(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3電極電圧制御部は、前記制御モードにおいて、前記スイッチング素子をオン状態とするときに、前記初期測定モードで測定された前記初期閾値電圧を含む情報に基づいて前記初期閾値電圧をわずかに超える前記第3電極電圧を前記第3電極に印加するように前記第3電極電圧を制御することを特徴とする請求項2に記載のパワーモジュール。
前記第3電極電圧制御部は、前記スイッチング素子の閾値電圧を検出する場合には、前記第3電極電圧が時間経過に伴って階段状に高くなるように前記第3電極電圧を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のパワーモジュール。
前記第3電極電圧制御部は、前記スイッチング素子の閾値電圧を検出する場合には、前記第3電極電圧が、時間経過に伴って振幅の大きなパルスとなるパルス状の電圧になるように、前記第3電極電圧を制御することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のパワーモジュール。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のパワーモジュールについて、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の回路構成やグラフを厳密に反映したものではない。
【0027】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るパワーモジュール1の構成
実施形態1に係るパワーモジュール1は、
図1に示すように、スイッチング素子200と、ゲート電圧制御部10(第3電極電圧制御部)と、スイッチング電流検出部(第1電極電流検出部)20と、オン/オフ状態判定部30と、記憶部40と、温度検出部50と、劣化判定部60と、閾値電圧算出部70と、アラーム部80と、計測用電流供給部100と、ストレス用電流供給部102と、パワー回路400とを備える。実施形態1に係るパワーモジュール1は、高耐熱性・高絶縁性の樹脂やセラミックス等により形成されたパッケージで覆われている。実施形態1に係るパワーモジュール1には、直流の電源電圧V
DDを入力する(+)側入力端子T1、接地側の(−)側入力端子T2、(+)側出力端子T3、接地側の(−)側出力端子T4、駆動信号(例えば、ゲートパルス)Pgを入力する制御端子T5、及び、外部のアラーム部(図示せず)に警報信号を送信するためのアラーム信号端子T6が設けられている。パワー回路400とスイッチング素子200との間にはスイッチSW3が設けられている。
【0028】
(+)側入力端子T1と(−)側入力端子T2との間には、電源電圧V
DDを印加するためのゲートドライブ用電源300が接続されている。ゲートドライブ用電源300は、ゲート電圧制御部10を介してスイッチング素子200のゲート電極と接続されており、ゲート電極に電圧を供給する。(+)側出力端子T3及び(−)側出力端子T4には、パワー回路400が接続されている。
【0029】
パワー回路400は、スイッチング素子200と直列に接続されている。パワー回路400は、負荷抵抗410及び直流の駆動電源420を有し、負荷抵抗410及び直流の駆動電源420が(+)側出力端子T3と(−)側出力端子T4との間に直列に接続されている。なお、(−)側出力端子T4は接地されている。
【0030】
スイッチング素子200は、ソース電極(第2電極)、ドレイン電極(第1電極)及びゲート電極(第3電極)を備えるMOSFETである。スイッチング素子200は、ゲート電極に閾値電圧を超えるゲート電圧(第3電極電圧)を印加するとオン状態となり、ゲート電圧が閾値電圧を下回るとオフ状態となる。ゲート電圧は、電源電圧V
DDから供給され、ゲート電圧制御部10によって制御される。なお、スイッチング素子200は、実施形態1においてはMOSFETを用いるが、適宜のスイッチング素子を用いることができる。また、スイッチング素子200は、GaNを含む材料により形成されたものである。スイッチング素子200においては、GaNを含む場合、ゲート電極の絶対最大定格電圧と閾値電圧との差が小さくなる。
【0031】
スイッチング素子200のドレイン電極は、(+)側出力端子T3を介してパワー回路400と接続されている。スイッチング素子200のゲート電極は、ゲート電圧制御部10と接続されている。スイッチング素子200のソース電極は抵抗を介して(−)側出力端子T4と接続されている。
【0032】
ゲート電圧制御部10は、入力された駆動信号Pg(例えば、ゲートパルス)に基づいて、初期測定モード及び劣化判定モードにおいて閾値電圧を測定する際には、ゲート電圧が段階的に高くなるようにゲート電圧を制御し、制御モードにおいては、スイッチング素子200のオン/オフ動作を制御するためにゲ―ト電圧を制御する。ゲート電圧制御部10は、オン/オフ状態判定部30、記憶部40及び閾値電圧算出部70と接続されている。
【0033】
スイッチング電流検出部20は、スイッチング素子200のソース電極と接続され、初期測定モード及び劣化判定モードにおいて、スイッチング素子200のスイッチング電流Id(第1電極電流、ドレイン電流あるいはソース電流という)を検出する。また、スイッチング電流検出部20は、オン/オフ状態判定部30と接続されている。なお、スイッチング電流検出部20は、スイッチング素子200のソース電極に接続した抵抗に電流を流して電圧に変換することによって計測しているが、適宜の検出装置(例えば、ロゴスキーコイル等)を用いてもよい。
【0034】
オン/オフ状態判定部30は、初期測定モード及び劣化判定モードにおいて、スイッチング電流検出部20から受信したスイッチング電流の検出結果に基づいてスイッチング素子200のオン/オフ状態を判定する。オン/オフ状態判定部30は、ゲート電圧制御部10及びスイッチング電流検出部20と接続されている。
【0035】
記憶部40には、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報及び劣化判定に用いる規格値があらかじめ記憶されている。また、記憶部40は、初期測定モード又は劣化判定モードで検出・算出される、スイッチング素子200の初期ΔVgs、初期閾値電圧Vth
0及び閾値電圧Vth、並びに、スイッチング素子200の初期動作温度T
0及び動作温度Tを記憶する。また、記憶部40は、初期測定モード及び劣化判定モードにおいて、オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオン状態になったと判定されたときに、ゲート電極に印加したゲート電圧を閾値電圧として記憶する。記憶部40は、ゲート電圧制御部10、温度検出部50、劣化判定部60(具体的にはΔVgs算出部62及び規格判定部64)及び閾値電圧算出部70と接続されている。
なお、初期動作温度T
0とは、初期閾値電圧Vth
0を測定したときの温度のことを言う。
【0036】
温度検出部50は、温度検出素子52を有する。温度検出素子52としては、ダイオードやサーミスタ等適宜の温度検出素子を用いることができる。
【0037】
劣化判定部60は、劣化判定モードにおいて、ストレス用電流供給部102がストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧と、ストレス用電流供給部102がストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgs及び記憶部40に記憶された初期ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する。劣化判定部60は、ΔVgs算出部62と、規格判定部64とを有する。
ΔVgs算出部62は、記憶部40及び温度検出部50と接続されており、劣化判定モード及び初期測定モードにおいて、ΔVgs(又は初期ΔVgs)を算出する。ΔVgs算出部62は、劣化判定モードにおいては、温度検出部50からの動作温度の情報と、記憶部40に記憶された閾値電圧の情報に基づいて(すなわち、初期動作温度T
0からの温度変化を考慮した閾値電圧に基づいて)ΔVgsを算出する。
規格判定部64は、「ΔVgs算出部62で算出されたΔVgsと記憶部40に記憶された初期ΔVgsとの差」と、記憶部40に記憶された規格値とを比較する。ΔVgsと初期ΔVgsとの差が規格値よりも大きい場合には劣化していると判定する。
【0038】
閾値電圧算出部70は、記憶部40から、スイッチング素子200の初期閾値電圧Vth
0、スイッチング素子200の初期動作温度T
0を含む情報、並びに、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報を読み取るとともに、温度検出部50からスイッチング素子200の動作温度Tを読み取り、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の特性式に代入し、動作時の閾値電圧Vthを算出する。
【0039】
アラーム部80は、劣化判定部60による劣化の検出結果を外部に表示する。特に、規格判定部64において劣化していると判定された場合、アラーム部80は、外部のアラームへ向かって警報信号を送信する。
【0040】
計測用電流供給部100は、スイッチング素子200のドレイン電極とスイッチSW1を介して接続されており、劣化判定モード及び初期測定モードにおいてはスイッチSW1をオンすることにより、スイッチング素子200のドレイン電極に比較的小電流の計測用電流Imを供給する。
ストレス用電流供給部102は、計測用電流供給部100と並列に接続されている。ストレス用電流供給部102は、スイッチング素子200のドレイン電極とスイッチSW2を介して接続されており、劣化判定モード及び初期測定モードにおいてはスイッチSW2をオンすることにより、スイッチング素子200に比較的大電流のストレス用電流Isを供給する。
【0041】
なお、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報は、スイッチング素子200における閾値電圧の温度係数をαとし、動作時の閾値電圧をVthとし、初期閾値電圧をVth
0とし
、温度検出部50によって検出されたスイッチング素子200の動作温度をTとし、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度をT
0としたときに、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の関係を満たす特性式である(
図2参照。)。すなわち、閾値電圧Vthとスイッチング素子200の動作温度Tとの関係は、傾きが負の1次関数となっている。
【0042】
2.実施形態1に係るパワーモジュール1の動作について
実施形態1に係るパワーモジュール1は、制御モード実施前にスイッチング素子200の初期ΔVgsを検出する初期測定モードと、ドレイン電極、ソース電極及びゲート電極を有するスイッチング素子200のオン/オフ動作を制御する制御モードと、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧とストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードとを切り替えて実施するように構成されている。実施形態1に係るパワーモジュール1は、まず、初期測定モードを実施することにより、初期閾値電圧Vth
0、初期ΔVgs及び初期動作温度T
0を検出・算出する。次に、制御モードを実施することにより、スイッチング素子200のオン/オフ動作を制御する。そして、所定のタイミング(例えば、制御モードを所定時間実施した後)で、劣化判定モードに切り替えて劣化判定を行う。劣化判定の結果問題がなければ再び制御モードに戻り、問題がある場合には、アラーム部80から外部のアラームに向けて警報信号を送出する。
【0043】
(1)初期測定モード
初期測定モードは、スイッチング素子200の初期動作温度T
0、初期閾値電圧Vth
0及び初期ΔVgsを測定するモードである。このモードは、制御モード実施前(スイッチSW3をオンして駆動電源420からスイッチング素子200に電力を供給する前)に行う。
なお、事前に記憶部40にスイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報を記憶させておく。スイッチング素子200の温度変動に起因して閾値電圧が初期閾値電圧Vth
0から変動するため(温度が高くなると閾値電圧が小さくなる。
図2参照。)、温度変動を考慮して閾値電圧を算出しなければΔVgsを正確に算出することが難しいからである。また、実際上、ΔVgsは比較的小さい値になるため、温度変動を考慮した閾値電圧を用いてΔVgsを算出する必要があるからでもある。
【0044】
(1−1)1回目の閾値電圧の測定
スイッチSW2、SW3をOFFにした状態でスイッチSW1をONにし、計測用電流供給部100からスイッチング素子200に計測用電流Imを供給する(
図1及び
図3参照。)。次に、ゲート電圧制御部10は、想定されている初期閾値電圧よりも低い電圧をゲート電極に印加するようにゲート電圧を制御する。このとき、スイッチング電流検出部20によってスイッチング電流は検出されない(スイッチング電流の値が0である)ため、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオフ状態であると判定する。オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオフ状態であると判定すると、ゲート電圧制御部10は、ゲート電圧が一段階高くなるようにゲート電圧を制御する(
図4参照。)。
【0045】
これを繰り返してゲート電圧を段階的に高くしていき(具体的には階段状に高くしていき)、スイッチング電流検出部20によってスイッチング電流が検出されたとき(スイッチング電流の値が0でなくなったとき)、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオン状態であると判定する(
図3参照。)。このとき、温度検出部50によって検出されたスイッチング素子200の動作温度を初期動作温度T
0として記憶部40へ送信するとともに、ゲート電圧制御部10は、ゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを初期閾値電圧Vth
0として記憶部40へ送信する。そして、記憶部40では、当該ゲート電圧Vgsを初期閾値電圧Vth
0として記憶する。
【0046】
(1−2)ストレス用電流Is供給
次に、スイッチSW1、SW3をOFFにした状態でスイッチSW2をONにし、ストレス用電流供給部102から所定の電流量でスイッチング素子200にストレス用電流Isを供給する(
図1及び
図5参照。)。ゲート電圧制御部10は、スイッチング素子200が所定時間オンした状態となるようにゲート電圧を制御する(
図5参照。)。これによりスイッチング素子200に所定の電力を印加することとなるため、スイッチング素子200が発熱する。
【0047】
(1−3)2回目の閾値電圧の測定
次に、スイッチSW2、SW3をOFFにした状態でスイッチSW1をONにし、計測用電流供給部100からスイッチング素子200に計測用電流Imを供給する(
図1参照。)。
そして、上記(1−1)と同様の方法で閾値電圧を測定し、ゲート電圧制御部10は、ゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを「ストレス用電流Isをスイッチング素子に供給した後に検出された閾値電圧」(閾値電圧Vth
1)として記憶部40へ送信する(
図6参照。)。そして、記憶部40では、当該ゲート電圧Vgsを閾値電圧Vth
1として記憶する。
【0048】
(1−4)ΔVgs算出
次に、劣化判定部60のΔVgs算出部62において、初期閾値電圧Vth
0と閾値電圧Vth
1に基づいて(初期閾値電圧Vth
0から閾値電圧Vth
1を引き算して)、ΔVgs(初期ΔVgs)を算出する。ΔVgs算出部62は、算出されたΔVgs(初期ΔVgs)を記憶部40へ送信し、記憶部40は、当該ΔVgsを初期ΔVgsとして記憶する(
図6参照。)。
【0049】
(2)制御モード
初期測定モードが終了したら、スイッチSW1、SW2をOFFにした状態でスイッチSW3をONにし、パワー回路400とスイッチング素子200とを導通し、駆動電源420からスイッチング素子200に電流を供給する(
図1参照。)。
【0050】
スイッチング素子200をオン状態とするとき、ゲート電極に印加するゲート電圧を以下のようにして決定する(
図7参照。)。
まず、温度検出部50が温度検出素子52を介してスイッチング素子200の動作温度Tを検出する。
閾値電圧算出部70は、記憶部40から、初期測定モードで検出したスイッチング素子200の初期閾値電圧Vth
0、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0を含む情報、並びに、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報αを読み取るとともに、温度検出部50からスイッチング素子200の動作温度Tを読み取り、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の特性式に代入し、動作時の閾値電圧Vthを算出する。
次に、ゲート電圧制御部10は、閾値電圧算出部70で算出された動作時の閾値電圧Vthに基づいて、当該閾値電圧Vthをわずかに超えるゲート電圧をゲート電極に印加する(ゲート電圧を制御する。
図8(b)参照。)。これにより、スイッチング素子200のオン/オフ動作を制御する。
【0051】
なお、実施形態1に係るパワーモジュール1においては、逐次スイッチング素子200の温度に追従してゲート電圧を制御してもよいし、所定時間ごとにスイッチング素子200の動作温度を検出して動作時の閾値電圧を算出し、当該動作時の閾値電圧に基づいてゲート電圧を制御してもよい。
【0052】
(3)劣化判定モード
実施形態1に係るパワーモジュール1は、所定のタイミングで(例えば、制御モードを所定時間実施する毎に)、劣化判定モードを実施する。劣化判定部60は、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報、並びに、初期ΔVgs、劣化判定モードにおいて検出されたΔVgs、初期動作温度T
0、及び、劣化判定モードにおいて温度検出部50で検出されたスイッチング素子200の動作温度Tを含む情報に基づいて劣化を判定する。
劣化判定モードにおいては、(3−1)1回目の閾値電圧測定、(3−2)ストレス用電流供給、(3−3)2回目の閾値電圧測定、(3−4)ΔVgs算出、(3−5)規格判定(劣化判定)の順に工程を実施する。このうち、(3−1)1回目の閾値電圧測定から(3−3)2回目の閾値電圧測定までの方法は、初期測定モードにおける(1−1)1回目の閾値電圧測定から(1−3)2回目の閾値電圧測定までの方法と同様の方法である。すなわち、劣化判定モードにおいて、(3−1)1回目の閾値電圧測定により、このときのスイッチング素子200の動作温度T
1及び検出した閾値電圧Vth
2を記憶部40へ記憶し(
図9参照。)、(3−2)初期測定モードにおけるストレス用電流供給の場合と同様の条件でストレス用電流Isを供給し、その後、(3−3)2回目の閾値電圧測定によって、閾値電圧Vth
3を検出し、検出した閾値電圧Vth
3を記憶部40へ記憶する(
図10参照。)。
【0053】
(3−4)ΔVgs算出
ΔVgs算出部62は、記憶部40から送信された、初期動作温度T
0、劣化判定モードにおける1回目の閾値電圧測定により記憶部40に記憶されたスイッチング素子200の動作温度T
1及び閾値電圧Vth
2、2回目の閾値電圧測定により記憶部40に記憶された閾値電圧Vth
3に基づいてΔVgsを算出する(
図10参照。)。
具体的には、まず劣化判定部60(ΔVgs算出部62)は、記憶部40から、(初期測定モードで検出した)スイッチング素子200の初期閾値電圧Vth
0、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0、劣化判定モードにおける1回目の閾値電圧測定において記憶部40に記憶されたスイッチング素子200の動作温度T
1及び閾値電圧Vth
2、2回目の閾値電圧測定において記憶部40に記憶された閾値電圧Vth
3を含む情報、並びに、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報(温度係数αを含む)を読み取り、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の特性式に代入して、温度補正された閾値電圧Vth
2’及びVth
3’を算出する。
次に、温度補正された閾値電圧Vth
2’からVth
3’を引き算してΔVgsを算出する。算出されたΔVgsは規格判定部64に送信される。
【0054】
(3−5)規格判定(劣化判定)
次に、規格判定部64は、記憶部40から初期ΔVgs及び規格値を読み取り、そして、ΔVgs算出部62から送信されたΔVgsに基づいて、(ΔVgs−初期ΔVgs)を算出し、その値と規格値とを比較する。そして、アラーム部80は、劣化判定部60(規格判定部64)による劣化の検出結果を外部に表示する。実施形態1に係るパワーモジュール1は、(ΔVgs−初期ΔVgs)が規格値よりも小さい場合には、劣化していないと判断し、制御モードに戻る。(ΔVgs−初期ΔVgs)が規格値よりも大きい場合には、アラーム部80から外部のアラーム(図示せず。)に向かって警報信号を送出する。
【0055】
3.実施形態1に係るパワーモジュール1の効果
実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧とストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードを実施するように構成されているため、実使用時(動作時)に劣化を判定することができ、劣化した状態で使用を続けることに起因してデバイスが破損することを防ぐことができる。
【0056】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧とストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードを実施するように構成されているため、デバイスを使用する者が、劣化するタイミングを知ることができ、そのタイミング(劣化する段階のタイミング)でデバイスを交換することができるため、劣化するタイミングを知ることができ劣化する前に定期的にデバイスを交換する必要がなくなる。従って、交換頻度が低くなるため、稼働率を高くすることができ、かつ、コストを低く抑えることができる。
【0057】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1は、劣化判定モードにおいて、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧Vth
2と、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧Vth
3とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgs及び初期ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定部60を備える。このような構成とすることによって、製造バラツキに起因してスイッチング素子200の閾値電圧にバラツキがあったとしても、パワーモジュールに実際に備えたスイッチング素子200の実際の閾値電圧を測定することができるため、ΔVgsを正確に算出することができる。その結果、実使用時に劣化を正確に判定することができる。
【0058】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、劣化判定部60は、初期測定モードにおいて、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給する前に検出された閾値電圧である初期閾値電圧Vth
0と、ストレス用電流Isをスイッチング素子200に供給した後に検出された閾値電圧Vth
1とを含む情報に基づいて初期ΔVgsを算出するため、スイッチング素子の製造バラツキによって実際の閾値電圧が設計上の閾値電圧から変動していた場合でも、実際の閾値電圧に基づいて(設計値ではなく、バラツキがあった場合でもそのスイッチング素子に対応した現実の)ΔVgsを算出することができる。従って、設計値ではなく、実際の劣化を正確に判定することができる。
【0059】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、ゲート電圧制御部10は、制御モードにおいて、スイッチング素子200をオン状態とするときに、初期測定モードで測定された初期閾値電圧Vth
0を含む情報に基づいてゲート電圧を制御するため、実際の閾値電圧がスイッチング素子200の製造バラツキによって設計上の閾値電圧から変動していた場合でも、制御モードにおいて、スイッチング素子200をオン状態とするときに、実際の閾値電圧に基づいて実際の閾値電圧をわずかに超えるゲート電圧をゲート電極に印加することができる。従って、あらかじめ設計された閾値電圧を大きく超えるゲート電圧をゲート電極に印加する場合(比較例。
図8(a)参照。)と比較して、ターンオン期間及びターンオフ期間を短くすることができるため、スイッチング速度を速くすることができ、その結果、スイッチング素子200のスイッチング損失を小さくすることができる。
【0060】
ところで、一般的に、スイッチング素子200の実際の閾値電圧は、スイッチング素子200の温度変動に起因して初期閾値電圧Vth
0から変動すること、及び、ΔVgsが比較的小さいことから、実際のΔVgsを正確に算出することは難しいが、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、劣化判定部60は、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性に関する情報、並びに、初期ΔVgs、劣化判定モードにおいて検出されたΔVgs、初期動作温度T
0、及び、劣化判定モードにおいて温度検出部50で検出されたスイッチング素子200の動作温度Tを含む情報に基づいて劣化を判定するため、温度変動を考慮して閾値電圧を算出することができ、比較的小さい値になる実際のΔVgsを正確に算出することができる。
【0061】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、閾値電圧算出部70は、温度検出部50によって検出されたスイッチング素子200の動作温度Tを含む情報に基づいてスイッチング素子200の動作時の閾値電圧Vthを算出し、ゲート電圧制御部10は、制御モードにおいて、スイッチング素子200をオンするときに、閾値電圧算出部70によって算出された動作時の閾値電圧Vthに基づいてゲート電圧を制御するため、動作時のスイッチング素子200の動作温度Tがスイッチング素子200の初期動作温度T
0よりも高くなることに起因して動作時の閾値電圧Vthが初期閾値電圧Vth
0から変動する場合でも、動作時の閾値電圧Vthをわずかに超える電圧をゲート電極に印加することができる。従って、ターンオン期間及びターンオフ期間を短くすることができ、その結果、スイッチング損失を小さくすることができる。
【0062】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、GaNを含む材料により形成されたスイッチング素子のようにゲート電極の絶対最大定格電圧と閾値電圧との差が小さい場合であっても、動作時の閾値電圧Vthをわずかに超える電圧をゲート電極に印加することができる。従って、ターンオン期間及びターンオフ期間を短くすることができ、その結果、スイッチング損失を小さくすることができる。また、閾値電圧Vthが温度変動することに起因して「閾値電圧(設計上の閾値電圧)をわずかに超えるゲート電圧をゲート電極に印加してもスイッチング素子200がオン状態にならない現象」が発生することを防ぐことができ、その結果、スイッチング素子200のオン/オフ動作を確実に制御することができる。
【0063】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、劣化判定モードにおいて、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング電流検出部20によるスイッチング電流Idの検出結果に基づいてスイッチング素子200のオン/オフ状態を判定するため、スイッチング素子200の閾値電圧を簡便に、かつ、確実に測定することができる。
【0064】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、劣化判定部60による劣化の検出結果を外部に表示するアラーム部80を備えるため、デバイスの実使用時においても外部から劣化を知ることができる。
【0065】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、劣化判定モードにおいてスイッチング素子200にストレス用電流Isを供給するストレス用電流供給部102を備えるため、初期測定モードと劣化判定モードとで同じ条件の電力をスイッチング素子200に供給することができる。このため、ΔVgsと初期ΔVgsとの差を正確に算出することができ、正確に劣化を判定することができる。
【0066】
また、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、ゲート電圧制御部10は、劣化判定モード及び初期測定モードにおいては、ゲート電圧が時間経過に伴って階段状に高くなるようにゲート電圧を制御するため、スイッチング素子200の閾値電圧を効率的に、かつ、確実に測定することができる。
【0067】
さらにまた、実施形態1に係るパワーモジュール1によれば、スイッチング素子200がGaNを含む材料により形成されたものであるため、スイッチング素子200のオン抵抗が低くなり、導通損失が小さいパワーモジュールとすることができる。
【0068】
[実施形態2]
実施形態2に係るパワーモジュール(図示せず。)は、基本的には実施形態1に係るパワーモジュール1と同様の構成を有するが、温度特性算出部を備える点で実施形態1に係るパワーモジュール1の場合とは異なる。実施形態2に係るパワーモジュールは、制御モードを所定時間実施した後に、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性を測定する温度特性測定モードを実施する。
【0069】
温度特性算出部90は、温度検出部50及び記憶部40と接続されており、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性を算出する(
図11参照。)。
【0070】
温度特性測定モードにおいては、以下のような動作を行う。
制御モードを所定時間実施した後に、駆動電源420から電流供給をしない状態で計測用電流供給部100からスイッチング素子200のドレイン電極に計測用電流Imを供給する。
次に、ゲート電圧制御部10は、想定されている(動作時の)閾値電圧よりも低い電圧をゲート電極に印加するようにゲート電圧を制御する。このとき、スイッチング電流検出部20によってスイッチング電流は検出されない(スイッチング電流の値が0である)ため、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオフ状態であると判定する。オン/オフ状態判定部30によってスイッチング素子200がオフ状態であると判定すると、ゲート電圧制御部10は、ゲート電圧が一段階高くなるようにゲート電圧を制御する(
図4参照。)。
これを繰り返してゲート電圧が段階的に高くなるように(具体的には階段状に高くなるように)していき、スイッチング電流検出部20によってスイッチング電流が検出されたとき(スイッチング電流の値が0でなくなったとき)、オン/オフ状態判定部30は、スイッチング素子200がオン状態であると判定する。このとき、温度検出部50で検出されたスイッチング素子200の動作温度T
2を記憶部40へ送信し、記憶部40が記憶する(
図1参照。)。また、ゲート電圧制御部10は、ゲート電極に印加したゲート電圧Vgsを温度特性測定時閾値電圧Vth
4として記憶部40へ送信し、記憶部40は、当該ゲート電圧Vgsを温度特性測定時閾値電圧Vth
4として記憶する。
【0071】
次に、温度特性算出部90は、記憶部40から、初期閾値電圧Vth
0、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0及び温度特性測定時閾値電圧Vth
4を含む情報を読み取るとともに、温度特性測定モードにおいて温度検出部50から検出されたスイッチング素子200の動作温度T
2を読み取り、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の特性式にVth=Vth
4、及び、T=T
2をそれぞれ代入して、温度特性(具体的には温度係数α)を算出する。算出された温度係数αは記憶部40に記憶される。
【0072】
制御モードにおいては、閾値電圧算出部70は、温度特性測定モードで算出された温度係数α、温度検出部50で検出されたスイッチング素子200の動作温度T、記憶部40に記憶されている初期閾値電圧Vth
0及び初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0に基づいて動作時の閾値電圧Vthを算出し、当該閾値電圧Vthに基づいてゲート電圧を制御する。また、劣化判定モードにおいては、2回目の閾値電圧測定をした値に温度特性測定モードで測定された温度特性を用いて、温度補正された閾値電圧Vth
2’及びVth
3’を算出する。
【0073】
このように、実施形態2に係るパワーモジュールは、温度特性算出部をさらに備える点で実施形態1に係るパワーモジュール1の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワーモジュール1の場合と同様に、ストレス用電流をスイッチング素子に供給する前に検出された閾値電圧とストレス用電流をスイッチング素子に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードを実施するように構成されているため、ΔVgsを算出し、当該ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードを実施するように構成されているため、実使用時(動作時)に劣化を判定することができ、劣化した状態でデバイスの使用を続けることに起因してデバイスが破損することを防ぐことができる。
【0074】
また、実施形態2に係るパワーモジュールによれば、温度特性算出部90を備え、温度特性算出部90は、初期閾値電圧Vth
0、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0、温度特性測定モードにおいて温度検出部50によって検出されたスイッチング素子200の動作温度T
2、及び、温度特性測定時閾値電圧Vth
4を含む情報に基づいてスイッチング素子200における閾値電圧の温度特性を算出するため、スイッチング素子200における閾値電圧の温度特性にバラツキがあった場合であっても、劣化判定モードにおいて、スイッチング素子200の温度特性のバラツキを考慮して正確に閾値電圧を算出することができ、その結果、ΔVgsをより一層正確に算出することができる。
【0075】
また、実施形態2に係るパワーモジュールによれば、温度特性算出部90を備え、温度特性算出部90は、初期閾値電圧Vth
0、初期閾値電圧Vth
0を測定したときのスイッチング素子200の初期動作温度T
0、温度特性測定モードにおいて温度検出部50によって検出されたスイッチング素子200の動作温度T、及び、温度特性測定時閾値電圧Vth
4を含む情報に基づいてスイッチング素子200における閾値電圧の温度特性を算出するため、実際の温度特性がスイッチング素子200の製造バラツキによって設計上の温度特性から変動していた場合であっても、動作時の閾値電圧を正確に算出することができ、動作時の閾値電圧Vthをわずかに超える電圧を正確にゲート電極に印加することができる。従って、ターンオン期間及びターンオフ期間を短くすることができ、その結果、スイッチング損失を小さくすることができる。
【0076】
なお、実施形態2に係るパワーモジュールは、温度特性算出部をさらに備える点以外の点においては実施形態1に係るパワーモジュール1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパワーモジュール1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0077】
[実施形態3]
実施形態3に係るパワーモジュール2は、基本的には実施形態1に係るパワーモジュール1と同様の構成を有するが、ストレス用電流供給部を備えない点で実施形態1に係るパワーモジュール1の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係るパワーモジュール3においては、パワー回路400は、供給する電力が一定であり、劣化判定モードにおいて、ストレス用電流Isは、駆動電源420から供給される(
図12参照。)。
【0078】
パワー回路400は、負荷抵抗410の抵抗値及び駆動電源420の電圧値が一定であるため、供給する電力が一定である。劣化判定モードにおいては、1回目の閾値電圧を測定した後、駆動電源420により一定期間、電力を供給した後(ストレス用電流Isに対応)、駆動電源420をオフにして2回目の閾値電圧を測定することによりΔVgsを算出する。
【0079】
このように、実施形態3に係るパワーモジュール2は、ストレス用電流供給部を備えない点で実施形態1に係るパワーモジュール1の場合とは異なるが、実施形態1に係るパワーモジュール1の場合と同様に、ストレス用電流をスイッチング素子に供給する前に検出された閾値電圧とストレス用電流をスイッチング素子に供給した後に検出された閾値電圧とを含む情報に基づいてΔVgsを算出し、当該ΔVgsを含む情報に基づいて劣化を判定する劣化判定モードを実施するように構成されているため、実使用時(動作時)に劣化を判定することができ、劣化した状態で使用を続けることに起因してデバイスが破損することを防ぐことができる。
【0080】
また、実施形態3に係るパワーモジュール2によれば、ストレス用電流供給部を備えないため、ストレス用電流供給部を備える場合よりもレイアウト及び回路構成が簡便となり、小型化したデバイスとすることができる。
【0081】
なお、実施形態3に係るパワーモジュール2は、ストレス用電流供給部を備えない点以外の点においては実施形態1に係るパワーモジュール1と同様の構成を有するため、実施形態1に係るパワーモジュール1が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0082】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0083】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0084】
(2)上記各実施形態においては、制御モードで用いる閾値電圧を測定する際に計測用電流供給部100からスイッチング素子200に計測用電流Imを供給したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スイッチング素子200のドレイン電極と接続された閾値電圧測定用電源104を設け、スイッチング素子200のドレイン電極に閾値電圧測定用の電流を供給することにより、制御モードで用いる閾値電圧を測定してもよい(変形例1に係るパワーモジュール3、
図13参照。)。このような構成とすることにより、ΔVgsを測定する際に用いる計測用電流供給部100から供給される電流とは異なる条件(電流量、電圧等)で閾値電圧を測定することができるため、制御モードで用いる閾値電圧を正確に測定することができる。
【0085】
(3)上記各実施形態においては、初期測定モード、制御モード及び劣化判定モードを実施するパワーモジュールとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御モード及び劣化判定モードのみを実施するパワーモジュールとしてもよい。このとき、初期閾値電圧Vth
0及び初期ΔVgsはあらかじめ記憶部に記憶されている。
【0086】
(4)上記各実施形態においては、制御モードでは、動作時の閾値電圧を算出し、当該動作時の閾値電圧に基づいてゲート電圧を制御したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御モードでは、初期閾値電圧に基づいてゲート電圧を制御してもよい(変形例2に係るパワーモジュール4、
図14参照。)。
【0087】
(5)上記各実施形態においては、スイッチング素子における閾値電圧の温度特性に関する情報を、Vth=Vth
0−α(T−T
0)の関係を満たす特性式としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、スイッチング素子における閾値電圧の温度特性に関する情報を、別の特性式としてもよいし、あらかじめ記憶部に記憶された温度−閾値電圧の関係(1対1)を示すデータであるとしてもよい。
【0088】
(6)上記各実施形態においては、初期測定モード及び劣化判定モードにおいて、ゲート電圧制御部10は、ゲート電圧が時間経過に伴って階段状に高くなるようにゲート電圧を制御したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ゲート電圧制御部10は、ゲート電圧が時間経過に伴って振幅の大きなパルスとなるパルス状の電圧になるようにゲート電圧を制御してもよい(
図15参照。)。
【0089】
(7)上記各実施形態において、パワーモジュールが1つのスイッチング素子を備えることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。パワーモジュールが複数のスイッチング素子を備えてもよい。この場合、パワーモジュールは当該複数のスイッチング素子を制御してもよい。
【0090】
(8)上記各実施形態において、スイッチング素子は、GaNを含む材料により形成されたものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。スイッチング素子は、SiCやGa
2O
3等のワイドギャップ半導体を含む材料や、シリコンを含む材料により形成されたものであってもよい。
【0091】
(9)上記実施形態においては、スイッチング素子として、MOSFETを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。スイッチング素子として、MOSFET以外のスイッチング素子(例えば、HEMT、IGBT等)を用いてもよい。
【0092】
(10)上記各実施形態において、パワーモジュールの制御回路とパワー回路とを別々の半導体基体に形成してもよいし、パワーモジュールの制御回路とパワー回路とを同一の半導体基体に形成してもよい。また、スイッチング素子とスイッチング素子以外の回路部とを別々の半導体基体に形成してもよいし、スイッチング素子(例えば、GaNの横型構造の半導体素子)とスイッチング素子以外の回路部とを同一の半導体基体に形成してもよい。