(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は第1実施の形態におけるスパークプラグ10の軸線Oを境にして片方を断面図とし、もう片方を外形図としたスパークプラグ10の片側断面図である。
図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という(
図2から
図4においても同じ)。
図1では、外形図のうち絶縁体11及び端子金具30の一部(後端側の部分)は断面が図示されている。
図1に示すようにスパークプラグ10は、絶縁体11、中心電極20、端子金具30及び主体金具40を備えている。
【0015】
絶縁体11は、高温下の絶縁性や機械的特性に優れるアルミナ等により形成された略円筒状の部材である。絶縁体11は、軸線Oに沿って軸孔12が貫通する。軸孔12には、先端側に中心電極20が配置され、後端側に端子金具30が配置される。中心電極20は軸線Oに沿って絶縁体11に保持される棒状の電極である。端子金具30は高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。導電性ガラスや抵抗体などの導電性を有する部材によって、中心電極20と端子金具30とは軸孔12内で電気的に接続されている。
【0016】
端子金具30は、絶縁体11の軸孔12内に配置される軸部31と、絶縁体11の後端13よりも後端側に突出する端子部32と、を備えている。端子部32に高圧ケーブル(図示せず)が接続される。本実施形態では、端子金具30は冷間鍛造や粉末冶金などによって軸部31及び端子部32が一体に成形されている。端子金具30には、軸部31から端子部32まで連なる閉じた空間33が形成されている。
【0017】
端子金具30の空間33は、軸線Oに沿って、絶縁体11の後端13よりも後端側の部位から絶縁体11の後端13よりも先端側の部位まで延びている。空間33には、端子金具30を構成する材料(本実施形態では低炭素鋼等)の熱伝導率よりも熱伝導率が低い空気が収容されている。空間33は端子金具30の軸線Oを含む部位に形成されるので、軸線Oに垂直な空間33の断面積を大きくしつつ、空間33の外側の径方向の端子金具30の肉厚を確保できる。よって、端子金具30の機械的強度を確保できる。
【0018】
主体金具40は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成される略円筒状の部材であり、絶縁体11の外周側に配置される。主体金具40は、絶縁体11の先端側に配置される先端部41と、先端部41の後端側に隣接する後端部42と、を備えている。後端部42の直径は先端部41の直径よりも大きい。先端部41は外周におねじ43が形成されている。後端部42の先端にガスケット45が配置されている。ガスケット45は、金属材料(例えば銅を主成分とする合金)によって形成される円環状の部材である。
【0019】
絶縁体11の外周側に主体金具40が配置された状態で、絶縁体11の後端側は、主体金具40の後端44よりも後端側に突出する。端子金具30の先端34は、主体金具40の後端44よりも先端側に位置し、ガスケット45の先端46よりも後端側に位置する。端子金具30の空間33は、軸線Oに沿って、主体金具40の後端44よりも先端側の部位から絶縁体11の後端13よりも後端側の部位まで延びている。
【0020】
主体金具40は、エンジン50に形成されたねじ穴51に先端部41のおねじ43がかみ合い、先端部41がねじ穴51の内側に配置され、後端部42がエンジン50の外側に配置される。ガスケット45は、エンジン50と後端部42との間に挟まれて、エンジン50のねじ穴51からの燃焼ガスの漏洩を防ぐ。主体金具40の先端側に接地電極47が接続されている。接地電極47は、棒状の金属製(例えばニッケル基合金製)の部材である。接地電極47は、間隙(火花ギャップ)を介して中心電極20と対向し、エンジン50の燃焼室52内に配置される。エンジン50は冷却装置(図示せず)によって冷やされる。
【0021】
エンジン50の熱効率を高めるためには、エンジン50が発生したエネルギーのうち動力や電力などに変換されずに熱として消費されるエネルギーを抑制する必要がある。そのため、エンジン50に装着されるスパークプラグ10が熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーは、できるだけ小さくするのが好ましい。
【0022】
スパークプラグ10は、エンジン50の燃焼室52に一部が露出する中心電極20及び絶縁体11が加熱される。加熱された中心電極20や絶縁体11は、吸気混合気および中心電極20や絶縁体11の先端側から後端側への熱の移動によって冷却される。中心電極20や絶縁体11の先端側から後端側へ移動した熱は、絶縁体11から主体金具40を通ってエンジン50に一部が伝わり、端子金具30に一部が伝わる。端子金具30は端子部32に高圧ケーブル(図示せず)が接続されるため、中心電極20や絶縁体11を経由して燃焼室から端子金具30に伝導した熱が、高圧ケーブルを通ってエンジン50の外に放出され得る。
【0023】
スパークプラグ10の端子金具30には閉じた空間33が形成されているので、端子金具30の軸線Oに垂直な断面積を空間33の断面積の分だけ小さくできる。さらに、端子金具30を構成する比較的熱伝導率の高い材料よりも熱伝導率の低い物質(本実施形態では空気)がその空間33に収容されているので、端子金具30に空間33が形成されていない場合に比べ、端子金具30における熱伝導を抑制できる。
【0024】
また、空間33は閉じているので、開いた空間が端子金具30に形成される場合に比べて端子金具30の表面積を小さくできる。よって、中心電極20や絶縁体11からの端子金具30への熱の移動を抑えることができる。その結果、エンジン50で発生した熱が高圧ケーブル(端子部32)まで到達し難くなり、エンジン50で発生したエネルギーのうち熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーを小さくできる。従って、スパークプラグ10はエンジン50の熱効率の向上に寄与する。
【0025】
なお、端子金具30に形成される空間33は、完全に密閉された空間という意味ではなく、熱伝達(対流)による熱の移動に影響しない(空気の流出入による対流が生じない)程度の大きさの穴や隙間を通して空間33の外と繋がっていても構わない。
【0026】
端子金具30の空間33は少なくとも絶縁体11の後端13よりも先端側に形成されるので、絶縁体11の後端13よりも先端側に配置される端子金具30の軸部31の断面積を、空間33の断面積の分だけ小さくできる。端子金具30のうち熱伝導し難い部位を、より先端側に配置できるので、高圧ケーブル(端子部32)まで熱がさらに到達し難くなる。よって、エンジン50で発生したエネルギーのうち熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーをさらに小さくできる。
【0027】
端子金具30の空間33は少なくとも絶縁体11の後端13の位置に形成されるので、絶縁体11の後端13の位置における端子金具30の断面積を空間33の断面積の分だけ小さくできる。絶縁体11の後端13の位置は、絶縁体11から端子金具30への熱の移動が起こり得る部分のうち、高圧ケーブル(端子部32)に最も近い位置である。そのような位置に、端子金具30のうち熱伝導し難い部位を配置することで、高圧ケーブルまで熱がさらに到達し難くなる。よって、エンジン50で発生したエネルギーのうち熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーをさらに小さくできる。
【0028】
端子金具30の先端34は主体金具40の後端44よりも先端側に位置し、空間33は少なくとも主体金具40の後端44よりも先端側に形成される。これにより、端子金具30のうち熱伝導し難い部位を、より先端側に配置できるので、高圧ケーブル(端子部32)まで熱がさらに到達し難くなる。よって、エンジン50で発生したエネルギーのうち熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーをさらに小さくできる。
【0029】
図2を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施形態では、軸部31及び端子部32が一体に成形された端子金具30について説明した。これに対し第2実施形態では、軸部62と端子部63とが別々に形成される場合について説明する。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図2は第2実施の形態におけるスパークプラグ60の片側断面図である。
図2では、スパークプラグ60の下端側の部分の図示が省略されている(
図3及び
図4においても同じ)。
【0030】
スパークプラグ60は、絶縁体11の軸孔12の後端側に、中心電極20(
図1参照)と電気的に接続された端子金具61が配置されている。端子金具61は、絶縁体11の軸孔12内に配置される軸部62と、絶縁体11の後端13よりも後端側に突出する端子部63と、を備えている。軸部62及び端子部63は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。
【0031】
本実施形態では、絶縁体11の後端13よりも後端側に軸部62の一部が突出し、その部分におねじが形成されている。端子部63に形成されためねじに軸部62のおねじを嵌め、端子部63が軸部62に固定される。端子金具61の軸部62は有底円筒状であり、軸線Oに沿って後端側から先端側へと延びる空間64が形成されている。軸部62に端子部63を取り付けると、端子金具61に閉じた空間64が形成される。空間64には、軸部62を構成する材料(本実施形態では低炭素鋼等)の熱伝導率よりも熱伝導率が低い部材65(例えば断熱材)が充填されている。部材65は、繊維系断熱材料、多孔質材料などによって形成される。
【0032】
絶縁体11の外周側に主体金具40が配置された状態で、端子金具61の先端66は、主体金具40の後端44よりも先端側に位置し、ガスケット45の先端46よりも後端側に位置する。端子金具61の空間64は、軸線Oに沿って、主体金具40の後端44よりも先端側の部位から絶縁体11の後端13よりも後端側の部位まで延びている。
【0033】
第2実施形態によれば、端子金具61に閉じた空間64が形成されるので、端子金具61の軸線Oに垂直な断面積を空間64の断面積の分だけ小さくできる。端子金具61を構成する材料よりも熱伝導率の低い部材65が空間64に収容されているので、端子金具61に空間64が形成されていない場合に比べ、端子金具61における熱伝導を抑制できる。さらに空間64は閉じているので、開いた空間が端子金具61に形成される場合に比べて端子金具61の表面積を小さくできる。よって、中心電極20や絶縁体11からの端子金具30への熱の移動を抑えることができる。その結果、エンジン50(
図1参照)で発生した熱が高圧ケーブル(端子部63)まで到達し難くなる。よって、第1実施形態と同様に、熱としてエンジン50の外に放出するエネルギーを小さくできる。
【0034】
端子金具61は空間64に部材65が充填されているので、空間64に部材65が充填されていない場合に比べ、端子金具61の機械的強度を向上できる。また、端子金具61は軸部62と端子部63とが別々に形成されるので、比較的容易に軸部62に空間64を形成できる。端子部63が軸部62に取り付けられる以前は、空間64の軸部62の後端が開放されているので、空間64に部材65を容易に充填できる。端子部63が軸部62に取り付けられると、閉じた空間64が形成され、さらに空間64から部材65が脱落しないようにできる。
【0035】
本実施形態では、ねじによって軸部62に端子部63を固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸部62や端子部63の一部を塑性変形させることにより軸部62に端子部63を固定するものに代えることは当然可能である。
【0036】
図3を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施形態および第2実施形態では、軸部31,62が単一の部材によって形成される端子金具30,61について説明した。これに対し第3実施形態では、複数の部材によって軸部72が形成される場合について説明する。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図3は第3実施の形態におけるスパークプラグ70の片側断面図である。
【0037】
スパークプラグ70は、絶縁体11の軸孔12の後端側に、中心電極20(
図1参照)と電気的に接続された端子金具71が配置されている。端子金具71は、絶縁体11の軸孔12内に配置される軸部72と、絶縁体11の後端13よりも後端側に突出する端子部76と、を備えている。軸部72は、第1部材73、及び、第1部材73の後端側に配置される第2部材74の2部材からなり、第1部材73及び第2部材74は接合部75を介して接続されている。第2部材74は端子部76が一体に成形されている。第1部材73及び第2部材74は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。
【0038】
第1部材73は、先端側に底がある有底円筒状の部材である。第2部材74は、端子部76を底とする有底円筒状の部材である。本実施形態では、レーザを用いた第1部材73と第2部材74との突合せ溶接により接合部75(溶融部)が形成されている。接合部75の熱伝導率は、第1部材73及び第2部材74を構成する材料の熱伝導率よりも低い。接合部75によって第1部材73と第2部材74とが接続され、端子金具71の内部に閉じた空間77が形成される。接合部75は、軸部72の外面72a及び内面72bに露出する径方向の長さがあり、軸部72の全周に亘って形成されている。空間77には、端子金具71を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が低い空気が収容されている。
【0039】
接合部75は、絶縁体11の後端13よりも先端側に位置する。絶縁体11の外周側に主体金具40が配置された状態で、端子金具71の先端78は、主体金具40の後端44よりも先端側に位置し、ガスケット45の先端46よりも後端側に位置する。端子金具71の空間77は、軸線Oに沿って、主体金具40の後端44よりも先端側の部位から絶縁体11の後端13よりも後端側の部位まで延びている。
【0040】
第3実施形態によれば、軸線Oの方向に並ぶ第1部材73及び第2部材74を接続する接合部75の熱伝導率が、第1部材73及び第2部材74を構成する部材の熱伝導率よりも低いので、接合部75が無い場合に比べ、端子金具71における熱伝導をさらに抑制できる。さらに、接合部75は絶縁体11の後端13よりも先端側に存在するので、熱伝導し難い部位(接合部75)を、より先端側に配置できる。その結果、高圧ケーブル(端子部76)まで熱がさらに到達し難くなる。
【0041】
接合部75によって第1部材73と第2部材74とを接続することにより空間77が形成されるので、比較的容易に軸部72に空間77を形成できる。また、接合部75は、軸部72の外面72aから内面72bまで到達し、軸部72の全周に亘って形成されているので、第1部材73から第2部材74へ移動する熱は、必ず接合部75を通る。これにより、接合部75による熱伝導の抑制効果を高めることができる。但し、これに限られるものではなく、軸部72の厚さ方向の一部に接合部75を形成したり、軸部72の周方向の一部に接合部75を形成したりすることは当然可能である。接合部75が軸部72に形成されることにより、軸部72のうち接合部75以外の部位の断面積を小さくできるので、軸部72による熱伝導を抑制できるからである。
【0042】
本実施形態では、レーザ溶接によって第1部材73と第2部材74とを接合する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、抵抗溶接、アーク溶接、ろう付け、接着剤による接合などによって、第1部材73と第2部材74との間に、熱伝導率の低い接合部75を形成することは当然可能である。
【0043】
図4を参照して第4実施の形態について説明する。第3実施形態では、有底円筒状の第1部材73を用いて端子金具71を形成する場合について説明した。これに対し第4実施形態では、円柱状の第1部材83を用いて端子金具81が形成される場合について説明する。なお、第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図4は第4実施の形態におけるスパークプラグ80の片側断面図である。
【0044】
スパークプラグ80は、絶縁体11の軸孔12の後端側に、中心電極20(
図1参照)と電気的に接続された端子金具81が配置されている。端子金具81は、絶縁体11の軸孔12内に配置される軸部82と、絶縁体11の後端13よりも後端側に突出する端子部86と、を備えている。軸部82は、第1部材83、及び、第1部材83の後端側に配置される第2部材84の2部材からなり、第1部材83及び第2部材84は接合部85を介して接続されている。第2部材84は端子部86が一体に成形されている。第1部材83及び第2部材84は、導電性を有する金属材料(例えば低炭素鋼等)によって形成されている。
【0045】
第1部材83は円柱状の部材である。第2部材84は、端子部86を底とする有底円筒状の部材である。本実施形態では、導電性ガラスによって第1部材83と第2部材84との間に接合部85が形成されている。
【0046】
ここで、接合部85を形成する方法について説明する。まず、絶縁体11の軸孔12の先端側に中心電極20(
図1参照)を配置する。次いで、導電性ガラスの原料粉末であるガラス粉末と導電性粉末とを含有する組成物を中心電極20の周りに充填した後、その後端側に抵抗体の原料粉末を充填する。次に、その後端側に導電性ガラスの原料粉末であるガラス粉末と導電性粉末とを含有する組成物を充填した後、第1部材83を軸孔12に入れる。次いで、絶縁体11を加熱し、軸孔12に挿入したプレスピン(図示せず)によって第1部材83を軸線O方向へ押し、軸孔12内の各種粉末を熱間圧縮する。
【0047】
絶縁体11の加熱を止め、第1部材83の後端側に、接合部85の原料粉末であるガラス粉末と導電性粉末とを含有する組成物を充填する。ガラス粉末としては、例えばB
2O
3−SiO
2系、BaO−B
2O
3系、SiO
2−B
2O
3−CaO−BaO系などの材料が採用され得る。導電性粉末としては、例えば炭素粒子(カーボンブラック等)、TiC粒子、TiN粒子などの非金属導電性材料や、Al,Mg,Ti,Zr及びZn等の金属が採用され得る。
【0048】
次いで、絶縁体11の軸孔12に第2部材84を挿入し、接合部85の原料粉末に第2部材84を接触させた後、高周波誘導加熱によって第2部材84を加熱し、接合部85の原料粉末を第1部材83及び第2部材84に溶着させる。これにより、接合部85を介して第1部材83と第2部材84とが接続され、第2部材84の内側に閉じた空間87が形成された端子金具81が得られる。
【0049】
空間87には、端子金具81を構成する材料の熱伝導率よりも熱伝導率が低い空気が収容されている。接合部85の熱伝導率は、第1部材83及び第2部材84を構成する材料の熱伝導率よりも低い。接合部85は、軸線Oに垂直な軸孔12の断面の全体に形成されている。
【0050】
接合部85は、絶縁体11の後端13よりも先端側に位置する。絶縁体11の外周側に主体金具40が配置された状態で、端子金具81の先端88は、主体金具40の後端44よりも先端側に位置し、ガスケット45の先端46よりも後端側に位置する。端子金具81の空間87は、軸線Oに沿って、主体金具40の後端44よりも先端側の部位から絶縁体11の後端13よりも後端側の部位まで延びている。
【0051】
第4実施形態によれば、軸線Oの方向に並ぶ第1部材83及び第2部材84を接続する接合部85の熱伝導率が、第1部材83及び第2部材84を構成する部材の熱伝導率よりも低いので、第3実施形態と同様に、端子金具81における熱伝導をさらに抑制できる。さらに、中心電極20と端子部86とを電気的に接続するときに絶縁体11の軸孔12内で接合部85が作られるので、溶接等によって形成される接合部に比べて機械的強度が低い材料であっても接合部85に採用できる。
【0052】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0053】
実施形態では、主体金具40の後端部42の先端にガスケット45が配置されるスパークプラグ10,60,70,80について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ガスケットを省略し、後端部42の先端面にテーパを付け、後端部42をエンジン50に接触させて燃焼ガスをシールするテーパーシートタイプのスパークプラグに適用することは当然可能である。この場合、端子金具30,61,71,81の先端34,66,78,88は、後端部42の先端面よりも後端側に位置するのが好ましい。
【0054】
第1実施形態および第2実施形態では、端子金具30,61の軸部31,62が単一の部材で形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。軸線Oの方向に並ぶ2つ以上の部材によって軸部31,62を形成することは当然可能である。この場合、軸部31,62を構成する複数の部材は、塑性変形(かしめ)やねじ等による機械的な接合が可能である。
【0055】
第3実施形態および第4実施形態では、軸線Oの方向に並ぶ第1部材73,83及び第2部材74,84によって端子金具71,81を形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。接合部を介して軸線Oの方向に並ぶ3つ以上の部材を接続し、端子金具を形成することは当然可能である。軸線Oの方向に並ぶ部材の数が多いほど接合部の数が増えるので、接合部による熱伝導の抑制効果を高められる。
【0056】
第4実施形態では、円柱状に形成された第1部材83と有底円筒状に形成された第2部材84とを接合する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。反対に、第1部材83を有底円筒状に形成し、第2部材84を円柱状に形成し、これらを接合して端子金具の内部に閉じた空間を形成することは当然可能である。
【0057】
なお、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。例えば、第2実施形態で説明した部材65を、他の実施形態における端子金具30,71,81の空間33,77,87内に充填することは当然可能である。また、第2実施形態で説明した部材65を省略することは当然可能である。