【実施例】
【0053】
以下、実施例を通じて本発明についてより詳しく説明する。これら実施例はただ本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されることに解釈されないことは本技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。従って、本発明の実質的な範囲は添付される特許請求範囲及びそれらの等価物によって定義されると言える。
【0054】
[試験例1]必須アミノ酸欠乏による筋肉細胞分化形成効果確認
9種のアミノ酸(Leu、Ile、Met、Val、Lys、Trp、Phe、Thr、Gln)中の何れか一つの欠乏状況でそれぞれC2C12筋肉細胞の分化形成過程をオリンパス社のCK40光学顕微鏡(40x)を利用して観察した結果、
図1に示すように、9種のアミノ酸の中でフェニルアラニン(Phe)の欠乏状況は筋肉細胞の分化形成を深刻に阻害していることが分かり、メチオニン(Met)の欠乏がフェニルアラニンの次に筋肉細胞の分化形成をたくさん阻害していることを確認することができた。よって、フェニルアラニン及びメチオニンの十分な提供が筋肉細胞の形成に重要であることを確認することができた。
【0055】
他種の筋肉細胞であるL6の細胞でも上記と同じ方法で分化形成過程を観察した結果、
図2に示すように、C2C12と同様にフェニルアラニン欠乏が筋肉細胞の分化形成に及ぶす影響が最も大きく、メチオニン欠乏も大きな影響を及ぼすことが分かった。
【0056】
前記二つの実験結果により、9種のアミノ酸が筋肉細胞分化形成に及ぶす影響を次のような手順で整理することができた。
【0057】
総必須アミノ酸>Phe>Met>Thr=Val=Ile=Gln=Lys>Leu=Trp
【0058】
総アミノ酸が欠乏された状況で筋肉細胞の分化形成に最も大きい影響を及ぼし(分化が最も遅い)、その次はフェニルアラニンの欠乏、その次はメチオニンの欠乏が大きな影響を及ぼした。トリプトファンの欠乏状況は筋肉細胞の分化形成に及ぶす影響が最も少ないことを確認することができた。
【0059】
筋肉細胞の分化形成時に細胞の模様変化を観測するとともに、分化マーカータンパク質(ミオシンDとミオゲニン)の発現パターンを調べるために分化された筋肉細胞からタンパク質を抽出した後、ミオシンDとミオゲニン特異抗体を当該技術分野で通常用いられるウエスタンブロッティング方法に利用して比較分析した。
図3に示すように、前記光学顕微鏡による観察結果と同様にフェニルアラニンが欠乏された状況で分化マーカータンパク質の発現も著しく減少されることを確認することができ、フェニルアラニンよりは影響が些細であるが、メチオニン欠乏も分化マーカータンパク質の発現を減少させることを確認することができた。
【0060】
[試験例2]フェニルアラニンの筋肉細胞分化形成効果確認
試験例1によれば、必須アミノ酸の中でフェニルアラニンが筋肉細胞分化形成に及ぶす影響が最も大きく現われ、フェニルアラニンの添加により筋肉細胞分化形成が促進されることができるのかを調べるために後続の実験を用意した。また、アミノ酸代謝経路でフェニルアラニンはタイロシン(Tyr)に転換されるという点を考慮して、筋肉細胞の形成にタイロシン欠乏が影響を及ぼすのか調べるための実験を一緒に行った。フェニルアラニンが欠乏された細胞培養液にタイロシンまたはフェニルアラニンをそれぞれ濃度別(0.2mM、0.4mM、0.8mM)添加した後、C2C12細胞とL6細胞それぞれの分化形成能力を試験例1と同じ方法で光学顕微鏡を利用して測定した。
【0061】
その結果、
図4(C2C12)及び
図5(L6)に示すように、タイロシンではなくフェニルアラニンが筋肉細胞の形成に濃度依存的に影響を及ぼすということが分かった。
【0062】
また、それぞれの場合、筋肉細胞マーカー遺伝子の発現を確認するために、当該技術分野において通常用いられるqRT−PCR方法のように、分化された筋細胞でRNAを抽出し、これに基づいて相補的DNA(cDNA)を合成した後、qRT−PCR(quantitative real-time polymerase chain reaction)にミオシンD及びミオゲニンのPCRプライマーを利用してマーカー遺伝子のmRNA発現変化を観察した。
【0063】
その結果、
図6(C2C12)及び
図7(L6)に示すように、分化マーカー遺伝子であるMyo DのmRNA発現程度も濃度依存的に現われることを確認することができた。
【0064】
さらに、フェニルアラニンとタイロシンの筋肉細胞形成に対する影響を確認するために、アミノ酸が全部欠乏された細胞培養液にフェニルアラニンまたはタイロシンをそれぞれ濃度別(0.2mM、0.4mM、0.8mM)添加した後、C2C12細胞及びL6筋肉細胞の分化形成能力を前記と同じ方法でそれぞれ測定した。
【0065】
その結果、
図8(C2C12)及び
図9(L6)に示すように、タイロシンではないフェニルアラニンが添加された時、筋肉形成能力が増大されるという結果をもう一度確認することができた。また、
図10(C2C12)及び
図11(L6)に示すように、各筋肉細胞内マーカー遺伝子の発現もフェニルアラニンの添加のみによって増加することを確認することができた。
【0066】
[試験例3]メチオニンの筋肉細胞分化形成効果確認
試験例1の結果を通じて、メチオニンはフェニルアラニンほどではないが、その外他の必須アミノ酸に比べて筋肉細胞分化形成に及ぶす影響が大きいことを類推することができた。これと関連して、メチオニンの添加によっても筋肉細胞の分化形成が可能であるか調べるために、アミノ酸が欠乏されたC2C12及びL6細胞にメチオニンを添加した後、筋肉細胞への分化の有無をそれぞれ観察した。
【0067】
その結果、
図12(C2C12)及び
図13(L6)に示すように、メチオニン単独でも筋肉細胞分化形成に影響を与えることを確認することができ、
図14(C2C12)及び
図15(L6)に示すように、筋肉細胞マーカー遺伝子の発現が増加することを通じてもメチオニンの筋肉細胞分化形成に影響を及ぼすことをもう一度確認することができた。
【0068】
[実施例]フェニルアラニン及びメチオニンの混合比率による筋肉細胞形成効果確認
前記試験例1〜3でアミノ酸の中でフェニルアラニン及びメチオニンが筋肉細胞分化形成に最も効果が良かった点に着眼して、最適な効果を現わすフェニルアラニン及びメチオニンの混合比率を調べるために実施例1〜7を以下の表1の成分及び含量で製造した。比較例1はメチオニンを全く含まないように製造し、比較例2はフェニルアラニンを全く含まないようにして製造した。また筋肉細胞分化には些細な影響を及ぼすが、筋肉内タンパク質の合成を誘導すると知られた分岐鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)も少量添加した。
【0069】
【表1】
【0070】
前記実施例1〜7と比較例1及び2を、試験例1〜3に記載されたのと同じ方法でC2C12細胞及びL6細胞に処理し、筋肉細胞の分化形成を観測及び測定した。その結果、
図16(C2C12)及び
図17(L6)に示すように、フェニルアラニンとメチオニンを2:1の重量比で混合した実施例3の筋肉細胞分化形成効果が最も優れることを確認することができた。
【0071】
以上、本発明内容の特定部分を詳しく記述したが、本技術分野における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な技術はただ好ましい実施態様であるだけであり、それにより本発明の範囲が制限されるのではない点は明白であろう。従って、本発明の実質的な範囲は添付される特許請求範囲とそれらの等価物によって定義される。
【0072】
また、以下本発明の組成物を含む薬学組成物及び健康機能食品組成物の剤形例をより詳しく説明するが、それによって本発明の範囲が制限されるのではないことは明白である。
【0073】
[剤形例1]錠剤の製造
実施例3.............50mg
とうもろこし澱粉..........100mg
乳糖................100mg
ステアリン酸マグネシウム........2mg
ビタミンC...............50mg
【0074】
前記成分を混合した後、通常の錠剤製造方法によって打錠して錠剤を製造する。
【0075】
[剤形例2]カプセル剤の製造
実施例3...............50mg
とうもろこし澱粉..........100mg
乳糖................100mg
ステアリン酸マグネシウム.......2mg
ビタミンC..............50mg
セリン................50mg
【0076】
通常のカプセル剤の製造方法によって前記成分を混合してゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造する。
【0077】
[剤形例3]液剤の製造
実施例3..............100mg
異性化糖................10g
マンニト−ル................5g
ビタミンC...............50mg
セリン.................50mg
油脂....................適量
精製水...................残量
【0078】
通常の液剤製造方法によって精製水にそれぞれの成分を加えて溶解させ、レモン香を適量加えた後、前記成分を混合し、その後精製水を加えて全体100mlに調節した後、遮光ビンに充填し且つ滅菌して液剤を製造する。
【0079】
[剤形例4]健康機能食品の製造
実施例3..............1000mg
ビタミン混合物
ビタミンA アセテート.........70μg
ビタミンE..............1.0mg
ビタミンB1.............0.13mg
ビタミンB2............0.15mg
ビタミンB6..............0.5mg
ビタミンB12.............0.2μg
ビタミンC...............10mg
ビオチン.................10μg
ニコチン酸アミド............1.7mg
葉酸....................50μg
パントテン酸カルシウム..........0.5mg
無機質混合物
硫酸第一鉄...............1.75mg
酸化亜鉛................0.82mg
炭酸マグネシウム............25.3mg
第1リン酸カルシウム............15mg
第2リン酸カルシウム............55mg
クエン酸カリウム..............90mg
炭酸カルシウム..............100mg
塩化マグネシウム.............24.8mg
【0080】
前記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は比較的健康食品に相応しい成分を好ましい実施例で混合したが、その配合比を任意に変形実施しても構わなく、通常の健康食品の製造方法によって前記成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法によって健康機能食品組成物の製造に用いることができる。
【0081】
[剤形例5]飲み物の製造
実施例3..............1000mg
クエン酸..............1000mg
オリゴ糖................100g
梅濃縮液..................2g
タウリン..................1g
精製水を加えて全体...........1000ml
【0082】
通常の飲み物の製造方法によって前記成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱する。作られた溶液を濾過して滅菌された2Lの容器に取得し、その後密封滅菌した後、冷蔵保管して本発明の飲み物組成物の製造に用いる。