(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられたにおいセンサーが検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、前記ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した前記被介護者の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部をさらに有し、
前記処理時点特定部は、前記被介護者が前記ベッドの上にいることを前記位置情報が示している間に前記におい変化情報に基づいて前記においが弱くなったと判定される時点を前記処理時点として特定する、
請求項7又は8に記載の介護支援装置。
前記情報出力部は、前記介護業務を実施することが推薦される時を、前記介護者が属する施設において前記介護者が前記介護業務を行うことが許可されている時間帯内に割り当てる、
請求項1から14のいずれか一項に記載の介護支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被介護者が排泄をした場合、できるだけ早く排泄物を処理することが被介護者にとっては望ましい。しかしながら、介護者は多数の業務を抱えていることが多いので、常に迅速に排泄物を処理できるとは限らない。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるように支援する介護支援装置、介護支援方法、プログラム及び介護支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有する。
【0007】
前記情報出力部は、前回の前記排泄時点からの経過時間を前記推薦情報として出力してもよい。
【0008】
前記情報出力部は、過去の複数の前記排泄時点に基づいて、次に前記被介護者が排泄する可能性がある時間帯を特定し、特定した時間帯を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0009】
前記排泄特定部は、前記排泄時点の前記排泄物の状態をさらに特定し、前記情報出力部は、前記排泄特定部が特定した前記状態にさらに基づいて前記推薦情報を作成してもよい。
【0010】
前記情報出力部は、前記排泄時点から前記排泄物の処理を実施するまでの時間として望ましい対応目安時間を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0011】
前記情報出力部は、前記対応目安時間が閾値以下である場合に、前記排泄物の処理を急ぐべき理由を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0012】
前記介護者が前記排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する処理時点特定部をさらに有し、前記情報出力部は、過去の前記排泄時点から、当該排泄時点の直後の前記処理時点までの経過時間に基づいて前記対応目安時間を決定してもよい。
【0013】
前記情報出力部は、複数の前記介護者のうち所定の条件を満たす一以上の前記介護者が前記排泄物の処理を実施した前記処理時点に基づいて前記対応目安時間を決定してもよい。
【0014】
前記介護支援装置は、前記被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられたにおいセンサーが検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、前記ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した前記被介護者の位置を示す位置情報と、を取得する情報取得部をさらに有し、前記処理時点特定部は、前記被介護者が前記ベッドの上にいることを前記位置情報が示している間に前記におい変化情報に基づいて前記においが弱くなったと判定される時点を前記処理時点として特定してもよい。
【0015】
前記情報出力部は、過去の複数の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄に関する傾向を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0016】
前記被介護者に対する投薬の内容及び時刻を示す投薬情報を取得する情報取得部をさらに有し、前記情報出力部は、前記投薬情報にさらに基づいて前記推薦情報を作成してもよい。
【0017】
前記排泄特定部は、複数の前記被介護者に関連付けて複数の前記排泄時点を特定し、前記情報出力部は、前記複数の被介護者の前記複数の排泄時点に基づいて、前記介護者が前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を作成してもよい。
【0018】
前記情報出力部は、複数の前記介護者に関連付けて、前記複数の被介護者それぞれに対する前記介護業務を実施することが推薦される時を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0019】
前記情報出力部は、前記介護業務として、前記排泄物の処理及び前記被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す前記推薦情報を出力してもよい。
【0020】
前記情報出力部は、前記介護業務を実施することが推薦される時を、前記介護者が属する施設において前記介護者が前記介護業務を行うことが許可されている時間帯内に割り当ててもよい。
【0021】
前記情報出力部は、前記介護者が所属する介護施設に対して設定された人員配置基準を満たすように前記推薦情報を作成してもよい。
【0022】
本発明の第2の態様の介護支援方法は、コンピュータが実行する、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定するステップと、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成するステップと、作成した前記推薦情報を出力するステップと、を有する。
【0023】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータを、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部、及び前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部、として機能させる。
【0024】
本発明の第4の態様の介護支援システムは、情報を表示可能な情報端末と、前記情報端末に対して推薦情報を出力する介護支援装置と、を備え、前記介護支援装置は、被介護者の近傍に設けられたセンサーからの情報に基づいて、前記被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部と、前記被介護者の過去の前記排泄時点に基づいて、前記被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を前記被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した前記推薦情報を出力する情報出力部と、を有し、前記情報端末は、前記推薦情報を表示する表示部を有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、介護者が適切なタイミングで被介護者の排泄物を処理できるようになるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[介護支援システムS1の概要]
図1は、介護支援システムS1の概要を説明するための図である。介護支援システムS1は、例えば介護施設又は病院のように被介護者を介護する必要がある施設(以下、「介護施設等」という。)において介護者の介護業務を支援するためのシステムである。被介護者は、例えば要介護状態にある高齢者のように、自分自身で排泄物の処理をすることができず、おむつを着用している人である。介護者は、被介護者の排泄物の処理(すなわちおむつの交換)、被介護者への食事の提供、被介護者への投薬の管理、被介護者の入浴支援などの介護業務を行う人である。
【0028】
なお、以下の実施形態では、主として高齢者などの被介護者に対する介護支援を目的とした介護支援システムS1を例に説明を行うが、同システムは病人や乳幼児を対象とした排泄物の処理においても同様に適用可能である(すなわち、本発明における「被介護者」には、いわゆる高齢の被介護者だけでなく、病人又は乳幼児等も含まれ得る)。
【0029】
介護支援システムS1は、センサー1と、情報端末2と、介護支援装置3とを備える。センサー1、情報端末2及び介護支援装置3は、ネットワークNに接続されている。ネットワークNは、例えば介護施設等に設けられた無線通信ネットワークである。センサー1及び情報端末2は、ネットワークNを介して介護支援装置3との間で各種の情報を送受信することができる。
図1においては1つのセンサー1及び1つの情報端末2のみが示されているが、介護支援システムS1は、複数のセンサー1及び複数の情報端末2を含んでもよい。
【0030】
センサー1は、検出したにおいの種別及び強度に応じた情報を含むにおい信号を生成するセンサーである。センサー1は、例えば被介護者のベッド又は被介護者の着衣のように被介護者の近傍に設けられている。センサー1は、被介護者の周辺に所定のにおい成分が存在することを示すにおい検出情報を生成し、介護支援装置3に対してにおい検出情報を送信する。センサー1は、例えば所定のレベル以上のにおい成分を検出した時点でにおい検出情報を送信してもよく、においが一定レベル以上変化したことを条件としてにおい検出情報を送信してもよい。
【0031】
情報端末2は、介護者が使用する情報端末であり、例えばタブレット、スマートフォン、又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、介護者が行った介護業務の内容の入力を受け付けたり、介護支援装置3から受信した情報を表示したりする。
【0032】
介護支援装置3は、例えばコンピュータであり、センサー1から送信されたにおい信号に基づいて、介護者の介護業務を支援するために有用な各種の情報を作成し、作成した情報を出力する。介護支援装置3が作成する情報は、例えば、実行すべき介護業務の内容、又は介護業務を実行すべき時刻を介護者に推薦するための推薦情報である。推薦情報は、介護者に推薦することを明示する情報に限られず、介護者が介護業務を実行するために有用な任意の情報が含まれる。
【0033】
介護支援装置3は、介護者に推薦する情報以外の情報を作成してもよい。介護支援装置3は、例えば、複数のセンサー1が使用するベッドに設けられた複数のセンサー1から受信したにおい信号に基づいて被介護者の排泄タイミングの傾向を特定し、特定した傾向に基づいて、介護施設等における業務分担及び要員計画等に関する情報を作成する。
【0034】
介護支援装置3は、作成した情報を各種の方法で出力する。介護支援装置3は、例えば、作成した情報をディスプレイに表示したり、介護者が使用する情報端末等の外部装置に送信したり、プリンタに印刷させたりすることにより情報を出力する。
以下、センサー1、情報端末2及び介護支援装置3の構成及び動作を詳細に説明する。
【0035】
[センサー1の構成]
図2は、センサー1の構成を示す図である。センサー1は、検出部11と、制御部12と、通信部13とを有する。
【0036】
検出部11は、所定のにおい成分の強度を示すにおい信号を生成する。検出部11は、においの種別をさらに示すにおい信号を生成してもよい。検出部11は、生成したにおい信号を制御部12に入力する。
【0037】
制御部12は、検出部11から入力されたにおい信号に基づいてにおい検出情報を作成する。制御部12は、例えば、におい信号のレベルが所定のレベル以上である場合に、においを検出中であることを示すテキストデータを含むにおい検出情報を作成する。制御部12は、におい信号のレベルが、におい成分を検出していないことを示すレベルから所定値以上大きくなった場合に、においを検出したことを示すテキストデータを含むにおい検出情報を作成してもよい。
【0038】
制御部12は、においを検出したことを示すテキストデータとともに時刻を示すデータを含むにおい検出情報を作成してもよい。また、検出部11が、検出したにおいの種別を示すにおい信号を出力する場合、制御部12は、においの種別を示すテキストデータを含むにおい検出情報を作成してもよい。制御部12は、作成したにおい検出情報を通信部13に入力する。
【0039】
通信部13は、制御部12から入力されたにおい検出情報をネットワークNを介して介護支援装置3に送信するための通信インタフェースを含む。通信部13は、例えばBluetooth(登録商標)の規格で定められた手順でにおい信号を送信するためのコントローラを有しており、ネットワークNに接続された無線ルーターを介して、介護支援装置3に対してにおい信号を送信する。
【0040】
[情報端末2の構成]
図3は、情報端末2の構成を示す図である。情報端末2は、通信部21と、表示部22と、操作部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。
【0041】
通信部21は、ネットワークNを介して介護支援装置3との間で各種の情報を送受信するための通信インタフェースを含む。通信部21は、例えばWi−Fi(登録商標)の規格で定められた手順で情報を送受信するためのコントローラを有しており、ネットワークNに接続された無線ルーターを介して介護支援装置3との間で情報を送受信する。
【0042】
表示部22は、介護者が行った介護業務の内容を入力するための画面を表示したり、介護支援装置3から受信した推薦情報等の各種の情報を表示したりする。表示部22は、情報端末2にインストールされたアプリケーションソフトウェアを制御部25が実行することにより各種の画面を表示してもよく、介護支援装置3から送信された画面を表示してもよい。
【0043】
図4は、介護業務の一つである被介護者の排泄物の処理の内容を入力するための画面の一例を示す図である。
図4に示す例においては、排泄物が便であるか尿であるか、排泄物の量、おむつを交換した時刻である処理時刻を介護者が入力するための画面が表示されている。
【0044】
操作部23は、情報端末2のユーザである介護者の操作を受け付けためのデバイスであり、例えば、表示部22に重ねて設けられたタッチパネルである。操作部23は、受け付けた操作内容を制御部25に通知する。
【0045】
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む記憶媒体である。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部24は、介護支援装置3から受信した推薦情報等の各種の情報を記憶する。
【0046】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む。制御部25は、記憶部24に記憶されたプログラムを実行することにより、介護支援装置3から受信した推薦情報を表示部22に表示させたり、介護者が操作部23において行った操作の内容を特定し、特定した内容に応じた処理を実行したりする。制御部25は、例えば、介護者がおむつを交換したことを入力した場合、おむつの交換等の処理が行われたことを示す介護処理実施情報を作成し、通信部21を介して介護支援装置3に送信する。介護処理実施情報には、介護者により入力された排泄物の状態が含まれていてもよい。排泄物の状態は、例えば排泄物の種別(便又は尿)、排泄物の量、又は排泄物の色等である。
【0047】
[介護支援装置3の構成]
図5は、介護支援装置3の構成を示す図である。介護支援装置3は、通信部31と、表示部32と、操作部33と、記憶部34と、制御部35とを有する。制御部35は、情報取得部351と、排泄特定部352と、処理時点特定部353と、情報出力部354とを有する。
【0048】
通信部31は、ネットワークNを介してセンサー1との間で情報を送受信するための通信インタフェースである。通信部31は、例えばネットワークNに接続するための通信コントローラを有する。通信部31は、センサー1から受信したにおい検出情報を制御部35に通知する。
【0049】
表示部32は、情報を表示するデバイスであり、例えばディスプレイである。表示部32は、介護支援装置3のユーザ(例えば介護施設等の管理者)に提示するべき情報を表示する。
【0050】
操作部33は、介護支援装置3のユーザによる操作を受け付けるためのデバイスであり、マウス、キーボード又はタッチパネル等である。操作部33は、操作内容を示す信号を制御部35に入力する。
【0051】
記憶部34は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部34は、例えば制御部35が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部34は、被介護者に関する情報を含む被介護者データベース、及び介護者に関する情報を含む介護者データベースを記憶している。
【0052】
図6は、被介護者データベースの一例を示す図である。
図6に示す被介護者データベースにおいては、被介護者の氏名と、被介護者それぞれの留意事項と、対応目安時間と、前回の排泄時刻と、排泄物の処理が行われた直近の時刻(処理時刻)と、次に排泄されることが予測される時刻(次回予測排泄時刻)とが関連付けられている。
【0053】
留意事項欄において、「肌かぶれ」に〇が付されている被介護者は、排泄物により肌かぶれが起こりやすいことを示しており、「漏れ」に〇が付されている被介護者は、おむつから排泄物が漏れやすいことを示している。対応目安時間の詳細については後述するが、例えば排泄時点から排泄物の処理を実施するまでに許容される時間である。留意事項に該当する被介護者の対応目安時間は、留意事項に該当しない被介護者の対応目安時間よりも短い。
【0054】
被介護者データベース内のデータのうち、氏名、留意事項、対応目安時間は、例えば介護施設等の管理者によって入力される。詳細については後述するが、前回排泄時刻、処理時刻、次回予測排泄時刻は、センサー1及び情報端末2から取得したデータに基づいて制御部35が登録する。
【0055】
制御部35は、例えばCPU等のプロセッサを有する。制御部35は、記憶部34に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部351、排泄特定部352、処理時点特定部353及び情報出力部354として機能する。
【0056】
情報取得部351は、通信部31を介して受信した各種の情報を取得する。情報取得部351は、例えば、センサー1が送信したにおい検出情報を取得し、取得したにおい検出情報を排泄特定部352に通知する。また、情報取得部351は、情報端末2が送信した介護処理実施情報を取得し、取得した介護処理実施情報を処理時点特定部353に通知する。情報取得部351は、介護処理実施情報を排泄特定部352に通知してもよい。
【0057】
排泄特定部352は、情報取得部351から通知されたにおい検出情報に基づいて、被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する。排泄特定部352は、例えば、においを検出したことを示すにおい検出情報を受信した時刻が排泄時点であると特定する。また、排泄特定部352は、過去のにおい検出情報の機械学習に基づく学習済みモデルを用いて、におい検出情報の信号パターンを解析することにより排泄時点を特定してもよい。排泄特定部352は、特定した排泄時点を情報出力部354に通知する。なお、排泄特定部352は、時間軸上の1点(時刻)を排泄時点として特定してもよいし、一定の幅をもった時間帯として排泄時点を特定してもよい。
【0058】
排泄特定部352は、排泄時点の排泄物の状態をさらに特定してもよい。排泄特定部352は、例えば、におい検出情報に含まれているにおい成分の種別を示す情報に基づいて、排泄物の種別が便であるか尿であるかを特定する。排泄特定部352は、におい検出情報が示すにおいの強度を示す情報に基づいて、排泄物の量をさらに特定してもよい。
【0059】
排泄特定部352は、情報取得部351から介護処理実施情報の通知を受けた場合、介護処理実施情報に含まれている情報に基づいて、排泄物の種別を特定してもよい。排泄特定部352は、例えば介護処理実施情報に含まれている、介護者が情報端末2において入力した排泄物の内容及び量に基づいて排泄物の種別を特定する。
【0060】
介護施設等に多数の被介護者がいる場合、排泄特定部352は、複数の被介護者に関連付けて複数の排泄時点を特定する。排泄特定部352は、被介護者に関連付けて排泄時点を記憶部34の被介護者データベースに記憶させる。
【0061】
処理時点特定部353は、介護者が排泄物の処理を実施した時点である処理時点を特定する。処理時点特定部353は、例えば、おむつの交換が実施されたことを示す介護処理実施情報を受信した時刻が処理時点であると特定する。処理時点特定部353は、情報取得部351から通知された介護処理実施情報に含まれている時刻情報が示す時刻が処理時点であると特定してもよい。処理時点特定部353は、特定した処理時点を情報出力部354に通知する。
【0062】
情報出力部354は、排泄特定部352又は処理時点特定部353から通知された情報に基づいて各種の情報を作成し、作成した情報を出力する。情報出力部354は、情報取得部351から通知された被介護者の過去の排泄時点に基づいて、被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を被介護者の介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した推薦情報を出力する。情報出力部354は、推薦情報を情報端末2に送信したり、表示部32に表示させたり、プリンタに印刷させたりする。
【0063】
[推薦情報の表示画面の第1例]
図7は、情報出力部354が出力する推薦情報を含む画面の一例を示す図である。
図7においては、複数の被介護者それぞれに関連付けて、部屋番号、排泄物の種別及び量、排泄物が検知された時刻(すなわち排泄時点)、排泄時点からの経過時間、次に排泄が行われる見込みの時刻、及び留意事項が表示されている。
【0064】
このように、情報出力部354は、例えば前回の排泄時点からの経過時間を推薦情報として出力する。また、情報出力部354は、過去の複数の排泄時点に基づいて、次に被介護者が排泄する可能性がある時間帯を特定し、特定した時間帯を示す推薦情報を出力する。情報出力部354がこのような推薦情報を出力することで、推薦情報を見た介護者が、次におむつを交換する時間を把握したり、介護施設等の管理者が、次におむつを交換する介護者を適切に割り当てたりすることが可能になる。
【0065】
情報出力部354は、排泄特定部352が特定した排泄物の状態にさらに基づいて推薦情報を作成してもよい。具体的には、情報出力部354は、被介護者が排泄した排泄物が便であるか尿であるかを示す情報、及び次に排泄される見込みの排泄物が便であるか尿であるかを示す情報を含む推薦情報を作成する。情報出力部354がこのような推薦情報を作成することで、介護者が介護業務の計画をさらに立てやすくなる。
【0066】
情報出力部354は、排泄時点から排泄物の処理を実施するまでの時間(以下、「対応時間」という場合がある)として望ましい対応目安時間を示す推薦情報を出力してもよい。対応目安時間は、排泄物が排泄されてからおむつの交換を完了するまでに許容される目安の時間であり、予め被介護者に関連付けて記憶部34に記憶されている。排泄物によってかぶれやすい被介護者、排泄物がおむつから漏れやすい被介護者の対応目安時間は、他の被介護者の対応目安時間よりも短く設定されている。
【0067】
情報出力部354は、対応目安時間が閾値以下である場合に、排泄物の処理を急ぐべき理由を示す推薦情報を出力してもよい。閾値は、例えば、介護者が他の介護業務を停止してでも排泄物の処理をする必要が生じ得る時間であり、一例として15分である。情報出力部354は、対応目安時間が閾値以下である場合に、例えば、被介護者が排泄物によってかぶれやすいといった理由、又は排泄物がおむつから漏れやすいといった理由を含む推薦情報を出力する。情報出力部354が、このように理由を含む推薦情報を出力することで、推薦情報を視認した介護者が急ぐべき理由を理解することができるので、仕掛中の業務との優先順位を適切に判断しやすくなる。
【0068】
情報出力部354は、過去の複数の排泄時点に基づいて、被介護者の排泄に関する傾向を示す推薦情報を出力してもよい。被介護者の排泄に関する傾向は、例えば、被介護者が排泄する確率が高い時間帯、被介護者が排泄する便又は尿の質又は量である。情報出力部354がこのような推薦情報を出力することで、介護者が被介護者の排泄の傾向を把握した上で適切な対処をしやすくなる。
【0069】
情報出力部354は、記憶部34に記憶された過去の排泄日時及び過去の排泄物の処理日時を示す情報を参照することにより、過去の排泄時点から、当該過去の排泄時点の直後の処理時点までの経過時間に基づいて対応目安時間を決定してもよい。情報出力部354は、例えば、過去の複数の排泄時点から処理時点までの対応時間の統計値に基づいて対応目安時間を決定する。情報出力部354は、特定の被介護者に対する過去の複数の対応時間の最長時間よりも短い時間を対応目安時間に決定し、一例として、特定の被介護者に対する過去の複数の対応時間の平均値又は中央値を対応目安時間とする。情報出力部354が対応目安時間を決定することで、介護施設等の管理者が被介護者ごとに適切な対応目安時間を決定する手間がかからないので、多数の被介護者がいる介護施設等に好適である。
【0070】
情報出力部354は、所定の条件を満たす一以上の介護者が排泄物の処理を実施した処理時点に基づいて対応目安時間を決定してもよい。一以上の介護者は、例えば経験値が基準レベル以上のベテラン介護者である。ベテラン介護者は、被介護者が排泄物によってかぶれやすいか否かといった被介護者の特性を把握している傾向が強い。そこで、情報出力部354が、排泄物が検出された排泄時点からベテラン介護者が排泄物の処理を実施した処理時点までの時間に基づいて対応目安時間を決定することで、被介護者に適した時間に対応目安時間を決定することができる。
【0071】
[推薦情報の表示画面の第2例]
図8は、情報出力部354が出力する推薦情報を含む画面の他の例を示す図である。
図8に示す画面は、例えば、
図7に示す画面において介護者が被介護者を選択する操作を行うことにより情報端末2に表示される。
【0072】
図8に示す画面においては、選択された被介護者の直近の15時間における排泄時点と排泄物の種別及び量が示されている。
図8の左右方向は時間を示しており、斜線の長方形は便が排泄されたことを示し、網点の長方形は尿が排泄されたことを示している。長方形の長さは、排泄物の量を示している。介護者は、本画面を見ることにより、次に排泄される時刻、排泄物の種別及び量等を把握しやすくなる。また、本画面には、排泄物の処理を行うために許容される時間及び留意事項も表示されている。介護者がこれらの情報を見ることで、適切な時間に排泄物の処理を行いやすくなる。
【0073】
[多数の被介護者の介護業務の支援]
ところで、介護施設等においては、一人の介護者が多数の被介護者の介護を行う。一人の介護者が担当する複数の被介護者が排泄をするタイミングが異なる場合もあれば、ほぼ同じタイミングになる場合もある。このような環境下で介護者が適切な順番に被介護者の排泄物の処理をすることができるように、情報出力部354は、複数の被介護者の複数の排泄時点に基づいて、介護者が複数の被介護者それぞれに対する介護業務を実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成してもよい。
【0074】
図9は、介護者が複数の被介護者の排泄状況を把握しやすくするための画面の一例である。
図9に示す画面において、左右方向は時間を示している。
図9に示す画面においては、複数の被介護者に関連付けて、各被介護者が排泄した排泄物の種別を示す情報が時系列に表示されている。太線の四角は尿が排泄されたことを示しており、太線の四角の右上の数字は尿の量を示している。網点、斜線、網線等が付されている四角は、便が排泄されたことを示しており、便の色や硬さが模様によって表されている。また、四角の中央付近の数字は便の量を示している。介護者は、
図9に示す画面を見ることにより、担当する被介護者の排泄状況や排泄パターンを把握しやすくなる。
【0075】
情報出力部354は、例えば、排泄時点が早い順番に排泄物の処理を実施することを介護者が把握できるように、一人の介護者が担当する複数の被介護者の排泄時点の順序を示す推薦情報を作成し、作成した推薦情報を出力してもよい。情報出力部354は、例えば
図9に示す画面の被介護者名に関連付けて、処理を実施するべき順序を示す数字を表示する。
【0076】
被介護者によって対応目安時間が異なるので、情報出力部354は、複数の被介護者それぞれの排泄時点と対応目安時間とに基づいて、排泄時点の順序と異なる処理順序を示す推薦情報を作成してもよい。具体的には、情報出力部354は、それぞれの被介護者の排泄時点から現時点までの経過時間から対応目安時間を減算し、減算した結果が大きな順番を示す推薦情報を作成する。情報出力部354がこのような推薦情報を出力することで、介護者は、対応目安時間までの期限が近い被介護者の排泄物の処理を優先的に行うことができるので、対応目安時間を超えづらくなる。
【0077】
[他の介護業務の実施支援]
介護施設等において、介護者は、排泄物の処理だけではなく、食事の提供、投薬の支援及び実施、入浴の支援等の各種介護業務を行う必要がある。したがって、介護者には、複数の被介護者に対してこれらの各種介護業務を行いつつ、対応目安時間内に排泄物の処理を行うことが求められている。食事の提供に関して、介護者は、介護施設等で決められた時間帯に食事を提供する必要がある。このような中、例えば食事の提供をしている間に対応目安時間を超えてしまうと、被介護者の肌がかぶれたり排泄物が漏れたりするという問題が生じてしまう。
【0078】
このような介護者を支援するために、情報出力部354は、介護業務として、排泄物の処理、担当する被介護者への食事の提供を実施することを推薦する時を示す推薦情報を出力してもよい。情報出力部354は、例えば、食事の提供に要する時間(例えば20分間)が経過しても対応目安時間を超過する蓋然性が低い時間帯を食事の提供を行うべき時として示す推薦情報を出力する。
【0079】
具体的には、情報出力部354は、食事の提供が可能な時間帯における、各被介護者の排泄時点から現在時点までの経過時間に食事の提供に要する時間を加算した時間が対応目安時間を超えない時間帯を、食事の提供を行うべき時間帯として示す推薦情報を出力する。情報出力部354がこのように動作することで、介護者が、対応目安時間内に排泄物の処理を行うとともに、適切な時間帯に食事を提供することができる。
【0080】
なお、情報出力部354は、経過時間に食事の提供に要する時間を加算した時間が対応目安時間を超える被介護者がいる場合、当該被介護者の排泄物の処理を先に行うことを示す推薦情報を出力する。一人の介護者が複数の被介護者の排泄物の処理をすると、食事の提供が可能な時間帯に食事を提供できないと情報出力部354が判定した場合、情報出力部354は、介護施設等の管理者が使用する情報端末に対して支援を要求する情報を送信してもよい。情報出力部354がこのように動作することで、多数の被介護者が食事の直前に排泄をした場合であっても、対応目安時間内に排泄物の処理が行われるとともに、介護者が適切な時間帯に食事を提供することができる。
【0081】
投薬に関しては、被介護者によって投薬の内容(すなわち薬の種類や投薬方法)及び時刻が異なる。そこで、情報取得部351が、被介護者に対する投薬の内容及び時刻を含む投薬情報をさらに取得し、情報出力部354は、投薬情報にさらに基づいて推薦情報を作成してもよい。食事の提供と同様に、排泄物の処理をした後に投薬の支援をする場合、十分な手洗いが必要になるので、介護者が、できるだけ複数の被介護者への投薬の支援を連続して行うことが望ましい。
【0082】
介護者が排泄物の処理と投薬の支援を効率良く行えるようにするために、まず、情報出力部354は、介護者が担当する複数の被介護者のうち、投薬の時間帯が重なっている被介護者を抽出し、抽出した被介護者への投薬を行うために必要な投薬所要時間を算出する。情報出力部354は、投薬をするべき時間帯における、各被介護者の排泄時点から現在時点までの経過時間に算出した投薬所要時間を加算した時間が対応目安時間を超えない時間帯を、投薬を行うべき時間帯として示す推薦情報を出力する。情報出力部354がこのように動作することで、介護者が、対応目安時間内に排泄物の処理を行うとともに、適切な時間帯に被介護者に投薬をすることができる。
【0083】
情報出力部354は、経過時間に投薬所要時間を加算した時間が対応目安時間を超える被介護者がいる場合、当該被介護者の排泄物の処理を先に行うことを示す推薦情報を出力する。一人の介護者が複数の被介護者の排泄物の処理をすると、投薬をするべき時間帯に投薬をできない被介護者が生じてしまう場合、情報出力部354は、介護施設等の管理者が使用する情報端末に対して支援を要求する情報を送信してもよい。情報出力部354がこのように動作することで、多数の被介護者が投薬をするべき時間帯の直前に排泄をした場合であっても、対応目安時間内に排泄物の処理が行われるとともに、介護者が適切な時間帯に投薬することができる。
【0084】
図10は、情報出力部354が出力する被介護者と介護者の1日の活動計画の一例を示す図である。
図10における「介護者」の欄に記載されている事項は、1日の各時間帯に介護者が行うべき業務の内容を示しており、「被介護者」の欄に記載されている事項は、被介護者が行う行為の内容を示している。「排泄」は、被介護者が排泄を行う蓋然性が高い時間帯に示されている。「食事・投薬」、「起床」、「活動」、「就寝」は、被介護者が、食事及び投薬、起床、活動、就寝をすることを推奨される時間帯に示されている。情報出力部354がこのように被介護者の生活リズムに合わせて最適化された介護者の業務スケジュールを出力することで、介護者の業務効率を高めるとともに被介護者の満足度を高めることができる。
【0085】
上述の実施形態では、主として排泄時点に合わせて投薬や食事のタイミングを最適化する例について記載したが、各被介護者の排泄時点ないし処理時点に基づき業務(ケア)の内容自体を変更してもよい。情報出力部354は、例えば、過去の排泄時点のデータ等から、「便秘気味である」との傾向が得られた被介護者に対しては、「下剤の投与を行う」旨の推薦情報を出力する。情報出力部354は、この他にも「水分摂取量を増やす」「乳製品を増やすなどして食事内容を見直す」「頓服の下剤投与を行う前に、常用している下剤の種類又は量を見直す」等ように、介護者が被介護者に対して行う業務の内容の変更を示す推薦情報を出力してもよい。
【0086】
さらに、情報出力部354は、業務のタイミングまたは内容を変更するにあたり、施設経営上の制約条件(コスト、運営ルール等)を加味してもよい。例えば、情報出力部354が、「食事内容の見直しを行うのが良い」との推薦情報を得たにもかかわらず、食事内容の変更に伴う調理上のコスト(材料費、別メニューで作ることの手間や人件費)を考慮すると上記制約条件(例えば、当該施設の予算上限)を満たせない場合は、情報出力部354は、その旨の警告メッセージを推薦情報と共に出力するか、別の代替案(より低コストのメニューでの食事変更)を推薦情報として出力するなどしてもよい。
【0087】
[複数の介護者の業務分担の適正化]
介護施設等には複数の介護者が所属しており、複数の介護者が分担して複数の被介護者の介護業務を行う。従来、複数の介護者それぞれが担当する被介護者を介護施設等の管理者が決定してきたが、一人の介護者が担当する複数の被介護者が同じ時間帯に排泄することが多いと、介護者が対応目安時間内に排泄物の処理をすることが困難になったり、介護者が忙しい時間帯と暇な時間帯とが発生したりすることがあった。
【0088】
そこで、情報出力部354は、複数の介護者に関連付けて、複数の被介護者それぞれに対する介護業務を実施することが推薦される時を示す推薦情報を出力してもよい。情報出力部354は、例えば、介護施設等で介護を受けている全ての被介護者の過去の排泄時点の履歴を参照することにより、各被介護者の排泄物を処理する介護業務が発生する時間帯を予測する。そして、情報出力部354は、予測した時間帯に各被介護者の対応目安時間を加算して、排泄物を処理してもよい処理可能時間帯を予測する。
【0089】
図11は、複数の被介護者の排泄時点の履歴を示す図である。
図11における●は、各被介護者が過去の2日間に排泄した時点を示している。
図12は、各被介護者が排泄する蓋然性が高い時間帯を示す図である。
図12において灰色の時間帯は、過去の排泄時点のパターンに基づいて特定される、各被介護者が排泄する蓋然性が高い時間帯を示している。
【0090】
図13は、各被介護者ごとの処理可能時間帯を示す図である。
図13において網点で示す時間帯は
図12における灰色の時間帯に対応している。
図13において縦線で示す時間帯は、対応目安時間を示している。網点で示す時間帯と縦線で示す時間帯とを合わせた時間帯は、各被介護者に対して排泄物の処理を行う必要が生じる蓋然性が高い時間帯を示している。上述のように、情報出力部354は、
図12に示した灰色の時間帯に各被介護者の対応目安時間を加算することにより、
図13に示す処理可能時間帯を決定している。
【0091】
図14は、複数の介護者に割り当てた各被介護者の処理可能時間帯を示す図である。
図14(a)は、第1の介護者に割り当てた複数の被介護者の処理可能時間帯を示しており、
図14(b)は、第2の介護者に割り当てた複数の被介護者の処理可能時間帯を示している。
【0092】
情報出力部354は、一人の介護者に割り当てる複数の被介護者に対応する複数の処理可能時間帯ができるだけ分散し、一人の介護者が対応目安時間以内に複数の被介護者の排泄物の処理を行うことができるように、複数の介護者それぞれに複数の被介護者を割り当てる。具体的には、情報出力部354が、このように各介護者に割り当てた複数の被介護者の処理可能時間帯が重なる時間ができるだけ短くなるように、複数の被介護者を複数の介護者に割り当てる。
【0093】
さらに、情報出力部354は、複数の介護者それぞれに割り当てられた被介護者の排泄物の処理を行うべき順番を各介護者の情報端末2に表示させてもよい。情報出力部354がこのような内容を含む推薦情報を情報端末2に出力することで、複数の介護者が複数の被介護者の対応目安時間内に排泄物を処理できる確率が高まる。
【0094】
情報出力部354は、排泄物の処理以外の介護業務を行うべき時間帯をさらに考慮して、複数の介護者に割り当てる複数の被介護者を決定してもよい。この場合、情報出力部354は、例えば食事の提供又は投薬の支援等の介護業務に必要な時間帯に排泄物の処理をしなくても済むように、各介護者に割り当てる複数の被介護者を選択する。
【0095】
このように、情報出力部354が複数の種別の介護業務を行うべき時間帯ができるだけ重ならないように被介護者を選択して業務計画を作成し、作成した業務計画を出力することで、複数の介護者が各種の介護業務を適切な時間帯に行うことが可能になる。
【0096】
この場合、情報出力部354は、介護業務を実施することが推薦される時を、介護者が属する施設において介護者が介護業務を行うことが許可されている時間帯(例えば休憩時間以外の時間帯)内に割り当ててもよい。情報出力部354がこのように動作することで、介護者の休憩時間帯に介護業務が割り当てられないので、介護者は、適切に休憩をしつつ、被介護者の対応目安時間内に排泄物の処理をすることができる。
【0097】
さらに、情報出力部354は、介護者が所属する介護施設に対して設定された人員配置基準を満たすように推薦情報を作成してもよい。人員配置基準とは、厚生労働省により定められた、介護施設等に配置されるべき看護職員、介護職員、生活相談員、常勤管理者等の最小人数の基準である。また、情報出力部354は、当初は人員配置基準を考慮せずに複数の介護者に割り当てる複数の被介護者を決定し、その後に当該割り当ての結果が人員配置基準を満たしているか否かを判断し、満たしていない場合には警告(アラート)を出すこととしてもよい。このとき、情報出力部354は、上記割り当ての結果、人員配置基準に比して人員が余剰である場合には警告(アラート)を出すこととしてもよい。
【0098】
[第1変形例]
以上の説明においては、介護支援装置3が介護施設等に設けられている場合を例示したが、介護支援装置3の構成及び設置場所は上記の例に限らない。
【0099】
図15は、第1変形例に係る介護支援システムS2の構成を示す図である。介護支援システムS2は、センサー1、情報端末2及び施設内サーバ4が施設内ネットワークN1に接続されている。施設内サーバ4は、例えば被介護者の個人情報を管理しているサーバである。情報端末2及び施設内サーバ4は、外部インターネットN2(例えばインターネット)を介して、介護支援装置5との間で各種のデータを送受信することができる。介護支援装置5は、
図1に示した介護支援装置3と同等の機能を有するクラウドサーバである。
【0100】
図16は、介護支援装置5の構成を示す図である。
図16において、
図5に示した介護支援装置3と同じ機能を有する部位には
図5と同じ符号を付している。介護支援装置5は、通信部31、記憶部34及び制御部35を有する。制御部35は、記憶部34に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部351、排泄特定部352、処理時点特定部353及び情報出力部354として機能する。
【0101】
介護支援装置5がこのように外部ネットワークN2を介して情報端末2がアクセス可能なクラウドサーバにより実現されている場合、例えば介護者が被介護者を介護施設等の外に連れ出している間にも推薦情報を確認することができるので、介護者が介護施設等の外で活動することがある場合に好適である。
【0102】
[第2変形例]
以上の説明においては、処理時点特定部353は、排泄物の処理が行われたことを示す介護処理実施情報に基づいて処理時点を特定したが、処理時点特定部353は他の手段を用いて処理時点を特定してもよい。例えば、処理時点特定部353は、センサー1が検出したにおいの強度が低下した時点を排泄物の処理が行われた処理時点としてもよい。
【0103】
ただし、被介護者がベッドから離れた場合、被介護者の排泄物の処理が行われていないにもかかわらず、においの強度が低下したことをセンサー1が検出する場合がある。そこで、情報取得部351は、被介護者のベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた介護支援装置3が検知したにおいの変化を示すにおい変化情報と、ベッド又は当該ベッドの近傍に設けられた位置センサーが検知した被介護者の位置を示す位置情報と、を取得してもよい。におい変化情報は、例えば、においの変化があったこと又はにおいの変化量の少なくともいずれかを示すテキストデータを含む情報である。この場合、処理時点特定部353は、被介護者がベッドの上にいることを位置情報が示している間ににおい変化情報に基づいてにおいが弱くなったと判定される時点を処理時点として特定する。
【0104】
情報取得部351及び処理時点特定部353がこのように動作することで、排泄物の処理を行ったことを介護者が情報端末2に入力することなく処理時点特定部353が処理時点を特定できるので、介護者の負荷を減らすことができる。また、排泄物の処理を行ったことを介護者が情報端末2に入力し忘れた場合であっても、処理時点特定部353が、処理時点を特定することができる。
【0105】
[第3変形例]
以上の説明においては、センサー1がにおいを検出するにおいセンサーである場合を例示したが、センサー1はにおいセンサー以外のセンサーであってもよい。例えば、センサー1が、おむつの温度を検出する温度センサー又は湿度を検出する湿度センサーであり、温度又は湿度の変化に基づいて排泄されたことを検出してもよい。
【0106】
[第4変形例]
以上の説明においては、介護支援装置3が介護施設等に設けられたコンピュータにより実現できる場合を例示したが、介護支援装置3の機能をセンサー1及び情報端末2に搭載されたプロセッサがアプリケーションソフトウェアを実行することにより実現してもよい。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
介護支援装置3は、被介護者の近傍に設けられたセンサー1からの情報に基づいて、被介護者が排泄した時点である排泄時点を特定する排泄特定部352と、被介護者の過去の排泄時点に基づいて、被介護者の排泄物の処理を含む一以上の介護業務を介護者が実施することが推薦される時を示す推薦情報を作成し、作成した推薦情報を出力する情報出力部354と、を有する。