特許第6894852号(P6894852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894852
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】センサデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20210621BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20210621BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   G06F3/041 460
   G06F3/041
   G06F3/044
   G06F3/041 600
   G06F3/01 510
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-567441(P2017-567441)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-524721(P2018-524721A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】EP2016025067
(87)【国際公開番号】WO2016206819
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】1511042.2
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517448010
【氏名又は名称】タンギ0 リミッテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コン、ミン
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0225855(US,A1)
【文献】 特開2014−229014(JP,A)
【文献】 特表2014−510319(JP,A)
【文献】 特開2012−053592(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0162582(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0096036(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0021278(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0285637(US,A1)
【文献】 特表2014−531679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/01
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的信号を発生させるためのセンサデバイスであって、前記センサデバイスは、導電性材料であって、前記電気的信号を測定する測定検知場所を有し、少なくとも部分的に、テクスチャを有する三次元プロファイル表面を有する前記導電性材料を含むかまたは前記導電性材料から成り、前記テクスチャは、テクスチャ加工された表面にわたる導電性物体の移動があったときに前記電気的信号の変化をもたらすように構成され、
前記センサデバイスは、前記電気的信号の変化に基づいて、前記測定検知場所に関する前記導電性材料のテクスチャ加工された表面上、または表面にわたる前記導電性物体の接触部分、移動速度、および/または移動方向を検出するように構成されている、センサデバイス。
【請求項2】
(i)前記三次元プロファイル表面が、規則的なまたは不規則な幾何学的パターンでテクスチャ加工されているか、
(ii)前記三次元プロファイル表面が、前記導電性材料の前記表面にわたる上昇バリエーションおよび/または下降バリエーションによって形成された、規則的なまたは不規則な幾何学的パターンでテクスチャ加工されているか、
(iii)前記三次元プロファイル表面が、複数の不連続および/または起伏を含む、規則的なまたは不規則な幾何学的パターンでテクスチャ加工されているか、または
(iv)前記三次元プロファイル表面が、前記表面にわたる複数のピークおよびトラフをパターン中に含む、規則的なまたは不規則な幾何学的パターンでテクスチャ加工されているか、請求項1に記載のセンサデバイス。
【請求項3】
前記幾何学的パターンが、実質的に鋸歯、正弦波、または方形波などの波形繰り返しであり、かつ/または、前記幾何学的パターンが、前記幾何学的パターンにわたるある方向での前記導電性物体の移動の影響下にあるとき、電気的信号の変化をもたらすように構成されている、請求項2に記載のセンサデバイス。
【請求項4】
前記電気的信号は、電圧または静電容量であり、前記センサデバイスにわたる前記導電性物体の移動が、前記電圧または静電容量の変化を引き起こす、請求項1〜3のいずれか一つに記載のセンサデバイス。
【請求項5】
前記導電性材料が,前記三次元プロファイル表面に加えて、少なくとも部分的に三次元形状をさらに有し、かつ/または、前記センサデバイスが、上部にかかる圧力または力に応答することによっても、前記電気的信号を作り出すように構成され、かつ/または、前記電気的信号が、電圧または静電容量であり、前記三次元形状への圧力または該三次元形状との接触が、前記電圧または静電容量の変化を引き起こす、請求項1〜4のいずれか一つに記載のセンサデバイス。
【請求項6】
前記導電性材料が、軟質シリコーンゴム材料などの可撓性材料およびグラファイトなどの導電性材料であるか、もしくは該可撓性材料および該導電性材料を含み、または、前記導電性材料が、導電性金属などの硬質導電性材料であるか、もしくは該硬質導電性材料を含む、請求項1〜5のいずれか一つに記載のセンサデバイス。
【請求項7】
前記センサデバイスは、
(i)導電層および/もしくは導電性被膜、並びに/または
(ii)導電性被膜を有する柔軟層および/もしくは織物層、並びに/または
(iii)前記導電性材料上に設けられた非導電性の絶縁層
を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載のセンサデバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載のセンサデバイスを使用する方法であって、前記方法は、前記センサデバイスを測定場所で電気的信号出力デバイスに接続することと、テクスチャ加工された前記表面にわたって前記導電性物体を移動させて、前記電気的信号出力デバイスにより検出可能な前記電気的信号の変化を作り出すことと、を含む、方法。
【請求項9】
前記導電性材料を少なくとも部分的に三次元形状で構成して、前記三次元形状との圧力または接触が、前記電気的信号出力デバイスにより検出可能な前記電気的信号の変化を作り出すようにすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電気的信号は、電圧または静電容量であり、前記センサデバイスの前記表面にわたって前記導電性物体を移動させること、および/または前記センサデバイスの前記表面に圧力または接触を加えることが、前記電圧または静電容量の変化を引き起こす、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記三次元プロファイル表面は、幾何学的パターンでテクスチャ加工され、前記幾何学的パターンは、前記幾何学的パターンにわたるある方向への前記導電性物体の移動が、前記電気的信号の変化を引き起こすように構成されている、請求項8〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
実行されると、計算デバイスに、請求項8〜11のいずれか一つに記載の方法を実行させるように構成され、および/または、計算デバイスに、前記電気的信号を処理することにより、タッチ位置、タッチ圧力、移動速度、移動方向、および測定検知場所の近傍を検出させるように、さらに構成されている、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一つに記載のセンサデバイスと、計算デバイス上で実行するように構成されている請求項12に記載のコンピュータプログラムとを備えるシステムであって、前記センサデバイスが、前記計算デバイスに電気的に接続可能であり、および/または
前記コンピュータプログラムが、ある時間帯にわたって信号を処理し、前記信号のバリエーションから、前記センサデバイス上の前記タッチ位置、前記表面にわたる前記導電性物体の前記移動速度、および/または前記導電性物体の前記移動方向を計算する命令を含み、および/または
前記コンピュータプログラムが、前記三次元プロファイル表面の特性を表す前記信号のシーケンスにおけるバリエーションまたは該シーケンスの特性から前記計算を行う命令を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデバイス、ならびに使用および製造の方法に関し、特に三次元触覚インターフェースの形式のセンサデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
触覚センサは、そのセンサとの物理的な相互作用を介して情報を取得する方法を提供し、一般にモバイルデバイスおよび計算デバイス、ロボット工学、ならびに制御システムなどの応用分野で使用されている。これらは、圧電抵抗性の、圧電性の、容量性の、および弾性抵抗性の検知に基づいて動作することができる。例えば、容量性のタッチスイッチでは、人はただ単にそのセンサに触れる必要があるだけであり、この触れることがそのセンサ内部の静電容量を変化させ、そしてスイッチを起動させる。様々な感圧材料が現在利用可能であり、圧力による切り替えおよび検知に使われる量子トンネリング複合材料が含まれる。これらは、ソフトロボット工学、重機械、および衣類において利用されている。感度をその材料自体の中に一体化して「ソフトエレクトロニクス」を創造するような導電性インクを含む例が開発されてきた。また、三次元(バーチャルリアリティ)インターフェースも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロセッサにデータを入力するために触覚インターフェースを設けることは既知であり、そのインターフェースは、三次元形状の入力表面およびその下に埋め込まれたセンサアレイを有する。その入力表面に力を加えることにより、力をその埋め込まれたセンサまたは複数のセンサに移送し、プロセッサへの信号を生成する。この開示されたセンサは、それによって、加えられた力の大きさおよび場所に関する情報を提供することができるが、必要とされる構造は、やや扱いにくく、かつ製造し難い。さらに、1つのセンサまたは1つのセンサアレイを備えると、利用可能な検知面積を制限する。加えて、介在している軟質で弾力のある材料を介して三次元表面上に加えられた力のそのセンサへの変換は、不正確および不整合性という結果をもたらすことがある。
【0004】
本発明の態様および実施形態は、前述したことを念頭に置いて発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載のセンサデバイスが提供されている。本発明の第2の態様によれば、請求項17に記載の、このセンサデバイスを使用する方法が提供されている。本発明の第3の態様によれば、請求項18に記載の、電気的信号を発生させる方法が提供されている。本発明のさらなる態様によれば、請求項22に記載のコンピュータプログラムが提供されている。本明細書のここおよび他の場所で言及される「コンピュータプログラム」とは、コンピュータまたは他の処理デバイス、例えば携帯電話(iPhone(登録商標)を含む)、タブレット(iPad(登録商標)を含む)等の上で走るように動作可能なプログラムを意味する。本発明の別の態様によれば、請求項24に記載のシステムが提供されている。
【0006】
1つの態様によれば、電気的信号を発生させるためのセンサデバイスが提供され、このデバイスは、少なくとも部分的に三次元プロファイル表面を有する導電性材料から成り、この三次元プロファイル表面は、その三次元プロファイル表面にわたる物体の移動に応答して当該電気的信号の変化を作り出すように構成されている。1つの実施形態では、このセンサデバイスは、その三次元プロファイル表面に加えて、少なくとも部分的に三次元形状をさらに有することができる。このプロファイル表面部分は、その3D形状部分に対して、そのセンサデバイスの別々の部分とすることができる。このプロファイル表面は、3D形状部分の上に設けられることができる。3D形状部分が設けられるところに、このプロファイル表面は、そのプロファイル表面にかかる力、圧力、またはそれとの接触に応答して、当該電気的信号の変化を作り出すように構成されている。
【0007】
別の態様によれば、従前の態様のセンサデバイスを使用する方法が提供され、この方法は、センサデバイスを電気的信号出力デバイスに接続することと、三次元プロファイル表面にわたり物体を移動させて電気的信号出力デバイスにより検出可能な電気的信号の変化を作り出すこととを含む。1つの実施形態では、三次元形状の上に圧力または力を加えることによって、電気的信号出力デバイスにより検出可能な電気的信号の変化を作り出す。
【0008】
別の態様によれば、電気的信号を発生させる方法が提供され、この方法は、導電性材料を設けることと、この材料を少なくとも部分的に三次元プロファイル表面で構成して、三次元プロファイル表面にわたる物体の移動が電気的信号の変化を作り出すようにすることとを含む。1つの実施形態では、この方法は、この材料を少なくとも部分的に三次元形状で構成して、三次元形状にかかる圧力または当該三次元形状との接触が電気的信号の変化を作り出すようにすることを含む。
【0009】
別の態様によれば、実行されると、計算デバイスに、従前の態様の方法を実行させるように構成されているコンピュータプログラムが提供される。別の態様によれば、上記いずれかの態様のセンサデバイス、および上記態様のコンピュータプログラムを備えるシステムが提供され、このコンピュータプログラムは、計算デバイス上で実行するように構成され、そのセンサデバイスは、計算デバイスに電気的に接続可能である。
【0010】
上記の態様の実施形態では、三次元プロファイル形状または表面は、テクスチャ加工されていることが可能である。この三次元プロファイル形状または表面は、規則的なまたは不規則な幾何学的パターンでテクスチャ加工されていることが可能である。この幾何学的パターンは、導電性材料の表面にわたる上昇バリエーションおよび/または下降バリエーションによって形成されていることが可能である。この幾何学的パターンは、複数の不連続および/または起伏を含むことができる。この幾何学的パターンは、その表面にわたる複数のピークおよびトラフをパターン中に含むことができる。この幾何学的パターンは、実質的に鋸歯、正弦波または方形波などの繰り返し波形とすることができる。この幾何学的パターンは、そのパターンにわたるある方向に力もしくは圧力または移動の影響下にあるとき、電気的信号の変化をもたらすように構成されていることが可能である。
【0011】
いくつかの態様および実施形態では、このデバイスは、例えばフラットシート、フラットブロック、または他のフラット形状もしくはテクスチャ加工された表面を有する3D形状の一体型導電材料構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、その表面自体は、実質的に平滑であり(例えば、平坦であり、または湾曲している)、テクスチャ加工され、パターニングされ、襞が形成された等の部分がその表面内に設けられている。別の選択肢として、このデバイスは、例えばフラットシート、フラットブロック、または他のフラット形状もしくはテクスチャ加工された表面を有する3D形状の材料構成(導電性またはそれ以外)を含むことができ、そのテクスチャ加工された表面に追加の導電性被膜/層が適用される。別の選択肢として、このデバイスは、例えばフラットシート、フラットブロック、または他のフラット形状もしくは導電性のテクスチャ加工された表面を有する規則的な3D形状である材料構成−導電性またはそれ以外−を含むことができ、そこでは、その被膜/層自体がテクスチャ加工され、かつ導電性を示す。これらのすべては、本態様の範囲内に入り、かつ特許請求の範囲の記載の通り、三次元プロファイル表面を有する導電性材料を構成する。
【0012】
このデバイスは、三次元形状または三次元プロファイル表面を有する導電性材料から成り、本質的にそれらから成り、またはそれらを含む。本明細書で使用される「三次元」は、表面、平面、またはそれ以外の上に、ならびに/または非二次元の表面もしくは形状に設けられたテクスチャまたはプロファイルを意味することができる。表面にわたり物体(例えば、人の指)を移動させること、および/または、圧力もしくは力、または表面と接触するそれ以外のものを加えることにより、電気的信号の変化を引き起こす。
【0013】
この材料の導電性は、この材料にわたってまたは導通時に変わりやすくまたは一定していない。言い換えると、この材料単体片の導電性は、変調されることがある。例えば、材料全体を通じる導電性の担い手の分布は、変化することがあり、またはその材料の様々な部分は、異なった導電性を有する可能性がある。このデバイスは、部分的に非導電性材料を含むことができる。例えば、このデバイスは、異なった外装仕上げを得るための伸縮可能な織地カバーを有することができる。別の選択肢として、このデバイスは、非導電性プラスチックから作られる内部構造体を有することができる。
【0014】
これにより、残りの材料と比較して相対的により高い、またはより低い導電率、零または零に近い導電率の1つ以上の領域を設けることができる。
【0015】
都合のよいことに、これによって、強化された信号検出および識別能力、ならびに特定用途向け材料の適応に備えることができる。特に、3Dプロファイルを設けることによって、追加のセンサを必要とすることなく、信号を調整して単一の均一な表面上で検知機能を強化することに備えることができる。また、その3Dプロファイルは、ユーザに対し触覚的なおよび視覚的な目安も提供する。さらに、その3Dプロファイルにより、ある特定の移動、例えば押し付け、ひねり、圧搾をその材料に加えることができる。
【0016】
1つの実施形態では、この導電性材料は、曲げやすく、変形しやすく、かつ/または伸縮性があり、すなわち可撓性を有することができる。1つの実施形態では、この導電性材料は、軟質シリコーンゴム材料またはゴム系複合材料である。この材料は、導電性材料を、例えばグラファイトなどの埋め込み粒子または充填材の形式で、含むことができる。この材料は、制御可能な導電率(グラファイト比率に依存する)を有するある範囲の硬度特性(シリコーン系に依存する)を有することができる。また、この導電性材料は、伸縮可能な織物層および/または導電性塗料を、例えばその両側の一方の上に設けることもできる。また、この導電性材料は、またはその代わりに、所望の製品仕立てを提供するため、非導電性材料の薄い層でコーティングされることもできる。別の実施形態では、この導電性材料は、導電性金属(例えば、アルミニウム)などの硬質導電性材料である。
【0017】
いずれにしても、このセンサ材料は、触知可能であり、かつ様々な相互作用に敏感である。この材料は触質性を有し、この触質性は、いくつかのバリエーションを有する外側表面が触知性を備えるのを実現する様々な異なる形式をとることができる。例えば、1つ以上の領域は、平滑とすることができ、他の領域は、人の手の移動方向を示唆することができる小さい三角形の平坦面などの角度のある小平面または構造を有することができる。表面にわたり接触すること、押し付けること、または移動させることにより、検出可能な電気的変化が生じる。これにより、人の手によってタッチされたときに連続的な静電容量の変化を検知するための動作が可能なスイッチング部品を備えることができる。そのスイッチング部品を材料アースに接触させることにより、電気的信号の変化が生じ、その電気的信号の変化が検知されそして測定されることができる。その読み取り値は、接触面積に比例する。
【0018】
電気的信号は、時間と共に変化する可能性があり、電圧もしくは静電容量であることが好ましく、ならびにこのデバイスにわたる物体の移動、および/または、電圧もしくは静電容量の変化を引き起こすこのデバイスとの圧力もしくは接触であることが好ましい。この信号は、リアルタイムの値とすることができ、また、ある時間長にわたる一連の値とすることができる。電気的信号は、ある時間帯にわたって監視され、そして処理されて、このデバイス上のタッチ場所、デバイス表面にわたる物体の移動速度、および/またはこのデバイス表面にわたる物体の移動方向を分析することが好ましい。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態により、単一点の検知および複数点の検知の両方が提供される。タッチ位置、タッチ圧力、移動速度、移動方向およびタッチ場所、または測定検知場所の近傍を検知するための、本発明のいくつかの実施形態が提供される。マルチタッチ相互作用は、導電性材料を変調することによって、例えばスプレイ塗布を使用してその表面を変調することによって、および/または異なる領域における材料の導電率を変化させることによって、例えばシリコーン中の導電性粒子の量を変化させることによって、改善されることができる。マルチタッチ拡縮機能は、軟質材料の中にプレスすることによって達成されることができる。
【0020】
三次元プロファイル表面は、例えば幾何学的パターンでテクスチャ加工されることができる。このテクスチャまたはパターンは、導電性材料の表面にわたる上昇バリエーションを含むことができる。この幾何学的パターンは、その表面にわたる複数のピークおよびトラフなどの、相対的に高く設定されたり低く設定されたりする表面の起伏および/または領域を含むことができる。このバリエーションまたはパターンの微小規模は、規則的または不規則とすることができる。連続するピークとトラフとの間の距離は、等しくすることができ、次第に増やしたりもしくは減らしたり、または不規則にすることができる。このテクスチャまたはパターンは、そのパターンにわたるある方向に力もしくは圧力または移動の影響下にあるとき、電気的信号の異なる変化をもたらすように構成されることができる。このテクスチャまたはパターンは、繰り返すことができ、鋸歯、正弦波または方形波などの波形と類似していてもよい。この波形の繰り返しの性質は、小さいバリエーション、例えばピークの高さ、ピーク同士間の距離等の変化、ただし全体的な繰り返しの性質を持つ変化を含むことができる。
【0021】
このテクスチャの規模は、マイクロ−スケールまたは非マイクロ−スケールとすることができ、例えばおおよそ0.05mmから50mmのオーダまで、おそらく200mmのオーダまで変えることができる。1つの実施形態では、そのピーク距離は、おおよそ1mm〜30mm、もしくはおおよそ1mm〜10mmであり、またはおおよそ5mm〜10mmとすることができる。
【0022】
都合のよいことに、本発明の態様および/または実施形態は、単一の材料で任意の三次元形状に作製されることができるセンサまたは触覚インターフェースを提供する。その最も単純な形式では、比較的単純な機能のための単一で、できる限り均一な材料が、提供されることができる。いくつかの実施形態では、片側上に導電性皮膜を有する材料の薄層が使われることができ、または導電性モジュールが割り当てられ、非導電性充填材がそのモジュール全体にわたって設けられることができる。これらの実施形態は、依然として、それ自体がセンサである材料の本体を有するアイデアを具体化している。すべての態様および/または実施形態では、別個の検知コンポーネント(例えば、下部に配列するセンサアレイ)は、必要とされない。このため、本発明の実施形態は、高い忠実度で相互作用を促進し、同時にセンサデバイス自体は単純でありかつ製造するのに費用がかからない。本センサデバイスはまた、設計の可能性およびユーザ経験が強化されるように提供することもできる。本発明は、タッチ圧力、場所、移動速度、移動方向、および検知場所からのタッチ場所もしくは近傍をシミュレートする検知媒介物、特に容量性検知媒介物を提供する。
【0023】
この材料は、計算デバイスまたは処理デバイスに接続されることができる。このデバイスは、広く解釈されるように、すなわち、個人用および携帯用の計算デバイス、ならびにテレビジョンコントローラ、ゲーム機コントローラ、オンボード車両制御システムなどの処理手段を備える他のインテリジェントデバイスをカバーするように、意図されている。
【0024】
この計算デバイスまたは処理デバイスは、このデバイスからの出力信号を処理することが可能な命令のホストとして働くように構成されることができる。このシステムは、入出力データインターフェースを有することができる。このシステムは、プロセッサ、記憶デバイス、および非一過性の機械可読記憶媒体を含むことができる。この機械可読記憶媒体は、プロセッサがどのように入力データを受け取り、そしてどのようにその入力データ(電気的信号)を、例えば画面上の出力データに、接続された印刷デバイスに変換し、または音声出力を介して変換するかを制御する命令を含むことができる。別の例の実施形態におけるこの機械可読記憶媒体は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体である。
【0025】
1つの実施形態では、コンピュータプログラムが提供され、それが計算デバイスまたは処理デバイス上で走らされる場合、そのコンピュータプログラムにより、そのコンピュータが本明細書で開示されている任意の方法を実行することができる。このコンピュータプログラムは、ソフトウエアの実行とすることができ、そのコンピュータプログラムが走るコンピュータまたはデバイスは、任意の適切なハードウエアとして考慮されることができ、限定しない例として、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、ならびに読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)もしくは電子的に消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)中での実行を含む。このソフトウエアの実行は、アセンブリプログラムとすることができる。
【0026】
このコンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に提供されることができ、このコンピュータ可読媒体は、ディスクまたは記憶デバイスなどの物理的なコンピュータ可読媒体とすることができ、または一過性の信号として取り入れることができる。そのような一過性の信号とは、ネットワークダウンロードとすることができ、インターネットダウンロードを含む。いくつかの態様および/または実施形態では、人が、三次元形成された材料に対抗して指を移動する場合、容量性信号のグラフは、そのタッチの圧力をシミュレートし、そして3D形状は、その人に触覚フィードバックをもたらす。短い時間帯にわたる初期の信号シーケンスは、標本化されてタッチ場所を分析することができ、次いでリアルタイム信号は、圧力検知をシミュレートすることができる。他の態様および/または実施形態では、人が、テクスチャ加工された三次元表面にわたり指を移動させる場合、容量性信号のグラフは、似ているかもしくは近似しており、または形状状態を説明するために分析されることができる。その形状は、CADソフトウエアの中でモデル化されることができ、次いでパラメトリック計画(例えば、grasshopper)に入れられ、その歯の角度、高さ、および密度を調節することができる。したがって、信号は、繰り返し可能でかつプログラム可能であり、その結果、このソフトウエアは、測定された信号を事前にモデル化された信号波形と比較することができ、そこにはある整合が存在し、人が使用する材料表面上のタッチ場所、表面にわたる移動方向、圧力または力他などのユーザに対する情報を示す。また、他のアルゴリズムを使用して移動方向、タッチ速度および位置を検出することもできる。例えば、移動速度は、信号変化ピーク頻度の間の距離を計算することによって計算することができる。移動方向は、ピーク値の変化を比較することによって検出されることができ、また場所は、その相対的な置き換えに基づいて検出されることができる。ここで、ユーザは、相互作用するために、単一のテクスチャユニットの上でスワイプする動きを打ち切る必要はない。
【0027】
コンピュータプログラムは、それが実行するとき、本明細書に記載の方法または処理を実行するように構成されていることができる。
【0028】
本発明の別個の態様および実施形態の文脈で説明されている特徴は、一緒に使用されることができ、かつ/または交換可能である。同様に、単一の実施形態の文脈で簡略して説明されている特徴があるところでは、これらの特徴は、別個にまたは任意の好適な副組み合わせで提供されることもできる。このデバイスと関連して説明する特徴は、本方法および本コンピュータプログラムに関して限定可能な対応する特徴を含むことができ、またこれらの実施形態は、具体的に想定される。
【0029】
したがって、本発明の態様および実施形態は、三次元形状同士間の相互関係、物理的な相互作用、および電気的出力について説明している。本発明の態様および実施形態は、表面形状図案を有する導電性材料で形成された検知部品または切り替え部品を組み込み、また信号処理アルゴリズムを含むこともできる。
【0030】
本発明の実施形態は、様々な利点を有する。追加のセンサパッド等を必要とせず、単一の材料またはインターフェース材料それ自体からセンサを作る能力により、一層単純な組立工程をもたらし、材料の使用量を最小限に抑え、かつ電気・電子機器廃棄物を減らす。それゆえに製造工程は、費用効率がより一層高い。本発明の実施形態は、複雑なセンサアレイおよびその関連する較正手順を必要とせず、信号処理インターフェースを達成する。また、ユーザによる試験によって、既知のデバイスと比較して本センサの強化された触知性により、このデバイスが、感覚と動作を関連付ける機能を有するという見解も明らかにした。
【0031】
従来のキーボードまたはタッチセンサ式トラックパッドは、通常300個を越える部品で作られており、これらの部品は多数の製造業者から仕入れる必要があり得る。従来のキーボードまたはタッチセンサ式トラックパッドを組み立てることは、使用される部品数が多いため、骨の折れる作業である。さらに、リサイクリングおよび質の低下の観点からすれば、これは、困難な材料分別、および外には見えない高コスト、およびリサイクリング過程(化学的分離過程を伴う)を必要とする。量子トンネリング複合材料は、より一層高い生産コスト/小売価格を伴う混合プロセスを必要とする可能性があり、また単一の圧力検知スイッチ部品として動作することしかできない。その情報は、量子粒子の中身を分離する必要があるため、その持続可能性は難易度が高い。これに対して、本発明の実施形態は、結果として生産コストを一層低く抑えることとなる一部成形プロセスを単に必要とするだけである。都合のよいことに、それらは、1つの均一な表面の上で、より一層複雑な検知機能を実行することができる。このデバイスは、材料分離のために設計され、また低コストの、外には見えないプロセスを有する。都合のよいことに、本発明の実施形態は、十分低い労働関与および単純で物理的に取り外しが可能な外には見えないプロセスを必要とする。
【0032】
以降、本発明の実施形態を、添付した図面の以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の1つの実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図2】本発明の実施形態に基づくセンサデバイスのための例示的な表面形状を示す図である。
図3】本発明の別の実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図4】本発明の別の実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図5】本発明のさらなる実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図6】本発明のさらなる実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図7】本発明の1つの実施形態に基づくセンサデバイスの断面または側面の略図である。
図8】本発明の別の実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図9】本発明の別の実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図10】本発明の1つの実施形態に基づくセンサデバイスを組み込んでいるシステムを示す図である。
図11】本発明の1つの実施形態に基づくセンサデバイスから取得可能な出力信号を概略的に示す図である。
図12】電気的接続および例示的出力信号を伴う、本発明の1つの実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図13】対応する例示的出力信号と共に、本発明の実施形態に基づくセンサデバイスのための例示的表面形状を示す概略図である。
図14】電気的接続および対応する例示的出力信号を伴う、本発明の実施形態に基づくセンサデバイスを示す図である。
図15】本発明の実施形態の使用例を提供する図である。
図16】本発明の実施形態の使用例を提供する図である。
図17】本発明の実施形態の使用例を提供する図である。
図18】本発明の実施形態の使用例を提供する図である。
図19】本発明の実施形態の使用例を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、例えばカーボン充填材および導電性金属粒子を含有するシリコーンゴムで形成された、おおむね平坦なシート12の形をとる導電性材料または少なくとも部分的な導電性材料10を示す図である。1つの実施形態では、その材料は、グラファイトと5:1〜1:5の重量比で混合されたシリコーンゴムである。可能な代替内容物は、ゴムおよび/または、好都合にもリサイクル可能であるもしくはリサイクル可能とすることができるTPU(熱可塑性ポリウレタン)もしくはある種のTPE(熱可塑性エラストマー)である。別の実施形態では、その材料は、一方の側に導電性材料(例えば、ニッケルまたはグラファイト)でコーティングされた薄い材料(例えば、プラスチック、シリコーン、または織物)層とすることができる。別の選択肢として、導電性金属(例えば、アルミニウム)などの硬質材料を使用することができる。
【0035】
しかし、いずれにしても、「軟質」材料の実施形態の場合は、より実用的であり、その材料の導電率は、その材料にわたっておよび導通時に変化することがある。これは、異なる導電率の領域を備えるようにその材料内部の導電性成分の濃度を変えることによって達成されることができる。これはまた、導電性成分を変調することまたは導電性領域を分離すること(例えば、導電性材料を一片の織物材料上の分離された領域に適用すること)によっても達成されることができる。異なる導電率の領域は、異なる電気的信号を生成するであろう。このため、たとえ材料10の2つの領域が同様にプロファイル加工されていたとしても、これらの領域が、異なる導電率を有する場合、それらの表面にわたり物体を移動させることによって、異なった電気的信号が区別されることが可能となるように、当該異なった電気的信号を発生させることになる。このように、表面上で移動する物体の場所は、プログラムによって検知されることができる。
【0036】
シート12の表面14は、各領域が三次元または非二次元の特徴を備える領域16でプロファイル加工されている。各領域16は、複数の特徴またはピーク18を備え、それらは、ピーク同士の間の一連のトラフ20を規定する二次元表面14から、外側に延在している。このため、シート12の表面14は、シート12の表面を基準として三次元幾何学的テクスチャを有するように構成されている。図2(a)にも示されているように、三次元パターンは、おおよそ鋸歯状プロファイルの断面を有する。別のいくつかの実施形態では、鋸歯状プロファイルの特性は、例えばその「崖」が垂直であるか否か、もしくはその「傾斜路」がどのくらい急勾配であるか、またはそのプロファイルが対称形かもしくは非対称形か、変化させることができる。別の実施形態(図示されていない)では、鋸歯形状は、表面14の上ではなくその中に形成されることができ、その結果、その形状は、その表面の上に突き出るのではなく、シート表面の内部に埋め込まれる。1つの例が図2(b)に与えられている。別の実施形態では、例えばその崖が表面14の基準面を越える距離まで増加する場所、およびその傾斜路が表面14の基準面より下方へ延びる場所の両方の組み合わせとすることができる。図2(c)〜図2(e)に例示されているように、三角形、正方形および正弦波形などの代替構成は、もう一つの方法としてまたは追加的に使用されることができる。図2(f)は、ピーク18の高さおよび/または表面14にわたる離隔距離が累進的にただし一様に増加する例を示す。図2(g)では、ピーク18の高さおよび/または表面14にわたる離隔距離が累進的にただし一様に増加し、その後減少する。加えてまたは別の選択肢として、例えば図2(h)に示されるように、不規則な波形を使用することができる。別の波形、例えば図2(i)に示されるような波形などを使用することができる。もちろん、これらのおよび他の実施形態は、どれかの組み合わせおよびすべての組み合わせで使用されることができ、その一例が図2(j)に示されている。
【0037】
場合によっては、タッチの動きをより滑らかに一層促進するため、ピーク18およびトラフ20、または鋸歯状プロファイルは、鮫の鰓のようなプロファイルを作り出す連続表面として設計され、その一例の側面図および斜視図の両方が図2(k)に示されている。
【0038】
別の選択肢として、例えばPVC、皮革または熱可塑性エラストマーを使って異なる触覚表面仕上げを有するため、絶縁材料層は、同様のテクスチャプロファイルを有する以下に述べる3Dテクスチャプロファイルの上部に適用されることができる。図2(l)は、テクスチャのピーク18およびトラフ20が、同様のテクスチャプロファイル21を有する絶縁材料の下に隠れて埋め込まれている例を示している。図2(m)は、テクスチャのピーク18およびトラフ20が、三次元プロファイル表面21で2つの絶縁材料間の中に埋め込まれている例を示している。これらの場合には、そのテクスチャ加工された表面/材料12は、導電性である。その導電性は、導電性スプレイ式塗料または導電性材料印刷により達成されることができる。その絶縁層は、非導電性であることが好ましい。もちろん、これらの2つの場合におけるテクスチャ特徴のピーク18およびトラフ20は、図2(a)から図2(k)までの中で述べられたすべての例およびそれらの派生例を対象として含む。
【0039】
場合によっては、人の手/指が軌道を移動するのを制御するため、絶縁材料層は、以下に述べられる3Dテクスチャの上部に適用されることができる。図2(n)は、テクスチャのピーク18およびトラフ20が、二次元表面21を有する絶縁材料の下に隠れて埋め込まれている例を示している。図2(o)は、テクスチャのピーク18およびトラフ20が、三次元プロファイル表面を有する絶縁材料21の下に隠れて埋め込まれている例を示している。図2(p)は、テクスチャのピーク18およびトラフ20が、絶縁層21の上に実現されている例を示しており、この例は、指(または他の伝導性物体)が軌道を移動するのを一層良好に制御することができる。この場合における導電層12は、三次元プロファイル加工されることができ、または単なる二次元表面とすることができる。これらの場合では、絶縁層21は、非導電性であることが好ましい。もちろん、これらの3つの場合におけるテクスチャ特徴のピーク18およびトラフ20は、図2(a)から図2(k)までの中で述べられたすべての例およびそれらの派生例を対象として含む。
【0040】
他の場合では、導電性材料は、表面にわたるおよび表面の異なる導電率を達成するように変調されることができる。図2(q)は、1つの例を示している。
【0041】
共通の特徴は、そのプロファイルの高さが、表面14にわたってまたは材料12の及ぶ限りにおいて変化することである。また、各ピークまたは襞が等距離にあるかまたは等しい高さであるかは重要ではない。本発明の実施形態は、ばらつきを吸収することができ、かつ利用することができる。そういうものとしては、図1および図2は、ほんの例にすぎないが、表面の高さまたは深さにおいて、表面の領域にわたるばらつきに関する対応措置を共通に持っている。ピークまたはトラフ同士間の距離は、規則正しくかつ等しく、または累進的に増やすもしくは減らす、または不規則とすることができる。テクスチャのピーク距離の規模は、約0.05mmから約200mmまで変化させることができ、またできる限り約50mmまで下げることができるが、ただしpmの規模まで下げることができる可能性がある。また、テクスチャの深さ(高さの差)は、例えばおよそ0.1mmから数cmまで変化させることもできるが、ただし約0.1pmまで下げることもできる。
【0042】
図1の例は、直線的に拡大していく図形を示している。図3は、幾何学的パターンが性質上、放射状となっている2つの視点から見た別の選択肢としての実施形態を示している。別の選択肢としての実施形態では、直線的および放射状の両方のパターンの組み合わせを使用することができる。しかしながら、図1および図2の実施形態と同様に、そのパターンは、表面14を基準として持ち上げられた表面の複数の部分を含む。上記のように、そのパターンは、しかもまたはそうしないで、表面14の内部に挿入されることができ、その結果、そのパターンは、表面14の高さを基準として上昇(または下降)する表面の複数の部分を備える。
【0043】
図4は、幾何学的テクスチャ18、20が三次元構造体22上に設けられ、三次元構造体自体が表面14から延びている、さらなる実施形態を示している。別の選択肢として、より大きな開口または間隙がシート12の中にまたは電導性材料で形成されたより深い構造体の中に設けられることができる。既に述べたように、すべての実施形態では、その全体的な構造は、表面14および/またはベースとなる三次元構造体22の表面に関する構造体の高さにおいてばらつきを与える。図5は、導電性材料12の二次元シートの上または内部に実現された様々な異なる実施形態を示している。
【0044】
図6は、別の実施形態を示しており、それらのいくつかは二次元シートまたは基板12を備え、他のいくつかは曲面のまたは他の三次元基板12’を有する。いくつかの実施形態では、全構造体12’’は、三次元プロファイル加工されている。いくつかの実施形態は、図1図5の実施形態におけるように、複数の盛り上がり18および/または溝20を備えることができる。
【0045】
他の実施形態では、表面14(またはその一部分)は、外側表面14(例えば、図7(a)を参照)の不連続または上昇バリエーション(e)を与えるように輪郭が描かれ、または表面14’(またはその一部分)は、外側表面14’(例えば、図7(b)を参照)の傾斜面または輪郭部におけるバリエーションまたは変化を与えるように輪郭が描かれている。
【0046】
また、1つの実施形態では、これらの2つの種類の各々の構造を含むことも可能である。例えば、図8は、複数の隆起部18でテクスチャ加工された表面14の一部分、およびそれ自体三次元形状である表面14’の一部分を備える外側表面を有するハイブリッド構造10を示す。一部分14、14’の間の中の領域14’’では、2つの三次元形状は、滑らかな過渡領域を与えるように、互いに変形するかまたは一体化している。図8では、表面にわって移動する導電性物体と相互作用することによって、異なるパラメータを制御するために利用されることができる4つのパラメータの組(テクスチャ18、20の組)が存在する。そして、表面に対向して移動する導電性物体と相互作用することによって、異なるパラメータを制御するために利用されることができる5つのパラメータの組(表面14’の組)が存在する。2つの種類の構造体は、必ずしも別個である必要はなく、よって、同時に機能することでより多くの相互作用を提供することができる。
【0047】
別の実施形態では、これら2つの種類の各々の構造体を含むように、それらの形状は、完全に独立したものとすることができる。例えば、図9は、複数の隆起部18で輪状にテクスチャ加工された表面14の一部分、およびそれ自体三次元形状である表面14’の一部分を備える外側表面を有するハイブリッド構造10を示している。図9では、1つの独立したパラメータの組(テクスチャ18、20の組)、および5つの独立したパラメータの組(表面14’の組)が存在する。
【0048】
ここで図10(a)を参照すると、導電性材料10(a)は、他の電気機器に接続されているように示されている。この示されている材料10(a)は、図1の平坦なシート/テクスチャ加工された表面の実施形態であるが、上記で議論されたいかなる形状も、または本発明の範囲内に入るそれ以外の形状も、この導電性材料に代えて使用することができることは、当然ながら理解されよう。
【0049】
この材料10(a)は、検知場所ポイントにおいて計算デバイスまたは処理デバイス24に接続されている。計算デバイスまたは処理デバイス24は、本デバイス10(a)からの出力信号を処理することが可能な命令のホストとして働くように構成されている。システム24には、プロセッサ、記憶デバイス、および非一過性の機械可読記憶媒体が含まれる。この機械可読記憶媒体は、プロセッサがどのように入力データを受け取り、そしてどのようにその入力データ(電気的信号)を、例えば画面上の出力データに変換するか、接続している印刷デバイスに変換するか、または音声出力を介して変換するかを制御する命令を含む。
【0050】
材料10(a)は、1つ以上の電線、または例えば導電性印刷である電子的コネクタ26を介して、本材料10(a)からの出力を変換するために提供される信号処理手段を備える中間処理デバイス28に接続されている。次いで、中間デバイス24は、適切な接続手段、例えばコンピュータのUSBポートまたは無線技術を介して、計算デバイスまたは処理デバイス24に接続されている。この無線技術は、Bluetooth(登録商標),WiFi(登録商標),IRなどとすることができ、すなわち、これらは、USBポートまたは無線技術を介して、コンピュータによる読み込み可能な入力信号として電線26上に搬送される単純な電気的信号である。この出力信号は、静電容量または電圧の読み取り値などの時間的に変化する電気的信号であることが好ましい。図10(a)に示すように、最初のまたは開始の状態では、静電容量または電圧の読み取り値は一定となるであろう。しかしながら、人が、例えば指または手書き入力用ペン等を使って材料10(a)にタッチすると、表面14上の接触の点または領域における静電容量または電圧が変化し、電気的信号出力の変化を引き起こす。コンピュータプログラムは、その信号および/またはその信号を表す情報を表示し、かつ/またはその信号により生じるソフトウエアアプリケーションとの相互作用を提供するように、構成されることができる。
【0051】
他の場合では、ここで図10(b)を参照すると、導電性材料10(b)は、いかなる電線接続または無線技術無しの直接的な物理的接触を通じて他の電気機器に接続されているように示されている。計算デバイスまたは処理デバイス24は、検知媒体、例えば容量性タッチ検知式スクリーン、および材料10(b)からの信号処理アルゴリズムを含む。本実施形態は、都合のよいことに、電池、回路、および電子的な接続の使用を避けることができる。この示されている材料10(b)は、図1の輪郭が描かれた表面の実施形態ではあるが、上記で議論されたいかなる形状も、または本発明の範囲内に入るそれ以外の形状も、この導電性材料に代えて使用することができることは、当然ながら理解されよう。
【0052】
図11(a)は、図10(a)の開始状態で観察されるベースレベルの静電容量信号を表す。図11(b)は、人が材料10(a)にタッチするかまたは押し付けるときに、その静電容量が時間tにおいてどのように増加するかを示している。人が、材料10(a)の領域16でテクスチャにわたり指を移動する場合、ソフトウエアは、領域16〜16のいずれとも対照したものとして、活性化されているのは領域16であることを識別するために、予め記憶されているプロファイルと共に信号を変化させる観察時間を照合することができるであろう。このソフトウエアは、物理的な材料10(a)上の活性化を反映するスクリーン上の仮想位置で、活性化を示すスクリーン上の仮想表示を提供するように、プログラムされることができる。図11(c)は、材料領域16〜16のうちの1つにわたりキーを押すことにより観察されることができる信号バリエーションの種類の単純な表現である。この材料10(a)は、感圧式である。その材料10の上をより強く押し付けると、結果として静電容量信号の中でより大きな変化となるであろう。このソフトウエアは、より大きな出力に対応する、より大きなまたはより目立った仮想表示を示すように構成されることができる。したがって、この材料10(a)をシステムの中で使用して、タッチ場所の判定を提供することができる。
【0053】
さらに、図11(c)で分かるように、ユーザの指(または他の導電性デバイス)がある領域を横切るとき、ピークの数を数えることができる。相対的な場所はまた、人の指が移動した距離として分析されることもでき、1つの領域内では、このピークの数に基づいて計算されることもできる。この方法はまた、図3に使用されることもできる。長さLにわたるパターン加工/テクスチャ加工された領域内部のピークの総数をNと表し、指がその領域内部で横切りかつ接触するようになるピークの数をnと表すことにしよう。そのパターンが規則正しい場合には、相対的な場所は次式で計算されることができる。
【数1】

図12は、さらなる例として、人が、材料10(a)の表面に沿って、表示されている方向(右から左へ、ただし移動はどちらか一方の方向へとすることができる)へその指を移動するときに生成される静電容量の出力記録を示す図である。図13は、追加の例として、様々な表面構造の形状を示す図である。様々な放射状の形状が、最初の2つの列に、また直線パターンが最も右側の列に示されている。表示されている信号は、特定の一方向における、対応するテクスチャ上の2〜3回のタッチにより生成されている。「繰り返し」と目印が付けられた例で示されているように、その信号シーケンスは、1つのテクスチャ上で繰り返され、しかも通常では、異なったテクスチャにおいて変化する。この図は、ピーク時間の値PおよびPが常に標本化されていることを示しているので、その信号は、減少から増加へと切り替わっている。物理的な表面上における、対応する/繰り返し出力信号の特徴(P、P)間の距離を使用してその表面にわたる人の指の移動速度を次式で計算することができる。
【数2】

テクスチャパターン16の形状に微妙な変化がある場合でさえも、異なった信号を発生することを見出した。このことは、類似しているが同一ではない2つのパターン16の間の区別を可能としている。
【0054】
この検知性能は、方向検知の態様と一緒に追加されるときに改善することが見出され、この方向検知は、微分計算を必要とする。これは、ある物体がテクスチャ表面にわたって移動するときに、接触表面積の変化により引き起こされる検知値の変化率であり、よって2つの近接する検知値aおよびbを、それらの間の時間差を基準として標本化することによって計算される。このデータ収集により、歯が鋭ければ鋭いほど一層高い静電容量の微分値を発生することが示された。テクスチャ加工された表面の単一のユニットまたはピークは、連続的に減少する(または増加する)高さを有するように、または他の地点よりもその検知点に一層近いテクスチャユニットの一端を有するように、設計されることができ、このことはより大きな検知読み取り値を生成する。したがって、ピーク値C(P)と以前のピーク値C(P1)とを比較することにより、タッチの方向を次式により推測することができる。
【数3】

C(P)−C(P)>0ならば、これは、その方向に対して正の値(1)を与え、C(P)−C(P)<0ならば、これは、その方向に対して負の値(−1)を与え、すなわちその移動方向は、正の値を与える方向と逆である。ノイズは、小さい絶対差分値をフィルタ除去することによって最小化されることができる。このアルゴリズムの利点は、そのアルゴリズムがタッチ方向のリアルタイム判定を管理することができることである。
【0055】
材料上でのタッチ位置の検出を達成するには複数の方法が存在し、例えば最初の3つの静電容量の微分ピーク値の差を記録しかつ比較する方法である。一般に、最初の3つの値の傾向は、どのテクスチャユニット16がタッチされているかを事前に推測することができる。別の方法は、1つの完全な信号シーケンスに対してフーリエ(Fourier)変換を実行することである。(言い換えれば、時間軸に対する静電容量のグラフを、そのグラフが作り上げられている周波数変化に分解することである)。この方法は、各テクスチャユニット上の相対的な指の位置に関する高い検出分解能を有することができるが、それには重大な時間遅れがあり、したがって短いテクスチャにしか実行できない。また、機械学習は、将来のシナリオとしても検討されている。
【0056】
上記の方法は、ほんの一例として与えられており、他の方法(現在既知のまたは未だ開発中のどちらか)は、機械学習や進化アルゴリズムや人工知能を含めて可能であり、これらはまた、本発明の実施形態の中で使用されることもできる。
【0057】
図14(a)〜図14(c)は、異なったタッチメカニズムが本発明の実施形態の中でどのように採用されることができるかを示す図である。図14(a)では、材料10の部分30が設けられ、材料の対抗側面10、30からの2点圧力により出力信号40に変化を引き起こす。表示された実施形態では、2つの出力電線26が存在し、これらはその2点圧力検知を可能にする。ここで、1つの電線は、小さい電圧を検知点にパルス出力する。他の電線は電圧を受け取る。これら2つは共に、容量性検知メカニズムとして機能することができる。図14(b)では、材料10に取り付けてある単一の接触子26の備えにより、単一点圧力検知40を提供する。図14(c)では、その配置により単一点距離検知40を可能にする。一般的に言えば、タッチ点が検知点(すなわち、電線がその表面に接続する場所)に近いほど、その検知値はより大きくなる。
【0058】
図12および図14は、異なった移動、および材料10との相互作用を、特に例示している図である。一般的に言えば、材料10のテクスチャ加工された/パターン加工された部分との相互作用は、そのテクスチャ/パターン(例えば、図12に示すような)にわたる移動を必要とし、またその材料のより大きな3D部分との相互作用は、加える力または圧力(例えば、図14a〜図14cに示すような)を必要とする。当然ながら、その材料のテクスチャ加工された部分はまた、力または圧力に敏感であるとすることもでき、かつ/またはその材料のより大きな3D部分は、その3D部分の表面にわたる移動に敏感であるとすることができる。ただし、本原理的なメカニズムは、前者である。
【0059】
本発明の実施形態は、様々な実用的応用分野を有している。例えば、本発明は、車両の中で使用されることができ、例えば音響システム、窓/ドアの開/閉、温度、および環境等の制御を提供することができる。図15(a)および図15(b)は、本発明がCADモデリングコントロールツールとしてどのように利用されることができるかを示す図である。これらの図は、本発明の実施形態に基づいて、2つのテクスチャユニットを一体化している、右手で行う「ナビゲーション」構成部品10を示す図である。本材料10は、ポイント選択制御機能を提供する放射状制御32、および/または垂直回転制御機能を提供する線形制御34と一緒に構成されることができる。このデバイス/バッテリは、圧力スイッチ36と一緒に作動開始および/または作動停止されることができる。パン表示または水平回転制御機能は、制御38、40により提供されることができる。左手で行う「形状」構成部品10は、描画ダイアル42、第1および第2の引き出し構成部品44、46、および生成形状制御48を含む。
【0060】
図16の構成部品を組み込んでいるデバイスは、音響発生においで使用されることができ、そこでは試験の際、6つの異なったモジュールを使用してピッチ、音量、サラウンド音響、ベース、ノイズおよび粒状効果(それぞれ図16(a)〜(f)に示されるような)を制御することができた。他の音響効果およびこれらを制御する方法はまた、本発明の実施形態に基づいて提供されることができることも、理解されるであろう。試験の際、各モジュールは、特定の触覚相互作用を促進すること、また、例えば計算デバイスの画面上に表示される効果出力に対する鮮明な視覚的ヒントを作り出すことを目標とした。ここで、ピッチ制御(図16(a))は、上向きに移動されるとき、徐々に減少する接点を通じて信号を生成する垂直向きのデバイスを使って達成される。サラウンド音響(図16(b))は、ツイスト運動を連想させる非対称形2軸プロペラ形状を有するパン表示コントローラを通じて達成されることができる。図16(c)は、再びツイスト運動を連想させる粒状効果コントローラとして使用されることができる非対称形3軸プロペラ形材料を示す図である。図16(d)に、ノイズ発生器デバイスが示され、このデバイスは垂直向きで頂部に塊を持ち、頂部でスイッチが入るとノイズ信号を発生するように動作することができる。メイントラック音量制御は、図16(e)に示され、押されるときに音量制御の提供に効果的な軟質ボタン形状を提供する。図16(f)に、ベーストラックコントローラが示され、このコントローラは、頂部表面に4本の間隙ラインを持つ楕円形状からなり、その間隙が閉じられるときに、安定信号の2つの状態を生成する。他の用途には、CAD、デジタル製造、およびゲーム/インターフェース製品が含まれる。
【0061】
図17は、衣服における本デバイスの使用について説明する、1枚の織物上に設けられた材料10の使用に関するさらなる例を与える図である。
【0062】
図18は、装着型コントローラとして本デバイスの使用について説明する、材料10に関するさらなる実施例を与える図である。
【0063】
図19は、制御機能が埋め込まれた小さい手書き入力用ペンのシリーズとして本デバイスの使用について説明する、材料10の使用に関するさらなる例を与える図である。
【0064】
本発明の実施形態は、例えば車両の中で使用されるように、視認可能な印に注意をそらす必要性を回避することができるので有利である。本材料10の形状および構造は、それ自体、使用方法を連想させかつ暗示しているので、かえって、視認可能な印などに注意をそらす必要性を回避することができるのである。
【0065】
本開示を解釈すると、当業者にとって、他の変形および修正は明かであろう。そのような変形および修正には、均等性、および無線通信技術における既知の他の特徴が含まれ、また本明細書に既に説明された特徴の代わりにまたは追加して使用されることができる他の特徴が含まれ得る。
【0066】
添付された特許請求の範囲は、特定の特徴の組み合わせを直接指しているけれども、他の発明が、現在主張されたいかなる請求項と同じ発明と関係するか否かに関わりなく、また他の発明が、本発明を実施するいくつかのまたはすべての同じ技術的問題を軽減するか否かに関わりなく、本発明の開示範囲は、本明細書で明示的にまたは暗黙的に開示されたいかなる新規の特徴、もしくはいかなる新規の特徴の組み合わせ、またはそれらに関する一般化をも包含することは、理解されるべきである。
【0067】
別々の実施形態の文脈の中で説明されている特徴はまた、単一の実施形態の中で組み合わされて提供されることもできる。逆に、単一の実施形態の文脈の中で簡略して説明されている様々な特徴はまた、別々にまたは任意の好適な副組み合わせで提供されることもできる。これによって、本出願人は、本出願またはそこから導かれる任意のさらなる出願に関する訴訟の間中、新しい請求項がそのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせに表現されることができることを告知する。
【0068】
完全を期すため、用語「備える」は、他の構成要素または段階を除外せず、用語「1つの」または「1つの」は、複数を除外せず、単一プロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲に列挙された、いくつかの手段の機能を果たすことができ、特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものと解釈してはならない。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図2(c)】
図2(d)】
図2(e)】
図2(f)】
図2(g)】
図2(h)】
図2(i)】
図2(j)】
図2(k)】
図2(l)】
図2(m)】
図2(n)】
図2(o)】
図2(p)】
図2(q)】
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図12
図13
図14(a)】
図14(b)】
図14(c)】
図15(a)】
図15(b)】
図16(a)】
図16(b)】
図16(c)】
図16(d)】
図16(e)】
図16(f)】
図17
図18
図19