【実施例】
【0101】
実施例1
軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう患者における化合物Iによる18か月間の治療の有効性および安全性を査定する二重盲検プラセボ対照ランダム化多施設試験
この試験は3つのアームでデザインされた:6日間の初期負荷量60mg/日の後に20mg/日;6日間の初期負荷量15mg/日の後に5mg/日、およびプラセボ。試験は軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なうN=399の患者にバランスのとれた比率(1:1:1)でランダム化された。20mg用量グループは中間解析(interim analysis)時点で終了した。その後、元のプロトコルで計画していた無益性解析(futility analysis)に基づいて試験を早期に終了した。
【0102】
試験の統計解析には、プロトコルおよび統計解析計画書で計画した解析ならびに探索的解析および調査解析が含まれた。患者の試験治療の終了後、患者に通院試験を継続するように指示し、データを収集し続けた。統計解析には、入手できるすべてのデータ(治療継続および治療停止)および治療継続データを含むデータセットが含まれた;その際、“治療継続”は、最終投与日の28日以内であると定義された。治療中止データは、ランダム化スケジュールに従って施された治療を反映する;したがって、ランダム化集団に基づい
た、かつ治療しようとする意図の原則(intent-to-treat principle)に従った、治療継続
および治療中止の解析は有効である。
【0103】
統計解析は、5mg用量グループ(n=131;平均年齢=74歳;53%が女性)をプラセボグループ(n=132;平均年齢72歳;57%が女性)と比較した。試験非完了における脱落率は、化合物Iおよびプラセボについてそれぞれ48%および52%であった。治療継続データがあるすべてのランダム化患者について、最終観察繰越法(last-observation-carried-forward)を用いたADAS−cogにおけるベースラインからエンドポイントまでの変化に関して、治療しようとする意図(intent-to-treat)による標準的な共分散分析(ベースラインに対して調整)の実施により、最小二乗平均6.4および8.7(名目p=0.03)が得られた。ベースラインからの実際の平均変化は、5mgの化合物Iおよびプラセボを投与したグループについてそれぞれ6.59(SD=7.91)および9.00(SD=9.21)であった。未調整解析により、同様に5mgの化合物Iによる処置の方が有利である名目p=0.03が得られた。
【0104】
来院により観察した症例、ADAS−cogにおけるベースラインからの変化率、およびADAS−cogにおける7ポイント以上の増大を示す患者の割合(レスポンダー解析)に関する追加解析も、同様にプラセボより5mgの化合物Iの方が有利であるトレンドレベルまたはより良好な名目p値をもっていた。
【0105】
次表に、主解析の結論の堅実さを保証するための主解析および支持解析としてデザインした有効性解析計画をまとめる。これらの解析は試験プロトコルにおいて計画され、統計解析計画書に計画され、ICH E9に示される治療しようとする意図の原則に従う。18か月目のADAS−cogについての主要な結果のまとめは下記のとおりである:
【0106】
【表1】
【0107】
実施例2
ベースラインでADAS−cogに基づいてより軽度のアルツハイマー病を呈する患者では、より重度のアルツハイマー病を呈する患者より薬物効果が顕著であった。
【0108】
試験への参加はMMSEに基づいた;ADAS−cogに基づく適格性基準はなかった。他より顕著な有益性をもつ可能性がある個体の特徴を事後(Post-hoc)解析により調べた。判別解析は若干のサブグループの患者が他より良好に化合物Iに応答する可能性があることを示唆した。
【0109】
解析の所見によって、参加時点でADAS−cogに基づいてより軽度のアルツハイマー病を呈する試験患者はより重度の疾患を伴なう患者よりプラセボからの良好な線引きを示すことが明らかになった。
【0110】
図1は、ベースラインで23以下のADAS−cogスコアを提示するADAS−cogサブグループの対象について、ベースラインからのADAS−cogの変化を示す。軽度の認知症を呈するプラセボ処置対象(破線)は、ADAS−cogにおいてベースラインからのより大きな増大を示す;これは、5mgの化合物Iで処置した軽度のアルツハイマー病を呈する対象(実線)より大きな速度でアルツハイマー病が悪化したことを指摘する。サンプルサイズは患者が試験を離脱するのに伴なって経時変動する。この解析はすべての治療継続データを含む;その際、治療継続は最終投与日プラス28日であると定義される。プラセボグループと5mgの化合物Iで処置したグループとの差は、欠損データを収容する最終観察繰越法(last-observation-carried-forward)を用いて18か月目に統計学的に有意である。
【0111】
レスポンダーは進行しなかった者であり、進行は18か月以内にADAS−cogにおける7ポイント以上の増大である。
【0112】
図2は、プラセボを投与したグループおよび5mgの化合物Iを投与したグループについてのカプラン−マイヤー曲線を示す;その際、いずれかの時点でADAS−cogにおける7ポイント以上の増大到達として事象を定義する。
図2のカプラン−マイヤー曲線は、ADAS−cogにより測定して対象をADAS−cogの7ポイント増大の時点で“事象”をもつと分類することにより、アルツハイマー病が衰退している対象の割合を示す(7ポイントが進行であるとする基準: Vellas, et al.による発表, “Long-term changes in ADAS-cog: What is clinically relevant for disease modifying trails in Alzheimer?” (Volume 11, Number 4, 2007; Journal of Nutrition, Health & Aging))。この解析は、事象到達を吸収状態(absorbing state)とするマルコフ連鎖モデル取決め(Markov-Chain model convention)を用いる。低用量グループ(5mg;実線で示す)はすべての時点でプラセボグループ(点線で示す)より優勢であり、線間の距離は、ベースラインで軽度のアルツハイマー病を呈する患者においてアルツハイマー病の進行を遅延させる、プラセボと対比した化合物I処置の優位性の指標となる。
【0113】
実施例3
薬物効果は、同定した範囲内の濃度をもつ患者においてより顕著であった。濃度レベルは体重およびBMIとの相関性が高かった。最適投薬パラダイムは濃度駆動型である。
【0114】
血液試料をそれぞれの試験来院時に採取して、薬物レベルのトラフ濃度を測定した。薬物濃度の分析はADAS−cogにより評価した応答と相関していた。トラフ濃度およびベースラインからのADAS−cogの変化を用いて、化合物の有効性を最適化する濃度範囲を同定するための統計学的モデリングを行なった。予備結果は、他のすべての試験グ
ループのうち化合物I処置対象が最大応答(ADAS−cogにおいてベースラインからの最小変化)をもつ7〜20ng/mlの範囲を示した。他の解析は8〜15ng/mlの範囲になった。ADAS−cogに加えて4種類の支持的な有効性尺度(MMSE、ADL、CDR−sb、およびNPI)を含むように解析を拡大した場合、同定された範囲は8〜13ng/mlであった。
【0115】
解析のために、対象を18か月の試験期間内の最大トラフレベルにより曝露グループに分類した。三分位数カット、四分位数カット、五分位数カット、および十分位数カットを用いる解析は一貫性があった。最適投薬パラダイムを同定するためのPK/PDモデリングを現在行なっている。
【0116】
図3は、化合物Iの投与量に関係なく、濃度駆動型の対象分類を示す棒グラフである。
図3には、0.7〜12.8ng/mlの範囲の濃度がADAS−cogにおけるベースラインからのLOCF LSMEAN変化においてプラセボからの名目上の統計学的有意差を示すことが示される;その際、高いスコアほどより進行したアルツハイマー病の指標となる。12.9〜21.0ng/mlのpk濃度についての3番目の棒における濃度範囲も、アルツハイマー病の進行遅延において統計学的にプラセボにより優れている。この解析の結果は、対象に化合物Iを5mgまたは20mgのいずれかで投与し、得られた濃度が8〜13ng/ml(これらの数値を含む)である場合に、プラセボを上回る化合物Iの優位性が明らかであるということである。
【0117】
アルツハイマー病において化合物Iの有効性は、投薬パラダイムが濃度駆動型の場合、固定用量を用いる場合より顕著である。解析は、濃度が低すぎれば有効性は明らかではないことを示す。しかし、濃度が低すぎれば有効性は副作用により遮蔽される可能性があると思われる。濃度が目標区間内にある場合、プラセボを上回る化合物Iの優位性は明らかである。
【0118】
図4は、プラセボ処置対象と測定したメディアンpk濃度が8〜15ng/mlであった試験対象とを比較した経時プロフィールの線グラフを示す。プラセボで処置した対象(破線)は、ADAS−cogにおいてベースラインからのより大きな増大を示す;これは、8〜15ng/mlのメディアンpk濃度の化合物Iで処置した対象(実線)より大きい速度でアルツハイマー病が悪化したことを指摘する。サンプルサイズは患者が試験を離脱するのに伴なって経時変動する。この解析はすべての治療継続データを含む;その際、治療継続は最終投与日プラス28日であると定義される。プラセボグループとこれらの濃度の化合物Iで処置したグループとの差は、欠損データを収容する最終観察繰越法(last-observation-carried-forward)を用いて18か月目に名目上の統計学的有意性をもつ。
【0119】
表2は、プラセボと6か月目から開始して18か月間の試験の残りのコースにわたって維持した化合物I処置とを線引きする統計のまとめを提示する。
【0120】
【表2】
【0121】
表2のデータは、測定したメディアントラフ濃度が8〜15ng/mlである対象において化合物Iによる処置が6か月目から始まって名目上の統計学的有意性で統計学的に線引きされることを示す。解析結論は、特定の濃度範囲で化合物Iによる処置の有益性が明らかであることを指摘する。濃度変動の解析により、体重およびBMIが濃度に影響を及ぼしたという結論が得られた。これらの解析は、体重またはBMIを組み入れる濃度駆動型の処置の必要性を支持する。
【0122】
図5は、濃度をBMIに回帰する回帰分析を示す。濃度(依存性変数)をBMIおよび体重に回帰する回帰分析は、4種類すべての解析において統計学的に有意な負の相関関係を示した:より低い体重またはより低いBMIをもつ対象は、同じ投与量について、より高い体重またはより高いBMI値をもつ対象より高い濃度値をもつ傾向がある。この結果は各用量レベルに該当した;したがって、この所見は両方の用量レベルに当てはまる。これらの解析は入手できるすべての治療継続に基づく;その際、治療継続は最終投与日プラス28日であると定義される。この所見は、目的濃度レベルを生じるために投与した用量に体重またはBMIを組み入れる投薬パラダイムとして解釈される。これらの所見は、濃度が有効性を駆動し、体重またはBMIが濃度を駆動するという主張と一致する。この所見は、低い体重および低いBMIではより低い用量がより高い用量より有効な可能性があることを示唆する。
【0123】
実施例4
対象が高い上昇した血糖値を呈する場合、高用量の化合物Iで処置した際にグルコースの減少がみられる。
【0124】
化合物Iを用いた試験からのデータの統計解析により、特に血糖値が上昇した状態で試
験に参加した対象について血糖値が低下したと結論された。上昇した血糖値を低下させるのは患者に有益であるが、正常またはより低い血糖値を低下させるのは有害な作用をもつ可能性がある。
【0125】
統計解析により、試験に際し、より高い血糖値を呈する対象では20mgの化合物Iで処置した場合にプラセボと比較して低下することが示された。ベースラインでより低い血糖値をもつ対象は有意のグルコース減少を示さなかった。
【0126】
図6a〜dは、3、6および9か月目に入手できるすべてのデータを用いて、処置グループにより示されるベースラインからのグルコースの平均変化を示す。サブグループは、100mg/ml以上のベースライン値をもつすべての対象、上1/3のすべての対象(三分位数カット)、最上25%のすべての対象(四分位数カット)、および最上20%のすべての対象(五分位数カット(示していない))を採用することにより規定された。
図6−dは、より低い値または正常値をもつ対象を示し、その際、サブグループはグループメディアンカットにより規定され、このサブグループはグループメディアン未満のベースライン値をもつすべての対象(下半分)である。9か月後、離脱率のため意味ある解析には少なすぎるデータとなった。高用量(20mg)の化合物Iで処置したグループは顕著なグルコース減少傾向を示し、それは処置グループ内で統計学的に有意であり(p<0.05)、かつ2サンプルt−検定を用いてプラセボからも統計学的有意差があった(p<0.05)。正常であるかまたは低いベースライン血糖値をもつ対象については、化合物Iによる処置に関連する減少傾向はない。ベースラインにおける処置グループ間の差は統計学的に有意でない。この試験についての集団メディアン未満の血糖値で試験に参加した対象のサブグループにおいて化合物Iによる処置に関連するグルコース減少を調べる比較は、統計学的に有意でない(p>0.15)。
【0127】
実施例5
5mgの化合物Iによる処置は
有害事象の発生を遅延または軽減する。
【0128】
有害事象
特に注目すべき有害事象(adverse events of special interest)(AESI)は潜在的な認知障害に関するものであった:転倒、めまい、錯乱状態、および傾眠。20mg、5mg、およびプラセボで処置したグループについて報告された少なくとも1つのAESIの頻度は、それぞれ50(37%)、49(37%)、および44(33%)であった。個々のAESIは、化合物Iの用量に関係する識別可能なパターンを示さなかった。
【0129】
図7は、用量グループによる、
有害事象についての時間−事象のカプラン−マイヤー曲線を示す。
【0130】
図7は、試験日までに無事象である対象の割合を表わした時間−事象曲線を示し、対象が無事象で試験から離脱した場合はカプラン−マイヤー センサリング(打切り)(censoring)した。この解析は、事象到達を吸収状態とするマルコフ連鎖モデル取決めを用いる。
低用量グループはすべての時点で
プラセボグループより優勢であり、線間の距離はプラセボと対比して5mgの化合物Iによる処置が
有害事象をもつ尤度を低下させる有益性の指標となる。
【0131】
図8は、濃度グループによる、
有害事象についての時間−事象のカプラン−マイヤー曲線を示す。この時間−事象曲線は、試験日までに無事象である対象の割合を表わし、対象が無事象で試験から離脱した場合はカプラン−マイヤー センサリングした。この解析は、事象到達を吸収状態とするマルコフ連鎖モデル取決めを用いる。14.6ng/dl未満の濃度の
グループは、3か月目以後のすべての時点でプラセボ
グループより優勢であり、線間の距離はプラセボと対比して低濃度の化合物Iによる処置が
有害事象をもつ尤度を低下させる有益性の指標となる。
【0132】
本発明の多様な目的を満たす本発明の多様な態様を記載した。これらの態様は本発明の原理の説明にすぎないことを認識すべきである。本発明の精神および範囲から逸脱することなくその多数の改変および適合をなしうることは当業者に容易に認識されるであろう。
本明細書の記載は以下の発明の開示を包含する。
[1]アルツハイマー病を処置する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[2][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンを約1mg/日から20mg/日未満までの範囲の用量で投与する、[1]に記載の方法。
[3]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[2]に記載の方法。
[4]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、前記のいずれかに記載の方法。
[5]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[4]に記載の方法。
[6]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、前記のいずれかに記載の方法。
[7][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩の、対象における血清濃度が、約1ng/ml〜約65ng/ml、または約1ng/ml〜約60ng/ml、または約1ng/ml〜約55ng/ml、または約1ng/ml〜約50ng/ml、または約1ng/ml〜約45ng/ml、または約1ng/ml〜約40ng/ml、または約1ng/ml〜約35ng/ml、または約1ng/ml〜約30ng/ml、または約1ng/ml〜約25ng/ml、または約1ng/ml〜約20ng/ml、または約1ng/ml〜約15ng/ml、または約1ng/ml〜約10ng/mlである、前記のいずれかに記載の方法。
[8]対象における血清濃度が約8ng/ml〜約15ng/mlである、[7]に記載の方法。
[9]対象における血清濃度が約12.5ng/mlである、[8]に記載の方法。
[10]アルツハイマー病評価尺度−認知機能下位尺度(Alzheimer’s Disease Assessment Scale-cognitive subscale)(ADAS−cog)、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)(CDR−sb)、アルツハイマー病共同研究−日常生活動作スケール(Alzheimer’s Disease Cooperative Study Activities of Daily Living Scale)(ADCS−ADL);神経精神症状評価(Neuropsychiatric Inventory)(NPI)、およびミニメンタルステート査定(Mini-Mental State Evaluation)(MMSE)からなる群から選択される少なくとも1つの評価法における改善、または悪化なし、または悪化速度の低下により処置を判定する、前記のいずれかに記載の方法。
[11]処置の結果、ADAS−cogスコアにおける悪化速度に低下が生じる、[10]に記載の方法。
[12]処置の結果、ADAS−cogスコアの悪化速度に2〜5ポイントのメディアン低下が生じる、[11]に記載の方法。
[13]アルツハイマー病を処置する方法であって、その必要がある対象に、1mg/5kg(対象の体重)/日〜1mg/50kg(対象の体重)/日の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[14]処置を1mg/20kg/日の量で施す、[13]に記載の方法。
[15]軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう対象において終末糖化産物受容体(RAGE)とRAGEリガンドの相互作用を阻害する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[16]RAGEリガンドが、可溶性β−アミロイド、不溶性β−アミロイド、s100b、カルグラニュリン、EN−RAGE、HMGB1(高移動度グループボックス1)、アンホテリン、およびカルボキシメチルリジンからなる群から選択される、[15]に記載の方法。
[17][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を1mg/日から約20mg/日までの範囲の用量で投与する、[15]に記載の方法。
[18]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[17]に記載の方法。
[19]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[15]〜[18]のいずれかに記載の方法。
[20]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[19]に記載の方法。
[21]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[15]〜[20]のいずれかに記載の方法。
[22]その方法により軽度アルツハイマー病を処置する、[1]〜[21]のいずれかに記載の方法。
[23]軽度アルツハイマー病が、23以下のADAS−cogスコアを提示する対象として定義される、[22]に記載の方法。
[24]糖尿病を処置するための方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[25][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンを約1mg/日から約20mg/日までの範囲の用量で投与する、[24]に記載の方法。
[26]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[25]に記載の方法。
[27]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[24]〜[26]のいずれかに記載の方法。
[28]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[27]に記載の方法。
[29]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[24]〜[28]のいずれかに記載の方法。
[30]軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう対象の退行に関連するグルコース代謝低下を阻害するための方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[31]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[30]に記載の方法。
[32]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[30]〜[31]のいずれかに記載の方法。
[33]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[32]に記載の方法。
[34]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[30]〜[33]のいずれかに記載の方法。
[35]対象において血糖値を低下させる方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[36]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[35]に記載の方法。
[37]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[35]〜[36]のいずれかに記載の方法。
[38]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[37]に記載の方法。
[39]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[35]〜[38]のいずれかに記載の方法。
[40]対象が軽度〜中等度アルツハイマー病に罹患している、[35]に記載の方法。
[41]対象の血糖値が少なくとも5mg/dl、または少なくとも10mg/dl、または少なくとも15mg/dl、または少なくとも20mg/dl、または5〜20mg/dl低下する、[35]に記載の方法。
[42]対象の未処置血糖値が100mg/dlを超える、[35]に記載の方法。
[43]不眠症を処置する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[44]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[43]に記載の方法。
[45]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[43]〜[44]のいずれか1項に記載の方法。
[46]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[45]に記載の方法。
[47]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[43]〜[46]のいずれかに記載の方法。
[48]軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう対象において不眠症を処置する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[49]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[48]に記載の方法。
[50]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[48]〜[49]のいずれかに記載の方法。
[51]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[50]に記載の方法。
[52]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[48]〜[51]のいずれかに記載の方法。
[53]入眠潜時を短縮する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[54]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[53]に記載の方法。
[55]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[53]〜[54]のいずれかに記載の方法。
[56]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[55]に記載の方法。
[57]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[53]〜[56]のいずれかに記載の方法。
[58]軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう対象において入眠潜時を短縮する方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[59]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[58]に記載の方法。
[60]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[58]〜[59]のいずれかに記載の方法。
[61]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[60]に記載の方法。
[62]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[58]〜[61]のいずれかに記載の方法。
[63]軽度〜中等度アルツハイマー病を伴なう対象において有害事象の頻度を低下させる方法であって、その必要がある対象に、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[64]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[63]に記載の方法。
[65]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[63]〜[64]のいずれかに記載の方法。
[66]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[65]に記載の方法。
[67]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[63]〜[66]のいずれかに記載の方法。
[68]有害事象が、転倒、めまい、錯乱状態および傾眠からなる群から、または興奮、抑うつ、不安、攻撃性および情動不安からなる群から選択される、[63]に記載の方法。
[69]その必要がある対象においてHbA1Cレベルを低下させる方法であって、20mg/日未満の量の[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を投与することを含む方法。
[70][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩を約1mg/日から20mg/日未満までの範囲の用量で投与する、[69]に記載の方法。
[71]用量が約5mg/日、または約4mg/日、または約3mg/日、または約2mg/日である、[70]に記載の方法。
[72][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩の投与により、その必要がある対象におけるHbA1Cの量が少なくとも0.1パーセントポイント、または0.2パーセントポイント、または0.3パーセントポイント、または0.4パーセントポイント、または0.5パーセントポイント、または0.6パーセントポイント、または0.7パーセントポイント、または0.8パーセントポイント、または0.9パーセントポイント、または1パーセントポイント低下する、[69]に記載の方法。
[73][3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩の投与により、その必要がある対象におけるHbA1Cの量が7%未満に低下する、[69]に記載の方法。
[74]処置方法がさらに、対象にアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を投与することを含む、[69]〜[73]のいずれか1項に記載の方法。
[75]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[74]に記載の方法。
[76]処置方法がさらに、対象に塩酸メマンチンを投与することを含む、[69]〜[75]のいずれか1項に記載の方法。
[77]1mg〜20mgの[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩;およびアセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)を含む、医薬組成物。
[78]AChEIが、塩酸ドネペジル、塩酸ガランタミン、酒石酸リバスチグミン、および塩酸タクリンを含む群から選択される、[77]に記載の組成物。
[79]AChEIが、5〜20mg存在する塩酸ドネペジルである、[78]に記載の組成物。
[80]AChEIが、16〜24mg存在する塩酸ガランタミンである、[78]に記載の組成物。
[81]AChEIが、6〜12mg存在する酒石酸リバスチグミンである、[78]に記載の組成物。
[82]AChEIが、40mg存在する塩酸タクリンである、[78]に記載の組成物。
[83]1mg〜20mgの[3−(4−{2−ブチル−1−[4−(4−クロロ−フェノキシ)−フェニル]−1H−イミダゾール−4−イル}−フェノキシ)−プロピル]−ジエチルアミンまたはその医薬的に許容できる塩;および塩酸メマンチンを含む、医薬組成物。