特許第6894553号(P6894553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894553
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】建設機械の上部旋回体
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/52 20060101AFI20210621BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20210621BHJP
   E02F 9/08 20060101ALI20210621BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B66C13/52 A
   E02F9/16 C
   E02F9/08 Z
   E02F9/00 N
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2020-98574(P2020-98574)
(22)【出願日】2020年6月5日
(62)【分割の表示】特願2016-25020(P2016-25020)の分割
【原出願日】2016年2月12日
(65)【公開番号】特開2020-147448(P2020-147448A)
(43)【公開日】2020年9月17日
【審査請求日】2020年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 京子
(72)【発明者】
【氏名】木下 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入江 真史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵理
(72)【発明者】
【氏名】木村 康正
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−230907(JP,A)
【文献】 実開昭55−114721(JP,U)
【文献】 特開2000−303496(JP,A)
【文献】 特開2010−285814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/52
E02F 9/00−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に対向する複数の側板を有するセンターセクションと、
前記センターセクションよりも横方向右側または左側に配置され、騒音源を収容するキャブ近接ガードと、
前記キャブ近接ガードよりも前側に配置されるキャブと、
ダクト構造と、
を備え、
前記ダクト構造は、
前記キャブ近接ガードに形成される開口であるキャブ近接ガード開口と、
前記キャブ近接ガード開口と略連通し、上下方向から見たときに前記センターセクションと重なるセンターダクトと、
を備え、
前記キャブ近接ガードは、前記キャブ近接ガードの後側端部に設けられる吸気口を備え、
前記吸気口から前記キャブ近接ガードの内部に吸気された空気は、前記キャブ近接ガード開口の内部を通って前記キャブ近接ガードから排出され、前記センターダクトの内部を通り、
前記キャブ近接ガード開口は、前記騒音源よりも前側に配置される、
建設機械の上部旋回体。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、前記キャブ近接ガード開口と前記センターダクトとを空間的に略連通させるキャブ近接ガード側接続ダクト様構造を備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、前記キャブ近接ガード開口と前記センターダクトとを連通させるキャブ近接ガード側接続ダクトを備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、前記キャブ近接ガードの内部に配置されるとともに前記キャブ近接ガード開口と連通するキャブ近接ガード側ダクトを備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記センターセクションに対して、前記キャブ近接ガードおよび前記キャブが配置される側とは反対側に配置される反キャブ近接ガードを備え、
前記ダクト構造は、前記反キャブ近接ガードに形成される開口であり前記センターダクトと連通する反キャブ近接ガード開口を備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項6】
請求項5に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、前記センターダクトと前記反キャブ近接ガード開口とを空間的に略連通させる反キャブ近接ガード側接続ダクト様構造を備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項7】
請求項5に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、前記センターダクトと前記反キャブ近接ガード開口とを連通させる反キャブ近接ガード側接続ダクトを備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造は、
前記反キャブ近接ガードの内部に配置され、前記反キャブ近接ガード開口と連通する反キャブ近接ガード側ダクトと、
前記反キャブ近接ガードに形成される開口であり、前記反キャブ近接ガード開口とは別に設けられ、前記反キャブ近接ガード側ダクトと前記反キャブ近接ガードの外部とを連通させる反キャブ近接ガード側外部開口と、
を備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の建設機械の上部旋回体であって、
前記ダクト構造の内部に配置される、油圧ホースまたは電線を備える、
建設機械の上部旋回体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の建設機械の上部旋回体であって、
横方向において、前記センターセクションから前記キャブ近接ガードおよび前記キャブに向かう側を右側とし、右側とは反対側を左側としたとき、
前記ダクト構造は、
右側の前記側板に形成される開口である右側側板開口と、
左側の前記側板に形成される開口である左側側板開口と、
を備え、
前記センターダクトは、前記右側側板開口と前記左側側板開口とに連通する、
建設機械の上部旋回体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の上部旋回体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1、2などに、従来の建設機械の上部旋回体が記載されている。特許文献1(同文献の図1、請求項1参照)に記載の上部旋回体では、キャブの後側のキャブ近接ガード(同文献におけるエンジン室)の内面に、吸音材が設けられる。また、特許文献2(同文献の図5、請求項1参照)に記載の上部旋回体では、ブームとキャブとが対向する部分に、吸音材が設けられる。これらの吸音材により、キャブ内の騒音抑制が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−217150号公報
【特許文献2】特開2011−251824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸音材の中で一般的によく用いられる、多孔質材料による吸音材は、通常、200Hz以下の低周波領域においては、吸音率が不十分である。また、低周波領域においては、キャブ内空間固有の共鳴現象が起こりやすい。そのため、特許文献1、2に記載の技術では、キャブ内の騒音を十分に抑制できないおそれがある。そのため、より一層のキャブ内騒音の低減が求められる。
【0005】
そこで本発明は、キャブ内の騒音を抑制できる、建設機械の上部旋回体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械の上部旋回体は、横方向に対向する複数の側板を有するセンターセクションと、キャブ近接ガードと、キャブと、ダクト構造と、を備える。前記キャブ近接ガードは、前記センターセクションよりも横方向右側または左側に配置され、騒音源を収容する。前記キャブは、前記エンジン側ガードよりも前側または後側に配置される。前記ダクト構造は、キャブ近接ガード開口と、センターダクトと、を備える。前記キャブ近接ガード開口は、前記キャブ近接ガードに形成される開口である。前記センターダクトは、前記キャブ近接ガード開口と略連通し、上下方向から見たときに前記センターセクションと重なる。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、キャブ内の騒音を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】形態1−1の上部旋回体1Aを上から見た断面図である。
図2】センターセクション領域Aなどを示す図1相当図である。
図3図2のF3−F3矢視断面図である。
図4】形態1−2の上部旋回体1Bを上から見た断面図である。
図5】形態1−3の上部旋回体1Cを上から見た断面図である。
図6】形態1−4の上部旋回体1Dを上から見た断面図である。
図7図6のF7−F7矢視断面図である。
図8図6に示す上部旋回体1Dの斜視図であり断面図である。
図9】形態1−5の上部旋回体1Eを前側X1から見た断面図である。
図10】形態1−6の上部旋回体1Fを前側X1から見た断面図である。
図11】形態2−1の上部旋回体201Aを上から見た断面図である。
図12図11に示す上部旋回体201Aの斜視図であり断面図である。
図13】形態2−2の上部旋回体201Bを上から見た断面図である。
図14】形態2−3の上部旋回体201Cを上から見た断面図である。
図15】形態3−1の上部旋回体301Aを上から見た断面図である。
図16図15に示す上部旋回体301Aの斜視図であり断面図である。
図17】形態4−1の上部旋回体401Aを上から見た断面図である。
図18】形態4−2の上部旋回体401Bを上から見た断面図である。
図19】形態4−3の上部旋回体401Cを上から見た断面図である。
図20図19に示す左側ダクト380を示す斜視図である。
図21】形態4−4の上部旋回体401Dを上から見た断面図である。
図22】形態5−1の上部旋回体501Aを上から見た断面図である。
図23】形態5−2の上部旋回体501Bを上から見た断面図である。
図24図1に示すダクト構造40を備えない上部旋回体を上から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
(形態1−1)
図1を参照して、形態1−1の上部旋回体1Aについて説明する。
【0010】
上部旋回体1Aは、建設機械の構成要素である。上部旋回体1Aが設けられる建設機械は、例えばクレーンであり、例えば移動式クレーンである。この建設機械は、例えばショベル(例えば油圧ショベル)でもよい。上部旋回体1Aは、下部走行体(図示なし)に対して旋回可能に、下部走行体の上に搭載される。この下部走行体は、例えばクローラ式であり、ホイール式でもよい。上部旋回体1Aは、センターセクション10と、キャブ近接ガード20と、キャブ25と、反キャブ近接ガード30と、ダクト構造40と、を備える。
【0011】
センターセクション10(旋回フレーム)は、下部走行体に取り付けられ、上部旋回体1Aの中央部に設けられる。センターセクション10には、センターセクション10を挟むように、キャブ近接ガード20および反キャブ近接ガード30が取り付けられる(固定される)。センターセクション10には、キャブ25が取り付けられる。ここで、センターセクション10の長手方向を前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、一方側(一方の向き)を前側X1とし、その逆側(他方の向き)を後側X2とする。前後方向Xにおいてキャブ近接ガード20からキャブ25に向かう側は、本実施形態では前側X1であるが、後側X2でもよい。前後方向Xに直交する水平方向(センターセクション10の幅方向)を、横方向Yとする。横方向Yにおいて、一方側を右側Y1とし、その逆側を左側Y2とする。横方向Yにおいてセンターセクション10からキャブ近接ガード20に向かう側は、本実施形態では右側Y1であるが、左側Y2でもよい。後側X2から前側X1に向かって見たとき、右側Y1は、本実施形態では右側であるが、左側でもよい。前後方向Xおよび横方向Yに直交する方向(鉛直方向)を上下方向Zとする。上下方向Zには、上側Z1と、下側Z2と、がある。
【0012】
このセンターセクション10には、ブームBが取り付けられる。ブームBは、ワイヤロープを介して吊荷を吊るための部材であり、上部旋回体1Aに対して起伏可能である。ブームBの基端部は、センターセクション10の前側X1端部に取り付けられる。ブームBは、例えばラチス構造を有するラチスブームである。センターセクション10には、ガントリおよびウインチ(それぞれ図示なし)が取り付けられる。センターセクション10は、底板11と、側板13と、連結部材15(図8参照)と、を備える。
【0013】
底板11は、センターセクション10の底部(下側Z2部分)を構成する板であり、前後方向Xおよび横方向Yに延びる。
【0014】
側板13は、底板11から上側Z1に突出する板であり、前後方向Xおよび上下方向Zに延びる。側板13は、複数設けられ、2枚設けられる。複数の側板13は、横方向Yに対向する。側板13には、右側側板13a(キャブ近接ガード側側板)と、左側側板13b(反キャブ近接ガード側側板)と、がある。右側側板13aは、複数の側板13のうち、最もキャブ近接ガード20側(例えば右側Y1)に配置される側板13である。左側側板13bは、複数の側板13のうち、最も反キャブ近接ガード30側(例えば左側Y2)に配置される側板13である。
【0015】
連結部材15(図8参照)は、複数の側板13どうしを連結する部材であり、横方向Yに延びる。連結部材15は、例えば板であり、例えば上下方向Zに延びる。
【0016】
キャブ近接ガード20(エンジンガード)内には、騒音源が1つ以上収容される。騒音源は、例えば、エンジン21、ファン22、油圧ポンプ(図示なし)、油圧モータ(図示なし)、および油圧バルブ(図示なし)などである。エンジン21は、建設機械の駆動源である。ファン22は、冷却風を発生させ、例えばラジエータ(図示なし)を冷却する。キャブ近接ガード20は、センターセクション10よりも横方向Y外側に配置され、センターセクション10と横方向Yに対向する位置に配置される。キャブ近接ガード20と右側側板13aとの間には、組み立てのための横方向Yの隙間があけられる。キャブ近接ガード20には、吸気口(図示なし)が形成される。吸気口は、例えば、キャブ近接ガード20の後側X2部分(例えば後側X2端部)などに設けられる。
【0017】
キャブ25(運転室)は、キャブ近接ガード20よりも前側X1に配置され、キャブ近接ガード20よりも後側X2に配置されてもよい。キャブ25は、キャブ近接ガード20と前後方向Xに対向する。キャブ25とキャブ近接ガード20との間に、オイルタンクなどの部材が挟まれてもよい。キャブ25は、センターセクション10よりも右側Y1に配置され、センターセクション10よりも左側Y2に配置されてもよい。
【0018】
反キャブ近接ガード30には、機器(図示なし)が収容される。反キャブ近接ガード30は、センターセクション10と横方向Yに対向し、センターセクション10よりも左側Y2に配置される。さらに詳しくは、反キャブ近接ガード30は、センターセクション10に対して、キャブ近接ガード20およびキャブ25が配置される側(右側Y1)とは反対側(いわば反キャブ側)に配置される。反キャブ近接ガード30に収容される機器は、例えば油圧機器である。この油圧機器は、例えば油圧モータであり、例えばセンターセクション10に取り付けられたウインチ(図示なし)を駆動するための油圧モータなどである。この油圧機器は、エンジン、ファン、油圧ポンプなどでもよい。
【0019】
ダクト構造40は、キャブ近接ガード20の内部からキャブ25に伝わる騒音を低減するための構造である。ダクト構造40は、キャブ近接ガード20の内部の音(音波)を、キャブ25から離れた位置で放射させる。ダクト構造40の内部は、空気が流れることが可能であり、音が伝わることが可能である。なお、図1では、ダクト構造40の部分については、切断部の端面を示す(他の図も同様(図8図12図16、および図20を除く))。
【0020】
このダクト構造40は、排気ダクトなどである。ダクト構造40の内部には、ファン22が発生させた冷却風が流れる。ダクト構造40は、キャブ近接ガード20の内部の空気(排気)を、キャブ近接ガード20から離れた位置で放出させる。
【0021】
このダクト構造40の内部を伝わる音の伝搬方向における上流側と、ダクト構造40の内部を伝わる冷却風の上流側と、は同じ側である(下流側も同様)。以下では、ダクト構造40の内部を伝わる音の伝搬方向における上流および下流を、単に「上流」および「下流」とする。ダクト構造40の最も上流側の位置を「ダクト構造40の入口」、ダクト構造40の最も下流側の位置を「ダクト構造40の出口」とする。ダクト構造40の内部の流れの向きを、「流れ方向」とする。
【0022】
このダクト構造40は、キャブ近接ガード20の内部と、右側側板13aよりも左側Y2の空間と、を略連通する。具体的には、ダクト構造40は、キャブ近接ガード20の内部と、センターセクション領域A(図4参照)内(下記)と、を略連通する。ここで、「略連通」には、閉空間により空間どうしが通じることだけでなく、後述の「ダクト様構造」のように略閉空間により空間どうしが通じることも含まれる(以下の「略連通」も同様)。ダクト構造40の内部の流路の途中に、漏れ部(小開口など、音が漏れる部分)があってもよい。ダクト構造40には、側壁がなく、ゴム板やゴムシートなどで構成された部分などがあってもよい。ダクト構造40の一部または全部は、ホース状やパイプ状でもよい。ダクト構造40は、開口およびダクト(筒状部材)により構成される。ダクト構造40は、上流側から下流側の順に、キャブ近接ガード開口51と、右側接続ダクト55(キャブ近接ガード側接続ダクト)と、右側側板開口59(キャブ近接ガード側側板開口)と、センターダクト60と、を備える。
【0023】
キャブ近接ガード開口51は、キャブ近接ガード20に形成される開口であり、キャブ近接ガード20を横方向Yに貫通する貫通孔である。キャブ近接ガード開口51は、キャブ近接ガード20の反キャブ近接ガード30側(例えば左側Y2)の面(側面)に配置され、右側側板13aと横方向Yに対向する位置に配置される。キャブ近接ガード開口51は、ダクト構造40の入口である。図1に示す例では、キャブ近接ガード開口51は、ファン22よりも前側X1に配置され、エンジン21よりも前側X1に配置される。なお、図1では、キャブ近接ガード開口51と、キャブ近接ガード20の内部の空間と、の境界を二点鎖線で示した(他の境界も同様)。
【0024】
右側接続ダクト55(キャブ近接ガード側接続ダクト)は、キャブ近接ガード開口51と連通するダクトである。右側接続ダクト55は、キャブ近接ガード20と右側側板13aとの間に配置される。右側接続ダクト55での流れ方向は、左側Y2である。
【0025】
右側側板開口59(キャブ近接ガード側側板開口)は、右側側板13aに形成される開口であり、右側側板13aを横方向Yに貫通する貫通孔である。右側側板開口59は、キャブ近接ガード開口51と横方向Yに対向する位置に配置される。右側側板開口59は、右側接続ダクト55と連通する。右側側板開口59は、右側接続ダクト55を介してキャブ近接ガード開口51と連通する。右側側板開口59は、次のように配置されることが好ましい。センターセクション10に右側側板開口59が形成されない場合に比べ、右側側板開口59が形成されたセンターセクション10の剛性ができるだけ低下しないように、右側側板開口59の位置が設定される。具体的には例えば、右側側板開口59の位置は、センターセクション10のうち、ひずみエネルギー分布においてひずみエネルギーが小さく、力の主流でないと判断される位置に設定される。この判断は、例えば、構造解析によって、ひずみエネルギー分布と主応力ベクトル線図を求め、そこから想定した力線に基づいて行われる。
【0026】
センターダクト60(の少なくとも一部)は、上下方向Zから見たときにセンターセクション10と重なるように配置されるダクトである。さらに詳しくは、図2に示すように、センターダクト60は、複数の側板13により決まる領域であるセンターセクション領域A内に配置される。センターセクション領域Aは、右側側板13aの右側Y1端部よりも左側Y2、かつ、左側側板13bの左側Y2端部よりも右側Y1の領域である。さらに、センターセクション領域Aは、側板13の前側X1端部よりも後側X2、かつ、側板13の後側X2端部よりも前側X1の領域である。図3に示すように、センターセクション領域Aには、内部領域A1と、上方領域A2と、下方領域A3と、がある。内部領域A1は、右側側板13aの右側Y1端部と左側側板13bの左側Y2端部とに挟まれた領域である。なお、図3における右側は、横方向Yにおける反キャブ近接ガード30側としての左側Y2である(図7図9、および図10も同様)。上方領域A2は、センターセクション10の上方(上側Z1端部よりも上側Z1)の領域であり、例えばセンターセクション10に取り付けられたウインチ(図示なし)よりも上側Z1の領域を含む。下方領域A3は、センターセクション10の下方の領域であり、底板11よりも下側Z2の領域を含む。センターダクト60は、内部領域A1、上方領域A2、および下方領域A3の少なくともいずれかに配置される。センターダクト60は、図3に示す例では内部領域A1の下側Z2部分に配置され、内部領域A1の上側Z1部分に配置されてもよい。図1に示すように、センターダクト60は、右側側板開口59と連通する。センターダクト60は、右側側板開口59および右側接続ダクト55を介して、キャブ近接ガード開口51と連通する。センターダクト60の下流側の端は、ダクト構造40の出口である。センターダクト60は、直線部61aを備える。直線部61aは、流れ方向が直線状(略直線状を含む)となる部分である(下記の他の直線部も同様)。直線部61aは、右側側板開口59から左側Y2に延び、左側側板13bよりも右側Y1の位置まで延びる。センターダクト60は、直線部61a以外の部分を備えてもよい(下記)。
【0027】
このセンターダクト60は、例えば複数の板が接合されることで筒状にされたものなどであり、ホースでもよい。センターダクト60の一部を、センターセクション10を構成する部材と兼用(共通化)してもよい。部材の兼用により、センターダクト60を簡易な構成とすることが可能である。具体的には、センターダクト60の底面(下側Z2の面)は、底板11と兼用される(底板11により構成される)。センターダクト60を構成する部材のうち、センターセクション10と兼用されない部分(板)の板厚を厚くすることで、センターセクション10の剛性を高めることができる。
【0028】
(音の経路)
キャブ近接ガード20の内部の音は、上流側から下流側の順に、次のように伝わる。キャブ近接ガード20の内部の音は、キャブ近接ガード開口51の内部(ダクト構造40の入口)、右側接続ダクト55の内部、および、右側側板開口59の内部を介して、センターダクト60の内部に伝わる。この音は、センターダクト60の最も下流側の位置(ダクト構造40の出口)から、センターセクション領域Aの内部領域A1(いわば、キャブ25から離れた位置)に放射される。なお、センターダクト60の内部の音は、上方領域A2や下方領域A3に放射されてもよい。また、ファン22が発生させた冷却風の排気の経路は、上記の音の経路と同様である。
【0029】
(音の減衰)
ダクト構造40の内部を通る音は、距離減衰により減音される。ダクト構造40の出口(センターダクト60の出口)からセンターセクション領域Aに放射された音は、回折減衰により減音される。その結果、ダクト構造40がない場合に比べ、キャブ25に伝わる音が低減され、キャブ25内の騒音が低減される(例えば、キャブ25内を静かで快適にすることができる)。
【0030】
(吸音材)
ダクト構造40の内面の一部または全部に、吸音材が設けられてもよい。この場合、ダクト構造40の内部を通る音が、吸音材により吸音される。その結果、キャブ25に伝わる音が、より低減される。なお、センターダクト60の内部に雨などが入り得る場合は、センターダクト60の内部には、吸音材が設けられない(設けられてもよい)。
【0031】
(第1の発明の効果)
図1に示す上部旋回体1Aによる効果は次の通りである。上部旋回体1Aは、センターセクション10と、キャブ近接ガード20と、キャブ25と、ダクト構造40と、を備える。センターセクション10は、横方向Yに対向する複数の側板13を有する。キャブ近接ガード20は、センターセクション10よりも右側Y1または左側Y2に配置され、エンジン21を収容する。キャブ25は、キャブ近接ガード20よりも前側X1または後側X2に配置される。ダクト構造40は、キャブ近接ガード開口51と、センターダクト60と、を備える。
[構成1−1]キャブ近接ガード開口51は、キャブ近接ガード20に形成される開口である。
[構成1−2]センターダクト60は、キャブ近接ガード開口51と略連通する。
[構成1−3]センターダクト60は、上下方向Zから見たときにセンターセクション10と重なる。
【0032】
上記[構成1−1]および[構成1−2]により、キャブ近接ガード20の内部の音は、センターダクト60の内部に伝わる。上記[構成1−3]により、センターダクト60の内部の音は、センターセクション領域A内に伝わる。よって、上記[構成1−1]〜[構成1−3]を有するダクト構造40を備えない場合に比べ、キャブ近接ガード20の内部の音が、キャブ25に伝わりにくい。よって、キャブ25内の騒音を抑制できる。
【0033】
(効果の具体例)
図24に従来の上部旋回体601を示す。この上部旋回体601のように、開口部651が、キャブ近接ガード20に形成される場合があった。この開口部651は、例えば、ファン22の排気を放出させるための排気口、または吸気口などである。この開口部651からは、キャブ近接ガード20の内部の騒音源(エンジン21やファン22)が発した音が放射される。開口部651から放射された音は、例えば、キャブ25に直接伝搬する。また例えば、キャブ近接ガード20の左側Y2の面に開口部651が設けられた場合などには、音の多重反射が次のように生じる場合もある。開口部651から放射された音は、横方向Yに対向する右側側板13aとキャブ近接ガード20との間で多重反射する。また、開口部651から放射された音は、右側側板13aとキャブ25との間で多重反射する。その結果、キャブ25内に音が伝わり、例えばキャブ25内の快適性を低下させる。一方、図1に示すように、本実施形態の上部旋回体1Aでは、キャブ近接ガード20の内部の音は、ダクト構造40を介してセンターセクション領域A内に伝わるので、キャブ25に伝わりにくい。よって、キャブ25内の騒音を抑制できる。
【0034】
(第3の発明の効果)
[構成3]ダクト構造40は、キャブ近接ガード開口51とセンターダクト60とを連通させる右側接続ダクト55を備える。
【0035】
上記[構成2]により、キャブ近接ガード開口51とセンターダクト60との間で、ダクト構造40の内部から外部へ、音が漏れにくい。よって、キャブ25内の騒音をより抑制できる。
【0036】
(第10の発明の効果)
[構成10]キャブ近接ガード開口51は、エンジン21よりもキャブ25側(前側X1)に配置される。
【0037】
図24に示すように、ダクト構造40が設けられない場合、開口部651の位置がキャブ25に近いほど(前側X1ほど)、キャブ近接ガード開口51からキャブ25に音が伝わりやすい。一方、図1に示すように、本実施形態の上部旋回体1Aは、上記[構成1−1]〜[構成1−3]のダクト構造40を備える。よって、キャブ近接ガード開口51がキャブ25に近い位置にある場合、具体的には、上記[構成10]のようにキャブ近接ガード開口51がエンジン21よりも前側X1にある場合でも、キャブ25内の騒音を確実に抑制できる。
【0038】
(形態1−2)
図4を参照して、形態1−2の上部旋回体1Bについて、形態1−1(図1参照)との相違点を説明する。なお、形態1−2のうち、形態1−1との共通点については、形態1−1と同一の符号を付し、説明を省略した(共通点の説明を省略する点については他の形態の説明も同様)。相違点は、次の通りである。ダクト構造40は、右側外部開口43(キャブ近接ガード側外部開口)と、右側ダクト45(キャブ近接ガード側ダクト)と、を備える。センターダクト60の構成は、形態1−1とは異なる。ダクト構造40は、右側接続ダクト様構造155−2(キャブ近接ガード側接続ダクト様構造)を備える。
【0039】
右側外部開口43は、キャブ近接ガード20に形成される開口であり、キャブ近接ガード開口51とは別に設けられ、キャブ近接ガード開口51とは異なる位置に配置される。右側外部開口43は、キャブ近接ガード20の内部と外部とを連通させる。右側外部開口43は、右側ダクト45と、キャブ近接ガード20の外部とを連通させる。右側外部開口43は、キャブ近接ガード20のうち、キャブ25から遠い位置に設けられることが好ましく、例えば後側X2部分に配置され、後側X2の面に配置される。右側外部開口43は、キャブ近接ガード20の右側Y1の面または左側Y2の面に配置されてもよい。
【0040】
右側ダクト45は、キャブ近接ガード20の内部に配置されるダクトである。図1に示す形態1−1では、ダクト構造40の入口は、キャブ近接ガード開口51であったが、図4に示す形態1−2では、ダクト構造40の入口は、右側ダクト45の最も上流側の位置である。右側ダクト45は、キャブ近接ガード開口51と連通する。右側ダクト45での流れ方向は、左側Y2であり、直線状である。なお、右側ダクト45での流れ方向は、曲がってもよい(下記の屈曲部162aなどと同様)。
【0041】
センターダクト60は、図1に示す形態1−1の直線部61aに代えて、図4に示すように、屈曲部162aと、直線部162bと、を備える。屈曲部162aは、流れ方向が曲がる(変わる)部分である(下記の他の屈曲部も同様)。屈曲部162aのように、流れ方向が曲がる部分では、減音効果が得られる。流れ方向が曲がる部分が多いほど、曲がりによる減音効果を大きく得ることができる。屈曲部162aは、右側側板開口59の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から後側X2に曲げる。直線部162bは、屈曲部162aから後側X2に延びる。直線部162bの最も下流側の位置は、ダクト構造40の出口である。直線部162bの右側Y1の面は、右側側板13aと兼用される。
【0042】
右側接続ダクト様構造155−2(キャブ近接ガード側接続ダクト様構造)は、形態1−1における右側接続ダクト55(図1参照)の位置周辺に設けられる。右側接続ダクト様構造155−2は、空間的に略連通するように配置されたキャブ近接ガード開口51(上流部)と右側側板開口59(下流部)とにより構成される、ダクト様構造である。右側接続ダクト様構造155−2は、キャブ近接ガード開口51と、センターダクト60と、を略連通させる。ダクト様構造とは、ダクト様構造の上流部(キャブ近接ガード開口51)から下流部(右側側板開口59)に、音響エネルギーの少なくとも一部が伝わる程度に、上流部と下流部とが空間的に連続している構造である。上記「音響エネルギーの少なくとも一部」の「少なくとも一部」は、例えば25%以上である。ダクト様構造では、例えば、音の伝搬方向(図1では横方向Y)において、上流部(キャブ近接ガード開口51)の少なくとも一部と、下流部(右側側板開口59)の少なくとも一部と、が対向する。
【0043】
(第2の発明の効果)
[構成2]ダクト構造40は、キャブ近接ガード開口51とセンターダクト60とを空間的に略連通させる右側接続ダクト様構造155−2を備える。
【0044】
上記[構成2]により、右側接続ダクト55(図1参照)が設けられない場合でも、右側接続ダクト様構造155−2の上流部(キャブ近接ガード開口51)から下流部(右側側板開口59を介してセンターダクト60)へ音を伝えることができる。よって、キャブ25の騒音を抑制できる。
【0045】
(第4の発明の効果)
ダクト構造40は、右側ダクト45を備える。
[構成4]右側ダクト45は、キャブ近接ガード20の内部に配置され、キャブ近接ガード開口51と連通する。
【0046】
上記[構成4]により、キャブ近接ガード20の内部の音は、右側ダクト45で減音され、さらにセンターダクト60で減音される。よって、右側ダクト45が設けられない場合に比べ、キャブ25内の騒音をより抑制できる。
【0047】
(形態1−3)
図5を参照して、形態1−3の上部旋回体1Cについて、形態1−2(図4参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成である。センターダクト60は、形態1−2と同様の、屈曲部162aと、直線部162bと、を備える。さらに、センターダクト60は、屈曲部163aと、直線部163bと、を備える。屈曲部163aは、直線部162bの後側X2端部の近傍に配置され、流れ方向を後側X2から左側Y2に曲げる。屈曲部163aの右側Y1の面は、右側側板13aと兼用される。直線部163bは、屈曲部163aから左側Y2に延びる。直線部163bの最も下流側の位置は、ダクト構造40の出口であり、左側側板13bよりも右側Y1に配置される。
【0048】
(形態1−4)
図6図8を参照して、形態1−4の上部旋回体1Dについて、形態1−1(図1参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成と、図8に示す油圧ホース193と、である。
【0049】
センターダクト60は、図6に示すように、形態1−1(図1参照)と同様の直線部61aを備える。さらに、センターダクト60は、屈曲部164aと、拡張縮小部164bと、直線部164cと、を備える。屈曲部164aは、直線部61aの左側Y2端部の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から後側X2に曲げる。
【0050】
拡張縮小部164bは、流れ方向から見たダクト構造40の断面積が変わる部分であり、この断面積が拡張および縮小する部分である。拡張縮小部164bでは、断面積変化による音波の反射により、減音効果が得られる。拡張縮小部164bは、屈曲部164aよりも後側X2に配置される。拡張縮小部164bの横方向Y外側の面は、側板13と兼用される。拡張縮小部164bの前側X1かつ右側Y1の面は、直線部61aと兼用される。図8に示すように、拡張縮小部164bは、連結部材15と兼用される。拡張縮小部164bと兼用される連結部材15は、例えば、ガントリ(図示なし)の支持部を補強するための連結部材15(図7および図8参照)、および、その近傍(後側X2)の連結部材15などである。拡張縮小部164bの上流側の端部(入口)および下流側の端部(出口)は、連結部材15に形成された貫通孔により構成される。
【0051】
直線部164cは、図6に示すように、拡張縮小部164bの下流側の端部から、後側X2に延びる。直線部164cの下流側の端部は、ダクト構造40の出口である。なお、図8では直線部164cを省略した。また、直線部164cは設けられなくてもよい。
【0052】
油圧ホース193は、図8に示すように、ダクト構造40の内部に配置される。油圧ホース193は、ダクト構造40の入口から出口の経路の全体にわたって配置される。油圧ホース193は、ダクト構造40の入口から出口の経路の一部にのみ配置されてもよい。油圧ホース193が接続される油圧機器は、キャブ近接ガード20(および反キャブ近接ガード30)の内部に収容される(例えば多数収容される)。ここで、油圧ホース193を、キャブ近接ガード20の内部から外部に出すためには、キャブ近接ガード20に開口が必要になる。そこで、油圧ホース193を通すための開口として、キャブ近接ガード開口51(図7参照)が利用される。これにより、キャブ近接ガード20に新たな開口(キャブ近接ガード開口51以外の開口)を設ける必要がなくなる。油圧ホース193を通すための開口として利用できる開口には、キャブ近接ガード開口51だけでなく、右側側板開口59、下記の左側側板開口271(反キャブ近接ガード側側板開口)(図11参照)、および下記の反キャブ近接ガード開口279(図11参照)などもある。
【0053】
この油圧ホース193に代えて、または、油圧ホース193に加えて、ダクト構造40の内部に電線が配置されてもよい。この電線は、例えば束状(ワイヤハーネス)であり、例えば電気制御用であり、例えば電源用などでもよい。この電線が接続される電気機器は、上記の油圧機器と同様に、キャブ近接ガード20(および反キャブ近接ガード30)の内部に収容される(例えば多数収容される)。
【0054】
(第9の発明の効果)
図8に示す上部旋回体1Dによる効果は次の通りである。
[構成9]上部旋回体1Dは、ダクト構造40の内部に配置される、油圧ホース193または電線を備える(以下、「油圧ホース193または電線」を、「油圧ホース193」とする)。
【0055】
上記[構成9]により、ダクト構造40が設けられる部分では、ダクト構造40とは別に、油圧ホース193を通すための開口(新たな開口)を設ける必要がない。よって、新たな開口を設けることによる、部材(例えばキャブ近接ガード20など)の剛性低下をなくすことができる。さらに、新たな開口からの音の放射をなくすことができる。
さらに、上記[構成9]により、例えば風雨などが油圧ホース193に当たることを抑制できるので、油圧ホース193の劣化を抑制できる。
【0056】
(形態1−5)
図9を参照して、形態1−5の上部旋回体1Eについて、形態1−1(図1参照)との相違点を説明する。相違点は、右側接続ダクト155−5(キャブ近接ガード側接続ダクト)の位置と、右側側板開口59(図1参照)が設けられない点と、センターダクト60の構成と、である。
【0057】
右側接続ダクト155−5(の少なくとも一部)は、右側側板13aよりも上側Z1に配置される。例えば、右側接続ダクト155−5の下側Z2端部の上下方向Zの位置は、右側側板13aの上側Z1端部の上下方向Zの位置と等しい(またはほぼ等しい)。キャブ近接ガード開口51は、右側接続ダクト155−5と横方向Yに対向するように配置される。右側接続ダクト155−5は、直線部155aと、屈曲部155bと、を備える。直線部155aは、キャブ近接ガード開口51から、左側Y2に延びる。屈曲部155bは、直線部155aの左側Y2端部の近傍に配置され、右側側板13aよりも左側Y2かつ上側Z1に配置され、流れ方向を左側Y2から下側Z2に曲げる。
【0058】
センターダクト60は、形態1−1(図1参照)と異なり、直線部165aと、屈曲部165bと、直線部165cと、を備える。直線部165aは、屈曲部155bから下側Z2に延びる。直線部165aの右側Y1の面は、右側側板13aと兼用される。屈曲部165bは、直線部165aの下側Z2端部の近傍に配置され、流れ方向を下側Z2から左側Y2に曲げる。屈曲部165bの下側Z2の面は、底板11と兼用される。直線部165cは、屈曲部165bから左側Y2に延びる。直線部165cの下側Z2の面は、底板11と兼用される。直線部165cの下流側の端部の位置は、ダクト構造40の出口である。
【0059】
(形態1−1などとの比較)
形態1−5では、右側側板13aに右側側板開口59(図1参照)が設けられない。よって、右側側板開口59が設けられる場合に比べ、右側側板13aの剛性を高くできる。一方、右側側板開口59を設けることなく、ダクト構造40内の流れをセンターセクション領域Aの内部領域A1に導くには、屈曲部155bなどの流れ方向を曲げる部分が必要になる。そのため、屈曲部155bを設ける必要がない場合に比べ、ダクト構造40の内部を流れる空気(排気)の圧損は大きくなる。
【0060】
(形態1−6)
図10を参照して、形態1−6の上部旋回体1Fについて、形態1−5(図9参照)との相違点を説明する。相違点は、キャブ近接ガード開口151の位置と、右側接続ダクト155−6(キャブ近接ガード側接続ダクト)の位置と、底板開口158がある点と、センターダクト60の構成と、である。
【0061】
キャブ近接ガード開口151は、次のように配置される。図9に示す形態1−5などでは、キャブ近接ガード開口51は、キャブ近接ガード20の左側Y2の面に形成された。一方、図10に示す形態1−6では、キャブ近接ガード開口151は、例えばキャブ近接ガード20の底面(下側Z2の面)などに形成される。
【0062】
右側接続ダクト155−6(キャブ近接ガード側接続ダクト)は、右側側板13aよりも下側Z2に配置される。右側接続ダクト155−6は、屈曲部155sと、直線部155tと、屈曲部155uと、を備える。屈曲部155sは、キャブ近接ガード開口151の近傍に配置され、キャブ近接ガード開口151よりも下側Z2に配置され、流れ方向を下側Z2から左側Y2に曲げる。直線部155tは、屈曲部155sから左側Y2に延びる。直線部155tの上側Z1の面は、底板11と兼用される。屈曲部155uは、直線部155tの左側Y2端部の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から上側Z1に曲げる。
【0063】
底板開口158は、底板11に形成される開口であり、上下方向Zに貫通する貫通孔である。底板開口158は、右側接続ダクト155−6と、センターダクト60と、を連通させる。センターダクト60は、例えば、屈曲部166aを備える。屈曲部166aは、底板開口158の近傍に配置され、流れ方向を上側Z1から左側Y2などに曲げる。
【0064】
(第2実施形態)
(形態2−1)
図11および図12を参照して、形態2−1の上部旋回体201Aについて、形態1−1(図1参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成と、ダクト構造40の出口の位置と、である。図11に示すように、上部旋回体201Aは、形態1−1にはない、左側側板開口271と、左側接続ダクト275(反キャブ近接ガード側接続ダクト)と、反キャブ近接ガード開口279と、を備える。
【0065】
センターダクト60は、形態1−1の直線部61a(図1参照)に代えて、直線部261aを備える。形態1−1の直線部61aに対する、直線部261aの相違点は次の通りである。図1に示すように、形態1−1の直線部61aの下流側の端部は、左側側板13bよりも右側Y1(センターセクション領域A)に配置された。一方、図11に示すように、形態2−1の直線部261aの下流側の端部は、左側側板13bに(左側側板開口271に)接続される。
【0066】
左側側板開口271(反キャブ近接ガード側側板開口)は、左側側板13bに形成される開口であり、左側側板13bを横方向Yに貫通する貫通孔である。左側側板開口271は、センターダクト60と連通する。左側側板開口271は、センターセクション10の剛性ができるだけ低下しない位置に形成されることが好ましい(右側側板開口59と同様)。
【0067】
左側接続ダクト275(反キャブ近接ガード側接続ダクト)は、反キャブ近接ガード開口279と、センターダクト60とを連通させるダクトである。左側接続ダクト275は、左側側板開口271と連通する。左側接続ダクト275は、左側側板13bと反キャブ近接ガード30との間に配置される。左側接続ダクト275での流れ方向は左側Y2である。
【0068】
反キャブ近接ガード開口279は、反キャブ近接ガード30に形成される開口であり、反キャブ近接ガード30を横方向Yに貫通する貫通孔である。反キャブ近接ガード開口279は、反キャブ近接ガード30の右側Y1の面(側面)に配置され、左側側板13bと横方向Yに対向する位置に配置される。反キャブ近接ガード開口279は、左側接続ダクト275と連通する。反キャブ近接ガード開口279は、左側接続ダクト275および左側側板開口271を介して、センターダクト60と連通する。反キャブ近接ガード開口279は、ダクト構造40の出口である。なお、図12では、左側接続ダクト275および反キャブ近接ガード開口279を省略した。
【0069】
(音の経路)
図11に示すキャブ近接ガード20の内部の音(排気も同様)は、上流側から下流側の順に、次のように伝わる。形態1−1(図1参照)と同様に、キャブ近接ガード20の内部の音は、センターダクト60の内部に伝わる。この音は、左側側板開口271の内部、左側接続ダクト275の内部、および、反キャブ近接ガード開口279の内部を介して、反キャブ近接ガード30の内部に伝わる。
【0070】
(音の減衰)
形態1−1(図1参照)と同様に、ダクト構造40の内部を通る音は、距離減衰により減音される。ここで、形態1−1に比べ、形態2−1では、ダクト構造40の入口から出口までの横方向Y距離を長くできるので、距離減衰による減音効果を大きくできる。ダクト構造40の内部から反キャブ近接ガード30の内部に放射された音は、回折減衰により減音される。反キャブ近接ガード30の内部から、反キャブ近接ガード30の隙間などを通じて、反キャブ近接ガード30の外部に放射される音は、回折減衰により減音される。反キャブ近接ガード30の内部から、反キャブ近接ガード30を構成する面(ガード面)を透過する音は、透過損失により減音される。その結果、形態1−1に比べ、キャブ25に伝わる音がより低減され、キャブ25内の騒音がより低減される。
【0071】
(吸音材)
反キャブ近接ガード30の内部(例えば内面)に吸音材が設けられてもよい。この場合、反キャブ近接ガード30の内部の音が、吸音材により吸音される。その結果、キャブ25に伝わる音がより低減される。
【0072】
(第5の発明の効果)
図11に示す上部旋回体201Aによる効果は次の通りである。
上部旋回体201Aは、反キャブ近接ガード30を備える。反キャブ近接ガード30は、センターセクション10に対して、キャブ近接ガード20およびキャブ25が配置される側(右側Y1)とは反対側(左側Y2)に配置される。
[構成5]ダクト構造40は、反キャブ近接ガード開口279を備える。反キャブ近接ガード開口279は、反キャブ近接ガード30に形成される開口であり、センターダクト60と連通する。
【0073】
上記[構成5]により、キャブ近接ガード20の内部の音は、ダクト構造40を介して、反キャブ近接ガード30の内部に伝わる。よって、ダクト構造40は、キャブ25からの横方向Yの距離がより遠い位置(例えばセンターセクション10よりも遠い位置)に、音を伝えることができる。よって、キャブ25内の騒音をより抑制できる。
【0074】
(第7の発明の効果)
[構成7]ダクト構造40は、センターダクト60と反キャブ近接ガード開口279とを連通させる左側接続ダクト275を備える。
【0075】
上記[構成7]により、反キャブ近接ガード開口279とセンターダクト60との間で、ダクト構造40の内部から外部へ、音が漏れにくい。よって、キャブ25内の騒音をより抑制できる。
【0076】
(形態2−2)
図13を参照して、形態2−2の上部旋回体201Bについて、形態2−1(図11参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成である。センターダクト60は、形態1−3(図5参照)と同様の、屈曲部162aと、直線部162bと、屈曲部163aと、を備える。さらに、センターダクト60は、直線部262aを備える。直線部262aは、屈曲部163aから左側Y2に延びる。直線部262aの下流側の端部は、左側側板13bに(左側側板開口271に)接続される。
【0077】
(形態2−3)
図14を参照して、形態2−3の上部旋回体201Cについて、形態2−1(図11参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成である。センターダクト60は、形態1−4(図6参照)と同様の直線部61aと、屈曲部164aと、拡張縮小部164bと、を備える。さらに、センターダクト60は、屈曲部263aと、直線部263bと、を備える。屈曲部263aは、拡張縮小部164bの後側X2端部の近傍に配置され、流れ方向を後側X2から左側Y2に曲げる。直線部263bは、屈曲部263aから左側Y2に延びる。直線部263bの下流側の端部は、左側側板13bに(左側側板開口271に)接続される。直線部263bの、前側X1部分かつ左側Y2部分の面は、拡張縮小部164bと兼用される。
【0078】
(第3実施形態)
(形態3−1)
図15および図16を参照して、形態3−1の上部旋回体301Aについて、形態2−1(図11参照)との相違点を説明する。ダクト構造40の出口の位置は、図11に示す形態2−1では反キャブ近接ガード開口279の位置であったが、図15に示す形態3−1では反キャブ近接ガード30の内部である。ダクト構造40は、左側接続ダクト様構造375(反キャブ近接ガード側接続ダクト様構造)を備える。上部旋回体301Aは、左側ダクト380(反キャブ近接ガード側ダクト)を備える。
【0079】
左側接続ダクト様構造375は、形態2−1における左側接続ダクト275(図11参照)の位置周辺に設けられる。左側接続ダクト様構造375は、図15に示すように、空間的に略連通するように配置された左側側板開口271(上流部)と反キャブ近接ガード開口279(下流部)とにより構成される、ダクト様構造である。左側接続ダクト様構造375は、センターダクト60と反キャブ近接ガード開口279とを、空間的に略連通させる。
【0080】
左側ダクト380は、反キャブ近接ガード30の内部に配置されるダクトである。左側ダクト380は、反キャブ近接ガード開口279と連通する。左側ダクト380は、屈曲部381aと、直線部381bと、屈曲部381cと、を備える。屈曲部381aは、反キャブ近接ガード開口279の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から後側X2に曲げる。直線部381bは、屈曲部381aから後側X2に延びる。左側ダクト380の一部は、反キャブ近接ガード30を構成する部材と兼用される。具体的には、直線部381bの右側Y1の面は、反キャブ近接ガード30の右側Y1の面(側面)と兼用される(屈曲部381cの右側Y1の面も同様)。屈曲部381cは、直線部381bの後側X2端部の近傍に配置され、流れ方向を後側X2から左側Y2に曲げる。屈曲部381cの下流側の端部は、ダクト構造40の出口である。なお、図16では、図15に示す左側接続ダクト275および反キャブ近接ガード開口279を省略した。
【0081】
(音の経路)
図11に示す形態2−1では、反キャブ近接ガード開口279からキャブ近接ガード20の内部に音が放射されたが、図15に示す形態3−1では、左側ダクト380の下流側の端部からキャブ近接ガード20の内部に音が放射される。
【0082】
(第6の発明の効果)
[構成6]図15に示すように、ダクト構造40は、センターダクト60と反キャブ近接ガード開口279とを空間的に略連通させる左側接続ダクト様構造375を備える。
【0083】
上記[構成6]により、左側接続ダクト275(図11参照)が設けられない場合でも、左側接続ダクト様構造375の上流部(左側側板開口271を介してセンターダクト60)から下流部(反キャブ近接ガード開口279)へ音を伝えることができる。よって、キャブ25の騒音を抑制できる。
【0084】
(第4実施形態)
(形態4−1)
図17を参照して、形態4−1の上部旋回体401Aについて、形態3−1(図15参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成と、左側ダクト380の構成と、ダクト構造40の出口の位置と、である。ダクト構造40の出口の位置は、図15に示す形態3−1では反キャブ近接ガード30の内部であったが、図17に示す形態4−1では反キャブ近接ガード30の外部と連通する位置である。具体的には、上部旋回体401Aは、左側外部開口490(反キャブ近接ガード側外部開口)を備える。
【0085】
センターダクト60は、形態3−1の直線部261a(図15参照)に代えて、直線部461aと、屈曲部461bと、直線部461cと、屈曲部461dと、を備える。直線部461aは、形態1−1の直線部61a(図1参照)とほぼ同様に構成される。直線部61a(図1参照)に対する直線部461aの相違点は、直線部461aの下流側の端部がダクト構造40の出口ではない点である。屈曲部461bは、直線部461aの左側Y2の端部の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から後側X2に曲げる。屈曲部461bの左側Y2の面は、左側側板13bと兼用される(直線部461cの左側Y2の面も同様)。直線部461cは、屈曲部461bから後側X2に延びる。屈曲部461dは、直線部461cの後側X2端部の近傍に配置され、流れ方向を後側X2から左側Y2に曲げ、左側側板13bに接続される。
【0086】
左側ダクト380は、直線部481aを備える。直線部481aは、反キャブ近接ガード開口279から左側Y2に延び、反キャブ近接ガード30の左側Y2の面(側面)に接続される。
【0087】
左側外部開口490(反キャブ近接ガード側外部開口)は、反キャブ近接ガード30に形成される開口である。左側外部開口490は、反キャブ近接ガード30の例えば左側Y2の面(側面)に配置され、例えば反キャブ近接ガード30の下側Z2部分(例えば下側Z2端部の近傍)に配置される。左側外部開口490は、左側ダクト380と、反キャブ近接ガード30の外部(上部旋回体401Aの外部)と、を連通させる。左側外部開口490は、反キャブ近接ガード開口279とは別に設けられる(異なる位置に配置される)。
【0088】
(音の経路)
キャブ近接ガード20の内部の音(排気も同様)は、上流側から下流側の順に、次のように伝わる。形態2−1(図11参照)と同様に、キャブ近接ガード20の内部の音は、反キャブ近接ガード開口279の内部に伝わる。この音は、左側ダクト380の内部、および左側外部開口490の内部を介して、反キャブ近接ガード30の外部(上部旋回体401Aの外部)に伝わる(放射される)。また、この音と同様に、ファン22が発生させた冷却風も、上部旋回体401Aの外部に排気される。
【0089】
(音の減衰など)
形態2−1(図11参照)と同様に、ダクト構造40の内部を通る音は、距離減衰により減音される。ここで、形態2−1(図11参照)に比べ、形態4−1では、ダクト構造40の入口から出口までの横方向Y距離を長くできるので、距離減衰による減音効果を大きくできる。また、左側外部開口490から反キャブ近接ガード30の外部に放射される音は、回折減衰により減音される。
【0090】
(第8の発明の効果)
図17に示す上部旋回体401Aによる効果は次の通りである。ダクト構造40は、左側ダクト380と、左側外部開口490と、を備える。
[構成8−1]左側ダクト380は、反キャブ近接ガード30の内部に配置され、反キャブ近接ガード開口279と連通する。
[構成8−2]左側外部開口490は、反キャブ近接ガード30に形成される開口であり、反キャブ近接ガード開口279とは別に設けられ、左側ダクト380と反キャブ近接ガード30の外部とを連通させる。
【0091】
上記[構成8−1]および[構成8−2]により、キャブ近接ガード20の内部の騒音は、左側ダクト380の内部、および左側外部開口490を介して、反キャブ近接ガード30の外部に伝わる。よって、ダクト構造40は、キャブ25からの横方向Yの距離がより遠い位置(例えばセンターセクション領域Aよりも遠い位置)に、音を伝えることができる。よって、キャブ25内の騒音をより抑制できる。
【0092】
(形態4−2)
図18を参照して、形態4−2の上部旋回体401Bについて、形態4−1(図17参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60の構成が形態3−1(図15参照)と同様である点と、左側ダクト380の構成と、である。左側ダクト380は、形態4−1の直線部481a(図17参照)に代えて、屈曲部482aと、直線部482bと、屈曲部482cと、直線部482dと、を備える。屈曲部482aは、反キャブ近接ガード開口279の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から後側X2に曲げる。直線部482bは、屈曲部482aから後側X2に延びる。直線部482bの右側Y1の面は、形態3−1の直線部381b(図15参照)と異なり、左側側板13bと兼用されない。屈曲部482cは、直線部482bの後側X2端部の近傍に設けられ、流れ方向を後側X2から左側Y2に曲げる。直線部482dは、屈曲部482cから左側Y2に延びる。直線部482dの下流側の端部は、反キャブ近接ガード30の左側Y2の面に接続され、左側外部開口490と連通する。
【0093】
(形態4−3)
図19および図20を参照して、形態4−3の上部旋回体401Cについて、形態4−1(図17参照)との相違点を説明する。相違点は、左側ダクト380の構成である。左側ダクト380は、形態4−1の直線部481a(図17参照)に代えて、直線部483aと、屈曲部483bと、図20に示す直線部483cと、屈曲部483dと、を備える。直線部483aは、形態4−1の直線部481a(図17参照)とほぼ同様に構成される。直線部483aの下流側の端部は、直線部481aと異なり、左側外部開口490に直接には接続されない。屈曲部483bは、直線部483aの左側Y2端部の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から上側Z1に曲げる。屈曲部483bの左側Y2の面は、反キャブ近接ガード30の左側Y2の面と兼用される(直線部483cの左側Y2の面も同様)。直線部483cは、屈曲部483bから上側Z1に延びる。屈曲部483dは、直線部483cの上側Z1端部の近傍に配置され、流れ方向を上側Z1から左側Y2に曲げ、反キャブ近接ガード30の左側Y2の面に接続される。屈曲部483dの上側Z1の面は、反キャブ近接ガード30の上側Z1の面と兼用される。左側外部開口490は、例えば、反キャブ近接ガード30の上側Z1端部の近傍に配置され、屈曲部483dと連通する。
【0094】
(形態4−4)
図21を参照して、形態4−4の上部旋回体401Dについて、形態4−1(図17参照)との相違点を説明する。相違点は、センターダクト60が形態2−3(図14参照)と同様である点と、左側ダクト380の構成と、である。左側ダクト380は、形態4−1の直線部481a(図17参照)に代えて、屈曲部484aと、直線部484bと、屈曲部484cと、直線部484dと、を備える。屈曲部484aは、反キャブ近接ガード開口279の近傍に配置され、流れ方向を左側Y2から前側X1に曲げる。直線部484bは、屈曲部484aから前側X1に延びる。直線部484bの右側Y1の面は、反キャブ近接ガード30の右側Y1の面と兼用される(屈曲部484cの右側Y1の面も同様)。屈曲部484cは、直線部484bの前側X1端部の近傍に配置され、流れ方向を前側X1から左側Y2に曲げる。直線部484dは、屈曲部484cから左側Y2に延びる。直線部484dの下流側の端部は、反キャブ近接ガード30の左側Y2の面に接続され、左側外部開口490と連通する。
【0095】
(第5実施形態)
(形態5−1)
図22を参照して、形態5−1の上部旋回体501Aについて、形態4−3(図19参照)との相違点を説明する。相違点は、補助通気装置595を備える点である。補助通気装置595は、ダクト構造40の内部の空気が流れやすくなるように補助する装置である。補助通気装置595により、ダクト構造40の内部の圧損が大きい場合でも、ダクト構造40の内部の空気(排気)をスムーズに流す(排出する)ことが可能となる。補助通気装置595は、具体的にはファン(ファン22とは別のファン)である。補助通気装置595は、音源であり、キャブ25内の騒音増加に影響を与える場合がある。そこで、補助通気装置595は、キャブ25から遠い位置に配置されることが好ましい。具体的には、補助通気装置595は、左側ダクト380の内部に配置され、例えば、左側ダクト380の左側Y2の部分(例えば端部)に配置され、例えば、屈曲部483bなどに配置される。
【0096】
(形態5−2)
図23を参照して、形態5−2の上部旋回体501Bについて、形態4−4(図21参照)との相違点を説明する。相違点は、補助通気装置595を備える点である。補助通気装置595は、センターダクト60の内部に配置され、例えば、拡張縮小部164bの内部などに配置される。
【0097】
(変形例)
上記の各形態は、様々に変形されてもよい。
互いに異なる形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、形態1−1(図1参照)に対し、形態1−2(図4参照)の右側ダクト45が付加されてもよい。例えば、形態1−1(図1参照)の右側接続ダクト55を、右側接続ダクト様構造155−2(図4参照)に代えてもよい。
上記の各形態の構成要素の数や配置が変更されてもよい。例えば、図1に示す側板13の数は、2を超えてもよい。
上記の各形態の構成要素の一部が設けられなくてもよい(下記)。
【0098】
ダクト構造40の構成は、下記のように変更されてもよい。
ダクト構造40の入口の位置、出口の位置、長さ、形状などは、変更されてもよい。
ダクト構造40と他の部材との兼用の有無などが変更されてもよい。
ダクト構造40の入口から出口までの経路は、1本でもよく、複数本でもよく、例えば枝分かれしてもよく、合流してもよい。ダクト構造40の入口は、1か所でもよく、複数か所でもよい(出口も同様)。
ダクト構造40の断面形状は、入口から出口まで一定(例えば長方形)でもよく、経路の途中で変化してもよい。
ダクト構造40は、上記実施形態では排気ダクトであったが、吸気ダクトでもよい(ダクト構造40の入口は吸気口でもよい)。さらに詳しくは、ダクト構造40の内部には、ファン22に吸い込まれる前の空気(吸気)が流れてもよい。ダクト構造40の内部には、ファン22が発生させた冷却風が流れなくてもよい。ダクト構造40の内部での、音が伝わる向きと、ファン22が発生させた冷却風が流れる向きとは、同じ向きでもよく、逆向きでもよい。
【0099】
ダクト構造40の経路の途中には、漏れ部があってもよい。具体的には例えば、センターダクト60などのダクトに小開口や隙間があってもよい。また例えば、右側接続ダクト55は設けられなくてもよい。また例えば、図11に示す反キャブ近接ガード開口279が設けられる場合に、左側接続ダクト275は設けられなくてもよい。なお、右側接続ダクト55は、左側接続ダクト275よりもキャブ25に近い。そのため、右側接続ダクト55が設けられず左側接続ダクト275が設けられる場合に比べ、左側接続ダクト275が設けられず右側接続ダクト55が設けられる場合の方が、キャブ25の騒音を抑制できる。
【0100】
拡張縮小部164b(図6参照)の位置や数などが変更されてもよい。例えば、拡張縮小部164bは、上記実施形態ではセンターセクション10に設けられたが、反キャブ近接ガード30の内部に設けられてもよい。
左側接続ダクト275(図11参照)は、右側接続ダクト155−5(図9参照)や右側接続ダクト155−6(図10参照)と同様に、左側側板13bの上側Z1や下側Z2に配置されてもよい。
補助通気装置595(図22参照)の位置や数などが変更されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1A、1B、1C、1D、1E、1F、201A、201B、201C、301A、401A、401B、401C、401D、501A、501B 上部旋回体
10 センターセクション
13 側板
13a 右側側板(右側の側板)
13b 左側側板(左側の側板)
15 連結部材
20 キャブ近接ガード
21 エンジン(騒音源)
25 キャブ
30 反キャブ近接ガード
40 ダクト構造
45 右側ダクト(キャブ近接ガード側ダクト)
51 キャブ近接ガード開口
55、155−5、155−6 右側接続ダクト(キャブ近接ガード側接続ダクト)
59 右側側板開口
60 センターダクト
155−2 右側接続ダクト様構造(キャブ近接ガード側接続ダクト様構造)
193 油圧ホース
271 左側側板開口
275 左側接続ダクト(反キャブ近接ガード側接続ダクト)
279 反エンジン側ガード開口
375 左側接続ダクト様構造(反キャブ近接ガード側接続ダクト様構造)
490 左側外部開口(反エンジン側外部開口)
X1 前側
X2 後側
Y 横方向
Y1 右側
Y2 左側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24