特許第6894974号(P6894974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6894974
(24)【登録日】2021年6月8日
(45)【発行日】2021年6月30日
(54)【発明の名称】原料供給装置および供給方法
(51)【国際特許分類】
   F27D 13/00 20060101AFI20210621BHJP
   F27D 3/10 20060101ALI20210621BHJP
【FI】
   F27D13/00 Z
   F27D3/10
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-532676(P2019-532676)
(86)(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公表番号】特表2020-514655(P2020-514655A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】KR2017009282
(87)【国際公開番号】WO2018110797
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0172339
(32)【優先日】2016年12月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イム、 スン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 グ ファ
(72)【発明者】
【氏名】ナム、 ギョン フン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ヨン ソン
【審査官】 鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−527577(JP,A)
【文献】 特開2009−161855(JP,A)
【文献】 特開2015−151586(JP,A)
【文献】 特開2001−229921(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/014547(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 3/00− 3/18
C22B 1/00−61/00
C21C 5/52
B22F 1/00
F27D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属原料の表面酸化物を除去して溶融炉に供給するための装置であって、
前記金属原料が投入および排出される原料投下室と、プラズマ食刻処理を遂行する原料食刻室が設けられたハウジング;および
前記ハウジング内で前記原料投下室と前記原料食刻室の間を往復移動できるように設置される前処理ケーシング;を含み、
前記前処理ケーシングは前記原料投下室で前記金属原料の供給を受けて貯蔵し、前記原料食刻室に移動して貯蔵された前記金属原料の表面酸化層をプラズマ食刻処理した後、前記原料投下室に復帰して食刻された前記金属原料を前記溶融炉に投下させる、原料供給装置。
【請求項2】
前記前処理ケーシングは回転できるように設置され、前記原料食刻室に位置してプラズマ食刻工程が進行される時に前記金属原料の撹拌のために回転する、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項3】
前記前処理ケーシングの外面には前記前処理ケーシングの内外にプラズマの移動のための複数の出入り孔が設けられる、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項4】
前記前処理ケーシングの外面には、前記金属原料の投入および排出のための出入口と、前記出入口を選択的に開閉する開閉カバーが設けられ、
前記開閉カバーは前記前処理ケーシングの外周に沿って回転できるように設置されるものの、前記前処理ケーシングに結合された弾性ロッドの加圧力によって前記開閉カバーは前記出入口を閉める位置に維持され、前記開閉カバーと選択的に接触できるように設置されたクランプの加圧力によって前記出入口を開放する位置に維持される、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項5】
前記ハウジングには前記原料食刻室を加熱して前記前処理ケーシングの内部に満たされた前記金属原料を予熱するためのヒーターが設けられる、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項6】
前記出入口と隣接した前記前処理ケーシング内には、前記前処理ケーシング内で一側に偏向した金属原料が前記出入口を通じて円滑に排出されるように誘導するための傾斜内面が設けられる、請求項4に記載の原料供給装置。
【請求項7】
前記原料投下室の上部には前記金属原料を供給する原料供給部と連結される投入口が設けられ、前記原料投下室の下部には前記溶融炉と連結される排出口が設けられる、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項8】
前記原料供給部は、前記金属原料が貯蔵される貯蔵ホッパーと、前記貯蔵ホッパーから前記金属原料の提供を受けて秤量して前記投入口に供給する秤量ホッパーを含み、
前記原料投下室と前記溶融炉の間には前記排出口から排出される食刻された金属原料を真空状態で一時貯蔵して前記溶融炉に提供するためのバッファーホッパーが設けられる、請求項7に記載の原料供給装置。
【請求項9】
前記前処理ケーシングは前記ハウジングの一側を貫いて延びる支持軸と連結され、前記支持軸は駆動モータと軸連結されて回転力の伝達を受けて回転して前記ハウジングの外側に設けられたアクチュエータと連携して往復移動する、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項10】
前記ハウジングの一側は、前記前処理ケーシングが前記原料食刻室に位置する時に、前記原料食刻室の真空雰囲気の形成のための真空発生部および前記原料食刻室に反応ガスを提供するためのガス供給部が連結される、請求項1に記載の原料供給装置。
【請求項11】
溶融炉に金属原料を供給する方法において、
貯蔵ホッパーに貯蔵された金属原料を秤量ホッパーに提供し、
前記秤量ホッパーで秤量された金属原料をハウジング内のチャンバーに配置された前処理ケーシングに投入し、
前記チャンバーに真空形成および反応ガスを注入してプラズマ食刻工程を遂行して金属原料の表面酸化物を除去し、
前記前処理ケーシングで酸化物が除去された金属原料を溶融炉に供給することを含む、原料供給方法。
【請求項12】
前記プラズマ食刻工程を遂行する間、前記前処理ケーシングを回転させることをさらに含む、請求項11に記載の原料供給方法。
【請求項13】
前記プラズマ食刻工程を遂行することは、前記チャンバー内で区分された原料食刻室を加熱して前記前処理ケーシングに貯蔵された金属原料の予熱を遂行することをさらに含む、請求項11に記載の原料供給方法。
【請求項14】
前記酸化物が除去された金属原料を溶融炉に供給することは、前記溶融炉と同じ雰囲気内で供給する、請求項11に記載の原料供給方法。
【請求項15】
前記チャンバー内で区分された原料投下室と原料食刻室の間を移動する前記前処理ケーシングを利用して、金属原料の投入および排出と、金属原料の食刻工程を遂行することを含む、請求項11に記載の原料供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原料供給装置および方法に関し、より詳細には金属原料の表面酸化層を除去して溶融炉に供給する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にパウダー、グラニュール、ボール形態の金属原料は、単位体積当たりに表面積が占める比率が高いため、金属原料の表面に酸化層が容易に発生する。
【0003】
特に金属溶融炉を有する産業現場では金属原料を貯蔵する条件(高温、湿潤)が悪いため、表面酸化がさらに急速に発生する。
【0004】
これに伴い、溶融炉に金属原料を装入時に高温の融点を有する酸化物が溶湯の表面に浮び上がって蒸発を防いだり溶湯の正確な冶金学的な組成の予測を難しくしたりする。
【0005】
したがって、溶融炉に金属原料を供給する前に酸洗および水洗を実施してきた。
しかし、待機中に反応性が高い金属は湿式処理後に大気に露出すると同時に微細な酸化層が発生し、時間の経過につれてその程度が増加するため、原料の管理が難しく、高純度の原料の供給が不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例は、金属原料の酸化層を除去した後連続的に溶融炉に供給できる原料供給装置および方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、金属原料の表面酸化物を除去して溶融炉に供給するための装置であって、前記金属原料が投入および排出される原料投下室と、プラズマ食刻処理を遂行する原料食刻室が設けられたハウジングおよび前記ハウジング内で前記原料投下室と前記原料食刻室の間を往復移動できるように設置される前処理ケーシングを含み、前記前処理ケーシングは前記原料投下室で前記金属原料の供給を受けて貯蔵し、前記原料食刻室に移動して貯蔵された前記金属原料の表面酸化層をプラズマ食刻処理した後、前記原料投下室に復帰して食刻された前記金属原料を前記溶融炉に投下させる原料供給装置が提供され得る。
【0008】
また、前記前処理ケーシングは回転できるように設置され、前記原料食刻室に位置してプラズマ食刻工程が進行される時に前記金属原料の撹拌のために回転され得る。
【0009】
また、前記前処理ケーシングの外面には前記前処理ケーシングの内外にプラズマの移動のための複数の出入り孔が設けられ得る。
【0010】
また、前記前処理ケーシングの外面には、前記金属原料の投入および排出のための出入口と、前記出入口を選択的に開閉する開閉カバーが設けられ、前記開閉カバーは前記前処理ケーシングの外周に沿って回転できるように設置されるものの、前記前処理ケーシングに結合された弾性ロッドの加圧力によって前記開閉カバーは前記出入口を閉める位置に維持され、前記開閉カバーと選択的に接触できるように設置されたクランプの加圧力によって前記出入口を開放する位置に維持され得る。
【0011】
また、前記ハウジングには前記原料食刻室を加熱して前記前処理ケーシングの内部に満たされた前記金属原料を予熱するためのヒーターが設けられ得る。
【0012】
また、前記出入口と隣接した前記前処理ケーシング内には、前記前処理ケーシング内で一側に偏向した金属原料が前記出入口を通じて円滑に排出されるように誘導するための傾斜安内面が設けられ得る。
【0013】
また、前記原料投下室の上部には前記金属原料を供給する原料供給部と連結される投入口が設けられ、前記原料投下室の下部には前記溶融炉と連結される排出口が設けられ得る。
【0014】
また、前記原料供給部は前記金属原料が貯蔵される貯蔵ホッパーと、前記貯蔵ホッパーから前記金属原料の提供を受けて秤量して前記投入口に供給する秤量ホッパーを含み、前記原料投下室と前記溶融炉の間には前記排出口から排出される食刻された金属原料を真空状態で一時貯蔵して前記溶融炉に提供するためのバッファーホッパーが設けられ得る。
【0015】
また、前記前処理ケーシングは前記ハウジングの一側を貫いて延びる支持軸と連結され、前記支持軸は駆動モータと軸連結されて回転力の伝達を受けて回転して前記ハウジングの外側に設けられたアクチュエータと連携して往復移動することができる。
【0016】
また、前記ハウジングの一側は、前記前処理ケーシングが前記原料食刻室に位置する時に、前記原料食刻室の真空雰囲気の形成のための真空発生部および前記原料食刻室に反応ガスを提供するためのガス供給部が連結され得る。
【0017】
本発明の他の側面によると、溶融炉に金属原料を供給する方法において、貯蔵ホッパーに貯蔵された金属原料を秤量ホッパーに提供し、前記秤量ホッパーで秤量された金属原料をハウジング内のチャンバーに配置された前処理ケーシングに投入し、前記チャンバーに真空形成および反応ガスを注入してプラズマ食刻工程を遂行して金属原料の表面酸化物を除去し、前記前処理ケーシングで酸化物が除去された金属原料を溶融炉に供給することを含む原料供給方法が提供され得る。
【0018】
また、前記プラズマ食刻工程を遂行する間前記前処理ケーシングを回転させることをさらに含む。
【0019】
また、前記プラズマ食刻工程を遂行することは、前記原料食刻室を加熱して前記前処理ケーシングに貯蔵された金属原料の予熱を遂行することをさらに含む。
【0020】
また、前記酸化物が除去された金属原料を溶融炉に供給することは、前記溶融炉と同じ雰囲気内で供給することができる。
【0021】
また、前記チャンバー内で区分された原料投下室と原料食刻室の間を移動する前記前処理ケーシングを利用して、金属原料の投入および排出と、金属原料の食刻工程を遂行することを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例は溶融炉に酸化層を除去した金属原料を供給することによって、溶融炉に高純度の金属原料を供給できるようになる。
【0023】
また、本発明の実施例は金属原料の表面酸化層を除去すると共に溶融炉に投入される金属原料の温度を上げることによって、溶融炉での溶湯の温度偏差および偏流の発生を減らすことができるようになる。
【0024】
また、本発明の実施例は溶融炉の雰囲気と同じ条件で金属原料の投入が可能であるため、追加的な酸化層を発生することなく連続供給が行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例に係る溶融炉に金属原料を供給する原料供給装置を概略的に図示した図面。
図2】本発明の実施例に係るプラズマ食刻工程を遂行する構成を概略的に図示した図面。
図3】本発明の実施例に係る金属原料が投入および排出される時の原料処理部の内部を図示した切開斜視図。
図4】本発明の実施例に係る金属原料がプラズマ食刻処理される時の原料処理部の内部を図示した切開斜視図。
図5】本発明の実施例に係る前処理ケーシングの出入口が閉まった状態を図示した図面。
図6】本発明の実施例に係る前処理ケーシングの出入口が開いた状態を図示した図面。
図7】本発明の実施例に係る前処理ケーシングの内部を図示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して詳細に説明する。以下で紹介される実施例は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために一例として提供されるものである。本発明は以下で説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は図面から省略したものであり、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張されて表現され得る。明細書の全体に亘って同じ参照番号は同じ構成要素を表す。
【0027】
図1は本発明の実施例に係る溶融炉に金属原料を供給する原料供給装置を概略的に図示したものであり、図2は本発明の実施例に係るプラズマ食刻工程を遂行する構成を概略的に図示したものであり、図3は本発明の実施例に係る金属原料が投入および排出される時の原料処理部の内部を図示した切開斜視図であり、図4は本発明の実施例に係る金属原料がプラズマ食刻処理される時の原料処理部の内部を図示した切開斜視図である。
【0028】
図1図4を参照すると、本発明の実施例に係る原料供給装置10は、パウダー、グラニュール、ボール形態の金属原料を溶融炉1に装入する前に、金属原料の表面酸化層を除去した後に連続的に溶融炉1に供給するための装置である。
【0029】
このような原料供給装置10は、金属原料を貯蔵した後供給する原料供給部11と、原料供給部11から提供される金属原料の表面酸化層を除去するための原料処理部13と、原料処理部13で処理された金属原料を溶融炉1に投入する原料投入部15で構成され得る。
【0030】
原料供給部11は、貯蔵ホッパー20と、貯蔵ホッパー20の下部に連結される秤量ホッパー22を含む。
【0031】
貯蔵ホッパー20は金属原料を大気圧の状態で貯蔵する装置であって、原料を秤量ホッパー22に連続供給する間、金属原料が外部から貯蔵ホッパー20に供給される時間を考慮して十分な貯蔵容量を有するように設けられ得る。
【0032】
また、貯蔵ホッパー20には貯蔵された金属原料の残量の測定が可能であるように、貯蔵ホッパー20の高さ方向に一定の間隔で近接センサ(図示されず)が設置され得る。
【0033】
貯蔵ホッパー20から排出される金属原料は貯蔵ホッパー20の下部に連結された貯蔵ホッパーフィーダー21を通じて秤量ホッパー22に供給され得る。
【0034】
貯蔵ホッパーフィーダー21は金属原料の形態により、スクリューフィーダー、振動フィーダー、コンベヤなどを含む。
【0035】
貯蔵ホッパーフィーダー21により運搬された金属原料は、金属原料の投入量を正確に秤量し投入するための秤量ホッパー22に提供され得る。
【0036】
秤量ホッパー22に提供された金属原料は秤量ホッパー22の下部に装着されたロードセル22aにより重さが測定され、秤量された金属原料は原料処理部13で提供され得る。
【0037】
秤量ホッパー22と原料処理部13の間には、秤量ホッパー22で秤量された金属原料の排出を制御するための上部スクリーン23および秤量ホッパー22で原料処理部13に金属原料が移動する経路を選択的に遮断する上部真空バルブ24が設けられ得る。
【0038】
上部スクリーン23は秤量ホッパー22から提供される金属原料を一定のサイズ別に選別して原料処理部13に提供することができ、上部真空バルブ24は原料処理部13で金属原料を処理時に原料供給部11と連結される経路を遮断して、原料処理部13が外気と連通することを遮断させることができる。
【0039】
原料処理部13は原料供給部11から供給される金属原料の提供を受けてプラズマ食刻工程を通じて金属原料の表面酸化層を除去するハウジング30を含む。
【0040】
ハウジング30は内部が空いた中空のチャンバー31、32を有し、中空のチャンバー31、32は、原料供給部11から供給される金属原料を投入したり、下部に位置する溶融炉1に金属原料を提供したりするために設けられた原料投下室31と、原料投下室31と区分されて金属原料をプラズマ食刻処理するために設けられた原料食刻室32を含む。
【0041】
チャンバー31、32内には原料投下室31を通じて供給される金属原料を収容する前処理ケーシング40が移動および回転できるように位置し得る。
【0042】
前処理ケーシング40は円筒状に形成され得、原料投下室31と原料食刻室32の間を往復移動し、前処理ケーシング40の後方に連結される支持軸41と共に自転することができる。
【0043】
支持軸41は先端が前処理ケーシング40の後面の中央部分に連結され、後端がハウジング30の後面を貫いて外部に延びた後、駆動モータ42と軸連結され得る。
【0044】
駆動モータ42はハウジング30の後方で前後にスライディング移動できるように設置されるスライディング部材43と連結され、スライディング部材43とともに移動することができる。
【0045】
スライディング部材43はアクチュエータ44の駆動によって上下に離隔配置された一対のガイドロッド45に沿ってハウジング30の後面に向かって前後に移動することができる。
【0046】
一対のガイドロッド45は、両端がそれぞれハウジング30の後面とハウジング30の後方に離隔して位置するロッドフレーム46に連結されて支持され得る。
【0047】
ロッドフレーム46には、スライディング部材43と連結されてスライディング部材43を前後移動させるためのアクチュエータ44が結合され得る。
【0048】
アクチュエータ44はスライディング部材43を前後に移動させるための装置であって、電気モータまたは油圧または空圧により作動するシリンダーと、電気モータまたはシリンダーを通じてスライディング部材43を前後移動させるボールスクリュー、ラックとピニオンなどの適切な駆動要素を含むことができる。
【0049】
このような支持軸41は、スライディング部材43を貫いて駆動モータ42の軸とカップリングを媒介として連結され得、スライディング部材43とハウジング30の後面の間に位置する支持軸41外面の周りには気密維持のために伸縮可能なベローズ47が支持軸41を包み込むように設けられ得る。
【0050】
これを通じて、前処理ケーシング40はアクチュエータ44の駆動によって、一対のガイドロッド45に沿って前後移動するスライディング部材43とともに原料投下室31と原料食刻室32の間を往復移動することができ、駆動モータ42の動力によって回転する支持軸41と共に自転できるようになる。
【0051】
ハウジング30の一側には、チャンバー31、32の内部空間を真空に形成するための真空発生部34が連結される。
【0052】
真空発生部34は、チャンバー31、32内を減圧するための真空ポンプ34aと、真空ポンプ34aとチャンバー31、32を連結する真空配管34bを含む。
【0053】
真空配管34bには、圧力コントローラ、圧力計またはリリーフバルブ34cが連結され得る。また真空配管34bには大気圧で初期真空の生成時に金属原料の逆流を防止するためのフィルタ34dが設置され得る。
【0054】
真空発生部34は、前処理ケーシング40が原料食刻室32に位置する時にチャンバー31、32内を減圧して真空雰囲気を形成するように動作することができる。
【0055】
また、ハウジング30にはチャンバー31、32の内部に反応ガスを注入するためのガス供給部35が連結され得る。
【0056】
ガス供給部35はプラズマ発生のために、不活性ガスであるアルゴンと還元基材である微量の水素を混合した反応ガス(Ar−4%H)を供給することができる。
【0057】
ガス供給部35はチャンバー31、32と連結されたガス配管35aと、ガス配管35aに流れる反応ガスの供給流量を精密に制御するための流量制御計(Mass Flow Controller、MFC)35bおよびバルブ35cを含むことができる。
【0058】
また、ハウジング30の底にはチャンバー31、32内の反応ガスを排気するための排気配管37が連結され得、排気配管37にはチャンバー31、32内の圧力を測定するための圧力センサ37aおよび排気配管37の開閉を遂行するための排気バルブ37bが設置され得る。
【0059】
原料投下室31の上部および下部には、原料供給部11と連結される投入口38と、溶融炉1と連結される排出口39がハウジング30に設けられ得る。
【0060】
前処理ケーシング40が原料投下室31に位置する時、投入口38から提供される金属原料は前処理ケーシング40に形成された出入口48(図6参照)を通じて前処理ケーシング40の内部に投入された後、前処理ケーシング40が原料食刻室32に移動した状態でプラズマ食刻処理され得る。
【0061】
原料食刻室32は、前処理ケーシング40に貯蔵された金属原料にプラズマを利用した乾式食刻工程が進行される空間である。
【0062】
前処理ケーシング40が原料食刻室32に位置すると、ガス供給部35を通じて反応ガスがチャンバー31、32の内部に供給され、真空発生部34を通じてチャンバー31、32内の圧力は動作圧力に維持される。
【0063】
チャンバー31、32に電磁界を形成するために、金属原料が入っている前処理ケーシング40は電源供給装置50と支持軸41を媒介として電気的に連結され、原料食刻室32内で前処理ケーシング40の外郭の周りを包み込むように配置される円筒状の電極ケーシング51が電源供給装置50と電気的に連結され得る。
【0064】
電源供給装置50は前処理ケーシング40に負極電流を供給することができ、電極ケーシング51には正極電流を供給して原料食刻室32内に電磁界を形成することによって、チャンバー31、32に流入した反応ガス からプラズマを生成することができる。すなわち前処理ケーシング40と電極ケーシング51はプラズマを形成するための電極の機能を遂行し得る。
【0065】
前処理ケーシング40は、内部にプラズマの出入りのために前処理ケーシング40の円周方向および軸方向に沿って所定の間隔で位置する複数の出入り孔49が形成され得る。これに伴い、前処理ケーシング40と電極ケーシング51の間に発生するプラズマは、複数の出入り孔49を通じて前処理ケーシング40の内外に移動して前処理ケーシング40内に貯蔵された金属原料の表面酸化層を食刻処理するようになる。
【0066】
前処理ケーシング40に形成された複数の出入り孔49は、前処理ケーシング40の内部に投入される金属原料の大きさより小さく形成されるようにして、前処理ケーシング40に投入された金属原料が外部に流出しないようにする。また、電極ケーシング51にはプラズマの発生が容易となるようにするための複数の貫通ホール(図示されず)が形成され得る。
【0067】
一方、前述した原料食刻室32でのプラズマの形成は一例に該当するものであって、原料食刻室32内に公知とされている容量性プラズマ(Capacitive Coupled Plasma)タイプまたは誘導性プラズマ(Inductive Coupled Plasma)タイプを利用してプラズマの発生を誘導するように構成できることは言うまでもない。また、このような場合、前処理ケーシング40の内部をプラズマの形成のための空間に構成してもよい。
【0068】
原料食刻室32を形成するハウジング30の一側には、開閉できるように設置されたドア52が設けられ得る。ドア52はプラズマ工程が行われる原料食刻室32の内部に積もる食刻物を周期的に除去できるようにハウジング30で開閉され得、原料食刻室32の内部の汚染状態を観察できるようにドア52には透明窓53が設置され得る。
【0069】
また、ドア52には原料食刻室32で発生したプラズマから出る光のスペクトルを分析するための放出分光センサ(Optical Emission Spectroscopy)54が設置され得る。
【0070】
放出分光センサ54は、原料食刻室32から放出される光の波長と強度を測定して中性種とイオンの存在を識別することができる。すなわちプラズマから放出される光のスペクトルはプラズマで起きる化学的物理的過程に対する情報を提供するので、このような放出分光センサ54を利用して原料食刻室32の内部の波長の変化を計測し、一定の波長帯域の相対強度が増加すると金属原料のプラズマ食刻工程を終了する。
【0071】
原料食刻室32を形成するハウジング30の内壁の周りには原料食刻室32の内部を加熱するためのヒーター55が設置され得る。
【0072】
ヒーター55は、原料食刻室32内に移動した前処理ケーシング40の内部の金属原料が溶融炉1の温度より低い状態で溶融炉1に提供される場合、溶湯の温度勾配が深化し、偏流が発生して溶湯の使用目的に合う品質の確保が難しくなることを防止するために金属原料を予熱する装置である。
【0073】
すなわち、プラズマ工程により金属原料の温度は上昇するが溶融炉1に投入するほど十分な予熱温度を確保出来なかった場合、ヒーター55は原料食刻室32を加熱することによって前処理ケーシング40内の金属原料が間接加熱方式によって予熱されるようにする。
【0074】
このようなヒーター55は、プラズマ放電圧以上のものを使うようにし、ヒーター55の熱による周辺の構造物(駆動計、バルブなど)の損傷を防止するために、ヒーター55の外側のハウジング30には断熱材56および冷却ジャケット(図示されず)が具備され得る。
【0075】
一方、投入口38を通じて供給される前処理ケーシング40への金属原料の投入および前処理ケーシング40から排出口39側に向かっての金属原料の排出は、前処理ケーシング40に形成された出入口48を通じて行われ得る。
【0076】
図5は本発明の実施例に係る前処理ケーシングの出入口が閉まった状態を図示したものであり、図6は本発明の実施例に係る前処理ケーシングの出入口が開いた状態を図示したものであり、図7は本発明の実施例に係る前処理ケーシングの内部を図示した断面図である。
【0077】
図5図7を参照すると、前処理ケーシング40の円周方向の周りに沿っていずれか一地点には所定幅を有して長さ方向に切開された出入口48が形成され得、出入口48は前処理ケーシング40の外周に沿って回転できるように設置された開閉カバー60により選択的に開閉され得る。
【0078】
開閉カバー60は出入口48と対応する大きさで形成され、出入口48を選択的に開閉する蓋パネル61と、蓋パネル61の両端から垂直方向にベンディングされて前処理ケーシング40の中心軸に回転できるように結合される支持パネル62で構成され得る。
【0079】
支持パネル62は前処理ケーシング40の側壁の一側に結合された弾性ロッド63の加圧力によって蓋パネル61が出入口48を閉める方向に加圧支持され得る。
【0080】
弾性ロッド63はロッドハウジング64の内部に配置されたスプリングに支持されてロッドハウジング64の内外に進退移動することができ、スプリングの加圧力によって開閉カバー60が出入口48を閉める方向に支持パネル62を加圧することができる。
【0081】
弾性ロッド63に加圧される支持パネル62は、前処理ケーシング40の側壁に突出形成されたストッパー65により係止されることによって、蓋パネル61は出入口48を遮断する位置に移動できるようになる。
【0082】
出入口48を開放する場合には、投入口38と隣接した位置に設けられたクランプ70が蓋パネル61の表面を加圧するようにし、前処理ケーシング40が所定の角度回転することによって蓋パネル61は出入口48を開放させる。
【0083】
クランプ70は、投入口38の位置で出入口48を開放させるための上部クランプと、排出口39の位置で出入口48を開放させるための下部クランプを含む。
【0084】
クランプ70は、ハウジング30の内壁に設置されたシリンダー71と連結されて上下に移動するロッド部72と、ロッド部72の端部で蓋パネル61に加圧接触するように設けられた接触部73を含む。
【0085】
接触部73はロッド部72の端部から両側の方向に延びる長い棒状に形成され得、前処理ケーシング40が回転する時に蓋パネル61の表面に加圧されて開閉カバー60の回転を拘束する。
【0086】
蓋パネル61の表面には、接触部73により開閉カバー60の回転が拘束される場合、より一層円滑な作動のために接触部73と干渉する干渉突起74が突出形成され得る。
【0087】
これを通じて、ハウジング30に備えられた投入口38から金属原料が投入される場合、クランプ70が開閉カバー60を拘束した後、前処理ケーシング40が所定の角度回転することによって出入口48は開放され、クランプ70が開閉カバー60を拘束解除すると弾性ロッド63の加圧力によって出入口48は閉まるようになる。
【0088】
そして、前処理ケーシング40に入れられた金属原料を、排出口39を通じて排出する場合にも、排出口39と隣接するように位置したクランプ70が同じ作動を遂行することによって出入口48を開閉することができる。
【0089】
一方、前処理ケーシング40の内部には、図7のように前処理ケーシング40が回転する場合、金属原料を撹拌するためのリフト80が備えられ得る。
【0090】
リフト80は前処理ケーシング40の内壁から中央に向かって所定の長さ延びて、前処理ケーシング40の回転時に内部の金属原料を一定の位置まで上昇させてから落下させる。
【0091】
また、前処理ケーシング40の出入口48と隣接した位置には、金属原料の排出時に残量が残らないように金属原料の流れ性を向上させるための傾斜安内面81が設けられ得る。
【0092】
これを通じて、前処理ケーシング40の回転によって前処理ケーシング40の片方の部分(図面において左側)に偏向した金属原料は、出入口48を通じて排出時に傾斜安内面81に沿って滑りながら円滑に排出されるようになる。
【0093】
再び図1および図2を参照すると、ハウジング30の排出口39の下部には下部スクリーン90と下部真空バルブ91が連結され得る。下部スクリーン90は溶融炉1に供給される金属原料を一定のサイズ別に選別することができ、下部真空バルブ91は溶融炉1と連結される経路を外気と遮断するように選択的に開閉することができる。
【0094】
下部真空バルブ91の下部にはバッファーホッパー92が連結され得る。
【0095】
バッファーホッパー92は、酸化層が除去された金属原料を真空状態で一時貯蔵し、バッファーホッパー92の下部に連結された投入部93を通じて溶融炉1に連続的に金属原料を供給することができる。
【0096】
以下では、本発明の実施例に係る原料供給装置の作動について説明する。
【0097】
溶融炉1に金属原料を連続的に供給するために、まず貯蔵ホッパー20に大気圧の状態で貯蔵された金属原料は秤量ホッパー22に移動されて単位供給量が測定され、上部スクリーン23と上部真空バルブ24が開放されることによってハウジング30の投入口38に投入される。
【0098】
この時、前処理ケーシング40は原料投下室31に位置し、開閉カバー60は出入口48を開放した状態である。すなわち、上部クランプ70が開閉カバー60を加圧支持した状態で、前処理ケーシング40は駆動モータ42により所定の角度回転することによって前処理ケーシング40の出入口48は開かれる。
【0099】
また、チャンバー31、32の内部は大気圧の状態であって、圧力センサ37aにより感知された情報に基づいて排気バルブ37bを通じて圧力調節が行われ得る。
【0100】
投入口38を通じて投入される金属原料の前処理ケーシング40の内部への供給が完了すると、上部スクリーン23と上部真空バルブ24は閉まるようになる。
【0101】
また開閉カバー60は出入口48を閉め、前処理ケーシング40はアクチュエータ44の駆動によって原料食刻室32に移動する。これと同時にチャンバー31、32の内部は真空発生部34により定められた真空圧力まで到達し、ガス供給部35によって反応ガスがチャンバー31、32の内部に注入される。
【0102】
以降、電源供給装置50は、電源の印加によって原料食刻室32の内部にはプラズマが発生して金属原料の表面酸化層を除去することになる。
【0103】
金属原料のプラズマ食刻工程時に、前処理ケーシング40は駆動モータ42により回転することによって内部に満たされた金属原料が均一にプラズマに露出するように撹拌される。
【0104】
金属原料のプラズマ食刻および還元処理の終了時点は、放出分光センサ54により感知された情報に基づいて一定の波長帯域の相対強度が増加するとプラズマ工程を終了する。
【0105】
一方、プラズマ工程によって溶融炉1に投入される金属原料が予熱温度を十分に確保出来なかった場合には、ヒーター55を作動させて原料食刻室32を加熱することによって、金属原料を溶融炉1に投入するに適合な温度に予熱する。
【0106】
これを通じて、高温の溶融炉1に相対的に低温の金属原料が供給されて溶湯の温度勾配が深化して偏流が発生することによる品質確保の困難を解消することができる。
【0107】
原料食刻室32で金属原料の表面酸化層の除去が完了したと判断されれば、アクチュエータ44を駆動させて前処理ケーシング40を原料投下室31に移動させる。
【0108】
そして、チャンバー31、32の内部を溶融炉1の内部と同じ雰囲気とさせるために、真空発生部34およびガス供給部35を通じて真空吸気または不活性ガスの注入を実施する。これは溶融炉1の真空または不活性ガスの雰囲気で金属原料を供給する時に、追加的な酸化を防止できるように溶融炉1の雰囲気を維持して供給するためである。
【0109】
チャンバー31、32の内部が溶融炉1の内部と同じ条件となれば、排出口39と連結された下部スクリーン90と下部真空バルブ91を順次開き、前処理ケーシング40の出入口48を開放して溶融炉1またはバッファーホッパー92に金属原料を供給する。
【0110】
金属原料の供給が完了すると、下部スクリーン90と下部真空バルブ91を閉め、チャンバー31、32の内部は排気配管37を通じて排気した後、再び金属原料の供給を受ける前述した過程を繰り返す。
【0111】
以上では特定の実施例について図示して説明した。しかし、前記した実施例にのみ限定されず、発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば以下の特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の要旨を逸脱することなくいくらでも多様に変更実施することができるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7