(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、そのような有毒ガスマスクが置かれている場所は職場など限りがあり、いざというとき身近に無く役に立ちづらかった。
【0005】
そこで、発明者は、スマートフォンは常に身近に置いてすぐ使えるようにしている人々が多いことに着目し、火事などの際、
図1や
図2の手帳型スマートフォンケースが防煙・防毒マスクに利用できる可能性を発見した。ここで、10はスマートフォン、1’は手帳型スマートフォンケースである。
【0006】
本発明は、上記従来の技術の課題に鑑みて、防煙・防毒機能を持つ手帳型スマートフォンケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、
左右又は上下に折り畳み可能な、スマートフォン用のケース機能を有する本体を備えた手帳型スマートフォンケースであって、
顔当て部が少なくとも前記本体のほぼ全体によって形成され、
前記手帳型スマートフォンケースの本体を開いたまま顔に押し当てることによって、前記顔当て部が前記顔の少なくとも鼻と口を覆い囲うことが可能であって、
防煙・防毒マスクの機能を持ち、
前記顔当て部は囲い部材を有し、
前記囲い部材の少なくとも一部は、前記本体に取り付けられているとともに、立った状態と寝た状態が選択出来、前記囲い部材は、スマートフォンケースとして使用時には寝た状態となり、前記防煙・防毒マスクとしての使用時には立った状態とすることが出来る手帳型スマートフォンケースである。
【0008】
第2の本発明は、
前記囲い部材は、前記寝た状態では、前記本体の内側に折り畳まれて寝た状態となる、第1の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0009】
第3の本発明は、
前記手帳型スマートフォンケースの本体の一部または、前記囲い部材の一部には、空気取り込み部が設けられている、第1の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0010】
第4の本発明は、
前記空気取り込み部には吸入管が連通状態で取り付けられており、
使用時には、外部の空気が前記吸入管だけを通じて取り込まれる、第3の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0011】
第5の本発明は、
前記空気取り込み部は、煙や有毒ガスをフィルタリングできるフィルタ層あるいはフィルタ部材を有する、第3の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0012】
第6の本発明は、
前記空気取り込み部の前記フィルタ層あるいは前記フィルタ部材は、金属性の板、枠、または箔で構成される密封部材を利用して密封されている、第5の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0013】
第7の本発明は、
酸素発生剤が前記密封部材の中に備えられている、第6の本発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0014】
以下の各発明は、上記本発明に関連する発明である。
【0015】
すなわち、
第1の関連発明は、
左右又は上下に折り畳み可能な、スマートフォン用のケース機能を有する本体を備えた手帳型スマートフォンケースであって、
顔当て部が少なくとも前記本体のほぼ全体によって形成され、
前記手帳型スマートフォンケースの本体を開いたまま顔に押し当てることによって、前記顔当て部が前記顔の少なくとも鼻と口を覆い囲うことが可能であって、
防煙・防毒マスクの機能を持つことを特徴とする手帳型スマートフォンケースである。
【0016】
第2の関連発明は、
前記顔当て部は囲い部材を有し、
前記囲い部材の少なくとも一部は、前記本体に取り付けられているとともに、立った状態と寝た状態が選択出来、前記囲い部材は、スマートフォンケースとして使用時には寝た状態となり、前記防煙・防毒マスクとしての使用時には立った状態とすることが出来る、第1の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0017】
第3の関連発明は、
前記囲い部材は、前記寝た状態では、前記スマートフォンケースの本体の内側に折り畳まれて寝た状態となる、第2の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0018】
第4の関連発明は、
前記手帳型スマートフォンケースの本体の一部または、前記囲い部材の一部には、空気取り込み部が設けられている、第2の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0019】
第5の関連発明は、
前記空気取り込み部には吸入管が連通状態で取り付けられており、使用時には、外部の空気が前記吸入管だけを通じて取り込まれる、第4の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0020】
第6の関連発明は、
前記空気取り込み部は、煙や有毒ガスをフィルタリングできるフィルタ層あるいはフィルタ部材を有する、第4の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0021】
第7の関連発明は、
前記空気取り込み部の前記フィルタ層あるいはフィルタ部材は、金属性の板、枠、または箔で構成される密封部材を利用して密封されている、第6の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【0022】
第8の関連発明は、
酸素発生剤が前記密封部材の中に備えられている、第7の関連発明の手帳型スマートフォンケースである。
【発明の効果】
【0023】
第1の本発明によって、簡単に身近な手帳型スマートフォンケースを火事の際の防煙・防毒マスクにすることが出来る。さらに、普段は囲い部材を寝かせておいて、スマートフォンのケースとして利用し、火事の際は、囲い部材を立てることによって、防煙・防毒マスク化出来る。
【0024】
第2の本発明は、囲い部材が折り畳まれているため、スマートフォンのケースとして利用する際にも囲い部材は邪魔にならない。
【0025】
第3の本発明は、空気取り込み部があるため、長時間防煙・防毒機能を発揮出来る。
【0026】
第4の本発明は、吸気管によって、きれいな空気を取り込むことができる。
【0027】
第5の本発明は、フィルタリングによりきれいな空気を取り込むことができる。
【0028】
第6の本発明は、密封されているので長期間にわたって、防煙・防毒機能が保持できる。
【0029】
第7の本発明は、酸素発生剤により酸素を供給できるとともに、その性能も長期間保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の、スマートフォンがセットされた手帳型スマートフォンケースの斜視図
【
図3】本発明の実施の形態にかかる手帳型スマートフォンケースの斜視図
【
図4】同実施の形態において、囲い部材を立てた状態を示す斜視図
【
図5】同実施の形態における、フィルタ層などを示す略示断面図
【
図6】(A)、(B)同実施の形態における囲い部材の折りたたみ方を示す斜視図
【
図7】(A)、(B)同実施の形態の手帳型スマートフォンケースの使用方法を示す図
【
図8】顔と、同実施の形態のスマートフォンケースの囲い部材との関係を示す正面図
【
図9】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図10】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図11】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図12】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図13】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図14】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例1を示す図
【
図15】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2を示す図
【
図16】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2を示す図
【
図17】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2を示す図
【
図18】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2を示す図
【
図19】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2を示す図
【
図20】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2の変形例を示す図
【
図21】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2の変形例を示す図
【
図22】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2の変形例を示す図
【
図23】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例2の変形例を示す図
【
図24】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例3を示す図
【
図25】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例3を示す図
【
図26】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例3の変形例を示す図
【
図27】同実施の形態における空気取り込み部の組み立て方などの具体例4を示す図
【
図29】
図28の例のおける、吸入管44の普段の収納状態を示す図
【
図31】
図30の例のおける、吸入管44の普段の収納状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の手帳型スマートフォンケースの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0032】
図3は、本発明における実施の形態における、左右に折り畳み可能なタイプの手帳型スマートフォンケースの斜視図であり、
図4は、その手帳型スマートフォンケースの囲い部材を立てた状態を示す斜視図である。
【0033】
図3において、1はスマートフォンケースの本体、2は折り畳まれた状態の囲い部材、3はスマートフォンケースの本体1の主面、4はスマートフォン10をスマートフォンケースの本体1に取り付けるための基片、5は手帳型スマートフォンケースを閉じたときの連結片、6は囲い部材2をスマートフォンケースの本体1の主面3へ寝かせた状態で接合するための面ファスナー、7は囲い部材2を折り畳んだ場合の互いを接合するための面ファスナーである。なお、囲い部材2は本発明の顔当て部Fの一部である。すなわち、本実施の形態における顔当て部Fは、上記スマートフォンケースの本体1のほぼ全体と、囲い部材2とで構成されている。
【0034】
ここに、
図3は囲い部材2を折り畳みながら寝かせた状態を示す。囲い部材2は上下に位置する囲い部材2aと左右に位置する囲い部材2bとから構成される。その隣り合う囲い部材2aと2bとは、後述するようにしてその両端において折り畳まれて、スマートフォンケースの本体1の主面3に密着しており、面ファスナー6によってその密着は保持され、囲い部材2a,2b同士も密着しており、面ファスナー7によってその密着は保持されている。
【0035】
更に、
図3では省略しているが、
図4に示すように、スマートフォンケースの本体1の主面3には、空気取り込み部8が設けられている。この空気取り込み部8は、
図5に示すように、主に、外側から順に、保護表層8a、フィルタ層8bとから構成されている。
【0036】
このフィルタ層8bは、一酸化炭素、煤煙、塩化水素、硫化水素などの有毒ガスをフィルタリングする機能を有する層である。保護表層8aはそのフィルタ層8bを保護する表側の層であって、空気を取り込める多数の孔が開けられている。なお、囲い部材2は上述のように寝た状態ではこのフィルタ層8bに全面的又は部分的に接合している。この囲い部材2は通常、空気を通過させない材料で出来ているが、上記フィルタ層の機能を持たせる場合は空気を通過させることも可能である。
【0037】
次に、囲い部材2の折り畳み方を説明する。
図6はその折り畳み方の一例を示し、
図6(A)は上方の囲い部材2aの端2a1が下側に、左側の囲い部材2bの端2b1が上側に来るようにして(中抜き矢印参照)、折り畳む様子を示す。
図6(B)はその結果を示す。なお折り畳み方はこれに限らず任意の折り畳み方でよい。
【0038】
次に、火事が発生した場合について説明する。先ず、スマートフォンケースの本体1を左右に開き、それからスマートフォン10を取り外す。その後、上記
図3に示すような囲い部材2が寝た状態で、中抜き矢印で示す場所を、指で引っ掛けて面ファスナー6,7を剥がし、
図4に示すように十分に立設させる。そのように囲い部材2を上下左右に十分に立てた状態の手帳型スマートフォンケースの本体1を開いたままで、
図7に示すように、手のひらで表側を持ち、顔の鼻と口を覆うように、囲い部材2を顔面に押し付ける。
図7(A)はその様子を示す斜視図、
図7(B)はその様子を示す略示断面図である。
【0039】
このようにすることで、火事で発生した有毒ガスをフィルタリングしながら呼吸することが出来るので緊急避難が可能になる。
【0040】
次に、更に上記実施の形態について詳細に説明する。
【0041】
図8に示すように、出来るだけ、老若男女問わず顔にフィットする囲い部材2が望ましいので、先に老若男女に対応した色々な囲い部材2の形を決めて、それをスマートフォンケースの本体1に取り付け、そして折り畳めるようにすることが望ましい。そのためには、スマートフォンケースの本体1の外周縁から囲い部材2を立ち上げる必要は必ずしもない。このようにすることによって、顔との隙間を無くすことが出来る。すなわち、通常スマートフォンケースの本体1の形状は矩形状であるが、囲い部材2の形状は矩形状に限られない。
【0042】
図9〜
図26は空気取り込み部8の詳細な各具体例を示す。
【0043】
<具体例1>
スマートフォンケースの本体1の主面3に窓25を開けておき(
図12参照)、そこに次のようにして組み立てた部材を嵌めこむやり方である。
【0044】
図9に示すように、こしのある堅固な多孔板20に、少なくともフィルタ層を有するフィルタ部材21を貼り合わせる。それをアルミ枠22に嵌めこむ。
図10(A)はその嵌め込まれた状態の斜視図であり、
図10(B)はその断面側面図である。なお、
図10(C)は多孔板20とフィルタ部材21の間にスペーサ23を介在させた例であって、フィルタ部材21と多孔板20が密着し過ぎて、フィルタ機能が落ちることを防止するためである。
【0045】
図11(A)は、そのようにしてはめ込まれた部材の表と裏側から、アルミ箔24を貼り付けた斜視図であり、
図11(B)はその断面図である。アルミ箔24はアルミ枠22に接着しているので密封性が高い。
【0046】
図12は、そのようにしてアルミ箔24が接着され、フィルタ部材21が密封された部材を、主面3に窓25が開けられたスマートフォンケースの本体1に嵌めこむ図である。嵌め込む際、しっかり接着固定する必要がある。後でアルミ箔24を剥がすときぐらついてはいけないからである。26はスペーサ部材であり、スマートフォンの不使用時に、スマートフォンケースの本体1を畳んだ時、フィルタ部材21に主面3が強く当たることを防ぐ機能を果たす。
【0047】
このように、空気取り込み部8のフィルタ層あるいはフィルタ部材21などは、金属性の板、枠、または箔で構成される密封部材を利用して密封されている。なお、以下の実施例でも同様なことがいえる。
【0048】
図13はその後、その上から、化粧シート27を貼り付けた内側の斜視図であり、
図14はその外側の斜視図である。
【0049】
<具体例2>
図15は従来設けられているスマートフォンの、合成皮革本体のこし用部材として樹脂板28を利用するものであって、それ自体に多孔28aを開けて、それを利用する例である。
図15、
図16に示すように、合成皮革本体の表と裏に窓Wが開けられ、その窓Wに露出している部分の樹脂板28に多孔28aが穿設され、さらにその樹脂板28の多孔29aを囲うように周囲に、表裏ともにアルミ枠29を貼り付ける。
【0050】
更に、
図17(A)の斜視図と、
図17(B)の断面図に示すように、内側の方のアルミ枠29にのみフィルタ部材21を嵌め込む。その上を、
図18の斜視図、
図19の断面図に示すように、アルミ箔30で表裏とも覆っている。これによって、フィルタ部材21の密着性が確保できる。
【0051】
図20は具体例2の変形例である。この例では合成皮革本体のこし用部材としてアルミ板28’を利用する。すなわち、
図20に示すように、合成皮革本体の表と裏にそれぞれ開けられた窓Wに露出しているアルミ板28’部分自体に、多孔28’aを穿設している。
【0052】
次に、
図21(A)に示すように、そのアルミ板28’の内側に凹み28’bが形成されており、その凹み28’bにフィルタ部材21を嵌め込む。
【0053】
あるいは
図21(B)に示すように、凹み28’bを形成せず、アルミ板28’の内側にそのままフィルタ部材21を貼り付けてもよい。
【0054】
次に、
図22(A)、(B)に示すように、表裏からアルミ箔30を貼り付ける。金属同士の接着であるから密封性が高い。
図23はその状態を示す内側斜視図である。この変形例ではアルミ枠29を用いないのでコストダウンとなる。
【0055】
他方、合成皮革本体については、最初、2枚のシート部材の外周を縫い合わせておくが、隣り合う2辺は閉じないでおき、その個所から上述した
図22(A)、(B)の部材を差込み挿入し、窓Wとアルミ箔30などの位置合わせをしたのち、貼り合わせる。その貼り合わせは例えば、皮革の窓Wの内縁の周囲に接着剤付きシリコンテープを予め貼付しておき、シリコンテープを剥がしながら貼り合わせていく。
【0056】
最後に、皮革の上記隣り合う2辺を縫い閉じする。
【0057】
<具体例3>
図24(B)に示すように、スマートフォンケースの本体1のこし用樹脂板に窓31を空けておく。他方、
図24(A)に示すように、多孔33のアルミ板32を用意する。そこで、
図24(C)に示すように、そのアルミ板32の片側にフィルタ部材21を多孔33を覆うように貼り付ける。その際、フィルタリング機能を落とさないように、隙間Sを設けておく。その上から更に、表側も裏側も、アルミ箔30で覆う。
【0058】
その後、
図25に示すように、そのアルミ箔30で覆った部材を、スマートフォンケースの本体1に設けられている上記窓31を内側から覆うように窓31の内縁部に貼り付ける。なお、外側に来る外側の舌片30aは樹脂板の窓31をくぐらせて組み立てる。その樹脂板へのアルミ板32の接着も剥がれないように強固にする必要がある。なお、窓31の内縁部に貼り付けたが、それに代えて、窓31に嵌め込むことも可能である。
【0059】
なお、
図24(C)では、アルミ箔30を表側も裏側も覆って貼り付けたが、変形例として、
図26(C)に示すように、表側は貼り付けず、内側のみアルミ箔30を貼り付けておき、それを
図26(B)に示すスマートフォンケースの本体1の窓31の内側の内縁部に貼り付け、それから
図26(A)に示す表側アルミ箔30を表側から貼り付けるようにしてもよい。
図26(D)が完成品である。
【0060】
<具体例4>
図27(A)に示すように、スマートフォンケースの本体1のこし用部材として、アルミ板40を用いる。そこには多孔41が形成され、さらに、それらの多孔41にはそれぞれフィルタ部材21が詰め込まれている。
図27(B)に示すように、その表側と裏側から、アルミ箔30、30を貼り付ける。
【0061】
多孔41の大きさは出来るだけ大きいことが、フィルタ機能を発揮するうえで望ましい。
【0062】
なお、更なる変形例としては、酸素発生剤を取り付けておくことが望ましい。その場合は、アルミ箔30で封入された内側に配置することが望ましい。そうすることで経年劣化を防ぐことができるからである。さらにその取り付け位置としては、出来るだけ使用時における口に近い位置が望ましい。使用時に人が吐く息の湿り気も酸素発生に利用できるからである。なお、酸素発生剤は、アルミ箔30の内側でなくても、そのアルミ箔30の外側の、例えば囲い部材2の内側に備えられていてもよい。
【0063】
その酸素発生剤を使用するときは、その素材にもよるが、水やお茶を適宜掛けることによって酸素を発生させる。適当な水やお茶が見当たらないときは、唾を吹き付けることも可能である。
【0064】
このような酸素発生剤をスマートフォンケースの所定の場所に装着しておくことで、フィルタ部材21の機能と相まって、出来るだけ長く呼吸を助けることが出来るようになる。なお、この酸素発生剤の取り付けは、本発明の全ての実施例に適用可能である。
【0065】
図28(A)、(B)は、
図27の例の変形例である。本例では、外側の方のアルミ箔30は存在せず、その代わりに、アルミ素材で出来た底の浅い箱42がアルミ板40に被せられて密封されている。従って、フィルタ部材21の部分はその箱42の中空部分Pに連通している。さらに、その箱42の下部43には吸入管44が連通状態で取り付けられ、その中空部分Pと連通している。すなわち、同図(B)に示すように、アルミ板40の下部に引き込み孔45が穿設されており、中空部分Pに連通し、その引き込み孔45に吸入管44が連結されている。なお、この例では囲い部材2の内側に引き込み孔45が設けられている。
【0066】
従って、使用時には、箱42は剥がさずそのままの状態で、
図28に示すように、吸入管44の下端44a(
図29参照)を下方に垂れ下げて使用する。その際、囲い部材2の嵩の低い部分を乗り越えて垂らす。手で囲い部材2を顔に押してけるので隙間が出来る心配はない。さらには、下記するように、吸入管44の下端44aは下着や上着などの衣服の内側に挿入することも望ましい。ここで、中空部分Pは吸入管44だけを通じて外部の空気を取り入れることになる。
【0067】
なお、普段は、
図29に示すように、吸入管44は囲い部材2の内側へ引き込まれて更に巻回された状態で、囲い部材2の下に収納しておく。すなわち、その引き込み孔45から引き込まれた吸入管44は巻回された状態で、折り畳まれている状態の囲い部材2の下に収納される。また、その引き込み孔45の位置は、下辺に設けるのが望ましい。さらには、図では端の位置だが、中央位置でもよい。その収納によって、中空部分Pは外部の空気と遮断されているが、さらには吸入管44の途中に逆止弁を設けておいてもよい。
【0068】
あるいは、
図28(B)に示すように、箱42の下部43の引き込み孔45に、アルミ製の逆止弁46を設けておく。これらによって普段は封止しておき、火事の際は呼吸することで外から空気を中空部分Pへ吸入することができる。この場合は、囲い部材2や本体1の一部に、排気用シリコン弁を設けておくことが必須になる。他の変形例では排気用シリコン弁の取り付けは任意である。
【0069】
また、非使用時には、吸入管44の先端44aを上からシールしておくこともよい。火事の際、吸入管44を引っ張ることで引き剥がすことも出来る。
【0070】
シールと逆止弁46を組み合わせることも、フィルタ部材21や酸素発生剤の保存期間を延ばすために有効である。
【0071】
なお、
図30に示すように、吸入管44は囲い部材2の外側に配置されるようにしてもよい。
図31は、折り畳まれた囲い部材2の上側に巻回配置された状態の斜視図である。この場合は、使用するときに吸入管44を下に垂らすが、囲い部材2を乗り越える必要はないメリットがある。
【0072】
図29乃至
図31のいずれの例にしても、火事の際には、囲い部材2を開き立てると同時に、その巻回されている2本の吸入管44をほどきながら引っ張り出し、各先端44aを下方に垂らすとともに、自分の下着や上着の下に首回りから挿入する。そうすることによって、火事の際に生じる煤煙を下着や上着がまずブロックし、その煤煙が除去された空気をさらにフィルタ部材21がフィルタリングすることになり、フィルタ部材21の触媒などのフィルタリング機能を助けることになる。
【0073】
これら実施例においては、二本の吸入管44で呼吸するので、一本の吸入管44の径が細くても呼吸はしやすい。
【0074】
もちろん、下着や上着の下に挿入せず、そのまま下方へぶら下げて使用してもよい。それによっても煤煙などは熱せられて上方へ移動するので、口元で空気を吸うより、それより下で吸う方がよりきれいな空気を吸い込む可能性が高い。
【0075】
図28乃至
図31の例の場合は、火事の際、a.囲い部材を立てる、b.吸入管を下へ垂らす、c.内側のアルミ箔を剥がすという簡単なステップで、対応できる。
【0076】
この
図28乃至
図31の変形例の、箱42と吸入管44を取り付けることは、本例だけでなく、先に述べた各例にも適宜適用可能である。
【0077】
上述した具体例1、2、3、4などにおいては、いざというときには、スマートフォン10を取り去り、囲い部材2を立て、表側と裏側のアルミ箔を剥がせば、直ちに防煙・防毒マスクが完成するので、慌てていても容易に利用できる。また、フィルタ部材21はアルミ材料で密封されているので長期間有効性を保てる。
【0078】
また、上述した具体例1,2、3、4などにおける説明における組み立て順序は、実際の本発明のスマートフォンケースを製造する際の製造順序とは必ずしも限らず、その構造を分かりやすくするためにあえて順序的な説明をした部分も含まれている。従って、その製造順序や製造方法はここに記載の方法に限られず、任意の方法でよい。
【0079】
なお、上述したが、本発明の囲い部材は、スマートフォンケースの本体の外周に必ずしも設けられていなくてもかまわない。例えば、スマートフォンケースの本体の内面の途中から立設されるようになっていてもよい。あるいは囲い部材の一部、例えば上方部は外周に設けられており、残る下方部はスマートフォンケースの本体の内面の途中から立設されていてもよい。
【0080】
また、本発明の顔当て部は、そもそも囲い部を有しなくてもよく、手帳型スマートフォンケースの一部で構成されていても構わない。例えば、スマートフォンケースの本体の外周の縁部自体が柔軟に出来ており(弾性又は塑性を有する)、いざというとき手で変形させて、鼻や口を覆うことのできるタイプであってもよい。
【0081】
また、空気取り込み部8は必須とは限らない。すなわち、囲み部材の高さを大きくすることによって、囲い込んだ空間を大きくすることが出来、そのような場合、10m、20mなど短い距離ならその大きな空間内の空気だけで避難可能な場合もある。吐いた空気の中にも酸素が残っているからである。ともかく、火事場で発生した一酸化炭素などを吸わないように出来ればいいからである。
【0082】
また、上述したように、本発明の囲い部材の方の一部に、煙や有毒ガスをフィルタリングできるフィルタ層あるいはフィルタ部材を有する空気取り込み部が設けられていてもよい。あるいは、スマートフォンケースの本体側と、囲い部材側の双方にフィルタ層あるいはフィルタ部材を有する空気取り込み部が設けられていてもよい。なお、そのフィルタ層やフィルタ部材は、例えば、吸着層や触媒層が多層されていてもよい。
【0083】
なお、予めフィルタリング素材をアルミ袋に入れて密封しておいた部材を、火事の時、現場で逃げる人自らが剥がして、上記実施例のような囲い部材と窓を有するスマートフォンケースの本体に嵌め込み、貼り付けることも可能である。そのような場合、慌ててフィルタ部材とスマートケースの本体との間に隙間が出来ないように気をつける必要がある。
【0084】
また、本発明においては、アルミ箔、アルミ板、アルミ枠などに限らず、他の金属を使用してもよく、更には、少し密封性が弱くなるが、それらに代えて樹脂部材を用いてもよい。
【0085】
また、本発明は、左右に開き、折り畳むタイプにかぎらず、上下に開き、折り畳むタイプの手帳型スマートフォンケースであってもよい。火事の使用時に折れ曲がる直線部分を鼻に合わせればよいからである。
顔当て部が設けられ、その顔当て部によって、顔の少なくとも鼻と口を覆い囲うことが出来る防煙・防毒マスク機能を持つ手帳型スマートフォンケースであり、その顔当て部は囲い部材2を有し、囲い部材2の少なくとも一部は、手帳型スマートフォンケースの本体1の外周に設けられているとともに、立った状態と寝た状態が選択出来、囲い部材2は、スマートフォンケースとして使用時には寝た状態となり、マスクとして使用時には立った状態とすることが出来る手帳型スマートフォンケース。