(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894939
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】光学センサ用信号変換システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/378 20110101AFI20210621BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20210621BHJP
H04N 5/3745 20110101ALI20210621BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
H04N5/378
G01J3/02 S
H04N5/3745 500
H03M1/12 C
【請求項の数】29
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-87866(P2019-87866)
(22)【出願日】2019年5月7日
(65)【公開番号】特開2019-205162(P2019-205162A)
(43)【公開日】2019年11月28日
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】62/666,433
(32)【優先日】2018年5月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/400,960
(32)【優先日】2019年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505350178
【氏名又は名称】ヴェリティー インストルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラリー アーロス ブロック
【審査官】
松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−264610(JP,A)
【文献】
特開2017−092998(JP,A)
【文献】
特開平10−145683(JP,A)
【文献】
特開2006−115324(JP,A)
【文献】
特開平08−111812(JP,A)
【文献】
特開2001−144555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225−5/378
H04N 9/00−9/11
G01J 3/02
H03M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学機器であって、
光学入力を受信し、前記光学入力を電気信号に変換するように構成された光学センサと、
前記光学センサから前記電気信号を受信するように構成された入力インターフェイス、
DC結合信号チャネルとAC結合信号チャネルとの並列の組み合わせを有する変換回路であって、前記DC結合信号チャネル及び前記AC結合信号チャネルは、前記入力インターフェイスから切換不能な接続部を介して前記電気信号を同時に受信し、前記DC結合信号チャネル及び前記AC結合信号チャネルに従って前記入力インターフェイスから受信された前記電気信号を変更することによって、異なるアナログ出力を提供するように構成され、前記変更は、連続動作又は同期動作である、変換回路、
前記光学機器の動作モードによって前記異なるアナログ出力の1つを選択するように構成されたアナログ・スイッチであって、前記動作モードはさらに、前記連続動作又は前記同期動作の何れかを示し、前記同期動作が示される場合には、前記動作モードは、前記変更のための同期信号のタイプを含む、アナログスイッチ、及び
前記異なるアナログ出力の選択された1つを受信し、デジタル信号出力に変換するように構成されたアナログ・デジタル変換器
を含む変換システムと
を備える光学機器。
【請求項2】
前記変換回路、前記アナログ・スイッチ、及び前記アナログ・デジタル変換器が直列に結合されている、請求項1に記載の光学機器。
【請求項3】
前記アナログ・スイッチは、前記アナログ・デジタル変換器と前記変換回路の間に直列に結合されている、請求項1に記載の光学機器。
【請求項4】
前記異なるアナログ出力の選択された1つを受信及び変更し、前記アナログ・デジタル変換器に前記異なるアナログ出力の選択された1つを提供するように構成された差動ドライバをさらに備える、請求項1に記載の光学機器。
【請求項5】
前記光学機器は、前記変換システムの入力と出力の間に単一の変換経路を有する、請求項1に記載の光学機器。
【請求項6】
前記同期信号のタイプは、前記光学センサの動作を制御するために使用される外部同期信号である、請求項1に記載の光学機器。
【請求項7】
前記DC結合信号チャネルは、バッファ・ステージ及びゲイン/オフセット・ステージの少なくとも1つを含み、前記AC結合信号チャネルは、ゲイン・ステージ、クランプ・ステージ、フィルタ・ステージ、及びオフセット・ステージの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の光学機器。
【請求項8】
前記光学入力の収集のタイミングを合わせるために、前記光学センサにシャッタ・コマンドを送信するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の光学機器。
【請求項9】
前記動作モードに基づいて、前記アナログ・スイッチの動作を案内するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の光学機器。
【請求項10】
前記同期信号のタイプは、外部同期信号であり、光学機器は、前記光学センサが前記光学入力から前記電気信号を生成し、前記変換回路が前記外部同期信号を使用して前記入力インターフェイスからの前記電気信号を受信及び変更するように、タイミングを同期させるように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の光学機器。
【請求項11】
前記同期信号のタイプは、内部同期信号である、請求項1に記載の光学機器。
【請求項12】
前記光学センサから受信された少なくとも1つの冷却パラメータに基づいて、前記光学センサからの潜在的な破損された電気信号の警告を生成するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1に記載の光学機器。
【請求項13】
前記少なくとも1つの冷却パラメータは、
前記光学センサの冷却器の動作電圧、
前記光学センサの冷却器の動作電流、
前記光学センサの冷却器の動作温度、
前記光学センサの冷却システムの少なくとも1つのファンの動作パラメータ、
前記光学センサの動作温度、及び
前記光学センサの冷却器の制御ループからの動作フィードバック
からなるリストから選択されている、請求項12に記載の光学機器。
【請求項14】
光学入力をデジタル信号出力に変換する方法であって、
動作モードを受信するステップと、
光学センサへの光学入力を示す前記光学センサからの電気信号を入力インターフェイスにおいて受信するステップと、
前記入力インターフェイスから切換不能な接続部を介して、並列に結合されたDC結合信号チャネル及びAC結合信号チャネルにおいて前記電気信号を受信するステップと、
前記DC結合信号チャネル及び前記AC結合信号チャネルに従って前記入力インターフェイスから受信された前記電気信号を変更することによって、異なるアナログ出力を提供するステップであって、前記変更は、前記動作モードによって示される連続動作又は同期動作である、提供するステップと、
前記動作モードに基づいて前記異なるアナログ出力の1つを選択するステップと、
前記異なるアナログ出力の選択された1つをデジタル信号出力に変換するステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記変換するステップは、前記デジタル信号出力に変換するステップの前に、前記異なるアナログ出力の選択された1つからの差動出力信号を提供するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記動作モードはさらに、前記方法を制御するために使用する同期信号のタイプを示している、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記動作モードは同期動作を示し、前記方法は、外部同期信号を受信するステップと、前記入力インターフェイスにおいて受信された前記電気信号への前記光学入力の変換のタイミングを合わせるために、前記外部同期信号を利用するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記動作モードはさらに、前記方法を制御するために使用する同期信号のタイプを示している、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記光学センサの冷却パラメータを監視するステップと、前記電気信号が前記冷却パラメータの少なくとも1つに基づいて潜在的に破損されている警告を生成するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記動作モードは、処理チャンバ・コントローラから受信される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記光学センサは、前記光学入力の収集のタイミングを合わせるためのシャッタ・コマンドを受信する、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
分光計であって、
動作モードに基づいて前記分光計の動作を案内するように構成されたコントローラと、
光学入力を受信し、前記光学入力及び前記動作モードに基づいて電気信号を提供するように構成された光学センサと、
DC結合信号チャネルとAC結合信号チャネルとの並列の組み合わせに沿って連続動作又は同期動作の間に前記電気信号を変更することによって異なるアナログ出力を提供し、前記連続動作又は前記同期動作の何れかをまた示している前記動作モードに基づいてデジタル信号出力に変換するために前記異なるアナログ出力の1つを選択する変換システムであって、前記DC結合信号チャネル及び前記AC結合信号チャネルは、前記変換システムの入力インターフェイスから切換不能な接続部を介して前記電気信号を受信する、変換システムと
を備える分光計。
【請求項23】
前記動作モードはさらに、前記変更のための同期信号のタイプを示している、請求項22に記載の分光計。
【請求項24】
前記動作モードは、前記光学センサ及び前記変換システムの動作を制御するために、外部同期信号又は内部同期信号の何れかを利用することを示している、請求項23に記載の分光計。
【請求項25】
前記コントローラは、外部同期信号を受信すると、前記光学センサ及び前記変換システムの動作を制御するために、前記外部同期信号を自動的に利用する、請求項22に記載の分光計。
【請求項26】
前記コントローラはさらに、前記光学センサにシャッタ・コマンドを送信するように構成され、前記光学センサは、前記光学入力の収集のタイミングを合わせるために前記シャッタ・コマンドを利用するように構成されている、請求項22に記載の分光計。
【請求項27】
前記光学センサは冷却システムを備え、前記コントローラはさらに、前記電気信号が前記冷却システムの監視に基づいて潜在的に破損されることを示す警告を生成するように構成されている、請求項22に記載の分光計。
【請求項28】
前記DC結合信号チャネルは、バッファ・ステージ及びゲイン/オフセット・ステージの少なくとも1つを含み、前記AC結合信号チャネルは、ゲイン・ステージ、クランプ・ステージ、フィルタ・ステージ、及びオフセット・ステージの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の分光計。
【請求項29】
前記コントローラは、プログラム可能集積回路である、請求項22に記載の分光計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、「SIGNAL CONVERSION SYSTEM FOR OPTICAL SENSORS」という名称の、2018年5月3日にLarry Arolos Bullockによって出願された米国仮特許出願第62/666,433号の利益を主張する。
【0002】
本開示は概して、光学分光システムに関し、より詳細には、分光計及びその中で使用される光学センサ用のアナログ・デジタル信号変換システムのダイナミックレンジ及びノイズ性能の改良に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体プロセスの光学監視は、プロセス制御のよく確立された方法である。より迅速なプロセス、より小さい機構寸法、及びより複雑な構造に対する半導体製造の一定の進歩は、光学監視技術に大きな需要がある。例えば、いくつかの原子層の変化が重大である極めて薄い層上のはるかに迅速なエッチ速度を正確に監視するためには、より高いデータ・サンプリング速度(例えば、毎秒で収集される光学信号測定又はスペクトル)が必要である。光学信号の極めて小さな変化の検出をサポートするために、多くの場合では、より大きい信号対雑音比が必要である。これらの要求の全ては、半導体プロセスに対する光学監視システムの性能の進歩を促進させることを求める。分光計内で、光学センサ、しばしば面積電荷結合素子(CCD:charge−coupled−device)又は線単列デバイス、及びその関連変換回路は、データ・サンプリング速度、光学/電気帯域幅、光学/電気信号検出感度、光学/電気信号対雑音比性能などを判断するための重要な要素である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、開示は光学機器を提供する。一実施例では、光学機器は、(1)光学入力を受け、光学入力を電気信号に変換するように構成された光学センサと、(2)電気信号を受け、アナログ出力に変更するように構成された複数の並列信号チャネルを有する変換回路、光学機器の動作モードによって並列信号チャネルの1つを選択するように構成されたアナログ・スイッチ、及び選択した並列信号チャネルからのアナログ出力を受け、デジタル信号出力に変換するように構成されたアナログ・デジタル変換器を有する変換システムとを備える。
【0005】
別の態様では、開示は光学入力をデジタル信号出力に変換する方法を提供する。一実施例では、方法は、(1)動作モードを受けるステップと、(2)光学センサへの光学入力を示す光学センサからの電気信号を受けるステップと、(3)電気信号を変更するために動作モードに基づいて少なくとも2つの並列信号チャネルの1つを選択するステップと、(4)変更した電気信号をデジタル信号出力に変換するステップとを含む。
【0006】
さらに別の態様では、開示は分光計を提供する。一実施例では、分光計は、(1)動作モードに基づき分光計の動作を案内するように構成されたコントローラと、(2)光学入力を受け、光学入力及び動作モードに基づき電気信号を提供するように構成された光学センサと、(3)並列信号チャネルに沿って電気信号を変更し、動作モードに基づきデジタル信号出力として変更した電気信号の1つを選択する変換システムとを備える。
【0007】
新規であると考えられる開示の特性が、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかし、開示自体は、使用モード、別の目的及びその利点と共に、添付の図面と共に読むと、例示的実施例の以下の詳細な説明を参照してよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】開示の原理による、光学センサ用変換システムを有する光学機器を含む光学システムのブロック図である。
【
図1B】開示の原理によって構成された冷却システムを備えた光学センサの実例のブロック図である。
【
図1C】開示の原理によって構成された分光計コントローラの実例のブロック図である。
【
図2】開示の原理による、光学センサ用変換システムの詳細のブロック図である。
【
図3A】開示の原理による、光学センサからの信号、及び変換システムによって提供される関連サンプリングの単純化された時系列表示である。
【
図3B】開示の原理による、光学センサからの信号、及び変換システムによって提供される関連サンプリングの単純化された時系列表示である。
【
図4】開示の原理による、光学センサからの光学データを処理する方法のフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、その一部を形成し、開示の特性を実施することができる特定の実施例が例として示されている、添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が開示の特性を実施することを可能にするように十分詳細に記載され、他の実施例も可能であることを理解されたい。また、構造的、手順的及びシステム的変化を、開示の精神及び範囲から逸脱することなく行なうことができることも理解されるであろう。したがって、以下の説明は、限定的意味で解釈するものではない。説明を簡単にするため、添付の図面に示された同様の機構は、同様の参照番号で示され、図面の代替実施例で示されるような同様の機構は、同様の参照番号で示される。開示の他の特性は、添付の図面から、及び以下の詳細な説明から明らかになる。図示を簡単にする目的で、図面の特定の要素は同一の縮尺比で描かれていないこともあることに留意されたい。
【0010】
上に記したように、改良したサンプリング及び改良した信号対雑音比は、いくつかの原子層の変化が重大である極めて薄い層上のはるかに迅速なエッチ速度を正確に監視し、光学信号における極めて小さな変化の検出をサポートするために重要である。これらの検討事項は、タイミングに加えて、光学センサによって提供される電気信号を処理するために重要である。加えて、光学センサ自体の適切な動作は、電気信号が受信した光学データを正確に反映することを保証するために重要である。これらの要件の全ては、半導体プロセスに対する光学監視システムの性能の進化を促進することを求める。
【0011】
例えば、光学センサは、光学センサがその温度範囲外で動作する場合に、電気信号に追加のノイズを加えることができる。ノイズが増加すると、信号対雑音比が減少し、電気信号内に存在するデータを損なう可能性がある。これは、幅広いダイナミックレンジ上でデータを処理する場合により重要である。いくつかの例では、光学センサの熱変動は、光源からの監視された半導体プロセス信号にさらに似ている信号の背景雑音の変調を作り出すことができる。このように、光学センサを含む分光計の処理精度に関わらず、処理されている電気信号が損なわれる可能性がある。したがって、光学監視は誤った結果を提供する可能性がある。
【0012】
光学センサが適切に動作することを保証することに加えて、処理に使用されるタイミングも重要である。これは、光源が変調又はパルス化プラズマを利用する場合に特に当てはまる。これらの応用例では、変調又はパルス化プラズマの変調は、通常の変調サイクルであるものと異常であるものを区別するために、電気信号の処理と同期すべきである。同期はまた、エイリアシング及び他の時間スルーイング問題の悪影響を制限する。
【0013】
したがって、開示は、分光計によって処理されるデータが、光学的に監視されているプロセスを正確に反映する高品質であることを保証するために、分光計の動作を良くする。このように、開示は、データを破損させることにつながる可能性がある異常なもの又は傾向を知らせるために、光学センサの動作周りで重要なパラメータを監視することによって、ユーザ、制御コンピュータ、又は半導体処理ツールなどの追加のシステムに改善フィードバックを提供する。加えて、開示は、分光計処理で光学信号源のプラズマの変調間のハードウェア同期を利用する動作モードを提供する。
【0014】
光学センサの動作に関し、開示は、光学センサ用冷却システムが動作限界に近づいていることを判断する熱監視を行なう。光学センサの熱環境がデータを破損させる可能性があるものであることを示す警告が、その後運ばれ得る。例えば、光学センサが熱くなり過ぎて動作する、又はその動作温度が不安定である可能性がある。データが破損される、又は間もなく破損される可能性があることを示すように、分光計によって提供されたデータ・ストリーム内のフィードバックとして警告を含めることができる。このように、光学監視システムのオペレータ、コントローラ、又は他の相互作用システムを、冷却システムの潜在的な負の状態及びデータ劣化に気が付かせることができる。
【0015】
ハードウェア同期に関し、開示は、光学信号から電気信号を生成するために光学センサの動作、及び電気信号の処理が、光学信号を生成させるために使用される変調に同期される実例を提供する。したがって、開示は外部同期信号に基づいてタイミングを利用する制御システムを提供する。外部同期信号を利用し、それに応じて分光計及び光学センサの動作を調節するために同期モードを選択することができる。一実例では、分光計コントローラは、同期用のプラズマ変調ドライブに固定された相にある低待ち時間デジタル外部同期信号を受ける。分光計コントローラは、フィールド・プログラマブル集積回路(FPGA:field programmable integrated circuit)として実行することができる、又はデジタル信号を受け、さらに信号に作用するようにFPGAを備えることができる。
【0016】
次に図面を参照すると、
図1Aは、システム出力190を作り出すために、光学機器150に光を提供する光学信号源105を備えた光学システム100のブロック図を示している。光学機器150は、少なくとも、光学センサ155、変換システム160、及びコントローラ170を備えている。光学システム100は、半導体ウェーハ処理機器で使用することができる。このように、光学信号源105は処理チャンバであり、光学機器150は、例えば、処理ツール内のプラズマ又は非プラズマプロセスの状態を監視及び/又は制御するために使用される分光計である可能性がある。いくつかの実施例では、光学機器150は、テキサス州、カロルトンのVerity Instrument,Incによって製造されたSD1024Gモデル分光計などの従来の分光計からの機構を備えることができる。光学システム100はまた、例えば、プロセス又はシステムを監視又は制御するように、光学入力を処理するために使用される他のタイプの光学信号源及び光学機器で使用することもできる。光学システム100は、空間画像化用カメラ、干渉計、光度計、偏光センサ、汎用光測定などで利用することができる。
【0017】
光学信号源105からの連続又は非連続光は、光ファイバー・ケーブル110又は他の光学構成部品を介して光学機器150に案内することができる。いくつかの実例では、光源105からの光は変調光である。光学機器150に到達すると、光学信号源105からの光は、光学センサ155による検出及び変換のために光学入力として受けられる。
【0018】
光学センサ155は、光を電気信号に変換させる複数の動的画素を含む。光学センサ155内の電気信号は、光学センサ155の正確な構成による、電荷信号、電流信号及び/又は電圧信号のいずれであってもよい。普通、光ファイバー・ケーブル上で受信される光学入力は最初に電荷に変換され、電荷はその後、電圧に変換され、したがって出力増幅器を介して光学センサ155の外部の装置で利用可能にされる。光学センサ155は、例えば、面積CCDなどのCCDであってもよい。いくつかの実施例では、光学センサ155は、日本の浜松ホトニクス株式会社によるS7031シリーズCCD面積センサであってもよい。
【0019】
光学センサ155の温度を動作温度限界内に保持し、集めた信号に影響を与える可能性がある熱雑音を少なくするように構成された冷却システム157が、光学センサ155に関連している。光学センサの動作温度限界は典型的には、光学センサの製造者によって確立されたパラメータである。冷却システム157はまた、光学センサ155の動作パラメータを監視し、動作パラメータに関し、コネクタ159を介しコントローラ170にフィードバックを提供する。一実例では、冷却システム157は、光学センサ155に取り付けられた熱電冷却器(TEC)を備える。冷却システム157はまた、光学センサ155を冷却することを助けるファンを備えることができる。一実例では、光学センサ155及び冷却システム157の少なくとも一部は、単一の回路基板上に共に配置されている。
図1Bは、光学センサ155などの、光学センサで利用することができる冷却システムの実例を提供する。
【0020】
変換システム160は、入力インターフェイス162で光学センサ155から電気信号を受け、単一の変換経路164に沿って、デジタル信号(すなわち、デジタル出力)に変換し、出力インターフェイス166でデジタル出力を提供するように構成されている。変換、変更、又は処理は、変換経路164の回路要素を変換する機能による。電気信号の変更は、AC/DC参照、締め付け、差動電圧構成、ゲイン提供、及びオフセット提供を含むことができる。変換システム160の変換経路164は、変換回路要素、アナログ・スイッチ、差動ドライバ、及びアナログ/デジタル変換器を備えた変換回路を含むことができる。変換回路要素は、並列信号チャネルにあってもよい。変換回路要素の実例は、
図2の変換システムに関して詳細に論じる。入力インターフェイス162及び出力インターフェイス166は、信号を通信するように構成された従来のインターフェイスであってもよい。
【0021】
コントローラ170は、光学センサ155及び変換システム160の動作を案内するように構成される。コントローラ170は、例えば、FPGA、埋め込み型プロセッサ、又はその組合せであってもよい。コントローラ170は、コネクタ159を介して指示又は制御信号を光学センサ155及び変換システム160に送ることができる。コントローラ170は、例えば、連続独立動作モード又は同期動作モードで動作することができる。連続動作モードでは、コントローラ170は、内部同期信号を判断するためにソフトウェアを利用することができる。この動作モードでは、光源105からの光は、連続出射光源であってもよい。同期動作モードでは、コントローラ170は、光学センサ155及び変換システム160の動作を制御するために使用される外部同期信号を受信する。同期動作モードでは、光源105から受けた光は変調光であり、外部同期信号は光又は他の変調を作り出した変調に対応する。外部同期信号では、光学センサ155及び変換システム160の動作は、外部同期信号の数ナノ秒内など、外部同期信号と相係止することができる。コントローラ170は、光学センサ155及び変換システム160の動作を案内するために状態機械を使用することができる。動作モードによって、内部又は外部同期信号は、状態機械を駆動するために使用される。同期動作モードでは、コントローラ170は、同期モードで動作する場合に、光学センサ155のシャッタを開閉するために、コネクタ159上で光学センサ155にシャッタ制御信号を送ることができる。
【0022】
コントローラ170は、動作モード、設定、及び制御信号を含む動作信号を送受信する通信インターフェイス172を備えることができる。通信インターフェイス172は、回路基板上で信号を通信するために使用されるインターフェイスなどの従来のインターフェイスであってもよい。いくつかの実施例では、動作信号は、光学信号源105のプラズマを発火するために使用される変調信号に対応する外部同期信号を含むことができる。
【0023】
図1Aの破線及び実線で示すように、変換システム160からのデジタル出力は、別の処理、記憶などのためにコントローラ170に案内することができる、及び/又は接続されたシステムによる別の使用のためのシステム出力190として外部に直接的/間接的に運ぶことができる。いくつかの実例では、コントローラ170は、システム出力190の一部として冷却システム157からの冷却パラメータに基づいて熱警告を加える。
【0024】
図1Bは、開示の原理による光学センサで利用される冷却システム120の実例のブロック図を示す。冷却システム120は、光学センサに対する1つ又は複数の潜在的な負の状態の表示を提供するために、光学センサに近接した熱環境、及び分光計などの境界システム内の他の位置を監視する。冷却システム120によって得られる冷却パラメータ・データはその後、潜在的な負の状態及びデータ破損の警告を行なうために使用することができる。
【0025】
冷却システム120は、回路基板、センサ基板121及び冷却基板130上で少なくとも部分的に実施することができる。センサ基板121は、冷却パラメータ・センサ122、及び光学センサ129に熱結合された冷却器128を備えている。パラメータ・センサ122は、電圧センサ123、電流センサ124、温度センサ125、及び制御ループ・センサ126を備えている。冷却基板130は、ファン131、132及び133に対するインターフェイスと、温度環境センサ135と、インターフェイス137とを備えている。冷却システム120は、図示も説明もされていない追加の構成部品を備えることができる。例えば、冷却システム120は、様々な構成部品を接続する電源及び回路を備えることができる。
【0026】
電圧センサ123、電流センサ124、及び温度センサ125は、冷却器128の電圧、電流、及び温度を監視する。制御ループ・センサ126は、冷却器128の動作フィードバック制御ループを監視する。パラメータ・センサ122は、冷却器128の動作パラメータが動作限界に近づいているかどうかを感知する。したがって、パラメータ・センサ122は、冷却器128が適切に、限界的に、又は不正確に動作しているかどうかを感知することができる。パラメータ・センサ122からの感知された冷却パラメータ・データは、インターフェイス137を介して光学機器のコントローラに伝達される。光学機器は分光器であってもよく、コントローラは、例えば、
図1のコントローラ170であってもよい。したがって、インターフェイス137は、コネクタ159を介してコントローラ170と通信することができる。
【0027】
冷却器128は、光学センサ129に熱結合され、光学センサ129からの熱を取り除くように構成されている。冷却器128はTECであってもよい。潜在的な冷却問題の感知に加えて、パラメータ・センサ122はまた、冷却器128の動作を維持するように制御ループと協働する。
【0028】
冷却器128に加えて、冷却システム120は、光学センサ129の環境を冷却するファンを備えている。温度環境センサ135は、光学センサ129に近接する温度を提供するために使用される。ファン131、132、133の動作パラメータ、及び温度環境センサ135からの温度はまた、冷却パラメータの一部として、インターフェイスを介しコントローラに提供される。コントローラは、潜在的問題及びデータ破損を判断するために、個別に又は集合的に、冷却パラメータを利用することができる。冷却パラメータで、オペレータは、光学センサ129の熱環境をより十分知らされる。
【0029】
図1Cは、開示の原理によって構成された光学機器のコントローラ140の実例のブロック図を示す。コントローラ140は、例えば、
図1Aのコントローラ170であってもよく、光学機器は分光計であってもよい。コントローラ140、又はその少なくとも一部は、FPGA及び/又はマイクロコントローラ内で実施することができる。コントローラ140は、分配コントローラであってもよい。いくつかの実例では、コントローラのロジックは、FPGA、マイクロコントローラ、又はこのような演算デバイスの組合せなどの異なるデバイスに分配される。いくつかの応用例では、ロジックの部分は、冷却基板130などの冷却システムのコントローラに分配することができる。コントローラ140は、熱モニタ142、状態機械144、通信インターフェイス146、及びモード・セレクタ148を備えている。
【0030】
熱モニタ142は、光学センサからの可能性のあるデータ破損を判断するように構成されている。一実例では、熱モニタ142は、光学センサの冷却システムから冷却パラメータを受け、それに基づき、可能性のあるデータ破損を判断する。冷却パラメータから、熱モニタ142は、光学センサが破損したデータを与える可能性がある状態に近いことを判断することができる。熱モニタ142は、冷却パラメータを個別に又は集合的に利用して、冷却システムがデータ破損を防ぐように光学センサを十分に冷却しているかどうかを判断することができる。熱モニタ142は、潜在的問題を示すために、個別の冷却パラメータを動作限界と比較することができる。例えば、冷却器の動作温度を、温度制御ループのダイナミクスに基づき温度動作限界より下の所定数の度である冷却器に対する温度閾値と比較することができる。制御ループは、比例微積分(PID)制御ループであってもよい。したがって、熱モータ142は、光学センサからのデータを破損させる可能性がある潜在的問題の可能性を判断することができる。熱モニタ142はまた、冷却パラメータの一部又は全てを重視し、そこから可能性があるデータ破損を判断することができる。例えば、冷却器の温度を重視することができ、ファン速度も重視することができ、さらに環境の温度も重視することができる。これらの重視された冷却パラメータはその後、光学センサが破損したデータを提供する可能性がある状態に近いかどうかを判断するために、所定の値と比較されるスコアを作り出すために追加することができる。熱モニタ142はまた、破損したデータ状態に近い場合を示すように、冷却のフィードバック制御ループの誤電圧を監視することができる。設定点は、破損したデータ状態への近接を示すことを確立することができる。設定点は、知られている最大誤電圧及び履歴データに基づいて確立することができる。熱モニタ142は、破損したデータ状態への近接を示すように、システム出力を介してフィードバックを提供することができる。フィードバックを視覚的警告のためにディスプレイに提供することができる、又はソフトウェア表示を制御ソフトウェアに提供することができる。フィードバックのタイプは、冷却パラメータによって変化することができる。例えば、複数の温度センサが高温を示す、複数のファンが故障している、又は制御ループが飽和している場合、フィードバックはできるだけ早く行動を必要とする切迫状態を示す可能性がある。このような問題では、別の監視プロセスは、システムが検査されるまで開始することが防止される可能性がある。
【0031】
状態機械144は、光学センサの動作及び光学機器の変換システムを制御する。同期信号は、状態機械を開始するために使用される。同期信号は、外部同期信号又は内部同期信号であってもよい。通信インターフェイス146は、外部同期信号を受けることができる。通信インターフェイス146は、光源の変調システムから直接、又は変調システムによって変調されている場合に光源を監視することにより外部同期信号を判断する光学センサから外部同期信号を受けることができる。外部同期信号を使用している場合、コントローラ140は同期モードにある。モード・セレクタ148は、同期モードを示す入力を受けることができる。一実例では、ユーザ、又は処理ツールなどの外部コントローラは同期モード信号を提供することができる。別の実施例では、コントローラ140は、外部同期信号を受ける場合に、同期モードを自動的に入力することができる。同期モードでは、光学センサ・タイミング及び変換システム・タイミングは、外部同期信号に対するスレーブとして働いている。
【0032】
状態機械からの制御コマンドに加えて、コントローラ140はまた、同期モードの場合に、光学センサにシャッタ・コマンドを送信することができる。これにより、電荷レベルが適当になるまで複数のサイクル上で同時に収集されることによって、極めて短い集積時間(ミリ秒からミクロ秒)を読み取ることを可能にする電子シャッタ・システムが提供される。
【0033】
ダイナミックレンジ、信号対雑音比、データ速度及び他の特徴を最大化することは、光学機器150などの光学機器の利用に対する重要な改良である。分光計及び集積光学センサなどの従来の光学機器の制限に対処するために、デジタイザを含む特定の回路要素からの制限を鑑みて、信号変換の新しい構成が必要である。その目的のため、
図2は、改良型の変換システム、開示の原理により構成された変換システム200の詳細のブロック図を示す。
【0034】
変換システム200は、光学センサからの電気信号を処理し、幅広いダイナミックレンジ、高信号対雑音比及び高速動作の組合せを提供する。変換システム200は、有利には光学センサからの信号電圧に対する信号アナログ・デジタル変換の拡張機能を提供する並列信号チャネルを有する単一の処理又は変換経路を備えている。変換システム200は、入力インターフェイス201、2つの並列信号チャネル210、220を有する変換回路205、及び出力インターフェイス299を備えている。
【0035】
信号チャネル210は、DC結合チャネルであってもよく、バッファ・ステージ225及びゲイン/オフセット・ステージ230を備えていてもよい。
図3Bに示すように光学センサからの電気信号は、DC結合チャネル210に案内することができ、そこで最初にバッファ・ステージ225に入る。バッファ・ステージ225は、電流増幅及び入出力抵抗変換のためのエミッタ・フォロワとして構成されるNPNトランジスタ又は他の回路要素を備えることができる。バッファ・ステージ225でのインピーダンス・バッファリング後、電気信号は一体化されたゲイン/オフセット・ステージ230まで通過し、ここで、信号は増幅される、そうでなければ、その後のA/D変換器290で最も適応されるように調節することができる。ゲイン/オフセット・ステージ230は、動作増幅器、又は調節可能なオフセット及びゲインで構成された別個の構成要素の使用によって影響を受ける可能性がある。
【0036】
信号チャネル220は、DC回復技術用に構成されたAC結合チャネルであってもよく、ゲイン・ステージ240、クランプ・ステージ250、フィルタ・ステージ260及びオフセット・ステージ270を備えることができる。ゲイン・ステージ240は、調節可能なゲインで構成された動作増幅器の使用によって影響を受ける可能性がある。クランプ・ステージ250は、スイッチ要素を備えることができ、光学センサ信号の波長の間の特定の時間で参照信号レベルを設定するように「クランプ」信号を受けることができる。フィルタ・ステージ260は、デジタル化された場合に波長エイリアシングを防ぐための動的低パス・フィルタである。その後のオフセット・ステージ270は、調節可能なオフセットでの増幅器の使用によって影響を受ける可能性がある。
【0037】
並列信号チャネル210、220からの出力は、選択のためにアナログ・スイッチ280に案内することができる。
図2に示すように、アナログ・スイッチ280は有利には、並列信号チャネル210、220の後に直列に位置決めされ、ここで、電気信号が両方の信号チャネル210、220に提供されるが、変更された電気信号の1つだけが選択される。その後、選択された信号が、差動ドライバ285によって受信及び処理され、その後、デジタル信号への変換のために、アナログ・デジタル変換器290によって受信される。デジタル信号出力を増幅させることができる。アナログ・スイッチ280は、例えば、Analog Devicesによって提供されるADG1419と同様であってもよい。差動ドライバ285は、例えば、Analog Devicesによって提供されるADA4922と同様であってもよい。
【0038】
変換システム200の特定の利点を以下に要約することができる。信号チャネル210は、完全差動DC信号経路に極めて限定された数の回路要素を提供する。これにより、全体的に低雑音の信号経路を提供し、信号チャネル220に起こるDC回復により生じる可能性がある特定の雑音及び信号オフセット源が取り除かれる。このような信号チャネルは有利には、より遅いクロック速度を有するCCDなどのより遅いクロック速度を有する光学センサに対して使用され、各「サンプル」は信号の参照及びデータ部分の測定の関連する対を含んでいる。信号チャネル220は、信号チャネル210より大きい雑音及びオフセット署名を有するが、クランプ・ステージ250が参照信号レベルの独立した測定に対する需要をネゲートするので、信号チャネル210より、例えば2から10倍速く動作することができる。簡単に記載した信号チャネル120は低雑音に対するものであり、信号チャネル220は高速動作に対するものである。
【0039】
CCDなどの光学センサからの出力が共通して反転され、負の電力であり、2つの信号チャネル210、220の複数のステージは、最も便利には、スイッチ280、ドライバ285及びデジタイザ290で同じ極性であるので、特定の反転及び非反転幾何形状の構成は便利である。変換回路205の並列信号チャネルのそれぞれに対する共通の差動ドライブ285及びデジタル変換器290の使用はさらに、回路の複雑性及び費用を小さくする。光学センサのクロッキングと合わせてデジタル変換器290の制御により、信号チャネル210及び220のいずれかにオーバーサンプリングを行ない、さらに、データ速度全体を犠牲にして雑音を少なくすることができる。
【0040】
サンプル・タイミング、クランプ信号化、チャネル切換及びデジタイザ制御、及び変換システム200の他の低レベル機能と、関連する光学センサ及び光学機器の他の機能は、
図1Aのコントローラ170などの要素によって制御することができる。信号チャネルの選択は、変換システム200に関連する光学システムの動作モードに基づくことができる。選択又は設定は、監視されている動作又はプロセスが開始される前に行なうことができる。プロセス・エンジニアは、例えば、プロセス・チャンバで監視されているプロセスの動作又はタイプの分析に基づき、変換システム200に対して利用する最良の信号チャネルを判断することができる。プロセス又は動作が変化すると、信号チャネルの選択も変わる可能性がある。いくつかの実施例では、コントローラによって選択を自動的に行なうことができる。
【0041】
図3A及び3Bは、変換システムの様々な信号チャネルに対するサンプリング、クランピング及びデジタル化の組合せを示す、CCDなどの光学センサからの電気信号の単純化した時系列表示である。時系列表示は、
図1Cの状態機械144などの状態機械によって駆動させることができる。外部又は内部同期信号を使用することができる。
図3Aは特に、信号チャネル220に関し、ここで、データ・クロック信号により電気信号のデータ部の実際のサンプリング及びデジタル化の後に参照信号レベルを設定するように、クランプ・スイッチ、例えばクランプ250の状態を変化させる参照クロック信号に従って、参照クランプ信号がタイミング化される。
【0042】
図3Bは特に、信号チャネル210に関し、ここで、参照信号レベルは、データ・クロック信号によりデータ信号レベルのサンプリング及びデジタル化の後に参照クロック信号に従ってサンプリング及びデジタル化される。両方の信号チャネル210、220では、デジタル化の後の信号平均化を認めるように、複数のサンプリングを適当な時で(
図3Bに示す複数の矢印で示されるように)行なうことができる。サンプリング及びデジタル化の最終クロック速度は、光学センサ又はデジタイザ内の制限によって設定することができることを理解されたい。
図3A及び3Bの両方に対する参照クロック信号及びデータ・クロック信号は、コントローラ170などのコントローラからであってもよい。
図3A及び3Bでは、サンプリングは、図示されない別のクロックによって制御された、
図3Bに示した追加のサンプリングでデータ・クロックの立ち上がりエッジで行なわれる。サンプリングはまた、データ・クロックのリーディング・エッジで行なうことができる。
【0043】
図3A及び
図3Bの両方に対して得られた出力は、A/D変換器290からのデジタル出力などのデジタル信号である。デジタル信号出力は、光学センサの画素に対する電圧値を示す。例えば、デジタル信号出力はゼロから2
18であって、0から5ボルトの範囲内の電圧を示すことができる。
【0044】
図4は、光学センサからの光学信号データを変換するプロセス400の実例のフロー・チャートである。プロセス400は準備ステップ410で始まり、ここで、あらゆる初期パラメータを判断することができる。次にステップ420では、選択は、変換システムの所定の動作モード、及び関連する光学機器及び光学センサで行なうことができる。動作モードは、例えば、回路選択を変換する設定及びパラメータ、オーバーサンプル・カウント及びタイミング、光学信号集積時間、ダイナミックレンジを最大化するデジタル計画、同期モードなどを含むことができる。動作モードは、光学機器のオペレータによって選択することができる。動作モードは、外部システム内で規定し、例えば、
図1Aのコントローラ170によって、所要の構成要素に運ぶことができる。例えば、ツール・コントローラ又はチャンバ・コントローラなどの、プロセスの外部コントローラは、動作モードを提供することができる。動作モードは、プロセスのタイプに基づくことができる。動作モードは、いくつかの実施例では、自動的に提供され得る。例えば、外部コントローラは、エンジニア又は技術者などのユーザによるプロンプトなしで、光学機器のコントローラに動作モードを送ることができる。動作モードは、光学機器のコントローラによって受けることができ、ここで、コントローラは、受信した動作モードに基づき、光学機器の動作を案内するように構成されている。
【0045】
次にステップ430では、チャネル選択スイッチは、
図2で論じられた信号チャネルのいずれかを選択するように設定することができる。選択は、受信した動作モードに基づくことができる。光学機器のコントローラは、チャネル選択スイッチの動作を案内することができる。ステップ440では、信号の参照部分は、1回又は複数回、サンプリング及びデジタル化することができる。このステップは普通、
図2の信号チャネル210のみに適用されるが、代替トポロジーが使用される場合に、信号チャネル220に適用させることができる。ステップ450では、信号のデータ部分は、1回又は複数回、サンプリング及びデジタル化することができる。このステップは普通、
図2の信号チャネル210、220両方に適用される。
【0046】
次にステップ460では、デジタル化されたサンプルは、ステップ410、420で規定された動作モードによって処理することができる。普通、デジタル化された参照及びデータ信号値間の差を算出することができ、オーバーサンプリングが行なわれた場合、信号値差の判断前に平均化も行なうことができる。プロセス400はステップ470で終わり、ここで、算出値は、別の使用のために他の接続システムに記憶及び/又は運ばれてもよい。
【0047】
本明細書の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された信号変換システム及びサブシステムで変更を行なうことができる。例えば、特定の実例が、分光計及び半導体ウェーハ処理機器に関連して記載されているが、本明細書に記載された信号変換システムを、空間画像化用カメラ、干渉器、光度計、偏光センサなどの他のタイプの光学機器で、及び汎用光測定のために使用することができることを理解されたい。
【0048】
本明細書に記載された実施例は、開示の原理及び実用的応用例を最も説明し、考えられる特定の使用に適するような様々な変更を含む様々な実施例に対する開示を他の当業者が理解することを可能にするために選択された。本明細書に記載された特定の実施例は、本開示の範囲を制限することを意図するものではなく、開示の範囲及び意図を逸脱することなく様々な変更及び環境で実施することができる。したがって、本開示は図示した実施例に限定することを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特性に一致する最も広い範囲に従うものである。
【0049】
図面のフロー・チャート及びブロック図は、本開示の様々な実施例による、システム、方法及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。これに関し、フロー・チャート又はブロック図における各ブロックは、(1つ又は複数の)特定の論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能指示を含む、コードのモジュール、セグメント、又は部分を示すことができる。また、いくつかの代替実施では、ブロックに記した機能は図に記した順序とは異なって起こってもよいことに留意すべきである。例えば、連続して示された2ブロックは実際、実質的に同時に実行することができる、又はブロックは時々、関連する機能によって、逆順で実行することができる。また、ブロック図及び/又はフロー・チャート図の各ブロック、及びブロック図及び/又はフロー・チャート図におけるブロックの組合せは、専用ハードウェア及びコンピュータ指示の特定の機能又は動作、又は組合せを行なう、専用ハードウェア・ベース・システムによって実施することができることに留意されたい。
【0050】
当業者に理解されるように、その開示又は部分は、方法、システム、又はコンピュータ・プログラム製品として実現することができる。したがって、本明細書で開示された機構、又は機構の少なくとも一部は、全体的なハードウェア実施例、全体的なソフトウェア実施例(ファームウェア、常駐ソフトウェア、ミクロ・コードなどを含む)、又は本明細書で全体的に全て「回路」又は「モジュール」と参照される、ソフトウェア及びハードウェア態様を組み合わせた実施例の形を取ることができる。開示された機構のいくつかは、デジタル・データ・プロセッサ又はコンピュータなどの様々なプロセッサ内で実施する、又はこれによって行なうことができ、コンピュータは、方法のステップの1つ又は複数を行なうように、プログラミングされる、又は一連のソフトウェア指示の実行可能プログラムを記憶する。したがって、本明細書に開示された機構、又は機構の少なくとも一部は、媒体で実施されるコンピュータ使用可能プログラム・コードを有する持続性コンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータ・プログラム製品の形を取ることができる。このようなプログラムのソフトウェア指示は、アルゴリズムを示すことができ、持続性デジタル・データ記憶媒体上に機械実行可能な形で符号化することができる。
【0051】
したがって、開示された実例の部分は、本明細書に記載された装置、デバイスの一部を実現する、又は方法のステップを行なう様々なコンピュータ実施動作を行なうために、上にプログラム・コードを有する持続性コンピュータ読取可能媒体を備えたコンピュータ記憶製品に関することがある。本明細書で使用される持続性とは、一時的な伝搬信号を除いた、全てのコンピュータ読取可能媒体のことを言う。持続的コンピュータ読取可能媒体の実例としては、これに限らないが、ハード・ディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク及び磁気テープなどの磁気媒体、CD−ROMディスクなどの光学媒体、フロプティカル・ディスクなどの磁気光学媒体、及びROM及びRAMデバイスなどのプログラム・コードを記憶及び実行するように特に構成されたハードウェア・デバイスが挙げられる。プログラム・コードの実例としては、コンパイラによって生成されるような機械コード、及びインタープリタを使用してコンピュータによって実行することができるより高いレベルのコードを含むファイルの両方が挙げられる。
【0052】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明するための目的であり、開示の限定を意図するものではない。本明細書で使用するように、単数形、「a」、「an」及び「the」は、そうでないと内容的に明らかに示されていない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、本明細書で使用される場合に「備える」及び/又は「備えている」という用語は、記した機構、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ又は複数の他の機構、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を除外するものではないことを理解されたい。
【0053】
本応用例に関連する当業者は、他の及び別の追加、削除、代替及び変更を、記載した実施例に行なうことができることが分かるだろう。
【0054】
本明細書で開示された装置、システム、及び方法を含む、開示の様々な態様を主張することができる。本明細書に開示された態様は以下の通りである。
A.光学機器は、(1)光学入力を受け、光学入力を電気信号に変換するように構成された光学センサと、(2)電気信号を受け、アナログ出力に変更するように構成された複数の並列信号チャネルを有する変換回路、光学機器の動作モードによって並列信号チャネルの1つを選択するように構成されたアナログ・スイッチ、及び選択した並列信号チャネルからのアナログ出力を受け、デジタル信号出力に変換するように構成されたアナログ・デジタル変換器を有する変換システムとを備える。
B.光学入力をデジタル信号出力に変換する方法は、(1)動作モードを受けるステップと、(2)光学センサへの光学入力を示す光学センサからの電気信号を受けるステップと、(3)電気信号を変更するために動作モードに基づいて少なくとも2つの並列信号チャネルの1つを選択するステップと、(4)変更した電気信号をデジタル信号出力に変換するステップとを含む。
C.分光計は、(1)動作モードに基づき分光計の動作を案内するように構成されたコントローラと、(2)光学入力を受け、光学入力及び動作モードに基づき電気信号を提供するように構成された光学センサと、(3)並列信号チャネルに沿って電気信号を変更し、動作モードに基づきデジタル信号出力として変更した電気信号の1つを選択する変換システムとを備える。
【0055】
態様A、B、及びCはそれぞれ、以下の追加の要素の1つ又は複数を組み合わせて有することができる:
要素1:変換回路、アナログ・スイッチ、及びアナログ・デジタル変換器が直列に結合されている。要素2:アナログ・スイッチは、アナログ・デジタル変換器と変換回路の間に直列に結合されている。要素3:選択したアナログ出力を受信及び変更し、アナログ・デジタル変換器に選択したアナログ出力を提供するように構成された差動ドライバをさらに備えている。要素4:光学機器は、変換システムの入力と出力の間に単一の変換経路を有する。要素5:変換回路は少なくとも2つの並列信号チャネルを備えている。要素6:少なくとも2つの並列信号チャネルは、DC結合チャネル及びAC結合チャネルを含んでいる。要素7:光学入力の収集のタイミングを合わせるために、光学センサにシャッタ・コマンドを送るように構成されたコントローラをさらに備えている。要素8:動作モードに基づいて、アナログ・スイッチの動作を案内するように構成されたコントローラをさらに備えている。要素9:光学センサが光学信号から電気信号を生成し、変換回路が電気信号を受信及び変更するように、動作モードに基づいて、タイミングを同期させるように構成されたコントローラをさらに備えている。要素10:タイミングは、外部同期信号に基づいている。要素11:光学センサから受信した少なくとも1つの冷却パラメータに基づいて、光学センサから潜在的な破損された電気信号の警告を生成するように構成されたコントローラをさらに備えている。要素12:少なくとも1つの冷却パラメータは、光学センサの冷却器の動作電圧、光学センサの冷却器の動作電流、光学センサの冷却器の動作温度、光学センサの冷却システムの少なくとも1つのファンの動作パラメータ、光学センサの動作温度、及び光学センサの冷却器の制御ループからの動作フィードバックからなるリストから選択される。要素13:変換は、デジタル信号出力への変換前に、変更された電気信号からの差動出力信号を提供することを含んでいる。要素14:動作モードは、方法を制御するために使用するタイプの同期信号を含んでいる。要素15:外部同期信号を受けるステップと、外部同期信号を利用して、電気信号への光学入力の変換のタイミングを合わせ、電気信号を変更するステップとをさらに含んでいる。要素16:少なくとも2つの並列信号チャネルは、DC結合チャネル及びAC結合チャネルである。要素17:光学センサの冷却パラメータを監視するステップと、電気信号が冷却パラメータの少なくとも1つに基づいて潜在的に破損される警告を生成するステップとをさらに含んでいる。要素18:動作モードは、処理チャンバ・コントローラから受信される。要素19:光学センサは、光学入力の収集のタイミングを合わせるためのシャッタ・コマンドを受信する。要素20:動作モードは、変更された電気信号のどれが選択されるのかを示している。要素21:動作モードは、光学センサ及び変換システムの動作を制御するために、外部同期信号又は内部同期信号のいずれかを利用することを示している。要素22:コントローラは、外部同期信号を受信すると、光学センサ及び変換システムの動作を制御するために、外部同期信号を自動的に利用する。要素23:コントローラはさらに、光学センサにシャッタ・コマンドを送信するように構成され、光学センサは、光学入力の収集のタイミングを合わせるためにシャッタ・コマンドを利用するように構成されている。要素24:光学センサは冷却システムを備え、コントローラはさらに、電気信号が冷却システムの監視に基づき、潜在的に破損されることを示す警告を生成するように構成されている。要素25:並列信号チャネルは、2つのチャネル、DC結合チャネル及びAC結合チャネルである。要素26:コントローラは、プログラム可能集積回路である。