特許第6894783号(P6894783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894783
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】配管の閉塞方法及び配管の切断方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/128 20060101AFI20210621BHJP
   F16L 55/11 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   F16L55/128
   F16L55/11
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-132592(P2017-132592)
(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公開番号】特開2019-15333(P2019-15333A)
(43)【公開日】2019年1月31日
【審査請求日】2020年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】594154978
【氏名又は名称】ベステラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼政 賢治
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−297196(JP,A)
【文献】 特開2004−134584(JP,A)
【文献】 特開2017−009309(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0006482(US,A1)
【文献】 特開平09−297197(JP,A)
【文献】 特開2003−302042(JP,A)
【文献】 特開2014−137120(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203286202(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L
F17D
G21F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に有害物質が残留する配管の閉塞方法であって、
前記配管に予め設けられた開口部から前記配管内に、前記有害物質を吸着する吸着材を挿入して、前記配管内に前記吸着材を配置する吸着材配置ステップと、
先端部に開口を有し、放射方向外側に変形可能な充填補助部材が前記開口の周囲に設けられる充填チューブを、前記配管の開口部から前記配管内に挿入して、前記先端部を前記吸着材の近傍に配置する充填チューブ挿入ステップと、
前記充填チューブの開口から前記配管内に固化する前の充填材を放出して、前記充填補助部材を前記放射方向外側に変形させながら、前記配管内に前記充填材を充填する充填ステップと、
前記充填材を固化させることで、前記充填補助部材及び前記充填材とで前記配管を閉塞する閉塞ステップと、
を有し、
前記吸着材配置ステップにおいて、前記配管内の第1位置と、前記第1位置よりも前記開口部側の第2位置とに、前記吸着材を配置し、
前記充填ステップにおいて、前記充填補助部材を前記第1位置と前記第2位置との間に配置した状態で、前記充填材を放出させる、
配管の閉塞方法。
【請求項2】
前記有害物質は、ポリ塩化ビフェニルである、請求項1に記載の配管の閉塞方法。
【請求項3】
前記充填材は、ウレタンである、請求項1又は請求項2に記載の配管の閉塞方法。
【請求項4】
前記充填補助部材は、前記充填チューブの開口を覆う袋体である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の配管の閉塞方法。
【請求項5】
前記充填補助部材は、前記充填チューブの開口を覆う網状の部材である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の配管の閉塞方法。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の閉塞方法を用いて前記配管を切断する配管の切断方法であって、
前記配管の前記充填材で閉塞された位置を切断する切断ステップを有する、
配管の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の閉塞方法及び配管の切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB(Polychlorinated biphenyl)すなわちポリ塩化ビフェニルは、熱安定性や電気絶縁性などの観点から、変圧器など電気機器の絶縁油などに用いられてきた。しかし、PCBは、人体に悪影響を及ぼす有害物質であるため、現在では使用を制限されている。そして、現在、このPCBは、専用の処理設備などで無害化処理されている。このPCBの処理設備においては、配管が用いられており、この配管内にはPCBが付着、残留している。従って、このPCBが付着した配管については、廃棄処理を行う必要がある。
【0003】
このような内部にPCBが残留した配管は、処理設備から解体され、別の設備に輸送されて廃棄処理される。しかし、このような配管を解体したり輸送したりする際に、配管内部からPCBが漏れ出すおそれがあるため、配管を閉塞することが求められている。また、配管のサイズが大きい場合、配管を切断してから輸送する場合がある。この場合も、PCBの漏れ出しを抑制しながら切断作業を行う事が求められる。例えば特許文献1には、配管の切断箇所の近傍に孔を形成して、その孔から配管内に袋体を入れて、配管内で袋体を膨らませることで閉塞を行う技術が記載されている。そして、特許文献1では、配管内の袋体と隣接する箇所にさらに孔を形成し、その孔から充填材を注入し、充填材を注入した箇所を切断する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−297197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、閉塞及び切断を行う際に、穿孔している。配管内にPCBなどの有害物質が残留している場合にこのように穿孔を行うと、穿孔時に、孔から有害物質が漏れ出すおそれがある。従って、有害物質が内部に残留した配管に対し閉塞又は切断を行う際に、有害物質の漏れ出しを抑制することが求められている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、有害物質が内部に残留した配管に対し閉塞又は切断を行う際に、有害物質の漏れ出しを抑制する配管の閉塞方法及び配管の切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の配管の閉塞方法は、内部に有害物質が残留する配管の閉塞方法であって、前記配管に予め設けられた開口部から前記配管内に、前記有害物質を吸着する吸着材を挿入して、前記配管内に前記吸着材を配置する吸着材配置ステップと、先端部に開口を有し、放射方向外側に変形可能な充填補助部材が前記開口の周囲に設けられる充填チューブを、前記配管の開口部から前記配管内に挿入して、前記先端部を前記吸着材の近傍に配置する充填チューブ挿入ステップと、前記充填チューブの開口から前記配管内に固化する前の充填材を放出して、前記充填補助部材を前記放射方向外側に変形させながら、前記配管内に前記充填材を充填する充填ステップと、前記充填材を固化させることで、前記充填補助部材及び前記充填材とで前記配管を閉塞する閉塞ステップと、を有する。
【0008】
前記吸着材配置ステップにおいて、前記配管内の第1位置と、前記第1位置よりも前記開口部側の第2位置とに、前記吸着材を配置し、前記充填ステップにおいて、前記充填補助部材を前記第1位置と前記第2位置との間に配置した状態で、前記充填材を放出させることが好ましい。
【0009】
前記有害物質は、ポリ塩化ビフェニルであることが好ましい。
【0010】
前記充填材は、ウレタンであることが好ましい。
【0011】
前記充填補助部材は、前記充填チューブの開口を覆う袋体であることが好ましい。
【0012】
前記充填補助部材は、前記充填チューブの開口を覆う網状の部材であることが好ましい。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の配管の切断方法は、前記閉塞方法を用いて前記配管を切断する配管の切断方法であって、前記配管の前記充填材で閉塞された位置を切断する切断ステップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有害物質が内部に残留した配管に対し閉塞又は切断を行う際に、有害物質の漏れ出しを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る処理設備の一例を示す模式図である。
図2図2は、配管の閉塞方法を説明する模式図である。
図3図3は、配管の閉塞方法を説明する模式図である。
図4図4は、配管の閉塞方法を説明する模式図である。
図5図5は、配管の切断方法を説明する模式図である。
図6図6は、本実施形態に係る配管の閉塞工程及び切断工程を説明するフローチャートである。
図7図7は、充填補助部材の別の例を示す模式図である。
図8図8は、充填補助部材の別の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0017】
図1は、本実施形態に係る処理設備の一例を示す模式図である。図1に示す本実施形態に係る処理設備100は、有害物質Pを処理する設備である。有害物質Pは、人体に有害な物質であり、常温下で液状(油状)の物質である。本実施形態においては、有害物質Pは、PCB(Polychlorinated biphenyl)、すなわちポリ塩化ビフェニルである。処理設備100は、例えば変圧器などの電子機器などから取り出された有害物質Pをタンク110に貯留し、タンク110に貯留された有害物質Pを、配管10により図示しない処理槽へ配送する。処理槽内では、有害物質Pに対し所定の化学処理を行うことで、有害物質Pを脱塩素化して無害化する。この化学処理は、SP(Sodium Pulverulent dispersion)処理であり、約90℃の常圧下で、有害物質P(PCB)に金属ナトリウム分散体を混合することにより、有害物質Pを脱塩化するものである。ただし、この化学処理は、SP処理に限られず任意である。
【0018】
処理設備100は、図1の例では、タンク110と、配管112、114、118、120(区別しない場合は、配管10と記載)と、ポンプ116と、図示しない処理槽とを有する。タンク110は、上述のように有害物質Pを貯留するタンクである。配管112は、タンク110に接続された配管である。配管114は、配管112に接続された配管である。ポンプ116は、有害物質Pを反応槽まで搬送するためのポンプである。配管118は、ポンプ116に接続された配管であり、一方側が配管114に接続されている。配管120は、他方側の配管118に接続された配管である。配管10は、開口部12の周囲にフランジ10Aを有する。配管10は、フランジ10Aが他の配管10のフランジ10Aと接触しつつ対向した状態で固定されることにより、開口部12同士が連通して、他の配管10に接続されている。ただし、配管10は、フランジ10Aを有していなくてもよい。
【0019】
処理設備100は、ポンプ116を駆動することにより、タンク110内の有害物質Pを吸引する。これにより、タンク110内の有害物質Pは、配管112、配管114、配管118、配管120を経由して、図示しない処理槽に搬送される。処理槽に搬送された有害物質Pは、上述のように化学処理されて無害化される。
【0020】
このように、処理設備100は、有害物質Pを無害化する処理設備である。この処理設備100は、その運用が終了すると、解体される。しかし、タンク110や配管10は、有害物質Pを貯留、搬送していたので、内部に有害物質Pが残留している。この場合、内部に残留した有害物質Pを完全に無害化処理することは困難なので、解体したタンク110や配管10ごと、別の廃棄処理設備に搬送して、そこで廃棄処理される。また、運用終了前でも、配管10などを取り換える場合もあり、そのような場合も、取り外された配管10などを廃棄処理設備で廃棄処理する必要がある。
【0021】
この解体された配管10などは、そのまま搬送すると、内部の有害物質Pが外部に漏れだすおそれがある。また、解体された配管10のサイズが大きい場合は、この配管10を切断する必要がある。この切断を行う際にも、有害物質Pの漏れ出すおそれがある。従って、本実施形態では、配管10からの有害物質Pの漏れ出しを抑制するため、解体した配管10の内部を閉塞し、閉塞した後に、必要に応じて切断を行う。以下、この配管10の閉塞方法及び切断方法について説明する。
【0022】
図2から図4は、配管の閉塞方法を説明する模式図である。配管10を閉塞する場合、作業者は、処理設備100から配管10を取り外す。例えば、図1に示すように、配管10は、開口部12同士が対向された状態で、他の配管10に接続されている。この配管10を取り外す際には、この他の配管10との接続を解除して、図2に示すように、開口部12を露出させる。この開口部12は、予め設けられているものであり、今回の閉塞及び切断作業の際に穿孔されるものではない。なお、この開口部12を露出させる作業や、以下で説明する配管10の閉塞作業及び切断作業は、作業者によって行われる。これらの作業は、作業者が有害物質Pに接触することを防止するため、グローブバック工法で行われる。グローブバック工法は、配管10の開口部12の周囲を透明なシートで覆う。このシートには、グローブバックが取り付けられている。グローブバックには、シートの外部から作業者が手を挿入可能な手袋部が設けられている。作業者は、この手袋部から手を入れて、手袋部を介してシート内の配管10に対して作業を行う。これにより、作業者は、配管10に直接接触することが抑制される。ただし、これらの作業は、作業者でなく機械(ロボット)によって行われてもよく、この場合においては、グローブバック工法は不要である。
【0023】
以下の説明では、図1に示す配管114の閉塞を例としている。配管114は、処理設備100内において、一部が方向Zに沿って延在するように配置されている。方向Zは、鉛直方向である。また、方向Z1は、方向Zに沿った方向のうち一方の方向であり、鉛直方向の上方への方向(地表から離れる方向)である。方向Z2は、方向Zに沿った方向のうち他方の方向であり、鉛直方向の下方への方向(地表に近づく方向)である。配管114は、一方の端部側の開口部12が、方向Z2側に開口している。
【0024】
図2は、吸着材配置ステップを示している。作業者は、開口部12を露出させた後、図2に示すように、開口部12から配管10内に、吸着材20を挿入して、配管10内に吸着材20を配置する。吸着材20は、有害物質Pを吸着可能な部材である。本実施形態の例では、作業者は、2つの吸着材20(吸着材20A、20B)を配管10内に配置する。より詳しくは、作業者は、一方の吸着材20Aを、第1位置A1に配置し、他方の吸着材20Bを、第2位置A2に配置する。第1位置A1は、配管10内の位置であり、配管10の端面13よりも配管10の内部側に配置される。端面13は、配管10の開口部12が開口する端面である。第2位置A2は、配管10内の位置であり、第1位置A1よりも端面13(開口部12)側の位置である。第1位置A1に配置された吸着材20Aは、第2位置A2に配置された吸着材20Bに対し離間しており、吸着材20Bとの間に閉塞空間A0を形成している。すなわち言い換えれば、作業者は、吸着材20Aと吸着材20Bとの間に空間(閉塞空間A0)が形成されるように、吸着材20Aと吸着材20Bとを配置する。
【0025】
閉塞空間A0は、後述する充填材50により閉塞する空間である。閉塞空間A0の位置は、閉塞のみを行う場合には任意であってよい。ただし、閉塞空間A0の位置は、配管10の切断を行う場合には、配管10の切断を行う位置となる。配管10の切断を行う位置を予め定める場合は、閉塞空間A0、第1位置A1及び第2位置A2についても、予め定められた位置とする必要がある。この場合、作業者は、例えば、吸着材20の配置の際に、位置確認部30を用いる。位置確認部30は、配管10内の自身の位置を、作業者に通知可能な装置である。すなわち、作業者は、位置確認部30が第1位置A1や第2位置A2に到達したことを認知することができる。作業者は、位置確認部30を配管10内に挿入して、位置確認部30を第1位置A1に到達させ、その第1位置A1に吸着材20Aを配置する。同様に、作業者は、位置確認部30を第2位置A2に到達させ、その第2位置A2に吸着材20Bを配置する。
【0026】
本実施形態においては、位置確認部30は、軸部32と撮像部34と発信部35とを有し、本実施形態では内視鏡である。軸部32は、軸状の部材である。撮像部34は、軸部32の先端に設けられており、撮像が可能なカメラである。また、発信部35は、軸部32の先端に設けられている。発信部35は、所定の信号を発信する。作業者は、この位置確認部30の先端を配管10内に挿入する。作業者は、例えば図示しない受信機で、その信号を配管10の外部から受信することで、発信部35が配管10内のどの位置から信号を発信しているかを特定する。これにより、作業者は、発信部35、すなわち位置確認部30の先端の配管10内での位置を特定して、位置確認部30の先端を第1位置A1及び第2位置A2まで導く。そして、作業者は、先端の撮像部34で配管10内を撮像し、撮像した配管10内の画像(動画像又は静止画像)を、図示しない表示画面に表示させる。作業者は、この画像を確認しながら、吸着材20を配管10内に挿入して、配管10内の第1位置A1に吸着材20Aを配置し、配管10内の第2位置A2に吸着材20Bを配置する。吸着材20を配管10内に挿入する場合、例えば、作業者は、吸着材配置部36を用いる。吸着材配置部36は、軸部37と保持部38とを有する。軸部37は、軸状の部材である。保持部38は、軸部37の先端に設けられ、吸着材20を保持(把持)する部材である。作業者は、撮像部34の画像を確認しながら、軸部37の先端を第1位置A1や第2位置A2まで導き、保持部38が保持していた吸着材20を、第1位置A1や第2位置A2に配置する。
【0027】
なお、吸着材20は、有害物質Pを吸着可能な部材であれば任意の材料でよいが、例えば、繊維性の部材、多孔質性の部材、高分子ポリマーなどが挙げられる。繊維性の部材としては、天然繊維、樹脂繊維などであってよく、例えば紙、布、セラミックス、ウェスなどが挙げられる。また、多孔質性の部材としては、セラミックス(パーライトや焼成珪藻土)や樹脂、ゴムなどが挙げられる。これらの繊維性の部材及び多孔質性の部材は、有害物質Pを物理的に吸収する。また、吸着材20として、有害物質Pと化学的に反応することで、有害物質Pを固定したり分解したりする材料が用いられてもよい。
【0028】
また、本実施形態においては、吸着材20は、配管10の内周面10Bに接触するように配置される。吸着材20は、図3に示すように、筒状の形状である。吸着材20Aは、第1位置A1において、外周部が、配管10の内周面10Bの全周に接触している。吸着材20Bは、第2位置A2において、外周部が、配管10の内周面10Bの全周に接触している。ただし、吸着材20は、このように筒状の形状でなくてもよく、少なくとも配管10の内周面10Bの一部に接触していればよい。また、吸着材20Aは、配管10内を閉塞してもよい。一方、吸着材20Bは、閉塞空間A0よりも開口部12側に配置される。従って、吸着材20Bは、後述する充填材50を注入するために、開口部12側と閉塞空間A0とを連通可能に配置されていることが好ましい。
【0029】
また、配管114においては、一方の開口部12が方向Z2側を向いている。従って、吸着材20は、配管10の内周面10Bに接着されることで、配置された位置に固定されることが好ましい。吸着材20は、配管10の内周面10Bに接触する面に、接着層を有していてもよい。ただし、配管10の内周面10Bは、油などが残留している場合があるため、吸着材20は、接着層を有していなくても、この油などの残留物により内周面10Bと接着してその場で固定される場合もある。
【0030】
配管10内において、第1位置A1よりも開口部12と反対側には、有害物質Pが残留している。また、作業者は、第2位置A2よりも開口部12側や、第1位置A1から第2位置A2までに有害物質Pが残留している場合は、吸着材20を挿入する前に、この残留した有害物質Pを、除去用部材に付着させることで除去する。これにより、第2位置A2よりも開口部12側の空間と、第1位置A1から第2位置A2までの間の空間とは、有害物質Pが残留しない空間となる。この除去用部材は、布(ウェス)など、有害物質Pを吸着する(ここではふき取る)ことができる部材である。作業者は、有害物質Pが付着した除去用部材を、第1位置A1よりも開口部12と反対側に配置したまま、吸着材20を配置する。これにより、有害物質Pが付着した除去用部材についても、外部に出てくることを抑制しながら、配管10と一緒に廃棄処理することが可能となる。なお、作業者は、除去用部材として吸着材20を用いてもよい。すなわち、作業者は、吸着材20に有害物質Pを付着させた後、この吸着材20を、第1位置A1や第2位置A2などに配置してもよい。
【0031】
吸着材配置ステップにおいては、以上説明したように、配管10内に吸着材20を配置している。
【0032】
次に、図3を参照して、充填チューブ挿入ステップについて説明する。図3に示すように、配管10内に吸着材20を配置した後、作業者は、配管10内に充填チューブ40を挿入する。充填チューブ40は、チューブ部42と充填補助部材46とを有している。チューブ部42は、チューブ状、すなわち管状の部材である。チューブ部42は、先端部44に開口45が形成されており、内部に導入された充填材50を、開口45から放出可能となっている。充填補助部材46は、開口45の周囲に設けられており、開口45の外周の全域を自身の内面で覆うように設けられている。充填補助部材46は、放射方向外側に変形可能な部材である。ここでの放射方向とは、開口45の中心軸に対する放射方向である。本実施形態において、充填補助部材46は、開口45を覆う袋体であり、内部に圧力が加わることで、放射方向外側に変形、すなわち膨張する。充填補助部材46は、例えばゴムなどの樹脂性のバルーンであることが好ましい。
【0033】
作業者は、配管10内にこのような充填チューブ40を挿入して、先端部44を吸着材20の近傍に配置する。吸着材20の近傍とは、例えば、充填補助部材46を膨張させた際に、充填補助部材46と吸着材20とが接触する程度の距離を指す。さらに詳しくは、作業者は、充填補助部材46が閉塞空間A0に位置するように、充填チューブ40の先端部44を配置する。これにより、充填補助部材46は、第1位置A1と第2位置A2との間に配置される。
【0034】
なお、充填補助部材46を閉塞空間A0に位置する際には、位置確認部30を用いる。作業者は、発信部35からの信号に基づき、位置確認部30の先端を閉塞空間A0まで導く。そして、作業者は、先端の撮像部34で配管10内を撮像し、この撮像した画像を確認しながら、充填チューブ40を開口部12から配管10内に挿入して、充填補助部材46を閉塞空間A0に配置する。充填補助部材46を閉塞空間A0に配置した後は、位置確認部30を配管10内から取り出す。
【0035】
次に、図4を参照して、充填ステップについて説明する。充填チューブ40の先端部44を吸着材20の近傍(ここでは閉塞空間A0)に配置した後、作業者は、充填チューブ40をこの位置に配置したまま、図示しない充填材供給部から、充填チューブ40内に固化前の充填材50を供給して、固化前の充填材50を、開口45から放出する。充填材50は、固化前には流動性を有しつつ、所定時間経過後に固化する部材であることが好ましく、第1実施形態の例では、ウレタン、より詳しくはウレタンフォーム(硬質ウレタンフォーム)である。ただし、充填材50は、配管10の内部を閉塞可能な部材であり、閉塞することで配管10内部の有害物質Pの外部への漏れ出しを抑制可能なものであれば、これらに限られず任意である。
【0036】
作業者は、開口45から閉塞空間A0内に固化前の充填材50を放出する。開口45の周囲は、充填補助部材46で覆われている。従って、充填材50は、充填補助部材46内に保持されながら、閉塞空間A0内に放出され続ける。充填補助部材46は、内部に保持した充填材50により内圧が上昇して、放射方向外側に変形、すなわち膨張する。膨張した充填補助部材46は、閉塞空間A0において配管10の内周面10Bの全域に接触する。また、充填補助部材46は、吸着材20A、20Bに対しても接触する。このようにして、充填補助部材46は、内部に固化前の充填材50が充填された状態で、閉塞空間A0において内周面10Bの全域に接触する。言い換えれば、配管10は、閉塞空間A0において、内部に充填材50が充填される。このように、充填ステップにおいては、充填補助部材46を閉塞空間A0に配置した状態で、開口45から固化前の充填材50を放出する。それにより、充填補助部材46を放射方向外側に変形(膨張)させながら、配管10内の閉塞空間A0に、充填材50を充填させる。これにより、閉塞空間A0は、充填補助部材46と固化前の充填材50とにより閉塞される。
【0037】
この充填ステップにおいては、充填材50を充填補助部材46内で保持しつつ、配管10内に放出している。従って、例えば配管114を閉塞する場合においても、充填材50の重力による方向Z2側への流動を抑制して、閉塞空間A0を適切に充填することができる。
【0038】
充填材50は、閉塞空間A0内に充填された後に、所定時間が経過すると固化する。これにより、充填材50は、充填補助部材46と共に、閉塞空間A0を閉塞する。
【0039】
次に、作業者は、配管10を切断する必要がある場合は、切断ステップを実行する。図5は、配管の切断方法を説明する模式図である。図5に示すように、作業者は、閉塞空間A0を充填材50で閉塞した後に、切断部60を用いて、配管10の閉塞空間A0の箇所を切断する。すなわち、作業者は、切断部60により、配管10の充填材50で閉塞された位置を、充填材50(及び充填補助部材46)ごと切断する。従って、この切断された箇所は、充填材50で閉塞されたままとなる。ここで、切断された配管10の開口部12側の部分を配管10Xとし、切断された配管10の開口部12とは反対側の部分を配管10Yとする。配管10Yには、内部に有害物質Pが残留している。しかし、配管10Yは、切断された箇所が充填材50で閉塞された状態であるため、切断されることにより新たに開口が生じることがなく、有害物質Pの漏れ出しが抑制される。また、配管10Xは、予め有害物質Pが除去されているが、除去されていない場合は、開口部12に吸着材20を挿入し、その後に吸着材20よりも開口部12側に、例えば充填チューブ40により充填材50を噴射して、充填材50で開口部12を閉塞してもよい。なお、切断部60は、例えば刃状の部材であり、配管10を切断可能となっている。
【0040】
次に、上述した配管10の閉塞方法及び切断方法の工程を、フローチャートを用いて説明する。図6は、本実施形態に係る配管の閉塞工程及び切断工程を説明するフローチャートである。図6に示すように、最初に、作業者は、配管10の開口部12を露出させる(ステップS10)。すなわち、作業者は、処理設備100内で他の配管10などに接続されていた配管10に対し、その接続を解除し、配管10の端部の開口部12を露出させる。この開口部12は、配管10の閉塞、切断のために穿孔されたものではなく、予め設けられていた開口である。
【0041】
開口部12を露出させた後、作業者は、配管10内に吸着材20を配置する(ステップS12;吸着材配置ステップ)。作業者は、露出した開口部12から、配管10内に、吸着材20を挿入する。そして、作業者は、配管10内に吸着材20を配置する。本実施形態においては、作業者は、第1位置A1に吸着材20Aを配置し、第2位置A2に吸着材20Bを配置する。作業者は、位置確認部30によって、配管10内に挿入された吸着材20Aの位置を確認しながら、吸着材20Aを第1位置A1に配置する。同様に、作業者は、位置確認部30によって、配管10内に挿入された吸着材20Bの位置を確認しながら、吸着材20Bを第2位置A2に配置する。
【0042】
吸着材20を配置した後、作業者は、配管10内に充填チューブ40を挿入し、充填チューブ40の先端部44に設けられた充填補助部材46を、閉塞空間A0内に配置する。(ステップS14;充填チューブ挿入ステップ)。作業者は、位置確認部30によって、配管10内に挿入された充填チューブ40の先端部44(充填補助部材46)の位置を確認しながら、充填補助部材46を閉塞空間A0内に配置する。
【0043】
充填補助部材46を配置した後、作業者は、充填チューブ40の開口45から固化前の充填材50を放出し、この充填材50により充填補助部材46を膨張させながら、配管10内を充填材50で充填する(ステップS16;充填ステップ)。作業者は、開口45から、充填補助部材46内に固化前の充填材50を放出する。充填補助部材46は、充填材50により膨張(放射方向外側に変形)して、閉塞空間A0において配管10の内周面10Bの全域に接触する。そして、充填補助部材46の内部は、固化前の充填材50で充填される。これにより、配管10内の閉塞空間A0は、充填材50で充填される。
【0044】
充填材50を充填した後、作業者は、この充填材50を固化させることにより、配管10内を閉塞する(ステップS18;閉塞ステップ)。作業者は、所定の時間待つことで、充填材50を固化させて、閉塞空間A0を、充填補助部材46及び充填材50で閉塞する。ただし、作業者は、充填材50を固化させるための薬品を添加するなど、充填材50を固化させるための処理を行ってもよい。
【0045】
充填材50を固化させて配管10を閉塞した後、作業者は、配管10の閉塞箇所、すなわち充填材50で閉塞されている閉塞空間A0を切断する(ステップS20;切断ステップ)。切断された後の配管10Yは、切断された箇所が充填材50で閉塞された状態であるため、有害物質Pの漏れ出しが抑制される。これにより、本処理は終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る配管10の閉塞方法は、内部に有害物質Pが残留する配管10の閉塞方法であって、吸着材挿入ステップと、充填チューブ挿入ステップと、充填ステップと、閉塞ステップとを有する。吸着材挿入ステップは、配管10に予め設けられた開口部12から、配管10内に、吸着材20を挿入して、配管10内に吸着材20を配置する。この吸着材20は、有害物質Pを吸着可能な部材である。充填チューブ挿入ステップは、開口部12から配管10内に、充填チューブ40を挿入して、先端部44を吸着材20の近傍に配置する。充填チューブ40は、先端部44に開口45を有し、開口45の周囲に充填補助部材46が設けられている。充填補助部材46は、放射方向外側に変形可能である。充填ステップは、開口45から配管10内に、固化前の充填材50を放出して、充填補助部材46を放射方向外側に変形させながら、配管10内に充填材50を充填する。閉塞ステップは、配管10内に充填した充填材50を固化させることで、充填補助部材46及び充填材50で配管10内を閉塞する。
【0047】
本実施形態における閉塞方法では、予め設けられていた開口部12から、吸着材20や充填チューブ40を挿入する。そして、吸着材20の近傍に充填チューブ40の先端を配置した状態で、充填チューブ40の先端から充填材50を放出する。放出された充填材50は、充填補助部材46内に保持されるため、充填補助部材46を膨張させて、配管10内に充填され、その後固化することで、配管10内を閉塞する。この閉塞方法によると、新たに穿孔せず、予め設けられていた開口部12を用いて閉塞を行うため、配管10内の有害物質Pが外部に漏れだすことを抑制することができる。また、充填補助部材46内に充填材50を放出することで、例えば配管10がZ方向に延在していても、充填材50がZ2方向側に移動せず、充填材50を、放出された位置で適切に充填することができる。また、吸着材20を予め挿入しておき、その吸着材20の近傍に充填補助部材46を配置するため、閉塞する位置を容易に認識することが可能となり、かつ、吸着材20で有害物質Pを吸着することで、充填を行う際の有害物質Pの漏れ出しを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る配管10の切断方法は、上述の閉塞方法を用いて閉塞した配管10を切断する。この切断方法は、更に切断ステップを有する。切断ステップは、配管10の充填材50で閉塞された位置を、充填材50ごと切断する。この切断方法は、閉塞した箇所を切断することで、切断して露出された箇所を閉塞したままとすることができ、新たに開口が形成されることを抑制する。従って、この切断方法によると、配管10の切断時に、有害物質Pの漏れを好適に抑制することができる。
【0049】
また、吸着材挿入ステップにおいては、配管10内の第1位置A1と第2位置A2とに、吸着材20(吸着材20A、20B)を配置する。第2位置A2は、第1位置A1よりも開口部12側の位置である。そして、充填ステップにおいて、充填補助部材46を、第1位置A1と第2位置A2との間(閉塞空間A0)に配置した状態で、充填材50を放出させる。この閉塞方法によると、吸着材20Aと吸着材20Bとの間に充填補助部材46を配置するため、閉塞する位置を容易に認識することが可能となる。また、吸着材20Aと吸着材20Bとの間に充填材50を充填させることで、例え充填材50付近まで有害物質Pが移動してきたとしても、この吸着材20A、20Bで、有害物質Pを吸着することで、有害物質Pの漏れをより好適に抑制している。また、配管10を切断する場合は、第1位置A1と第2位置A2との間を切断することで、切断箇所を閉塞しつつ、閉塞した箇所の近傍に吸着材20を配置した状態とすることができるため、切断後の配管10の有害物質Pの漏れを好適に抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態において、有害物質Pは、ポリ塩化ビフェニル、すなわちPCBである。PCBは、油状であり漏れ出し易く、さらに人体に有害であるため、PCBが付着した配管10を廃棄処理する際には、特に配管10の閉塞が重要となる。この場合に、本実施形態に係る閉塞方法を用いることで、重量の増加を抑えつつ、有害物質Pの漏れ出しを適切に抑制することが可能となる。
【0051】
また、本実施形態において、充填材50はウレタンフォームであることが好ましい。充填材50としてウレタンフォームを用いることで、固化前の充填材50を配管10内に噴射して充填させ、充填させた充填材50を固化させることが可能となる。これにより、閉塞作業を容易に行う事が可能となる。
【0052】
また、本実施形態において、充填補助部材46は、充填チューブ40の開口45を覆う袋体であることが好ましい。充填補助部材46が袋体であるため、配管10内に放出された固化前の充填材50を、充填補助部材46の内部に適切に保持することができ、充填材50を望んだ箇所で適切に充填させ、その箇所を適切に閉塞することが可能となる。
【0053】
ただし、充填補助部材46は、開口45の周囲に設けられ、放射方向外側に変形可能な部材であれば、袋体に限られない。図7及び図8は、充填補助部材の別の例を示す模式図である。図7に示すように、他の例に係る充填補助部材46Aは、放射方向外側に変形可能な網状の部材、ここではステントである。充填補助部材46Aは、一方の端部が充填チューブ40の開口45の外周に沿って設けられ、他方の端部が配管10の開口部12から離れる方向に位置するように、充填チューブ40に取付けられている。
【0054】
図8に示すように、作業者は、開口45から閉塞空間A0内に固化前の充填材50を放出する。開口45の周囲は、充填補助部材46Aで覆われている。従って、放出された充填材50は、充填補助部材46A内に保持されながら、閉塞空間A0内に放出され続ける。充填補助部材46Aは、内部に保持した充填材50により内圧が上昇して、放射方向側に変形する。変形した充填補助部材46Aは、閉塞空間A0において配管10の内周面10Bに接触する。そして、充填材50は、閉塞空間A0を充填し、その後固化することで、閉塞空間A0を閉塞する。
【0055】
このように、他の例に係る充填補助部材46Aは、充填チューブ40の開口45を覆う網状の部材である。充填補助部材46Aは、このように網目状の部材であっても、内部に充填材50を保持しつつ外側に変形する。従って、この充填補助部材46Aを用いると、固化前の充填材50を、充填補助部材46Aの内部に適切に保持することができ、充填材50を望んだ箇所で適切に充填させ、その箇所を適切に閉塞することが可能となる。充填材50は、充填補助部材46内に保持されながら、閉塞空間A0内に放出され続ける。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
10 配管
12 開口部
13 端面
20 吸着材
30 位置確認部
40 充填チューブ
46 充填補助部材
50 充填材
100 処理設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8