特許第6894549号(P6894549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894549
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20210621BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   E06B5/16
   E06B1/18 L
【請求項の数】3
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-76789(P2020-76789)
(22)【出願日】2020年4月23日
(62)【分割の表示】特願2017-33661(P2017-33661)の分割
【原出願日】2017年2月24日
(65)【公開番号】特開2020-122387(P2020-122387A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−034861(JP,A)
【文献】 特開2014−214546(JP,A)
【文献】 特開2015−098716(JP,A)
【文献】 特開平08−158743(JP,A)
【文献】 特開2015−178711(JP,A)
【文献】 国際公開第96/007005(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01961905(EP,A2)
【文献】 中国実用新案第207436845(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第108343359(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/54− 3/88
E06B 5/00− 5/20
E06B 1/00− 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも縦枠を備える建具枠と、
前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、
前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、
前記屋内部材には、前記戸体の屋内面に当接可能なタイト材が設けられ、
前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋内部材の前記見込み面および前記断熱部材の前記見込み面に跨がって配置される屋内側加熱発泡材が取り付けられ、
前記屋内側加熱発泡材は、前記屋外部材に接触しない位置であり、前記戸体の見込み面および前記タイト材の見込み面に対向する位置に設けられ、
前記戸体の屋内面の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記見込み面における屋外側端縁および屋内側端縁の間であり、
前記屋内側加熱発泡材の屋外側端縁の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記屋外側端縁および前記戸体の屋内面の間である
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
少なくとも縦枠を備える建具枠と、
前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、
前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、
前記屋内部材には、前記戸体の屋内面に当接可能なタイト材が設けられ、
前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋内部材の前記見込み面および前記断熱部材の前記見込み面に跨がって配置される屋内側加熱発泡材が取り付けられ、
前記屋内側加熱発泡材は、前記屋外部材に接触しない位置であり、前記戸体の見込み面および前記タイト材の見込み面に対向する位置に設けられ、
前記戸体の屋内面の見込み方向の位置は、前記断熱部材よりも屋内側であり、
前記屋内側加熱発泡材の屋外側端縁の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記見込み面における屋外側端縁および屋内側端縁の間である
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
少なくとも縦枠を備える建具枠と、
前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、
前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、
前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋外部材または前記屋内部材の一方の前記見込み面と前記断熱部材の前記見込み面とに跨がって配置され、かつ、前記屋外部材または前記屋内部材の他方に接触しない加熱発泡材が取り付けられ、
前記断熱部材の前記見込み面は、前記加熱発泡材で覆われる部分と、前記加熱発泡材で覆われずに前記見込み面に露出する部分とがあり、前記加熱発泡材で覆われる部分の見込み方向の長さは、前記露出する部分の見込み方向の長さよりも大きい
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の玄関、勝手口等に用いられる建具に関し、特に防火性を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
外枠と内枠との間に断熱材を配置して構成した枠体に、ドアパネルを収容した断熱ドアにおいて、耐火性の膨張材を枠体の側面に取り付けた断熱ドアが知られている(特許文献1参照)。
この断熱ドアでは、耐火性の膨張材を、外枠、断熱材、内枠に跨がって配置し、断熱材を膨張材で覆っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−214546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、膨張材の熱伝導率は、断熱材の熱伝導率よりも高い。このため、外枠および内枠に跨がって配置される膨張材が熱橋となり、枠体の断熱性能が低下するという課題があった。特に、ドア等の建具においては、上枠、下枠に比べて縦枠の長さ寸法が大きいため、縦枠の断熱性能が低下すると、建具の断熱性能も低下しやすいという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、耐火性能を維持でき、断熱性能を向上できる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、少なくとも縦枠を備える建具枠と、前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、前記屋内部材には、前記戸体の屋内面に当接可能なタイト材が設けられ、前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋内部材の前記見込み面および前記断熱部材の前記見込み面に跨がって配置される屋内側加熱発泡材が取り付けられ、前記屋内側加熱発泡材は、前記屋外部材に接触しない位置であり、前記戸体の見込み面および前記タイト材の見込み面に対向する位置に設けられ、前記戸体の屋内面の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記見込み面における屋外側端縁および屋内側端縁の間であり、前記屋内側加熱発泡材の屋外側端縁の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記屋外側端縁および前記戸体の屋内面の間であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、屋内部材および断熱部材に跨がって配置される屋内側加熱発泡材を、屋外部材に接触しないように配置したので、屋内側加熱発泡材が屋外部材および屋内部材間での熱橋となることを防止できる。このため、加熱発泡材が熱橋となっている場合に比べて、縦枠の断熱性能を向上でき、これにより建具の断熱性能も向上できる。
また、屋内側加熱発泡材は、屋内部材と断熱部材とに跨がって配置されており、屋内側加熱発泡材が発泡した際に、屋内側加熱発泡材および屋外部材間の隙間を塞ぐことができる。このため、縦枠の断熱部材を、屋内側加熱発泡材で被覆でき、建具の耐火性能を維持することができる。
さらに、屋内側加熱発泡材により、戸体と縦枠との間を塞ぐことができ、かつ、タイト材を被覆することができ、耐火性能をより向上できる。また、1枚の屋内側加熱発泡材を、戸体およびタイト材に対向する位置に設けているので、複数の加熱発泡材を配置する場合に比べて、加熱発泡材の貼付作業を軽減できる。
【0008】
本発明の建具は、少なくとも縦枠を備える建具枠と、前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、前記屋内部材には、前記戸体の屋内面に当接可能なタイト材が設けられ、前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋内部材の前記見込み面および前記断熱部材の前記見込み面に跨がって配置される屋内側加熱発泡材が取り付けられ、前記屋内側加熱発泡材は、前記屋外部材に接触しない位置であり、前記戸体の見込み面および前記タイト材の見込み面に対向する位置に設けられ、前記戸体の屋内面の見込み方向の位置は、前記断熱部材よりも屋内側であり、前記屋内側加熱発泡材の屋外側端縁の見込み方向の位置は、前記断熱部材の前記見込み面における屋外側端縁および屋内側端縁の間であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、屋内部材および断熱部材に跨がって配置される屋内側加熱発泡材を、屋外部材に接触しないように配置したので、屋内側加熱発泡材が屋外部材および屋内部材間での熱橋となることを防止できる。このため、加熱発泡材が熱橋となっている場合に比べて、縦枠の断熱性能を向上でき、これにより建具の断熱性能も向上できる。
また、屋内側加熱発泡材は、屋内部材と断熱部材とに跨がって配置されており、屋内側加熱発泡材が発泡した際に、屋内側加熱発泡材および屋外部材間の隙間を塞ぐことができる。このため、縦枠の断熱部材を、屋内側加熱発泡材で被覆でき、建具の耐火性能を維持することができる。
さらに、屋内側加熱発泡材により、戸体と縦枠との間を塞ぐことができ、かつ、タイト材を被覆することができ、耐火性能をより向上できる。また、1枚の屋内側加熱発泡材を、戸体およびタイト材に対向する位置に設けているので、複数の加熱発泡材を配置する場合に比べて、加熱発泡材の貼付作業を軽減できる。
【0010】
本発明の建具は、少なくとも縦枠を備える建具枠と、前記建具枠に対して開閉可能に取り付けられた戸体とを備え、前記建具枠の少なくとも前記縦枠は、金属製の屋外部材と、金属製の屋内部材とを断熱部材で連結して構成され、前記縦枠において、前記戸体に面する見込み面には、前記屋外部材または前記屋内部材の一方の前記見込み面と前記断熱部材の前記見込み面とに跨がって配置され、かつ、前記屋外部材または前記屋内部材の他方に接触しない加熱発泡材が取り付けられ、前記断熱部材の前記見込み面は、前記加熱発泡材で覆われる部分と、前記加熱発泡材で覆われずに前記見込み面に露出する部分とがあり、前記加熱発泡材で覆われる部分の見込み方向の長さは、前記露出する部分の見込み方向の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、屋外部材または屋内部材の一方と断熱部材とに跨がって配置され、かつ、前記屋外部材または前記屋内部材の他方に接触しない加熱発泡材を配置したので、加熱発泡材が屋外部材および屋内部材間での熱橋となることを防止できる。このため、加熱発泡材が熱橋となっている場合に比べて、縦枠の断熱性能を向上でき、これにより建具の断熱性能も向上できる。
また、加熱発泡材が発泡した際に、加熱発泡材および屋外部材または屋内部材間の隙間を塞ぐことができる。このため、縦枠の断熱部材を、加熱発泡材で被覆でき、建具の耐火性能を維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の建具によれば、加熱発泡材が屋外部材および屋内部材間で熱橋とならないため、耐火性能を維持でき、断熱性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るドアの外観姿図。
図2】前記ドアの縦断面図。
図3】前記ドアの横断面図。
図4】前記ドアの戸先側の縦枠および縦骨部分を拡大して示す横断面図。
図5】前記ドアの吊元側の縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図6】前記ドアの縦枠および扉に設けられた加熱発泡材の発泡状態を示す図。
図7】本発明の第2実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図8】本発明の第3実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図9】本発明の第4実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図10】本発明の第5実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図11】本発明の第6実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
図12】本発明の第7実施形態に係るドアの縦枠および扉間の防火構造を拡大して示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、本発明の建具である玄関ドア1(以下、ドア1と略す)は、いわゆる片開きドアであり、建物の外壁開口部に固定される建具枠であるドア枠2と、このドア枠2に開閉可能に支持される戸体である扉5とを備えて構成されている。
【0015】
[ドア枠の構成]
ドア枠2は、上枠10、下枠20および左右の縦枠30,40を有する。なお、図1の右側に配置される縦枠30が吊元側とされてピボットヒンジ4が取り付けられ、図1の左側に配置される縦枠40が戸先側とされている。また、以下の説明において、ドア枠2(上枠10、下枠20、縦枠30、40)や扉5の見込み方向とは屋内外方向(奥行き方向)を意味し、上枠10、下枠20の見付け方向とは上下方向を意味し、縦枠30、40の見付け方向とはドア枠2を正面(室外面や室内面)から見た際の左右方向を意味する。このため、図1〜3に示すように、玄関ドア1の上下方向をY軸とし、Y軸に対して直交し、かつ、扉5の表面に平行な左右方向をX軸とし、X軸およびY軸に直交する方向をZ軸とすると、見込み方向はZ軸方向であり、上枠10、下枠20の見付け方向はY軸方向であり、縦枠30、40の見付け方向はX軸方向となる。
【0016】
[上枠の構成]
上枠10は、図2に示すように、アルミ製の屋外部材11および屋内部材12を、ウレタン樹脂等の断熱部材13で連結して構成された断熱形材である。上枠10には、メインタイト材15および水密材18が取り付けられている。
なお、図2においては、メインタイト材15、水密材18以外の樹脂材の断面をハッチングで示している。一方、金属材の断面に関しては、図を見やすくするためにハッチングを省略している。
【0017】
屋外部材11は、中空枠形状とされたアルミ(金属)製の押出形材であり、躯体100の屋外面に配置されてネジ511で躯体100に固定されている。なお、屋外部材11の下面部113は、ドア枠2の見込み方向に沿った見込み面を構成し、この下面部113に形成された溝部に水密材18が取り付けられている。
【0018】
屋内部材12は、アルミ(金属)製の押出形材であり、ドア枠2の見込み方向に沿った見込み面を構成する下面部121と、下面部121から下方に突出して設けられた保持片部122とを備える。保持片部122の屋外面に形成された溝部に、メインタイト材15が取り付けられている。
屋内部材12は、連結用ブラケット17を介して屋外部材11に連結されている。そして、屋内部材12は、躯体100の下方に配置され、屋内部材12の下面部121から連結用ブラケット17を介して躯体100にねじ込まれたネジ514で躯体100に固定されている。
【0019】
メインタイト材15は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の一般的な合成樹脂材で構成されている。メインタイト材15は、扉5を閉めた際に扉5の屋内面に当接する。
水密材18は、メインタイト材15と同様に一般的な合成樹脂材で構成され、屋外部材11および扉5間の隙間への雨水の吹き込みを低減する。
【0020】
上枠10の屋外部材11における下面部113には、加熱発泡材115が貼り付けられている。加熱発泡材115は、見込み方向の屋内側端部の位置が、下面部113の屋内側端部とほぼ一致し、屋外側端部の位置が、後述する扉5に設けられた不燃断熱材54の屋外面とほぼ一致するように貼られている。
加熱発泡材115の屋外側端部は、下面部113にリベットで固定された保持プレート116で支持されている。この加熱発泡材115は、火災時の熱で発泡すると、扉5の上面に向かって膨張し、上枠10と扉5との隙間を塞ぐ。また、加熱発泡材115は屋内側にも膨張して断熱部材13を被覆する。
【0021】
[下枠の構成]
下枠20は、上枠10と同様に、アルミ押出形材からなる屋外部材21および屋内部材22を、ウレタン樹脂等の断熱部材23で連結したアルミ断熱形材で構成されている。下枠20には、ゴム製の沓摺部24と、メインタイト材25とが取り付けられている。また、下枠20の表面には、擦り傷対策用のステンレスカバー27がビス止めされている。
メインタイト材25は、メインタイト材15と同一の部品であり、扉5を閉めた際に扉5の屋内面に当接する。したがって、下枠20の屋内露出面は、沓摺部24およびメインタイト材25で被覆されている。
【0022】
[縦枠の構成]
吊元側の縦枠30および戸先側の縦枠40は、図3に示すように、アルミ押出形材からなる屋外部材31、41と、屋内部材32、42とを、ウレタン樹脂等の断熱部材33、43で連結したアルミ断熱形材で構成されている。さらに、上枠10と同様に、屋外部材31、41と、屋内部材32,42とは、連結用ブラケット17を介して連結されている。
屋外部材31、41は、中空枠形状とされ、躯体100の屋外面に配置されてネジ531、541で躯体100に固定されている。
屋外部材31、41は、ドア枠2の見込み方向に沿った見込み面を構成する側面部313、413を備える。側面部313、413は、図4にも示すように、扉5側に突出する保持溝部314、414が一体に形成されている。保持溝部314、414は、サブタイト材36、46を保持している。
【0023】
屋内部材32、42は、ドア枠2の見込み方向に沿った見込み面を構成する側面部321、421と、側面部321、421から側方に突出して設けられた保持片部322、422とを備える。保持片部322、422の屋外面に形成された溝部に、メインタイト材35、45が取り付けられている。
屋内部材32、42は、躯体100の側方に配置され、屋内部材32、42の側面部321、421から連結用ブラケット17を介して躯体100にねじ込まれたネジ534、544で躯体100に固定されている。
【0024】
メインタイト材35、45は、メインタイト材15と同じ材質の合成樹脂材であり、扉5を閉めた際に扉5の屋内面に当接する。
サブタイト材36、46は、TPO(サーモポリオレフィン)等の建築用ガスケットとして利用される一般的な合成樹脂材であり、屋外部材31の屋内側端部の保持溝部314、414に嵌合され、扉5を閉めた際に扉5の側面(見込み方向に沿った見込み面)に当接する。
【0025】
縦枠30、40の側面部321、421には、図4にも示すように、第1加熱発泡材37と、第2加熱発泡材38とが取り付けられている。
第1加熱発泡材37は、屋外部材31、41と断熱部材33、43とに跨がって貼り付けられ、第2加熱発泡材38は、屋内部材32、42と断熱部材33、43とに跨がって貼り付けられている。
これらの第1加熱発泡材37、第2加熱発泡材38の取付位置の詳細に関しては、後述する。
【0026】
[扉の構成]
扉5は、図2,3に示すように、枠体50と、枠体50の屋外側に固定された屋外面材51と、枠体50の屋内側に固定された屋内面材52と、屋外面材51と屋内面材52との間に設けられた断熱芯材53とを備えている。したがって、扉5は、骨材に鋼板を貼って平らに仕上げたフラッシュドアタイプである。また、本実施形態では、採光窓が設けられていない扉5を用いているが、扉に開口を設け、開口に採光用パネルを組み込んだ扉を用いてもよい。また、扉5の戸先側には、操作ハンドル3が設けられている。
【0027】
屋外面材51および屋内面材52は、鋼板で構成されている。屋外面材51は、断熱芯材53の屋外面に沿って配置され、屋内面材52は断熱芯材53の屋内面に沿って配置されている。
断熱芯材53は、EPS(発泡ビーズ法ポリスチレン)製の断熱材で構成されている。なお、断熱芯材53は、フェノール樹脂系の断熱材を用いてもよいし、ハニカム材(水酸化アルミハニカム、セラミックハニカム、ペーパーハニカム)、フォーム材(イソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム)等の断熱材が使用されてもよい。
【0028】
[枠体の構成]
枠体50は、上骨60と、下骨70と、吊元側および戸先側の縦骨80、90とを、矩形状に組んで構成される。上下の上骨60および下骨70は同一の構成であるため、同一符号を付して説明する。縦骨80および縦骨90も同一の構成であるため、同一符号を付して説明する。なお、縦骨80、90は、後述する金属製のエッジ材55、熱可塑性樹脂製のカバー材56が取付可能な構造とされている点が上骨60、下骨70と相違するが、基本的な構成は類似する。また、以下の説明において、枠体50(上骨60、下骨70、縦骨80、90)の見込み方向とは屋内外方向(奥行き方向つまりZ軸方向)を意味し、上骨60、下骨70の見付け方向とは上下方向(Y軸方向)を意味し、縦骨80、90の見付け方向とは枠体50を正面(室外面や室内面)から見た際の左右方向(X軸方向)を意味する。
【0029】
[上骨および下骨の構成]
上骨60、下骨70は、図2に示すように、樹脂骨材610と、樹脂骨材610の内周側(断熱芯材53側)に配置された金属骨材620と、金属製ピース材であるブラケット630とを備えている。
【0030】
樹脂骨材610は、PVC等の合成樹脂材であり、断面略E字状に形成されている。このため、樹脂骨材610と断熱芯材53との間は、樹脂骨材610の区画片部614によって、屋外側空間と、屋内側空間とに区画されている。
区画片部614は、樹脂骨材610の長手方向(扉5の幅方向つまりX軸方向)の複数箇所に切欠部が形成されており、これらの切欠部にブラケット630が配置されている。
【0031】
金属骨材620は、スチールなどの鋼材で構成されたチャンネル材(軽量溝形鋼)であり、区画片部614よりも屋外側の空間に配置され、樹脂骨材610を補強する。
ブラケット630は、スチールなどの鋼材で構成された短尺のアングル材(軽量山形鋼)であり、区画片部614よりも屋内側の空間に配置され、金属骨材620と、屋内面材52とを連結している。
【0032】
区画片部614の屋内側の空間には、不燃性、難燃性、自己消火性、遅燃性等の燃えにくい材質で構成された断熱材(以下、不燃断熱材という)54が配置されている。不燃断熱材54は、例えば、不燃性ポリウレタンや、炭化するMDF(medium density fiberboard、中密度繊維板)等で構成されている。したがって、不燃断熱材54は、少なくとも
EPS製の断熱芯材53よりも燃えにくい材質で構成されている。
【0033】
樹脂骨材610には、2つの加熱発泡材615,616が設けられている。
加熱発泡材615は、樹脂骨材610と金属骨材620との間に配置され、火災時に樹脂骨材610が溶融した場合に、上枠10や下枠20に向かって発泡し、上骨60の金属骨材620と上枠10との間や、下骨70の金属骨材620と下枠20との間を閉塞するものである。
加熱発泡材616は、樹脂骨材610と不燃断熱材54との間に配置され、火災時に樹脂骨材610が溶融した場合に発泡し、不燃断熱材54と屋内面材52との間や、不燃断熱材54と上枠10や下枠20との間等を閉塞するものである。
なお、加熱発泡材615,616は、樹脂骨材610に接着して取り付けてもよいし、樹脂骨材610と加熱発泡材615,616とを同時押出成型で一体成形品として製造してもよい。
【0034】
[縦骨の構成]
吊元側の縦骨80と戸先側の縦骨90とは、図3、4に示すように、樹脂骨材810と、金属骨材820と、ブラケット830とを備えている。
樹脂骨材810は、PVC等の合成樹脂材で形成され、図4に示すように、連結片部811と、屋外片部812と、屋内片部813と、区画片部814とを備えて断面略E字状に形成されている。区画片部814の見込み方向の位置は、区画片部614と同じ位置とされている。
【0035】
金属骨材820は、金属骨材620と同様に、スチールなどの鋼材で構成されたチャンネル材である。
ブラケット830は、ブラケット630と同一種類の部品であり、金属骨材820と屋内面材52とを連結する。
【0036】
縦骨80、90の区画片部814および屋内片部813間には、上骨60、下骨70と同様に、不燃断熱材54が配置されている。不燃断熱材54は、樹脂骨材810やブラケット830に両面テープで接着してもよい。
不燃断熱材54が配置されているので、区画片部814および屋内片部813間の空間の断熱性能を向上できる。
【0037】
縦骨80、90の樹脂骨材810における連結片部811の表面側には、断面略L字状に屈曲された2つの係合突部811A,811Bが、樹脂骨材810の長手方向つまりX軸方向に連続して形成されている。
【0038】
金属骨材820の互いに対向する2つの内面には、加熱発泡材815、816がそれぞれ貼られている。金属骨材820には、錠ケース等を配置するための貫通孔が形成されており、火災時に加熱発泡材815、816が発泡して前記貫通孔を塞ぐことができるようにされている。
連結片部811と不燃断熱材54との間には、加熱発泡材817が配置されている。加熱発泡材817は、火災時に連結片部811が溶融した場合に、金属骨材820と不燃断熱材54との間や、屋内面材52と不燃断熱材54との間などを塞ぐように発泡する。
【0039】
[エッジ材]
樹脂骨材810の表面には、図4に示すように、アルミ製のエッジ材55が取り付けられている。
エッジ材55は、縦枠30に対向する表面における屋外端部側に溝551が形成され、溝551には水密材57が装着されている。
エッジ材55は、前記係合突部811Aに係合される係合部554と、係合突部811Bに係合される係合部555とを有する。係合部555には、後述するカバー材56を連結するための断面L字状の連結片556が形成されている。
エッジ材55は、係合部554、555が係合突部811A,811Bに係合された状態で、タッピングネジ557によって、樹脂骨材810を介して金属骨材820に固定されている。
エッジ材55において、係合部554の屋外側であり、樹脂骨材810に対向する面には加熱発泡材58が貼られている。
【0040】
[カバー材]
カバー材56は、PVCなどの熱可塑性樹脂で構成され、エッジ材55の屋内側に配置されている。
カバー材56は、前記エッジ材55の連結片556に係合される断面L字状の係合片部561と、係合片部561から屋内側に向かって延長された表面部562と、表面部562の見込み方向の中間位置から樹脂骨材810に向かって突出された突出片部563とを有する。
表面部562は、屋内側に向かうにしたがって縦枠30、40から離れる方向(互いに近づく方向)に傾斜配置されている。そして、表面部562の裏面、つまり樹脂骨材810に対向する面は、突出片部563で2つの領域に区画されており、各領域には加熱発泡材565,566が設けられている。したがって、加熱発泡材565、566は、カバー材56と縦骨80、90との間に配置されている。
【0041】
カバー材56(係合片部561、表面部562、突出片部563)と、加熱発泡材565,566とは、同時押出成型することで一体に製造されている。従って、カバー材56および加熱発泡材565、566は、縦枠30、40に対向する熱可塑性樹脂材であるカバー材56を、加熱発泡材565,566に積層して構成されている。
また、カバー材56と、加熱発泡材565、566とは、熱可塑性樹脂製のカバー材56の融点(例えば、100℃前後程度)よりも、加熱発泡材565、566の発泡温度(例えば200℃前後)が高くなるように、熱可塑性樹脂材および加熱発泡材の材質が選択されている。
本実施形態のカバー材56は、係合片部561が屋外側端部に形成されているため、屋外側端部がエッジ材55を介して縦骨90に係合されていることになる。
また、カバー材56の屋内側端部564は、樹脂骨材810の屋内片部813および連結片部811に沿って折り曲げられた屋内面材52の表面に当接している。
【0042】
カバー材56は、扉5を閉めた際に、前記サブタイト材36,46が当接する位置に配置されている。すなわち、カバー材56は、サブタイト材36,46の当接位置の屋外側および屋内側に跨がって配置されている。このため、扉5を閉めた場合に、屋内部材32,42、メインタイト材35,45、サブタイト材36,46、カバー材56で囲まれた密閉空気層が形成される。この密閉空気層は、周囲が熱伝導率の低い合成樹脂材で囲まれるため、断熱性能が向上する。
また、表面部562が傾斜配置されているため、扉5を閉めた際に、カバー材56は、サブタイト材36,46に徐々に当接し、サブタイト材36,46のリップ部を徐々に湾曲させるため、扉5をスムーズに開閉でき、扉5を閉めた際のサブタイト材36,46とカバー材56の密着性も向上できる。
【0043】
[縦枠と扉との位置関係]
扉5を閉めた際に、玄関ドア1の見込み方向(屋内外方向)における扉5の屋内面(屋内面材52)の位置は、図3,4に示すように、縦枠30、40の断熱部材33、43に対応する位置(図3,4では対向する位置)に設定されている。
すなわち、扉5および縦枠30の一部を拡大した図5で説明すると、断熱部材33において、縦枠30の側面部313、321に露出する露出面の屋外側端縁を表面屋外端縁331とし、屋内側端縁を表面屋内端縁332とすると、本実施形態の扉5における屋内面材52の見込み方向の位置は、表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間の位置とされている。
【0044】
[縦枠の加熱発泡材]
前述したように、縦枠30、40の側面部313、321、413、421には、屋外部材31、41および断熱部材33、43に跨がって貼り付けられた第1加熱発泡材37と、屋内部材32、42および断熱部材33、43に跨がって貼り付けられた第2加熱発泡材38とが設けられている。
第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38の取り付け位置の詳細を、図5に示す縦枠30を例に説明する。
【0045】
第1加熱発泡材37の屋外側端縁371は、見込み方向の位置が、断熱部材33の表面屋外端縁331よりも屋外側とされ、保持溝部314に取り付けられたサブタイト材36に当接する位置に設定されている。
第1加熱発泡材37の屋内側端縁372は、見込み方向の位置が、断熱部材33の表面屋外端縁331よりも屋内側であり、表面屋内端縁332よりも屋外側、つまり表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間とされている。本実施形態では、屋内側端縁372は、表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間の中央位置(断熱部材33の露出面の見込み方向寸法の1/2の位置)よりも屋外側となるように設定されている。
さらに、本実施形態では、第1加熱発泡材37の屋内側端縁372と、扉5の屋内面材52とのそれぞれの見込み方向の位置は、ほぼ同じ位置となるように設定している。
このため、第1加熱発泡材37は、扉5の見込み面に対向して配置されている。具体的には、扉5に取り付けられたカバー材56に対向して配置されている。一方で、第1加熱発泡材37は、メインタイト材35には対向しない位置に配置されている。
【0046】
第2加熱発泡材38の屋外側端縁381は、見込み方向の位置が、断熱部材33の表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間であり、第1加熱発泡材37の屋内側端縁372よりも屋内側の位置とされている。また、第2加熱発泡材38の屋外側端縁381は、見込み方向の位置が、表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間の中央位置よりも屋内側となるように設定されている。
このため、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38は非接触とされ、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間には所定寸法(例えば2mm)の隙間が設けられている。この隙間は、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間での熱伝導を防止できる寸法であればよく、少なくとも第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38が接触していなければよい。
【0047】
第2加熱発泡材38の屋内側端縁382は、断熱部材33の表面屋内端縁332よりも屋内側とされている。本実施形態では、屋内側端縁382の見込み方向の位置は、メインタイト材35のベース部351の表面とほぼ同じ位置とされている。すなわち、メインタイト材35は、硬質樹脂製のベース部351と、軟質樹脂製のシール部352とで構成されている。ベース部351は、保持片部322に保持される部分であり、シール部352は扉5に当接する部分である。
そして、第2加熱発泡材38は、メインタイト材35の見込み面(具体的には、メインタイト材35のシール部352)に、対向して配置されている。一方で、第2加熱発泡材38の屋外側端縁381が屋内面材52よりも見込み方向屋内側に配置されているため、第2加熱発泡材38は、扉5の見込み面には対向しない位置に配置されている。
【0048】
[ドアの防火構造]
扉5と、縦枠30、40との間の防火構造について、火災によって加熱発泡材が発泡した状態を示す図6をも参照して説明する。なお、図6は、縦枠30に設けられた第1加熱発泡材37、第2加熱発泡材38と、吊元側の縦骨80のカバー材56に設けられた加熱発泡材565、566の発泡状態を示す。なお、戸先側の縦枠40および縦骨90間の発泡状態も同様であるため、説明を省略する。
【0049】
例えば、屋外側の火災時の熱で縦枠30、40や縦骨80、90付近の温度が上昇し、
カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566や、第1加熱発泡材37、第2加熱発泡材38の発泡温度(例えば200℃)に到達すると、これらの加熱発泡材37、38、565、566が発泡して膨張する。
この際、第1加熱発泡材37は、扉5の見込み面に対向するため、扉5に向かって発泡して膨張する。なお、本実施形態では、扉5にも、第1加熱発泡材37に対向する位置に加熱発泡材566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する第1加熱発泡材37および加熱発泡材566が発泡して突き合わされることで塞がれる。
また、第2加熱発泡材38は、メインタイト材35の見込み面に対向するため、メインタイト材35に向かって発泡して膨張する。屋外側で火災が発生した場合、メインタイト材35が焼失する前に第2加熱発泡材38が発泡するため、メインタイト材35を第2加熱発泡材38で被覆して熱が伝わることを抑制できる。
さらに、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38は見込み方向にも膨張するため、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間の隙間を塞ぎ、断熱部材33の表面を第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38で被覆する。
【0050】
加熱発泡材565は、縦枠30の側面部313に向かって発泡、膨張し、縦枠30および縦骨80間を塞ぐ。したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材37、38、565、566によって塞ぐことができる。
【0051】
なお、他の加熱発泡材も図示は省略するが火災時の温度上昇により発泡して膨張し、前述したように各隙間を塞ぐ。
以上のように、火災時には各加熱発泡材37、38、115、615、616、815、816、817、58、565、566が発泡し、扉5内部を密閉したり、ドア枠2および扉5間の隙間を塞ぐため、玄関ドア1において必要な防火性能が確保される。
【0052】
[第1実施形態による効果]
(1)縦枠30、40において、第1加熱発泡材37を屋外部材31、41および断熱部材33、43に跨がって配置し、第2加熱発泡材38を屋内部材32,42および断熱部材33、43に跨がって配置し、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間に隙間を設けて、互いに接触しないように配置したので、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間での熱伝導を防止できる。したがって、断熱部材33、43よりも熱伝導率の高い加熱発泡材37、38を用いた場合でも、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38が縦枠30、40の見込み方向に離れて配置されており、屋外部材31、41および屋内部材32、42間での熱橋となっていないため、加熱発泡材が熱橋となっている場合に比べて、縦枠30、40の断熱性能を向上できる。
【0053】
(2)第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間は接触していなければよいので、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38間の隙間寸法も1〜2mm程度と小さくできる。このため、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38が発泡した際に、前記隙間も塞ぐことができ、断熱部材33、43を各加熱発泡材37、38で被覆でき、玄関ドア1に必要な耐火性能を確保することができる。
【0054】
(3)第1加熱発泡材37は、扉5の見込み面に対向する位置に設けられているので、火災時に扉5側に膨張して、扉5および縦枠30、40間を確実に塞ぐことができる。さらに、本実施形態では、扉5の見込み面にも、第1加熱発泡材37に対向する加熱発泡材566を設けている。このため、第1加熱発泡材37および加熱発泡材566が互いに他方の加熱発泡材に向かって発泡、膨張するため、扉5の見込み面と縦枠30、40の側面との中間位置で各加熱発泡材37、566が当接し、扉5および縦枠30、40間を塞ぐことができる。したがって、縦枠30、40のみに第1加熱発泡材37を設けた場合に比べて、約半分の時間で扉5および縦枠30、40間を塞ぐことができる。
【0055】
(4)第2加熱発泡材38は、メインタイト材35に対向する位置に設けられているので、火災時にメインタイト材35側に膨張してメインタイト材35を被覆することができる。したがって、屋外側で火災が発生した場合には、第2加熱発泡材38でメインタイト材35を保護できる。また、屋内側で火災が発生した場合は、メインタイト材35が焼失しても、第2加熱発泡材38が扉5の屋内面と、保持片部322、422間を塞ぐため、火炎を遮断できる。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図7に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態は、縦枠30、40に設けられる加熱発泡材の取付位置がそれぞれ相違するものである。したがって、各実施形態では、縦枠30に設けられる加熱発泡材を例に説明する。
第2実施形態では、縦枠30の屋外部材31および断熱部材33に跨がって、屋外側加熱発泡材37Aを貼り付けている。
屋外側加熱発泡材37Aの屋外側端縁371Aは、見込み方向(Z軸方向)の位置が、第1加熱発泡材37と同じく、断熱部材33の表面屋外端縁331よりも屋外側とされ、サブタイト材36に当接する位置に設定されている。
屋外側加熱発泡材37Aの屋内側端縁372Aは、見込み方向の位置が、断熱部材33の表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間とされ、表面屋内端縁332に近接する位置に設定されている。すなわち、屋外側加熱発泡材37Aは、屋内部材32に接触しない位置で、かつ、断熱部材33の露出面の大半を被覆するように設けられている。例えば、屋外側加熱発泡材37Aの屋内側端縁372Aと、屋内部材32の側面部321との隙間寸法は、例えば1〜2mm程度に設定されている。
さらに、本実施形態では、屋外側加熱発泡材37Aの屋内側端縁372Aの見込み方向の位置は、扉5の屋内面材52の見込み方向の位置よりも屋内側とされている。
このため、屋外側加熱発泡材37Aは、扉5と、メインタイト材35とに対向して配置されている。具体的には、扉5に取り付けられたカバー材56に対向して配置され、メインタイト材35のシール部352において屋内面材52に当接する部分に対向して配置されている。
【0057】
[第2実施形態の防火構造]
本実施形態では、屋外側加熱発泡材37Aや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、屋外側加熱発泡材37Aは、扉5およびメインタイト材35に向かって発泡して膨張する。扉5には、屋外側加熱発泡材37Aに対向する位置に加熱発泡材566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する屋外側加熱発泡材37Aおよび加熱発泡材566が発泡して突き合わされることで塞がれる。
また、屋外側加熱発泡材37Aは、メインタイト材35にも対向するため、メインタイト材35に向かって発泡して膨張し、メインタイト材35を被覆することができる。
さらに、屋外側加熱発泡材37Aは、見込み方向にも膨張するため、屋外側加熱発泡材37Aと屋内部材32との間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
加熱発泡材565は、縦枠30の側面部313に向かって発泡、膨張し、縦枠30および縦骨80間を塞ぐ。したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材37A、565、566によって塞ぐことができる。
【0058】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、屋外側加熱発泡材37Aは、屋外部材31および断熱部材33に跨がって配置され、屋内部材32には接触していないので、屋外部材31および屋内部材32間で熱橋となることを防止できる。したがって、第2実施形態は、屋外部材31および屋内部材32間に跨がって加熱発泡材を設けた場合に比べて、断熱性能を向上できる。
【0059】
また、屋外側加熱発泡材37Aは、屋内部材32には接触しないが、屋内部材32の近くまで延長されているため、発泡時に屋内部材32まで膨張して断熱部材33を被覆することができる。したがって、玄関ドア1として必要な耐火性能を得ることができる。
【0060】
さらに、縦枠30、40の製造時には、1枚の屋外側加熱発泡材37Aを貼り付ければよく、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38の2枚を貼り付ける第1実施形態に比べて、製造時の工数を低減できる。
【0061】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図8に基づいて説明する。
第3実施形態では、縦枠30の屋内部材32および断熱部材33に跨がって、屋内側加熱発泡材38Bを貼り付けている。
屋内側加熱発泡材38Bの屋外側端縁381Bは、見込み方向(Z軸方向)の位置が、断熱部材33の表面屋外端縁331および表面屋内端縁332間とされている。また、屋外側端縁381Bの見込み方向の位置は、扉5の屋内面材52の見込み方向の位置よりも屋外側とされている。
屋内側加熱発泡材38Bの屋内側端縁382Bは、見込み方向の位置が、第1実施形態の第2加熱発泡材38と同様に、メインタイト材35のベース部351の表面とほぼ同じ位置とされている。
このため、屋内側加熱発泡材38Bは、扉5およびメインタイト材35の見込み面に対向して配置されている。具体的には、カバー材56の一部(加熱発泡材566の屋内側端部)と、メインタイト材35のシール部352とに対向して配置されている。
【0062】
[第3実施形態の防火構造]
本実施形態では、屋内側加熱発泡材38Bや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、屋内側加熱発泡材38Bは、扉5およびメインタイト材35に向かって発泡して膨張する。扉5には、屋内側加熱発泡材38Bに対向する位置に加熱発泡材566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する屋内側加熱発泡材38Bおよび加熱発泡材566が発泡して突き合わされることで塞がれる。
また、屋内側加熱発泡材38Bは、メインタイト材35にも対向するため、メインタイト材35に向かって発泡して膨張し、メインタイト材35を被覆することができる。
さらに、屋内側加熱発泡材38Bは、見込み方向にも膨張するため、屋内側加熱発泡材38Bと屋外部材31との間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
加熱発泡材566や加熱発泡材565は、縦枠30の側面部321に向かって発泡、膨張し、縦枠30および縦骨80間を塞ぐ。したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材38B、565、566によって塞ぐことができる。
【0063】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態によれば、前記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、屋内側加熱発泡材38Bは、屋内部材32および断熱部材33に跨がって配置され、屋外部材31には接触していないので、屋外部材31および屋内部材32間で熱橋となることを防止できる。したがって、第3実施形態は、屋外部材31および屋内部材32間に跨がって加熱発泡材を設けた場合に比べて、断熱性能を向上できる。
【0064】
また、屋内側加熱発泡材38Bは、屋外部材31には接触しないが、屋外部材31の近くまで延長されているため、発泡時に屋外部材31まで膨張して断熱部材33を被覆することができる。したがって、玄関ドア1として必要な耐火性能を得ることができる。
【0065】
さらに、縦枠30、40の製造時には、1枚の屋内側加熱発泡材38Bを貼り付ければよく、第1加熱発泡材37および第2加熱発泡材38の2枚を貼り付ける第1実施形態に比べて、製造時の工数を低減できる。
【0066】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を、図9に基づいて説明する。なお、以下の第4〜第6実施形態は、縦枠30、40の断熱部材33、43の見込み方向(Z軸方向)の位置を、第1〜第3実施形態よりも屋外側とし、扉5の屋内面材52の見込み方向の位置が、断熱部材33、43よりも屋内側となるように設定したものである。したがって、断熱部材33、43の見込み方向の位置と、扉5の不燃断熱材54や樹脂製のカバー材56の見込み方向の位置とがほぼ一致し、扉5の断熱ラインと、縦枠30、40の断熱ラインとが玄関ドア1の見込み方向においてほぼ揃うように構成したものである。
【0067】
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cを設けている。第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cと、屋外部材31、屋内部材32、断熱部材33との相対的な位置関係は、第1実施形態と同じである。すなわち、第1加熱発泡材37Cは、屋外部材31および断熱部材33間に跨がって配置され、第2加熱発泡材38Cは、屋内部材32および断熱部材33間に跨がって配置され、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38C間は互いに接触しないように、所定寸法の隙間が設けられている。
【0068】
また、断熱部材33、43の見込み方向の位置が第1実施形態よりも屋外側に移動しているため、第4実施形態では、第2加熱発泡材38Cの屋内側端縁382Cの見込み方向の位置が、屋内面材52の見込み方向の位置とほぼ揃っている。
このため、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cは、扉5の見込み面(具体的にはカバー材56)に対向しているが、メインタイト材35には対向していない。
【0069】
[第4実施形態の防火構造]
本実施形態では、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cは、扉5に向かって発泡して膨張する。扉5には、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cに対向する位置に加熱発泡材565,566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する第1加熱発泡材37C、第2加熱発泡材38Cおよび加熱発泡材565、566が発泡して突き合わされることで塞がれる。
さらに、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cは、見込み方向にも膨張するため、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38C間の隙間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材37C、38C、565、566によって塞ぐことができる。
【0070】
[第4実施形態の効果]
第4実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cが縦枠30、40の見込み方向に離れて配置されており、屋外部材31、41および屋内部材32、42間での熱橋となっていないため、加熱発泡材が熱橋となっている場合に比べて、縦枠30、40の断熱性能を向上できる。
【0071】
また、第1加熱発泡材37Cおよび第2加熱発泡材38Cは、発泡して膨張した際に、各加熱発泡材37C,38C間の隙間を塞いで断熱部材33、43を被覆できるため、玄関ドア1として必要な耐火性能を得ることができる。
【0072】
さらに、扉5の不燃断熱材54の見込み方向の位置と、縦枠30、40の断熱部材33、43の見込み方向の位置とがほぼ一致するため、扉5の断熱ラインと、縦枠30、40の断熱ラインとを玄関ドア1の見込み方向においてほぼ揃えることができる。このため、玄関ドア1における断熱性能をさらに向上できる。
【0073】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を、図10に基づいて説明する。第5実施形態は、第4実施形態に対して、第1加熱発泡材37C、第2加熱発泡材38Cの代わりに、第2実施形態の屋外側加熱発泡材37Aと同様の屋外側加熱発泡材37Dを設けたものである。この屋外側加熱発泡材37Dの屋外部材31、屋内部材32、断熱部材33に対する配置位置の関係は、屋外側加熱発泡材37Aと同一である。すなわち、屋外側加熱発泡材37Dは、屋外部材31のサブタイト材36に当接する位置から、断熱部材33に跨がって貼り付けられており、屋内部材32には非接触とされている。
このため、屋外側加熱発泡材37Dは、扉5に対向して配置され、メインタイト材35には対向していない。
【0074】
[第5実施形態の防火構造]
本実施形態では、屋外側加熱発泡材37Dや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、屋外側加熱発泡材37Dは、扉5に向かって発泡して膨張する。扉5には、屋外側加熱発泡材37Dに対向する位置に加熱発泡材565、566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する屋外側加熱発泡材37Dおよび加熱発泡材565,566が発泡して突き合わされることで塞がれる。
さらに、屋外側加熱発泡材37Dは、見込み方向(Z軸方向)にも膨張するため、屋外側加熱発泡材37Dと屋内部材32との間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材37D、565、566によって塞ぐことができる。
【0075】
[第5実施形態の効果]
第5実施形態によれば、前記第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、屋外側加熱発泡材37Dは、屋外部材31および断熱部材33に跨がって配置され、屋内部材32には接触していないので、屋外部材31および屋内部材32間で熱橋となることを防止できる。したがって、第5実施形態は、屋外部材31および屋内部材32間に跨がって加熱発泡材を設けた場合に比べて、縦枠30、40の断熱性能を向上できる。
【0076】
また、屋外側加熱発泡材37Dは、屋内部材32には接触しないが、屋内部材32の近くまで延長されているため、発泡時に屋内部材32まで膨張して断熱部材33を被覆することができる。したがって、玄関ドア1として必要な耐火性能を得ることができる。
さらに、縦枠30、40の製造時には、1枚の屋外側加熱発泡材37Dを貼り付ければよく、製造時の工数を低減できる。
また、第4実施形態と同じく、扉5の断熱ラインと、縦枠30、40の断熱ラインとが玄関ドア1の見込み方向においてほぼ一致するため、玄関ドア1における断熱性能をさらに向上できる。
【0077】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態を、図11に基づいて説明する。第6実施形態は、第4実施形態に対して、第1加熱発泡材37C、第2加熱発泡材38Cの代わりに、第3実施形態の屋内側加熱発泡材38Bと同様の屋内側加熱発泡材38Eを設けたものである。この屋内側加熱発泡材38Eの屋外部材31、屋内部材32、断熱部材33に対する配置位置の関係は、屋内側加熱発泡材38Bと同一である。すなわち、屋内側加熱発泡材38Eは、屋内部材32および断熱部材33に跨がって貼り付けられており、屋外部材31には非接触とされている。
また、屋内側加熱発泡材38Eは、扉5に対向して配置され、メインタイト材35には対向していない。
【0078】
[第6実施形態の防火構造]
本実施形態では、屋内側加熱発泡材38Eや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、屋内側加熱発泡材38Eは、扉5に向かって発泡して膨張する。扉5には、屋内側加熱発泡材38Eに対向する位置に加熱発泡材566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する屋内側加熱発泡材38Eおよび加熱発泡材566が発泡して突き合わされることで塞がれる。また、加熱発泡材565は、屋外部材31に向かって発泡する。
さらに、屋内側加熱発泡材38Eは見込み方向(Z軸方向)にも膨張するため、屋内側加熱発泡材38Eと屋外部材31との間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材38E、565、566によって塞ぐことができる。
【0079】
[第6実施形態の効果]
第6実施形態によれば、前記第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
すなわち、屋内側加熱発泡材38Eは、屋内部材32および断熱部材33に跨がって配置され、屋外部材31には接触していないので、屋外部材31および屋内部材32間で熱橋となることを防止できる。したがって、第6実施形態は、屋外部材31および屋内部材32間に跨がって加熱発泡材を設けた場合に比べて、縦枠30、40の断熱性能を向上できる。
【0080】
また、屋内側加熱発泡材38Eは、屋外部材31には接触しないが、屋外部材31の近くまで延長されているため、発泡時に屋外部材31まで膨張して断熱部材33を被覆することができる。したがって、玄関ドア1として必要な耐火性能を得ることができる。
さらに、縦枠30、40の製造時には、1枚の屋内側加熱発泡材38Eを貼り付ければよく、製造時の工数を低減できる。
また、第4、5実施形態と同じく、扉5の断熱ラインと、縦枠30、40の断熱ラインとが玄関ドア1の見込み方向においてほぼ一致するため、玄関ドア1における断熱性能をさらに向上できる。
【0081】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態を、図12に基づいて説明する。第7実施形態では、屋内側加熱発泡材38Fを、第6実施形態の屋内側加熱発泡材38Eよりも屋内側まで延長し、メインタイト材35にも対向するように配置したものである。
すなわち、屋内側加熱発泡材38Fは、屋内部材32および断熱部材33に跨がって貼り付けられており、屋外部材31には非接触とされている。
また、屋内側加熱発泡材38Fは、見込み方向(Z軸方向)の寸法が、屋内側加熱発泡材38Eよりも大きくされ、扉5およびメインタイト材35に対向して配置されている。
【0082】
[第7実施形態の防火構造]
本実施形態では、屋内側加熱発泡材38Fや、カバー材56に設けられた加熱発泡材565、566が発泡温度に到達すると、屋内側加熱発泡材38Fは、扉5に向かって発泡して膨張する。扉5には、屋内側加熱発泡材38Fに対向する位置に加熱発泡材566が設けられているため、縦枠30、40および扉5間は、互いに対向する屋内側加熱発泡材38Fおよび加熱発泡材566が発泡して突き合わされることで塞がれる。また、加熱発泡材565は、屋外部材31に向かって発泡する。
屋内側加熱発泡材38Fは、メインタイト材35にも対向するため、メインタイト材35に向かって発泡して膨張し、メインタイト材35を被覆することができる。
さらに、屋内側加熱発泡材38Fは見込み方向にも膨張するため、屋内側加熱発泡材38Fと屋外部材31との間を塞ぎ、断熱部材33の表面を被覆する。
したがって、扉5および縦枠30間は、発泡した各加熱発泡材38F、565、566によって塞ぐことができる。
【0083】
[第7実施形態の効果]
第7実施形態によれば、前記第6実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、屋内側加熱発泡材38Fは、屋内側加熱発泡材38Eよりも屋内側まで延長されてメインタイト材35にも対向するため、火災時にメインタイト材35側に膨張してメインタイト材35を被覆することができる。したがって、屋外側で火災が発生した場合には、屋内側加熱発泡材38Fでメインタイト材35を保護できる。また、屋内側で火災が発生した場合は、メインタイト材35が焼失しても、屋内側加熱発泡材38Fが扉5の屋内面と、保持片部322、422間を塞ぐため、火炎を遮断できる。
【0084】
[変形例]
なお、本発明は以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は、本発明に含まれる。
例えば、縦枠30、40の断熱部材33、43と、扉5の屋内面材52との見込み方向の位置関係は、前記実施形態のものに限定されない。このため、各加熱発泡材と、扉5やメインタイト材35、45との位置関係も、前記各実施形態のものに限定されない。
例えば、第1加熱発泡材および第2加熱発泡材を設ける場合は、第1加熱発泡材を扉5に対向する位置に設け、第2加熱発泡材を、扉5およびメインタイト材35、45に対向する位置に設けてもよい。また、第1加熱発泡材を、扉5およびメインタイト材35、45に対向する位置に設け、第2加熱発泡材を、メインタイト材35、45に対向する位置に設けてもよい。同様に、屋外側加熱発泡材や屋内側加熱発泡材と、扉5やメインタイト材35、45との位置関係も前記実施形態のものに限定されない。
【0085】
前記各実施形態では、扉5の見込み面に、加熱発泡材565、566が積層されたカバー材56を取り付けていたが、カバー材56に加熱発泡材を設けずに、縦枠30、40に設けた加熱発泡材で、扉5および縦枠30、40間を塞ぐように構成してもよい。
【0086】
前記実施形態では、サブタイト材36、46はTPO製とし、メインタイト材35、45はEPDM製やPVC製としていたが、これらの材質に限定されない。例えば、サブタイト材36、46や、メインタイト材35、45を、耐燃性の材質で構成してもよい。耐燃性の材質とは、燃焼に耐え得る性質を有する材質、具体的には、不燃性、難燃性、自己消火性、遅燃性等の燃えにくい材質を意味する。このような耐燃性の合成樹脂材でサブタイト材36、46を形成すれば、加熱発泡材と協働して遮炎性能をより向上できる。
【0087】
本発明の建具は、採光部を備えないドア1であったが、採光部を有する扉5を用いてもよい。また、本発明の建具は、玄関ドアに限らず、勝手口ドアなど出入り口の各種ドアとして利用できる。この際、本発明は、親扉、子扉の2枚の扉が設けられた建具にも適用でき、さらには、引戸タイプの建具にも適用できる。また、ドア枠としては、アルミ製の屋外部材と、樹脂製の屋内部材とで構成したドア枠でもよいし、アルミ製のドア枠でもよい。さらに、ドア枠としては、少なくとも縦枠30、40を備えていればよく、下枠を備えないドア枠も用いることができる。
さらに、上枠10においても、第1加熱発泡材、第2加熱発泡材、屋外側加熱発泡材、屋内側加熱発泡材を設けてもよい。
また、第1加熱発泡材、第2加熱発泡材は、それぞれ発泡倍率の異なる加熱発泡材で構成しても良いし、それぞれ発泡開始温度が異なるもので構成しても良い。
【符号の説明】
【0088】
1…玄関ドア(建具)、2…ドア枠(建具枠)、5…扉(戸体)、10…上枠、20…下枠、30、40…縦枠、31、41…屋外部材、32、42…屋内部材、33、43…断熱部材、37、37C…第1加熱発泡材、38、38C…第2加熱発泡材、37A、37D…屋外側加熱発泡材、38B、38E、38F…屋内側加熱発泡材、56…カバー材、565,566…加熱発泡材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12