特許第6894818号(P6894818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894818
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】組付部品供給システム
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/00 20060101AFI20210621BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B23P19/00 301L
   H01B13/012 D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-194920(P2017-194920)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-63971(P2019-63971A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩崎 武志
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−115507(JP,A)
【文献】 特開2004−323152(JP,A)
【文献】 特開昭51−012672(JP,A)
【文献】 特開平07−251329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
H01B 13/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向に移動し、かつアセンブリを組み立てる組立治具板に取り付けられた複数の部品収容部に対して、前記アセンブリを構成する組付部品をそれぞれ供給する組付部品供給システムであって、
前記組付部品が貯留されている部品貯留部と、
前記部品貯留部から前記組付部品を前記部品収容部に向けて搬送する搬送装置と、
前記組立治具板が移動方向に移動することで、前記部品収容部に対する前記組付部品の供給方向において各前記部品収容部と対向し、かつ各前記部品収容部にそれぞれ収容する前記組付部品を一時保管する一時保管装置と、
少なくとも前記搬送装置および前記一時保管装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記一時保管装置は、
前記搬送装置により搬送された前記組付部品を内部に形成された保管空間部に一時保管する本体部と、
前記本体部と前記組立治具板との間に設けられ、かつ開くことで、一時保管された前記組付部品を前記部品貯留部に供給することを許容し、閉じることで、一時保管された前記組付部品を前記部品貯留部に供給することを禁止する供給シャッターと、
閉じることで前記保管空間部を2つの区画空間部に区画し、開くことで供給方向側の区画空間部に供給方向と反対側の区画空間部に一時保管されている前記組付部品を移動させる1以上の区画シャッターと、
を有し、
前記搬送装置は、各前記部品収容部にそれぞれ対応する前記組付部品ごとに、前記本体部に向けて前記組付部品を搬送し、
前記制御装置は、前記供給シャッターおよび前記区画シャッターの開閉制御を行うものであり、
前記供給シャッターが閉じた状態で、各前記部品収容部にそれぞれ対応する前記組付部品ごとに、前記区画空間部に対して前記組付部品を一時保管するように、前記区画シャッターの開閉制御を行い、
前記供給シャッターが開いた状態で、前記区画空間部にそれぞれ一時保管されている前記組付部品をそれぞれ対応する前記部品収容部に供給するように、前記区画シャッターの開閉制御を行う、
ことを特徴とする組付部品供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の組付部品供給システムにおいて、
前記一時保管装置は、各前記区画空間部に配置される案内板をそれぞれ有し、
前記案内板は、供給方向側と反対側の端部が前記本体部に固定されており、供給方向側の端部が、前記シャッターを閉じることで前記シャッターの閉方向に変形し、開くことで前記シャッターの開方向に復帰する、
組付部品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付部品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に用いられるワイヤハーネスなどのアセンブリは、複数の組付部品により構成されている。各組付部品は、アセンブリに対する組付位置が決まっており、作業員が組付部品を組付位置に組み付けている。アセンブリを組み立てる場合は、アセンブリを組み立てる組立治具板が移動方向に移動している状態で、作業員が組立治具板に対面して作業を行うこととなる。
【0003】
組立治具板には、組付部品を収容・取り出し可能な部品収容部が複数設けられている。部品収容部には、組付部品供給システムにより、予め組付部品が移動している組立治具板の外部から組付部品が供給される。組付部品供給システムは、組立治具板が部品収容部に組付部品を供給できる位置に到達すると、組付部品を貯留する部品貯留部から組付部品を部品収容部に供給する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−134364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、移動方向において隣り合う部品収容部の間隔が狭いと、組立治具板の移動速度との関係上、組付部品供給システムは、各部品収容部に対して組付部品を供給する供給間隔を短くすることとなる。供給装置が組立治具板の近傍に設けられている場合は、組付部品を部品貯留部から部品収容部まで搬送する搬送距離が短いため問題ないが、部品貯留部から組立治具板までの距離が長く、搬送距離が長い場合は、部品貯留部から組付部品を各部品収容部に供給する間隔が短くなり、各部品収容部に対して、各部品収容部にそれぞれ対応する組付部品を確実に供給することが困難となる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、各部品収容部に対して、各部品収容部にそれぞれ対応する組付部品を確実に供給することができる組付部品供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明における組付部品供給システムは、移動方向に移動し、かつアセンブリを組み立てる組立治具板に取り付けられた複数の部品収容部に対して、前記アセンブリを構成する組付部品をそれぞれ供給する組付部品供給システムであって、前記組付部品が貯留されている部品貯留部と、前記部品貯留部から前記組付部品を前記部品収容部に向けて搬送する搬送装置と、前記組立治具板が移動方向に移動することで、前記部品収容部に対する前記組付部品の供給方向において各前記部品収容部と対向し、かつ各前記部品収容部にそれぞれ収容する前記組付部品を一時保管する一時保管装置と、少なくとも前記搬送装置および前記一時保管装置を制御する制御装置と、を備え、前記一時保管装置は、前記搬送装置により搬送された前記組付部品を内部に形成された保管空間部に一時保管する本体部と、前記本体部と前記組立治具板との間に設けられ、かつ開くことで、一時保管された前記組付部品を前記部品貯留部に供給することを許容し、閉じることで、一時保管された前記組付部品を前記部品貯留部に供給することを禁止する供給シャッターと、閉じることで前記保管空間部を2つの区画空間部に区画し、開くことで供給方向側の区画空間部に供給方向と反対側の区画空間部に一時保管されている前記組付部品を移動させる1以上の区画シャッターと、を有し、前記搬送装置は、各前記部品収容部にそれぞれ対応する前記組付部品ごとに、前記本体部に向けて前記組付部品を搬送し、前記制御装置は、前記供給シャッターおよび前記区画シャッターの開閉制御を行うものであり、前記供給シャッターが閉じた状態で、各前記部品収容部にそれぞれ対応する前記組付部品ごとに、前記区画空間部に対して前記組付部品を一時保管するように、前記区画シャッターの開閉制御を行い、前記供給シャッターが開いた状態で、前記区画空間部にそれぞれ一時保管されている前記組付部品をそれぞれ対応する前記部品収容部に供給するように、前記区画シャッターの開閉制御を行う、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記組付部品供給システムにおいて、前記一時保管装置は、各前記区画空間部に配置される案内板をそれぞれ有し、前記案内板は、供給方向側と反対側の端部が前記本体部に固定されており、供給方向側の端部が、前記シャッターを閉じることで前記シャッターの閉方向に変形し、開くことで前記シャッターの開方向に復帰する、ものでもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る組付部品供給システムは、一時保管装置により、複数の部品収容部にそれぞれ供給する組付部品を組立治具板の近傍で一時的に保管するので、各部品収容部に対して、各部品収容部にそれぞれ対応する組付部品を確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態における組付部品供給システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態における一時保管装置(保管状態)を示す図である。
図3図3は、実施形態における一時保管装置(非保管状態)を示す図である。
図4図4は、実施形態における組付部品供給システムの動作フロー図である。
図5図5は、実施形態における組付部品供給システムの動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
まず、実施形態における組付部品供給システムについて説明する。図1は、実施形態における組付部品供給システムの構成例を示す図である。図2は、実施形態における一時保管装置(保管状態)を示す図である。図3は、実施形態における一時保管装置(非保管状態)を示す図である。ここで、各図のX方向は、本実施形態における組立治具板の幅方向であり、X1が移動方向であり、X2が移動方向と反対方向である反転方向である。Z方向は、組立治具板の上下方向であり、幅方向および組立治具板の板厚と直交する方向であり、Z1方向が上方向であり、Z2方向が下方向および供給方向である。なお、本実施形態においては、板厚方向から見た場合に、上下方向は鉛直方向となる。
【0013】
本実施形態における組付部品供給システム1は、複数の組付部品を組み付けることでアセンブリを組み立てる際に、アセンブリを構成する組付部品を供給するものである。本実施形態におけるアセンブリは、図1に示すように、自動車等の車両に搭載されて、バッテリなどの電源から供給される電力を各種の電子機器に供給する導電性を有する複数の配索材、コネクタ、外装部品(コルゲートチューブ、テープ、結束バンド、クリップ付き結束バンド)などの複数の組付部品から構成されるワイヤハーネスWHである。組付部品供給システム1は、組立治具板移動装置10の組立治具板11に対して、ワイヤハーネスWHを構成する組付部品のうち、一部の組付部品6,7を供給するものである。組付部品供給システム1は、部品貯留部2と、搬送装置3と、一時保管装置4と、制御装置5とを備える。なお、本実施形態における組付部品6,7は、クリップ付き結束バンドであり、形状は同一であるが、色が異なる。
【0014】
ここで、組立治具板移動装置10は、組立治具板11を移動方向に移動するものであり、組立治具板11と、固定台座12と、位置検出部13とを有する。
【0015】
組立治具板11は、アセンブリであるワイヤハーネスWHを組み立てるための治具である。組立治具板11は、固定台座12に対して移動方向に移動自在に支持されている。組立治具板11は、本体部11aと、保持ピン11bと、部品収容部11cと、車輪11dとを有する。本体部11aは、平板状に形成されており、例えば木製であり、組み立てるワイヤハーネスWHの長さよりも、幅方向における長さが長く形成されている。保持ピン11bは、組立治具板11に対して組み立て中のワイヤハーネスWHを一時的に保持するものである。保持ピン11bは、一方の端部である先端がU字形状に形成されており、他方の端部が本体部11aに固定されている。保持ピン11bは、本体部11aに対して組み立てるワイヤハーネスWHの形状に対応して複数取り付けられている。部品収容部11cは、組付部品を一時的に収容するものである。部品収容部11cは、作業員が一回の作業で行う組付部品を収容するものであり、本体部11aに対して幅方向に複数配列されて取り付けられている。本実施形態における部品収容部11cは、枠体11eと、カバー11fとを有する。枠体11eは、幅方向および上下方向と直交する板厚方向から見た場合に、上方向側端部が開口し、外部と連通するU字形状に形成されており、本体部11aに固定されている。カバー11fは、枠体11eのうち本体部11a側と反対側を覆うものであり、例えば作業員に対する組付部品6,7の視認性向上を目的として透過性を有し、枠体11eの下方向側端部に対して下方向側端部が上方向に離間することで、取出口11gが形成されている。つまり、上方向側端部から部品収容部11cの内部に供給された組付部品は、自重により枠体11eの下方向側端部に移動し、板厚方向において取出口11gと対向して一時的に保持されることで収容される。作業員は、取出口11gから組付部品を取り出し、ワイヤハーネスWHに組み付けることとなる。ここで、本実施形態における組付部品供給システム1は、組立治具板11に取り付けられた複数の部品収容部11cのうち、少なくとも一部の部品収容部11c1〜11c4に組付部品6,7をそれぞれ供給するものである。具体的には、部品収容部11c1は第1組付部品P1である2つの組付部品6,6が収容されるものであり、部品収容部11c2は第2組付部品P2である1つの組付部品7が収容されるものであり、部品収容部11c3は第3組付部品P3である2つの組付部品6,6が収容されるものであり、部品収容部11c4は第4組付部品P4である1つの組付部品6が収容されるものである。車輪11dは、固定台座12に対して組立治具板11を移動方向に移動することを支持するものである。本実施形態における車輪11dは、本体部11aの下方向側端部に、移動方向において離間して複数回転自在に取り付けられている。車輪11dは、固定台座12に対して組立治具板11の自重を支持しつつ、回転することができる。
【0016】
固定台座12は、複数の組立治具板11を移動方向に移動自在に支持するものであり、組立工場の敷地内に固定されている。固定台座12は、ベルトやチェーンなどの無端連鎖部材12aを図示しないモータなどの台座駆動源により回転駆動することで、無端連鎖部材12aにそれぞれ連結されている組立治具板11が移動方向に移動することとなる。ここで、無端連鎖部材12aは、上下方向から見た場合に、長穴形状に形成されている。従って、移動方向に移動する組立治具板11は、固定台座12の移動方向側端部において折り返し、移動方向に移動する組立治具板11の裏側を反転方向に移動し、固定台座12の反転方向側端部においてさらに折り返し、再び移動方向に移動することとなる。台座駆動源は、制御装置5と電気的に接続されており、制御装置5により組立治具板11の移動が制御される。
【0017】
位置検出部13は、移動方向に移動する組立治具板11の位置を検出するものである。本実施形態における位置検出部13は、固定台座12に対する組立治具板11の相対位置を検出することで、一時保管装置4に対する部品収容部11cの相対位置を検出するものである。位置検出部13は、制御装置5と電気的に接続されており、組立治具板11の位置情報が制御装置5に出力される。
【0018】
部品貯留部2は、組付部品6,7が貯留されているものである。本実施形態における部品貯留部2は、組付部品6,7をそれぞれ別々に貯留している。部品貯留部2は、具体的に、組付部品6,7の端部を保持し、かつ組付部品6,7を延在方向に移動自在に支持する図示しない2つのレールおよび選択機構を有する。2つのレールのうち、一方のレールは、組付部品6が複数保持され、他方のレールは組付部品7が複数保持される。レールは、上下方向において傾斜しており、両端部に開口が形成されている。レールの両端部のうち、上方向側端部からレールに対して組付部品6,7が挿入され、下方向側端部から搬送装置3の図示しない搬送トレーに落下する。選択機構は、搬送装置3により搬送する組付部品6,7の数および種類を選択するものである。選択機構は、具体的に、各レールの下方向側端部の開口をそれぞれ閉塞・開放することができる図示しない2つの板材と、各板材を閉塞状態、解放状態に移動させる図示しない機構駆動源とを有する。選択機構は、2つの板材のいずれかを解放状態とすることで、組付部品6,7のいずれかを搬送装置3に供給する。また、選択機構は、閉塞状態と開放状態とを繰り返すことで、任意の数の組付部品6,7を搬送装置3に供給する。機構駆動源は、制御装置5と電気的に接続されており、制御装置5により駆動制御が行われる。
【0019】
搬送装置3は、部品貯留部2から組付部品6,7を部品収容部11c1〜11c4に向けて搬送するものである。本実施形態における搬送装置3は、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ対応する組付部品6,7ごとに、本体部41に向けて組付部品6,7を搬送するものである。搬送装置3は、エアコンプレッサ31と、チューブ32とを有する。エアコンプレッサ31は、圧縮空気を生成するものであり、生成された圧縮空気を搬送トレーに供給された組付部品6,7とともにチューブ32に供給するものである。チューブ32は、組付部品6,7を一時保管装置4に搬送するものであり、一方の端部が搬送トレーと対向し、他方の端部が一時保管装置4の後述する保管空間部4aと対向して配置されている。搬送装置3は、圧縮空気がチューブ32に供給されることで、組付部品6,7を一時保管装置4に搬送するものである。搬送装置3は、制御装置5と電気的に接続されており、制御装置5により、駆動制御が行われる。
【0020】
一時保管装置4は、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ収容する組付部品6,7を一時保管するものである。一時保管装置4は、組立治具板11が移動方向に移動することで、各部品収容部11c1〜11c4に対する組付部品6,7の供給方向において各部品収容部11c1〜11c4と対向するものである。一時保管装置4は、図2および図3に示すように、本体部41と、カバー42と、供給シャッター43と、複数の区画シャッター44〜46と、複数のアクチュエータ47と、案内板48とを有する。
【0021】
本体部41は、搬送装置3により搬送された組付部品6,7を内部に形成された保管空間部4aに一時保管するものである。本実施形態における本体部41は、上下方向から見た場合に、板厚方向において本体部11a側と反対側が開口するU字形状に形成されている。本体部41は、上下方向における両端部に開口41a,41bが形成されている。開口41aは、搬送装置3のチューブ32の他方の端部と供給方向において対向する。開口41bは、組立治具板11の上方向側端部、すなわち各部品収容部11c1〜11c4の上方向側端部の開口と供給方向において対向する。本体部41は、供給シャッター43および区画シャッター44〜46を保管空間部4a内に介在させるための貫通穴41fが形成されている。
【0022】
カバー42は、本体部41のうち板厚方向において本体部11a側と反対側を覆うものであり、例えば作業員に対する組付部品6,7の視認性向上を目的として透過性を有している。つまり、保管空間部4aは、カバー42により板厚方向において本体部11a側と反対側が閉塞され、上下方向における両端部が外部と連通する。
【0023】
供給シャッター43は、本体部41と組立治具板11との間に設けられている。本実施形態における供給シャッター43は、保管空間部4aに設けられている。供給シャッター43は、開くこと、すなわち開状態で、保管空間部4aに一時的に保持された組付部品6,7を各部品収容部11c1〜11c4に供給することを許容するものである。供給シャッター43は、閉じること、すなわち閉状態で、保管空間部4aに一時的に保持された組付部品6,7を各部品収容部11c1〜11c4に供給することを禁止するものである。供給シャッター43は、貫通穴41fに移動自在に挿入されており、本体部41に対して幅方向において移動自在に支持されている。供給シャッター43は、対応するアクチュエータ47の後述するシャフト47aの先端部に反転方向側端部が固定されている。本実施形態における供給シャッター43は、閉状態において、移動方向側端部と本体部41との間に隙間が形成されるように、アクチュエータ47により移動方向に移動する。また、供給シャッター43は、閉状態において、移動方向側端部と本体部41との間に隙間(組付部品6,7が通過できない隙間)を形成する。従って、搬送装置3のチューブ32を介して、保管空間部4aに進入した圧縮空気が保管空間部4aに留まることなく、開口41bから外部に抜けることとなる。
【0024】
区画シャッター44〜46は、保管空間部4aに設けられている。区画シャッター44〜46は、閉じること、すなわち閉状態で、保管空間部4aを2つの区画空間部に区画するものである。具体的には、第1区画シャッター44は、供給シャッター43および第2区画シャッター45が閉状態において、保管空間部4aを第1区画空間部4bと、第2区画空間部4cとに区画する。第2区画シャッター45は、第1区画シャッター44および第3区画シャッター46が閉状態において、保管空間部4aを第2区画空間部4cと、第3区画空間部4dとに区画する。第3区画シャッター46は、第2区画シャッター45が閉状態において、保管空間部4aを第3区画空間部4dと、第4区画空間部4eとに区画する。すなわち、供給シャッター43および区画シャッター44〜46は、すべて閉状態において、保管空間部4aを4つの区画空間部4b〜4eに区画する。区画シャッター44〜46は、開くこと、すなわち開状態で、供給方向側の区画空間部4b〜4eに、供給方向側と反対側の区画空間部4b〜4eに一時保管されている組付部品6,7を移動させる。区画シャッター44〜46は、対応する貫通穴41fに移動自在にそれぞれ挿入されており、本体部41に対して幅方向においてそれぞれ移動自在に支持されている。区画シャッター44〜46は、対応するアクチュエータ47のシャフト47aの先端部に反転方向側端部が固定されている。本実施形態における区画シャッター44〜46は、閉状態において、移動方向側端部と本体部41との間に隙間が形成されるように、アクチュエータ47により移動方向にそれぞれ移動する。また、区画シャッター44〜46は、閉状態において、移動方向側端部と本体部41との間に隙間(組付部品6,7が通過できない隙間)を形成する。従って、搬送装置3のチューブ32を介して、各区画空間部4b〜4eに進入した圧縮空気が各区画空間部4b〜4eに留まることなく、供給方向側の区画空間部4b〜4eに抜けることとなる。
【0025】
アクチュエータ47は、供給シャッター43および区画シャッター44〜46を開状態、閉状態とするものである。アクチュエータ47は、シャフト47aと、シャフト駆動源とを有する。シャフト47aは、アクチュエータ47の筐体に対して幅方向に移動自在に支持されている。シャフト駆動源は、シャフト47aを幅方向に移動させるものであり、例えば、圧縮空気を利用するものである。シャフト駆動源は、制御装置5と電気的に接続されており、制御装置5により駆動制御が行われる。
【0026】
案内板48は、区画空間部4b〜4eにおける組付部品6,7を供給方向に案内するものである。案内板48は、各区画空間部4b〜4eにそれぞれ対応して、各区画空間部4b〜4eにそれぞれ配置されるものである。案内板48は、可撓性を有しており、外力を加えることで変形し、外力から解放されることで復帰するものである。本実施形態における案内板48は、板状であり、保管空間部4aの板厚方向における長さと同一(外力による変形を許容する程度の同一)であり、供給方向側と反対側の端部、すなわち上方向側端部が本体部41に固定されており、供給方向側の端部、すなわち下方向側端部が自由端である。ここで、案内板48は、図3に示すように、外力が作用されていない状態で、幅方向において下方向側端部が開状態における各シャッター43〜46の移動方向側端部よりも下方側となるように形成されている。また、案内板48は、図2に示すように、幅方向において下方向側端部が閉状態における各シャッター43〜46の移動方向側端部と対向あるいは近傍に位置するように形成されている。つまり、案内板48は、対応する各シャッター43〜46が開状態から閉状態となる際に、下方向側端部が各シャッター43〜46により移動方向に案内されることで、移動方向に変形する。案内板48は、対応する各シャッター43〜46が閉状態から開状態となる際に、下方向側端部がシャッター43により移動方向に押圧されることから解放されるので、反転方向に復帰する。案内板48は、対応する各シャッター43〜46が閉状態であると、本体部41との間で形成される空間部を下方向に向かうほど幅方向における幅が小さくなるテーパー状とすることができる。
【0027】
制御装置5は、組立治具板移動装置10、搬送装置3および一時保管装置4を制御するものである。制御装置5は、各アクチュエータ47を介して、供給シャッター43および各区画シャッター44〜46の開閉制御を行うものである。制御装置5は、供給シャッター43が閉じた状態で、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ対応する組付部品6,7ごとに区画空間部4b〜4eに対して一時保管するように、区画シャッター44〜46の開閉制御を行うものである。また、制御装置5は、供給シャッター43が開いた状態で、区画空間部4b〜4eにそれぞれ一時保管されている組付部品6,7をそれぞれ対応する部品収容部11c1〜11c4に供給するように、区画シャッター44〜46の開閉制御を行う。制御装置5は、ハードウェア構成としては、既知のものであり、位置検出部13からの位置情報に基づいて、搬送装置3および一時保管装置4に制御信号を出力するものである。
【0028】
次に、本実施形態における組付部品供給システム1の動作について説明する。図4は、実施形態における組付部品供給システムの動作フロー図である。図5は、実施形態における組付部品供給システムの動作フロー図である。まず、一時保管装置4に組付部品6,7が一時保管されている状態で、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ組付部品6,7を供給する場合について説明する。なお、一時保管装置4は、各シャッター43〜46が閉状態において、部品収容部11c1に収容される2つの組付部品6,6は区画空間部4bに一時保管され、部品収容部11c2に収容される1つの組付部品7は区画空間部4cに一時保管され、部品収容部11c3に収容される2つの組付部品6,6は区画空間部4dに一時保管され、部品収容部11c4に収容される1つの組付部品6は区画空間部4eに一時保管されている。
【0029】
まず、制御装置5は、図4に示すように、組立治具板11の位置を検出する(ステップST11)。ここでは、制御装置5は、位置検出部13からの位置情報に基づいて、移動方向における一時保管装置4に対する部品収容部11c1〜11c4の位置を検出する。
【0030】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を開状態とし、区画シャッター44〜46の閉状態を維持する(ステップST12)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c1が供給方向において対向すると、供給シャッター43のみを開状態とする。従って、第1区画空間部4bに一時保管されていた2つの組付部品6,6である第1組付部品P1が開口41bを通過して部品収容部11c1に供給される。
【0031】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を閉状態とし、第1区画シャッター44を開状態とし、区画シャッター45,46の閉状態を維持する(ステップST13)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c2が供給方向において対向する前に、第1区画シャッター44のみを開状態とする。従って、第2区画空間部4cに一時保管されていた1つの組付部品7である第2組付部品P2が供給方向側の第1区画空間部4bに移動する。
【0032】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を開状態とし、第1区画シャッター44の開状態および区画シャッター45,46の閉状態を維持する(ステップST14)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c2が供給方向において対向すると、供給シャッター43を開状態とする。従って、第2区画空間部4cから第1区画空間部4bに移動した状態で、一時保管されていた第2組付部品P2が開口41bを通過して部品収容部11c2に供給される。
【0033】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を閉状態とし、第1区画シャッター44の開状態を維持し、第2区画シャッター45を開状態とし、第3区画シャッター46の閉状態を維持する(ステップST15)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c3が供給方向において対向する前に、区画シャッター44,45を開状態とする。従って、第3区画空間部4dに一時保管されていた2つの組付部品6,6である第3組付部品P3が供給方向側の第2区画空間部4cを介して第1区画空間部4bに移動する。
【0034】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を開状態とし、区画シャッター44,45の開状態および第3区画シャッター46の閉状態を維持する(ステップST16)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c3が供給方向において対向すると、供給シャッター43を開状態とする。従って、第3区画空間部4dから第1区画空間部4bに移動した状態で、一時保管されていた第3組付部品P3が開口41bを通過して部品収容部11c3に供給される。
【0035】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を閉状態とし、区画シャッター44,45の開状態を維持し、第3区画シャッター46を開状態とする(ステップST17)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c4が供給方向において対向する前に、区画シャッター44〜46を開状態とする。従って、第4区画空間部4eに一時保管されていた第4組付部品P4が供給方向側の区画空間部4c,4dを介して第1区画空間部4bに移動する。
【0036】
次に、制御装置5は、供給シャッター43を開状態とし、区画シャッター44〜46の開状態を維持する(ステップST18)。ここでは、制御装置5は、一時保管装置4に対して部品収容部11c4が供給方向において対向すると、供給シャッター43を開状態とする。従って、第4区画空間部4eから第1区画空間部4bに移動した状態で、一時保管されていた第4組付部品P4が開口41bを通過して部品収容部11c4に供給される。これらにより、各区画空間部4b〜4eに一時保管されていた組付部品6,7は、対応する各部品収容部11c1〜11c4に収容される。
【0037】
次に、一時保管装置4に組付部品6,7が一時保管されていない状態で、各区画空間部4b〜4eにそれぞれ組付部品6,7を搬送する場合について説明する。なお、一時保管装置4は、各シャッター43〜46が開状態とする。
【0038】
まず、制御装置5は、図5に示すように、供給シャッター43を閉状態とし、区画シャッター44〜46の開状態を維持する(ステップST21)。
【0039】
次に、制御装置5は、搬送装置3により、第1組付部品P1を一時保管装置4に搬送する(ステップST22)。ここでは、搬送装置3から搬送された、第1組付部品P1である2つの組付部品6,6は、保管空間部4aのうち、閉状態の供給シャッター43の上方向側まで搬送される。
【0040】
次に、制御装置5は、供給シャッター43の閉状態を維持し、第1区画シャッター44を閉状態とし、区画シャッター45,46の開状態を維持する(ステップST23)。ここでは、第1区画シャッター44が閉状態となることで、第1組付部品P1が第1区画空間部4bに一時保管される。
【0041】
次に、制御装置5は、搬送装置3により、第2組付部品P2を一時保管装置4に搬送する(ステップST24)。ここでは、搬送装置3から搬送された、第2組付部品P2である1つの組付部品7は、保管空間部4aのうち、閉状態の第1区画シャッター44の上方向側まで搬送される。
【0042】
次に、制御装置5は、供給シャッター43の閉状態を維持し、第1区画シャッター44の閉状態を維持し、第2区画シャッター45を閉状態とし、第3区画シャッター46の開状態を維持する(ステップST25)。ここでは、第2区画シャッター45が閉状態となることで、第2組付部品P2が第2区画空間部4cに一時保管される。
【0043】
次に、制御装置5は、搬送装置3により、第3組付部品P3を一時保管装置4に搬送する(ステップST26)。ここでは、搬送装置3から搬送された、第3組付部品P3である2つの組付部品6,6は、保管空間部4aのうち、閉状態の第2区画シャッター45の上方向側まで搬送される。
【0044】
次に、制御装置5は、供給シャッター43の閉状態を維持し、区画シャッター44,45の閉状態を維持し、第3区画シャッター46を閉状態とする(ステップST27)。ここでは、第3区画シャッター46が閉状態となることで、第3組付部品P3が第3区画空間部4dに一時保管される。
【0045】
次に、制御装置5は、搬送装置3により、第4組付部品P4を一時保管装置4に搬送する(ステップST28)。ここでは、搬送装置3から搬送された、第4組付部品P4である1つの組付部品6は、保管空間部4aのうち、閉状態の第3区画シャッター46の上方向側まで搬送されることで、第4組付部品P4が第4区画空間部4eに一時保管される。
【0046】
以上のように、本実施形態にかかる組付部品供給システム1は、部品貯留部2から組立治具板11の複数の部品収容部11c1〜11c4に直接組付部品6,7を供給するものではなく、搬送装置3により部品貯留部2に貯留されている組付部品6,7を一時保管装置4に予め搬送し、一時保管装置4において組付部品6,7を一時保管する。一時保管装置4は、組立治具板11の各部品収容部11c1〜11c4が供給方向においてそれぞれ対向するごとに、区画空間部4b〜4eにそれぞれ一時保管した組付部品6,7を各部品収容部11c1〜11c4に供給する。従って、組付部品供給システム1は、部品貯留部2よりも、各部品収容部11c1〜11c4に近い一時保管装置4より、各部品収容部11c1〜11c4に収容すべき、組付部品6,7を供給することができる。これにより、組立治具板11の近傍で一時保留するので、各部品収容部11c1〜11c4に対して、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ対応する組付部品6,7を確実に供給することができる。
【0047】
各案内板48に対応する各シャッター43〜46が閉状態であると、案内板48と本体部41との間で形成される空間部を下方向に向かうほど幅方向における幅が小さくなるテーパー状とすることができる。従って、各区画空間部4b〜4eにおいて組付部品6,7を一時保留している状態において、組付部品6,7は、各シャッター43〜46の移動方向側端部近傍に位置することができる。これにより、各シャッター43〜46が閉状態から開状態となった際に、組付部品6,7を供給方向に素早く移動、すなわち落下させることができ、部品収容部11c1〜11c4に対して、各部品収容部11c1〜11c4にそれぞれ対応する組付部品6,7をさらに確実に供給することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 組付部品供給システム
2 部品貯留部
3 搬送装置
4 一時保管装置
4a 保管空間部
4b〜4e 区画空間部
41 本体部
42 カバー
43 供給シャッター
44〜46 区画シャッター
47 アクチュエータ
48 案内板
5 制御装置
6,7 組付部品
10 組立治具板移動装置
11 組立治具板
11c 部品収容部
12 固定台座
13 位置検出部
図1
図2
図3
図4
図5