特許第6894484号(P6894484)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894484
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20210621BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20210621BHJP
【FI】
   G06Q20/40
   G06Q20/06 300
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-185903(P2019-185903)
(22)【出願日】2019年10月9日
(65)【公開番号】特開2021-60905(P2021-60905A)
(43)【公開日】2021年4月15日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】中村 美月
(72)【発明者】
【氏名】鍋山 隆人
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2019/044167(WO,A1)
【文献】 特開2018−165933(JP,A)
【文献】 特開2017−111564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別と、現金の代替となる価値を有し前記第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別とについて、複数のユーザ所有するそれぞれのバリュー値を管理する管理部と、
送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を前記管理部から取得する取得部と、
前記送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、前記送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を前記取得した情報に基づいて選択する種別選択部と、
前記種別選択部の選択に応じた前記送金元ユーザから前記送金先ユーザへの送金処理として前記管理部が管理している前記送金元ユーザについてのバリュー値を減算させる処理と前記管理部が管理している前記送金先ユーザについてのバリュー値を加算させる処理とを行う送金処理部と、を備えた
情報処理装置。
【請求項2】
前記送金処理では、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別について減算を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送金元ユーザは前記第1の電子バリュー種別と前記第2の電子バリュー種別とを所有し、前記送金先ユーザは前記第2の電子バリュー種別のみを所有可能な場合において、
前記送金処理では、前記送金元ユーザが所有する前記第2の電子バリュー種別について減算を行う
請求項1または請求項2の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記種別選択部が選択した電子バリュー種別が、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別と異なる場合に、前記送金依頼を行ったユーザに対して減算対象の電子バリュー種別を選択させる処理を行う問い合わせ処理部を備え、
前記送金処理では、前記選択させる処理に対する選択結果に応じた電子バリュー種別について減算を行う
請求項1から請求項3の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記送金依頼において指定された電子バリュー種別を前記送金先ユーザが所有することができない場合において、
前記管理部は、前記送金先ユーザに対する本人確認処理が正常に完了したことに応じて前記送金先ユーザが前記指定された電子バリュー種別を所有することを許可する許可処理を行い、
前記送金処理部は、前記送金先ユーザについて前記指定された電子バリュー種別について加算を行う
請求項1から請求項4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記送金依頼において指定された電子バリュー種別についての変更希望の有無を前記送金先ユーザに選択させる処理を行うと共に、前記選択させる処理に対する選択結果に応じて前記送金元ユーザに対して前記指定された電子バリュー種別を変更するか否かを選択させる処理を行う問い合わせ処理部を備えた
請求項1から請求項5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の電子バリュー種別は現金化可能な電子バリュー種別とされ、
前記第2の電子バリュー種別は現金化不可能な電子バリュー種別とされた
請求項1から請求項6の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別と、現金の代替となる価値を有し前記第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別とについて、複数のユーザ所有するそれぞれのバリュー値を管理する処理と、
送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を取得する取得処理と、
前記送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、前記送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を前記取得した情報に基づいて選択する種別選択処理と、
前記種別選択処理の結果に応じた前記送金元ユーザから前記送金先ユーザへの送金処理として前記管理する処理によって管理されている前記送金元ユーザについてのバリュー値を減算させる処理と前記管理する処理によって管理されている前記送金先ユーザについてのバリュー値を加算させる処理と、を
情報処理装置が実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金の代替となる電子バリューについての送金処理を行う情報処理装置及び情報処理方法についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
一人のユーザが複数種類の電子バリューを所持可能な場合がある(例えば特許文献1)。例えば、電子バリューの種類として第1の電子バリュー種別と第2の電子バリュー種別が設けられており、第1の電子バリュー種別は「資金決済に関する法律」の規定における資金移動業者が提供する資金移動サービスで利用可能な種別とされ、第2の電子バリュー種別は同法における前払式支払手段とされる。
また、例えば、第1の電子バリュー種別のバリュー値は出金可能とされ、第2の電子バリュー種別のバリュー値は出金不可能とされている。
【0003】
ユーザは各種の電子バリュー種別を所有可能であるが、ユーザによっては要件を満たしていないことによって、第2の電子バリュー種別のみ所有可能とされる場合がある。そのようなユーザに対して他のユーザから送金を行う場合に、ユーザが意図しない電子バリュー種別の変換が起きてしまう場合がある。
例えば、送金を行うユーザである送金元ユーザが所持している第1の電子バリュー種別を送金を受け取るユーザである送金先ユーザへ送金した場合に送金先ユーザが第1の電子バリュー種別の所有を許可されていないために第2の電子バリュー種別へ変換されてしまった場合、出金可能であったバリュー値が出金不可能なバリュー値へ自動的に変更されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−26821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した問題点を鑑み、保有する電子バリュー種別を適切に管理することができる環境を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別と、現金の代替となる価値を有し前記第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別とについて、複数のユーザ所有するそれぞれのバリュー値を管理する管理部と、送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を前記管理部から取得する取得部と、前記送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、前記送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を前記取得した情報に基づいて選択する種別選択部と、前記種別選択部の選択に応じた前記送金元ユーザから前記送金先ユーザへの送金処理として前記管理部が管理している前記送金元ユーザについてのバリュー値を減算させる処理と前記管理部が管理している前記送金先ユーザについてのバリュー値を加算させる処理とを行う送金処理部と、を備えるものである。
これにより、送金の際に各種のユーザに対して適切な電子バリュー種別を付与することが可能となる。
【0007】
上述した情報処理装置において、前記送金処理では、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別について減算を行ってもよい。
これにより、送金元ユーザの意図が送金処理に反映される。
【0008】
上述した情報処理装置においては、前記送金元ユーザは前記第1の電子バリュー種別と前記第2の電子バリュー種別とを所有し、前記送金先ユーザは前記第2の電子バリュー種別のみを所有可能な場合において、前記送金処理では、前記送金元ユーザが所有する前記第2の電子バリュー種別について減算を行ってもよい。
これにより、送金先ユーザの属性に応じて送金対象の電子バリュー種別が選択される。
【0009】
上述した情報処理装置においては、前記種別選択部が選択した電子バリュー種別が、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別と異なる場合に、前記送金依頼を行ったユーザに対して減算対象の電子バリュー種別を選択させる処理を行う問い合わせ処理部を備え、前記送金処理では、前記選択させる処理に対する選択結果に応じた電子バリュー種別について減算を行ってもよい。
これにより、送金元ユーザの意図によらず送金に伴って電子バリュー種別の変換がされてしまう虞がある場合に、送金元ユーザに確認を行うことができる。
【0010】
上述した情報処理装置では、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別を前記送金先ユーザが所有することができない場合において、前記管理部は、前記送金先ユーザに対する本人確認処理が正常に完了したことに応じて前記送金先ユーザが前記指定された電子バリュー種別を所有することを許可する許可処理を行い、前記送金処理部は、前記送金先ユーザについて前記指定された電子バリュー種別について加算を行ってもよい。
これにより、ユーザの属性情報を更新する機会が新たに設けられる。
【0011】
上述した情報処理装置において、前記送金依頼において指定された電子バリュー種別についての変更希望の有無を前記送金先ユーザに選択させる処理を行うと共に、前記選択させる処理に対する選択結果に応じて前記送金元ユーザに対して前記指定された電子バリュー種別を変更するか否かを選択させる処理を行う問い合わせ処理部を備えていてもよい。
これにより、送金先ユーザの希望に添った送金処理を実現することができる。
【0012】
上述した情報処理装置においては、前記第1の電子バリュー種別は現金化可能な電子バリュー種別とされ、前記第2の電子バリュー種別は現金化不可能な電子バリュー種別とされていてもよい。
これにより、使い勝手が異なる複数の電子バリュー種別に対して適切な送金を行うことができる。
【0013】
本発明に係る情報処理方法は、現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別と、現金の代替となる価値を有し前記第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別とについて、複数のユーザ所有するそれぞれのバリュー値を管理する処理と、送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を取得する取得処理と、前記送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、前記送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を前記取得した情報に基づいて選択する種別選択処理と、前記種別選択処理の結果に応じた前記送金元ユーザから前記送金先ユーザへの送金処理として前記管理する処理によって管理されている前記送金元ユーザについてのバリュー値を減算させる処理と前記管理する処理によって管理されている前記送金先ユーザについてのバリュー値を加算させる処理と、を情報処理装置が実行するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保有する電子バリュー種別を適切に管理することができる環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態の電子バリュー管理サーバを含むネットワークシステムの説明図である。
図2】コンピュータ装置のブロック図である。
図3】電子バリュー管理サーバの機能構成の説明図である。
図4】電子バリューDBに記憶される情報の一例を示した図である。
図5】第1の実施の形態の処理の流れについて示す図である。
図6】電子バリュー種別選択処理の第1例についてのフローチャートである。
図7】送金処理の一例についてのフローチャートである。
図8】送金元ユーザ及び送金先ユーザの所持しているバリュー値の変動例を示す図である。
図9】送金元ユーザ及び送金先ユーザの所持しているバリュー値の変動例を示す図である。
図10】送金元ユーザ及び送金先ユーザの所持しているバリュー値の変動例を示す図である。
図11】電子バリュー種別選択処理の第2例についてのフローチャートである。
図12】第2の実施の形態の処理の流れについて示す図である。
図13】電子バリュー種別選択処理の第3例についてのフローチャートである。
図14】第3の実施の形態の処理の流れについて示す図である。
図15】電子バリュー種別選択処理の第4例についてのフローチャートである。
図16】第4の実施の形態の処理の流れについて示す図である。
図17】電子バリュー種別選択処理の第5例についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態について、添付図を参照しながら説明する。
<1.ネットワークシステムの構成>
実施の形態の情報処理装置としての電子バリュー管理サーバ1を含むネットワークシステムについて図1に示す。
【0017】
電子バリュー管理サーバ1は、通信ネットワーク2を介して取引管理サーバ3やユーザ端末4と相互通信可能に構成されている。
【0018】
電子バリュー管理サーバ1は、電子バリューについての各種のサービスを提供する事業者(以降、単に「事業者」と記載する)が使用するサーバ装置であり、電子バリューのチャージや使用、或いは、ユーザ間の送金に伴う電子バリューの変動処理等、ユーザごとの電子バリューの管理を行う。電子バリューは、例えば、資金移動サービスで利用可能なものや前払式支払手段として用いられるものなど、各種考えられる。この中には、電子マネーとして用いられるものや、商品の購入やサービスの享受の際にユーザに付与され商品購入やサービスの享受に利用可能なポイントなども含まれる。
以降の説明においては、資金移動サービスで利用可能な電子バリューの種類を「第1の電子バリュー種別」と記載し、前払式支払手段として用いられる電子バリューの種類を「第2の電子バリュー種別」と記載する。
【0019】
電子バリュー管理サーバ1は、電子バリューDB(Database)51やユーザDB52にアクセス可能とされている。
【0020】
通信ネットワーク2の構成は特に限定されるものではなく、インターネット以外にも、例えばイントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、CATV(Community Antenna TeleVision)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網などが想定される。
また、通信ネットワーク2の全部又は一部を構成する伝送媒体についても多様な例が想定される。例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、電話線などの有線でも、IrDA(Infrared Data Association)のような赤外線、ブルートゥース(登録商標)、802.11無線、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。
【0021】
取引管理サーバ3は、ユーザが所持している電子バリューを用いた取引を行う際に、取引についての各種処理を実行するサーバ装置である。取引管理サーバ3は、取引の種別に応じて複数設けられていてもよい。
【0022】
例えば、電子商取引において電子バリューを用いた商品購入を行う場合には、電子商取引における商品の売買に係る種々の処理を行う情報処理装置が取引管理サーバ3として機能する。
また、商品購入にポイントを利用する場合にはポイント管理サーバが取引管理サーバ3として機能してもよい。
取引管理サーバ3は、取引履歴DB61にアクセス可能とされている。取引履歴DB61には、取引の履歴についての情報が記憶される。例えば、取引ID(Identification)に対して、取引日時、取引を行ったユーザを特定するための情報、取引対象、取引金額などが紐付けて記憶される。
【0023】
ユーザ端末4は、各種の電子バリュー種別を所持しているユーザが使用する情報処理装置である。
ユーザ端末4では、必要に応じて各種の送受信処理や表示処理などが実行される。また、ユーザ端末4は、例えば、通信機能を備えたPC(Personal Computer)やフィーチャーフォンやPDA(Personal Digital Assistants)、或いは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスなどである。
【0024】
<2.コンピュータ装置のハードウェア構成>
電子バリュー管理サーバ1、取引管理サーバ3、ユーザ端末4、各種のDBのハードウェア構成について図2を参照して説明する。
コンピュータ装置のCPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102に記憶されているプログラム、または記憶部108からRAM(Random Access Memory)103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104には、入出力インタフェース105も接続されている。
入出力インタフェース105には、入力部106、出力部107、記憶部108、通信部109が接続されている。
入力部106はキーボード、マウス、タッチパネルなどにより構成される。
出力部107はLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどにより構成される。
記憶部108はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ装置などにより構成される。
通信部109は通信ネットワーク2を介しての通信処理や機器間通信を行う。
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてメディアドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア111が適宜装着され、リムーバブルメディア111に対する情報の書込や読出が行われる。
【0025】
このようなコンピュータ装置では、通信部109による通信によりデータやプログラムのアップロード、ダウンロードが行われる。またリムーバブルメディア111を介したデータやプログラムの受け渡しが可能である。
CPU101が各種のプログラムに基づいて処理動作を行うことで、電子バリュー管理サーバ1、取引管理サーバ3、ユーザ端末4、各種のDBとしての必要な情報処理や通信が実行される。
なお、電子バリュー管理サーバ1、取引管理サーバ3、ユーザ端末4、各種のDBを構成する情報処理装置は、図2のようなコンピュータ装置が単一で構成されることに限らず、複数のコンピュータ装置がシステム化されて構成されてもよい。複数のコンピュータ装置は、LAN等によりシステム化されていてもよいし、インターネット等を利用したVPN等により遠隔地に配置されたものでもよい。複数の情報処理装置には、クラウドコンピューティングサービスによって利用可能なサーバ群(クラウド)としての情報処理装置が含まれてもよい。
【0026】
<3.電子バリュー管理サーバの機能構成>
図3に1又は複数の情報処理装置で構成される電子バリュー管理サーバ1の機能構成および各種のDBを示す。
電子バリュー管理サーバ1の各機能は、情報処理装置においてCPU101でプログラムに応じて実行される処理により実現される機能である。但し以下説明する全部又は一部の各構成の処理をハードウェアにより実現してもよい。
また各機能をソフトウェアで実現する場合に、各機能がそれぞれ独立したプログラムで実現される必要はない。1つのプログラムにより複数の機能の処理が実行されてもよいし、1つの機能が複数のプログラムモジュールの連携で実現されてもよい。
【0027】
電子バリュー管理サーバ1は、管理部1a、取得部1b、種別選択部1c、送金処理部1d、通知処理部1e及び問い合わせ処理部1fを備えている。
【0028】
管理部1aは、ユーザごとに所有している電子バリューのバリュー値を管理する。電子バリューには、例えば第1の電子バリュー種別と第2の電子バリュー種別とが設けられ、ユーザごとに所有できる電子バリュー種別が異なる。
【0029】
以降の説明においては、資金移動サービスで利用可能な第1の電子バリュー種別を「特別電子バリュー」と記載し、前払式支払手段として用いられる第2の電子バリュー種別を「基本電子バリュー」と記載する。
【0030】
また、特別電子バリューは出金可能とされ、基本電子バリューは出金不可能とされる。即ち、特別電子バリューは出金することにより通貨へと換金することができ、電子バリューが使用できないような店舗などの様々な場面で使用することができる。また、基本電子バリューは、現金へ直接換金するための出金操作などができないため、使用用途が限られる。例えば、特定の電子商取引や限られた実店舗のみで使用可能とされる。
【0031】
管理部1aは、何れの電子バリュー種別を所有できるかによってユーザを管理する。例えば、特別電子バリュー及び基本電子バリューの双方を所有可能なユーザは「特別ユーザ」として管理される。
また、基本電子バリューを所有可能であり特別電子バリューを所有できないユーザは「基本ユーザ」として管理される。
特別ユーザや基本ユーザはユーザの属性情報の一つであるユーザ種別情報とされる。
【0032】
取得部1bは、任意のユーザについて保有可能な電子バリュー種別とそのバリュー値を取得する。例えば、ユーザから送金依頼を受信した場合に、送金依頼に応じて送金元ユーザと送金先ユーザが所有している或いは所有可能な電子バリュー種別とバリュー値を取得する。
取得部1bが取得した情報は送金の可否判定などに用いられる。
【0033】
種別選択部1cは、送金依頼を受け付けた場合に何れの種別の電子バリューを送金するかについての選択処理を行う。例えば、送金元ユーザによる指定によらず最適な電子バリュー種別を選択する。或いは、送金元ユーザによる指定を加味して電子バリュー種別を選択する。具体的には後述する。
【0034】
送金処理部1dは、種別選択部1cが選択した電子バリュー種別に応じた送金処理を行う。具体的には、選択された電子バリュー種別について、送金元ユーザが所持しているバリュー値を送金額に応じて減算する処理を行い、送金先ユーザが所持しているバリュー値を送金額に応じて加算する処理を行う。
【0035】
通知処理部1eは、送金処理部1dによる送金処理が正常に終了したことに応じて送金元ユーザ及び送金先ユーザに対する通知を行う。また、送金処理が正常に終了しなかった場合に、送金元ユーザに対して送金処理が失敗したことを通知する処理を実行してもよい。
なお、これらの通知は、送金元ユーザと送金先ユーザの何れか一方に対してのみ実行してもよい。
【0036】
問い合わせ処理部1fは、ユーザに対して各種の問い合わせ処理を行う。例えば、送金の対象とされた電子バリュー種別をユーザに確認する問い合わせや、変更要否についての問い合わせを行う。具体的には後述する。
【0037】
<4.各種データベース>
電子バリュー管理サーバ1は、前述したように、電子バリューDB51及びユーザDB52を利用可能とされている。
各DBについて、適宜添付図を参照しながら説明する。
【0038】
<4−1.電子バリューDB>
電子バリューDB51に記憶される情報の一例について図4に示す。
電子バリューDB51にはユーザと所有している電子バリュー種別ごとのバリュー値が紐付けられて記憶されている。
【0039】
図4に示す例では、電子バリューDB51に記憶されるユーザIDが「xxxx」とされるユーザについての情報が記憶されている。具体的には、当該ユーザは、基本電子バリューを所有可能とされ特別電子バリューを所有できない基本ユーザとされ、基本電子バリューを「8800」所有している。
【0040】
また、電子バリューDB51には、ユーザの所有している電子バリューのバリュー値の変動についての履歴が記憶されている。例えば、図4に示すユーザについての履歴としては、現金を入金したことにより基本電子バリューが「10000」増加した履歴や、商品購入やサービス享受によって減算されたポイントの履歴や、他ユーザへの送金によって基本電子バリューのバリュー値「1500」が減算された履歴や、他ユーザからの送金によって基本電子バリューのバリュー値「2000」が加算された履歴などが記憶されている。
【0041】
なお、ユーザが特別ユーザである場合には、特別電子バリューのうち任意の額を出金したことに応じて、摘要が「出金」とされた履歴が記憶される。
【0042】
なお、履歴情報については、図4に示す以外にも各種の情報が記憶されてもよい。例えば、摘要として購入された店舗を特定するための情報や購入商品を特定するための情報が記憶されてもよい。また、摘要として「送金(授与)」が記憶されると共に送金先ユーザを特定するための情報が記憶されてもよい。同様に、摘要として「送金(受取)」が記憶されると共に送金元ユーザを特定するための情報が記憶されてもよい。
【0043】
<4−2.ユーザDB>
ユーザDB52に記憶される情報の一例について示す。
ユーザDB52には、例えば、ユーザを一意に特定可能なユーザIDに対して、氏名、年齢及び連絡先情報などのユーザの属性情報や、ログインIDやログインパスワードなどが紐付けられて記憶されている。
なお、ユーザDB52には、特別ユーザであるか基本ユーザであるかを示すユーザ種別情報が記憶されていてもよい。
【0044】
なお、上述したこれらの各DBは、電子バリュー管理サーバ1を構成する各情報処理装置が必要に応じてアクセス可能とされていればどのような形態で実現されていてもよい。例えば電子バリュー管理サーバ1と同一システム内の記憶部に各DBのすべてが形成されていてもよいし、各DBの一部又は全部が別体、遠隔地等のコンピュータシステムに設けられていてもよい。もちろん各DBが一つの装置(例えば一つのHDD等)内に形成されている必要はない。また各DBのそれぞれが、それぞれ1つのDBとして構成される必要もない。例えばユーザDB52に記憶される情報が、複数のDB(例えばユーザの属性情報が記憶されるユーザDBとユーザごとのログインIDとログインパスワードが記憶されるユーザDBなど)により記憶管理されてもよい。上述した各DBは、実施の形態の処理に関連する情報の記憶部を、それぞれ1つのDBの形態で例示したものに過ぎない。
【0045】
<5.第1の実施の形態>
ユーザが他ユーザに対する送金を行う際に電子バリュー管理サーバ1やユーザ端末4が実行する処理の第1の実施の形態について説明する。
【0046】
<5−1.処理の流れ>
第1の実施の形態は、ユーザの送金依頼に応じて送金元ユーザから送金先ユーザへの送金処理が実行される例である。
第1の実施の形態における各処理の流れについて図5を参照して説明する。
【0047】
なお、各実施の形態においては、他のユーザへの送金を行うユーザである送金元ユーザが使用するユーザ端末4をユーザ端末4Aと記載する。また、他のユーザからの送金を受け取るユーザが使用するユーザ端末4をユーザ端末4Bと記載する。また、送金依頼を行うユーザは送金元ユーザである。
【0048】
送金元ユーザが送金依頼を行うための操作を行ったことに応じて、ユーザ端末4AはステップS101において送金指示画面をユーザ端末4Aの表示部に表示させる処理を行う。これにより、ユーザ端末4Aの表示部に送金指示画面が表示される。
送金指示画面においては、例えば、送金先のユーザを選択するための操作や送金額を入力する操作を受け付け可能とされている。また、必要に応じて送金する電子バリュー種別を指定可能とされていてもよい。
【0049】
送金先ユーザの選択は、送金先ユーザを特定可能な情報を指定することにより行われてもよい。例えば、事業者が提供する各種のサービスを利用する送金先ユーザのアカウント名やユーザIDであってもよいし、事業者が管理するユーザDB52に記憶されている送金先ユーザの電話番号や住所、氏名などであってもよい。
【0050】
また、事業者が管理するウェブページ上に一覧で表示された知人一覧から選択する方法であってもよい。
他にも、事業者が提供する各種のサービスを利用するためのアプリケーションソフトウェア上に知人一覧が登録されており、そこから選択することによって送金先ユーザを選択してもよい。或いは、送金元ユーザが使用するユーザ端末4Aに記憶されている連絡先一覧から選択可能とされていてもよい。
更には、送金元ユーザがユーザ端末4Aを用いてSNS(Social Networking Service)を利用可能である場合には、SNSの連絡先リストから送金先ユーザの選択が行われていてもよい。
【0051】
なお、図5のステップS101を実行する前に、ユーザ端末4Aと電子バリュー管理サーバ1において、電子バリュー管理サーバ1が提供する各種サービスを利用するためのログイン操作を検出する処理やそれに応じたログイン処理を実行してもよい。
【0052】
送金元ユーザが送金先及び送金額の入力を行ったことに応じて、ユーザ端末4AはステップS102において入力を受け付ける処理を行う。
【0053】
ユーザ端末4AはステップS103において、送金先ユーザを特定するための情報と送金額の情報を電子バリュー管理サーバ1に送信する処理を行う。この処理は、例えば、送金元ユーザが送金依頼を実行するための操作を行ったことにより実行される。なお、ステップS103の処理において送金元ユーザを特定する情報を送信してもよい。
【0054】
ユーザ端末4Aの送信処理に応じて、電子バリュー管理サーバ1はステップS201で受信処理を行う。この処理により、電子バリュー管理サーバ1は、送金依頼を行った送金元ユーザを特定するための情報と送金先ユーザを特定するための情報と送金額情報を取得する。
【0055】
電子バリュー管理サーバ1はステップS202において、送金元ユーザのユーザ種別情報を取得する処理を実行し、続くステップS203において、送金先ユーザのユーザ種別情報を取得する処理を実行する。
【0056】
ステップS202及びステップS203の各処理を実行することにより、送金元ユーザが所有している電子バリュー種別や送金先ユーザが所有可能な電子バリュー種別が特定可能とされる。
【0057】
電子バリュー管理サーバ1はステップS204において、送金処理の対象となる電子バリュー種別を選択する。この選択処理は、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別や各ユーザの所有している電子バリュー種別などの各情報に基づいて適切な電子バリュー種別を選択する処理であり、各種の例が考えられる。詳しくは後述する。
【0058】
電子バリュー管理サーバ1はステップS205において、ステップS204で選択した電子バリュー種別に応じた送金処理を行う。この処理により、送金元ユーザが指定した送金先ユーザ及び送金額に応じた送金処理が実行される。
送金処理においては、具体的に、送金元ユーザが所持している電子バリューのバリュー値の減算処理と送金先ユーザが所有している電子バリューのバリュー値の加算処理が実行される。具体的には後述する。
【0059】
電子バリュー管理サーバ1はステップS206において、送金結果を通知する処理を実行する。送金結果通知処理では、送金処理が成功した場合の通知だけではなく、送金元ユーザの所持しているバリュー値が指定した送金額よりも低い場合など送金が失敗した場合の通知も行われる。
送金の成否に関する通知は、ユーザ端末4Aにおいて送金の実行を指示する画面の後に表示される画面においてなされてもよいし、それ以外にも、例えば、プッシュ通知などのようにアプリケーションソフトウェアを用いて通知してもよいし、SNSを用いて通知してもよいし、電子メールによって通知してもよい。
【0060】
ステップS206の送金結果通知処理に応じて、ユーザ端末4AはステップS104において通知を受信する処理を実行し、ユーザ端末4BはステップS301において通知を受信する処理を実行する。
通知を受信した後、ユーザ端末4A及びユーザ端末4Bにおいては、通知された送金結果を表示させる処理などを実行可能とされる。
ユーザ端末4における通知処理の受信は、電子バリュー管理サーバ1の送信タイミングに応じて実行されてもよいし、ユーザの操作タイミングに応じて実行されてもよい。
【0061】
<5−2.電子バリュー種別選択処理の第1例>
図5に示すステップS204において電子バリュー管理サーバ1が実行する電子バリュー種別選択処理についての第1例を図6に示す。
【0062】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS401において、送金元ユーザが特別ユーザであるか否かを判定し、該判定結果に基づいて分岐処理を行う。この判定は、図5のステップ202で取得した情報に基づいて行われる。
【0063】
送金元ユーザが特別ユーザであると判定した場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS402において送金先ユーザが特別ユーザであるか否かを判定する。この判定は、図5のステップS203で取得した情報に基づいて行われる。
【0064】
送金先ユーザが特別ユーザであると判定した場合、即ち、送金元ユーザと送金先ユーザが共に特別ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS403で特別電子バリューを送金対象の電子バリュー種別として選択する。
【0065】
一方、送金元ユーザが基本ユーザである場合(ステップS401:No判定)や送金先ユーザが基本ユーザである場合(ステップS402:No判定)、電子バリュー管理サーバ1はステップS404で基本電子バリューを送金対象の電子バリュー種別として選択する。
【0066】
なお、図6及び後述するそれぞれの電子バリュー種別選択処理は、送金処理の対象として適切な電子バリュー種別を選択する処理であり、実際に送金処理に用いられる電子バリュー種別は異なる場合がある。実際に送金処理に用いられる電子バリュー種別は、図7に示す送金処理において決定される。
【0067】
<5−3.送金処理>
図5に示すステップS205において電子バリュー管理サーバ1が実行する送金処理の具体例について図7に示す。
【0068】
送金処理において、電子バリュー管理サーバ1は先ずステップS501において、選択された電子バリュー種別について送金元ユーザが所有するバリュー値が指定された送金額以上であるか否かに基づく分岐処理を行う。
【0069】
選択された電子バリュー種別について、指定された送金額以上のバリュー値を送金元ユーザが所有している場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS502において、選択された電子バリュー種別のみを用いた送金を行う。
【0070】
具体的には、選択された電子バリュー種別について送金元ユーザの所有しているバリュー値から指定金額を減算する処理を行う。また、指定された電子バリュー種別について送金先ユーザのバリュー値に指定金額を加算する処理を行う。
【0071】
ステップS502の処理による送金元ユーザ及び送金先ユーザの所有電子バリューの変動の一例を図8に示す。
図8に示す例は、図5のステップS102で指定された送金額が「3000」とされ、且つ、図6のステップS404で基本電子バリューが選択された場合の例である。
これにより、送金元ユーザの基本電子バリューのバリュー値が3000減り、送金先ユーザの基本電子バリューのバリュー値が3000増える(図8参照)。
なお、図8においてバリュー値に記載された「−」は、所有することが許可されていない電子バリュー種別を示す。所有は許可されているが所持しているバリュー値が0の電子バリュー種別については「0」と記載している。他の図についても同様である。
従って、図8に示す送金元ユーザと送金先ユーザは共に基本ユーザとされている。
【0072】
なお、送金処理についての手数料が発生する場合は、送金元ユーザのバリュー値から手数料を徴収するために更に減算させる処理を行う。手数料の徴収は選択された電子バリュー種別から実行されてもよいし、基本電子バリューから実行されてもよいし、特別電子バリューから実行されてもよい。
また、特別電子バリューの送金を行う場合の手数料と基本電子バリューの送金を行う場合の手数料が異なっていてもよい。
更には、例えば、基本電子バリューの送金を行う場合において手数料を基本電子バリューから減算させる場合の徴収量と手数料を特別電子バリューから減算させる場合の徴収量が異なっていてもよい。例えば、基本電子バリューから手数料を減算させる場合は送金額の10%とし、特別電子バリューから手数料を減算させる場合は送金額の5%としてもよい。特別電子バリューの送金を行う場合においても同様である。
勿論、一方の電子バリュー種別を所有していない場合には、所有している方の電子バリュー種別から手数料の徴収を行ってもよい。
【0073】
図7の説明に戻る。
選択された電子バリュー種別について、送金元ユーザが指定された送金額以上のバリュー値を所有していない場合、即ち、選択された電子バリュー種別のバリュー値が送金額に対して不足している場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS503において、送金元ユーザが所有する特別電子バリュー及び基本電子バリューの合計バリュー値が指定された送金額以上であるか否かを判定する。
【0074】
合計バリュー値が送金額以上である場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS504において、選択された電子バリュー種別の全バリュー値を送金すると共に、不足している送金額を他方の電子バリュー種別から送金する処理を行う。
【0075】
ステップS504の処理による送金元ユーザ及び送金先ユーザの所有電子バリューの変動の一例を図9に示す。
図9に示す例は、図5のステップS102で指定された送金額が「3000」とされ、且つ、図6のステップS404で基本電子バリューが選択された場合の例である。これは、送金先ユーザが基本ユーザであることから、ステップS402で「No」判定となった結果である。
これにより、送金元ユーザの基本電子バリューのバリュー値が2000減算されることにより全て無くなると共に、残りの送金額である1000が特別電子バリューから減算される。また、送金先ユーザは特別電子バリューを所有できないことから、基本電子バリューのバリュー値が3000加算されている(図9参照)。この場合、送金処理を行うことにより送金元ユーザが所持していた1000の特別電子バリューが送金先ユーザへ送金されることにより1000の基本電子バリューへと変換される。
【0076】
図7の説明に戻る。
ステップS503において、合計バリュー値が送金額未満であると判定した場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS505で、送金元ユーザが所有する全ての電子バリュー値を送金する処理を行う。
【0077】
ステップS505の処理による送金元ユーザ及び送金先ユーザの所有電子バリューの変動の一例を図10に示す。
図10に示す例は、図5のステップS102で指定された送金額が「3000」とされ、且つ、図6のステップS404で基本電子バリューが選択された場合の例である。これは、送金先ユーザが基本ユーザであることから、ステップS402で「No」判定となった結果である。
【0078】
これにより、送金元ユーザの基本電子バリューのバリュー値が2000減算されると共に、送金元ユーザの特別電子バリューのバリュー値が500減算されることにより送金元ユーザの所持している電子バリューが全てなくなる。また、送金先ユーザは特別電子バリューを所有できないことから、基本電子バリューのバリュー値が2500加算されている(図10参照)。
【0079】
なお、残りの送金額500については、送金元ユーザの所有している電子バリューが不足しているため、送金されない。この場合には、図5のステップS206の処理の送金結果通知処理において、指定されたバリュー値のうちの一部が残高不足により送金されなかったことを送金元ユーザに対して通知してもよい。
また、そもそも送金元ユーザが指定したバリュー値に対して送金元ユーザが所有しているバリュー値が少ない場合、送金処理を実行しなくてもよい。この場合には、残高不足のため送金が行われなかった旨を送金元ユーザに通知してもよい。
【0080】
なお、送金元ユーザが指定したバリュー値に対して送金元ユーザが所有しているバリュー値が少ない場合、電子バリュー管理サーバ1は電子バリューのチャージを促すための処理を実行してもよい。例えば、電子バリュー管理サーバ1は、先ず、送金元ユーザに対して電子バリューのチャージを行うか否かを選択させるための表示制御を行い、電子バリューのチャージを行うことを意図する操作を送金元ユーザが行った場合に電子バリューのチャージ処理を実行してもよい。この場合には、電子バリューのチャージ処理が正常に完了した後に送金処理が実行される。
【0081】
以上説明したように、第1の実施の形態においては、送金元ユーザが送金する電子バリュー種別を指定しなくても送金処理が行われる。即ち、第1の実施の形態は、送金する電子バリュー種別を送金元ユーザが指定しなかった場合や送金に用いる電子バリュー種別を送金元ユーザが指定できない場合などに実行される処理である。
【0082】
<5−4.電子バリュー種別選択処理の第2例>
図5のステップS204の一例である電子バリュー種別選択処理の第2例について図11を参照して説明する。
電子バリュー種別選択処理の第2例は、第1例と異なり、送金する電子バリュー種別の指定の有無に基づいた処理を実行する。なお、第1例と同様の処理については、同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0083】
電子バリュー管理サーバ1はステップS411において、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が基本電子バリューであるか否かを判定する。
基本電子バリューが指定されていた場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404へと進み、基本電子バリューを送金対象の電子バリュー種別として選択する。
即ち、送金処理の際に基本電子バリューが残高不足等でなければ送金元ユーザの指定通り基本電子バリューの送金が行われる。
【0084】
基本電子バリューが指定されていない場合、換言すれば、特別電子バリューが指定された場合や電子バリュー種別の指定がなされていなかった場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS401及びステップS402などの処理を行い、何れの電子バリュー種別が適切かを判定し電子バリュー種別を選択する。
【0085】
<6.第2の実施の形態>
ユーザが他ユーザに対する送金を行う際に電子バリュー管理サーバ1やユーザ端末4が実行する処理の第2の実施の形態について説明する。
【0086】
<6−1.処理の流れ>
第2の実施の形態では、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別と電子バリュー管理サーバ1が選択した最適と思われる電子バリュー種別が異なる場合に、送金元ユーザに電子バリュー種別を改めて指定させる第1問い合わせ処理を行う。
具体的に、図12を参照して説明する。なお、図5に示す各処理と同様の処理については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0087】
ユーザ端末4Aは、送金指示画面の表示を行い(ステップS101)、送金先ユーザ及び送金額の入力の受け付けを行う(ステップS102)。また、ステップS102の処理では、送金する電子バリュー種別が送金元ユーザにより指定される。入力された各情報は、ステップS103において電子バリュー管理サーバ1へ送信される。
【0088】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS201で送金先ユーザ、送金額及び送金する電子バリュー種別の指定情報を受信し、ステップS202で送金元ユーザのユーザ種別を取得する。また、ステップS203において、電子バリュー管理サーバ1は送金先ユーザのユーザ種別を取得する。
【0089】
次に、電子バリュー管理サーバ1はステップS204Aにおいて、送金に最適な電子バリュー種別を選択する処理を行う。第2の実施の形態における電子バリュー種別選択処理(ステップS204A)では、具体的には後述するが、送金元ユーザに電子バリュー種別を改めて指定させる第1問い合わせ処理を行うものである。
【0090】
第1問い合わせ処理に応じて、ユーザ端末4AではステップS121の第1問い合わせ対応処理が実行される。
【0091】
電子バリュー種別選択を終えた電子バリュー管理サーバ1は、ステップS205で送金処理を行い(図7参照)、ステップS206で各ユーザ端末4に対する送金結果通知を行う。
【0092】
<6−2.電子バリュー種別選択処理の第3例>
図12のステップS204Aとして実行される電子バリュー種別選択処理の第3例について、図13を参照して説明する。なお、図6図11に示す各処理と同様の処理については、同じ番号を付し適宜説明を省略する。
【0093】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS401及びステップS402の各処理を行うことにより、送金元ユーザまたは送金先ユーザのいずれかが基本ユーザであるか否かを判定する。いずれかのユーザが基本ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404で基本電子バリューを選択し、ステップS421の処理へと進む。
【0094】
一方、双方のユーザが共に特別ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS403で特別電子バリューを選択した後、ステップS421の処理へと進む。
【0095】
ステップS421の処理では、電子バリュー管理サーバ1は、ユーザが指定した電子バリュー種別と齟齬が無いかを判定する。
具体的に、電子バリュー管理サーバ1はステップS421で図12のステップS102で送金元ユーザによって指定された電子バリュー種別と図13のステップS403またはステップS404で選択した電子バリュー種別が異なるか否かを判定する。
【0096】
電子バリュー種別が同じ場合、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別と電子バリュー管理サーバ1が選択した電子バリュー種別が一致しているため、図13に示す一連の処理を終了する。
【0097】
一方、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別と電子バリュー管理サーバ1が選択した電子バリュー種別が異なっている場合、電子バリュー管理サーバ1は送金元ユーザに問い合わせる第1問い合わせ処理を行う。具体的には、電子バリュー管理サーバ1はステップS422の第1問い合わせ処理として、ユーザ端末4Aに対して、送金に最適な電子バリュー種別は送金元ユーザが指定した電子バリュー種別と異なるが、このまま送金を行うかどうかを問い合わせる。
【0098】
例えば、「送金元ユーザが指定した電子バリュー種別を変更して電子バリュー管理サーバ1が選択した電子バリュー種別による送金を行う」ことを選択する選択肢と、「電子バリュー管理サーバ1が選択した電子バリュー種別は無視して最初に指定した電子バリュー種別による送金を行う」ことを選択する選択肢の双方を送金元ユーザに提示し、何れか一方を選択させる。
【0099】
ユーザ端末4Aは、図12のステップS121の第1問い合わせ対応処理として、問い合わせ内容を受信し表示部に表示する処理や、送金元ユーザの選択操作を受け付ける処理や選択内容を電子バリュー管理サーバ1へ送信する処理が実行される。
【0100】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS423で、問い合わせの結果情報、即ち、上記した何れの選択肢を選択したかを示す情報を受信し、続くステップS424で、指定された電子バリュー種別が変更されたか否かを判定する。
【0101】
第1問い合わせ処理を行った結果、ステップS102で送金元ユーザが最初に指定した電子バリュー種別を電子バリュー管理サーバ1が選択した電子バリュー種別へ変更した場合、電子バリュー管理サーバ1は図13に示す一連の処理を終了する。即ち、電子バリュー管理サーバ1は、ステップS403またはステップS404で選択した電子バリュー種別を送金の対象としたまま電子バリュー種別選択処理を終える。
【0102】
一方、第1問い合わせ処理を行った結果、ステップS102で送金元ユーザが最初に指定した電子バリュー種別を変更しなかった場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS425において、送金元ユーザが最初に指定した電子バリュー種別を送金の対象として選択し直し、図12に示す一連の処理を終了する。
【0103】
この後、電子バリュー管理サーバ1は図12のステップS205の送金処理を行う。送金処理については、図7に示す処理と同様の処理であり、説明を省略する。
なお、ここで選択した電子バリュー種別はあくまで送金処理における第1優先度の電子バリュー種別であり、実際に図7に示す送金処理を行った結果、異なる電子バリュー種別が送金されることもある。
【0104】
<7.第3の実施の形態>
ユーザが他ユーザに対する送金を行う際に電子バリュー管理サーバ1やユーザ端末4が実行する処理の第3の実施の形態について説明する。
【0105】
<7−1.処理の流れ>
第3の実施の形態では、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が特別電子バリューであるにも関わらず送金先ユーザが基本ユーザである場合に、送金先ユーザに対する本人確認処理を行う。
具体的に、図14を参照して説明する。なお、図5に示す各処理と同様の処理については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0106】
ユーザ端末4Aは、送金指示画面の表示を行い(ステップS101)、送金先ユーザ及び送金額の入力の受け付けを行う(ステップS102)。また、ステップS102の処理では、送金する電子バリュー種別が送金元ユーザにより指定される。入力された各情報は、ステップS103において電子バリュー管理サーバ1へ送信される。
【0107】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS201で送金先ユーザ、送金額及び送金する電子バリュー種別の情報を受信し、ステップS202で送金元ユーザのユーザ種別を取得する。また、ステップS203において、電子バリュー管理サーバ1は送金先ユーザのユーザ種別を取得する。
【0108】
次に、電子バリュー管理サーバ1はステップS204Bにおいて、送金に最適な電子バリュー種別を選択する処理を行う。第3の実施の形態における電子バリュー種別選択処理(ステップS204B)では、具体的には後述するが、送金先ユーザに対する本人確認処理を実行可能とされている。
【0109】
本人確認処理に応じて、送金先ユーザが使用するユーザ端末4BではステップS331の本人確認対応処理が実行される。
本人確認対応処理では、例えば、本人確認手続を行うか否かを選択させる画面を表示させる処理や、本人確認手続のための書類やファイルを選択させる処理や、本人確認書類をアップロードする処理などが実行される。なお、本人確認のための処理については各種の方法を用いることができる。
【0110】
電子バリュー種別選択を終えた電子バリュー管理サーバ1は、ステップS205で送金処理を行い(図7参照)、ステップS206で各ユーザ端末4に対する送金結果通知を行う。
【0111】
<7−2.電子バリュー種別選択処理の第4例>
図14のステップS204Bとして実行される電子バリュー種別選択処理の第4例について、図15を参照して説明する。なお、図6図11に示す各処理と同様の処理については、同じ番号を付し適宜説明を省略する。
【0112】
電子バリュー管理サーバ1はステップS431において、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が特別電子バリューであるか否かを判定する。
送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が基本電子バリューである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404の処理へと進み、基本電子バリューを選択して図15に示す電子バリュー種別選択処理を終了する。
【0113】
一方、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が特別電子バリューである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS401の処理へと進む。
なお、送金元ユーザが電子バリュー種別を指定していない場合は、ステップS401の処理へと進んでもよいし、ステップS404の処理へと進んでもよい。
【0114】
ステップS401において、電子バリュー管理サーバ1は、送金元ユーザが特別ユーザであるか否かを判定する。送金元ユーザが基本ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404の処理へと進む。
【0115】
一方、送金元ユーザが特別ユーザである場合、即ち、特別電子バリューを送金する可能性がある場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS402において送金先ユーザが特別ユーザであるか否かを判定する処理を行う。
【0116】
送金先ユーザが特別ユーザである場合は、特別電子バリューを送金することが最も適していると判定し、ステップS403で特別電子バリューを選択し、一連の処理を終了する。
【0117】
ここで、送金先ユーザが基本ユーザであると判定した場合について説明する。
送金先ユーザが基本ユーザである場合は、送金元ユーザの所有している特別電子バリューを送金した場合に受け手側の送金先ユーザの属性によって送金されたバリュー値が基本電子バリューのものへと変更されてしまう場合である。
【0118】
そこで、第3の実施の形態においては、送金先ユーザが要件を満たすかどうかを判定し、要件を満たす場合に特別電子バリューを所有可能な特別ユーザへ送金先ユーザを昇格させる処理が実行される。
【0119】
具体的には、電子バリュー管理サーバ1はステップS432において、本人確認処理を実行する。本人確認処理は、送金先ユーザに本人確認手続を進める意思があるかどうかを確認する処理や、本人確認処理のための書類やファイルをアップロードさせる処理や、アップロードさせた書類やファイルに基づいて本人確認を行う処理である。本人確認処理自体は既に提案されている各種の手法を用いることが可能である。
【0120】
本人確認処理を実行した後、電子バリュー管理サーバ1はステップS433において、本人確認処理の結果が正常終了したか否かを判定する。具体的には、特別電子バリューを所有するための要件を満たしているか否かを判定する処理である。
要件を満たしていると判定した場合、即ち、本人確認処理が正常終了したと判定した場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS403において特別電子バリューを選択し電子バリュー種別選択処理を終了する。なお、この場合において、電子バリュー管理サーバ1の管理部1aは、ユーザDB52を更新することにより、送金先ユーザの属性が基本ユーザから特別ユーザへ変更になったことを記憶してもよい。なお、ステップS432の本人確認処理及びステップS433の判定処理は送金先ユーザが特別電子バリューを所有することを許可する許可処理ともいえる。
【0121】
一方、要件を満たしていないと判定した場合或いは本人確認手続を送金先ユーザが拒否した場合など、本人確認処理が正常終了しなかったと判定した場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404において基本電子バリューを選択し電子バリュー種別選択処理を終了する。
【0122】
なお、図15の電子バリュー種別選択処理を終了した後、図7の送金処理を実行するが、送金処理において送金元ユーザが特別電子バリューの残高が無い場合などには、本人確認処理が正常終了したにも関わらず実際に送金される電子バリュー種別が基本電子バリューになってしまう場合がある。
【0123】
このような不合理を避けるために、図7における一部の処理を先に実行することにより、送金に適した電子バリュー種別とそれぞれの種別の送金予定額を予め算出しておき、特別電子バリューの送金が可能である場合に初めて図15のステップS432及びステップS433の処理が実行されるようにしてもよい。
【0124】
<8.第4の実施の形態>
ユーザが他ユーザに対する送金を行う際に電子バリュー管理サーバ1やユーザ端末4が実行する処理の第4の実施の形態について説明する。
【0125】
<8−1.処理の流れ>
第4の実施の形態では、送金元ユーザ及び送金先ユーザが共に特別ユーザであるにも関わらず送金元ユーザが基本電子バリューを送金対象として指定した場合に、送金先ユーザに対して電子バリュー種別の変更要望の有無を確認する処理を実行する。
具体的に、図16を参照して説明する。なお、図5に示す各処理と同様の処理については同じ符号を付し適宜説明を省略する。
【0126】
ユーザ端末4Aは、送金指示画面の表示を行い(ステップS101)、送金先ユーザ及び送金額の入力の受け付けを行う(ステップS102)。また、ステップS102の処理では、送金する電子バリュー種別が送金元ユーザにより指定される。入力された各情報は、ステップS103において電子バリュー管理サーバ1へ送信される。
【0127】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS201で送金先ユーザ、送金額及び送金する電子バリュー種別の情報を受信し、ステップS202で送金元ユーザのユーザ種別を取得する。また、ステップS203において、電子バリュー管理サーバ1は送金先ユーザのユーザ種別を取得する。
【0128】
次に、電子バリュー管理サーバ1はステップS204Cにおいて、送金に最適な電子バリュー種別を選択する処理を行う。第4の実施の形態における電子バリュー種別選択処理(ステップS204C)では、具体的には後述するが、送金先ユーザに対して送金される電子バリュー種別の変更希望を確認する処理を実行可能とされている。
【0129】
変更希望確認処理に応じて、送金先ユーザが使用するユーザ端末4BではステップS341の変更希望確認対応処理が実行される。
変更希望確認対応処理では、例えば、電子バリュー種別の変更を希望するかしないかを選択させる画面を表示させる処理や、選択情報を電子バリュー管理サーバ1へ送信する処理などが実行される。
【0130】
一方、送金元ユーザが使用するユーザ端末4Aでは、送金先ユーザが電子バリュー種別の変更を希望した場合にステップS141の第2問い合わせ対応処理が実行される。
第2問い合わせ対応処理では、例えば、電子バリュー種別の変更を許可するか否かを選択させる画面を表示させる処理や、選択情報を電子バリュー管理サーバ1へ送信する処理などが実行される。
【0131】
電子バリュー種別選択を終えた電子バリュー管理サーバ1は、ステップS205で送金処理を行い(図7参照)、ステップS206で各ユーザ端末4に対する送金結果通知を行う。
【0132】
<8−2.電子バリュー種別選択処理の第5例>
図16のステップS204Cとして実行される電子バリュー種別選択処理の第5例について、図17を参照して説明する。なお、図6図11に示す各処理と同様の処理については、同じ番号を付し適宜説明を省略する。
【0133】
電子バリュー管理サーバ1は、ステップS401及びステップS402の各処理を行うことにより、送金元ユーザまたは送金先ユーザのそれぞれについて基本ユーザであるか否かを判定する。いずれかのユーザが基本ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404で基本電子バリューを選択し、図17に示す一連の処理を終了する。
【0134】
一方、双方のユーザが共に特別ユーザである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS441において、送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が基本電子バリューであるか否かを判定する。
【0135】
送金元ユーザが指定した電子バリュー種別が特別電子バリューである場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS403で特別電子バリューを選択し、図17に示す一連の処理を終了する。
【0136】
ここで、双方のユーザが特別ユーザであるにもかかわらず送金元ユーザが選択した電子バリュー種別が基本電子バリューである場合に電子バリュー管理サーバ1が実行する各処理、即ち、ステップS442以降の処理について説明する。
【0137】
送金元ユーザが基本電子バリューを指定していた場合、電子バリュー管理サーバ1は先ず、送金先ユーザに対して電子バリュー種別の変更希望があるか否かを確認する処理を実行する。
【0138】
具体的には、電子バリュー管理サーバ1はステップS442で変更希望確認処理を実行する。この処理により、ユーザ端末4Bの表示部に変更希望の有無を選択させる画面が表示される。
【0139】
変更希望の有無についての選択情報を受信した電子バリュー管理サーバ1は、ステップS443において、特別電子バリューに変更希望の有無を判定する。
送金先ユーザの意思表示が「変更を希望しない」だった場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404において送金元ユーザの指定通り基本電子バリューを選択し、図17に示す一連の処理を終了する。
【0140】
一方、送金先ユーザの意思表示が「変更を希望する」であった場合、電子バリュー管理サーバ1は続く処理で送金元ユーザに対する問い合わせ処理を行う。
具体的には、電子バリュー管理サーバ1はステップS444で第2問い合わせ処理を実行する。この処理により、ユーザ端末4Aの表示部に送金先ユーザが送金についての電子バリュー種別の変更を希望していることの通知が表示され、更に、送金する電子バリュー種別を変更してもよいかを問う設問画面が表示される。
【0141】
送金元ユーザが電子バリュー種別の変更の可否を選択したことに応じて、電子バリュー管理サーバ1はステップS445において、特別電子バリューへの変更可否を判定する。
送金元ユーザが特別電子バリューへの変更を許可した場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS403において送金先ユーザの希望に添うように特別電子バリューを選択する。
一方、送金元ユーザが特別電子バリューへの変更を許可しなかった場合、電子バリュー管理サーバ1はステップS404において当初の送金元ユーザの指定通り基本電子バリューを選択する。
【0142】
なお、図17の電子バリュー種別選択処理を終了した後、図7の送金処理を実行するが、送金処理において送金元ユーザが特別電子バリューの残高が無い場合などには、送金元ユーザが電子バリュー種別の変更を許可したにも関わらず実際に送金される電子バリュー種別が基本電子バリューになってしまう場合がある。
【0143】
このような不合理を避けるために、図7における一部の処理を先に実行することにより、送金に適した電子バリュー種別とそれぞれの種別の送金予定額を予め算出しておき、特別電子バリューの送金が可能である場合に初めて図17のステップS442からステップS445の各処理が実行されるようにしてもよい。
【0144】
なお、ステップS442の変更希望確認処理やステップS444の第2問い合わせ処理の実行に時間が掛かりすぎてしまう場合、即ち、送金先ユーザからの返答や送金元ユーザからの返答に時間が掛かってしまった場合、送金依頼を受けてから送金処理が実行されるまでに長い時間が経過してしまう虞がある。
このような状態を防止するために、それぞれタイムリミット(数日や数時間や数分など)を設け、タイムリミットを過ぎてしまった場合には、送金元ユーザの最初の指定通りに基本電子バリューの送金処理を実行してもよい。
【0145】
<9.まとめ>
上述した各例で説明したように、本発明における情報処理装置(電子バリュー管理サーバ1)は、現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別(例えば特別電子バリュー)と、現金の代替となる価値を有し第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別(例えば基本電子バリュー)とについて、ユーザ毎に所有するバリュー値を管理する管理部1aと、送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を管理部1aから取得する取得部1bと、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を取得した情報に基づいて選択する種別選択部1cと、種別選択部1cの選択に応じた送金処理を行う送金処理部1dと、を備えている。
送金処理部1dが実行するここでいう「送金処理」は、図7に示す一連の処理を指していてもよいし、図7の一連の処理において送金する電子バリュー種別を決定するまでの処理(即ちステップS502,S504,S505の一部の処理)を種別選択部1cが実行し、実際に送金する処理(前述の減算処理及び加算処理)の実行のみを指していてもよい。
電子バリュー管理サーバ1が複数の異なる電子バリュー種別を管理することで、例えば、本人確認手続が完了した信頼性の高いユーザとそうで無いユーザ、或いは電子商取引をよく利用するユーザと実店舗をよく利用するユーザなど、各種のユーザに対して適切な電子バリュー種別を付与することが可能となる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、複数の電子バリュー種別を所有している可能性のあるユーザ間で送金を行いたいという要望に対して、電子バリュー管理サーバ1がユーザごとの所有電子バリュー種別に応じて適切に電子バリュー種別を選択し送金処理を行うことが可能とされることにより、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
更に、例えば、複数の電子バリュー種別間で利便性などの観点から優劣が存在する場合に、送金処理の実行時にユーザが意図しない状態で使い勝手の悪い電子バリュー種別に変換されてしまうことが防止される。上述した例では、特別電子バリューは直接現金化可能とされており、使い勝手のよい電子バリュー種別とされ、基本電子バリューは直接現金化不可能とされており、使い勝手の悪い電子バリュー種別とされる。このような場合に、ユーザが送金依頼を行ったことによって意図せず特別電子バリューが基本電子バリューに変換されてしまうようなことが防止される。
なお、上述した各例とは異なり、直接現金化不可能とされた電子バリュー種別と、直接現金化可能とされている電子バリュー種別において、ユーザによっては直接現金化不可能な電子バリュー種別の方が使い勝手がよい可能性がある。例えば、親ユーザが送金元ユーザであり子ユーザが送金先ユーザであり、親ユーザが子ユーザに対して意図的に電子バリューの使用用途を制限したい場合などが考えられる。この場合には、直接現金化が可能とされてしまうと電子バリューの使用用途が広がってしまい親ユーザにとって意図しない使われ方をしてしまう虞がある。
即ち、本来であれば使用用途が広がることは利便性の向上につながるが、このような状況においては、子ユーザが現金化できない電子バリューの方が親ユーザにとっては利便性が高いものといえる。従って、親ユーザにとっては、現金化不可能とされることにより使用用途が限定された電子バリューが使い勝手のよい特別電子バリューに相当し、現金化可能とされることにより意図しない使い方をされてしまう可能性がある電子バリュー種別が使い勝手の悪い基本電子バリューに相当する。
このような場合であっても、上述した各種の処理を行うことにより、直接現金化可能な基本電子バリューに親ユーザの認識外で変換されてしまうことが防止される。
なお、基本電子バリューと特別電子バリューの相違点が出金可否の点以外であっても構わない。例えば、電子商取引のみで使用可能な基本電子バリューと、電子商取引及び実店舗の双方で使用可能な特別電子バリューなどであってもよい。また、電子商取引の中でも特定のジャンルの店舗のみで使用可能な基本電子バリューと多くの店舗で使用可能な特別電子バリューであってもよい。
即ち、どのような観点であっても、目的に沿った使い勝手のよい電子バリュー種別を特別電子バリューとし、使い勝手の悪い電子バリュー種別を基本電子バリューとして、上述した各処理を実行することにより、意図せずに使い勝手の悪い電子バリュー種別へ変換されてしまうことが防止される。
【0146】
図11の電子バリュー種別選択処理の第2例などで説明したように、電子バリュー管理サーバ1が実行する送金処理では、送金依頼において指定された電子バリュー種別について減算を行ってもよい。
これにより、送金元ユーザの意図が送金処理に反映される。
従って、送金元ユーザの意図によらず電子バリュー種別が選択されてしまうことが防止される。
【0147】
図6の電子バリュー種別選択処理の第1例などで説明したように、送金元ユーザは第1の電子バリュー種別(特別電子バリュー)と第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)とを所有し、送金先ユーザは第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)のみを所有可能な場合において、電子バリュー管理サーバ1が実行する送金処理では、送金元ユーザが所有する第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)について減算を行ってもよい。
これにより、送金先ユーザの属性に応じて送金対象の電子バリュー種別が選択される。即ち、利便性の高い特別電子バリューが意図せずに利便性の低い基本電子バリューへ変換されてしまうことが防止される。
【0148】
図12の第2の実施の形態及び図13の電子バリュー種別選択処理の第3例などで説明したように、電子バリュー管理サーバ1の種別選択部1cが選択した電子バリュー種別が、送金依頼において指定された電子バリュー種別と異なる場合に、送金依頼を行ったユーザ(送金元ユーザ)に対して減算対象の電子バリュー種別を選択させる処理(第1問い合わせ処理)を行う問い合わせ処理部1fを備え、送金処理では、選択させる処理に対する選択結果に応じた電子バリュー種別について減算を行ってもよい。
これにより、送金元ユーザの意図によらず送金に伴って電子バリュー種別の変換がされてしまう虞がある場合に、送金元ユーザに確認を行うことができる。
従って、送金元ユーザの意図によらずに電子バリュー種別が変換されてしまうことが防止される。
【0149】
図14の第3の実施の形態及び図15の電子バリュー種別選択処理の第4例などで説明したように、送金依頼において指定された電子バリュー種別を送金先ユーザが所有することができない場合において、電子バリュー管理サーバ1の管理部1aは、送金先ユーザに対する本人確認処理が正常に完了したことに応じて送金先ユーザが指定された電子バリュー種別を所有することを許可する許可処理(図15のステップS432及びステップS433の処理)を行い、送金処理部1dは、送金先ユーザについて指定された電子バリュー種別について加算を行ってもよい。
これにより、ユーザの属性情報を更新する機会が新たに設けられる。例えば、信頼性の高いユーザに対しては、提供するサービスを十分に利用して貰うためにユーザのランクを上げるなど、ユーザの属性を更新することが好ましい。
本構成によれば、ユーザの属性を適切に更新することにより、ユーザの利便性の向上、ユーザ体験の改善を図ることができる。
【0150】
図16の第4の実施の形態及び図17の電子バリュー種別選択処理の第5例などで説明したように、電子バリュー管理サーバ1は、送金依頼において指定された電子バリュー種別についての変更希望の有無を送金先ユーザに選択させる処理(図17のステップS442の変更希望確認処理)を行うと共に、選択させる処理に対する選択結果に応じて送金元ユーザに対して指定された電子バリュー種別を変更するか否かを選択させる処理(図17のステップS444の第2問い合わせ処理)を行う問い合わせ処理部1fを備えていてもよい。
これにより、送金先ユーザの希望に添った送金処理を実現することができる。
また、送金元ユーザに対する第2問い合わせ処理を行うことにより、送金元ユーザの意図にも沿った送金処理を行うと共に、送金元ユーザの意図に沿わない送金処理の実行を防止することができる。
【0151】
上述した各例で説明したように、第1の電子バリュー種別(特別電子バリュー)は現金化可能な電子バリュー種別とされ、第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)は現金化不可能な電子バリュー種別とされていてもよい。
一方の電子バリュー種別が使い勝手のよい電子バリュー種別とされ、他方の電子バリュー種別が使い勝手のよくない電子バリューとされている場合に、上述した各種の処理を行うことにより、送金処理の際に意図せずに使い勝手の悪い電子バリュー種別へ変換されてしまうことが防止される。
【0152】
本発明における情報処理方法は、現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別(特別電子バリュー)と、現金の代替となる価値を有し第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)とについて、ユーザ毎に所有するバリュー値を管理する処理と、送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を取得する取得処理と、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を取得した情報に基づいて選択する種別選択処理と、種別選択処理の結果に応じた送金処理と、を情報処理装置が実行するものである。
これにより、保有する電子バリュー種別を適切に管理することができる環境を提供することができる。特に、送金処理の際にユーザの意図しない電子バリュー種別の変換が起きないようにすることができる。
【0153】
なお、上述した各例は、組み合わせが不可能でない限りいかように組み合わせて実施してもよい。
【0154】
<10.プログラム及び記憶媒体>
以上、本発明の情報処理装置の実施の形態としての電子バリュー管理サーバ1を説明してきたが、実施の形態のプログラムは、電子バリュー管理サーバ1の処理を情報処理装置(CPU等)に実行させるプログラムである。
【0155】
実施の形態のプログラムは、現金の代替となる価値を有する第1の電子バリュー種別(特別電子バリュー)と、現金の代替となる価値を有し第1の電子バリュー種別とは異なる第2の電子バリュー種別(基本電子バリュー)とについて、ユーザ毎に所有するバリュー値を管理する手順を情報処理装置に実行させる。
また、送金依頼に応じて、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別の情報と、送金先ユーザが所有することができる電子バリュー種別の情報を取得する取得手順を情報処理装置に実行させる。
更に、送金元ユーザが所有する電子バリュー種別のうちで、送金依頼に応じて減算対象となる電子バリュー種別を取得した情報に基づいて選択する種別選択処理手順を情報処理装置に実行させる。
更にまた、種別選択処理の結果に応じた送金処理手順を情報処理装置に実行させる。
即ちこのプログラムは、電子バリュー管理サーバ1に対して図5のステップS201からステップS206の各処理、図6図7図11の各処理、図12のステップS201からステップS206(ステップS211含む)の各処理、図13の各処理、図14のステップS201からステップS206の各処理、図15の各処理、図16のステップS201からステップS206の各処理、図17の各処理を実行させるプログラムである。
【0156】
このようなプログラムにより、上述した電子バリュー管理サーバ1としての1又は複数の情報処理装置を実現できる。
そしてこのようなプログラムはコンピュータ装置等の機器に内蔵されている記憶媒体としてのHDDや、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記憶しておくことができる。あるいはまた、半導体メモリ、メモリカード、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクなどのリムーバブル記憶媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記憶)しておくことができる。またこのようなリムーバブル記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記憶媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【符号の説明】
【0157】
1 電子バリュー管理サーバ
1a 管理部
1b 取得部
1c 種別選択部
1d 送金処理部
1f 問い合わせ処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17