(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894829
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】構造物撤去シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20210621BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20210621BHJP
E04G 23/08 20060101ALI20210621BHJP
G06T 13/20 20110101ALI20210621BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20210621BHJP
【FI】
G06F30/20
G06T19/00 C
E04G23/08 ZESW
G06T13/20
G06F30/13
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-224624(P2017-224624)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-96036(P2019-96036A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】和田 政臣
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆光
(72)【発明者】
【氏名】平林 卓
(72)【発明者】
【氏名】横川 穣
【審査官】
松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−016489(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0031681(US,A1)
【文献】
特開平07−244686(JP,A)
【文献】
特開2007−241857(JP,A)
【文献】
特開2010−224765(JP,A)
【文献】
特開2014−063327(JP,A)
【文献】
特開昭62−192857(JP,A)
【文献】
特開2007−334678(JP,A)
【文献】
特開平11−239989(JP,A)
【文献】
特開平10−195972(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0200863(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 −30/28
G06T 13/20
G06T 19/00
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D点群データ取得装置と、3Dモデリングソフトと3Dビューワソフトを実行するコンピュータによる構造物撤去シミュレーションにおける構造物撤去シミュレーション方法において、
前記3D点群データ取得装置により作業エリアの3D点群データを取得する取得工程と、
前記3D点群データを用いて前記3Dモデリングソフトを実行するコンピュータにより前記作業エリアの3Dモデルを作成する3Dモデル作成工程と、
前記3Dモデリングソフトを実行するコンピュータにより作業手段の図面から3Dモデルを作成し、前記作業手段の動作するパーツ毎に基点を選択し、前記作業手段の本体側を主パーツとし、末端側を従属パーツとして各基点の主従関係を階層構造で定義する動作基点又は前記作業手段の据付位置にカメラの視点を設定する動作設定工程と、
前記作業エリア及び作業手段を前記3Dビューワソフトを実行するコンピュータにより読み込み表示して動作確認するシミュレーション工程と、
を有し、
前記作業エリアの構造物は、前記作業手段の種類に応じた分割数で分割し、前記構造物を前記分割したパーツ単位で表示させて撤去作業前の状態を示し、前記構造物を前記分割したパーツ単位で非表示にすることにより前記作業手段による前記構造物の撤去作業後の状態を示すことを特徴とする構造物撤去シミュレーション方法。
【請求項2】
前記作業エリアの構造物と、前記作業手段の座標値が同一空間上に存在するか否かを判定し、存在する場合には干渉箇所を表示することを特徴とする請求項1に記載の構造物撤去シミュレーション方法。
【請求項3】
前記作業手段がクレーンの場合において、前記構造物を切断して分離した切断物と前記クレーンの把持部を一体化して移動させる把持機能と、前記切断物を前記把持部から分離する開放機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物撤去シミュレーション方法。
【請求項4】
前記作業手段の作業工程を個別に登録し、複数の前記作業工程を連続した三次元アニメーションで表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の構造物撤去シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業エリアにある構造物の撤去作業を事前演習できる構造物撤去シミュレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
作業エリアにある構造物を撤去する際、3Dモデル化したエリアであらかじめ撤去作業を演習できれば、実際の作業において想定されるリスクを回避して短時間かつ効率良く作業を進めることができる。
従来、作業エリアを3Dモデル化するにあたり、様々な3Dモデリングソフト及び3Dビューワソフトが利用されている。
特許文献1に開示の三次元仮想モデル作成装置によれば、モデル作成時に各パーツの階層、回転中心の設定を行うことにより、制御対象物の三次元的な動的状況を容易に認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−212219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置では、各パーツの階層、回転中心などの位置を手作業で設定することが煩雑な作業となっていた。具体的に作業手段の設定に関しては、クレーンのアームなど、関節ごとに動きを定義しなければならず、追従した動きを設定することが困難であった。また回転軸を複数有する場合で、それぞれの回転軸が異なる回転を行う場合には設定が煩雑となっていた。
また、従来の3Dモデリングソフト及び3Dビューワソフトを用いた3Dモデルでは、視点の設定に関して、ビュー設定(視点位置の設定)も手作業で入力しなければならず、視点の位置を座標値で取得しておく必要があった。また視点の位置が変わった場合には、再度設定し直す必要があった。
また古い建物は、CADデータ等の図面がない場合が多く、3Dモデル化するためには測距等してデータを収集しなければならず、さらに時間及び手間がかかることになる。
【0005】
そこで上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、クレーンなど撤去に用いる作業手段の動作を模擬する際の特有の技能が不要で操作が容易な構造物撤去シミュレーションを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、3D点群データ取得装置と、3Dモデリングソフトと3Dビューワソフトを
実行するコンピュータによる構造物撤去シミュレーションにおける構造物撤去シミュレーション方法において、
前記3D点群データ取得装置により作業エリアの3D点群データ
を取得する取得工程と、
前記3D点群データを用いて前記3Dモデリングソフト
を実行するコンピュータにより前記作業エリアの3Dモデルを作成する3Dモデル作成工程と、
前記3Dモデリングソフト
を実行するコンピュータにより作業手段の図面から3Dモデルを作成し、前記作業手段の動作するパーツ毎に基点を選択し、前記作業手段の本体側を主パーツとし、末端側を従属パーツとして各基点の主従関係を階層構造で定義する動作基点又は前記作業手段の据付位置にカメラの視点を設定する動作設定工程と、
前記作業エリア及び作業手段を
前記3Dビューワソフト
を実行するコンピュータにより読み込み表示して動作確認するシミュレーション工程と、
を有し、
前記作業エリアの構造物は、前記作業手段の種類に応じた分割数で分割し、前記構造物を前記分割したパーツ単位で表示させて撤去作業前の状態を示し、前記構造物を前記分割したパーツ単位で非表示にすることにより前記作業手段による前記構造物の撤去作業後の状態を示すことを特徴とする構造物撤去シミュレーション方法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、正確な寸法を持つ構造物の撤去作業の事前計画を詳細かつ効率的に検討できる。
【0007】
上記課題を解決するための第2の手段として、本発明は、前記第1の手段において、前記作業手段の動作基点は、動作するパーツ毎に基点を選択し、前記作業手段の本体側を主パーツとし、末端側を従属パーツとして各基点の主従関係を階層構造で定義することを特徴とする請求項1に記載の構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第2の手段によれば、特殊な技能を用いずに作業手段の動作設定を容易に行うことができる。
【0008】
上記課題を解決するための第3の手段として、本発明は、前記第1又は第2の手段において、前記動作設定工程は、前記カメラの視点を前記作業手段の据付位置に設定していることを特徴とする構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第3の手段によれば、遠隔操作時の現場状況を正確に把握でき、作業計画の効率的な検討、実作業時の安全性向上が期待できる。
【0009】
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は、前記第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記作業エリアの構造物と、前記作業手段の座標軸が同一空間上に存在するか否かを判定し、存在する場合には干渉箇所を表示することを特徴とする構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第4の手段によれば、作業工程の検討時などいつでも作業手段と構造物の干渉を認識できる。
【0010】
上記課題を解決するための第5の手段として、本発明は、前記第1ないし第4の手段において、前記作業エリアの構造物は、前記作業手段の種類に応じて分割数を設定し、前記作業手段による分割された箇所を非表示にすることを特徴とする構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第5の手段によれば、作業手段の種類として切断機を選定した場合、切断対象として設定する構造物の切断位置、切断後の重機の侵入経路、干渉物の有無などを容易に検証することができる。
【0011】
上記課題を解決するための第6の手段として、本発明は、前記第1ないし第5のいずれか1の手段において、前記作業手段がクレーンの場合において、前記構造物を切断して分離した切断物と前記クレーンの把持装置を一体化して移動させる把持機能と、前記切断物を前記把持装置から分離する開放機能を有することを特徴とする構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第6の手段によれば、切断物を把持したときの切断物とクレーンを一体としてその移動を表す(シミュレーションする)ことができ、周囲の構造物との干渉の有無を容易に検証することができる。
【0012】
上記課題を解決するための第7の手段として、本発明は、前記第1ないし第6のいずれか1の手段において、前記作業手段の作業工程を個別に登録し、複数の前記作業工程を連続した三次元アニメーションで表示することを特徴とする構造物撤去シミュレーションを提供することにある。
上記第7の手段によれば、作業工程の動画を容易に作成でき、事前計画を詳細かつ効率的に検討できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正確な寸法を持つ構造物の撤去作業の事前計画を詳細かつ効率的に検討できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の構造物撤去シミュレーションの処理フロー図である。
【
図2】作業手段の回転機能の動作設定の説明図である。
【
図3】3Dビューワによる伸縮機能のモデル操作画面の説明図である。
【
図6】ブレス切断のモデル作成方法の説明図である。
【
図9】三次元アニメーションに登録する各作業工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の構造物撤去シミュレーションの実施形態を添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
本発明の構造物撤去シミュレーションは、建屋の構造物(例えばH鋼など)を作業手段(撤去作業を行う重機であり、例えば、油圧ショベル、ミニクローラクレーン、オーシャンクレーンなど)で撤去する作業を事前演習するものである。
図1は本発明の構造物撤去シミュレーションの処理フロー図である。
本発明の構造物撤去シミュレーションは、建屋などの作業エリアの3D点群データを取得装置により取得する工程(ステップ1)と、
取得した3D点群データを用いて3Dモデリングソフトにより作業エリアの3Dモデルを作成するとともに、別途取得した重機などの図面あるいは仕様書から3Dモデリングソフトにより作業手段の3Dモデルを作成する工程(ステップ2)と、
モデリングした作業手段の動作基点又はカメラの視点を設定する動作設定工程(ステップ3)と、
作業エリア及び作業手段を3Dビューワソフトで読み込み表示して動作確認するシミュレーション工程(ステップ4)と、からなる。
【0016】
(3D点群データ取得工程)
作業エリアを3Dモデリングするために必要な3D点群データを取得する。
3D(三次元)点群データは、3D点群データ取得装置(レーザ光照射式測距装置)を用いた既知の手法で取得している。取得装置は、作業エリアの寸法を計測する測距部と、遠隔操作により移動可能な移動体からなる。
このような構成の取得装置を作業エリア内に移動させて、測距部による作業エリアをレーザスキャンする。レーザの反射光によって計測された三次元像のデータファイルを取得できる。なお、重機等の作業手段については、あらかじめメーカー等から入手した図面や仕様書、CAD図面データなどから取得することができる。
【0017】
(作業エリア及び作業手段の3Dモデル作成工程)
3D点群データを用いて3Dモデリングソフト(例えばAutodesk社の3DStudioMax)及び3Dビューワソフト(例えばAutodesk社のNavisworks)により、3Dモデルを作成する。
【0018】
(作業手段の動作設定工程)
作業手段の主たる動作は、回転、伸縮、移動、切断などである。本実施形態の作業手段の動作設定は、動作するパーツ毎に基点(動作基点)を選択し、作業手段の本体側を主パーツとし、末端側を従属パーツとして各基点の主従関係を階層構造で定義している。
[回転機能]
例えば、作業手段に遠隔重機モデル(油圧ショベル)を適用した場合、複数の回転軸を有している。3Dモデルパーツの回転機能の設定について以下説明する。
図2は作業手段(油圧ショベル)の回転機能の動作設定の説明図である。
同図(1)に示すように、遠隔重機モデル(油圧ショベル)の回転機構部となるピンを選択し、ピボットナンバーとして定義する。同図では本体(body)2(ピボット(pivot)ナンバー001)、アーム(ピボット(pivot)ナンバー002〜005)などの各パーツ関節部の識別、設定を行っている。その後、同データを3Dビューワに読み込む。
同図(2)は作業手段の回転動作設定画面の説明図であり、同図のモデルの階層表示画面Aに示すように各パーツの従属関係としてモデルの階層構造10を定義している。遠隔重機モデルは本体及びArm1〜4のパーツを備えているので、本体側(上層)のbodyが主パーツとなり、bodyに接続する末端側(下層)のArm1〜4が従属パーツとなる。各パーツはそれぞれピボットナンバーが割り当てられる(bodyにはpivot 001、Arm1にはpivot 002、Arm2にはpivot 003、Arm3にはpivot 004、Arm4にはpivot 005)。
これにより、旋回体等の主パーツを回転動作させたときにアーム等の従属パーツも従動する。このとき三次元位置は重機モデルのローカル座標系、3Dビューワ全体のモデル中の絶対座標系においても容易に特定できる。
さらにあらかじめ設定した間接(Pivot 001〜005)の可動角度範囲内で操作ボリューム12を操作画面Bで調整することにより視覚的に容易に回転動作を設定できる。
【0019】
[伸縮機能]
図3は作業手段として伸縮するポールの先端にカメラを有する遠隔調査装置を示したもので、3Dビューワによる伸縮機能のモデル操作画面の説明図である。同図に示す伸縮機能を備えた遠隔調査装置15は、吊り架台と、伸縮ポール16と、カメラを備えた装置である。吊り架台に取り付ける上層の伸縮ポール16のpole 001が主パーツとなり、末端側(下層)のpole 002〜004が従属パーツとなる。各パーツはそれぞれ以下のようなピボットナンバーが割り当てられる。すなわち、pole 001にはpivot 001及びexpand 001、pole 002にはexpand 002、pole 003にはexpand 004、pole 005にはexpand 005。
これにより、伸縮ポールのpole 001を伸縮動作させたとき従属パーツのpole 002〜004も従動する。
【0020】
(構造物と作業手段の干渉チェック機能)
本発明の構造物と作業手段の干渉検出は、作業エリアの静止構造物などの三次元幾何学的形状と、遠隔重機などの作業手段の同形状の座標値が同一空間上に存在するか否かを判定基準として抽出している。
図4は構造物と作業手段の干渉の説明図である。同図に示す作業手段は油圧ショベル1であり、構造物は外壁ブレス20である。油圧ショベル1の作業中に外壁ブレス20との干渉が発生した場合、干渉箇所が干渉色で表示される。
干渉チェック機能は、作業操作の検討過程、アニメーション作成時、アニメーション中のリアルタイム、で逐次認識できるように構築している。具体的に、作業エリアの3Dモデルと、作業手段の3Dモデルが同一空間上(座標値が一致する箇所)にある場合に干渉と認識して、干渉箇所を異色(干渉色と称す)で表示するように設定する。この干渉している状態から作業手段を動かして同一空間上から外れると、干渉箇所がなくなり干渉色の表示を消している。
これにより効率的に干渉の有無を判断できる。従来、作成したアニメーションに対する出力機能に限定されており、作業の検討過程やアニメーション作成時にリアルタイムでチェックすることができなかったが、本発明では作業の検討・検証過程においてもチェックすることができる。
【0021】
(カメラ視点変更機能)
図5は遠隔調査装置のカメラ視点変更操作画面の説明図である。作業手段に備え付けるカメラ(前述の伸縮ポール16のポール末端に取り付けたカメラ)の位置(視点位置)を3Dモデリングソフトの装置モデルにビューナンバーとしてあらかじめ設定している。
同図に示すビューワソフトの表示画面上で遠隔調査装置の伸縮ポール16の先端に設置するカメラ17をカメラ選択70で選択し、ビューカメラに固定72をチェックする。
カメラ方向操作ボリューム74でカメラ17の視認方向を、水平回転、垂直回転、機器の上下などにより任意に設定変更できる。さらにカメラ17による視認方向に対し、可動範囲内でパン・チルト動作やズームができる機能を有している。
従来はビュー設定(視点位置の設定)を手作業で入力しなければならず、視点の位置を座標値で取得しておく必要があった。また視点の位置が変わった場合には、再度設定し直す必要があったが、本発明によれば、あらかじめ視点変更するカメラを3Dモデル作成の際、容易に設定することができ、ビューワソフトの表示画面上から容易に視点変更、視認方向、パン・チルト・ズーム動作などを行うことができる。従って遠隔操作時の現状状況をより詳細に把握し、工事計画の効率的な検討、実作業時の安全性向上効果が期待できる。
【0022】
(構造物の表示・非表示機能)
図6はブレス切断のモデル作成方法の説明図である。
3Dモデリングソフト上で切断対象となる構造物(外壁ブレス80)を任意に決め、モデル名の末尾に分割数を付記して識別する。例えば、同図に示す外壁ブレス80は、左上のフレームについて、east frame08 leftdown(モデル名)1〜10(分割数)と設定して識別している。
なお、分割する長さは作業手段との干渉や、切断機の加工位置、躯体の剛性を確保できる構造などを考慮して適切な間隔で分割する。
これにより切断対象部材が設定した間隔で細分化パーツとして定義できる。
図7は切断実行画面の説明図である。任意に分割された構造物(外壁ブレス80)の始点及び終点をクリックすることで(同図の切断前参照)、分割した外壁ブレス80を非表示にできる(同図の切断後参照)。
【0023】
(把持・開放機能)
図8は把持開放機能の操作画面の説明図である。同図にはH鋼を把持する把持装置102を先端に取り付けたオーシャンクレーン101を示している。ビューワソフト上で重機104にオーシャンクレーン101を選択し、接触部105を把持装置102と選択する。把持装置102を移動させて把持するH鋼103と画面上で重なった際、把持するH鋼103をクリックして選択した状態でアタッチ(attach)ボタン106を押すことで、プログラム上でH鋼103が把持装置102の一部となり把持装置102とH鋼103を一体化させることができる。
これによりその後の動作設定においては、把持装置102の駆動機構と共に一体動作が可能となる。
またデタッチ(detach)ボタン107を押すことでH鋼103を開放(一体化したH鋼103と把持装置102を分離)することができる。
【0024】
(三次元アニメーション)
図9は三次元アニメーションに登録する各作業工程の説明図である。同図に示す作業工程は、オーシャンクレーンとミニクローラクレーンモデルを用いてH鋼を撤去する作業を示している。オーシャンクレーンとミニクローラクレーンモデルを作業構台に配置する(A)。オーシャンクレーンのブームパーツを回転機能によって旋回させ(B)、伸縮機能を使い撤去対象のH鋼近傍まで延伸させる(C)。このとき、周囲構造物や瓦礫と干渉の有無を干渉チェック機能で確認しながら動作設定する。ブーム先端に取付けた把持装置をH鋼に対し正対する位置まで回転(D)漸進調整し、H鋼を把持する(E)。このとき、H鋼パーツを選択し、把持機能の「attach」ボタンを用いてH鋼と把持装置を一体化させる。重機モデル選択をミニクローラクレーンに切り替え、同様に伸縮ブーム先端をH鋼近傍まで延伸させる(F)。その後ブーム先端の吊荷旋回装置の自動回転フックに付随する電磁リフティングマグネットを吊下ろし、干渉機能を用いてH鋼との接触を確認した後、H鋼を一体化させる(G)。オーシャンクレーンとの共吊りした状態から、H鋼把持装置を開放、ブームを縮長させ(H)ミニクローラクレーンにて安全な所定の位置までH鋼を移動させ、開放機能により切り離す(I)。上記(A)〜(I)の作業工程を個別に登録し結合することによりアニメーションを作成できる。作成したアニメーションは、干渉チェック機能など上記機能を有しているため、容易な操作で事前演習が行える。
【符号の説明】
【0025】
10……モデルの階層構造、12………操作ボリューム、15………遠隔操作装置、16………伸縮ポール、
20………外壁ブレス、
70………カメラ選択、72………ビューカメラに固定、74………カメラ方向操作ボリューム、
80………外壁ブレス、
101………オーシャンクレーン、101a………伸縮ブーム、102………把持装置、103………H鋼、104………重機、105………接触部、106………アタッチボタン、