特許第6894906号(P6894906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6894906搬送又は駆動ベルトとその製造に適した織り櫛
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894906
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】搬送又は駆動ベルトとその製造に適した織り櫛
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/30 20060101AFI20210621BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20210621BHJP
   D03D 13/00 20060101ALI20210621BHJP
   F16G 1/00 20060101ALI20210621BHJP
   F16G 1/04 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   B65G15/30 A
   D03D1/00 D
   D03D13/00
   F16G1/00 F
   F16G1/04
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-536122(P2018-536122)
(86)(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公表番号】特表2019-503315(P2019-503315A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2016081863
(87)【国際公開番号】WO2017121582
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年8月9日
【審判番号】不服2020-7887(P2020-7887/J1)
【審判請求日】2020年6月9日
(31)【優先権主張番号】102016100354.9
(32)【優先日】2016年1月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510140238
【氏名又は名称】フォルボ・ジークリング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ブーフ・トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ネーレン・ネーレ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ・レンナルト
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 尾崎 和寛
【審判官】 内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭46−34833(JP,Y1)
【文献】 実公昭46−16131(JP,Y1)
【文献】 実開平1−94480(JP,U)
【文献】 実開平3−22080(JP,U)
【文献】 特表2010−520381(JP,A)
【文献】 実開昭52−165971(JP,U)
【文献】 特開2014−205528(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/110728(WO,A1)
【文献】 特開平9−278137(JP,A)
【文献】 実開昭49−70262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/30
D03D 1/00-27/18
F16G 1/00
F16G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心縦軸(14)の方向に延在する経糸(2)と、対向する側縁(3,4)の間に延在する緯糸(5,5’)を有する搬送又は駆動ベルト(1)において、
緯糸(5,5’)と経糸(2)が、支持体(7)と接触する走行面を構成すること、緯糸(5,5’)と経糸(2)が、直角とは異なる正の傾斜(α)又は負の傾斜(β)で互いに少なくとも部分的に交差すること、及び、緯糸(5,5’)が、波状の経過に従うこと、を特徴とする搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項2】
側縁(3,4)の間の緯糸(5,5’)が、少なくとも、搬送又は駆動ベルト(1)の運動方向(6)に対して1つの方向成分を備える正の傾斜(α)を有する第1の領域(8)と、搬送又は駆動ベルト(1)の運動方向(6)に対して1つの方向成分を備える負の傾斜(β)を有する第2の領域(9)を備えること、を特徴とする請求項1に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項3】
緯糸(5,5’)が、規則的な波状の経過に従うこと、を特徴とする請求項1又は2に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項4】
緯糸(5,5’)が、中心縦軸(14)に対して対称に延在すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項5】
緯糸(5,5’)が、側縁(3,4)の間に連続的に延在すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項6】
隣接する緯糸(5,5’)が、特に搬送又は駆動ベルト(1)の全幅(b)にわたって互いに一定の間隔(a)を備えること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項7】
隣接する緯糸(5’)からの緯糸(5)の間隔(a)が、緯糸(5,5’)の振幅(A)よりも小さいこと、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【請求項8】
少なくとも2本の緯糸(5,5’)の間隔(a)が、残りの緯糸(5,5’)の間隔(a)とは異なるように寸法設定されていること、を特徴とする請求項1に記載の搬送又は駆動ベルト(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向に延在する経糸と、対向する側縁の間に延在する緯糸を有する搬送又は駆動ベルトに関する。更に、本発明は、本発明において適用するための筬とも呼ばれる織り櫛に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送又は駆動ベルトは、特に複数の層から成る繊維布地から成り、層構成は、適用目的及びその際に生じる要求に応じて著しく変化し得る。このような搬送又は駆動ベルトの典型的な構成は、作動中に作用する力を伝達するための経糸及び緯糸から成る引張部材、搬送物用の支持面としての支持層及び支持体に対する接触面として使用される走行面を含む。
【0003】
個々の縦糸は、織機のいわゆる千巻に固定され得る前には、綜絖及び筬によって案内されなければならない。織り時に、経糸に対して直角な緯糸の挿入によって、織物は成長する。
【0004】
経糸は、綜絖−この綜絖を経て経糸が延在する−によって、異なったシャフトに割り当てられている。綜絖枠の昇降により、個々の縦糸は、杼口を生じさせるために上下させられる。同時に上下させられる経糸の組合せと、異なった組合せの縦糸が相前後して上下させられる順序が、織物の織り方を決定する。
【0005】
織り櫛とも呼ばれる筬により、各緯糸は、それまでに完成させた布地に当接される。このような織り櫛は、互いに平行な多数のホルダから成り、これらホルダは、その間にスリットを構成し、これらスリットを、経糸が通る。織り櫛は、それぞれの要求に適合されなければならず、従って、多様な実施形態で知られている。例えば西独国特許出願公開第1 535 153号明細書から、可変の間隔を有する織り櫛が知られている。
【0006】
3つの基本織りに、緯糸が個々の縦糸の上及び下を交互に通る最も単純な織り方としての平織り、サテン織り、及び、緯糸が少なくとも1本の縦糸の下を案内され、その後少なくとも2本の縦糸の上を案内される綾織りが属する。次の緯糸は、この周期を横に移動させるので、綾目と呼ばれる典型的な斜線パターンが生じる。
【0007】
基本的に、このような搬送又は駆動ベルトにおける全ての織り方に対して、緯糸ができるだけ高い精度で緯糸に対して直角に延在すべきであることが当て嵌まる。この場合、特に直角な経過は、搬送又は駆動ベルトの品質の特徴を構成する。何故なら、緯糸の異なる経過は、搬送又は駆動ベルトが横に移動し、支持体、特に転向ローラ又は支持ローラ上での調心を実質的に困難にすることを生じさせ得るからである。
【0008】
このような搬送又は駆動ベルトを人員がアクセス可能な領域に、例えば建物内の人員搬送ベルト又はフィットネス領域内のランニングベルトに使用する場合、その際に生じる騒音発生は不利に作用する。この場合、特に、高周波の音響振動は、不快であると受け取られる。
【0009】
搬送又は駆動ベルトの層構成を付加的な減衰層によって変更し、これにより、改善された音響減衰作用を実現する又は少なくとも振動の周波数を他の領域に移動させることが、既に考えられている。しかしながら、これは、不所望に高い製造コストを生じさせる。
【0010】
欧州特許出願公開第0 775 648号明細書から、短繊維糸を含み、搬送ベルトの走行方向に対して10°〜70°の傾斜角を有する綾織りを備える裏打ち織物を有する搬送ベルトが知られている。経糸は、短繊維で被覆され、走行ベルトの全幅にわたって斜めに延在し、これにより、エッジを超える時でも短繊維糸の無限の支持が得られる。これにより、一様で振動のない低騒音の搬送ベルトの走行が達成される。このため、裏打ち織物は、特に山形斜文織又はヘリングボーン配列の綾織りを備えることができる。
【0011】
更に、独国特許出願公開第10 2009 034 299号明細書から、経糸ワイヤと緯糸ワイヤのワイヤ交差角が直角から3°より多くずれた、スクリーン印刷用メッシュとして使用可能かつ多数の経糸ワイヤ及び緯糸ワイヤを有するワイヤメッシュが既に知られている。1つのバリエーションによれば、ワイヤメッシュは、中心の経糸ワイヤに対して鏡面対称に形成された2つのメッシュ部分を有することができる。そのために使用される筬は、相応に対象に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】西独国特許出願公開第1 535 153号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 775 648号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2009 034 299号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底にある課題は、付加的な減衰層又は搬送又は駆動ベルトの減音コーティングを必要とせずに、搬送又は駆動ベルトの作動中に不所望の騒音発生を低減する可能性を提供することである。更に、本発明の根底にある課題は、このような搬送又は駆動ベルトを製造するために設定された織り櫛を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
最初に挙げた課題は、本発明によれば、請求項1の特徴による搬送又は駆動ベルトによって解決される。本発明の別の形態は、従属請求項から読み取ることができる。
【0015】
即ち、本発明によれば、横糸が、搬送又は駆動ベルトの主延在平面内で少なくとも部分的に経糸に対して直角な直線とは違って、側縁の間の最短の接続線に対して部分的に正の傾斜と負の傾斜でもって延在し、緯糸が、波状の経過に従う、搬送又は駆動ベルトが提案される。本発明の根底にある驚くほど単純な認識は、支持体、例えばガイド、ベース又はローラ上での搬送又は駆動ベルトの運動時に、それぞれの緯糸が、全幅にわたって同時に支持体に衝突するのではなく、搬送又は駆動ベルトの全幅の方向の異なった部分に対して時間的に遅延して衝突する場合、不所望の騒音発生が、これにより著しくかつ有効に付加的な材料の使用なしに、特に減衰層なしに達成され得ることである。この効果は、緯糸が、側縁の最短の接続直線に対して傾斜を備えることによって、少なくとも個々の部分で好ましくは反対方向に傾斜した緯糸の経過により、達成される。これにより、ローラ又はプレート状の支持体の全幅にわたるそれぞれの緯糸の同時の衝突が回避される。音の発生の根底にある物理的な効果は未だ完全には理解されていないが、現在は、搬送又は駆動ベルトと支持体の間のガセットとも呼ばれる間隙領域内でこれが生じることが前提とされる。この場合、従来技術の場合は、搬送又は駆動ベルトの支持体に面した外面に対して突出する緯糸は、支持体に搬送又は駆動ベルトが衝突する直前に搬送又は駆動ベルト共に、閉じる間隙内で急激に排除される空気量を閉じ込める。その結果、不所望の騒音発生に通じる周期的な空気振動が生じる。本発明により傾斜した緯糸の経過により、閉じ込められた空気量は、支持体に対して平行に横方向に排除され、連続的に逃げ出る。周期的な振動励起は、このようにして効果的に回避され、緯糸は、特に経糸に対して直角の直線の両側の振幅を有する波状又は曲線状の経過に従う。波の形状と、傾斜角の連続的な変化が結びついており、これにより、不所望の急激な方向変化が回避され得る。特に、傾斜の多重の反転により、ガセット内の閉じ込められた空気量が周期的に大きく及び小さくなり、これが、振動励起に効果的に反作用する。
【0016】
特に有利な形態は、縁の間の緯糸が、少なくとも、走行方向の方向成分を備える正の傾斜を有する第1の領域と、走行方向に対して1つの方向成分を備える負の傾斜を有する第2の領域を有すること、によって達成されるので、搬送又は駆動ベルトの可能な横方向の偏位は、緯糸の傾斜した経過に基づいて、それぞれ第1及び第2の領域内の反対の傾斜によって補償される。この場合、傾斜角は、側縁の間の最短の接続線と好ましくは一致する搬送又は駆動ベルトの横軸に対して寸法設定されている。
【0017】
同様に、正の傾斜角を有する領域と、負の傾斜角を有する領域が、搬送又は駆動ベルトをさもなければ横方向に経にさせる力を互いに相殺するために同じ大きさである場合が、有利であるとわかった。
【0018】
更に、適用目的に応じて、正の傾斜角を有する領域と負の計差角を有する領域を異なる大きさで形成することが、有利であり得る。例えば持続的な横方向の流入、横方向に傾斜した搬送面、又は、傾斜した転向ローラ又は支持ローラに起因して、搬送ベルトの永続的な位置ズレが生じる適用が考えられる。これらの適用のために、必要な強制ガイドがこれまでは例えば縫い付けられたビードを有する補強されたベルトエッジを介して実現された。これは、永続的な位置ズレを惹起する適切に不等に分配されて形成された織組織によって置換することができる。
【0019】
この場合、規則的に波形にされた緯糸の経過、即ち一定の波長と振幅を有する緯糸の経過が、一方の搬送又は駆動ベルトと他方の支持多の間の不均等な力の伝達を回避するために、特に有利であることが既にわかっている。加えて、搬送又は駆動ベルトは、緯糸の波状の経過の有利な特性を変更することなく、必用に応じて縦方向に切断すること及び全幅を徐々に縮小することもできる。
【0020】
緯糸は、ジグザグ経過で側縁の間に延在し得る。本発明の同様に成果を期待させる別の実施形態の場合、緯糸は、側縁の間に連続的に延在するので、特に、緯糸の方向の反転を、従って相応に知覚可能な支持体への衝突を生じさせる不連続箇所が回避される。
【0021】
本発明の同様に特に実用的な他のバリエーションは、隣接する緯糸が、特に搬送又は駆動ベルトの全幅にわたって互いに一定の間隔を備えること、によっても達成されるので、搬送又は駆動ベルトの平面内に緯糸の反復イメージが得られる。従って、搬送又は駆動ベルトの主軸の方向に、先行する緯糸と後続の緯糸からの各緯糸の間隔は同一である。
【0022】
本発明の特に成果を期待させる他の実施形態の場合、搬送又は駆動ベルトの中心縦軸の方向の、隣接する緯糸からの緯糸の間隔が、緯糸の振幅よりも小さい。これにより、各作動段階で、少なくとも1本の緯糸が支持体と接触していることが保証される。従って、搬送又は駆動ベルトの表面に対して明らかに突出したような緯糸の場合でも、支持体に対する搬送又は駆動ベルトの突然の持上げは生じない。何故なら、搬送又は駆動ベルトは、常に1本又は複数本の緯糸によって支持体上に載置されているからである。従って、波形に延在する緯糸の搬送及び駆動ベルトの運動方向とは反対の振幅高さの到達直前には、既に、後続の緯糸の振幅高さが、支持体に出会っている。
【0023】
更に、少なくとも1本の緯糸の間隔が、残りの緯糸の間隔とは異なるように寸法設定されている場合が、有利であり得る。これにより、緯糸の所定の非周期的な衝突によって、周期的に繰り返される空気流と、おそらくはこれに付随する振動励起が回避される。この場合好ましくは、隣接する緯糸の間隔は、0.5mm〜25mm、特に5mm〜15mmである。
【0024】
更に、本発明の課題は、浮糸が、搬送又は駆動ベルトの幅にわたって見て経糸の方向に位置ズレを備えるように、織物の綾織りによって斜線パターンと結合された互いに直角に交差する経糸と緯糸を有する搬送又は駆動ベルトによれば、更に、斜線パターンの傾斜が、側縁の間の搬送又は駆動ベルトの幅にわたる浮糸のそれぞれの中心点の仮想の接続線として、少なくとも1回の反転部を備えること、によって解決される。それ自身知られた綾織りにおいていわゆる浮糸は、編まれることなく経糸として多数の緯糸の上に位置し、後続の緯糸が少なくとも1本の経糸の分だけ位置ズレされて配置されていることによって生じる糸区間として存在することによって、斜めに延在する畝が発生され、この畝の傾斜が、緯糸の経過に対して1つの傾斜を備える、即ち傾斜して延在するように、傾斜効果が得られる。この場合、綾織りは、支持体の幅にわたって変化する接点の所望の効果を実現するために、畝の傾斜が第1の領域で正であり、第2の領域で負であるように形成される。従って、隣接する浮糸の位置ズレは、一定ではなく、少なくとも反転箇所で変化する。
【0025】
本発明の他の実施形態の場合、側縁の間の浮糸の長さが、幅にわたって少なくとも部分的に異なるように寸法設定され、浮糸の長さは、特に、搬送又は駆動ベルトの中心縦軸を含む領域で、側縁にそれぞれ隣接する領域よりも短く寸法設定されている。このようにして、作動中は、搬送又は駆動ベルトの幅にわたって、支持体への浮糸の衝突の時点だけでなく、更に浮糸の異なる長さに基づいて支持体との接触の期間も変化する。畝の波形にされた経過により、転向ローラ又は支持面の幅にわたって時間的な経過において異なる緯糸の接点が得られるので、閉じ込められた空気量は、搬送方向に対して横方向に排除することができ、従って、連続的な排除プロセスのための周期的もしくは急激な空気の逃出しが回避され得る。
【0026】
更に、本発明は、請求項1〜11の少なくとも1項に記載の搬送又は駆動ベルト用の織物を製造するための筬とも呼ばれる織り櫛により、織り櫛が、それぞれの緯糸に対して当接するために設定された、異なった平面内に延在する、波形にされた当接面を備えること、によって解決される。
【0027】
本発明は、種々の実施形態を許容する。その基本原理を更に明確にするために、そのうちの1つを図面に図示し、以下で説明する。図面は、それぞれ原理図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】支持体上に緯糸の波形にされた経過を有する本発明による搬送又は駆動ベルトの平面図
図2図1に示した搬送又は駆動ベルトの横断面図
図3】綾織りを有する搬送又は駆動ベルトのバリエーション
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、縦方向に延在する経糸2と側縁3,4の間に延在する緯糸5を有する本発明による搬送ベルト1の平面図を示す。緯糸5は、搬送ベルト1の主延在平面内に配置され、波形にされた経過に従うので、経糸2に対して直角な直線とは少なくとも部分的に異なって、部分的に運動方向6に対して正の傾斜αと運動方向6に対して負の傾斜βが生じる。これにより、ここではガイドローラとして形成された支持体7上への搬送ベルト1の運動時に、それぞれの緯糸5は、その全幅bにわたって同時に支持体7に出会うのではなく、搬送ベルト1の幅部分としての異なった領域8,9に対して時間的に遅延し、領域8は、正の傾斜αに相当し、領域9は、負の傾斜βに相当する。
【0030】
特に図2との関係で認められるように、これにより、搬送ベルト1と支持体7の間のガセットとも呼ばれる間隙領域10内の空気は、横方向に排除され、特に従来技術の場合とは違って急激には逃げ出ない。従って、振動励起の主原因が回避され、騒音発生の効率的な低減が達成される。経糸2の方向の隣接する緯糸5’から緯糸5の間隔aがそれぞれの緯糸5の振幅Aよりも小さいことにより、緯糸5から後続の緯糸5’への移行も、中断なく行なわれる。むしろ、少なくとも1本の緯糸5,5’の少なくとも1つの領域8,9が、常に支持体7に当接する。
【0031】
図3には、経糸2と緯糸17が互いに直角に交差し、斜線パターンの織物の綾織りによって結合されている、搬送ベルト16のもう1つのバリエーションが補足的に図示されている。従って、側縁3,4の間の浮糸11−経糸2を織らずに多数の緯糸17上に位置する−と呼ばれる領域は、搬送ベルト16の幅bにわたって経糸2の方向の位置ズレを備える。浮糸の長さlが側縁3,4の間で変化し、側縁3,4にそれぞれ面した領域12内の方が、中心縦軸14の近くの領域13内よりも長いことにより、側縁3,4の間の搬送ベルト16の幅bにわたる浮糸11のそれぞれの中心点の畝と呼ばれる仮想の接続線15の斜線パターンの傾斜αは、支持体7の幅(b)にわたって変化する接点の所望の効果を実現するために、中心縦軸14の領域内のここでは模範的にだけ図示した反転箇所を有する波形にされた経過に従う。従って、隣接する浮糸11の位置ズレも一定ではなく、側縁3,4の間の経過内で変化する。
【符号の説明】
【0032】
1 搬送ベルト
2 経糸
3 側縁
4 側縁
5,5’ 緯糸
6 運動方向
7 支持体
8 領域
9 領域
10 間隙領域
11 浮糸
12 領域
13 領域
14 中心縦軸
15 接続線
16 搬送ベルト
17 緯糸
α 傾斜
β 傾斜
b 幅
a 間隔
A 振幅
l 長さ
図1
図2
図3