(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894558
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】電池配線モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/572 20210101AFI20210621BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20210621BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20210621BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/50 101
H01M50/20
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-152635(P2020-152635)
(22)【出願日】2020年9月11日
(62)【分割の表示】特願2018-187938(P2018-187938)の分割
【原出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2021-2524(P2021-2524A)
(43)【公開日】2021年1月7日
【審査請求日】2020年9月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松村 暢之
(72)【発明者】
【氏名】内田 淑文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
(72)【発明者】
【氏名】片山 順多
【審査官】
馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−028186(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/131809(WO,A1)
【文献】
特開2015−133394(JP,A)
【文献】
実開昭62−041641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられてなる単電池群に取り付けられる車両用の電池配線モジュールであって、
前記複数の単電池の隣接する単電池の正極及び負極の電極端子を接続する複数の接続部材と、
前記複数の接続部材を介して前記複数の単電池の電圧を検知する複数の電圧検知線を有するフレキシブルプリント基板と、を備え、
各電圧検知線の途中には、当該電圧検知線に過電流が流れることを制限する電流制限素子が設けられており、
前記フレキシブルプリント基板のカバーレイ層には、前記電流制限素子が配置されるとともに、前記電流制限素子が接続される箇所の前記電圧検知線を露出させる開口部が形成されており、
前記電流制限素子は前記電圧検知線に半田によって接続されており、
前記電流制限素子と前記電圧検知線との接続部である、前記電流制限素子の電極と、前記半田と、前記電圧検知線の露出した部分とは、前記開口部を覆い隠すように絶縁樹脂によってオーバーコートされている、電池配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電池配線モジュールにおいて、
前記複数の電圧検知線に接続されて、検知された単電池の電圧を外部に出力するとともに、互いに異なる方向に導出された複数のコネクタを有する、電池配線モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電池配線モジュールにおいて、
前記コネクタは、前記フレキシブルプリント基板が延びる方向と交差する方向に導出されている、電池配線モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池配線モジュールにおいて、
各電圧検知線は、他の電圧検知線から分離されて配線された分離配線部を有するように配線されており、
前記電流制限素子は、各電圧検知線において、前記分離配線部に設けられている、電池配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュールにおいて、
前記電流制限素子は、正温度係数サーミスタ、あるいはチップヒューズである、電池配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関し、詳しくは、電池配線モジュールに含まれる配線の短絡保護に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールでは、出力を大きくするために多数の単電池が横並びに接続されている。隣り合う単電池の電極端子間をバスバーなどの接続部材で接続することにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている。ここで、複数の単電池を直列や並列に接続する場合、単電池間において電池電圧などの電池特性が不均一であると、電池の劣化や破損を招くという問題がある。
【0003】
そこで、車両用の電池モジュールにおいては、各単電池間の電圧に異常が生じる前に充電、放電を中止するため、各接続部材には、単電池の電圧を検知するための電圧検知線が取り付けられている。各接続部材と電圧検知線(配線に相当)とによって電池配線モジュールが構成されている。
【0004】
電圧検知線は、一般に、電池ECU等の外部回路に接続されているため、外部回路の不具合に起因して二本の電圧検知線が短絡する虞がある。二本の電圧検知線が短絡すると、単電池が短絡され、過電流が電圧検知線に継続して流れることになる。そのため、FPC(フレキシブルプリント基板)に形成された電圧検知線に、PTC(正温度係数)サーミスタ等の電流制限素子を直列接続して設けることが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−257775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1においては、電流制限素子を電圧検知線に設けることによって、単電池の短絡に起因する電池モジュールの劣化を防止することが可能になる。しかしながら、車両が高湿度の環境に置かれた場合等においては、電池配線モジュールを構成し、電流制限素子が設けられたFPCが結露する可能性がある。
【0007】
FPCが結露すると、各電圧検知線に対応してFPC上に設けられた複数の電流制限素子のうちいずれか2個の電流制限素子の単電池側の電極が、結露に起因して形成された水滴等によって短絡する虞があった。2個の電流制限素子の単電池側の電極が短絡すると、電流制限素子の単電池側において2本の電圧検知線が短絡されることとなり、短絡された電圧検知線の電流制限素子は機能しなくなる。そのため、単電池から短絡された電圧検知線に過電流が継続して流れることになり、この場合、電圧検知線を過電流から保護することができない。
そこで、本明細書では、FPCに設けられた電圧検知線の途中に電流制限素子が直列接続された構成において、電圧検知線を過電流から保護することができる電池配線モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される電池配線モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する複数の単電池が並べられてなる単電池群に取り付けられる車両用の電池配線モジュールであって、前記複数の単電池の隣接する単電池の正極及び負極の電極端子を接続する複数の接続部材と、前記複数の接続部材を介して前記複数の単電池の電圧を検知する複数の電圧検知線を有するフレキシブルプリント基板と、を備え、各電圧検知線の途中には、当該電圧検知線に過電流が流れることを制限する電流制限素子が設けられており、前記フレキシブルプリント基板のカバーレイ層には、前記電流制限素子が配置されるとともに、前記電流制限素子が接続される箇所の前記電圧検知線を露出させる開口部が形成されており、前記電流制限素子は前記電圧検知線に半田によって接続されており、前記電流制限素子と前記電圧検知線との接続部である、前記電流制限素子の電極と、前記半田と、前記電圧検知線の露出した部分とは、前記開口部を覆い隠すように絶縁樹脂によってオーバーコートされている。
本構成によれば、電流制限素子と電圧検知線との接続部は、絶縁樹脂によってオーバーコートされている。そのため、FPC上に設けられた複数の電流制限素子のうちいずれか2個の電流制限素子の単電池側の電極が、結露に起因して形成された水滴等によって短絡することはない。したがって、FPCが結露する場合であっても、2個の電流制限素子は機能し、FPCに設けられた電圧検知線の途中に電流制限素子が直列接続された構成において、電圧検知線を過電流から保護することができる。
【0009】
上記電池配線モジュールにおいて、前記フレキシブルプリント基板には、前記電圧検知線を前記接続部材に接続する接続ランドが設けられており、前記電流制限素子は、前記接続ランドの近傍に設けられているようにしてもよい。
本構成によれば、電流制限素子は、接続ランドの近傍、すなわち、接続部材の近傍に設けられている。そのため、電流制限素子と接続部材との間に位置する電圧検知線の長さを短くすることができる。それによって、電流制限素子と接続部材との間において、隣接する2本の電圧検知線が短絡する区間を短くすることができる。その結果、電流制限素子と接続部材との間において、隣接する2本の電圧検知線が短絡する可能性を低減できる。
なお、ここで、「接続ランドの近傍」とは、例えば、接続部材の長手方向(単電池の並び方向)の両端の間等を意味する。
【0010】
また、上記電池配線モジュールにおいて、各電圧検知線は、他の電圧検知線から分離されて配線された分離配線部を有するように配線されており、前記電流制限素子は、各電圧検知線において、前記分離配線部に設けられているようにしてもよい。
本構成によれば、分離配線部を設けることによって電流制限素子を電圧検知線に設置し易くなるとともに、電流制限素子の設置部と他の電圧検知線との間の短絡を発生し難くすることができる。
【0011】
また、上記電池配線モジュールにおいて、前記電流制限素子は、正温度係数サーミスタ、あるいはチップヒューズによって構成するようにしてもよい。
本構成によれば、電圧検知線に過電流が流れた際に、正温度係数サーミスタの抵抗が増大したり、チップヒューズが溶断したりすることによって、電圧検知線を過電流から保護することができる。
【0012】
また、上記電池配線モジュールにおいて、前記複数の電圧検知線に接続され、検知された単電池の電圧を外部に出力するコネクタを備えるようにしてもよい。
本構成によれば、コネクタを電池ECU等の外部回路に接続することによって、単電池の充放電コントロール等を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、FPCに設けられた電圧検知線の途中に電流制限素子が直列接続された構成において、電圧検知線を過電流から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る電池モジュールの概略的な平面図
【
図6】バスバーと電圧検知線との接続態様を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
本発明の一実施形態1を
図1から
図6を参照して説明する。
【0016】
1.電池モジュールの構成
本実施形態に係る電池モジュール10は、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用される。電池モジュール10は、正極の電極端子13Aおよび負極の電極端子13Bを有する複数(本実施形態では22個)の単電池11が並べて配された単電池群11Gと、この単電池群11Gに取り付けられた電池配線モジュール20と、を備える。以下では、
図1に示される前方を電池モジュール10の前方とし、
図1に示される後方を電池モジュール10の後方とする。また、
図1に示される左方を電池モジュール10の左方とし、
図1に示される右方を電池モジュール10の右方とする。
【0017】
隣り合う2つの単電池11,11の間には樹脂製のセパレータ(図示せず)が配置されている。セパレータには、突出形成された突出部15が設けられている。各突出部15は、隣り合う2つのバスバー21,21間に形成された空間に配置され、工具等による電極間の短絡を防止する機能を有する。
【0018】
2.電池配線モジュールの構成
電池配線モジュール20は、
図2に示される、電池モジュール10の前方に取付けられる電池配線モジュール20Aと、
図3に示される、電池モジュール10の後方に取付けられる電池配線モジュール20Bとを含む。なお、以下の説明において、各電池配線モジュール20A,20Bを区別する必要のない場合、電池配線モジュール20と記す。
【0019】
電池配線モジュール20は、複数のバスバー(「接続部材」の一例)21と、フレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と記す)25とを含む。
【0020】
各バスバー21は、異なる単電池11の電極端子13A,13B同士を接続する。そのために、各バスバー21には、異なる単電池11の電極端子13A,13Bが挿入される2個の端子挿通孔22が形成されている。なお、
図3に示されるように、電池配線モジュール20Bの両端の接続部材21Aは、1個の端子挿通孔22を有し、右端の接続部材21Aは、電極端子13Aに接続され、その電極端子13Aから、各単電池11の電圧を合計した正電圧が負荷に印加される。一方、左端の接続部材21Aは、電極端子13Bに接続され、その電極端子13Bからは、グランド電位が負荷に印加される。
【0021】
FPC25は、各バスバー21に接続され各単電池11の電圧を検知する複数の電圧検知線26を含む。各電圧検知線26には、
図2および
図3に示されるように、継続した過電流に対して各電圧検知線26を保護する電流制限素子27が設けられている。電流制限素子27は、PTC(正温度係数)サーミスタ、あるいはチップヒューズである。
【0022】
詳細には、FPC25のベース層25A上に形成された銅箔をパターニングして、
図2および
図3に示される電圧検知線26が形成されている。パターニングの際、
図5に示されるように、電流制限素子27が接続される箇所の銅箔は削除される。すなわち、電流制限素子27は、電圧検知線26に対して、その途中に直列に接続される。
【0023】
また、各電圧検知線26は、
図2および
図3に示されるように、他の電圧検知線26から分離されて配線された分離配線部26Aを有するように配線、すなわちパターニングされている。そして、電流制限素子27は、各電圧検知線26において、分離配線部26Aに設けられている。
【0024】
また、
図4および
図5に示されるように、電流制限素子27が接続される箇所のFPC25のカバーレイ層25Bには、矩形の開口部Wが形成されている。開口部Wによって、電流制限素子27が接続される箇所の電圧検知線26が露出される。そして、露出された電圧検知線26に対して、電流制限素子27の電極(接続部)27Aが、例えば、半田SDによって接合されている。
【0025】
このように、電圧検知線26に対して、その途中に電流制限素子27が直列接続されている。それによって、電池配線モジュール20が接続される電池ECU等の外部回路の不具合に起因して、2本の電圧検知線26が短絡して電圧検知線26に単電池からの過電流が発生した場合であっても、単電池11から電圧検知線26に過電流が電圧検知線26に流れることを制限できる。
【0026】
例えば、電流制限素子27がPTCサーミスタの場合、電圧検知線に過電流が流れた際、電圧検知線26の温度上昇に伴ってPTCサーミスタの抵抗が増大して、過電流が流れることを制限できる。また、電流制限素子27がチップヒューズの場合、電圧検知線26に過電流が流れた際、チップヒューズが溶断することによって、過電流が流れることを制限できる。
【0027】
それによって、外部回路の不具合に起因してFPC25に設けられた電圧検知線26に過電流が発生した場合であっても、電圧検知線26を保護することができる。
【0028】
さらに、
図4および
図5に示されるように、開口部Wを覆い隠すように、電流制限素子27が接続される箇所は、絶縁樹脂23によってオーバーコートされている。すなわち、電流制限素子27と電圧検知線26との接続部は、絶縁樹脂によってオーバーコートされている。ここで、接続部は、電流制限素子27の電極27A、半田SD、および電圧検知線26の露出した部分を含む。
【0029】
また、各電圧検知線26の一端には、バスバー21と電気的に接続される接続ランド28が形成されている。電流制限素子27は、接続ランド28の近くに設けられている。
【0030】
詳しくは、
図6に示されるように、接続ランド28は、FPC25のベース層25Aの凸部25C上の銅箔によって構成されており、電圧検知線26と接続ランド28とは連続している。また、接続ランド28が形成される領域(凸部25C)にはカバーレイ層25Bは形成されておらず、接続ランド28は露出されている。接続ランド28とバスバー21とは、例えば、半田SDによって接合されている。このように、接続ランド28の上面にバスバー21を接続する場合、接続ランド28の下面に下側にバスバー21を接続する場合と比べて、接続ランド28にバスバー21を接続するための作業が簡易化される。
【0031】
すなわち、接続ランド28の上面にバスバー21を接続する場合、電圧検知線26に電流制限素子27を接続するための銅箔に対する半田面が同一側となる。一方、接続ランド28の下面にバスバー21を接続する場合、電圧検知線26に電流制限素子27を接続する際と、バスバー21を接続する際で、銅箔に対する半田面がことなる。そのため、半田付け作業が複雑になる。
【0032】
また接続ランド28の下面にバスバー21を接続する場合、接続ランド28を露出する際に、ベース層25Aを銅箔から剥がす作業が必要になり、接続ランド28を露出する作業に手間が掛かる。
なお、接続ランド28とバスバー21との各接続部は、電流制限素子27と電圧検知線26との接続部と同等に、絶縁樹脂23によってオーバーコートされるようにしてもよい。
【0033】
また、各電圧検知線26の他端は、コネクタ29に接続されている。コネクタ29は、図示しない電池ECUに接続されている。電池ECUは、マイクロコンピュータ、回路素子等が搭載されたものであって、各単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0034】
3.実施形態の効果
電流制限素子27と電圧検知線26との接続部は、絶縁樹脂23によってオーバーコートされている。そのため、FPC25に設けられた複数の電流制限素子27のうちいずれか2個の電流制限素子27の単電池側の電極27Aが、結露等に起因して形成された水滴によって短絡することはない。したがって、FPC25が結露する場合であっても、各電流制限素子27は正常に機能し、FPC25に設けられた電圧検知線26の途中に電流制限素子27が直列接続された構成において、電圧検知線26を過電流から保護することができる。
【0035】
また、電流制限素子27は、接続ランド28の近傍、すなわち、バスバー21の近傍に設けられている。そのため、電流制限素子27とバスバー21との間に位置する電圧検知線26の長さを短くすることができる。それによって、電流制限素子27とバスバー21との間において、隣接する2本の電圧検知線26が短絡する区間を短くすることができる。その結果、電流制限素子27とバスバー21との間において、言い換えれば、電流制限素子27の単電池11側において、隣接する2本の電圧検知線26が短絡する可能性を低減できる。
【0036】
ここで、「接続ランド28の近傍」とは、例えば、バスバー21の長手方向(単電池11の並び方向、すなわち、
図1の左右方向)の両端の間、言い換えれば、接続ランド28とバスバー21の長手方向の一端との間を意味する。なお、この場合、全ての電流制限素子27がバスバー21の両端の間に設けられていることに限られない。全ての電流制限素子27のうちの、例えば、50%以上、あるいは75%以上、あるいは90%以上の電流制限素子27がバスバー21の両端の間に設けられるようにしてもよい。
【0037】
また、各電圧検知線26は、他の電圧検知線26から分離されて配線された分離配線部26Aを有するように配線され、電流制限素子27は、各電圧検知線26において、分離配線部26Aに設けられている。そのため、電流制限素子27を電圧検知線26に設置し易くなるとともに、電流制限素子27と他の電圧検知線26との間の短絡を発生し難くすることができる。
【0038】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、FPC25とバスバー21との接続において、
図6等に示されるように、FPC25の上側にバスバー21を接続する構成を示したが、これに限られない。逆に、FPC25の下側にバスバー21を接続する構成としてもよい。その際、FPC25のベース層25Aが上側となり、カバーレイ層25Bが下側となるように、FPC25を上下反転させて、バスバー21を接続するようにしてもよい。
また、FPC25とバスバー21との接続態様は、
図6等に示されるような電気的な接続ランド28のみによるものに限られない。その他、接続ランド28のみによる接続を補強する機械的な接続部を、FPC25およびバスバー21に設けてもよい。
【0039】
(2)本実施形態においては、
図1に示すように、電池配線モジュールを前側の電池配線モジュール20Aと後側の電池配線モジュール20Bとに分離して構成する例を示したが、これに限られない。すなわち、電池配線モジュールを、電池配線モジュール20Aと電池配線モジュール20Bとに分離しない構成としてもよい。例えば、電池配線モジュール20Aと電池配線モジュール20Bとを接続する接続部を設け、一個のコネクタで電池配線モジュールと電池ECUとを接続する構成としてもよい。
【0040】
(3)FPC25には、所定間隔の位置に、例えば、各バスバー21の間の位置に、所定量の撓み(単電池11の並び方向のマージン)を形成するようにしてもよい。この場合、電池配線モジュール20を単電池群11Gに搭載する際に、単電池11の大きさの公差に対応できる。すなわち、単電池11の並び方向の大きさに差があった場合でも、その差を所定量の撓みによって吸収できる。それによって、電池配線モジュール20を単電池群11Gに搭載する際の作業を簡易化できる。また、電池11の大きさの公差に起因してFPC25にかかるストレスを吸収できる。すなわち、電池配線モジュール20の信頼性を向上できる。
【符号の説明】
【0041】
11…単電池
11G…単電池群
13A…正電極端子
13B…負電極端子
20,20A,20B…電池配線モジュール
21…バスバー(接続部材)
23…絶縁樹脂
25…FPC(フレキシブルプリント基板)
26…電圧検知線
27…電流制限素子
27A…電流制限素子の電極
28…接続ランド