(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホイールリムを有機酸の酸洗いタンクに入れてホイールリム上の汚染物を除去することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスチール製ホイールのホイールリムの製造方法。
可変断面厚さのスポークブランクを準備するステップは、補強リングをスポーク基材の上方に同心に位置決めし、補強リングの外側縁部をスポーク基材に溶接することを含むことを特徴とする請求項6に記載のホイールスポークの製造方法。
可変断面厚さのスポークブランクを準備するステップは、硬質ロール型モールドを用いてスポーク基材をスピニングして、スポーク基材の外側縁部領域の厚さを薄くすることをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のホイールスポークの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施例に基づいて、図面を参照しながら、本発明の技術手段をさらに詳細に説明する。
(実施例)
【0015】
図1は、本発明に係る方法で製造されたホイールである。ホイール100の組立体は、ホイールリム102及びスポーク104を含む。ホイール100は、取り付け孔106をさらに含み、取り付け孔106により車両に取り付けられて使用される。ホイール100は、1つ以上の風孔108をさらに含んでもよい。前述のように、スポーク104は、異なる厚さを有し、取り付け孔106に近づくホイール100の中央部分が厚いが、スポーク104の外側周辺部分が相対的に薄い。材料、構造及び熱間プレス成形方法により、一定の耐久性を有するだけでなく、重量を著しく軽減するスチール製ホイールが得られる。例えば、本発明の実施例では、製品仕様が22.5×8.25cmのスチール製ホイールの重量は、約21.5kgだけである。従来の製造方法で製造された同様の仕様のスチール製ホイールの重量は、約31kgである。鍛造アルミニウム合金で製造されたホイールの重量は、本発明における方法で製造されたスチール製ホイールの重量とほぼ同じであるが、鍛造アルミニウム合金のホイールのコストは、著しく高くなる。
【0016】
以下、ホイール及び関連する製造方法について説明する。本発明に係るホイールの製造方法に関連するステップは、ホイールリムの製造、スポークの製造、及びスポークとホイールリムとの接続を含む。ホイールリムの製造は、複数の製造段階をさらに含む。
図1は、ホイールの製造方法の例である。
【0017】
本明細書で説明された製造方法は、スチール製ホイールの製造に適している。ホイールリム102及びスポーク104の製造用の材料は、ボロン鋼が望ましい。ボロン鋼は、その機械的特性により、特に成形時の焼入れ性を満たすため、特に本発明に係るホイールに適している。実施例において使用可能なボロン鋼の化学成分を表1に示し、材料性能を表2に示す。
【0020】
図2に示す方法のように、ホイールリムの製造プロセスは、円管状物を製造すること210と、円管状物を初期成形ホイールリムに加工すること212と、最後にホイールリムの加工を完了すること214とを含む。
図3は、円管状物を製造する(210)例示的な過程である。図に示すように、例示的な過程は、ホイールリム基材を準備するステップ302と、ホイールリム基材を切欠き付きの円形に加工するステップ304と、円形の切欠きに扁平な領域を加工するステップ306と、切欠きを閉鎖するステップ308と、溶接スラグを除去するステップ310と、円管状物に加工するステップ312とを含む。以上に述べたステップによって、ホイールリム基材を円管状物に加工し、さらに、本発明に係るホイールに加工することができる。
【0021】
円管状物を製造する例示的な過程を
図3に示し、ステップ302でホイールリム基材を準備することから始まる。ホイールリム基材402は、1枚の矩形鋼板又はホイール及び加工に好適に用いられる他の合金である。この矩形のブランクは、従来製造に用いるホイールリムのブランクと異なり、このブランクの長さが他の状況より約0.4%〜0.5%短い。このようなやや短いブランクを用いることは、熱間成形過程において鋼材がマルテンサイトに変態する場合に密度が0.4%〜0.5%低下することに適応するためである。ホイールリムの拡張は、ホイールリムに小さな塑性変形を与えて、ホイールリムが丸くなり、最終寸法を得る。偶然にも、拡張率が約0.5%であるため、変態の前にブランクの長さを短くする調整を行わなければ、ホイールリムは、正確な最終寸法がない。ステップ302では、ホイールリム基材402を酸洗液に浸漬するか、又は油に保持して、その特性を保持することにより、後続の成形及び接続プロセス(さらに説明する)の質量が最適になり、丈夫で耐久性に優れるホイールを製造する。
【0022】
図4及び
図5に示すように、ステップ304では、ホイールリム基材402を円形502に成形加工する。通常、円形502は、形状では、径方向寸法がホイール100の最終寸法よりもはるかに小さい円形である。ホイールリム基材402をベンダーに送り込むか、又は他の適切な加工方法で矩形のホイールリム基材402を円形502に巻くことができる。
図5に示すように、円形502は、本質的には、切欠き504付きの円形であり、切欠きが円形502の第1の末端506及び第2の末端508にある。切欠き504は、円形502が切欠き504を閉じることにより、第1の末端506と第2の末端508が互いに当接し、ステップ308で接合されるような寸法を有する。
【0023】
切欠き504を閉じる前、後続のプロセスをより簡単にし、品質を高めるために、ステップ306で円形502の一部の領域を平坦化する。
図6に示すように、平坦化部分602付きの円形502は、平坦化モールドによって適切な圧力で製造される。平坦化部分602は、第1の末端506の上方及び第2の末端508の下方へ一定の距離を延伸する。
【0024】
ステップ308では、切欠き504を閉じる。望ましい実施例では、切欠き504を溶接により閉じる。この実施例では、円形502の平坦化部分602を機器又は他の装置内に入れ、第1の末端506を第2の末端508の近くに保持することにより、切欠き504を閉じる。第1の末端506及び第2の末端508は、例えば、ミグ(MIG)溶接、レーザー溶接、ガスメタルアーク溶接などに限られない適切な溶接方式により接合される。
図7は、閉じた円形502を示し、継ぎ目702は、その幅の方向に沿って拡張する。分かるように、溶接過程において、溶接スラグは、継ぎ目702に沿って、又は縁部に堆積されることがある。ステップ308では、第1の末端506と第2の末端508とを溶接した後、円形502は、円管708(
図8参照)に加工され、通常、円柱状であるが、さらなる加工処理を行って、生成された溶接スラグを除去し、平坦化部分602を除去する必要がある。
【0025】
ステップ308の別の例では、切欠き504は、抵抗突合せ溶接により閉じられる。このような方法で、第1の末端506と第2の末端508とを突き合わせ、電流で必要な温度に加熱する。該プロセスを行う前及び該プロセスを行う過程中、第1の末端506及び第2の末端508に圧力を加えることにより、円形502が塑性状態になると、加えられた圧力により第1の末端506を第2の末端508に接合する。溶接継手における溶接スラグ又は局部変形のため、後続のプロセス310が必要となる。
【0026】
ステップ310では、溶接スラグを円管708から除去する。任意の適切な加工方法で溶接スラグを除去し、後続のプロセスに用いられる円管708を製造する。ステップ310では、様々な加工処理技術、例えば、研磨、サンディング、艶出し研磨、トリミングなどを使用する。円管708の継ぎ目に沿う溶接スラグと縁部704及び706上の溶接スラグを除去する。円管708は、円管708の継ぎ目710の表面が滑らかで、まくれ又は隆起という欠陥がなくなるまで必要な加工処理を行わなければならない。
【0027】
ステップ310では、円管708は、成形により平坦化部分602を除去する。円管708が連続した完全な形状に接続されたら、その円柱状を回復しなければならない。適切なロール成形機又は他の加工方法を使用して、平坦化部分602を除去することができる。
図8に示すように、ステップ310の最後に、円管708の形状は、円柱状である。このステップの後、円管708の外径は、ホイールリム102の最終径より小さい必要がある。説明されるように、円管708は、最終的に、ホイールリム102の理想的な最終寸法に拡張され、成形される。
【0028】
円管を上述したステップで製造した後、円管708は、ホイールとして使用される輪郭に成形される。
図9は、円管708を成形する例示的な方法である。円管708を成形する例示的な方法は、口広げ加工を行うステップ902と、バルブ穴平面を成形するステップ904と、成形された円管を加熱するステップ906と、ホイールリムを成形するステップ908とを含む。当業者に知られているように、他の追加のステップを行う可能性があるか、あるいは、上述した各ステップが複数のステップにさらに分割されるか又は分けられる。
【0029】
ステップ902では、円管708の縁部を口広げ加工する。
図10に示すように、円管708が口広げ加工されて、その縁部1002、1004の直径が円管708の中間部分より大きくなる。任意の適切な口広げ加工プロセスは、いずれもステップ902に用いられることができる。最適な方法は、プレス機及び対応するモールドにより口広げ加工縁1002及び1004を製造することである。この例示的な方法では、円管708をモールドに入れて、口広げ加工縁1002及び1004を同時に製造する。他の方法では、ロール成形機又は口広げ加工機を使用することができる。他の例では、口広げ加工縁1002及び1004は、2つのステップで製造する。
【0030】
ステップ904では、バルブ穴平面1202を形成する。
図11に示すように、内輪郭1102は、後でバルブ穴を加工するための断面を含む。ホイール100を使用し、タイヤをホイール100に装着すると、バルブ穴は、バルブを取り付けるものである。後続の過程において、該穴を製造するために、バルブ穴平面1202は、内輪郭1102の断面に沿って成形される。バルブ穴平面1202は、内輪郭1102の1つの断面であり、通常、局所領域では平面であるが、円管708の軸線に対する斜角にある。
【0031】
ステップ906では、成形された円管1000を高温に加熱する。適切な温度は、成形された円管1000の構成によって異なる。しかしながら、望ましい温度は、少なくとも成形された円管1000の合金のAc3温度に達する。ボロン鋼を使用する実施例では、Ac3温度は950℃である。Ac3温度より高い高温で、成形された円管1000の鋼組織は、オーステナイトに変態し、組織がより均一な金属部品となるとともに、前の加工過程において発生した加工硬化又は他の望ましくないミクロ組織を除去する。成形された円管1000の高温は、後続のホイールリム成形ステップ908において維持される必要がある。ステップ908において必要な温度を維持するために、成形された円管1000は、好ましくは、それを加熱する加熱炉からホットプレス機に12秒内で移される。成形された円管1000が成形及び冷却(後で説明する)時に高温に維持されれば、他の時間又は移す方法で行うことができる。
【0032】
ステップ908では、円管708の内輪郭をホットプレス機で形成する。
図11は、ホイール100の内輪郭1102の実例を示す。分かるように、ステップ904では、ホイール100の寸法規格及び構造要求に基づいて、様々な内輪郭を成形する。ステップ908では、円管708の内輪郭を形成し、円管708の外径をホイールリム102の最終的な所望の直径に拡張する。ステップ908の成形プロセスは、円管の成形に必要な冷却を提供し、理想的なミクロ組織を与えて、優れた機械的特性を提供する。ステップ908では、拡張モールドを使用するとき、一例として、水又は他の冷却剤を使用して適切な冷却を提供する。他の例では、成形されたホイールリムが円管708の直径を拡張する拡張モールドに保持された場合、ノズルアレイは、水又は他の冷却剤をホイールリム702のタイヤ装着側表面1104に噴射する。該例では、ノズルアレイは、水又は他の冷却剤をタイヤ装着側表面1104に交差して重ねて噴射することができる(
図12参照)。冷却剤を重ねて使用することは、冷却期間に発生した相変化が均一であることを保証する。不均一な冷却又は冷却剤の不均一な使用により、ホイールリム102の寸法変形を引き起こすか、又は局所領域の不良な機械的特性をもたらして、ホイール100は、使用過程において早期故障するおそれがある。拡張モールド及び噴水によりホイールリム102を約200℃に迅速に冷却し、モールドから取り出す。200℃の取り出し温度により、金属内の水素ガスが放出することに役立つ。ホイールリム102は、選択的に、400℃で焼き戻し、焼き戻し時間が20〜60分間に制御される。適切に冷却して得られたホイールリムは、約52HRCの硬度及び約1300〜1500Mpaの引張強度を有する。これらの機械的特性により、ホイールリム102が従来のスチール製ホイールリムに比べてより薄い鋼材を使用することができ、ホイール100の重量が著しく軽くなる。
【0033】
例示的な方法のステップ214では、ホイールリム102の加工を続け、成形されたホイールリムを仕上げ加工する。この段階では、さらなる加工及び他のプロセス過程によりホイールリム102の最終形状を完了し、他の構造的特徴を追加し、例えば、バルブ穴を追加する。バルブ穴は、レーザー切断、打ち抜き、穿孔又は他の適切な加工方式を用いて加工されることができるが、レーザー切断が望ましい加工方式である。
【0034】
ホイールリム102の製造の他、スポークの製造218がある。スポーク104を製造する例示的な方法は、スポークブランクを準備するステップ220と、スポークブランクを成形するステップ222と、スポークを仕上げ加工するステップ224とを含む。その後にホイールリム102と接続するスポーク104を準備するために、これらのステップは、より多くのサブステップ及びプロセスをさらに含む。
【0035】
ステップ220では、加工用のスポークブランクを準備する。該ステップでは、可変断面厚さのスポークブランクを製造する。可変断面厚さのスポークブランクは、ホイール100のスポークの中心の車両に取り付けられる領域がより厚さ又はより強い材料を用いることを許可する。ホイール100の使用過程において、その中心領域は、高い応力を受け、不適切な厚さを用いるか又は材料性能が足りないと、ホイールは、所望の耐用年数の前に故障しやすい。スポーク104の中心領域において断面厚さがより厚いホイールを製造することは、前述の設計上の欠点を解消するとともに、ホイール100の重量を著しく増加させることがない。
図13に示すように、スポークブランク1302は、中心領域の厚さがT1であり、中間孔1306から径方向外向きに延出した周辺部分の厚さがT2である。この例では、T1がT2より大きい。スポークブランク1302は、構造上で、可変断面厚さの特徴を有し、すなわち、最終的に成形されたスポーク104の中心領域がより厚くなり、取り付け時に該領域が車両に接続され、スポーク104の外側周辺領域、すなわちホイールリム102と接続される領域が相対的に薄い。一例では、スポークブランク1302の厚さT1が約8mmであり、厚さT2が約4.5mmである。他の例では、スポークブランク1302は、他の厚さを有する可能性があり、これは、スポーク104の最終的な所望の寸法及び材料性能によって決められる。
【0036】
本発明では、可変断面厚さのスポークブランクを製造する2つの実例プロセスを開示する。一実例方法は、補強リング1304をスポーク基材1308に同心に位置決めした後、スポーク基材1308に溶接することにより製造される継ぎ合わせブランクを製造することを含む。補強リング1304をスポーク基材1308に溶接するような実例では、補強リング1304の外側縁部1310及び内側縁部1312に沿って溶接することを含む。補強リング1304をスポーク基材1308に溶接する過程において、最も重要なことは、外側縁部1310の溶接深さである。この例示的な方法では、外側縁部の溶接深さが12〜15mmの範囲内であることを保証することが望ましい。外側縁部1310の溶接深さが該要求値に達すると、ホイール100の耐久性が大幅に高められ、溶接深さが足りないと、溶接箇所が疲労亀裂を特に生成しやすい。外側縁部1310の溶接厚さが前述のとおりであれば、溶接箇所は、ホイールを車両に接続するナットの縁部又はガスケットの下に位置することになる。以上の方式に応じて、溶接加工により弱められた材料がナットフランジ又はナットガスケットの下に押し付けられるため、完成品としてのホイール100の疲労寿命は大幅に増大する。
【0037】
可変断面厚さのスポークブランクは、円錐形の可変断面厚さのスポークブランクを製造することにより得られる。該例では、厚さが一定で不変である、中間孔付きのスポークブランクが硬質ロール型モールドによってロール成形されて、スポークブランクの径方向外側の周辺の厚さを薄くする。実施例では、厚さが約8〜10mmのスポーク基材が硬質ロール型モールドによってスピニング成形されて、スポークブランクの外径を増加させ、ブランクの径方向外側の周辺の厚さを薄くする。例として説明された円錐形の可変断面厚さのスポークブランク1402を
図14に示す。理解されるように、円錐形の可変断面厚さのスポークブランクにより、スポーク104は、中心領域が厚く、径方向外側の周辺領域が薄い利点を有する。これらの利点は、耐久性の向上及び重量の低下を含む。円錐形の可変断面厚さのスポークブランク1402に対して、スポークブランク1302に対する説明に類似する後続の加工プロセスを行うことができる。
【0038】
ホイール100の別の実施例を
図19に示し、スポークブランク1802は、エアスプリングキャビティ1804を含んでよい。スプリングシートを製造するために、スポーク基材1806に
図20に示す溝1902を加工する必要がある。本実例では、8つの溝1902は、スポーク基材1806の中間孔1904に沿って均一な間隔をおいて配置される。溝1902は、スポーク基材1806に凹設された部分である。補強リング1808がスポーク基材1806の溝1902に溶接又は固定されると、エアスプリングキャビティ1804が形成される。エアスプリングキャビティ1804を設ける作用は、ホイールを車両に取り付けて使用する場合に発生した振動を解消することである。層状のエアスプリングキャビティは、完成品構造に可変なモジュラスを提供して、ホイールから車両のブレーキ及び車軸へ伝達し得る任意の音声を破壊及び/又は歪むことができる。
図20に示す本実例は、8つの楕円形の溝1902を示す。他の形状又は数の溝1902を使用して1つ以上のエアスプリングキャビティ1804を加工することもできる。
【0039】
可変断面厚さのスポークブランクの加工を完了した後、スポークブランク1302をさらに加工する必要がある。スポークブランク1302は、一定の高温に加熱される。正確な温度は、スポークブランク1302の構成によって決められる。しかしながら、望ましい温度は、少なくともスポークブランク1302の合金のAc3温度である。Ac3温度より高い高温で、スポークブランク1302のミクロ組織がオーステナイトに変態するとともに、ミクロ組織がより均一で可変断面厚さのあるスポークブランクを生成する。スポークブランク1302を後続のスポークブランク加工ステップ222に移す過程において、スポークブランク1302の高温を維持する必要がある。ステップ222の期間において必要な温度を維持するために、スポークブランク1302を加熱する加熱炉からホットプレス機に移す時間が好ましくは12秒より小さい。他の時間又は移す方法は、いずれも使用でき、上述した成形及び冷却においてスポークブランク1302の高温を維持すればよい。
【0040】
ステップ222では、スポークブランク1302を
図15に示す凹形にほぼ加工する。大きい厚さT1を有するスポークブランク1302の中心領域は、本プロセスの後にも平面の構造を保持するが、スポークブランク1302の径方向外側の周辺領域は、
図15に示す凹形横断面に加工される。凹形横断面の他に、ガセットプレート、補強リブ、隆起した縁部、又は最終的に組み立てられたホイール100の強度、剛性及び耐久性を向上させる他の形状を含む異なる輪郭及び構造にスポークブランク1302を加工することができる。例えば、本発明に記載の軽量化スチール製ホイールは、従来のスチール製ホイールよりも断面剛性が低いため、補強リブ及びガセットプレートにより剛性を高める必要がある。
図16は、ガセットプレート1602及び隆起した縁部1604付きの成形されたスポークブランクの実例構造である。
図16に示す実例では、各風孔の間にガセットプレート1602を増設し、各風孔の位置に隆起した縁部1604を加工する。隆起した縁部1604は、ホイール100の耐用年数を延長する重要な特徴である。製造時に、風孔1606の縁部に微細なクラックが生じるおそれがある。隆起した縁部1604により、完成品のホイールの高応力領域は、風孔1606の縁部に位置しないことになる。その分、ホイール100の耐用年数及び耐久性を改善する。このような方式で、風孔1606の数量及び寸法を増加させてホイール100が取り付けられる車両のブレーキの通風効果を向上させることができる。大きな風孔により、さらにホイール100の重量を減少させることができる。他の形状及び構造もスポークブランク1302に適用でき、これは、ホイール100の最終的な所望の特性及び応用によって決められる。
【0041】
前述のように、スポークブランクを成形するステップ222は、高温の状況で、ホットプレス機内で行われる。加熱後に、加熱されたスポークブランク1302をロボットによって加熱炉からホットプレス機に移す。移す期間で、加熱されたスポークブランク1302をホットプレス機のモールドに入れる前又は同時に、加熱されたスポークブランク1302の温度を赤外線モニターによって監視する。高温で加工することは、スポーク104が所望のミクロ組織を得るためである。ホットプレス機に発生した成形プロセスにより、スポーク104は、適切な冷却を必要とし、所望のミクロ組織を得るようにし、約200℃の時に取り出されて水素脆化の量が抑制される。この目標を達成するために、ホットプレス機中のモールドは、モールドの適切な温度を維持するための冷却機能を提供し、ホットプレス機のモールドの冷却速度を制御可能にすることにより、所望のミクロ組織構造を実現する。この結果を得る別の方法は、モールドのユニット圧力に対する調整である。高いユニット圧力により、冷却速度がより速くなる。モールドを分割するか又はプレス機に局所に異なる圧力を提供する能力を備えさせることにより、ユニット圧力を制御可能にし、加工期間に適切で有利な冷却量を提供する。該過程に役立つために、モールドに温度監視アセンブリが備えられることにより、モールドは、成形されたスポークブランク1302が適切な温度に冷却されるまで、閉じ状態が保持される。本実例では、型開き温度が200℃である。スポークブランクが成形した後、ステップ224では、成形されたスポークブランクがスポーク104に仕上げ加工される。
【0042】
ステップ224では、成形されたスポークブランク1502に
図16に示す様々な開口及び孔をさらに加工する必要がある。前述のように、スポーク104は、風孔1606及びボルト孔1608を含む可能性がある。ステップ224では、中心貫通孔1610を再加工して最終寸法を得る。様々な孔は、様々な適切な方法で加工され得るが、レーザー切断が望ましい方法である。風孔、ネジ孔及び中間孔1610のレーザー切断は、ホイール100の耐久性を高め、疲労寿命を延長し、他の方法、例えば、スタンピングで加工された様々な孔は、微細なクラックが発生し、微細なクラックが拡張してホイールの早期故障を引き起こすおそれがある。
【0043】
ホイールリム102及びスポーク104の製造が完了した後、ホイールリム102及びスポーク104は、ステップ228で組み立てられる。ステップ228では、
図17に示すように、ホイールリムをスポーク104の径方向外壁1702に位置決めする。径方向外壁1702は、ホイールリム102の内側溶接面1704に近づいて位置する。好ましい実施例では、スポーク104の外径は、内側溶接面1704の直径よりわずか大きく、このように、スポーク104とホイールリム102との間に締り嵌めがある。径方向外壁1702の外径と内側溶接面1704との間の締めしろが好ましくは0.5mmと2.5mmとの間であり、これは、接続部材に高品質の溶接を提供する。締めしろが大きすぎると、スポーク104の寸法変形を引き起こすか、又はスポーク104をホイールリム102に装着する加工が困難になる。一方では、締めしろが小さすぎると、欠陥のある溶接を引き起こし、さらにホイールの早期故障を引き起こす。
【0044】
スポーク104をホイールリム102の内側に位置決めした後、溶接により2つの部材を接続する。レーザー溶接は、好ましい溶接方式であり、このような溶接方式により、基材の加熱による悪影響を低減することができるからである。他の溶接プロセス、例えば、MIG溶接(ミグ溶接)も使用できる。しかしながら、MIG溶接は、加熱のため、材料の熱影響領域で不良特性が生じる。不必要な加熱は、寸法精度に悪影響を及ぼし、さらに、ホイール100の早期故障を引き起こす。好ましい実例では、
図18に示すように、スポーク104の突起側の溝1706内にレーザー溶接を使用し、その溶接領域が約1mm〜2mmである。
【0045】
ホイール100の製造が完了した後、ステップ236で後期及び他の加工処理を行う可能性がある。後期の加工は、洗浄、電気泳動、塗装及び完成品のホイールの試験/認証を含み得る。このような後期のプロセスは、完成品のホイールに耐腐食性を提供でき、その機械的特性に影響を及ぼす可能性がある。後処理の好ましい実例では、静電気又は他の方式で、下塗り塗料及び上塗り塗料を用いてホイールの表面を塗装し、用いられる下塗り塗料及び上塗り塗料を加熱炉内に硬化して十分な腐食防止性能を得る。
【0046】
他の後処理の好ましい実例では、(加工後及び塗装前に)酸洗いでホイール100を洗浄する。上述したホイール100の金属部材を加工する多くの過程において、金属部材の表面に変色又は酸化スケールが生じることを引き起こす。ホイール100の耐用年数を延長するか、又は金属部材の加工を改善するために、酸化スケールを除去すべきである。酸洗い過程において、酸を使用してこれらの汚染物質を除去することが多い。酸洗い過程において通常使用した酸は、塩酸である。しかしながら、このような酸は、水素脆化の現象の発生を引き起こすため、ホイールの加工過程において好ましくない。したがって、ホイール100の製造過程において、有機酸は望ましい。有機酸、例えば、クエン酸は、ホイール100の金属部材に存在し得る酸化物、不純物又は他の汚染物を除去することができる。一実例の方法では、ホイール100を一定量の有機酸内に浸漬し、十分な時間の後に、不要な汚染物を除去する。
【0047】
上述した酸洗い過程は、最終的な加工過程において使用できるか、又は上述した製造過程の異なる段階で使用できる。例えば、ホイールリム基材402、スポークブランク1302又は補強リング1304を、いずれも上述した製造方法の前に有機酸で洗浄することができる。同様に、溶接により接続された表面は、汚染物にも敏感である。一体に溶接されたホイール100の部材、すなわちホイールリム102及びスポーク104に対してもステップ228の前に酸洗いを行って、溶接が故障する可能性を低減する可能性がある。
【0048】
以上の記載により、従来製造されたスチール製ホイールより重量が軽く、寸法精度がより高く、さらに、十分な耐久性及び耐用年数を有するという利点を有するホイール100を製造する。なお、本明細書に開示された好ましい例に対して様々な変更及び修正を行うことは、当業者にとって容易に明らかであろう。本開示の精神及び範囲から逸脱せず、その予期された利点を低減しない状況では、このような変更及び修正を行うことができる。したがって、これら変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【0049】
本発明において様々な実施例が説明されるが、当業者にとっては、本発明の範囲内のより多くの実施例及び実施形態を明らかにすることが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の以外、本発明が限定されない。
【0050】
ここで用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本出願の例示的な実施形態を限定する意図ではないことに注意すべきである。ここで用いられるように、文脈で別途の明確な説明がない限り、単数形式は複数形式も含み、また、理解すべきこととして、本明細書において用語「含有」及び/又は「含む」を用いる場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、組立体及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味する。
【0051】
別に具体的に説明しない限り、これらの実施例に記載された部品及びステップの相対的配置、数式及び数値は本発明の範囲を限定しない。また、説明の便宜上、図面中に示された各部分の寸法は実際の比率関係に応じて描画されるものではない。当業者に既知の技術、方法及びデバイスについて詳細に説明しない可能性があるが、適切な場合で、前記技術、方法及びデバイスは承認された明細書の一部と見なすべきである。ここで示し説明したすべての実施例では、いずれの具体的な値も例示的なものに過ぎず、限定するためのものではないと解釈すべきである。そのため、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有することができる。類似した符号及びアルファベットは、以下の図面において類似したものを表すため、あるものが一つの図面において定義されると、後の図面においてそれについてさらに説明する必要がないことに注意すべきである。
【0052】
本発明の説明において、理解すべきこととして、方位詞「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縦方向、垂直、水平」及び「頂、底」等で表す方位又は位置関係は、一般的に図面に示した方位又は位置関係であり、本発明を説明しかつ説明を簡潔にするためのものに過ぎず、逆の説明をしない場合、これらの方位詞は、表された装置又は素子が必ず特定の方位を有するか又は特定の方位で構成し操作されることを指示又は暗示するものではないため、本発明の保護範囲を限定するものとして理解すべきではなく、方位詞「内、外」は各部品自体の輪郭に対する内、外である。
【0053】
説明の便宜上、ここで「…の上」、「…の上方」、「…の上面」、「上側の」等のような空間相対用語を用いて、図面に示した一つの装置又は特徴と他の装置又は特徴との空間位置関係を説明するために用いられる。なお、空間相対用語は、図中に説明した部品の方位以外、使用又は操作中の異なる方位も含む。例えば、図面中の部品が逆転されると、「他の部品又は構造の上方」又は「他の部品又は構造の上」と説明された部品は、「他の部品又は構造の下方」又は「他の部品又は構造の下」に位置付けられる。したがって、例示的な用語「…の上方」は、「…の上方」及び「…の下方」の二種の方位を含むことができる。該部品も、他の異なる方式で位置付けられてもよく(90度回転又は他の方位に位置する)、かつここで用いられた空間相対説明について対応する解釈を行う。
【0054】
また、説明すべきこととして、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定することは、対応する部品を区別するためのものに過ぎず、特に声明しない限り、上記用語は特殊な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものとして理解すべきではない。
【0055】
ここで用いられる用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本出願の例示的な実施形態を限定する意図ではないことに注意すべきである。ここで用いられるように、文脈で別途の明確な説明がない限り、単数形式は複数形式も含み、また、理解すべきこととして、本明細書において用語「含有」及び/又は「含む」を用いる場合、特徴、ステップ、操作、デバイス、組立体及び/又はそれらの組み合わせが存在することを意味する。
【0056】
なお、本出願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面中の「第1」、「第2」等の用語は、類似する対象を区別するためのものに過ぎず、特定の順又は前後順を説明するものではない。このように使用される用語は、ここで説明する本出願の実施形態を図面に示すか又は説明した順以外の順で実現できるように、場合によって取り換えることができる。
【0057】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明に様々な変更と変化を行うことができる。本発明の精神及び原則内で行われる任意の修正、均等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。