書きしてしまう。そこで、ステップS1140において、同期処理モジュール404は、前段回路制御信号CC2を用いて、前段回路120によるN個目のメイン映像ピクチャの生成を停止させ、さらに、メイン映像ピクチャデータに対する格納を遅らせる。
【0068】
上記により、本発明のマルチストリーム映像処理装置100は、前段回路により生成された複数の映像ストリームを、時分割方式で単一の後段回路で処理することが可能であるため、複数の後段回路によるコストの増加を回避することができる。
【0069】
また、上記の時分割方式により、メモリモジュールは、解像度が低く、データ量の小さいサブ映像ピクチャのみに対しN−1個目のサブ映像ピクチャとN個目のサブ映像ピクチャを一時的に格納すればよい。解像度が高く、データ量の大きいメイン映像ピクチャに対し、格納するための一時的な記憶領域を別途で2つ設置する必要がない。メモリモジュールの空間領域も大幅に削減することができる。
【0070】
さらに、同期回路の設置により、メモリモジュールは、メイン映像一時記憶領域をリングバッファ方式で実現することができる。これにより、容量を大幅に削減し、メモリモジュールの空間領域をさらに削減することができる。
【0071】
ここで注意されたいのは、上述した実施の形態は一例であり、他の実施例において、当業者は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変更することができる。
【0072】
上記により、本発明におけるマルチストリーム映像処理装置及び方法は、後段回路を設置するコストを低減し、メモリ空間領域を削減する効果を実現することができる。
【0073】
その他、各実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。