(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894512
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】電動水中ポンプ用の坑井孔屑処理装置
(51)【国際特許分類】
E21B 43/00 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
E21B43/00 Z
E21B43/00 A
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-531324(P2019-531324)
(86)(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公表番号】特表2020-501048(P2020-501048A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】US2017065753
(87)【国際公開番号】WO2018111837
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】62/432,953
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/654,142
(32)【優先日】2017年7月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,ジンジャン
(72)【発明者】
【氏名】エジム,チディリム,イーノック
(72)【発明者】
【氏名】シェプラー,ランドール,アラン
【審査官】
柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−176314(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0023188(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0233228(US,A1)
【文献】
米国特許第07343967(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0066920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下坑井内における電動水中ポンプ組立体内に入る屑の大きさを小さくするための屑処理組立体であって、
内孔を備えた略管状部材である処理装置ハウジングと、
前記処理装置ハウジングの前記内孔の内面に位置するハウジング切削輪郭と、
前記処理装置ハウジングの前記内孔内の回転軸に固定され、前記ハウジング切削輪郭の所定の位置の第1の部分と位置合わせされる切削刃と、
前記処理装置ハウジングの前記内孔内の前記回転軸に固定され、前記ハウジング切削輪郭の前記第1の部分より下流側に位置する第2の部分と位置合わせされるミルと、
前記ミルの外面と前記内孔の前記内面とにより画定され、径方向寸法が下流方向に減少する環状ミル空間と、
を含む、屑処理組立体。
【請求項2】
前記ミルが、前記ミルの前記外面に位置する一連のミルカッタ輪郭を有する、請求項1に記載の屑処理組立体。
【請求項3】
前記一連のミルカッタ輪郭が、より長い径方向寸法を前記外面の上流側領域に有するより長い歯を含むとともに、より短い径方向寸法を前記外面の下流側領域に有するより短い歯を更に含む、請求項2に記載の屑処理組立体。
【請求項4】
前記一連のミルカッタ輪郭が、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、および窒化ホウ素からなる群から選択された硬質材料で形成される、請求項2または3に記載の屑処理組立体。
【請求項5】
前記ミルが、前記一連のミルカッタ輪郭の下流側の前記ミルの前記外面に位置するミル粉砕輪郭を有する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項6】
前記ミルの前記外面が円錐台形状を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項7】
前記切削刃および前記ミルが、前記回転軸に沿って軸方向に間隔を置いて配置される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項8】
前記処理装置ハウジングが吸入孔を含み、前記吸入孔がスクリーン部材を含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項9】
処理装置ハウジング出口が、前記ミルの下流側端部から軸方向に間隔を置いて配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項10】
前記屑処理組立体が、径方向を向いた吸入口と、軸方向を向いた吐出口とを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項11】
前記屑処理組立体が、軸方向を向いた吸入口と、径方向を向いた吐出口とを有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の屑処理組立体。
【請求項12】
地下坑井から炭化水素を生産するための電動水中ポンプ組立体であって、
モータと、ポンプと、前記モータと前記ポンプとの間に位置するシール部と、
前記ポンプの上流側に位置する屑処理組立体であって、
内孔を備えた略管状部材である処理装置ハウジングと、
前記処理装置ハウジングの前記内孔の内面に位置するハウジング切削輪郭と、
前記処理装置ハウジングの前記内孔内の回転軸に固定され、前記ハウジング切削輪郭の所定の位置の第1の部分と位置合わせされる切削刃と、
前記処理装置ハウジングの前記内孔内の前記回転軸に固定され、前記ハウジング切削輪郭の前記第1の部分より下流側に位置する第2の部分と位置合わせされるミルと、
前記ミルの外面と前記内孔の前記内面とにより画定され、径方向寸法が下流方向に減少する環状ミル空間と、
を含む、前記屑処理組立体と、
を備える、前記電動水中ポンプ組立体。
【請求項13】
前記屑処理組立体が前記モータの上流側に位置する、請求項12に記載の電動水中ポンプ組立体。
【請求項14】
坑井孔流体が前記屑処理組立体の外の前記電動水中ポンプ組立体を通り過ぎて下流側に進むのを防止するように位置決めされた下部パッカを更に含む、請求項12または13に記載の電動水中ポンプ組立体。
【請求項15】
前記処理装置ハウジングが、前記地下坑井内において回転方向に動かない、請求項12〜14のいずれか一項に記載の電動水中ポンプ組立体。
【請求項16】
前記ミルの前記外面が円錐台形状を有する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の電動水中ポンプ組立体。
【請求項17】
屑処理組立体を用いて、地下坑井内における電動水中ポンプ組立体内に入る屑の大きさを小さくするための方法であって、
処理装置ハウジングであって、内孔を備えた略管状部材であるとともに、前記処理装置ハウジングの前記内孔の内面に位置するハウジング切削輪郭を有する前記処理装置ハウジングを提供することと、
回転軸に固定された切削刃を回転させるとともに前記回転軸に固定されたミルを回転させるために、前記処理装置ハウジングの前記内孔内の軸を回転させることとを含み、
前記切削刃が前記ハウジング切削輪郭の所定の位置の第1の部分と位置合わせされ、かつ前記ミルが前記ハウジング切削輪郭の前記第1の部分より下流側に位置する第2の部分と位置合わせされ、
環状ミル空間が前記ミルの外面と前記内孔の前記内面とにより画定され、前記環状ミル空間は径方向寸法が下流方向に減少するものであり、
前記処理装置ハウジング内に流入した屑は、前記切削刃の回転によって剪断および破断作用を受けてより小さくスライスされ、次いで前記ミルの回転によって前記屑は更なる切断、剪断および破断を受けて、更にその大きさが小さくなる、
方法。
【請求項18】
前記ミルが、より長い径方向寸法を前記外面の上流側領域に有するより長い歯を含むとともに、より短い径方向寸法を前記外面の下流側領域に有するより短い歯を更に含む、前記ミルの前記外面に位置する一連のミルカッタ輪郭を有し、前記方法は、前記屑が前記ミルに沿って軸方向に移動するときに前記ハウジング切削輪郭と前記一連のミルカッタ輪郭とを用いて前記屑の大きさを徐々に小さくすることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ミルのミル粉砕輪郭を用いて前記屑を粉砕することを更に含み、前記ミル粉砕輪郭がミルカッタ輪郭の下流側に位置する、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記屑が前記ハウジング切削輪郭に接触するように前記切削刃および前記ミルの回転運動により前記屑を径方向外方に移動させることを更に含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記屑処理組立体の流出流を前記電動水中ポンプ組立体のポンプに向けて導くことを更に含む、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
流入流を前記電動水中ポンプ組立体のポンプおよびモータの上流側の前記屑処理組立体内に導くことを更に含む、請求項17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「Wellbore Debris Handler for Electric Submersible Pumps(電動水中ポンプ用の坑井孔屑処理装置)」という名称の、2016年12月12日に出願された、同時係属中の米国仮特許出願第62/432,953号明細書の優先権および利益を主張するものであり、その全開示内容は、あらゆる目的のために全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電動水中ポンプに関し、特に、電動水中ポンプ組立体のための屑処理に関する。
【背景技術】
【0003】
自然生産のための十分な内圧が不足した坑井から炭化水素流体を生産する1つの方法は、電動水中ポンプ(ESP)などの人工採油法を利用することである。生産用ストリングとして知られる配管または導管のストリングは、生産層に近接する坑井の底部付近に水中ポンプ装置を吊り下げる。水中ポンプ装置は、生産帯流体を回収し、より高い圧力を流体に付与し、そして、加圧された生産帯流体を生産用配管内に吐出するように動作可能である。加圧された坑井孔流体は、圧力差により動かされて、地表に向かって上昇する。
【0004】
生産操業中に、ESPの吸入用スクリーンポートよりも大きな屑および異物は、モータおよびプロテクタなどの、上流側構成要素の深刻な浸食摩耗および吸入用スクリーンポートの目詰まりを引き起こす傾向にある。浸食の結果として、ハウジング強度が弱められるとともに、システム故障のリスクが増加する。
【0005】
閉塞されたポートの蓄積影響により、ポンプ内への流れが減少し、ひいては、地表への生産量が減少する。より多くの屑が吸入用スクリーンを覆い続けるので、入口ポートが閉塞されて流れがESPに入らなくなる状態に達する。この瞬間に、吸入用スクリーン壁は、吸入口設置深さにおける対応する静圧と同等の破砕圧力にさらされる。一定時間後に、この高圧によりスクリーンが圧潰または陥没する。スクリーンの圧潰は更に、ポンプ羽根車内への更に大きなサイズの異物の移動を加速させ、その結果、羽根車入口および流通間隙が完全に閉塞される。
【0006】
上記問題の結果は、スクリーン閉塞の段階に応じて致命的な結果となる可能性がある。例えば、生産流れが減少しているスクリーン目詰まりの早期段階では、流量がモータを冷却するのに必要とされる最小値を下回るようなものとなる可能性がある。結果として、この流量の減少に伴って、モータが焼損およびESP故障を被る状態までモータの温度が上昇する。その一方で、スクリーンがモータの故障前に圧潰した場合には、ポンプ羽根車入口および流通間隙が閉塞され、ポンプの発熱が増大して高いモータ負荷が発生し、その結果、モータの焼損も生じる。いずれの場合にも、これらの故障の結果、生産遅延が生じ、坑井を改修するために掘削装置を有する必要があり、これにより、最終的に現場資産の操業費が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書で開示する実施形態は、屑が生産流体と混合してポンプを通過できるように屑の大きさを実質的に低減するためにESPの上流側に設置された屑処理装置を含む電動水中ポンプ組立体を提供し、それにより、ESPの信頼性および運転寿命を向上させるとともに、現場操業費を抑制する。本明細書で説明するシステムおよび方法は、ポンプ目詰まりを最小限に抑えるかまたは防止し、それにより、ポンプ寿命を延長させ、それは上流油田、中流オイルサンド、重油、またはタールサンド操業において特に有用である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態において、地下坑井内における電動水中ポンプ組立体内に入る屑の大きさを小さくするための屑処理組立体は、処理装置ハウジングを含み、処理装置ハウジングは内孔を備えた略管状部材である。ハウジング切削輪郭は、処理装置ハウジングの内孔の内面に位置する。切削刃は処理装置ハウジングの内孔内の回転軸に固定され、切削刃はハウジング切削輪郭の第1の部分と位置合わせされる。ミルは処理装置ハウジングの内孔内の回転軸に固定され、ミルはハウジング切削輪郭の第2の部分と位置合わせされる。環状ミル空間はミルの外面と内孔の内面とにより画定され、環状ミル空間は径方向寸法が下流方向に減少する。
【0009】
代替実施形態において、ミルは、ミルの外面に位置する一連のミルカッタ輪郭を有することができる。一連のミルカッタ輪郭は、より長い径方向寸法を外面の上流側領域に有するより長い歯と、より短い径方向寸法を外面の下流側領域に有するより短い歯とを含むことができる。一連のミルカッタ輪郭は、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、および窒化ホウ素からなる群から選択された硬質材料で形成することができる。ミルは、一連のミルカッタ輪郭の下流側のミルの外面に位置するミル粉砕輪郭を有することができる。
【0010】
他の代替実施形態において、ミルの外面は、円錐台形状を有することができる。切削刃およびミルは、回転軸に沿って軸方向に間隔を置いて配置することができる。処理装置ハウジングは吸入孔を含むことができ、吸入孔はスクリーン部材を含まない。処理装置ハウジング出口は、ミルの下流側端部から軸方向に間隔を置いて配置することができる。
【0011】
本開示の代替実施形態において、地下坑井から炭化水素を生産するための電動水中ポンプ組立体は、モータと、ポンプと、モータとポンプの間に位置するシール部とを含む。屑処理組立体はポンプの上流側に位置し、屑処理組立体は処理装置ハウジングを含み、処理装置ハウジングは、内孔を備えた略管状部材である。屑処理組立体はまた、処理装置ハウジングの内孔の内面に位置するハウジング切削輪郭と、処理装置ハウジングの内孔内の回転軸に固定され、ハウジング切削輪郭の第1の部分と位置合わせされる切削刃とを含む。屑処理組立体は、処理装置ハウジングの内孔内の回転軸に固定され、ハウジング切削輪郭の第2の部分と位置合わせされるミルを更に含む。屑処理組立体はまた、ミルの外面と内孔の内面とにより画定され、径方向寸法が下流方向に減少する環状ミル空間を含む。
【0012】
代替実施形態において、屑処理組立体は、モータの上流側に位置することができる。下部パッカは、坑井孔流体が屑処理組立体の外の電動水中ポンプ組立体を通り過ぎて下流側に進むのを防止するように位置決めすることができる。処理装置ハウジングは、地下坑井内において回転方向に動かないことがあり得る。ミルの外面は、円錐台形状を有することができる。
【0013】
本開示の別の代替実施形態において、屑処理組立体を用いて、地下坑井内における電動水中ポンプ組立体内に入る屑の大きさを小さくするための方法は、処理装置ハウジングであって、内孔を備えた略管状部材であるとともに、処理装置ハウジングの内孔の内面に位置するハウジング切削輪郭を有する処理装置ハウジングを提供することを含む。回転軸に固定された切削刃を回転させるとともに回転軸に固定されたミルを回転させるために、処理装置ハウジングの内孔内の軸を回転させる。切削刃は、ハウジング切削輪郭の第1の部分と位置合わせされ、かつミルは、ハウジング切削輪郭の第2の部分と位置合わせされる。環状ミル空間はミルの外面と内孔の内面とにより画定され、環状ミル空間は径方向寸法が下流方向に減少する。
【0014】
他の代替実施形態において、ミルは、より長い径方向寸法を外面の上流側領域に有するより長い歯を含むとともに、より短い径方向寸法を外面の下流側領域に有するより短い歯を更に含む、ミルの外面に位置する一連のミルカッタ輪郭を有することができ、方法は、屑がミルに沿って軸方向に移動するときにハウジング切削輪郭と一連のミルカッタ輪郭とを用いて屑の大きさを徐々に小さくすることを更に含む。
【0015】
代替実施形態において、方法は、ミルのミル粉砕輪郭を用いて屑を粉砕することを含むことができ、ミル粉砕輪郭はミルカッタ輪郭の下流側に位置する。屑は、屑がハウジング切削輪郭に接触するように切削刃およびミルの回転運動により径方向外方に移動させることができる。屑処理組立体の流出流は、電動水中ポンプ組立体のポンプに向けて導くことができる。流入流は、電動水中ポンプ組立体のポンプおよびモータの上流側の屑処理組立体内に導くことができる。
【0016】
本開示の実施形態の上述の特徴、態様および利点、ならびに明らかになる他のものが達成され、詳細に理解できるように、本明細書の一部をなす図面に例示された本開示の実施形態の参照により、上で簡潔に要約した本開示のより具体的な説明が与えられ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の好ましい実施形態を単に例示するものに過ぎず、それゆえ、本開示が同等に有効な他の実施形態を認め得るので、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施形態に係る、電動水中ポンプ組立体を有する地下坑井の概略断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る、電動水中ポンプ組立体を有する地下坑井の概略断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る、電動水中ポンプ組立体を有する地下坑井の概略断面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る、電動水中ポンプ組立体の屑処理装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本開示の実施形態について、本開示の実施形態を例示する添付の図面を参照しながら以下でより完全に説明する。しかしながら、本開示のシステムおよび方法は、多くの異なる形態で具体化されることがあり、本明細書に記載の例示の実施形態により限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全なものになるとともに当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように提供される。類似の番号は全体を通じて類似の要素を指し、プライム表記は、使用される場合、代替的な実施形態または位置における同様の要素を表す。
【0019】
以下の考察では、本開示の完全な理解を与えるために、数多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者には、そのような具体的な詳細なしに本開示の実施形態を実施できることは明らかであろう。追加的に、坑井掘削、貯留層試験、坑井仕上げ、およびその他に関する詳細は、ほとんどの場合、本開示の完全な理解を得るためにそのような詳細が必要であると見なされない限り省略されており、関連技術分野の当業者の技術範囲内であると見なされる。
【0020】
図1を見ると、地下坑井10は、坑井孔12を含む。電動水中ポンプ組立体14は、坑井孔12内に位置する。
図1の電動水中ポンプ組立体14は、電動水中ポンプ組立体14のポンプ18を駆動するために使用されるモータ16を含む。モータ16の特定の要素は、モータ16の要素を収納する内部空洞を画定する側壁を備えた略円筒状部材であるモータハウジング内に収められる。
【0021】
地下坑井10は、
図1〜
図3の例示的な実施形態では略垂直坑井として示されている。それゆえ、本明細書で使用される場合、上流側という用語は、下流側であると説明される位置よりも地下坑井内において軸方向に低い位置を定義するために使用される。地下坑井10が、傾斜坑井または水平坑井など、垂直ではない代替実施形態において、上流側という用語は、下流側であると説明される位置よりも、地下坑井内において、坑井流体の流体流れに沿って測定される、地表面から遠い位置を、そのような位置の軸方向相対位置にかかわらず、定義するために使用される。
【0022】
ポンプ18は、例えば、遠心ポンプとすることができる。ポンプ18の特定の要素は、ポンプ18の要素を収納する内部空洞を画定する側壁を備えた略円筒状部材であるポンプハウジング内に収められる。ポンプ18は、羽根車とディフューザとで構成される、段からなることができる。回転する羽根車は、水頭をもたらすように流体にエネルギーを加え、これに対して、固定されたディフューザは、羽根車からの流体の運動エネルギーを水頭に変換する。ポンプ段は、通常、直列に積み重ねられて、ポンプハウジング内に収容される多段システムを形成する。個々の各段により生じる水頭の合計は累積的であり、よって、多段システムにより発生する全水頭は、第1段から最終段に直線的に増加する。
【0023】
モータ16とポンプ18との間にはプロテクタ20が存在する。プロテクタ20は、電動水中ポンプ組立体14内の圧力を坑井孔12の圧力と均一にするために使用することができる。プロテクタ20はまた、ポンプ18からのスラスト荷重を吸収し、モータ16からポンプ18に動力を伝達し、温度が変化したときに追加のモータ油を提供しかつ受け取り、ならびに坑井流体がモータ16内に入るのを防止することができる。プロテクタ20の位置に応じて、プロテクタ20はまた、屑処理組立体32から生じるいかなるスラスト荷重および軸荷重も吸収し、このような荷重がモータ16に伝わるのを防止することができる。プロテクタ20の特定の要素は、プロテクタ20の要素を収納する内部空洞を画定する側壁を備えた略円筒状部材であるシール部ハウジング内に収められる。
【0024】
図1〜
図2の例示的な実施形態において、電動水中ポンプ組立体14は、配管22を用いて坑井孔12内に吊り下げられる。配管22は、地下坑井10内に延びる細長い管状部材である。配管22は、例えば、炭素鋼材料、炭素繊維管、または他の種類の耐食性合金もしくはコーティングで形成された生産用配管とすることができる。
図3の例示的な実施形態において、電動水中ポンプ組立体14は、動力ケーブル24を用いて配管22内に吊り下げられる。
【0025】
図2を見ると、上部パッカ26は、電動水中ポンプ組立体14の下流側に位置することができ、かつ配管22の外径と坑井孔12の表面との間にシールを形成することができる。上部パッカ26は、地下坑井10の一部分を地下坑井10の隣接部分から隔てることができる。
【0026】
図1を見ると、モータ16は、電動水中ポンプ組立体14の上流側端部に位置する部材である。プロテクタ20は、モータ16に隣接してモータ16の下流側に位置する。ポンプ18は、プロテクタ20の上流側にあり、かつポンプ18の吐出口は、配管22と流体連通する。
図1の例示的な実施形態において、屑処理組立体32は、ポンプ18とプロテクタ20との間に位置する。
図1の実施形態において、屑処理組立体32は、径方向を向いた吸入口と、軸方向を向いた吐出口とを有する。代替実施形態において、屑処理組立体32は、軸方向を向いた吸入口と、径方向を向いた吐出口とを有することができ(
図2)、または屑処理組立体32は、軸方向を向いた吸入口と、軸方向を向いた吐出口とを有することができ(図示せず)、または屑処理組立体32は、径方向を向いた吸入口と、径方向を向いた吐出口とを有することができる(図示せず)。
【0027】
図2の代替実施形態を見ると、スティンガ28は、電動水中ポンプ組立体14の上流側端部に位置する。スティンガ28は、特定の開発の流量要件に応じて異なる直径を有することができる。スティンガ28は、下部パッカ組立体30により包囲される。
図2の例において、下部パッカ組立体30は、スティンガ28の外径と坑井孔12の表面とに係合する。下部パッカ組立体30は、坑井孔流体の流れおよび坑井孔流体に含まれる屑が先に屑処理組立体32を通過せずに電動水中ポンプ組立体14を通り過ぎて下流側に進むのを防止する。坑井孔流体に含まれる屑と共に、坑井孔流体の流れは、図では併せてFと表示されている。流体Fは、坑井孔12に隣接する層から坑井孔12内に入る。流体Fは、ポンプ18内で加圧されて、配管22を通って地表面にある坑口組立体へと上方に進む。
【0028】
第1のプロテクタ20は、屑処理組立体32に隣接して屑処理組立体32の上流側に位置する。
図2の実施形態において、屑処理組立体32は、軸方向を向いた吸入口と、径方向を向いた吐出口とを有する。モータ16および第2のプロテクタ20は、第1のプロテクタ20に隣接して順に位置する。吸入口34は、第2のプロテクタ20に隣接して第2のプロテクタ20の上流側に位置し、かつポンプ18と流体連通する。
【0029】
図3の代替実施形態を見ると、屑処理組立体32は、電動水中ポンプ組立体14の上流側端部に位置する。
図3の実施形態において、屑処理組立体32は、径方向を向いた吸入口と、軸方向を向いた吐出口とを有する。下部パッカ組立体30は、内側下部パッカ30aと、外側下部パッカ30bとを含む。内側下部パッカ30aは、屑処理組立体32に隣接する電動水中ポンプ組立体14の領域を包囲する。
図3の例では、内側下部パッカ30aが、ポンプ18を包囲した状態で示されている。代替実施形態において、下部パッカ30aは、吐出口36の下流側にある電動水中ポンプ組立体14の別の要素を包囲することができる。内側下部パッカ30aは、電動水中ポンプ組立体14と配管22との間の環状部を封止する。外側下部パッカ30bは、配管22と坑井孔12の表面との間の環状部を封止する。下部パッカ組立体30は、坑井孔流体の流れおよび坑井孔流体に含まれる屑が先に屑処理組立体32を通過せずに電動水中ポンプ組立体14を通り過ぎて下流側に進むのを防止する。
【0030】
ポンプ18は、屑処理組立体32に隣接して屑処理組立体32の下流側にある。流体Fは、ポンプ18を通過した後に、吐出口36から吐出され、電動水中ポンプ組立体14と配管22との間の環状部内に入る。プロテクタ20およびモータ16は、吐出口36に隣接して吐出口36の下流側に連続して位置する。ケーブルアダプタ38は、動力ケーブル24をモータ16に固定して、動力ケーブル24がモータ16に電力を供給することを可能にする。
【0031】
図4を見ると、屑処理組立体32が更に詳細に示されている。屑処理組立体32は、ボルト締め型とすることができ、または電動水中ポンプ組立体14の他の要素と一体に形成することができる。屑処理組立体32は、処理装置ハウジング40を含むことができる。処理装置ハウジング40は、内孔を備えた略管状部材とすることができる。吸入孔42は、流体Fが処理装置ハウジング40の内孔に流入できるように処理装置ハウジング40の側壁を貫通して延びることができる。吸入孔42は、処理装置ハウジング40の内孔に屑が、より大きな屑成分でさえ、吸入孔42を閉塞せずに容易に流入できるようにスクリーン部材を含まない。
【0032】
ハウジング切削輪郭44は、処理装置ハウジング40の内孔の内面に位置する。ハウジング切削輪郭44は、処理装置ハウジング40の内孔の内面から径方向内方に延びる一連の刃または歯形状の突起を含むことができる。ハウジング切削輪郭44が十分な切削効率をもたらす限り、ハウジング切削輪郭44は、様々な大きさ、形状およびパターンを有することができる。例として、ハウジング切削輪郭44は、あまり尖っていない歯を備えたハウジング切削輪郭と比較してより良好な切削能力のより尖った歯を有することができるが、歯輪郭の基部は、切削輪郭44にかかる荷重に耐えるのに十分に幅広である。
【0033】
ハウジング切削輪郭44は、はるかに小さな片に砕かれた屑および他の異物による摩耗、浸食および流体負荷に耐えるのに十分に強固でかつ強靭になるように硬化された材料で形成することができる。ハウジング切削輪郭44は、それゆえ、例えば、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、または窒化ホウ素などの、高耐摩耗性および耐食性材料である材料で形成することができる。
【0034】
屑処理組立体32はまた、切削刃46を含む。切削刃46は、処理装置ハウジング40の内孔内の回転軸48に固定される。回転軸48は、モータ16により回転させることができる。回転軸48は、モータ16と同じ回転速度で回転することができる。代替実施形態では、回転軸48がモータ16と異なる回転速度で回転できるように、クラッチ機構を備えた手動ギヤボックスまたは自動フレックスドライブ(Flexdrive)システムを組み込むことができる。そのような実施形態において、ギヤボックス周囲の流体の流れは、この熱を放散するのに十分であり、かつ有効な動作のためにギヤボックス機構を適切に保冷する。
【0035】
切削刃46は、ハウジング切削輪郭44の第1の部分と軸方向に位置合わせされる。切削刃46は、処理装置ハウジング40の内孔の内面の直径よりも小さい最大外径を有する。切削刃46が回転すると、切削刃46は、屑をより小さな片にスライスする剪断および切削効果を付与する。同時に、切削刃46は屑の切断片に旋回運動を与え、この切断片は、屑の大きさが剪断および破断作用により更に低減される、ハウジング切削輪郭44の鋭利な縁部に向かって径方向外方に移動する。切削刃46が切削輪郭44との組み合わせで十分な切削効率をもたらし、かつ切削刃46にかかる荷重に耐えることができる限り、切削刃46は、様々な大きさ、形状およびパターンを有することができる。
【0036】
切削刃46は、はるかに小さな片に砕かれた屑および他の異物による摩耗、浸食および流体負荷に耐えるのに十分に強固でかつ強靭になるように硬化された材料で形成することができる。切削刃46は、それゆえ、例えば、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、または窒化ホウ素などの、高耐摩耗性および耐食性材料である材料で形成することができる。
【0037】
屑処理組立体32はミル50を更に含む。ミル50は、処理装置ハウジング40の内孔内の回転軸48に固定される。切削刃46およびミル50は、回転軸48に沿って軸方向に間隔を置いて配置される。ミル50は、ハウジング切削輪郭44の第2の部分と位置合わせされる。ミル50は、ミル50の外面に位置する一連のミルカッタ輪郭52を有することができる。一連のミルカッタ輪郭52は、より長い径方向寸法を外面の上流側領域に有するより長い歯54と、より短い径方向寸法を外面の下流側領域に有するより短い歯56とを有することができる。ミルカッタ輪郭52が十分な切削効率をもたらす限り、ミルカッタ輪郭52は、様々な大きさ、形状およびパターンを有することができる。例として、ミルカッタ輪郭52は、あまり尖っていない歯を備えたミルカッタ輪郭と比較してより良好な切削能力のより尖った歯を有することができるが、歯輪郭の基部は、ミルカッタ輪郭52にかかる荷重に耐えるのに十分に幅広でなければならない。
【0038】
一連のミルカッタ輪郭52は、はるかに小さな片に砕かれた屑および他の異物による摩耗、浸食および流体負荷に耐えるのに十分に強固でかつ強靭になるように硬化された材料で形成することができる。一連のミルカッタ輪郭52は、それゆえ、例えば、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、または窒化ホウ素などの、高耐摩耗性および耐食性材料である材料で形成することができる。
【0039】
環状ミル空間58は、ミル50の外面と、処理装置ハウジング40の内孔の内面とにより画定される。環状ミル空間58は、径方向寸法が下流方向に減少し、それにより、目詰まりを起こさずに大きな屑片を収容するための漏斗状空洞を形成する。屑が漏斗状の環状ミル空間58内のより小さな面積の領域内に移動したときに、屑は、屑の大きさを更に低減する、更なる切削、剪断および破断を受ける。環状ミル空間58の形状を画定するために、ミル50の外面は、円錐台形状を有することができる。代替実施形態では、ミル50の外面が円筒形状を有することができ、その代わりに、処理装置ハウジング40の内孔の内面が円錐台形状を有することができる。
【0040】
ミル50はまた、ミル粉砕輪郭60を有することができる。ミル粉砕輪郭60は、ミル50の外面と、一連のミルカッタ輪郭52の下流側の、処理装置ハウジング40の内孔の内面とに位置する。ミルカッタ輪郭52とミル粉砕輪郭60の両方は、回転軸48にまたは回転軸48の一部に装着される中実部材の一体要素とすることができる。ミル粉砕輪郭60は、ミル粉砕輪郭60の表面間を通る屑を細かく砕くために互いに十分に近接する平行でかつ粗面化された硬質表面で構成することができる。
【0041】
ミル粉砕輪郭60は、はるかに小さな片に砕かれた屑および他の異物による摩耗、浸食および流体負荷に耐えるのに十分に強固でかつ強靭になるように硬化された材料で形成することができる。ミル粉砕輪郭60は、それゆえ、例えば、多結晶ダイヤモンド成形体、炭化ケイ素、炭化タングステン、または窒化ホウ素などの、高耐摩耗性および耐食性材料である材料で形成することができる。
【0042】
極めて小さなサイズの屑を有する流体Fは、ミル粉砕輪郭60を通過した後に、処理装置ハウジング出口62を通過する。処理装置ハウジング出口62は、流体Fが処理装置ハウジング40の外に出るときにもはや回転しなくなるように、ミル50の下流側端部から軸方向に間隔を置いて配置される。屑処理組立体32は、径方向または軸方向を向いた吸入口と、径方向または軸方向を向いた吐出口とを有することができる。
図4の実施形態において、屑処理組立体32は、径方向を向いた吸入口と、軸方向を向いた吐出口とを有する。
図4は単段型システムとして示されているが、単一の電動水中ポンプ組立体14において2つ以上の屑処理組立体32を利用して、多段型屑処理システムを形成することができる。本明細書ではESPシステムと共に使用するように説明されているが、屑処理組立体32はまた、ガス処理装置などの、代替システムと共に使用することもできる。
【0043】
動作例では、大きな屑物質を含む流体Fが、大きな吸入孔42を通って屑処理組立体32内に入る。屑が切削刃46に接触すると、切削刃46は、屑をより小さな片にスライスする剪断および切削効果を付与する。同時に、切削刃46は切断片に旋回運動を与え、この切断片は、屑の大きさが剪断および破断作用により更に低減される、ハウジング切削輪郭44の鋭利な縁部に向かって径方向外方に移動する。
【0044】
次いで、更に小さなサイズの屑を有する流体Fが、漏斗状の環状ミル空間58内における第1の組の一連のミルカッタ輪郭52に移動する。環状ミル空間58内にある、これらの第1の組のカッタは、屑に対する切削効果を与え、屑を徐々に下流側に移動させる。更に、一連のミルカッタ輪郭52の旋回運動により、屑がハウジング切削輪郭44に押し付けられ、ここで更なる剪断が発生する。屑が、その後、漏斗状の環状ミル空間58の狭い領域に徐々に移動するにつれて、屑が、漏斗状の環状部内のより小さな面積の領域に入り、ここで屑が、屑の大きさを更に低減する、更なる切削、剪断および破断を受ける。
【0045】
流体Fと屑との混合物が、漏斗状の環状ミル空間58から離れて、ミル粉砕輪郭60を通り過ぎ、ここで、屑の大きさが、ポンプ18を含む、電動水中ポンプ組立体14の残りの部分を通過するのに十分に細かく砕かれる。細かく砕かれた屑は、坑井流体Fと完全に混合する。次いで、細かく砕かれた屑を有する坑井流体Fは、ミル粉砕輪郭60の外に出て、処理装置ハウジング出口62に向かって移動し、この処理装置ハウジング出口62は、流体Fが屑処理組立体32の外に出て電動水中ポンプ組立体14の別の構成要素内に入る前に旋回しないことを確実にするために、ミル粉砕輪郭60から軸方向に間隔を置いて適切に配置される。旋回しない流れは、より高い全動的水頭を発生させるために、例えばポンプ18内の第1の羽根車の上流側において重要である。
【0046】
本明細書で説明する実施形態では、大きなゴム片などの、大きな屑物質が、吸入孔42を通過する場合に、ミル50が、閉塞されずに、切削刃46を通り過ぎる全ての屑を収容できるように、切削刃46は、そのような大きな片を処理して屑の大きさを低減するような大きさおよび向きとされる。加えて、環状ミル空間58の漏斗状形状は、ミル50が比較的大きな屑を上流側端部において受け入れて閉塞されずに屑の大きさを徐々に低減することを可能にする。
【0047】
屑が屑処理組立体32の外に出たときには、屑は、閉塞を生じさせずにまたはポンプ18を損傷させずにポンプ18の羽根を通過できるように十分に小さい。ポンプ18は混合物を加圧し、この混合物は、従来の工程では、生産用配管を通って地表へと流れる。地表では、流体Fを処理して、従来のシステムにおける現行の手順と同様の方式で、坑井流体をいかなる小さな屑からも分離することができる。
【0048】
細かく砕かれた屑の大きさが十分に小さいため、屑を含む流体Fの混合された混合物には吸入ポートを目詰まりさせ得る微粒子が含まれず吸入用スクリーンは必要ないので、ポンプ18の吸入口は、吸入用スクリーンを有さなくてもよい。スクリーンがないことにより、材料費と人件費の両方が削減される。ポンプ18に吸入用スクリーンを有さない別の利点は、流体Fがポンプ吸入口を通り抜けるときに生じる圧力降下を排除し、それによりシステム効率を向上させることにある。作業者が、スクリーンを備えた吸入口を依然として有することを決定した場合には、スクリーンは、冗長な構成要素としての役割を果たす。ポンプに吸入用スクリーンがないことは、
図2に示されるような、屑処理装置がポンプの上流側にある、2パッカ型構成での選択肢として適切である。
【0049】
それゆえ、本明細書に開示するように、システムおよび方法の実施形態は、吸入用スクリーン圧潰のリスクがほとんどまたは全くないESP解決策を提供する。ポンプ目詰まりの可能性が排除され、それにより、ESP寿命を延長させるとともに、改修費を発生させる可能性がある、流れがないことまたは過負荷故障に起因してモータが高温になるのを防止する。加えて、システム内への導入流れの逆転など、流れ方向が軸方向において変化する設備と比較して圧力損失が低減されるとともにシステム効率が向上する。更に、屑処理組立体32がモータおよびプロテクタの上流側にある特定の実施形態では、大きく、硬質でかつ縁の鋭利な屑がそのような要素を流過することによる損傷が低減されている。結果として、ESPシステム全体の信頼性が高まり、かつ資産耐用期間の操業費が低減される。
【0050】
それゆえ、本明細書で説明する本開示の実施形態は、目的を果たし、言及した目標および利点ならびに本明細書に固有の他のものを達成するように良好に構成される。本開示の現時点で好ましい実施形態が開示の目的で与えられているが、所望の結果を達成するための手順の細部には数多くの変更点が存在する。これらおよび他の同様の修正は、それ自体を当業者に容易に連想させるものであり、本開示の趣旨および添付の特許請求の範囲内に含まれるように意図されている。