特許第6894577号(P6894577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894577
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】気体状の媒体のための調量弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 69/54 20060101AFI20210621BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20210621BHJP
   F16K 1/36 20060101ALI20210621BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   F02M69/54 R
   F02M21/02 Z
   F16K1/36 G
   F16K31/06 305L
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-501450(P2020-501450)
(86)(22)【出願日】2018年7月18日
(65)【公表番号】特表2020-527207(P2020-527207A)
(43)【公表日】2020年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2018069491
(87)【国際公開番号】WO2019020452
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2020年1月14日
(31)【優先権主張番号】102017212756.2
(32)【優先日】2017年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】プレッキンガー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンクラー・ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ツェートバウアー・トマス
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−047523(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0138311(US,A1)
【文献】 特開2010−261591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04
F02B 43/00−45/10
F02M 21/00−21/12
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体燃料のための調量弁(1)であって、気体燃料のための少なくとも1つの貫流開口(3)を備えたプレート状のバルブシートエレメント(2)と、少なくとも1つの前記貫流開口(3)を開閉するための、前記バルブシートエレメント(2)と気密に協働するストローク運動可能な閉鎖エレメント(4)と、前記閉鎖エレメント(4)に結合された、補正室(6)を仕切るための波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)とを有しており、前記補正室(6)が前記閉鎖エレメント(4)内に形成された切欠(7)を介して圧力室(8)に接続されていて、それによって前記調量弁(1)の切替え位置とは無関係に前記補正室(6)内および前記圧力室(8)内に同じガス圧が支配する形式のものにおいて、
前記補正室(6)が、前記閉鎖エレメント(4)の、前記バルブシートエレメント(2)に対面する側に配置されていて、軸方向で加圧面(10)によって仕切られており、前記加圧面(10)が、前記閉鎖エレメント(4)に形成されているか、または前記閉鎖エレメント(4)に結合された構成部分(11)に形成されていて、
前記閉鎖エレメント(4)によって形成された可動子(16)に影響を及ぼすための電磁石(15)が設けられていることを特徴とする、気体燃料のための調量弁(1)。
【請求項2】
前記閉鎖エレメント(4)がプレート状に構成されていて、かつ/または前記バルブシートエレメント(2)とは反対側に、前記圧力室(8)に対面する加圧面(9)を有していることを特徴とする、請求項1記載の調量弁(1)。
【請求項3】
前記閉鎖エレメント(4)および/または前記閉鎖エレメント(4)に接続された前記構成部分(11)が、前記バルブシートエレメント(2)に貫通係合することを特徴とする、請求項1または2記載の調量弁(1)。
【請求項4】
前記波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)が少なくとも部分的に前記バルブシートエレメント(2)の中央の切欠(12)内で保持されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の調量弁(1)。
【請求項5】
前記波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)が、該波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)の前記閉鎖エレメント(4)とは反対側の端部で以って、前記補正室(6)を仕切るプレート(13)に接続されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の調量弁(1)。
【請求項6】
前記波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)が、該波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)の前記閉鎖エレメント(4)とは反対側の端部で以って直接的に、または前記プレート(13)を介して間接的にストッパ面(14)に軸方向で支えられていることを特徴とする、請求項5記載の調量弁(1)。
【請求項7】
前記波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)が、該波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)の前記閉鎖エレメント(4)とは反対側の端部で以って直接的に、または前記プレート(13)を介して間接的に前記バルブシートエレメント(2)に結合されていることを特徴とする、請求項5記載の調量弁(1)。
【請求項8】
前記波形ベローズまたは折り畳みベローズ(5)が、軸方向に付勢可能なまたは軸方向に付勢されたばねエレメントを形成していることを特徴とする、請求項2から7までのいずれか1項記載の調量弁(1)。
【請求項9】
前記補正室(6)を仕切る前記加圧面(10)および、前記閉鎖エレメント(4)の、前記圧力室(8)に対面する前記加圧面(9)が半径方向で少なくとも部分的に重なって配置されていることを特徴とする、請求項から8までのいずれか1項記載の調量弁(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の特徴を有する気体状の媒体のための調量弁に関する。
【背景技術】
【0002】
提案された調量弁の好適な使用分野は、内燃機関の燃料供給部であり、この場合、特に、車両、例えば乗用車、商用車、鉄道車両または船舶のガス機関またはガスディーゼルエンジンであってよい。移動用途の他に、エネルギ獲得またはエネルギ発生のための定置の装置に調量弁を使用することも考えられる。
【0003】
特許文献1によれば、ガスバルブ、特に気体状の媒体のための調量弁が公知であり、この調量弁は、プレート状のバルブシートエレメントと、このバルブシートエレメントに関連してストローク運動可能な、バルブシートエレメント内に形成された貫流開口を開放および閉鎖するための閉鎖体とを有している。この場合、閉鎖体はバルブシートエレメントの環状のシール座と協働し、このシール座に向かって閉鎖体がばねのばね力によって軸方向に付勢されている。ガスバルブの開放は、電磁石によって生ぜしめられる。変化する圧力比においてできるだけ精確な燃料調量を保証するために、ガスバルブは圧力補正式に構成されている。このために、閉鎖体は、波形ベローズの形のフレキシブルな仕切り壁に接続されており、この波形ベローズは閉鎖体と共に、インレット側に配置されたリアスペースを仕切っている。入口側のリアスペースは、閉鎖体内に形成された接続流路を介してガスバルブの出口側に接続されているので、閉鎖体の両側に同じガス圧が支配している。さらに、フレキシブルな仕切り壁は、閉鎖体の一方側におけるリアスペースを仕切る表面区分が、閉鎖体の、バルブシートエレメントに面した他方側におけるシール座によって制限された表面区分と概ね同じ大きさとなるように、閉鎖体に固定されている。従って、開放方向および閉鎖方向で同じ大きさの軸方向力が作用するので、閉鎖体に作用する軸方向力は互いに相殺される。従って、ガスバルブの開放時におけるバルブリフトは、ガスバルブ内で優勢な圧力比とは無関係である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102009002836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、圧力差に起因する空圧式の閉鎖力の補正を可能にし、しかも特にコンパクトな構造の、気体状の媒体のための調量弁を提供することである。空圧式の閉鎖力の補正は、効果的かつ安価なアクチュエータ設計の実現に寄与する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、請求項1の特徴を有する調量弁が提案される。本発明の好適な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0007】
提案された調量弁は、気体状の媒体のための少なくとも1つの貫流開口を備えた好適にはプレート状のバルブシートエレメントと、少なくとも1つの貫流開口を開閉するための、バルブシートエレメントと気密に協働するストローク運動可能な閉鎖エレメントと、閉鎖エレメントに結合された、補正室を仕切るための波形ベローズまたは折り畳みベローズとを有している。補正室は、閉鎖エレメント内に形成された切欠を介して圧力室に接続されていて、それによって調量弁の切替え位置とは無関係に補正室内および圧力室内に同じガス圧が支配するようになっている。本発明によれば、補正室が、閉鎖エレメントの、バルブシートエレメントに対面する側に配置されていて、軸方向で加圧面によって仕切られており、この加圧面が、閉鎖エレメントに形成されているか、または閉鎖エレメントに結合された構成部分、特にフランジ構成部分に形成されている。
【0008】
圧力室内のガス圧が上昇すると、それと同時に補正室内のガス圧が上昇する。これにより、閉鎖エレメントに直接的にまたは間接的に作用する、(補正室の位置に基づいて)開放方向に作用する空圧式の圧力が発生する。つまり、補正室を介して、閉鎖方向に作用する空圧式の力に対する反力を生ぜしめることができ、この反力が、閉鎖力を部分的にまたは完全に相殺する。
【0009】
補正の大きさは、これに関連して重要な面の面比に依存する。この場合、重要な面は一方では、閉鎖エレメントに直接的または間接的に形成された、補正室を仕切るための加圧面である。他方では、閉鎖エレメントの、補正室とは反対側に形成されたまたは圧力室に対面する、閉鎖エレメントに形成された加圧面である。面比は、圧力室を介して誘導された、閉鎖方向に作用する空圧式の圧力が、低下され、補正されるかまたはそれどころか追加的に開放方向に作用する力を生ぜしめるために超過されるかどうかを決定する。
【0010】
好適な形式で、補正作用を介して、完全な圧力補正が生ぜしめられるので、圧力を補正する調量弁、または圧力を補正する閉鎖エレメントを備えた調量弁が提供される。これは、一方では、開放のために必要な開放力が僅かであり、他方では調量弁が確実に閉鎖する、という利点を有している。
【0011】
本発明はさらに、同じ標準磁石を使用してより大きい弁構造群が実現可能である、という利点を有する。選択的に、弁の大きさを維持することができるので、より高い最大切替え可能な圧力差が可能である。いずれにしても、標準磁石または量産磁石の使用分野が拡大するので、効果的かつ安価なアクチュエータ設計が提供される。
【0012】
本発明の好適な実施例によれば、閉鎖エレメントは概ねプレート状に構成されている。閉鎖エレメントのプレート形状は、特に軸方向で特にコンパクトに構成された配置を可能にするので、調量弁の取り付け所要スペースを縮小させることができる。調量弁の開放時にバルブシートエレメント内に形成された少なくとも1つの貫流開口の均一な流れを可能にするために、プレート状の閉鎖エレメント内に同様に少なくとも1つの貫流開口を配置することが提案されており、この貫流開口は、バルブシートエレメントの貫流開口に対してずらして配置されている。
【0013】
選択的にまたは補足的に、好適な形式でプレート状の閉鎖エレメントが、バルブシートエレメントとは反対側に、圧力室に対面する加圧面を有するように提案される。つまり閉鎖エレメントは、加圧面を介して流れに晒される。圧力室に対面する加圧面の大きさに依存して、得ようとする補正率に応じて、補正室を仕切る加圧面の大きさを選択することができる。
【0014】
さらに、好適には、閉鎖エレメントおよび/または閉鎖エレメントに接続された構成部分が、バルブシートエレメントに貫通係合する。例えば閉鎖エレメントはフランジ状の突起部を有していてよく、この突起部は、閉鎖エレメントと波形ベローズまたは折り畳みベローズとの必要な接続を形成するために、バルブシートエレメントの切欠を通ってガイドされている。組立を簡単にするために、閉鎖エレメントは複数部分より構成されているか、または別の構成部分、特にフランジ構成部分に接続されていてもよい。フランジ状の突起部またはフランジ構成部分は、十分に大きい加圧面の構成を可能にするので、所望の補正を得るために、このために生ぜしめられた反力が十分に大きいことが保証されている。
【0015】
好適な形式で、補正室を仕切るために用いられる波形ベローズまたは折り畳みベローズは、少なくとも部分的にバルブシートエレメントの中央の切欠内で保持されている。これによって、さらに構造スペースを節約することができる。
【0016】
さらに、波形ベローズまたは折り畳みベローズは、その閉鎖エレメントとは反対側の端部で以って、補正室を仕切るプレートに接続されていることが提案される。プレートは補正室を周囲に対してシールする。
【0017】
補正室内のガス圧の上昇が、閉鎖エレメントに開放方向で作用する空圧式の圧力を生ぜしめることを保証するために、波形ベローズまたは折り畳みベローズが、その前記閉鎖エレメントとは反対側の端部で以って直接的に、またはプレートを介して間接的にストッパ面に軸方向で支えられていることが提案される。ストッパ面は、例えばバルブシートエレメントまたはこのバルブシートエレメントに接続されたストッパエレメントによって形成され得る。
【0018】
本発明の実施態様によれば、波形ベローズまたは折り畳みベローズが、その閉鎖エレメントとは反対側の端部で以って直接的に、またはプレートを介して間接的にバルブシートエレメントに堅固に結合されているように提案される。このような形式で、2つの方向に作用する補正方向が得られる。つまり、閉鎖方向に作用する空圧式の圧力に対する反力だけが生ぜしめられるのではなく、さらに開放方向で閉鎖エレメントに作用する空圧式の圧力に対する反力が生ぜしめられる、ということである。加えて、「2重に作用する」波形ベローズまたは折り畳みベローズは、弁を開放させることなしに、より高い反力に耐えることができる。
【0019】
波形ベローズまたは折り畳みベローズが2重に作用することを前提として、この波形ベローズまたは折り畳みベローズは同時に、軸方向に付勢可能または軸方向に付勢されたばねエレメントを形成することができる。これによって、2重に作用する波形ベローズまたは折り畳みベローズは、閉鎖エレメントを戻すための単数または複数のリターンスプリングを省くことができる。波形ベローズまたは折り畳みベローズのばね剛性は、この波形ベローズまたは折り畳みベローズの幾何学的な寸法によって左右される。波形ベローズまたは折り畳みベローズの基本的な幾何学形状が、要求(機械的な耐負荷能力、圧力等)に基づいて規定されていれば、ばね剛性は、波形または折り畳みの数を介して変えることができる。
【0020】
好適には、補正室を仕切る加圧面および、閉鎖エレメントの、圧力室に対面する加圧面が、半径方向で少なくとも部分的に重なって配置されている。つまり、補正室を介して半径方向で生ぜしめられた反力が、補正しようとする空圧式の圧力の領域内で作用する、ということである。このような形式で、閉鎖エレメントの曲げ負荷が避けられるので、閉鎖エレメントは、例えば薄いプレートとして構成され得る。
【0021】
さらに、閉鎖エレメントに接続されたまたは閉鎖エレメントによって形成された可動子に影響を及ぼすための電磁弁が設けられているように提案されている。従って、本発明による調量弁は好適には電磁式に操作可能であり、この場合、さらに好適には標準磁石または量産磁石を使用することができる。電磁石に通電すると、可動子に作用する磁力を生成する磁界が形成される。可動子は、電磁石の方向に移動する。可動子は、これが閉鎖エレメントに接続された独立した構成部分として構成されていれば、閉鎖エレメントを一緒に移動させるので、閉鎖エレメントはバルブシートエレメントから持ち上がり、少なくとも1つの貫流開口を開放する。閉鎖エレメントが同時に可動子を形成していれば、閉鎖エレメントは磁力によって電磁石の方向に引き寄せられる。閉鎖エレメントに可動子機能が組み込まれていることによって、本発明による調量弁の特にコンパクトに構成された構造型式が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
図2】第2の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
図3a】第3の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
図3b】第3の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
図4a】第4の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
図4b】第4の好適な実施例による本発明の調量弁の概略的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の好適な実施例を以下に添付の図面を用いて詳しく説明する。
【0024】
図1に示された調量弁1は、気体燃料を内燃機関の吸気管路内に調量噴射するために用いられる。調量弁1は、少なくとも部分的に中空円筒形のハウジング部分18を有しており、このハウジング部分18内に、同心的に配置された円弧状の複数の貫流開口3を備えたプレート状のバルブシートエレメント2がはめ込まれている。バルブシートエレメント2の上側に、薄いプレートとして構成されたストローク運動可能な閉鎖エレメント4が配置されており、この閉鎖エレメント4は閉鎖位置で貫流開口3を閉鎖する。ばね17を介して閉鎖エレメント4はバルブシートエレメント2に向かって軸方向で付勢されている。
【0025】
プレート状の閉鎖エレメント4は、ここでは同時に可動子16を形成しており、従って構造スペースが節約される。可動子17または閉鎖エレメント4に影響を及ぼすために電磁石15が設けられており、この電磁石15は、閉鎖エレメント4の上側に配置されている。電磁石15に通電されると、閉鎖エレメント4はばね17のばね力に抗して電磁石15の方向に移動し、調量弁1を開放する。これにより、貫流開口3を介して気体燃料が圧力室8から流出する。電磁石15への通電が終了されると、ばね17が閉鎖エレメント4をその初期位置へ戻す。
【0026】
閉鎖エレメント4は、圧力室8に対面する加圧面9を有しており、この加圧面9に、圧力室8内で優勢なガス圧が作用する。調量弁1が閉じられて圧力室8内のガス圧が上昇すると、閉鎖エレメント4に閉鎖方向で作用する空圧式の圧力を生ぜしめる圧力差が発生する。これにより、調量弁1を開放させるために必要な開放力が上昇するので、場合によっては電磁石15の磁力はもはや十分ではなくなる。
【0027】
これを避けるために、図示の本発明による調量弁1は補正室6を有しており、この補正室は、閉鎖エレメント4の、圧力室8とは反対側に配置されていて、閉鎖エレメント4内に形成された中央の切欠7を介して圧力室8に接続されている。従って、補正室6内では、圧力室8と同じガス圧が優勢となる。補正室6は、半径方向で波形ベローズ5によって仕切られており、この波形ベローズ5は、フランジ構成部分として構成された構成部分11を介して閉鎖エレメント4に堅固に結合されている。これによって、フランジ部分に構成された加圧面10を介して、開放方向で閉鎖エレメント4に作用する、閉鎖力に対する反力を成す空圧式の圧力が生ぜしめられる。何故ならば、波形ベローズ5は他端部で以って、プレート13を介してストッパエレメント20のストッパ面14に支えられていて、このストッパエレメント20は固定エレメント19によってバルブシートエレメント2に堅固に結合されているからである。補正室6内のガス圧が、圧力室8内のガス圧に応じて上昇すると、閉鎖エレメント4に作用する空圧式の力の少なくとも部分的な補正が生ぜしめられる。この場合、補正の程度は、加圧面9,10の圧力比に依存する。
【0028】
図2は、図1の調量弁1の変化例を示す。波形ベローズ5はこの例では、バルブシートエレメント2の中央の切欠12内に完全に保持されていて、プレート13および固定エレメント19を介してバルブシートエレメント2に堅固に結合されている。波形ベローズ5を両側で固定することによる利点について、以下に、類似の実施例を示す図3aおよび図3bの実施例に関連して説明する。
【0029】
図2から、閉鎖エレメント4をバブルシートエレメント2の方向に押圧する、閉鎖エレメント4に作用する閉鎖力が分かる。この閉鎖力は少なくとも部分的に、フランジ構成部分11に構成された加圧面10を介して間接的に閉鎖エレメント4に作用する反力によって補正される。このために、フランジ構成部分11は一方側が閉鎖エレメント4に、また他方側が波形ベローズ5に堅固に結合されている。この場合、フランジ構成部分11は、閉鎖エレメント4に形成された中央の切欠7に貫通係合している。補正室6内および圧力室8内には同じガス圧が支配しているので、補正の大きさは、2つの加圧面9,10の面比を介して決定される。
【0030】
図3aおよび図3bの実施例は、概ね図2の実施例と同じ構成である。プレート13がバルブシートエレメント2に固定されている点のみが相違している。
【0031】
図3aは、閉鎖力が閉鎖エレメント4に作用する場合の波形ベローズ5の補正の作用原理を示す。図3bは、逆方向の補正、つまり開放方向で閉鎖エレメント4に作用する空圧式の圧力における補正を示す。何故ならば、この場合も、波形ベローズ5がその閉鎖エレメント4とは反対側の端部で以ってバルブシートエレメント2にまたはハウジング部分に直接的または間接的に固定されている限り、少なくとも部分的な補正が得られるからである。
【0032】
例えば図4aおよび図4bに示されているように、このような固定がなされていない場合、閉鎖力の補正は行われるが(図4a)、開放力の補正は行われない。何故ならば、この場合、プレート13はストッパ面14から持ち上がるからである(図4b)。
【符号の説明】
【0033】
1 調量弁
2バルブシートエレメント
3 貫流開口
4 閉鎖エレメント
5 波形ベローズまたは折り畳みベローズ
6 補正室
7 切欠
8 圧力室
9,10 加圧面
11 構成部分、フランジ構成部分
12 中央の切欠
14 ストッパ面
15 電磁石
16 可動子
17 ばね
18 ハウジング部分
19 固定エレメント
20 ストッパエレメント
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b