【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アルミ箔やアルミニウム蒸着フィルムを使用することなく、輝度が高い印刷物を提供でき、プラスチック基材フィルムへの高い密着性を有する高輝度グラビアインキ組成物を提供できる。
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
【0012】
本発明の高輝度グラビアインキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう。)は、平均厚みが50nm以下の蒸着アルミニウム顔料(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含み、前記熱可塑性樹脂(B)が、酸価が2mgKOH/g以上である酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)と、ポリウレタン樹脂(b2)とを含み、前記酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)と前記ポリウレタン樹脂(b2)が、固形分重量比で、(b1)/(b2)=100/0〜5/95であり、前記蒸着アルミニウム顔料(A)と前記熱可塑性樹脂(B)が、固形分重量比で、(A)/(B)=90/10〜10/90であることが好ましい。
【0013】
前記蒸着アルミニウム顔料(A)は、平均厚みが50nm以下であることが好ましく、5〜40nmであることがより好ましい。一般に、蒸着アルミニウム顔料は、鱗片状の形状をしており、厚みと粒子径により表され、厚みは、直接的には電子顕微鏡で観察する方法で得られる。ここでいう、平均厚みは、粒子10点の厚みについて測定し、その平均値とした。平均厚みが50nmを超えると、輝度が劣るおそれがあり、5nmより小さいと、蒸着アルミニウム顔料の生産自体が困難で、高価になる。
【0014】
前記蒸着アルミニウム顔料(A)は、平均粒子径が1μmより大きいものが好ましい。平均粒子径が1μm超〜25μmであることがより好ましい。粒子径は、鱗片形状の最長径の平均粒子径で、光散乱による粒度分布測定装置、あるいは直接的に電子顕微鏡による観察する方法で測定される。ここでいう、平均粒子径とは、レーザー回折/散乱法によるD50粒子径のことをいう。
【0015】
前記蒸着アルミニウム顔料は、アルミニウムまたはその合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着して形成される金属薄膜を当該プラスチックフィルム上から剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌するなどにより得られる。こうすることで、非常に薄膜となり、高輝度となる。
前記蒸着アルミニウム顔料は、アルミニウム顔料をアクリル樹脂で被覆したアルミペーストとは異なり、未処理であることで、後述する酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)との親和性が向上し、密着性が向上する。また、樹脂被覆処理が不要なので、煩雑な工程が省くことができ、コストメリットもある。
【0016】
前記熱可塑性樹脂(B)は、酸価が2mgKOH/g以上である酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)と、ポリウレタン樹脂(b2)とを含むことが好ましい。
【0017】
前記酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)は、酸価が2mgKOH/g以上であることが好ましく、3〜20mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。前記範囲内であることで、輝度および密着性が良好となる。
なお、酸価は、樹脂1g中に含有する酸基を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数で、JIS K0070による測定値である。
【0018】
前記酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)は、塩化ビニルモノマー、酢酸ビニルモノマーおよび一分子中に不飽和炭素−炭素二重結合を有し、かつ酸性官能基を有するモノマーを共重合反応させたものであり、その重合方法としては、従来からの既知の方法で製造でき、製造方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合および懸濁重合のいずれの方法でも行うことができる。酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、メルカプト基、ラクトン基、フェノール基、キノンなどが挙げられ、なかでもカルボキシル基がより好ましい。
【0019】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、モノカルボン酸の例である(メタ)アクリル酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、サリチル酸などが挙げられる。ジカルボン酸の例であるリンゴ酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、フタル酸、シュウ酸、グルタル酸、マロン酸、テレフタル酸、フマル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸などが挙げられる。なかでも、(無水)マレイン酸がより好ましい。
【0020】
このようなカルボキシル基変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)は、市販されており、VINNOL H15/45M、VINNOL H30/48M(Wacker Chemie社製)、ソルバインM5、ソルバインM5R(日信化学工業(株)製)、カネビニールT5DA((株)カネカ製)などが挙げられる。
【0021】
前記ポリウレタン樹脂(b2)は、ポリオールとポリイソシアネートおよび鎖伸長剤とを反応させることにより得られるものであればよい。
【0022】
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール類、低分子ポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、グリコール類、アクリルポリオールなどが挙げられる。これらポリオールは、一種類または二種類以上混合して使用することができる。前記ポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。これらポリイソシアネートは、一種類または二種類以上混合して使用することができる。前記鎖伸長剤としては、例えば、1分子中に2個以上の1級または2級アミノ基を含有するポリアミン化合物、ヒドラジド化合物、あるいは分子量600未満の低分子量ポリオールなどが挙げられる。これら鎖伸長剤は、一種類または二種類以上混合して使用することができる。ウレタン化反応において、反応制御のため、溶剤を使用することが好ましく、イソシアネート基に対して不活性のものであるか、低活性のものであることがより好ましい。使用できる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。これら溶剤は、一種類または二種類以上混合して使用することができる。そのほかに、必要に応じて、添加剤を加えてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、加水分解防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性剤、反応遅延剤などが挙げられる。これら添加剤は、一種類または二種類以上添加することができる。また、反応前後あるいは反応の途中に適宜添加することができる。
【0023】
前記酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)と前記ポリウレタン樹脂(b2)が、固形分重量比で、(b1)/(b2)=100/0〜5/95であることが好ましい。(b1)/(b2)=100/0〜10/90であることがより好ましい。前記酸変性塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(b1)の比率が、5より小さいと、輝度が低下する。
【0024】
前記熱可塑性樹脂(B)は、他の樹脂を含んでもよい。例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、酸変性ではない塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂、アクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、非晶ポリアリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、アクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、ポリ乳酸などが好ましい。これらの樹脂は、一種類または二種類以上であってもよい。
【0025】
本発明の高輝度グラビアインキ組成物は、前記蒸着アルミニウム顔料(A)と前記熱可塑性樹脂(B)が、固形分重量比で、(A)/(B)=90/10〜10/90であることが好ましく、(A)/(B)=85/15〜15/80であることがより好ましい。(A)が、90より大きいと、樹脂分が少ないため密着性が劣り、10より小さいと、顔料分が少ないため輝度が低下する。
インキ組成物中の固形分としては、2〜55質量%の範囲内であることが好ましい。2質量%より低いと、印刷時の塗布量が十分でなく、55質量%を超えると、流動性が悪く、インキ化が困難となる。
【0026】
本発明の高輝度グラビアインキ組成物には、通常グラビアインキに使用される溶剤を使用することができる。前記溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。なかでも、印刷適性や汎用性の観点から、トルエン、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトンなどがより好ましい。これらは、一種類または二種類以上混合して用いることができる。
インキ組成物中に溶剤は45〜98質量%の範囲内であることが好ましい。45質量%より少ないと固形分が多くなり、流動性が悪くなり、インキ製造適性が劣り、98質量%を超えると、インキ膜厚が局部的に不均一になり、印刷面上に、不定形の濃淡(泳ぎ現象)が生じたり、粘度が低くなり、顔料が沈降しやすくなるおそれがある。
【0027】
前記インキ組成物には、色材、無機充填剤、有機充填剤、消泡剤、レベリング剤、ブロッキング防止剤、ワックス、顔料分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、可塑剤、粘着付与剤などを含有することもできる。公知慣用のものであればいかなるものも、インキ組成物としての特性を損なわない範囲で、適宜選択できる。
【0028】
前記色材としては、顔料または染料あるいはその混合物を含有することができる。
顔料としては、例えば、二酸化チタン、弁柄、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、マイカ、タルク、パールなどの無機顔料、フタロシアニン系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、ジオキサジン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、チオインジゴ系、カーボンブラックなどの有機顔料、その他各種蛍光顔料、金属粉顔料、体質顔料などが挙げられる。これらの顔料は、一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。染料としては、溶剤に溶解または分散するものが好ましく、一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、耐久性の観点から、顔料を用いることが好ましい。特に、黄色有機顔料を含有するとゴールド調の色相になり、高級感を付与することができる。
【0029】
本発明の高輝度印刷物は、前記高輝度グラビアインキ組成物が、プラスチック基材フィルムの少なくとも一方の面に、0.1〜3μmの膜厚でインキ層を積層してなる高輝度印刷層を形成することが好ましい。インキ層の膜厚は、0.3〜2μmであることがより好ましい。0.1μmより薄いと、輝度が低下する。3μmより厚いと、密着性が劣る。
【0030】
前記プラスチック基材フィルムは、プラスチックフィルムまたはシートならびにこれらの積層体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルム、PETとナイロンの共押出フィルム、ポリ乳酸フィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、印刷面にはアンカーコート層やラミネート層の密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。なかでも、PETフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、コーティングフィルム、透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、共押出フィルムなどが好ましい。プラスチック基材フィルムの厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
【0031】
前記高輝度印刷層は、プラスチック基材フィルムの少なくとも一方の面に、インキ層を積層してなることが好ましい。前記高輝度印刷層は、グラビア印刷法により塗工されて形成されることが好ましい。特に、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷法により塗工されて形成されることがより好ましい。前記高輝度印刷層は、高輝度グラビアインキ組成物で積層してなるインキ層単独でもよいが、当該インキ層と他のグラビアインキ組成物で積層してなる他のインキ層とを含んでもよい。さらに、グラビア印刷法による塗工されて形成されるため、全ベタ印刷だけでなく、階調印刷や部分印刷も可能である。これらのインキ層は、最終的な包装態様によっては、これら印刷層を形成するための印刷基材の配置位置が変わることもあり、これらインキ層と他のインキ層の形成順が変わることもある。すなわち、例えば、プラスチック基材フィルム/インキ層/他のインキ層のように高輝度印刷層を形成した後、ドライラミネートなどで他の基材を積層(プラスチック基材フィルム/インキ層/他のインキ層/DL/他の基材)する構成としてもよいし、プラスチック基材フィルム/他のインキ層/インキ層(あるいはインキ層/他のインキ層など複数積層)のように高輝度印刷層を形成した後、ドライラミネートなどで他の基材を積層(プラスチック基材フィルム/他のインキ層/インキ層/(他のインキ層など/)DL/他の基材)する構成としてもよい。また、反転機構を有する印刷機を使用することにより、多種の他のインキ層を有する構成の高輝度印刷物を得ることができる。例えば、プラスチック基材フィルム/インキ層/他のインキ層のように高輝度印刷層を形成した後、反転し、他のインキ層を形成した後、ドライラミネートなどで他の基材を積層(他の基材/DL/他のインキ層/プラスチック基材フィルム/インキ層/他のインキ層/DL/他の基材)する構成としてもよい。
【0032】
本発明の高輝度印刷物は、前記高輝度印刷層の他に、剛性、腰、ガスバリア性、保香性、防湿性、耐ピンホール性、デッドホール性、遮光性、直線カット性などの性能を付与または強化するための中間層を積層してもよい。なお、中間層を設ける場合、必ずしもプラスチック基材フィルムに高輝度印刷層を施す必要はなく、中間層に高輝度印刷層を設けてもよい。
【0033】
前記中間層としては、プラスチックフィルム、シートならびにこれらの積層体などが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルム、PETとナイロンの共押出フィルム、ポリ乳酸フィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。貼り合わせ面には密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。処理は両面処理が好ましい。
中間層としては、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であればよく、5〜300μmの厚みが好ましく、6〜250μmの厚みがより好ましい。
【0034】
本発明の積層体は、高輝度印刷物の高輝度印刷層上に、シーラント層またはシール層を積層することが好ましい。前記シーラント層は、例えば、ヒートシール性を付与した積層体や公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート法による樹脂コーティングなどによる層が挙げられ、前記シール層は、例えば、ヒートシール剤やホットメルト剤の塗工などにより形成される層が挙げられる。
【0035】
前記シーラント層としては、シール強度が十分確保できるものであれば、貼り合わせ方法は印刷基材、用途、構成などに応じて適宜選択される。例えば、前記プラスチック基材フィルム上の高輝度印刷層に接着剤を介した公知のシーラントフィルムとの貼り合わせ(ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、ウェットラミネート法)、熱による貼り合わせ(熱ラミネート法)、押出ラミネート加工による樹脂コーティング(押出ラミネート法、共押出ラミネート法、PEサンドイッチラミネート法)などが好ましく使用できる。これらの方法を一種類もしくは組み合わせて積層体を製造することができる。
シーラント層の厚みは、特に制限はないが、シーラントフィルムでは2〜200μm、押出ラミネート法による樹脂コーティングでは1〜100μmの厚みであることが好ましい。
【0036】
前記シーラントフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート、これらの共重合体などのポリオレフィンフィルムやその共押フィルムおよび着色フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン−ビニルアルコール樹脂フィルムなどが挙げられ、延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
【0037】
前記ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、ウェットラミネート法、押出ラミネート法などに接着剤を使用する場合は市販のものでよく、例えば、2液型もしくは1液型ウレタン系樹脂接着剤、アクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、水系ウレタン系、イソシアネート系、有機チタン系、デンプン系の水溶性接着剤や酢酸ビニルエマルジョンのような水性接着剤などが挙げられる。シーラント層を形成するための接着剤の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、例えば、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いることができる。接着剤の厚みは特に制限はないが、0.001〜10μm程度の範囲が好ましく、0.01〜5μmの範囲が特に好ましい。
【0038】
前記押出ラミネート法による樹脂コーティングに使用できる樹脂としては、LDPE、LLDPE、HDPEなどのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの樹脂は、一種類または二種類以上を積層していてもよい。
【0039】
前記シール層としては、シール強度が十分確保できるものであれば、形成方法は印刷基材、用途、構成などに応じて適宜選択される。例えば、ヒートシール剤やホットメルトの塗工などが好ましく使用できる。これらの方法を一種類もしくは組み合わせて積層体を製造することができる。シール層の厚みは、特に制限はないが、ホットメルト接着剤の塗工では1〜50μm、ヒートシール剤の塗工では0.01〜30μmの厚みであることが好ましい。
【0040】
ヒートシール剤の樹脂の例としては、例えば、塩化ビニリデン、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリエチレン系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョン、エチレンビニルアセテート系エマルジョンなど水中に分散させたものが挙げられる。
【0041】
本発明の高輝度印刷物は、包装用途、食品保存用途、レトルト用途、電子レンジ用途、農業用途、土木用途、漁業用途、自動車内外装用途、船舶用途、日用品用途、建材内外装用途、住設機器用途、医療・医療機器用途、医薬用途、家電品用途、家具類用途、文具類・事務用品用途、販売促進用途、商業用途、電機電子産業用途および産業資材用途などに供されることが好ましい。なかでも、包装用途に供されることがより好ましい。
【0042】
本発明の高輝度印刷物の製造方法は、プラスチック基材フィルムを準備する工程と、該プラスチック基材フィルムの少なくとも一方に、前記高輝度グラビアインキ組成物を0.1〜3μmの膜厚で印刷してなる印刷層を作成するグラビア印刷工程と、を含むことが好ましい。前記印刷層の膜厚は、0.3〜2μmであることがより好ましい。0.1μmより小さいと、輝度が低下する。3μmより大きいと、密着性が劣る。
【0043】
前記高輝度印刷物の製造方法は、前記高輝度グラビアインキ組成物を印刷してなる印刷層単独でもよいが、当該印刷層と他のグラビアインキ組成物を印刷してなる他の印刷層を作成するグラビア印刷工程を含んでもよく、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷工程により作成されることがより好ましい。さらに、反転機構を有するグラビア印刷機を用いてもよい。
【0044】
前記印刷層の他に、剛性、腰、ガスバリア性、保香性、防湿性、耐ピンホール性、デッドホール性、遮光性、直線カット性などの性能を付与または強化するための中間層を形成する工程を含んでもよい。
【0045】
本発明の積層体の製造方法は、前記高輝度印刷物の製造方法によるグラビア印刷工程の後に、シーラント層を形成する工程またはシール層を作成する塗工工程を含んでもよい。
前記シーラント層を形成する工程は、例えば、ヒートシール性を付与した積層体や公知のシーラントフィルムの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティングなどによる工程が挙げられ、前記シール層を作成する塗工工程は、ヒートシール剤やホットメルト剤の塗工などによる工程であってもよい。
【0046】
本発明の包装袋は、外層から順に、プラスチック基材フィルムと、高輝度印刷層と、シーラント層またはシール層とを必須とする包装袋において、前記高輝度印刷層が前記高輝度グラビアインキ組成物にて形成されたものであることが好ましい。
【0047】
前記包装袋としては、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シールなどの周知の形態のいずれでもよい。
【0048】
本発明の蓋材は、プラスチック基材フィルムと、高輝度印刷層と、シーラント層またはシール層とを必須とし、前記高輝度印刷層が前記高輝度グラビアインキ組成物にて形成されたものであることが好ましい。蓋材の形態としては、カバー、蓋、キャップなど周知の形態のいずれでもよい。
【0049】
さらに、容器と密着することにより密閉容器となることが好ましい。容器との密着は、人の手を介して実施してもよいが、自動密封装置などの機械を用いてもよい。これらは、食品の種類、形態や大きさ、数量、密閉する容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよく、ヒートシール(熱圧シール)、面シール、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着などを使用した方法により行えばよい。
前記容器は、有底筒状の容器であることがさらに好ましい。この場合、蓋材が有底筒状の容器の開口部を覆い、密閉されていることが好ましく、ヒートシールによる密閉であることがさらに好ましい。
前記容器に用いられる樹脂は、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0050】
本発明のラベルは、プラスチック基材フィルムと、高輝度印刷層と、シーラント層またはシール層とを必須とし、前記高輝度印刷層が前記高輝度グラビアインキ組成物にて形成されたものであることが好ましい。
さらに、高輝度印刷層を形成した他方の面のプラスチック基材フィルムや他の基材上に粘着層や接着層を形成し、さらに離型層を形成することによりラベルとすることもできる。粘着層や接着層はゴム系粘着材料やアクリル樹脂系接着材料などプラスチック基材フィルムや他の基材と離型層に密着し、かつ離型層が容易に剥離することができるものであればいずれでもよい。離型層はポリエチレンフィルムやポリエステルフィルムあるいは紙(離型紙)などいずれでもよい。
【0051】
前記高輝度グラビアインキ組成物は、蒸着アルミニウム顔料、熱可塑性樹脂、色材、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。インキ組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
【0052】
前記インキ組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。グラビア印刷で使用されるインキの製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。10mPa・sより小さいと、粘度が低すぎて、顔料が沈降しやすい傾向になり、1,000mPa・sより大きいと、流動性が悪く、インキ製造時に支障が出たり、容器への充填が困難となる。この場合、ブルックフィールド型粘度計やコーンプレート型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
【0053】
前記インキ組成物は、グラビア印刷で使用されることが好ましく、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。10秒より小さいと、泳ぎやすく、40秒より大きいと印刷時の転移性が悪くなる。
【0054】
前記希釈溶剤は、前記インキ組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用でき、特に制限はない。市販品としては、WA735溶剤(アルコール系溶剤)、TA52溶剤(アルコール系溶剤)、PU533溶剤(含トルエン系溶剤)、PU515溶剤(ノントルエン系溶剤)、SL9155溶剤(ノントルエン系溶剤)、CN104溶剤(ノントルエン系溶剤)、AC372溶剤(ノントルエン系溶剤)、PP575溶剤(含トルエン系溶剤)、SL9164溶剤(ノンケトン系溶剤)、SL9170溶剤(ノンケトン系溶剤)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
【0055】
印刷時に、必要に応じて、インキ組成物に、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート、ペンタン−1,5−ジイソシアネート(スタビオPDI)などの脂肪族ジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられる。これらは、一種類または二種類以上混合して使用することができる。市販されているものとしては、24A−100、22A−75、TPA−100、TSA−100、TSS−100、TAE−100、TKA−100、P301−75E、E402−808、E405−70B、AE700−100、D101、D201、A201H(旭化成(株)製)、マイテックY260A(三菱ケミカル(株)製)、コロネート HX、コロネート HL、コロネート L(東ソー(株)製)、デスモデュール N75MPA/X(コベストロジャパン(株)製)、LG硬化剤C(東京インキ(株)製)などが挙げられる。