特許第6894578号(P6894578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6894578付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894578
(24)【登録日】2021年6月7日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 61/06 20060101AFI20210621BHJP
   C08L 71/14 20060101ALI20210621BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20210621BHJP
   C08G 6/02 20060101ALI20210621BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20210621BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20210621BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20210621BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20210621BHJP
【FI】
   C08L61/06
   C08L71/14
   C08K5/00
   C08G6/02
   B29C64/112
   B33Y70/00
   B29C64/153
   B29C64/35
【請求項の数】28
【全頁数】46
(21)【出願番号】特願2020-502412(P2020-502412)
(86)(22)【出願日】2018年8月9日
(65)【公表番号】特表2020-530503(P2020-530503A)
(43)【公表日】2020年10月22日
(86)【国際出願番号】CN2018099710
(87)【国際公開番号】WO2019029641
(87)【国際公開日】20190214
【審査請求日】2020年3月3日
(31)【優先権主張番号】201710685162.7
(32)【優先日】2017年8月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520013917
【氏名又は名称】寧夏共享化工有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼金竜
(72)【発明者】
【氏名】彭凡
(72)【発明者】
【氏名】張宏凱
(72)【発明者】
【氏名】馬文
(72)【発明者】
【氏名】韓文
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第104817665(CN,A)
【文献】 特開2015−193035(JP,A)
【文献】 特開2003−001368(JP,A)
【文献】 特表2016−505386(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0321246(US,A1)
【文献】 特開昭52−049290(JP,A)
【文献】 特開平05−255572(JP,A)
【文献】 特開平04−025556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,C08G
B29C,B33Y
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30−75質量%の線状熱可塑性フェノール樹脂及び25−70質量%のフェノール変性フラン樹脂を含むことを特徴とする、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項2】
前記線状熱可塑性フェノール樹脂は、生産原料Aの付加、重合反応により得られるものであり、
前記生産原料Aは、生産原料Aの総質量に対して15−45%のフェノール系化合物、30−60%のアルデヒド系化合物、0.2−0.8%の触媒としての有機酸又は有機酸塩、及び残部の助剤Aを含み、
前記助剤Aは、生産原料Aの総質量に対して1−4%の重合禁止剤、8−28%の有機溶媒、0.3−0.9%のカップリング剤、0.1−0.7%の増靭剤、及び1−5%の変性剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項3】
前記フェノール系化合物は、フェノール、p−アミノフェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、m−アミノフェノール、p−ニトロフェノール、クロロキシレノール及びp−tert−オクチルフェノールのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項4】
前記アルデヒド系化合物は、ホルムアルデヒド及び含有2つ又は2つ以上の炭素原子を含有する液体アルデヒドを含み、
前記液体アルデヒドは、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、トリオキサン、メタアルデヒド、ジメトキシメタン、及びo−クロロベンズアルデヒドのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項5】
前記有機酸は、ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、安息香酸、及びプロピオン酸のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項6】
前記有機酸塩は、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウムのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項7】
前記重合禁止剤は、分子型重合禁止剤であり、ハイドロキノン、p−ベンゾキノン、4−tert−ブチルカテコール及びフェノチアジンのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項8】
前記有機溶媒は、小分子の極性有機溶媒であり、メタノール、エチレングリコール、エタノール、アセトン、イソプロパノール及びメチルブタノンのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項9】
前記カップリング剤は、シランカップリング剤であることを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項10】
前記増靭剤は、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテルケトン及びポリビニルアルコールのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項11】
前記変性剤は、芳香族ソルベントナフサであことを特徴とする、請求項2に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項12】
前記フェノール変性フラン樹脂は、生産原料Bの付加、重合反応により得られるものであり、
前記生産原料Bは、生産原料Bの総質量に対して12−28%のフェノール系化合物、20−70%のフルフリルアルコール、5−15%のアルデヒド系化合物、0.4−1.2%の触媒としての有機酸、及び残部の助剤Bを含み、
前記助剤Bは、生産原料Bの総質量に対して4−16%の希釈剤、0.3−0.7%のpH調整剤、0.3−0.7%のアルデヒド捕捉剤、0.3−1.3%のカップリング剤、0−10%の3D有機廃液、0.2−0.6%の熱安定剤及び3−9%の他の特殊な添加材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項13】
前記フェノール系化合物は、フェノール、ビスフェノールA、及びフェノールのアルキルモノ置換又はアルキル二置換生成物を含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項14】
前記フェノールのアルキルモノ置換又はアルキル二置換生成物は、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−エチルフェノール及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項13に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項15】
前記フルフリルアルコールは、残留アルデヒド含有量≦0.7%、水分含有量≦0.3%、曇点≦10℃、フルフリルアルコール含有量≧98%及び酸度≦0.01mol/Lを満たすことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項16】
前記アルデヒド系化合物は、36.5質量%のホルムアルデヒド水溶液、フルフラール、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド粉末、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトラールのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項17】
前記有機酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、シュウ酸、マロン酸、フェニル酢酸、コハク酸のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項18】
前記希釈剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、トルエン、石油エーテルのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項19】
前記pH調整剤は、48質量%のアルカリ金属水酸化物の水溶液であり、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのうちの1種又は2種の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項20】
前記アルデヒド捕捉剤は、アンモニア含有量が25−28質量%のアンモニア水溶液であることを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項21】
前記カップリング剤は、水性シランカップリング剤であることを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項22】
前記3D有機廃液は、3Dインクジェット印刷による鋳造生産過程におけるプリンタヘッドの洗浄により産生した有機廃液であり、有機廃液における各成分の含有量は、54質量%のエチレングリコール、36質量%のエタノール、2質量%のフラン樹脂、及び8質量%のフルフリルアルコールであることを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項23】
前記熱安定剤は、亜リン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシエステル、ペンタエリスリトール、キシリトール及びマンニトールのうちの1種又は2種以上の混合物を含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項24】
前記他の特殊な添加材は、フェノール変性フラン樹脂の生産使用コストの低減及びフェノール変性フラン樹脂の環境保護性の向上のために添加される樹脂系物質を含み、
前記樹脂系物質は、シロップ、フルクトースのうちの1種又は2種の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項12に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項に記載の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の使用であって、
前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液の存在下での3D付加製造に用いられることを特徴とする、使用。
【請求項26】
前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液は、全酸度が16−32%、遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液又はスルホン酸アルコール溶液であることを特徴とする、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液の使用量は、前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の質量の20−60%であることを特徴とする、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液と付加製造用の生砂材料とを均一に混合し、印刷台上に層状に敷設し、圧電式プリンタヘッドにより按照コンピュータプログラムで設計された三次元モデルに従って、印刷台に前記自己硬化性有機合成樹脂混合物を噴射し、自己硬化性有機合成樹脂混合物と生砂材料表面に塗布された水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液との物理化学反応により砂型を常温下で迅速に硬化させ、1層を敷設、印刷、硬化した後、さらに1層を敷設、印刷、硬化するように、最上層の印刷及び効果を完成するまで繰り返し、次いで、印刷されていない領域の生砂を除去することにより、所望の三次元実体を得ることを特徴とする、請求項25に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機高分子合成材料の技術分野に関し、具体的には、付加製造に用いられる
自己硬化性有機合成樹脂混合物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元印刷(Three Dimensional Printing,3DP)は、
E.Sachsらによって1992年に発表され、インクジェットプリンタの原理に基づ
いて、ノズルから材料液滴を噴射し、特定の経路に従って層ごとに硬化して成形する技術
である。三次元印刷技術は、付加製造技術とも呼ばれている。
【0003】
現在、付加製造技術に用いられている有機合成樹脂接着剤は、自己硬化性フラン樹脂及
び自己硬化性塩基性フェノール樹脂を含む。付加製造技術に用いられている無機樹脂は、
主に自己硬化性の水ガラス接着剤である。
【0004】
特許CN105949418Aに開示されたアルミ鋳物鋳造用3D印刷自己硬化性フラ
ン樹脂、特許CN106543687Aに開示された酸化グラフェン変性3D印刷用自己
硬化性フラン樹脂、及び特許CN104086734Aに開示された3D砂型プリント用
フラン樹脂は、常温で迅速硬化を達成し、工業付加製造技術の基本的な技術要求を満たす
ことができるが、自己硬化性フラン樹脂の耐高温性が悪く、1000℃の高温引張強度が
0.15MPaのみであることにより、後期のキャスティングの際に鋳物には砂粘着及び
縞模様の欠陥が発生する問題があった。このような欠陥は、キャスティング温度に対する
要求が高い大型鋳鉄及び鋳鋼物を生産する時に特に顕著となるので、自己硬化性フラン樹
脂接着剤の大型鋳鉄及び鋳鋼分野におけるさらなる発展が制限された。
【0005】
自己硬化性水ガラス接着剤は、有機樹脂接着剤よりも環境に優しく、コストが低いが、
常温引張強度は約1.2MPaのみに達し、常温強度が低い。また、自己硬化性水ガラス
接着剤には、崩壊性が悪く、鋳造後期の砂除去が困難であるという技術欠陥が一般的に存
在する。例えば、特許CN104923717Aに開示された非鉄金属3D砂型プリント
用無機接着剤は、その圧縮強度が約4.5MPaであり、水ガラス接着剤が小分子構造で
あるので、靭性が小さいため、同じ条件下で、その引張強度が約1.2MPaであり、常
温強度が低く、800℃高温残留強度が約0.5MPaであり、残留強度が高く、崩壊性
が悪いことにより、鋳造後期の砂除去が困難となり、その使用可能時間が5min≦t≦
15minであり、接着剤の活性が低く、生産効率が低下する。
【0006】
フェノール樹脂がフラン樹脂と分子構造が異なるので、自己硬化性塩基性フェノール樹
脂は、良好な耐高温性を有するが、その常温強度が約1.2MPaと低い。例えば、特許
CN104817665Aに開示された3D印刷用塩基性フェノール樹脂は、その常温引
張強度が約1.2MPaであり、常温強度が低い。
【0007】
従来技術の不足は、付加製造により得られた三次元実体の耐高温性が悪く、常温での引
張強度が低く、崩壊性が悪いことにある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、従来技術の不足を克服するために、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混
合物及びその使用を提供することにより、付加製造により得られた三次元実体の耐高温性
が悪く、常温での引張強度が低く、崩壊性が悪いという技術問題を解決することを目的と
する。
【0009】
そのため、本発明は、30−75質量%の線状熱可塑性フェノール樹脂及び25−70
質量%のフェノール変性フラン樹脂を含む付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を
提供する。
【0010】
前記線状熱可塑性フェノール樹脂は、生産原料Aの付加、重合反応により得られるもの
であり、前記生産原料Aは、生産原料Aの総質量に対して15−45%のフェノール系化
合物、30−60%のアルデヒド系化合物、0.2−0.8%の触媒としての有機酸又は
有機酸塩、及び残部の助剤Aを含み、前記助剤Aは、生産原料Aの総質量に対して1−4
%の重合禁止剤、8−28%の有機溶媒、0.3−0.9%のカップリング剤、0.1−
0.7%の増靭剤、及び1−5%の変性剤を含む。
【0011】
生産原料Aにおけるフェノール系化合物は、フェノール、p−アミノフェノール、p−
クレゾール、m−クレゾール、m−アミノフェノール、p−ニトロフェノール、クロロキ
シレノール及びp−tert−オクチルフェノールのうちの1種又は2種以上の組み合わ
せを含む。
【0012】
生産原料Aにおけるアルデヒド系化合物は、ホルムアルデヒド及び含有2つ又は2つ以
上の炭素原子を含有する液体アルデヒドを含み、前記液体アルデヒドは、アセトアルデヒ
ド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、トリオキサン、メタ
アルデヒド、ジメトキシメタン、及びo−クロロベンズアルデヒドのうちの1種又は2種
以上の組み合わせを含む。
【0013】
生産原料Aにおける有機酸は、ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、アクリル酸、安
息香酸及びプロピオン酸のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0014】
生産原料Aにおける有機酸塩は、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、
プロピオン酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウムのうちの1種又は2種以上の組み合
わせを含む。
【0015】
生産原料Aにおける重合禁止剤は、具体的には、分子型重合禁止剤であり、ハイドロキ
ノン、p−ベンゾキノン、4−tert−ブチルカテコール及びフェノチアジンのうちの
1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0016】
生産原料Aにおける有機溶媒は、小分子の極性有機溶媒であり、メタノール、エチレン
グリコール、エタノール、アセトン、イソプロパノール及びメチルブタノンのうちの1種
又は2種以上の組み合わせを含む。
【0017】
生産原料Aにおけるカップリング剤は、シランであり、シランKH−560、シランK
H−550及びシランKH−602のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0018】
生産原料Aにおける増靭剤は、ポリビニルブチラール、ポリエーテルスルホン、ポリフ
ェニレンエーテルケトン及びポリビニルアルコールのうちの1種又は2種以上の組み合わ
せを含む。
【0019】
生産原料Aにおける変性剤は、線状熱可塑性フェノール樹脂の耐高温性を向上させるた
めの芳香族ソルベントナフサであり、S−100芳香族ソルベントナフサ、S−150芳
香族ソルベントナフサ又はS−200芳香族ソルベントナフサのうちの1種又は2種以上
の組み合わせを含む。
【0020】
前記フェノール変性フラン樹脂は、生産原料Bの付加、重合反応により得られるもので
あり、前記生産原料Bは、生産原料Bの総質量に対して12−28%のフェノール系化合
物、20−70%のフルフリルアルコール、5−15%のアルデヒド系化合物、0.4−
1.2%の触媒としての有機酸、及び残部の助剤Bを含み、前記助剤Bは、生産原料Bの
総質量に対して4−16%の希釈剤、0.3−0.7%のpH調整剤、0.3−0.7%
のアルデヒド捕捉剤、0.3−1.3%のカップリング剤、0−10%の3D有機廃液、
0.2−0.6%の熱安定剤及び3−9%の他の特殊な添加材を含む。
【0021】
生産原料Bにおけるフェノール系化合物は、フェノール、ビスフェノールA、及びフェ
ノールのアルキルモノ置換又はアルキル二置換生成物を含む。前記フェノールのアルキル
モノ置換又はアルキル二置換生成物は、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾー
ル、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、3−メチル−5−エチルフェノール及び
2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールのうちの1種又は2種以上の組み
合わせを含む。
【0022】
生産原料Bにおけるフルフリルアルコールは、残留アルデヒド含有量≦0.7%、水分
含有量≦0.3%、曇点≦10℃、フルフリルアルコール含有量≧98%及び酸度≦0.
01mol/Lを満たす。
【0023】
生産原料Bにおけるアルデヒド系化合物は、36.5質量%のホルムアルデヒド水溶液
、フルフラール、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド粉末、ベンズアルデヒド、フ
ェニルアセトアルデヒド、シトラールのうちの1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0024】
生産原料Bにおける有機酸は、ギ酸、酢酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、シュウ酸
、マロン酸、フェニル酢酸、コハク酸のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0025】
生産原料Bにおける希釈剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フルフリ
ルアルコール、エチレングリコール、トルエン、石油エーテルのうちの1種又は2種以上
の組み合わせを含む。
【0026】
生産原料BにおけるpH調整剤は、48質量%のアルカリ金属水酸化物の水溶液であり
、前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムのうちの1種又は
2種の組み合わせを含む。
【0027】
生産原料Bにおけるアルデヒド捕捉剤は、アンモニア含有量が25−28質量%のアン
モニア水溶液である。
【0028】
生産原料Bにおけるカップリング剤は、水性シランであり、シランKH−560、シラ
ンKH−550及びシランKH−602のうちの1種又は2種以上の組み合わせを含む。
【0029】
生産原料Bにおける3D有機廃液は、3Dインクジェット印刷による鋳造生産過程にお
けるプリンタヘッドの洗浄により産生した有機廃液であり、有機廃液における各成分の含
有量は、54質量%のエチレングリコール、36質量%のエタノール、2質量%のフラン
樹脂、及び8質量%のフルフリルアルコールである。
【0030】
生産原料Bにおける熱安定剤は、亜リン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシエス
テル、ペンタエリスリトール、キシリトール及びマンニトールのうちの1種又は2種以上
の混合物を含む。
【0031】
生産原料Bにおける他の特殊な添加材は、フェノール変性フラン樹脂の生産使用コスト
の低減及びフェノール変性フラン樹脂の環境保護性の向上のために添加される樹脂系物質
を含み、前記樹脂系物質は、シロップ、フルクトースのうちの1種又は2種以上の組み合
わせを含む。フルフリルアルコールの一部の代わりに添加される樹脂系物質を使用するこ
とにより、フルフリルアルコールの使用量が減少される。
【0032】
本発明は、前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の使用であって、前記自己
硬化性有機合成樹脂混合物が水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液の存在下での3D付
加製造に用いられる使用をさらに提供する。
【0033】
3D付加製造を行う際に、前記水溶性又はアルコール可溶性酸性溶液は、全酸度が16
−32%、遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液又はスルホン酸アルコール溶液である。
前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液の使用量は、前記付加製造用の自己硬化性有
機合成樹脂混合物の質量の20−60%である。
【0034】
さらに、前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液と付加製造用の生砂材料とを均一
に混合し、印刷台上に層状に敷設し、圧電式プリンタヘッドにより按照コンピュータプロ
グラムで設計された三次元モデルに従って、印刷台に前記自己硬化性有機合成樹脂混合物
を噴射し、自己硬化性有機合成樹脂混合物と生砂材料表面に塗布された水溶性又はアルコ
ール可溶性の酸性溶液との物理化学反応により砂型を常温下で迅速に硬化させ、1層を敷
設、印刷、硬化した後、さらに1層を敷設、印刷、硬化するように、最上層の印刷及び効
果を完成するまで繰り返し、次いで、印刷されていない領域の生砂を除去することにより
、所望の三次元実体を得る。
【0035】
従来技術と比較して、本発明は、以下の有益な効果を有する。
(1)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が10−14mpa.s
であるので、付加製造技術の樹脂粘度に対する要求を満たすことができる。
【0036】
(2)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、常温での引張強度が2.0MPa以上に
達するのに対し、同じ条件下で自己硬化性フラン樹脂接着剤は、常温での引張強度が1.
4MPaのみであり、自己硬化性水ガラス接着剤及び自己硬化性塩基性フェノール樹脂は
、常温での引張強度が1.2MPaのみであるので、本発明の自己硬化性有機合成樹脂混
合物は、常温での強度がより高い。
【0037】
(3)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、1000℃の高温での引張強度が1.2
MPa以上に達するのに対し、同じ条件下で自己硬化性フラン樹脂接着剤は、1000℃
での高温引張強度が0.15MPaのみであるので、本発明の自己硬化性有機合成樹脂混
合物の耐高温性に優れている。
【0038】
(4)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物と全酸度が16−32%、遊離酸が5%以下
のスルホン酸水溶液又はスルホン酸アルコール溶液との反応速度が速く、砂温25℃の場
合に、0.5min≦t≦2min使用可能であるのに対し、同じ条件下で、自己硬化性
フラン樹脂と全酸度が16−32%、遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液又はスルホン
酸アルコール溶液との反応は、3min≦t≦7min使用可能であり、自己硬化性水ガ
ラス接着剤の使用可能時間は5min≦t≦15minであるので、本発明の自己硬化性
有機合成樹脂混合物は、活性が高い。
【0039】
(5)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、1000℃の高温において残留引張強度
が0.2MPa以下と低いのに対し、同じ条件下で、自己硬化性水ガラス接着剤は、10
00℃の高温において残留引張強度が約0.5mpaに達するので、本発明の自己硬化性
有機合成樹脂混合物の崩壊性に優れており、鋳造後期の砂除去が容易である。
【0040】
(6)3Dインクジェット印刷による鋳造生産過程で産生された3D有機廃液を樹脂系
に再利用することにより、樹脂の生産使用コストが低減され、環境への汚染が軽減される
【0041】
(7)原材料フルフリルアルコールの一部の代わりに、前記自己硬化性有機合成樹脂混
合物に環境に優しい材料であるシロップ、フルクトースを導入することにより、樹脂の環
境保護性が向上する。
【0042】
(8)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、体系が安定し、長時間貯蔵されても結晶
が析出することがなく、性能指標は変化しない。
【0043】
本発明の付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物は、常温強度が高く、耐高温性に
優れ、活性が高く、崩壊性が良好であるなどの利点を有し、付加製造に適用され、特に3
D印刷による鋳造用鋳型の生産に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。各実施例は、本発明を実現するための方
式の1種の過ぎず、本発明を制限するものではない。
【0045】
実施例1
第1段階:線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表1に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表1)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Aの総質量に対して30%のフェノール系化合物、0.5%の有機酸触
媒及び2.5%の重合禁止剤をエナメル反応釜に入れ、撹拌しながら、生産原料Aの総質
量に対して45%アルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して18%の有機溶媒、0.4
%の増靭剤及び3%の変性剤を加え、60−90分間撹拌する。
(6)30−35℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して0.6%のシランカップリ
ング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0046】
第2段階:フェノール変性フラン樹脂の製造
各物質の使用量を表2に示す。
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表2)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Bの総質量に対して20%のフェノール系化合物、10%のアルデヒド
系化合物、及び0.8%の有機酸触媒をエナメル反応釜に入れ、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、生産原料Bの総質量に対して25%のフ
ルフリルアルコールを加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに生産原料Bの総
質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、生産原料Bの総質量
に対して0.5%のpH調整剤を加え、pH値を約5.7−6.0に調整し、さらに、生
産原料Bの総質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保
温する。
(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、生産原料Bの総質量に対して6%
の3D有機廃液、0.4%の熱安定剤、及び6%の他の特殊な添加材を加え、引き続き撹
拌しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して10%の希釈剤を加え、引
き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(7)40−45℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.5%のアルデヒド捕捉
剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.8%の水性シランカッ
プリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させた後、生成物を収集し
、使用まで保存する。
【0047】
第3段階:付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の製造
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂35質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂65質量%をエナメル反応釜に加え、撹拌し始め、35−4
0℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出し、包装する
ことにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0048】
上記方法で製造された自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が11.5m
pa.s、20℃での表面張力が34mN/s、不純物含有量が0.04%、遊離ホルム
アルデヒド含有量が0.12%、20℃での密度が1.086g/mlである。その24
h常温引張強度が2.16MPa、1000℃高温引張強度が1.32MPa、1000
℃高温残留引張強度が0.12MPa、25℃での使用可能時間が1.2分間である。
【0049】
実施例2
第1段階:線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表3に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表3)

生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Aの総質量に対して35%のフェノール系化合物、0.3%の有機酸塩
触媒及び3%の分子型重合禁止剤をエナメル反応釜に入れ、撹拌しながら、生産原料Aの
総質量に対して40%のアルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して17%の有機溶媒、0.3
%の増靭剤、及び4%の変性剤を加え、60−90分間撹拌する。
(6)30−35℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して0.4%のシランカップリ
ング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0050】
第2段階:フェノール変性フラン樹脂の製造
各物質の使用量を表4に示す。
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表4)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Bの総質量に対して15%のフェノール系化合物、10%のアルデヒド
系化合物、及び0.8%の有機酸触媒をエナメル反応釜に加え、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、生産原料Bの総質量に対して30%のフ
ルフリルアルコールを加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに生産原料Bの総
質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、生産原料Bの総質量
に対して0.5%のpH調整剤を加えてpH値を約5.7−6.0に調整し、さらに生産
原料Bの総質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保温
する。
(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、生産原料Bの総質量に対して6%
の3D有機廃液、0.4%の熱安定剤及び8%の他の特殊な添加材を加え、引き続き撹拌
しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して8%の希釈剤を加え、引き
続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(7)40−45℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.5%のアルデヒド捕捉
剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.8%の水性シランカッ
プリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させた後、生成物を収集し
、使用まで保存する。
【0051】
第3段階:付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の製造
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂30質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂70質量%をエナメル反応釜に入れ、撹拌し始め、35−4
0℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出し、包装する
ことにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0052】
上記方法で製造された自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が12.0m
pa.s、20℃での表面張力が33mN/s、不純物含有量が0.036%、遊離ホル
ムアルデヒド含有量が0.16%、20℃での密度が1.105g/mlである。その2
4h常温引張強度が2.24MPa、1000℃高温引張強度が1.26MPa、100
0℃高温残留引張強度が0.15MPa、25℃での使用可能時間が1.4分間である。
【0053】
実施例3
第1段階:線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表5に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表5)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Aの総質量に対して40%のフェノール系化合物、0.4%の有機酸又
は有機酸塩触媒及び2.5%の分子型重合禁止剤をエナメル反応釜に加え、撹拌しながら
、生産原料Aの総質量に対して35%のアルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して16%の有機溶媒、0.6
%の増靭剤、及び5%の変性剤を加え、60−90分間撹拌する。
(6)30−35℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して0.5%のシランカップリ
ング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0054】
第2段階:フェノール変性フラン樹脂の製造
各物質の使用量を表6に示す。
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表6)

生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Bの総質量に対して14%のフェノール系化合物、13%のアルデヒド
系化合物、及び0.6%の有機酸触媒をエナメル反応釜に入れ、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、生産原料Bの総質量に対して30%のフ
ルフリルアルコールを加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに生産原料Bの総
質量に対して11%のフルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、生産原料Bの総質量
に対して0.4%のpH調整剤を加えてpH値を約5.7−6.0に調整し、さらに生産
原料Bの総質量に対して11%のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保温
する。
(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、生産原料Bの総質量に対して4%
の3D有機廃液、0.5%の熱安定剤、及び4%の他の特殊な添加材を加え、引き続き撹
拌しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して10%の希釈剤を加え、引
き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(7)40−45℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.4%のアルデヒド捕捉
剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して1.1%の水性シランカッ
プリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させた後、生成物を収集し
、使用まで保存する。
【0055】
第3段階:付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の製造
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂40質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂60質量%をエナメル反応釜に入れ、撹拌し始め、35−4
0℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出し、包装する
ことにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0056】
上記方法で製造された自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が10.8m
pa.s、20℃での表面張力が36mN/s、不純物含有量が0.043%、遊離ホル
ムアルデヒド含有量が0.19%、20℃での密度が1.066g/ml。その24h常
温引張強度が2.09MPa、1000℃高温引張強度が1.35MPa、1000℃高
温残留引張強度が0.14MPa、25℃での使用可能時間が1.6分間である。
【0057】
実施例4
第1段階:線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表7に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表7)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Aの総質量に対して30%のフェノール系化合物、0.5%の有機酸又
は有機酸塩触媒、及び2%の分子型重合禁止剤をエナメル反応釜に入れ、撹拌しながら、
40%のアルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して24%の有機溶媒、0.7
%の増靭剤、及び2%の変性剤を加え、60−90分間撹拌する。
(6)30−35℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して0.8%のシランカップリ
ング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0058】
第2段階:フェノール変性フラン樹脂の製造
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表8)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Bの総質量に対して20%のフェノール系化合物、生産原料Bの総質量
に対して10%のアルデヒド系化合物、及び1%の有機酸触媒をエナメル反応釜に加え、
撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、生産原料Bの総質量に対して25%のフ
ルフリルアルコールを加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに生産原料Bの総質
量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、生産原料Bの総質量
に対して0.4%のpH調整剤を加え、pH値を約5.7−6.0に調整し、并さらに生
産原料Bの総質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保
温する。
(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、生産原料Bの総質量に対して5%
の3D有機廃液、0.5%の熱安定剤及び4.5%の他の特殊な添加材を加え、引き続き
撹拌しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して12%の希釈剤を加え、引
き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(7)40−45℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.3%のアルデヒド捕捉
剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して1.3%の水性シランカッ
プリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させた後、生成物を収集し
、使用まで保存する。
【0059】
第3段階:付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の製造
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂32質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂68質量%をエナメル反応釜に加え、撹拌し始め、35−4
0℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出し、包装する
ことにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0060】
上記方法で製造された自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が12.6m
pa.s、20℃での表面張力が33mN/s、不純物含有量が0.051%、遊離ホル
ムアルデヒド含有量が0.21%、20℃での密度が1.114g/mlである。その2
4h常温引張強度が2.20MPa、1000℃高温引張強度が1.27MPa、100
0℃高温残留引張強度が0.17MPa、25℃での使用可能時間が1.5分間である。
【0061】
実施例5
第1段階:線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表9に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表9)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Aの総質量に対して38%のフェノール系化合物、0.2%の有機酸又
は有機酸塩触媒、及び2%の分子型重合禁止剤をエナメル反応釜に加え、撹拌しながら、
44%のアルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して13%の有機溶媒、0.4
%の増靭剤及び2%の変性剤を加え、60−90分間撹拌する。
(6)30−35℃に降温し、生産原料Aの総質量に対して0.4%のシランカップリ
ング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0062】
第2段階:フェノール変性フラン樹脂の製造
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表10)


生産手順及びプロセス条件
(1)生産原料Bの総質量に対して25%のフェノール系化合物、8%のアルデヒド系
化合物、及び0.5%の有機酸触媒をエナメル反応釜に加え、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、生産原料Bの総質量に対して30%のフ
ルフリルアルコールを加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに生産原料Bの総
質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、生産原料Bの総質量
に対して0.4%のpH調整剤を加えてpH値を約5.7−6.0に調整し、さらに生産
原料Bの総質量に対して10%のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保温
する。
(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、生産原料Bの総質量に対して0.
5%の熱安定剤及び6.5%の他の特殊な添加材を加え、引き続き撹拌しながら50−6
0分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して8%の希釈剤を加え、引き
続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(7)40−45℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.5%のアルデヒド捕捉
剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、生産原料Bの総質量に対して0.6%の水性シランカッ
プリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反応させた後、生成物を収集し
、使用まで保存する。
【0063】
第3段階:付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の製造
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂34質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂66質量%をエナメル反応釜に加え、撹拌し始め、35−4
0℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出し、包装する
ことにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0064】
上記方法で製造された自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が11.9m
pa.s、20℃での表面張力が32mN/s、不純物含有量が0.024%、遊離ホル
ムアルデヒド含有量が0.22%、20℃での密度が1.124g/mlである。その2
4h常温引張強度が2.28MPa、1000℃高温引張強度が1.35MPa、100
0℃高温残留引張強度が0.11MPa、25℃での使用可能時間が1.6分間である。
【0065】
実施例6
自己硬化性有機合成樹脂混合物の具体的な製造方法は、線状熱可塑性フェノール樹脂を
製造する第1段階、フェノール変性フラン樹脂を製造する第2段階、及び線状熱可塑性フ
ェノール樹脂とフェノール変性フラン樹脂とを特定の比例で混合して付加製造用の自己硬
化性有機合成樹脂混合物を得る第3段階の3つの段階に分けれる。
【0066】
第1段階:前記線状熱可塑性フェノール樹脂の製造
各物質の使用量を表11に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表11)


生産手順及びプロセス条件
(1)フェノール系化合物、有機酸又は有機酸塩触媒、及び重合禁止剤をエナメル反応
釜に入れ、撹拌しながら、アルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、有機溶媒、増靭剤及び変性剤を加え、60−90分間撹
拌する。
(6)30−35℃に降温し、カップリング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生
成物を収集し、使用まで保存する。
【0067】
第2段階:前記フェノール変性フラン樹脂の製造
各物質の使用量を表12に示す。
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表12)


生産手順及びプロセス条件
(1)フェノール系化合物、アルデヒド系化合物、及び有機酸触媒をエナメル反応釜に
加え、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、2分の1の量のフルフリルアルコールを
加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに4分の1の量の
フルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、pH調整剤を加え、
さらに残りの4分の1の量のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保温する

(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、3D有機廃液、熱安定剤及び他の
特殊な添加材を加え、引き続き撹拌しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、希釈剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反
応させる。
(7)40−45℃に降温し、アルデヒド捕捉剤を加え、引き続き撹拌しながら30−
60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、カップリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−6
0分間反応させた後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0068】
第3段階:前記自己硬化性有機合成樹脂混合物の実施形態
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂30質量%と第2段階で製造された
フェノール変性フラン樹脂70質量%とを特定の比例でエナメル反応釜に入れ、撹拌し始
め、35−40℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出
し、包装することにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0069】
実施例7
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0070】
具体的な相違点を表13及び表14に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表13)

生産原料Bにおける各物質の使用量表(表14)
【0071】
実施例8
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0072】
具体的な相違点を表15及び表16に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表15)


生産原料Bにおける各物質の使用量表(表16)
【0073】
実施例9
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0074】
具体的な相違点を表17及び表18に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表17)

生産原料Bにおける各物質の使用量表(表18)

【0075】
実施例10
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0076】
具体的な相違点を表19及び表20に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表19)


生産原料Bにおける各物質の使用量表(表20)
【0077】
実施例11
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0078】
具体的な相違点を表21及び表22に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表21)


生産原料Bにおける各物質の使用量表(表22)
【0079】
実施例12
生産原料A及び生産原料Bにおける各物質の具体的な成分及び割合が実施例6と異なる
以外、生産方式は実施例6と同様である。
【0080】
具体的な相違点を表23及び表24に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表23)

生産原料Bにおける各物質の使用量表(表24)
【0081】
上記のように、自己硬化性有機合成樹脂混合物の具体的な製造方法は、線状熱可塑性フ
ェノール樹脂を製造する第1段階、フェノール変性フラン樹脂を製造する第2段階、及び
線状熱可塑性フェノール樹脂とフェノール変性フラン樹脂とを特定の比例で混合して付加
製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る第3段階の3つの段階に分けれる。
【0082】
第1段階:前記線状熱可塑性フェノール樹脂の制造
各物質の使用量を表25に示す。
生産原料Aにおける各物質の使用量表(表25)

生産手順及びプロセス条件
(1)フェノール系化合物、有機酸又は有機酸塩触媒、及び重合禁止剤をエナメル反応
釜に加え、撹拌しながらアルデヒド系化合物を加える。
(2)蒸気弁を開き、25−30分間内で85−90℃に昇温し、30−40分間保温
する。
(3)保温終了後、10−20分間内で100−105℃に昇温し、120−150分
間保温する。
(4)標準脱水量に達するまで真空脱水する。
(5)70−75℃に降温し、有機溶媒、増靭剤及び変性剤を加え、60−90分間撹
拌する。
(6)30−35℃に降温し、カップリング剤を加え、40−60分間撹拌した後、生
成物を収集し、使用まで保存する。
【0083】
第2段階:前記フェノール変性フラン樹脂制造
各物質の使用量を表26に示す。
生産原料Bにおける各物質の使用量表(表26)

生産手順及びプロセス条件
(1)フェノール系化合物、アルデヒド系化合物、及び有機酸触媒をエナメル反応釜に
入れ、撹拌し始める。
(2)蒸気弁を開き、70−75℃に昇温し、2分の1の量のフルフリルアルコールを
加え、55−60分間保温する。
(3)保温終了後、10−20分間内で80−85℃に昇温し、さらに4分の1の量の
フルフリルアルコールを加え、60−90分間保温する。
(4)保温終了後、10−20分間内に95−100℃に昇温し、pH調整剤を加え、
さらに残りの4分の1の量のフルフリルアルコールを加え、120−150分間保温する

(5)保温終了後、温度を95−100℃に保持し、加入3D有機廃液、熱安定剤及び
他の特殊な添加材,引き続き撹拌しながら50−60分間反応させる。
(6)60−65℃に降温し、希釈剤を加え、引き続き撹拌しながら30−60分間反
応させる。
(7)40−45℃に降温し、アルデヒド捕捉剤を加え、引き続き撹拌しながら30−
60分間反応させる。
(8)30−35℃に降温し、カップリング剤を加え、引き続き撹拌しながら30−6
0分間反応させた後、生成物を収集し、使用まで保存する。
【0084】
第3段階:前記自己硬化性有機合成樹脂混合物の実施形態
第1段階で製造された線状熱可塑性フェノール樹脂30質量%及び第2段階で製造され
たフェノール変性フラン樹脂70質量%を特定の比例でエナメル反応釜に入れ、撹拌し始
め、35−40℃に昇温し、保温しながら60−90分間撹拌し、生成物を収集し、検出
し、包装することにより、付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物を得る。
【0085】
実施例13
前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物は、水溶性又はアルコール可溶性の酸
性溶液の存在下での3D付加製造に適用できる。
【0086】
3D付加製造を行う際に、水溶性又はアルコール可溶性酸性溶液は、全酸度が32%、
遊離酸が5%以下のスルホン酸アルコール溶液を使用し、スルホン酸アルコール溶液の使
用量が前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の質量の20%である。
【0087】
3Dを行う際に、まずスルホン酸アルコール溶液と付加製造用の生砂材料とを均一に混
合し、印刷台上に層状に敷設し、圧電式プリンタヘッドにより按照コンピュータプログラ
ムで設計された三次元モデルに従って、印刷台に前記自己硬化性有機合成樹脂混合物を噴
射し、自己硬化性有機合成樹脂混合物と生砂材料表面に塗布されたスルホン酸アルコール
溶液との物理化学反応により砂型を常温下で迅速に硬化させ、1層を敷設、印刷、硬化し
た後、さらに1層を敷設、印刷、硬化するように、最上層の印刷及び効果を完成するまで
繰り返し、次いで、印刷されていない領域の生砂を除去することにより、所望の三次元実
体を得る。
【0088】
前記三次元実体は、鋳造用鋳型に印刷することができる。前記鋳造用鋳型は、様々な金
属加工品の鋳造生産に用いられ、常温強度が高く、耐高温性に優れ、活性が高く、崩壊性
が良好などの利点を有するので、鋳造生産が大幅に便利になる。
【0089】
実施例14
前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物は、水溶性又はアルコール可溶性の酸
性溶液の存在下での3D付加製造に適用できる。
【0090】
3D付加製造を行う際に、水溶性又はアルコール可溶性酸性溶液は、全酸度が16%、
遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液を使用し、スルホン酸水溶液の使用量が前記付加製
造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物の質量の60%である。
【0091】
具体的には、3D印刷を行う際に、スルホン酸水溶液と付加製造用の生砂材料とを均一
に混合し、印刷台上に層状に敷設し、圧電式プリンタヘッドにより按照コンピュータプロ
グラムで設計された三次元モデルに従って、印刷台に前記自己硬化性有機合成樹脂混合物
を噴射し、自己硬化性有機合成樹脂混合物と生砂材料表面に塗布されたスルホン酸水溶液
との物理化学反応により砂型を常温下で迅速に硬化させ、1層を敷設、印刷、硬化した後
、さらに1層を敷設、印刷、硬化するように、最上層の印刷及び効果を完成するまで繰り
返し、次いで、印刷されていない領域の生砂を除去することにより、所望の三次元実体を
得る。
【0092】
実施例15
前記付加製造用の自己硬化性有機合成樹脂混合物は、水溶性又はアルコール可溶性の酸
性溶液の存在下での3D付加製造に適用できる。
【0093】
3D付加製造を行う際に、水溶性又はアルコール可溶性酸性溶液は、全酸度が16−3
2%、遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液又はスルホン酸アルコール溶液を使用する。
前記水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液の使用量は、前記付加製造用の自己硬化性有
機合成樹脂混合物の質量の20%−60%である。
【0094】
3D印刷を行う際に、水溶性又はアルコール可溶性の酸性溶液と付加製造用の生砂材料
とを均一に混合し、印刷台上に層状に敷設し、圧電式プリンタヘッドにより按照コンピュ
ータプログラムで設計された三次元モデルに従って、印刷台に前記自己硬化性有機合成樹
脂混合物を噴射し、自己硬化性有機合成樹脂混合物と生砂材料表面に塗布された水溶性又
はアルコール可溶性の酸性溶液との物理化学反応により砂型を常温下で迅速に硬化させ、
1層を敷設、印刷、硬化した後、さらに1層を敷設、印刷、硬化するように、最上層の印
刷及び効果を完成するまで繰り返し、次いで、印刷されていない領域の生砂を除去するこ
とにより、所望の三次元実体を得る。
【0095】
測定したところ、前記各実施例から以下のデータを得ることができる。
(1)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、25℃での粘度が10−14mpa.s
であるので、付加製造技術の樹脂粘度に対する要求を満たすことができる。
【0096】
(2)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、常温での引張強度が2.0MPa以上に
達するのに対し、同じ条件下で自己硬化性フラン樹脂接着剤は、常温での引張強度が1.
4MPaのみであり、自己硬化性水ガラス接着剤及び自己硬化性塩基性フェノール樹脂は
、常温での引張強度が1.2MPaのみであるので、本発明の自己硬化性有機合成樹脂混
合物は、常温での強度がより高い。
【0097】
(3)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、1000℃の高温での引張強度が1.2
MPa以上に達するのに対し、同じ条件下で自己硬化性フラン樹脂接着剤は、1000℃
での高温引張強度が0.15MPaのみであるので、本発明の自己硬化性有機合成樹脂混
合物の耐高温性に優れている。
【0098】
(4)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物と全酸度が16−32%、遊離酸が5%以下
のスルホン酸水溶液又はスルホン酸アルコール溶液との反応速度が速く、砂温25℃の場
合に、0.5min≦t≦2min使用可能であるのに対し、同じ条件下で、自己硬化性
フラン樹脂と全酸度が16−32%、遊離酸が5%以下のスルホン酸水溶液又はスルホン
酸アルコール溶液との反応は、3min≦t≦7min使用可能であり、自己硬化性水ガ
ラス接着剤の使用可能時間は5min≦t≦15minであるので、本発明の自己硬化性
有機合成樹脂混合物は、活性が高い。
【0099】
(5)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、1000℃の高温において残留引張強度
が0.2MPa以下と低いのに対し、同じ条件下で、自己硬化性水ガラス接着剤は、10
00℃の高温において残留引張強度が約0.5mpaに達するので、本発明の自己硬化性
有機合成樹脂混合物の崩壊性に優れており、鋳造後期の砂除去が容易である。
【0100】
(6)3Dインクジェット印刷による鋳造生産過程で産生された3D有機廃液を樹脂系
に再利用することにより、樹脂の生産使用コストが低減され、環境への汚染が軽減される
【0101】
(7)原材料フルフリルアルコールの一部の代わりに、前記自己硬化性有機合成樹脂混
合物に環境に優しい材料であるシロップ、フルクトースを導入することにより、樹脂の環
境保護性が向上する。
【0102】
(8)前記自己硬化性有機合成樹脂混合物は、体系が安定し、長時間貯蔵されても結晶
が析出することがなく、性能指標は変化しない。
【0103】
本発明は、前記実施例に限定されず、本発明で開示される技術手段に基づいて、当業者
で荒れば、創造的な努力なしでいくつかの技術特徴を置換及び変形することができ、これ
らの置換及び変形は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。