特許第6894712号(P6894712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894712
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】リネン設備
(51)【国際特許分類】
   D06F 93/00 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   D06F93/00
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-9911(P2017-9911)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-117732(P2018-117732A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江浪 寧彦
【審査官】 大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−163241(JP,A)
【文献】 特開平09−173700(JP,A)
【文献】 特開2002−348015(JP,A)
【文献】 特開2006−150198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 87/00〜95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアに載置された布類の該コンベアの幅方向の位置を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づき前記布類の位置ズレを判断する判断部と、を備える位置検知装置と、
前記コンベアの下流に設けられ、前記布類を搬送経路外に排出する排出コンベアと、を備え、
前記判断部は、前記布類が予め定められた載置領域からはみ出している場合に、位置ズレと判断し、
前記排出コンベアは、前記判断部が位置ズレと判断した前記布類を排出する
ことを特徴とするリネン設備
【請求項2】
前記判断部は、前記布類が予め定められた載置領域からはみ出している場合に代えてまたは加えて、前記布類の中心と予め定められた載置中心との距離が閾値を超えている場合に、位置ズレと判断する
ことを特徴とする請求項1記載のリネン設備
【請求項3】
前記検知部は、
前記布類を撮影するカメラと、
前記カメラで撮影された布類画像が入力される画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、前記布類画像から検出した前記布類の輪郭に基づき、前記布類の位置を特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載のリネン設備
【請求項4】
前記検知部は、前記コンベアの前記載置領域の両端に設けられ、前記布類の有無を検知する2つのセンサを備える
ことを特徴とする請求項1記載のリネン設備
【請求項5】
前記検知部は、前記コンベアの幅方向に並んで設けられ、前記布類の有無を検知する複数のセンサを備える
ことを特徴とする請求項2記載のリネン設備
【請求項6】
前記判断部が位置ズレと判断した場合に動作する通知器を備える
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のリネン設備
【請求項7】
前記布類は予め定められた複数のレーンのいずれかに投入され、
前記通知器は前記レーンごとに設けられ、対応する前記レーンに投入された前記布類の位置ズレを通知する
ことを特徴とする請求項6記載のリネン設備
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リネン設備に関する。さらに詳しくは、布類のレーンに対する位置ズレを検知する位置検知装置を有するリネン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルや病院では大量にシーツ、ピロケース、タオル、衣類などの布類が使用される。使用済みの布類は回収してランドリー工場で洗濯・アイロン掛け・折り畳みが行われ、再度ホテルや病院に運んで、そこで使用されることが一般的である。
【0003】
ランドリー工場では複数の布類処理装置により処理ラインが構成されている。布類処理装置の一種として布類の折り畳みを行う折畳装置(例えば、特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−348015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ピロケースを折り畳む折畳装置は、複数のレーンを有しており、複数のピロケースを並列処理するよう構成されている。各レーンは複数のコンベアと複数の折装置とからなる折畳機構を有している。各レーンの折畳機構は折畳装置の幅方向に並んで配置されている。
【0006】
ピロケースがコンベアの縁を越えて隣のレーンにはみ出していると、ピロケースの搬送と隣のレーンの折畳機構の動作とのタイミングが合わず、ピロケースが折畳装置の内部で詰まる可能性がある。そこで、ピロケースのレーン上の位置を検知し、ピロケースが正常な位置からズレている場合には、折畳機構に導入される前に排出することが求められる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、布類のレーンに対する位置ズレを検知できる位置検知装置を有するリネン設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明のリネン設備は、コンベアに載置された布類の該コンベアの幅方向の位置を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づき前記布類の位置ズレを判断する判断部と、を備える位置検知装置と、前記コンベアの下流に設けられ、前記布類を搬送経路外に排出する排出コンベアと、を備え、前記判断部は、前記布類が予め定められた載置領域からはみ出している場合に、位置ズレと判断し、前記排出コンベアは、前記判断部が位置ズレと判断した前記布類を排出することを特徴とする。
第2発明のリネン設備は、第1発明において、前記判断部は、前記布類が予め定められた載置領域からはみ出している場合に代えてまたは加えて、前記布類の中心と予め定められた載置中心との距離が閾値を超えている場合に、位置ズレと判断することを特徴とする。
第3発明のリネン設備は、第1または第2発明において、前記検知部は、前記布類を撮影するカメラと、前記カメラで撮影された布類画像が入力される画像処理部と、を備え、前記画像処理部は、前記布類画像から検出した前記布類の輪郭に基づき、前記布類の位置を特定することを特徴とする。
第4発明のリネン設備は、第1発明において、前記検知部は、前記コンベアの前記載置領域の両端に設けられ、前記布類の有無を検知する2つのセンサを備えることを特徴とする。
第5発明のリネン設備は、第2発明において、前記検知部は、前記コンベアの幅方向に並んで設けられ、前記布類の有無を検知する複数のセンサを備えることを特徴とする。
第6発明のリネン設備は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記判断部が位置ズレと判断した場合に動作する通知器を備えることを特徴とする。
第7発明のリネン設備は、第6発明において、前記布類は予め定められた複数のレーンのいずれかに投入され、前記通知器は前記レーンごとに設けられ、対応する前記レーンに投入された前記布類の位置ズレを通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、布類のレーンに対する位置ズレを検知できる。位置ズレが検知された布類を排出することで、布類が装置内で詰まることを防止できる。また、布類がズレて積み重ねられ不良品となることを防止できる。
第2発明によれば、布類の中心と載置中心との距離に基づき位置ズレを判断するので、種々の幅寸法を有する布類が投入される場合でも適切に位置ズレを検知できる。
第3発明によれば、カメラで撮影された布類画像に基づいて布類の位置を特定するので、位置検知装置を検査装置と一体化でき、追加の設備コストがかからない。
第4発明によれば、検知部が2つのセンサからなる簡易な構成であるので、設備コストを低減できる。
第5発明によれば、検知部が複数のセンサからなる簡易な構成であるので、設備コストを低減できる。
第6発明によれば、通知器により位置ズレを通知することで、作業員に布類の投入位置の修正を促すことができる。
第7発明によれば、レーンごとに通知器が設けられているので、どの作業員が布類の投入位置を修正すべきか分かりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る位置検知装置のブロック図である。
図2】(A)は布類が位置ズレしていない場合の布類画像の例示である。(B)は布類が位置ズレしている場合の布類画像の例示である。
図3】布類画像の例示である。
図4】リネン設備の側面図である。
図5】同リネン設備の平面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る位置検知装置の側面図である。
図7図6の部分拡大図である。
図8】折畳装置の側面図である。
図9】同折畳装置の背面図である。
図10】スタック部の拡大図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る位置検知装置のブロック図である。
図12】第2実施形態における導入コンベアの平面図である。
図13】第3実施形態における導入コンベアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
図4および図5に示すように、本発明の第1実施形態に係る位置検知装置1は布類Cを処理するリネン設備Xに備えられる。布類Cとして、シーツ、包布、ピロケース、タオルなどの方形状布類、浴衣、病衣などの衣類が挙げられる。以下では、布類Cとしてピロケースなどの小形の方形状布類を処理する場合を例に説明する。
【0012】
リネン設備Xは、ロールアイロナーR、位置検知装置1、および折畳装置Fから構成されている。ロールアイロナーRの出側に位置検知装置1の入側が接続され、位置検知装置1の出側に折畳装置Fの入側が接続され、これらの装置により処理ラインが形成されている。洗濯済みの布類CはロールアイロナーRでアイロン掛けされた後、折畳装置Fで折り畳まれる。
【0013】
ロールアイロナーRの入側には投入コンベア11が設けられている。作業員Wが布類Cを展開し、投入コンベア11に載置することで、布類Cの投入作業が行われる。本実施形態では5人の作業員Wが投入コンベア11の前に並んでいる。5人の作業員Wがそれぞれ布類Cを投入コンベア11に投入することで、複数の布類Cを並列処理できる。
【0014】
本実施形態のリネン設備Xは5つのレーンを有する。ここで、「レーン」とは布類Cの搬送経路を意味する。図5中の一点鎖線は各レーンの中心線CLを示している。5つのレーンはリネン設備Xの機械方向に沿い、互いに平行に設定されている。一の布類Cは5つのレーンのいずれかに投入される。この際、各作業員Wは布類Cの中心が各レーンの中心に合うように、布類Cを投入コンベア11に載置する。
【0015】
ロールアイロナーRには投入コンベア11に続く一または複数の加熱ロール12が設けられている。布類Cを加熱ロール12に接触させながら搬送することで、連続的に布類Cにアイロン掛けできる。
【0016】
本実施形態の位置検知装置1は布類Cの品質を検査する検査装置と一体に構成されたものである。換言すれば、検査装置に位置検知装置1としての機能を追加したものである。なお、検査装置と位置検知装置1とを独立した別の装置としてもよい。
【0017】
図6に示すように、位置検知装置1はロールアイロナーRと折畳装置Fとの間に設けられている。位置検知装置1は布類Cを搬送する入側コンベア21と出側コンベア22とを有している。入側コンベア21の上流端はロールアイロナーRの排出部に接続している。出側コンベア22の下流端は折畳装置Fの導入コンベア61に接続している。ロールアイロナーRから排出された布類Cは、入側コンベア21および出側コンベア22により搬送された後に、折畳装置Fに受け渡される。
【0018】
位置検知装置1の上部には第1カメラ31が設けられている。第1カメラ31の光軸L1は入側コンベア21の所定位置に達するよう設定されている。位置検知装置1の下部には第2カメラ32が設けられている。第2カメラ32の光軸L2は、途中に設けられた鏡33により反射し、入側コンベア21と出側コンベア22との間に達するよう設定されている。なお、第1、第2カメラ31、32としては、例えば、布類Cをその幅方向(図6における紙面に対して垂直な方向)に沿って直線状に撮影するラインカメラが用いられる。
【0019】
図7に示すように、入側コンベア21の上面には暗色の検査台23が設けられている。検査台23の色は布類Cに比べて暗い色であればよく、黒色や灰色が選択される。検査台23の上方には検査台23を照らす光源34が設けられている。第1カメラ31の光軸L1は検査台23に達するよう設定されている。
【0020】
入側コンベア21上を搬送される布類Cは、検査台23の上を通過する。その際、布類Cの表面が光源34により照らされる。そのため、第1カメラ31は検査台23を通過する布類Cの表面の反射光を撮影する。
【0021】
入側コンベア21と出側コンベア22との接続部には隙間が設けられている。また、入側コンベア21の下流端にはジャンプ台24が設けられ、出側コンベア22の上流端には受け台25が設けられている。布類Cは入側コンベア21と出側コンベア22との間をジャンプして搬送される。
【0022】
入側コンベア21と出側コンベア22との接続部の上方には光源35が設けられている。また、入側コンベア21と出側コンベア22との接続部の下方には光源36が設けられている。布類Cが入側コンベア21と出側コンベア22との間をジャンプする際に、光源35から照射された光は布類Cの表面側から裏面側に透過する。また、光源36から照射された光は布類Cの裏面で反射する。そのため、第2カメラ32は布類Cの透過光を撮影するとともに、布類Cの裏面の反射光を撮影する。
【0023】
なお、本明細書では、説明の便宜のため布類Cの検査台23に接しない方の面を表面とし、接する方の面を裏面とする。したがって、布類固有の表面、裏面とは必ずしも一致しない。
【0024】
位置検知装置1には図示しない制御装置が設けられている。制御装置には第1、第2カメラ31、32で撮影された布類Cの画像(以下、「布類画像」と称する。)が入力されている。制御装置は布類画像に基づき、布類Cに破れや汚れなどの欠陥がないか検査する。これにより、検査装置としての機能が実現される。
【0025】
図8に示すように、折畳装置Fは導入コンベア61のほかに、第1〜第5コンベア62〜66と、第1、第2折装置71、72とを備えている。布類Cの折り位置がコンベアの接続部に達したタイミングで折装置を動作させ、布類Cの折り位置をコンベアの接続部に向かって突き込み、折り畳まれた状態の布類Cをコンベアの接続部に進入させることで布類Cを折り畳む。このような折動作を複数回繰り返すことで、布類Cを所定の形状に折り畳むことができる。第5コンベア66の下流端の下方には、折り畳まれた布類Cを積み重ねるスタック部73が設けられている。
【0026】
第1コンベア62の下流端の下方には排出コンベア67が折畳装置Fの幅方向に沿って設けられている。位置検知装置1の検査装置としての機能により不良と判断された布類Cは、第1コンベア62により排出コンベア67に導かれ、折畳装置Fから排出される。
【0027】
第1〜第5コンベア62〜66および第1、第2折装置71、72からなる機構を折畳機構と称する。折畳機構とスタック部73とはレーンごとに設けられている。図5に示すように、第1コンベア62は幅狭のコンベアであり、5つの第1コンベア62が折畳装置Fの幅方向に並んで設けられている。第2〜第5コンベア62〜66および第1、第2折装置71、72も同様である。また、図9に示すように、5つのスタック部73が折畳装置Fの幅方向に並んで設けられている。各レーンでは、それぞれのタイミングで折畳機構が動作し、布類Cが折り畳まれ、積み重ねられる。
【0028】
ところで、布類Cの投入作業は作業員Wが行うため、布類Cがレーンからズレた位置に投入される場合がある。大きく位置ズレした布類Cが折畳機構に導入されると、布類Cが隣のレーンの折畳機構にはみ出す。そうすると、布類Cの搬送と隣のレーンの折畳機構の動作とのタイミングが合わず、布類Cが折畳装置Fの内部で詰まる可能性がある。
【0029】
また、図10に示すように、布類Cの位置ズレが隣のレーンにはみ出す程ではない場合でも、スタック部73において布類Cがズレて積み重ねられる場合がある。この場合、積み重ねられた一組の布類Cは不良品となる。
【0030】
本実施形態の位置検知装置1は布類Cのレーンに対する位置ズレを検知する機能を有する。位置ズレと判断された布類Cを排出コンベア67で排出すれば、その布類Cが折畳機構に導入されず、上記の問題が発生しない。
【0031】
図1に示すように、位置検知装置1は制御装置40を備えている。制御装置40はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータである。制御装置40は画像処理部41と判断部42とを有する。画像処理部41および判断部42はコンピュータである制御装置40がプログラムを実行することで実現される。
【0032】
また、位置検知装置1は5つの通知器50を備えている。図4および図5に示すように、通知器50はロールアイロナーRの入側の作業員Wが見やすい位置に取り付けられている。また、通知器50はレーンごとに設けられている。通知器50は作業員Wに警告できるものであれば特に限定されないが、ランプやブザーなどが用いられる。
【0033】
第1、第2カメラ31、32で撮影された布類画像は画像処理部41に入力される。画像処理部41は布類画像から検出した布類Cの輪郭に基づき、布類Cの位置を特定する。なお、画像処理部41が布類Cの輪郭を検出するのに用いる布類画像は、第1カメラ31で撮影された布類画像でもよいし、第2カメラ32で撮影された布類画像でもよい。ただし、第1カメラ31で撮影された布類画像は、背景色が暗色(検査台23の色)であり、背景と布類Cとのコントラストが強いため、布類Cの輪郭を検出するのに適している。
【0034】
図2(A)、(B)に布類画像の例を示す。このような布類画像は、第1カメラ31または第2カメラ32で撮影された画像をレーンの幅に合わせて横方向に分割し、さらに布類Cが収まるように縦方向に分割することで得られる。画像処理部41は背景と布類Cとの色の差などに基づいて布類Cの輪郭を検出する。輪郭を構成する各画素の位置座標が布類Cの位置を示している。
【0035】
なお、第1カメラ31または第2カメラ32と画像処理部41とにより、布類Cの位置を検知する「検知部」が構成されている。このように、カメラで撮影された布類画像に基づいて布類の位置を特定する構成することで、位置検知装置1を検査装置と一体化できる。そのため、位置検知装置1を検査装置と別の装置とする場合に比べて、追加の設備コストがかからない。
【0036】
判断部42は画像処理部41により特定された布類Cの位置に基づき、布類Cの位置ズレを判断する。判断部42には予め定められた布類Cの載置領域Aが記憶されている。載置領域Aは布類Cの搬送方向(レーン)に沿って帯状に設定される。図2(A)、(B)では載置領域Aの左右の縁を二点鎖線で示している。図2(A)のように、布類Cの全体が載置領域Aに収まっている場合、判断部42は位置ズレしていないと判断する。図2(B)のように、布類Cが載置領域Aからはみ出している場合、判断部42は位置ズレと判断する。
【0037】
なお、載置領域Aを、折畳機構を構成する第1〜第5コンベア62〜66の幅と同程度に設定すれば、布類Cが隣のレーンにはみ出すほどの大きい位置ズレを検知し、これより小さい位置ズレを許容する。また、載置領域Aをより狭く設定すれば、スタック部73における布類Cの積み重ねが不良となるような位置ズレも検知できる。
【0038】
判断部42は上記のような載置領域Aを基準とした判断に代えてまたは加えて、つぎのように布類Cの位置ズレを判断してもよい。図3に示すように、判断部42には予め定められた布類Cの載置中心Oが記憶されている。通常、載置中心Oはレーンの中心線CLと同一である。判断部42は布類Cの輪郭から布類Cの幅方向の中心CCを求める。そして、判断部42は布類Cの中心CCと載置中心Oとの距離Dが閾値を超えている場合に、位置ズレと判断する。このような判断方法であれば、種々の幅寸法を有する布類Cが投入される場合でも適切に位置ズレを検知できる。
【0039】
判断部42は位置ズレと判断した場合に通知器50を動作させ、作業員Wに位置ズレを通知する。通知器50により位置ズレを通知することで、作業員Wに布類Cの投入位置の修正を促すことができる。その結果、リネン設備Xの歩留まりが向上する。
【0040】
ここで、判断部42はレーンごとに位置ズレを判断し、位置ズレした布類Cが搬送されているレーンに対応する通知器50を動作させる。換言すれば、各通知器50はそれに対応するレーンに投入された布類Cの位置ズレを通知する。そのため、どの作業員Wが布類Cの投入位置を修正すべきか分かりやすい。
【0041】
判断部42は位置ズレと判断した場合に、その結果を折畳装置Fの制御装置60に通知する。制御装置60はCPUやメモリなどで構成されたコンピュータであり、折畳装置Fの動作を制御するものである。制御装置60は位置ズレと判断された布類Cを排出コンベア67で排出する。
【0042】
以上のように、位置検知装置1で布類Cのレーンに対する位置ズレを検知し、位置ズレが検知された布類Cを排出することで、布類Cが折畳装置Fの内部で詰まることを防止できる。また、布類Cがズレて積み重ねられ不良品となることを防止できる。
【0043】
なお、リネン設備Xに設定されるレーンの数は特に限定されず、上記実施形態のように複数でもよいし、一つでもよい。レーンが一つの構成であったとしても、位置ズレが検知された布類Cを排出することで、布類Cがズレて積み重ねられ不良品となることを防止できる。
【0044】
〔第2実施形態〕
つぎに、本発明の第2実施形態に係る位置検知装置2を説明する。
本実施形態の位置検知装置2は第1実施形態の位置検知装置1において、主に検知部を簡易な構成にしたものである。
【0045】
図11に示すように、位置検知装置2は複数のセンサ81と判断部82とを備えている。図12に示すように、複数のセンサ81は折畳装置Fの導入コンベア61に設けられている。導入コンベア61には5つのレーンが設定されている。また、各レーンには布類Cの載置領域Aが設定されている。この載置領域Aの両端に一つずつ、合計2つのセンサ81、81が設けられている。この2つのセンサ81、81が一組となって一のレーンの検知部を構成している。換言すれば、レーンごとに2つのセンサ81、81からなる検知部が設けられている。
【0046】
センサ81は検知位置における布類Cの有無を検知できるものであれば特に限定されないが、光電センサや超音波センサなどの非接触式センサが好適に用いられる。また、センサ81の設置位置は導入コンベア61に限定されない、ロールアイロナーRの投入コンベア11でもよいし、新規に追加したコンベアでもよい。
【0047】
判断部82はセンサ81の検知結果に基づき、布類Cの位置ズレを判断する。より詳細には、一のレーンの検知部を構成する2つのセンサ81、81のうち、いずれかが布類Cを検知した場合に、位置ズレと判断する。これにより、布類Cが載置領域Aからはみ出している場合に位置ズレと判断できる。
【0048】
第1実施形態と同様に判断部82はコンピュータで構成すればよい。センサ81の検知結果は単純なON/OFFの信号であるので、判断部82を単純な電子回路で構成してもよい。
【0049】
判断部82は位置ズレと判断した場合に通知器50を動作させ、作業員Wに位置ズレを通知する。また、判断部82は位置ズレと判断した場合に、その結果を折畳装置Fの制御装置60に通知する。制御装置60は位置ズレと判断された布類Cを排出コンベア67で排出する。
【0050】
本実施形態では検知部が2つのセンサ81、81からなる簡易な構成であるので、設備コストを低減できる。
【0051】
〔第3実施形態〕
第2実施形態の位置検知装置2において、センサ81をつぎのように配置してもよい。すなわち、図13に示すように、複数のセンサ81を導入コンベア61の幅方向に並べて設けてもよい。複数のセンサ81のうち、布類Cを検知しているセンサ81と、布類Cを検知していないセンサ81との間に、布類Cの端部が位置すると判断できる。これにより、布類Cの導入コンベア61の幅方向の位置を検知できる。
【0052】
このように配置された複数のセンサ81から検知部を構成すれば、布類Cが載置領域Aからはみ出している場合だけでなく、布類Cの中心CCと載置中心Oとの距離Dが閾値を超えている場合も、位置ズレと判断できる。
【0053】
また、検知部が複数のセンサ81からなる簡易な構成であるので、設備コストを低減できる。
【符号の説明】
【0054】
1 位置検知装置
31 第1カメラ
32 第2カメラ
40 制御装置
41 画像処理部
42 判断部
50 通知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13