特許第6894899号(P6894899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6894899棒材クロップエンドを工作機械から回収して搬出するための回収搬出装置、プラント及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894899
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】棒材クロップエンドを工作機械から回収して搬出するための回収搬出装置、プラント及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/00 20060101AFI20210621BHJP
【FI】
   B23B13/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-527880(P2018-527880)
(86)(22)【出願日】2016年11月23日
(65)【公表番号】特表2018-535108(P2018-535108A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016078573
(87)【国際公開番号】WO2017089409
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】UB2015A005834
(32)【優先日】2015年11月24日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518182623
【氏名又は名称】クッキ・ジョヴァンニ・エ・チ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】CUCCHI GIOVANNI & C. S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】チェーザレ・クッキ
【審査官】 中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03231942(DE,A1)
【文献】 特開2008−178947(JP,A)
【文献】 特開2015−145039(JP,A)
【文献】 特開平07−328802(JP,A)
【文献】 特表2012−505759(JP,A)
【文献】 米国特許第02426200(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 13/00−13/12
B23B 15/00
B23D 33/00−33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を工作機械(4)に供給するための棒材装填装置(3)に取り付けられることに適している、前記棒材のクロップエンド(2)を回収及び搬出するための回収搬出装置(1)であって、
−第1の端部(6)で、前記棒材装填装置(3)の棒材プッシングユニット(7)に係合することに適しており、第2の端部(8)で、取り出され搬出されるクロップエンド(2)に係合することに適した把持要素(5)であって、前記棒材プッシングユニット(7)を受け入れて係合するための第1の座部(12)及び前記クロップエンド(2)を受け入れて係合するための第2の座部(13)が設けられた筒状ブッシュ本体を有する前記把持要素(5)と、
−前記クロップエンド(2)を受け入れて、収集区域(Zc)に搬送するためのスライド要素(9)と、
−前記把持要素(5)のための支持輸送ユニット(10)であって、前記支持輸送ユニット(10)は、前記棒材プッシングユニット(7)の進行軌道(T)上に前記把持要素(5)が同軸状に位置合わせされる上方位置(P1)から、前記把持要素(5)が前記スライド要素(9)の近傍に配置される下方位置(P2)まで、移動可能である、前記支持輸送ユニット(10)と、
−前記下方位置(P2)に配置された前記把持要素(5)を貫通するために駆動可能であり、前記クロップエンド(2)を前記把持要素(5)から排出し、前記クロップエンド(2)を前記スライド要素(9)に送る、排出ユニット(11)と
を備え、
−前記筒状ブッシュ本体には、前記第1の座部(12)を前記第2の座部(13)に接続する通過開口(41)が長手方向に設けられており、前記通過開口(41)は、前記排出ユニット(11)が、前記第1の座部(12)を通過して、前記第2の座部(13)に侵入でき、前記クロップエンド(2)を排出するように形成されており、
−前記第1の座部(12)及び前記第2の座部(13)は、前記クロップエンド(2)の強力な把持、及び前記把持要素(5)と前記棒材プッシングユニット(7)との間の安定的な係合を保証するために、把持促進材料でできている、回収搬出装置(1)
【請求項2】
前記把持要素(5)は、前記第1の座部(12)及び前記第2の座部(13)がそれぞれ設けられている第1のゴムインサート(14)と第2のゴムインサート(15)とを含み、
前記第1の座部(12)は、前記棒材プッシングユニット(7)の直径(d’)に適合可能な第1の内径(D1)を有しており、
前記第2の座部(13)は、より内側の領域において、前記クロップエンド(2)の直径(d”)に適合可能な第2の直径(D2)を有しており、
前記第2のゴムインサート(15)は、前記第2の端部(8)の近傍に、前記第2の直径(D2)よりも小さな更なる内径(D2’)を有し、前記クロップエンド(2)との係合に起因する変形を相殺することと強調することとに適している太環部(44)を有する、請求項1に記載の回収搬出装置(1)
【請求項3】
前記支持輸送ユニット(10)は、前記把持要素(5)を格納するための格納半円筒状座部(17)が画定されたカップ要素(16)を備え、
前記カップ要素(16)は、前記棒材装填装置(3)と対向することが意図された第1の端部(6)において、横方向に突出して前記格納半円筒状座部(17)の境界を示し、前記把持要素(5)の前記第1の端部(6)を静止した状態で受け入れるために形成された当接壁(18)を備える、請求項1又は2に記載の回収搬出装置(1)
【請求項4】
前記カップ要素(16)は、前記工作機械(4)と対向することが意図された第2の端部(8)において、前記把持要素(5)を前記格納半円筒状座部(17)の適切な位置に保持するとともに、前記把持要素(5)の前記カップ要素(16)に対する対応する相対運動を防止するために配置された隆起縁部(19)を備える、請求項3に記載の回収搬出装置(1)
【請求項5】
前記支持輸送ユニット(10)は、
鉛直方向ガイド(21)に沿ってスライド可能なスライド(20)と、
前記スライド(20)に固定され、前記カップ要素(16)を支持するアームメンバ(22)と
を備え、
前記カップ要素(16)を前記上方位置(P1)から前記下方位置(P2)まで、又はその逆に、輸送するように、前記スライド(20)を動かすように配置された駆動ピストン(23)をさらに備える、請求項3又は4に記載の回収搬出装置(1)
【請求項6】
前記排出ユニット(11)は、シリンダユニット(25)によって駆動可能であり、前記進行軌道(T)に平行な排出方向(E)に沿って移動可能な押込シャフト(24)を備える、請求項1から5のいずれかに記載の回収搬出装置(1)
【請求項7】
前記排出ユニット(11)は、前記押込シャフト(24)が固定され、水平ガイド(27)に沿ってスライド可能であり、関節継手(28)によって前記シリンダユニット(25)に連結された台車(26)を備える、請求項6に記載の回収搬出装置(1)
【請求項8】
前記棒材装填装置(3)と前記工作機械(4)の前記棒材の入力用の端部との間に挟まれた中間動作領域(RI)において、前記回収搬出装置(1)を前記棒材装填装置(3)に連結することに適している取付ブラケット(29)を更に備え、
前記取付ブラケット(29)は、回収搬出装置(1)の位置が、前記棒材装填装置(3)及び前記工作機械(4)に対して、鉛直方向及び長手方向の両方で調整可能なように構成されている、請求項1から7のいずれかに記載の回収搬出装置(1)
【請求項9】
所要の収集区域(Zc)に応じて、望ましい位置及び傾きに前記スライド要素(9)を設定できるように、前記スライド要素(9)を調整可能なやり方で支持するための棒状要素(30)を更に備える、請求項1から8のいずれかに記載の回収搬出装置(1)
【請求項10】
前記棒材プッシングユニット(7)と同期するやり方で前記支持輸送ユニット(10)を制御するように構成されており、前記支持輸送ユニット(10)と同期するやり方で前記排出ユニット(11)を制御するように構成されている制御同期ユニット(31)を更に備える、請求項1から9のいずれかに記載の回収搬出装置(1)
【請求項11】
求項1から10のいずれかに記載の棒材装填装置(3)及び回収搬出装置(1)を備えるプラント。
【請求項12】
棒材装填装置(3)によって工作機械(4)に供給される棒材クロップエンド(2)を回収及び搬出する方法であって、
−第1の端部(6)において、前記棒材装填装置(3)の棒材プッシングユニット(7)に係合することに適しており、第2の端部(8)において、前記工作機械(4)から取り外されて搬出される棒材クロップエンド(2)に係合することに適している把持要素(5)を準備し、
−前記把持要素(5)を支持輸送ユニット(10)上に配置し、
−前記支持輸送ユニット(10)を駆動して、前記把持要素(5)を、前記把持要素(5)が前記棒材プッシングユニット(7)の進行軌道(T)に同軸状に位置合わせされる上方位置(P1)に搬送し、
−前記棒材プッシングユニット(7)を前進させて、前記棒材プッシングユニット(7)の先端を前記把持要素(5)の前記第1の端部(6)に係合させ、
−前記棒材プッシングユニット(7)と係合したままの前記把持要素(5)から離れるように前記支持輸送ユニット(10)を動かし、
−前記棒材プッシングユニット(7)が前記把持要素(5)を支持ししながら、前記棒材プッシングユニット(7)を、前記工作機械(4)によって支持されている回収された棒材クロップエンド(2)へ向けて前進させ、前記把持要素(5)の前記第2の端部(8)を前記クロップエンド(2)と係合させるステップと、
−前記棒材プッシングユニット(7)を前記進行軌道(T)に沿って反対方向に後退させて、前記クロップエンド(2)と係合している前記把持要素(5)を前記上方位置(P1)に復帰させ、
−前記支持輸送ユニット(10)を駆動して、前記把持要素(5)及び前記クロップエンド(2)をスライド要素(9)近傍の下方位置(P2)に搬送し、
−排出ユニット(11)を作動し、排出ユニット(11)が、前記第1の端部(6)を通って、前記把持要素(5)を貫通し、前記クロップエンド(2)を前記スライド要素(9)に排出するとともに、前記クロップエンド(2)を収集区域(Zc)に送る
ことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動旋盤のような工作機械に装填装置によって供給される加工棒材の端部の残余部分である棒材クロップエンドを回収して搬出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤による棒材加工の分野では、前述した旋盤のそれぞれのスピンドルに棒材を自動的かつ漸進的に供給する装填装置を使用することが知られている。1つのタイプの装填又は供給装置は、旋盤の1つ又は複数の機械加工ステーションを通過して棒材を連続的なステップで漸進的に前進させるように作動する棒材プッシャーを有する。棒材の後端は、機械的な結合によって棒材プッシャーと一時的に一体となる。棒材の機械加工が終わると、棒材の後端は、旋盤から排出される必要がある機械加工の残留クロップエンドを構成する。この時点で、棒材プッシャーは、装填装置の内側の棒材の残りの部分(すなわちクロップエンド)を引き戻して解放するまで後退する。上記の開示された装填装置は、確実に動作するが、より汎用性が高い技術的解決策を取り扱うことが強く望まれている。この技術的解決策は、全体寸法の大幅な削減と単純且つ安価な構造上配置とを保証しながら、棒材クロップエンドを効率的に回収して、様々な望ましい収集区域に搬出することを可能にし、その結果、装填装置の内側の棒材クロップエンドを必ず輸送しなければならないという制約を排除する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明のひとつの目的は、工作機械上での棒材の機械加工のプロセス、特に、機械加工後に残った棒材クロップエンドの回収及び搬出のプロセスを一般に単純化して改良することができる解決策を提供することである。
【0004】
別の目的は、非常に汎用性が高く、既に使用されている既知の装填装置に容易に取り付け可能且つ適用可能な安価で単純な構造上配置を有している、棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置を提供することである。
【0005】
別の目的は、棒材の進行軌道に対して、横方向及び長手方向の両方で非常に小さな全体寸法を有する、棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、請求項1及び12でそれぞれ定義した棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置及び方法によって達成され得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明によって、棒材を供給し、機械加工プロセスで残った対応する棒材クロップエンドを回収するための既知のシステムに固有の欠点は克服される。
【0008】
本発明の特徴と利点は、特許請求の範囲及び明細書からより明らかになる。
【0009】
本発明は、非制限的な例を用いて本発明の実施形態を図示する添付図面を参照して、より良く理解され実施されうる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】装填装置(一部のみが示されている)に取り付けられている本発明に係る棒材クロップエンドを回収及び搬出するための装置を示す斜視図。
図2図1のセットの背面図。
図2A図2の拡大詳細図。
図3図1のセットの側面図。
図4】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置に含まれる把持要素を示す図。
図4A図4のIV−IV平面に沿った把持要素の長手方向断面図。
図5図1のアセンブリの正面図。
図6図5のVI−VI平面に沿った部分断面図。
図7】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の上面図。
図8図5の拡大詳細図。
図9】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置単体の追加的な図。
図10】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置単体の追加的な図。
図11】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置単体の追加的な図。
図12】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置単体の追加的な図。
図13】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置のより詳細ないくつかの部品、特に支持輸送ユニット及び把持要素を示す図。
図14】棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置のより詳細ないくつかの部品、特に、(図13とは異なる相対的位置にある)支持輸送ユニット及び把持要素を示す図。
図15】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図16】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図17】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図18】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図19】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図20】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図21】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
図22】本発明に係る棒材クロップエンドの回収及び搬出のための装置の一連の動作ステップを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照すると、棒材クロップエンド2を回収して搬出するための装置1が示されている。装置1は、工作機械4、具体的には(単軸タイプであってもよく、多軸タイプであってもよい)旋盤4に複数の棒材を自動的に供給するための装填装置3に取り付けられることに適している。回収搬出装置1は、装填装置3と旋盤4との間に位置するように構成されている。具体的には、回収搬出装置1は、支持構造33を有しており、支持構造33は、棒材の旋盤4への供給方向Dに対して、装填装置3の下流であるが旋盤4の上流にこのように配置されるように、装填装置3の棒材が出てくる端部に取り付けられている。装填装置3と工作機械4との間において、棒材クロップエンド2を取り外し、引き抜き、及び搬出するための中間動作領域Rがこのようにして画定されている。
【0012】
装置1の支持構造33は、スリーブ形状を有する取り付けブラケット29を備えており、取り付けブラケット29によって、装填装置3(より正確には、供給中の棒材用のセンタリング機構35を支持する前方筒状棒材34)への回収搬出装置1の連結が可能になる。取り付けブラケット29は、スリーブ構造のために、装填装置3及び工作機械4に対して長手方向に装置1の位置を調整することを可能にする。支持構造33は、棒材の進行及び供給の軌道Tに対して交差する方向に装置1の位置を調整することを可能にするように、さらに形成されている。具体的には、装置1の位置は、装填装置3と旋盤4の配置に適応できるように、高さ、すなわち鉛直方向においても調整可能である。より正確には、第1のプレート36と第2のプレート37とにそれぞれ固定された第1の一対のブラケット29Aと第2の一対のブラケット29Bとが設けられている。第1のプレート36は、正方形ブラケット要素38によって前記支持構造に連結されており、正方形ブラケット要素38は、第1の一対のブラケット29Aの鉛直方向位置及び水平方向位置を前記棒材進行方向に直交するように調整可能にする。第2のプレート37は、第2のプレート37の水平方向位置を調整可能にするスペーサ手段39によって支持構造33に連結されている。さらに、適切な形状のスロット開口に係合するスクリュー要素を備える固定手段40が設けられており、これにより、第2のプレート37の鉛直方向位置、したがって第2の一対のブラケット29Bの鉛直方向位置を調整可能にしている。
【0013】
回収搬出装置1には、クロップエンド2を取り外し、移動させ、解放するためのグリッパーとして働く把持要素5も含まれる。
【0014】
把持要素5は、回収されるクロップエンド2の後端と棒材プッシングユニット7の前端の両方との係合に適している。
【0015】
回収搬出装置1は、(以下によりよく開示する)前述の把持要素5の支持及び把持要素5の所定位置への輸送に適した移動可能な支持輸送ユニット10,16と、把持要素5から各クロップエンド2を放出し、クロップエンド2を収集区域Zcに搬送するスライド要素9にクロップエンド2を送るように作動する排出ユニット11とを備える。棒材クロップエンド2のための回収搬出装置1の前述の部分は、以下によりよく開示する。
【0016】
把持要素5は、図4及び図4Aにより好ましく示すように、筒状ブッシュ本体5を備える。筒状ブッシュ本体5には、棒材プッシングユニット7を受け入れて係合することに適した第1の座部12と、クロップエンド2を受け入れて係合することに適した第2の座部13とが設けられている。棒材プッシングユニット7は、把持要素5の第1の端部6を通過して第1の座部12を貫通してもよく、一方で、クロップエンド2は、第1の端部6とは反対の把持要素5の第2の端部8を通過して第2の座部13に受け入れられる。
【0017】
筒状ブッシュ本体5には、第1の座部12と第2の座部13とを連結し、第1の座部12と第2の座部13とを連通する通過開口41が長手方向に設けられている。通過開口41は、クロップエンド2を把持要素5から押し出し、クロップエンド2をスライド要素9に放出できるように、排出ユニット11(具体的には、排出ユニット11の押込シャフト24)が(第1の座部12、したがって通過開口41を横切って)第2の座部13を貫通できるように形成されている。
【0018】
第1の座部12及び第2の座部13は、クロップエンド2の強固な把持動作と、把持要素5の棒材プッシングユニット7との安定した解放可能な係合とを保証するために配置された接着促進材料からできている。具体的には、把持要素5は、前述した第1の座部12と第2の座部13とがそれぞれ設けられた2つのゴムインサート14,15を含んでいる。第1の座部12は、棒材プッシングユニット7の直径と概ね等しい第1の内径D1を有しており、一方で、第2の座部13は、クロップエンド2のそれぞれの直径d”と概ね等しい第2の直径D2を有している。
【0019】
より正確には、インサート15は、第2の端部8の近傍において、前述の第2の直径D2よりも僅かに小さな更なる内径D2’を有する太環部44を備えている。具体的には、特に限定されないが、更なる直径D2’は、第2の直径D2よりも約0.3ミリメートル小さい。厚肉部44は、クロップエンド2とのインサート15の周期的な係合によって、インサート15が被る可能性がある膨出動作又は変形動作を相殺及び強調(ないしは対比)する機能を有している
【0020】
インサート15上には、斜めになった受入区域43が設けられており、これにより、クロップエンド2の第2の座部13における受け取りを容易にしている。
【0021】
インサート14,15が作られているゴム材料のために、クロップエンド2の把持、及び把持要素5と棒材プッシングユニット7との間の強力な把持力を有する確実な結合によって、信頼できる把持動作が容易かつ効果的に得られる。
【0022】
単純であるが効果的な把持要素5の構造配置のために、回収搬出装置1は、クロップエンド2及び棒材プッシングユニット7の寸法及び形状に非常に容易に適応できる。これは、把持要素5と、把持要素5に類似しているが座部12,13の異なる形状/寸法を有する他のものとの単純な置換によって得られる。
【0023】
ここで開示された本実施形態において、ゴムインサート14,15は、筒状本体5の内側に直接取り付けられている。このために、ベントホール42が筒状本体5上に設けられており、空気/ガスがインサート14,15の成形の動作中に排出されるようになっている。
【0024】
考えられる更なる実施形態では、インサート14,15は、筒状本体5の厚みに設けられた貫通孔に係合する適切な固定要素によって筒状本体5に固定されている。この構成は、有利なことに、クロップエンド2及び/又は棒材プッシングユニット7の様々な直径に対応するために、筒状本体5におけるインサート14,15のみの置換を可能にし、その結果、把持要素5全体を置換する必要性を回避できる。ただ1つの筒状本体5と、棒材の様々な大きさ又は棒材プッシングユニット7の様々な形状に適した様々な寸法を有する一組のインサート14,15を取り扱うことが可能である。
【0025】
ここで、移動可能な支持輸送ユニット10,16を詳細に説明する。移動可能な支持輸送ユニット10,16は、把持要素5を支持するために使用されており、把持要素5を上方位置P1から下方位置P2に輸送するために移動可能である。上方位置P1では、把持要素5は、棒材プッシングユニット7の(すなわち棒材が供給される)進行軌道T上に同軸状に位置合わせされており、下方位置P2では、把持要素5は、前述したスライド要素9の近傍に配置されている。
【0026】
移動可能な支持輸送ユニット10は、カップ要素16(図13及び14に示す)を備え、カップ要素16には、把持要素5用の格納半円筒状座部17が画定されている。カップ要素16は、動作中に装填装置3と対向することが意図されている第1の端部において、前述した半円筒状座部17の境界を示すように横切って突出する当接壁18を備えている。当接壁18は、カップ要素16が正確且つ適切に半円筒状座部17上に位置できるように、把持要素5の第1の端部6を静止して受け入れるために形成されている。当然ながら、当接壁18の高さ及び/又は幾何学的形態は、上方位置P1において、棒材プッシングユニット7の把持要素5との係合作業を邪魔しないように選択されてもよい。例えば、当接壁18の上側の縁において、棒材プッシングユニット7の移動を妨げることを防止するように、適切なノッチ又は割れ目が形成されてもよい。
【0027】
カップ要素16は、動作中に旋盤4と対向することが意図された第2の端部において、把持要素5を格納半円筒状座部17において適切な位置に維持するために配置されている隆起縁部19を備える。隆起縁部19は、把持要素5が上方位置P1にあるときに、棒材プッシングユニット7の把持要素5との係合中に、把持要素5がカップ要素16から脱落可能になることを防止する機能を有する。さらに、隆起縁部19は、把持要素5が下方位置P2にあるときに、排出ユニット11,24によって実行されるクロップエンド2の排出動作中に、把持要素5がカップ要素16から脱落可能になることを防止する機能を有する。
【0028】
移動可能な支持輸送ユニット10は、鉛直方向ガイド21に沿ってスライド可能なスライド20を備える。スライド20には、カップ要素16を支持するアームメンバ22が固定されている。カップ要素16を前述した上方位置P1から前述した下方位置P2まで(又はその逆に)輸送するために、関節継手32によって前述のスライド20に連結されており、スライド20を移動させるために配置されている、駆動ピストン23が設けられている。
【0029】
前述した排出ユニット11は、押込シャフト24が固定された台車26を備えており、台車26は、上方に位置する進行軌道Tと平行な排出方向Eに沿って押込シャフト24を動かすために、水平ガイド27に沿ってスライド可能である。台車26は、関節継手28によって駆動シリンダユニット25に連結されている。シリンダユニット25のために、押込シャフト24は、前方に移動されて、把持要素5を貫通し、クロップエンド2を排出するとともに、後方に移動されて、把持要素5から外れ、それに続く押込シャフト24の上方位置P1への上昇を許容する。
【0030】
クロップエンド2を受け入れて収集区域Zcに搬送するために、スライド要素9は、棒状要素30によって支持構造33に連結されている。スライド要素9の棒状要素30への連結は、スライド要素9の適切な及び望ましい位置及び傾きを選択することを可能にするような調整可能なタイプである。具体的には、棒状要素30によって、スライド要素9の長手方向位置及び傾きの両方を調整できる。
【0031】
回収搬出装置1は、支持輸送ユニット10を棒材プッシングユニット7と同期的に制御し、次に、排出ユニット11を支持輸送ユニット10と同期的に制御するように構成されている、制御同期ユニット31を更に備える。
【0032】
図15から図22を参照して、上記の開示した本発明に係る回収搬出装置1の動作を以下で簡潔に開示する。
【0033】
旋盤4が棒材(現時点でクロップエンド2に縮小されている)の処理を終了すると、回収搬出装置1が介入できる。
【0034】
ステップIでは、図15に示すように、把持要素5が棒材プッシングユニット7によって係合される準備が整うように、把持要素5は、カップ要素16から上方位置P1へと鉛直方向に上昇される。
【0035】
ステップII(図16に示す)では、棒材プッシングユニット7が、把持要素5に係合し、その後、棒材プッシングユニット7によって支持されている把持要素5の(問題のクロップエンド2を取り出し回収しなければならない)旋盤4までの進行を邪魔しないように、カップ要素16は、再び降下してもよい。その後、ステップIII(図17に示す)では、把持要素5と一体になった棒材プッシングユニット7は、把持要素5の第2の座部13に受け入れられたクロップエンド2に到達し、その結果、インサート15によって発揮された把持力を有する弾性固定動作によって、把持要素5にこのように安定的に把持された状態を維持する。この時点で、棒材プッシングユニット7は、後退しており、棒材プッシングユニット7とともに把持要素5とクロップエンド2とを上方位置P1に搬送する(図18に示すステップIV)。続いて、図19に示すステップVにおいて、カップ要素16は、上方位置P1まで再度上昇し、その半円筒状座部17において、クロップエンド2を支持する把持要素5を受け入れる。棒材プッシングユニット7は、把持要素5の第1の座部12から後退されてもよいし、係合解除されてもよく、その結果、把持要素5がカップ要素16に残る。ステップVI(図20に示す)において、支持輸送ユニット10は、再度駆動されてカップ要素16(したがってクロップエンド2に係合された把持要素)を下方位置P2に下降させ、クロップエンド2が把持要素5から排出される準備がされている後続のステップVIIに到達する。この時点で、排出ユニット11は駆動され(図22のステップVIII)、押込シャフト24は、第1の座部12に侵入し、通過開口41を横切り、第2の座部13に出現し、クロップエンド2を把持要素5の外側に押す。その後、クロップエンド2は、クロップエンド2を収集区域Zcに搬送するスライド要素9上に落ちる。
【0036】
上で開示されたことから理解できるように、装置1によって、上述した目的を達成できる。具体的には、装置1は、把持要素5、支持輸送ユニット10、排出ユニット11及びスライド要素9の構造上の単純性のおかげで、装置1は、経済的に有利であり、大きな機械的な信頼性を有している。移動可能な部品は、その非常に控えめな寸法及び重量によって、慣性質量が減少し、これにより、装置1が非常に速い動作速度でさえも動作でき、その結果、全体の機械サイクルの一般的な速度向上を可能にした。
【0037】
装置1の単純化された構造上及び機能上の配置は、有利なことに、製造及び保全コストの大幅な削減を必然的に伴う。コンパクトな寸法、装置1の制限された長手方向の範囲、及び棒材の前進軌道に対して鉛直方向、長手方向、及び横方向の位置の調整を伴う接続の可能性は、装置1を装填装置2の任意の形状に適合可能にする。
【0038】
装置1が意図されている用途に応じて、装置1を望ましい方法で構成及び寸法設定が可能であり、上記で開示され、添付の図面に図示されているものへの変形及び/又は追加が可能である。
図1
図2
図2A
図3
図4
図4A
図5
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