(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894477
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】押さえ環およびレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20210101AFI20210621BHJP
【FI】
G02B7/02 A
G02B7/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-138212(P2019-138212)
(22)【出願日】2019年7月26日
(65)【公開番号】特開2020-21067(P2020-21067A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2019年7月26日
(31)【優先権主張番号】201821254877.3
(32)【優先日】2018年8月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519312957
【氏名又は名称】エーエーシー オプティックス ソリューションズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】王 海龍
【審査官】
▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−139705(JP,A)
【文献】
特開2002−269794(JP,A)
【文献】
特許第5063998(JP,B2)
【文献】
国際公開第2009/125640(WO,A1)
【文献】
特開2012−098429(JP,A)
【文献】
特開2012−173366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02−7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通過孔を囲む環状の本体部と、前記本体部に形成されるカット辺とを含む押さえ環であって、
前記本体部は、光軸を周回し且つ前記光通過孔を囲む内側壁と、前記内側壁の物体側に近接する縁より光軸から離間する方向に向かって延在する当接壁と、外側壁とを含み、
前記当接壁は、前記内側壁を周回し且つ前記内側壁に接する当接面と、前記当接面を周回し且つ前記当接面に接する接着剤塗布溝とを含み、
前記カット辺は、前記接着剤塗布溝内に位置し、前記接着剤塗布溝は、その内部に接着剤を塗布することで前記押さえ環とレンズとを固定するためのものであり、
前記接着剤塗布溝は、前記当接面の前記光軸から離間する縁より光軸方向に沿って延在する第1側面と、前記第1側面の前記当接面から離間する縁より前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2側面とを含み、
前記外側壁は、第2側面の前記光軸から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸から離間する方向に向かって延在する第1側壁と、前記第1側壁の前記第2側面から離間する縁より前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2側壁と、前記第2側壁の前記第1側壁から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸方向に沿って延在する第3側壁とを含む、ことを特徴とする押さえ環。
【請求項2】
前記カット辺は、前記第2側面に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の押さえ環。
【請求項3】
前記内側壁は、前記当接面の前記光軸に隣接する縁より物体側から離間し且つ前記光軸に近づく方向に向かって延在する第1表面と、前記第1表面の前記当接面から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2表面とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の押さえ環。
【請求項4】
レンズモジュールであって、前記レンズモジュールは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の押さえ環を含む、ことを特徴とするレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学結像技術分野に関し、特に押さえ環およびレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の継続的な発展に伴い、電子機器が常にインテリジェント化へ進展しており、ユーザが随時に撮影する需要を満たすために、デジタルカメラに加えて、携帯型電子機器、例えばタブレットパソコン、携帯電話などにも撮像機能を有するレンズモジュールが配置されている。関連技術におけるレンズモジュールは、レンズ鏡筒と、前記レンズ鏡筒内に設けられたレンズと、隣接する2つのレンズの間に挟持される遮光シートや遮光板と、レンズの像側に設けられる押さえ環とを含み、押さえ環の当接壁がレンズに当接し、接着剤塗布の方式によって前記押さえ環を前記鏡筒に固定することで、前記レンズの固定を図る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の発明者は、従来技術において少なくとも以下の問題が存在すると見出した。即ち、押さえ環の成型中において当接壁に縦バリが発生することによって、押さえ環をレンズモジュールに組み立てた後、押さえ環とレンズとの間の当接面が平坦にならず、押さえ環とレンズとの間において相対変位が発生しやすく、レンズモジュールの組立の安定性が高くない。したがって、上記問題を解決するために、新型の押さえ環およびレンズモジュールを提供する必要がある。
【0004】
本発明は、組立安定性が高いという利点を持つ押さえ環およびレンズモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明の実施形態は、押さえ環を提供し、当該押さえ環は、光通過孔を囲む環状の本体部と、前記本体部に形成されるカット辺とを含み、前記本体部は、光軸を周回し且つ前記光通過孔を囲む内側壁と、前記内側壁の物体側に近接する縁より光軸から離間する方向に向かって延在する当接壁と、前記当接壁の前記内側壁から離間する縁より光軸方向に沿って延在し、且つ前記内側壁に対向して設けられる外側壁とを含み、前記当接壁は、前記内側壁を周回し且つ前記内側壁に接する当接面と、前記当接面を周回し且つ前記当接面に接する接着剤塗布溝とを含み、前記カット辺は、前記接着剤塗布溝内に位置する。
【0006】
本発明の実施形態は、上記したような押さえ環を含むレンズモジュールをさらに提供する。
【0007】
本発明の実施形態は、従来技術に対して、当接壁は、内側壁を周回し且つ内側壁に接する当接面と、当接面を周回し且つ当接面に接する接着剤塗布溝とを含み、カット辺は、接着剤塗布溝内に位置する。接着剤塗布溝側に押さえ環をカット分割することによって、カット分割によって押さえ環とレンズとが当接する当接面において縦バリが発生することを避け、当接面の平坦が確保されているので、レンズモジュールの移動中に、当接面が平坦でないことによって押さえ環とレンズとの間に相対変位が発生することがなく、レンズモジュールの組立安定性を向上させる。
【0008】
また、前記接着剤塗布溝は、前記当接壁の前記光軸から離間する縁より光軸方向に沿って延在する第1側面と、前記第1側面の前記当接壁から離間する縁より前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2側面とを含み、前記カット辺は、前記第2側面に位置する。接着剤塗布溝内に接着剤を塗布することによって、押さえ環とレンズとを固定することができ、レンズモジュールの安定性をさらに向上させる。
【0009】
また、前記外側壁は、第2側面の前記光軸から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸から離間する方向に向かって延在する第1側壁と、前記第1側壁の前記第2側面から離間する縁より前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2側壁と、前記第2側壁の前記第1側壁から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸方向に沿って延在する第3側壁とを含む。
【0010】
また、前記内側壁は、前記当接面の前記光軸に隣接する縁より物体側から離間し且つ前記光軸に近づく方向に向かって延在する第1表面と、前記第1表面の前記当接面から離間する縁より像側に近づき且つ前記光軸から離間する方向に向かって延在する第2表面とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に提供される押さえ環の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に提供される押さえ環のA箇所における部分拡大図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に提供されるレンズモジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の目の、技術案及び利点をより明瞭にするために、図面を参照しながら、本発明の各実施形態をより詳しく説明する。ただし、本発明の各実施形態において、当業者が本発明をよりよく理解するために多くの技術の詳細が提出されるが、これらの技術の詳細と下記各実施形態に基づく種々の変更及び修正がなくても、本発明の特許請求の範囲において請求される技術案を実現し得ることは、当業者に理解されるべきである。
【0013】
本発明の第1実施形態は、
図1や
図2に示すように、押さえ環100に関する。
【0014】
押さえ環100は、光通過孔10を囲む環状の本体部1と、本体部1に形成されるカット辺2とを含み、本体部1は、光軸OO`を周回し且つ光通過孔10を囲む内側壁11と、内側壁11の物体側に近接する縁より光軸OO`から離間する方向に向かって延在する当接壁12と、当接壁12の内側壁11から離間する縁より光軸OO`方向に沿って延在し、且つ内側壁11に対向して設けられる外側壁13とを含み、当接壁12は、内側壁11を周回し且つ内側壁11に接する当接面121と、当接面121を周回し且つ当接面121に接する接着剤塗布溝122とを含み、カット辺2は、接着剤塗布溝122内に位置する。
【0015】
本発明の実施形態は、従来技術に対して、当接壁12は、内側壁11を周回し且つ内側壁11に接する当接面121と、当接面121を周回し且つ当接面121に接する接着剤塗布溝122とを含み、カット辺2は、接着剤塗布溝122内に位置する。接着剤塗布溝122側に押さえ環100をカット分割することによって、カット分割によって押さえ環100とレンズとが当接する当接面121において縦バリが発生することを避け、当接面121が平坦であることが確保されているので、レンズモジュールの移動中に、当接面が平坦でないことによって押さえ環100とレンズとの間に相対変位が発生することがなく、レンズモジュールの組立安定性を向上させる。
【0016】
具体的には、接着剤塗布溝122は、当接面121の光軸OO`から離間する縁より光軸OO`方向に沿って延在する第1側面1221と、第1側面1221の当接面121から離間する縁より光軸OO`から離間する方向に向かって延在する第2側面1222とを含み、カット辺2は、第2側面1222に位置する。本実施形態では、アセトンで接着することによって、押さえ環100とレンズとを接着することができ、レンズモジュールの安定性をより向上させることは、理解され得ることである。
【0017】
なお、外側壁13は、第2側面1222の光軸OO`から離間する縁より像側に近づき且つ光軸OO`から離間する方向に向かって延在する第1側壁131と、第1側壁131の第2側面1222から離間する縁より光軸OO`から離間する方向に向かって延在する第2側壁132と、第2側壁132の第1側壁131から離間する縁より像側に近づき且つ光軸OO`方向に沿って延在する第3側壁133とを含む。
【0018】
なお、内側壁11は、当接面121の光軸OO`に隣接する縁より物体側から離間し且つ光軸OO`に近づく方向に向かって延在する第1表面111と、第1表面111の当接面121から離間する縁より像側に近づき且つ光軸OO`から離間する方向に向かって延在する第2表面112とを含む。
【0019】
本発明の第2実施形態は、レンズモジュール200に関し、
図3に示すように、レンズモジュール200は、上述した押さえ環100を含み、押さえ環100を収容する鏡筒20をさらに含む。
【0020】
上述した各実施形態は、本発明を実現するための具体的な実施例であり、当業者にとって、実際の応用では、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で形式や詳細を各種の改良を行うことが可能であると理解されるべきである。